来日公演に備えて エリック・クラプトン のDVD『Nothing But The Blues』をおすすめする理由

もうすぐクラプトンの来日公演。

楽しみにしてる方もいらっしゃいますよね。

もっとテンションを上げるべく、ライヴ映像が観たいわけですが、調べてみると、現在、新品で購入可能なクラプトンのDVDって、結構少なくてビックリです。

そんな中でも、僕が好きなDVDの紹介です。

このライヴは?

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最初、このDVDがリリースされたと聞いた時、【ライヴ・ドキュメンタリー】と謳っていたので、なんだ、ドキュメンタリーじゃ興味ないな、とスルーしてたのです。

でも、サントラ盤もCDとしてリリースされてたし、もしかして、ライヴDVDなのでは?と思い始めて。

これは、『Unplugged』の大ヒットで、自由なことを出来るようになったクラプトンが、満を持して制作したブルース・カヴァー・アルバム『From The Cradle』のリリースに伴うツアーの頃の映像。
実際、セットリストを見ると、『From The Cradle』の収録曲から11曲が採り上げられています。

となったら、『From The Cradle』が大好きな僕にとっては、待ち望んでいたライヴ映像なのでは?
と、俄然興味が沸いたのです。

マーティン・スコセッシがエグゼクティブ・プロデューサーを務めた作品。

セットリスト。みどころ、聴きどころ

01. Blues All Day Long
02. Standin’ Round Crying
03. Forty-Four
04. It Hurts Me Too
05. Early In The Morning
06. Five Long Years
07. Crossroads
08. Malted Milk Blues
09. Motherless Child
10. How Long Blues
11. Reconsider Baby
12. Sinner’s Prayer
13. Everyday I Have The Blues
14. Crosscut Saw
15. Someday After A While
16. Have You Ever Loved A Woman
17. I’m Tore Down
18. Groaning The Blues
19. T’Ain’t Nobody’s Bizness
<Bonus Track>
Driftin’

「Blues All Day Long」
白のストラトを抱えたクラプトン。けっこう珍しいかも。
ブルースといえばこのノリとばかりに、力強いリズムで進みます。
と思ったら、演奏の途中でインタビュー映像が挟み込まれます。
え、マジ?こんな感じで、1曲完奏しないままその都度インタビュー映像が入ってくる作品なの?と不安になりましたが、それは結局この曲だけで、他はほぼ完奏してるのでご安心を。

さすがライヴ・ドキュメンタリーというだけあって、単なるライヴ映像ではなく、曲と曲の合間に、クラプトンのインタビューだったり、歴代ブルースマンの映像なんかも挿入されています。
ただ、どれも短いので、ライヴの雰囲気を邪魔するものとは思わないです。

「Standin’ Round Crying」
今度は定番の黒のストラトを抱えたクラプトン。
スライドしまくりで高音を震わせ、ハーモニカの音色と相まって、自然と気持ちが高ぶっていきます。

「It Hurts Me Too」
力が入りまくったクラプトンのヴォーカル。
今度はクラプトンのスライド・ギターとピアノのアタックが迫力ある演奏です。

「Early In The Morning」
間奏で、おや?ずいぶん控えめなソロを弾くなあと思ってたら、終盤、バンド演奏と共に盛り上がっていく様とのギャップが印象的です。

「Five Long Years」
イントロから間奏まで、ソロ弾きまくりなクラプトン。滑らかでありながらも、引きずるようなサウンドがたまらない音色です。
ホーン隊が煽って盛り上がり、これがクラプトンのブルースだといわんばかりの出来です。

「Crossroads」
この曲は、クラプトンのキャリアの中で何度も採り上げられてきた曲ですけど、その時々によって、いろんなアレンジがあるんだなあと思わせられます。
これも初めて聴く感じのアレンジで、クリームの時とはまるで別の曲と言ってもいいくらいなのです。

ここから3曲は、椅子に座ってアコースティック・スタイルの演奏。

「Malted Milk Blues」は、2人のアコギによるシンプルな演奏。

「Motherless Child」は、クラプトンはソロに頼らず、力強くアコギをストロークする姿が印象的。

「How Long Blues」では、ドブロ・ギターを弾いているので、固い音が魅力です。

「Reconsider Baby」は、クラプトンが、ハンマリング・オン、プリング・オフ、チョーキングを駆使して丁寧に音を出しているので、1音1音がハッキリとして聴こえる印象。

「Sinner’s Prayer」
どこか怪しい、うらぶれた雰囲気のあるブルースで、突然ギターをかき鳴らすクラプトンがカッコいい。
ホーン隊が煽っていってリズムを合わせていくサビのラストは力が入ります。

「Everyday I Have The Blues」
軽快で、跳ねるリズムの明るいノリ。このライヴの中では珍しいタイプのブルースです。
水を得た魚のようにノリまくってソロを弾くクラプトンを見ていると嬉しくなります。

「Have You Ever Loved A Woman」
この曲も、今まで何度も採り上げてきた有名曲ですが、今までのようにロック寄りではなく、今回はあくまでブルースでのアプローチです。ドミノスなんかとは違いますね。
ヴォーカル、ギターに没頭するクラプトンの姿が観れます。絶対他には何も考えてないね。

「I’m Tore Down」
これまたノリが良く、メロディがキャッチーなので、誰でもすんなり入っていけます。
高速ギター・ソロを縦横無尽に操るクラプトン、やっぱスゲエ!です。

「Groaning The Blues」
クラプトンのソロはチョーキングの嵐。
咆哮するクラプトンの表情にも注目です。

「T’Ain’t Nobody’s Bizness」
ラストの曲は、ピアノをバックに、ギターを弾かず歌い上げるクラプトン。
これでしっとりと終わりかと思いきや、最後にバンド演奏になって、クラプトンがソロを弾いて終わるという、最後までクラプトンらしさ全開なのでした。

それから、ボーナス・トラックとしての「Driftin’」
ひと通り歌った後、次はGだ、Aだと指示を出して、転調させてソロを弾きまくるクラプトン。
その後、C、D、と転調しまくって、最後にEに戻って、再び歌って終わるという面白い展開。
ボーナス・トラックながら、見逃せない映像でした。

クラプトンのコアの部分に触れることが出来、好きなことにひたむきになるカッコ良さがわかるDVDです。

決して大きな会場ではなくて、自作の代表曲がまったくないセットリストは、クラプトン初心者からするとピンと来ないかもしれないし、ヒット曲を求める人にはあまりおすすめできないDVDかもしれません。

しかし、偉大なブルースマンたちに負けじと、ヴォーカルに力入りまくりのクラプトンには熱くさせられます。

曲によってギターをとっかえひっかえするのですが、白のストラトと、このDVDのジャケットにもなっている赤のギターの使用が多いかな。

クラプトンの代名詞でもある、「泣きのメロディ」はありません。
ブルースは泣かないんだなと発見した次第です。
でも、弾きまくるクラプトンのギターは、泣かないけれど、確実に鳴っています。
これらのブルースがクラプトンにどういう影響を与えて、泣きのギターになっていったのかを考えると面白いです。

クラプトンの音楽的基盤を支えるブルースに正面から向き合ったライヴで、クラプトンのコアの部分に触れることが出来ます。
好きなことにひたむきになるカッコ良さがわかるDVDです。

熱くもなるが、総じて渋い。
これが好きになれれば、真のクラプトン・ファンと胸を張っていいのではないでしょうか。

クラプトン・ブルース・ファン必見の作品です。

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