佐野元春 Live@東京国際フォーラム 2023.9.3 感想

今、何処TOUR 2023

2023年9月3日(日)@東京国際フォーラム

ファンクラブ入会を決意

佐野さんの最高傑作とも言えるアルバム『今、何処』を引っ提げてのツアー。ずっと楽しみにしてました。
今年やっとツアー日程の発表があり、初日の埼玉とファイナルの東京に参加したいなと思ったのですが、埼玉公演はチケットの抽選がすべてハズレ、一般発売も瞬殺と、チケットを手に入れることが出来ませんでした。

ここ数年の佐野さんのライヴは、行きたいと思った公演はチケット獲れてたので、余裕ぶっこいてたのですが、埼玉が獲れなかったことで、尻に火がつきました。
コロナ禍を越えて、ライヴに戻ってきたお客さんが増えたのかもしれない。
これからは、チケット獲るのも苦労するかも、と。
怖くなった僕は、とうとう佐野さんのファンクラブに入ることを決意しました。

ファンクラブに入ったとなれば、まあ、とりあえずは安心で、東京公演のチケットも、ファンクラブ枠で当選することが出来ました。
その後で、いろいろ幸運が重なって、埼玉公演のチケットを手に入れることが出来て、ツアー初日を観る事が出来たのだけれど。
それでも、東京公演は楽しみでした。
埼玉公演が素晴らしかったので、あれがまた観れるのかという思いだったし、何度観ても楽しめるのが佐野さんのライヴですから。

ライヴ諦めよう。チケット売りに出そう

しかし。
ライヴを数週間後に控えたお盆頃。
いよいよライヴが近づいてきたと期待は高まっていたのですが、この頃、体調を崩してしまったのです。
数週間あれば、余裕だろうと思っていたのですが、今回は、持病の拒食症の症状が出て来てしまい、2週間ほど、まともにものが食べられない日が続いてしまいました。
体調的には最悪です。

ライヴ1週間前の日曜日。
すでに仕事も1週間ほど休んでいるのに、なかなか元に戻らない。
あと1週間で、体調が良くなるとはとても思えない。
ライヴは諦めよう。
そう思わざるを得ませんでした。

幸い、速攻でソールド・アウトした東京公演ですから、チケットは売りに出せば、買い手はいくらでもいるだろう、チケット無駄にせずに済むだろう、と思えました。
日曜の夜、リセールで売りに出しました。
しかし!
チケットは売りに出せば入れ食い状態、買い手はすぐに見つかるだろうという見通しは甘かった。
売りに出してからリセール状況を確認してみたら、出品されているチケットは他にも数枚あったのです。
ライヴ1週間前の時点で、売れ残ってるチケットがこれだけある。
入れ食い状態なんかじゃなかった。
僕の席はとりたてて良い席というわけではないので、ライヴ当日まで売れないという可能性は充分ある。
そうなると、チケットは無駄になるのか...。

体調回復

ところがところが。
風向きが変わってきました。
火曜日になって、僕の体調が良くなる気配がしてきたのです。
あれ?このまま良くなっていけば、日曜日のライヴ、間に合うんじゃないか?
2日経ってもリセールで買い手が付かなかった僕のチケット、これは、僕が行きなさいという神様からのメッセージでは?という思いに。
よし!
頑張って、この調子で体調を回復させて、ライヴに行こう!
すぐさまリセールの申し込みを取り消して、ライヴに行くことをモチベーションに、体調復活に努めました。

それから日を追うごとに、ものが食べられるようになり、仕事にも復帰できて、体調が回復。
なんとか。なんとか間に合いました。
全然不安はないと言ったら嘘になるけど、でも、これくらいならライヴには行ける。
今回は買い物とか、どこかに寄り道したりしないで、ライヴにだけ行ってすぐ帰って来る。
なんの問題もないだろう、と。

ライヴ当日。会場へ

ライヴ当日は、晴れから雨になる予報で、夜は確実に雨に降られるんだろうなというのが不安でしたが。
(結果的に天気予報はハズレ。家に帰ってくるまで雨に降られることはありませんでした)

会場には、開場時間の17時を5分ほど過ぎての到着でしたが、長蛇の列でした。
国際フォーラムで、建物の外にまで列が出来ているのは初めての経験でした。
いつもはすんなり入れたイメージだったのに。
まあ、それでも10分くらい並んで入場することが出来て。
開演時間ギリギリまで、ソファでゆっくりしてました。

僕の席は、1階31列24番。
僕のとあるフォロワーさんは、ファンクラブ枠で獲ったチケットが、いつも前列の方なので、ファンクラブ枠って、そんなにいいのかと期待してただけに、僕の座席発表があった時は、とりたてて良いとは思えないこの席にはいささか落胆しました。
まあ、会場も大きいし、希望者も多かったのだろうから、これでもまずまずの席なんだと思うしかないです。
2階席じゃなくて良かった、と。
左隣は2席空席でした。
なんか事情があって来れなかったのでしょう。
もし僕が来ることが出来てなかったら、3席空いてたことになります。
左側が空席で余裕を持ってライヴが観れるのは、僕にとってはラッキーでしたが、来れなかった人が気の毒だなという気持ちが一層強くなって複雑です。

そして、あっという間に開演時間の18時。

ライヴのスタート

開演時間を11分過ぎ、ようやくスタートです!

01. さよならメランコリア
02. 銀の月
03. クロエ
04. 植民地の夜
05. 斜陽
06. 冬の雑踏
07. エンタテイメント!
08. 新天地
09. 愛が分母
10. ポーラスタア
11. La Vita e Bella
12. 純恋(すみれ)
13. 詩人の恋
14. エデンの海
15. 君の宙
16. 水のように
17. 大人のくせに
18. 明日の誓い
19. 優しい闇
(Encore)
20. 約束の橋
21. スウィート16
(Encore 2)
22. サムデイ
23. アンジェリーナ

「さよならメランコリア」
佐野さんは座ってキーボード演奏。
グツグツと煮え立つような、力が漲ってくるナンバー。
あいまいなまま流れゆく世の中だけれども、ぶち上げろ魂!
今回のライヴは、スクリーンの映像にも注目です。
ここでは、砂漠に青空、流れゆく雲の映像。何処に迷い込んだんだ?

「銀の月」
スクリーンには大きな月の映像。それから、宇宙飛行士。
ピコピコと近未来的なサウンドのポップなロックンロール。
どこか爽やかで潔く、心が浄化されていく感じ。
エンディングでの深沼さんのギター・ソロに舞い上がる。
聴くたびに、どんどん好きになっていきます。

「クロエ」
ピンクとオレンジの照明に照らされて、ロマンティックなムード。
「♪ 彼女が恋をしている瞬間」というワンフレーズだけで、素敵な大人の女性が目に浮かびます。
うっとりと聴き惚れるしかありません。大好きな曲です。

「植民地の夜」
前曲から一転、ワイルドなサウンドに。
スクリーンには、すべての歌詞が映し出されて、その言葉の意味を噛みしめます。
深沼さんのギター・ソロもドライヴしてます。

「パンデミックを乗り越えて、みんないい感じ?」
佐野さんが語りかけます。
コロナ禍以前のライヴの雰囲気に戻ってきた感触を、佐野さんも喜んでいるようです。

「斜陽」
ここから佐野さんはアコギを抱えて。
スクリーンには、すべての歌詞ではなく、キーワードになるフレーズを映し出します。
「♪ 君の魂 決して無駄にしないでくれ」
何が起こっても、辛い状況でも、その佐野さんからのメッセージは忘れないようにしたいです。
スクリーンに映し出された、沈みゆく太陽が印象的でした。

「冬の雑踏」
イントロでの佐野さんのハーモニカが胸に沁みます。
「クロエ」のようなロマンティックな雰囲気がありつつも、やや枯れた味わいもある曲で深みがあります。

落ち着いたコンセプチュアルな『今、何処』を曲順通りに演奏してきて、前半はここで終了。

「エンタテイメント!」
一気に、華やかなロックンロールでテンションが上がります。
「♪ It’s Just A Entertainment」と拳を上げて歌います。踊ります。
このキレ味と爽快感。たまりません。

この国際フォーラムでのライヴは、35周年記念ライヴ以来、7年振りということで、佐野さんも楽しみにしてたそうです。
そして、魂ぶち上げますと宣言。

「新天地」
この曲も爽やかですね。
ポップなロックンロールの曲調で、佐野さんがややフワフワとした歌い方をするのが面白いです。
エンディング近くの「♪ トゥルルル、トゥットゥットゥルール」というコーラスワークがキャッチーで、胸が高まります。

「愛が分母」
強烈なスカ・ビート・ナンバー。
原曲では、ホーン・セクションが印象的でしたが、コヨーテ・バンドには、ホーン担当はいません。でも、ホーン・サウンドがなくても、充分アッパーな演奏になってました。
キーボードの渡辺さんががんばります。
サビでは「♪ あーいが、ぶんぼっ」と、大合唱。
そしてフィニッシュの「♪ Say Yeah」もみんなで歌います。
もう、コロナ禍の自粛なんて気にせず、やっと大声でこの曲を歌って盛り上がれるようになったのが嬉しいです。
ギター・ソロは、多くの曲で深沼さんが担当することが多いですが、この曲のエンディング近くでは、藤田さんがギター・ソロ。

「ポーラスタア」
この曲で、また会場の雰囲気が一変しました。
締まった演奏、いい意味でクールダウンの冬の様相です。
「♪ ほら見上げてごらん、冬の星空 あれがポーラスタア」のところでは、みんなで空を指差して一体感。
間奏はドライヴする深沼さんのギター・ソロ、エンディングでは狂気を含んだ藤田さんのギター・ソロに昇天です。

「La Vita e Bella」
ポップで、優しさと希望に溢れた名曲です。
小松さんの叩くドラムの効果的なビートに、お客さんも自然と手拍子をして盛り上がります。
そして、歌っていくうちに気合いが入っていく佐野さん。

2階席の後ろまでお客さんが入っていて嬉しいと佐野さんは言ってました。
「みんなロックしよう!...すみれ」
「純恋(すみれ)」
イントロで、ピンクとオレンジのライトに照らされて、ビシッと手を広げる佐野さんのポーズ、何度観てもたまりません。痺れます。
若い人に向けた、恋愛賛歌。
中高年でもキュンとして胸が熱くなります。
サビでは手拍子をしながら大合唱。
盛り上がりました。

「詩人の恋」
枯れた味わいの佐野さんのヴォーカルで聴かせるバラード。
立ったままのお客さんが多かったですが、僕は疲れてたので座りました。
前の席の人たちの隙間から佐野さんを覗きましたが、照明が暗くてよく観えないので、スクリーンを。
この曲も歌詞が映し出されていました。
それから、モノクロの菊(?)の花のアップの映像。
この曲は、以前はとりたてて印象に残ってない曲でしたが、このツアーで採り上げられたことで、僕の中で好印象に変わりました。
「♪ 私たちはずっと共にいる」。

「エデンの海」
ここから『今、何処』後半戦です。
高桑さんの太いベース・ソロのイントロで始まります。
そして、「♪ White Light!」という合いの手コーラスに気合いが入ります。
シビアでカッコいいロックンロールです。
エンディングで、「♪ Yeah Yeah」と高音シャウトする佐野さんに痺れました。

「君の宙」
佐野さんはキーボード。
バラードなので、お客さんは全員座りました。
この曲も、佐野さんからのメッセージが伝わってきます。
寄り添うようなギターの音色も良かったなあ。

「水のように」
Aメロの「♪ かまわない」とか「♪ 気にしない」とかのコーラスが印象的。
水のように流れるようなメロディで、リズムも心地良くノリがいい。
そしてスパークル。

「大人のくせに」
ワイルドでおおらかな曲。どこかコミカルさもあります。
佐野さんはタンバリンを叩きながら歌います。
終盤で、ベースの高桑さんがステージ前方まで出てきました。
ステージ前方で4人が所狭しとロックンロール。

「明日の誓い」
アルバムの最後を飾るにはやや地味かなあと思ってましたが、段々と沁みるようになってきました。
決して派手ではないですが、刻まれるビートが心地良い。
スクリーンも、それまでの曲の演出とは違い、基本的にオレンジ一色のシンプルなもの。時々、赤と緑という相反する配色のライトが当たったりしてドキリとさせ、最後には、オープニングで映し出されていた砂漠と青空の映像が映し出され、再び「ここ何処?」という感触を持たされました。
「♪ より良い明日へと歩いてゆく」というメッセージが、覚悟と希望を持って胸に迫りました。

「優しい闇」
テロテロテロという印象的なギター・リフで始まります。
抑えたビートから「♪ 何もかも変わってしまった」というフレーズを経て、「♪ なんだろう」というサビになると、思わず手拍子と共に、体をフニフニさせて踊っていました。
エンディングでの混沌としたドライブ感漂う演奏に興奮です。

これにて本編終了。

アンコール。
佐野さんは、トレードマークの赤いストラトのギターを抱えて登場。
あの曲をやってくれるのか?

「約束の橋」
おっと。この曲は一番最後の曲かと思っていたので意表を突かれました。
「♪ 今までの君は間違いじゃない」と、オーディエンス一人一人を肯定してくれる曲。
昔はそれほど好きじゃない曲でしたが、この歌詞には何度も勇気づけられ、いつしか聴くのが楽しみになってきました。
最後の「♪ ラーラーラーララ」は力の限り大合唱。

「スウィート16」
ジャングル・ビートが強烈なロックンロール。
小松さんの叩くドラムに心が跳ねます。
汗の飛沫が飛んできそうな爽快感。
サビをみんなで歌いながら、酔いしれます。

ダブル・アンコール。

佐野さんが「大滝詠一もPANTAも忌野清志郎も坂本龍一もいない世の中だけれど...」と切り出し、「僕はまだここにいます」と続けて、「みんな一緒に歌おう!」と呼びかけます。
一緒に歌う?
なんの曲だろう?
まさか?
と思ったら、小松さんがドラムをドゥルルンッ!
「サムデイ」だ!
今回のツアーでは、どこの会場でも「サムデイ」はやってなかったと思います。
なので、今回はやらないんだろうと思ってたので、これには意表を突かれました。
そうか、「サムデイ」か。
そして、一緒に歌おうという佐野さんの呼びかけ通り、最初からお客さん大合唱です。
僕も一緒になって歌いました。
この曲は、リアルタイムで聴いたわけではないし、歌詞も憶えようと思って聴いた訳ではないのに、自然とほぼすべての歌詞を憶えていた自分にビックリです。
何も考えなくても、自然と言葉が出る。佐野さんと一緒になって歌えてる。
今までも、何度かライヴでこの曲を聴いたことはありましたが、最初から最後まで、一緒になって歌ったのは初めてでした。
なんかね、すごい感動しました。
もともと大好きな曲ではあったけれど、ライヴで、佐野さんと一緒になって歌うとこんなに感動するとは。
ああ、今日のライヴに来て良かったなあと心から思いました。
間奏は、サックス奏者がいないので、佐野さんのハーモニカ・ソロ。これも、なんか青春のひとときに浸っているようで、沁み渡る音色でした。

「アンジェリーナ」
最後にやってくれました、赤のストラトが映えるこの曲!
このスピード感。疾走する車のようにグイグイ来ます。
「♪ Oh アンジェリーナ、君はバレリーナ」と力を入れて拳を上げ、そしてサビの「♪ 今夜も愛を探して」は大合唱。
演奏は完璧なる一体感で、会場は興奮のるつぼ、ひとつになりました。

ライヴに参加出来てホント良かった。感動の上塗りが出来た夜

ライヴ終了は20時3分。
2時間に満たないものでしたが、興奮して充実した、大満足のライヴでした。

佐野さんが最後に、「大変なことを乗り越えて、ここに来てくれたことに感謝します」と言っていたけれど、ホントそう。
僕は体調不良で、一時は参加を断念したほどだったけれど、ギリギリでそれを乗り越えて、ここに来ることが出来て、ホント良かった。
『今、何処』の世界観を堪能、そして「サムデイ」や「アンジェリーナ」など、佐野さんと一緒になって歌うことが出来た感動。
ここに来なかったら、それを体験することが出来なかった。
本当に、この日ここに来れて良かった。
素晴らしいライヴでした。

スクリーンや照明など、演出が凝りに凝っていたけれど。
でも、ステージを照らす照明は基本的に暗かったな。
なので、佐野さんの表情がはっきりと観てとれる場面が少なかった。
照明の演出に凝った故にこうなったのだろうけど、でもせめて、佐野さんの表情はしっかりとわかるくらいには、スポットライトを当ててほしかったです。
不満と言えばそれくらいかな。

僕の斜め前の席には、小さな女の子が。
席はママと一緒なので、チケットがいらない未就学児なんだろうけど、そんな小さい子が、佐野さんのライヴに来てるなんて。
背が小さいのに、ステージはちゃんと観えてたのかな。
時々ママの方を振り返って、ニコリとしてました。
ああ、こんな小さくても、ライヴを楽しんでるんだなあとわかる表情でした。
こんな小さな子をも魅了する佐野さんもすごいと思いました。

この日は映像収録のカメラが入ってました。
後にDVD&Blu-rayとなってリリースされることを期待します。

とにかく、素晴らしかった『今、何処』ツアー。
僕は初日を観ているので、わかっている部分も多かったけれど、期待を大きく超えて、感動の上塗りが出来ました。

ここに参加できて、本当に良かった。
素晴らしい、奇跡的な夜でした。
魂、ぶち上がりました!

この日のライヴの映像がBlu-rayで発売されます

佐野元春 & ザ・コヨーテ・バンド:ライブ「今、何処」東京国際フォーラム 2023 タワレコで見る

佐野元春 & ザ・コヨーテ・バンド︓ライブ「今、何処」東京国際フォーラム 2023 Amazonで見る

素晴らしかったこの日のライヴ映像が、念願叶ってBlu-rayでリリースされます。
NHKでも放送されましたが、あれはライヴの半分ほど。
名盤『今、何処』の曲がほぼアルバムの順番通りに演奏されたコンセプトを味合うためにも、ぜひフル・ヴァージョンでのライヴ映像をご覧ください!
4K映像収録、歌詞字幕付きなど、今までにない仕上がりになっていると思われます。
最新形の佐野元春に痺れるっ!

コメント