LIVE AT BUDOKAN 2023
2023年4月18日(火)@日本武道館
クラプトンが来る!どうする?
昨年の秋ごろ、「来年クラプトンが来る」という噂を耳にして、ええ、ホントかなあと思ってたら、年末に、来日決定のニュースが入ってきました。
正直言うと、最初はどうしようか迷ったんです。
最近は似たようなセットリストだし、しかも「Layla」を採り上げたとしても、ほとんどがアコースティック。
チケットも2万円もするし、他にも行きたいライヴがあるしで。
行かなくてもいいかなあなんて気が芽生えてたのは確かです。
だけど、クラプトンは、自身がコロナワクチンを打ってひどい目にあい、このワクチンはおかしいと声を上げたアーティスト。
ライヴに参加するのにワクチンパスポートを導入するアーティストもいた中、クラプトンは、自分のライヴではそんなものは要らない、と早くから打ち出していました。
世界中がワクチンにすがっていた中、否定的なコメントを出すのは勇気がいることだったと思います。
実際、批判もされ、ファンからも嘲笑され、立場は悪くなったと聞きました。
それでも、おかしいと感じたことをおかしいと訴えたのは、自分に正直であるし、男気も感じました。
そんなクラプトンが、大規模なツアーは行わないという方針の中、日本でならライヴをやってもいいよとのことで、またやって来る。
観に行かないでどうするというのだ!
クラプトンの単独ライヴには、過去2回行きました。
2016年の時は、気乗りしてなさそうなクラプトンの問題や、あまり魅力を感じないセットリストに加え、眠気との戦いだった、最悪の思い出。
詳しいことは、こちらに書いてあります。
2019年の時は、初日にエレクトリック・レイラが披露され、やった!やっと僕もエレクトリック・レイラを生で聴くことが出来る!と喜んだのも束の間、2日目以降はアコースティック・レイラに変更され、僕が観に行った日も結局アコースティックで、ぬか喜びさせられた挙句の念願叶わずで、これまた辛い思い出。
詳しいことは、こちらに書いてあります。
つまり、クラプトンのライヴは2回とも、良い思い出ではないんですね。
なので、今度こそは、良い思い出に上書きしたい、という思いがありました。
だから今回、ちゃんと観に行こう、と。
どの公演日にするか。チケット確保
年末からお正月にかけて、早くも先行抽選が始まりました。
早速申し込もうかと、手続きしかけましたが、今回は6回公演。
人気の週末公演ならいざしらず、全日即ソールド・アウトということはないだろう、と。
先行に申し込むと、特別販売料で数百円取られるし、慌てて獲らなくても、一般販売でも余裕で獲れるんじゃね?と。
一般販売なら、座席を確認してから買うことも出来るだろうし。
ということで、一般販売で買うことにしました。
6日間の公演日程です。
どの日に行くかもポイントで。
普通だったら、最終日が好きな僕なのですが、今回は、仕事が定休になっている火曜日が日程に入ってたので、そこかなと。
それなら、仕事の休みの申請をしなくてもすむし。
火曜公演なら、チケットも獲りやすいだろうとの判断もありました。
はたして、一般販売の日。
一般販売なら、たいてい購入する時に、仮押さえの席がどこになるのか確認できます。
僕は、南から西側のスタンド席が希望でした。
何故かというと、以前、東スタンドから観た時に、クラプトンのギターのネックを裏側から観る形になっちゃって、ギターを弾く姿が全然確認できず、ちょっとつまらない思いをしたからです。
西スタンドから観るのならば、右利きのクラプトンのギターを弾く姿をちゃんと観れるだろう、とのことで、選べるのならば、南か西の席が出るまでがんばろう、と思ってました。
そして受け付け開始時間。
早速アクセスしてみると。
今までとは違い、一般販売なのに、座席の確認は出来ませんでした。
公演日の1ヶ月くらい前にならないと、座席はわからないそうです。
まあ、そういう事なら仕方ない。
仕方ないながらも、やはり余裕でチケットを購入することが出来ました。
セットリストはどうなる?レイラは?
あとは、やっぱり、最大の関心事項はセットリストですよね。
ツアーは行わないとは言っても、気が向けば、単発であちこちでライヴをやっているクラプトン。
昨年に行ったライヴのセットリストを見てみると、やはりあまり変わり映えがありません。
「Layla」も、相変わらずのアコースティック・レイラだし。
たぶん、今度の日本公演も、これとあまり変わらないんでしょう。
一度でいいから、エレクトリック・レイラを生で聴いてみたい、という僕の思いは叶いそうにないんだろうな、と。
来日公演の宣伝動画が公式から上がっていて、それを見たのですが、何曲か演奏シーンが映っていましたが、そこで観れたのはアコースティック・レイラの映像。
それから、来日公演の直前に、予習用としてサブスクで公開されたプレイリストに入ってたのもアコースティック・レイラ。
ここまで当たり前のようにアコースティックを推されると、それを期待して行くお客さんもいるでしょうから、それに反してエレクトリック・レイラをやるなんてことは考えにくくなってきます。
まあ、たぶん、今回もダメなんだろうな。
アコースティック・レイラなんだろうな。
一度でいいからエレクトリック・レイラを生で聴きたいという僕の思いは果たされることなく終わってしまうんだろうな。
まったく期待できないでいました。
公演初日。エレクトリック・レイラが!しかし...
そして。
4月15日。
来日公演初日。
ネットに繋いでみると、エレクトリック・レイラをやったということで、盛り上がっているではないですか!
うおお、初日にやってくれたのかあ!
慌ててセットリストを確認すると、他の曲も大方は想定内とはいえ、予想してた中ではかなり良い方のセットリストでした。
このライヴなら期待できる!
しかし。
まだまだ油断はできません。
なんといっても、前回公演の件があります。
初日にやったからといって、その後もやる保証はありません。
「Layla」の罪なところは、エレクトリックでもアコースティックでもヒットしちゃったところ。
どっちのヴァージョンも代表曲になっちゃったので、どちらも求める人が多いところ。
だから、クラプトンだって、今度はどっちをやろうかなと考えなければならないところ。
初日はエレクトリックでやったから、2日目はアコースティックでやろうかな、なんて考えても不思議ではありません。
僕が観に行くのは2日目なんです。
考えられるのは、アコースティック・コーナーを少し変更して、「Tears In Heaven」の後にアコースティック・レイラを持ってくる。
じゃあ、初日の本編最後にやったエレクトリック・レイラの代わりに何をやるか?ですが。
そう、今回、セットリストの中に「Cocaine」が無かったんですね。
「Cocaine」は、それこそライヴの最後に持ってくることがほとんどの定番曲です。
「Layla」をアコースティック・コーナーに持って行って、その代わりに本編最後に「Cocaine」を持ってくる。
充分考えられるでしょう?
それが僕にとってのバッド・シナリオです。
もし、そうなったらどうするか。
エレクトリック・レイラが聴けなかったら。
そして、その後の公演は、気分次第でエレクトリック・レイラとアコースティック・レイラを交互に披露するセットリストになったりしたら。
もう、どうするべきなのか。
僕が観に行った日にエレクトリック・レイラが聴けなかったら、もう1日観に行くべきか。
幸い、追加でステージ・サイド席や立見席が発売され、今からでもチケット買えるチャンスはあります。
しかし、もう1日観に行くとなると、当然、仕事の休みの申請をしなければならないわけで、多方面に少なからず迷惑をかけることになります。
だけど、諦めて、行かないことにして、後になって「やっぱり無理してでもチケット獲って観に行っとけば、エレクトリック・レイラ聴くことが出来たのに!」と後悔することは避けたい。辛すぎる。
エレクトリック・レイラを生で聴ける、最初で最後のチャンスかもしれないのに。
しかし、もう1日行くとしても、いつ行けばいいのかも問題で。
もし、エレクトリックとアコースティックを交互にやるということになったら、5日目がエレクトリックの日になるんだけど、その日は土曜日なので、チケットは残りわずか。急がねばならない。
でも、気持ち的には最終日が好きな僕だから、一番最後の日に賭けたい思いもある。
そもそも、エレクトリックとアコースティックを交互にやるとは限らない。順番ぐちゃぐちゃの可能性だってある。
そしたら、どの日のチケットを獲ればいいかなんて、まったくわからない!
それに、5日目と最終日、どちらの方があまり迷惑かけずに仕事が休めるんだろうか。
ノロノロしててチケット売り切れても困るし。
もう、そんなことが気になって気になって。
いったいどうしたらいいんだ。
もちろん、僕が観に行く日に、無事にエレクトリック・レイラが披露されれば、万事OK、ハッピーエンドなんですが。
ホントに、そんなにすんなりうまくいくのだろうか。
あらゆる事態を想定して、より良い選択をしなければならないことをふまえて臨まなければなりません。
ライヴが楽しみというよりも、不安で不安で仕方なかったです。
ライヴ当日。運を天に任せて会場へ
そしてライヴ当日。
よく考えたら、クラプトンは基本、セットリストを変えない人なんですよね。
日替わりメニューとかにはしない人、というイメージです。
むしろ、前回公演で初日から2日目にかけて「Layla」を変更したのが異例とも言えるわけで。
その証拠に、2日目から最終日までは変えなかったんです。
基本的には、初日から最終日までは同じセットリストで臨む人なんだよなあということを思い出しました。
そう考えると、今回の公演、ずっと同じセットリストで行く。
だから今日は、初日と同じセットリストのはずだ。
そう、ポジティブに考えることにしました。
ダメならダメで、またその時に一生懸命どうすべきか考えよう!
天気予報はずっと晴れのはずだったのに、当日になって、雨が降るかもみたいな話になって、ちょっと憂鬱な曇り空でした。
武道館に行く時は、いつも御茶ノ水のdisk unionに寄ってから、また電車を乗り継いで九段下まで行ってたんですけど、今回は、御茶ノ水の次に、神保町のdisk unionまで歩いて行って...あれ?そうすると九段下まで歩いていけちゃうんじゃね?ということに気付き、実際、簡単に歩いて行ける距離でした。
こんなに近いとは思わなかった。
せっかく買い物に行ったdisk unionでは、何も収穫が無かったのは残念でしたが、そのルートがわかったのが収穫でした。
今後も武道館でライヴを観る際は、このルートを取ることでしょう。
歩いていくことを考えて、時間に余裕を持たせていったので、開場時間の30分前に武道館に到着してしまいました。
既にグッズ売り場はすごい行列が出来てましたが、今回は魅力的なグッズがなかったので、スルーです。
今回、僕は前回公演の時に買ったクラプトンTシャツを着ていったのですが、そもそも、クラプトンTシャツを着ている人をほとんど見かけなかったですね。
今までグッズ売り場で買ったTシャツを、みんないつ着てるんでしょうか。
ライヴの時に着ないでどうする?
アイドルのライヴなんかでは、そのアイドルのTシャツを着て参加するのは当たり前の文化の様に思ってましたが、ロック界隈ではそんなことはないのでしょうか。
クラプトンTシャツ着れば、気分も盛り上がるのに。
次にクラプトンが来日したら、このTシャツを着ていくんだと決めてたんだ。
だから、いよいよ、ここぞとばかりに、買ってから初めて着たんだ。
僕はこのTシャツをおろすまで4年かかったよ。
開場時間の18時よりも10分前くらいに開場されました。
すぐに入場して、1時間くらい時間がありましたが、不思議とそれほど退屈ではありませんでした。
僕の席は2階東G列21番。
なんと、避けたかった東スタンドが当たってしまったのです。
でも、それほど北寄りではないので、ギリギリ、クラプトンがギターを弾く手元も肉眼で観れるんじゃないか。少なくとも、スクリーンは見えます。我慢どころかな。
しかし、それよりも、運良く前も横も通路側の席だし、出入り口にも近い席なので、これはこれで僕にとっては良い席だと思えました。
武道館は座席の間隔がとても狭いので、通路側の席というのはとてもありがたく、嬉しいことなのでした。
だけど、目の前が通路なので、人が通る!通る!
ライヴが始まるまで1時間あまり、目の前を人が行ったり来たりしてるのはすごい目障りでしたね。
嬉しかったのは、今回のライヴでは、マスクの着用は個人の判断にゆだねると公式アナウンスがあったこと。
おかげで、電車から買い物のお店からライヴ会場と、家を出てから帰るまで、まったくマスクをせずにいられました。
快適でした。ていうか、これが当たり前のことなんですけどね。
ライヴのスタート
18時59分。
開演時間の19時の1分前なのに、客電が落ちました。
まだ開演時間前なのに、これにはビックリ。
5分10分は待たされると思ってましたから。
バンド・メンバー登場、そして、クラプトン登場です。
01. Blue Rainbow
02. Pretending
03. Key To The Highway
04. Hoochie Coochie Man
05. I Shot The Sheriff
06. Kindhearted Woman Blues
07. Nobody Knows You When You’re Down And Out
08. Call Me The Breeze
09. Sam Hall
10. Tears In Heaven
11. Kerry
12. Badge
13. Wonderful Tonight
14. Crossroads
15. Little Queen Of Spades
16. Layla
(Encore)
17. High Time We Went
「Blue Rainbow」。
初めて聴く曲です。おそらくほとんどの人がそうでしょう。
クラプトンとしては未発表の曲だと思います。
そんな曲でライヴをスタートさせるというのも結構攻めてますね。
ヴォーカル無しのインストで、曲調としては、泣きのメロディでした。日本人が好きそうな。
もちろん、僕もいいなと思いましたよ。
クラプトンは、ピックを使わず、直接指で弦を弾いてました。
あ、そうそう、この日クラプトンが使っていたギターは、クリーム色のストラトでした。
「Pretending」。
華やかで力強い曲です。この曲も定番になりましたね。
クラプトンのライヴが始まったなあという実感が沸いてきました。
「Key To The Highway」。
ブルースではありますが、ブルースにそれほど詳しくない僕からすると、ブギ調に聴こえます。
単調なリズムがクセになる感じ。
ドミノス時代のアレンジの方が好きではありますが、こちらは明るい感じで、これはこれで良いです。
クリス・ステイントンのキーボード・ソロ、ポール・キャラックのキーボード・ソロ、ドイル・ブラムホールIIのギター・ソロ、そして最後にクラプトンのソロ。
この曲に限らず、ソロの順番はほとんどの曲がこの順番でしたね。
「Hoochie Coochie Man」。
この曲が始まった時、すごい歓声が上がりました。そんなに人気のある曲だったの?
これもまたブルースですが、さっきの曲とはまたタイプが違いますね。
いい意味で粘っこい感じ。
クラプトンのシャウトと女性コーラスの対比が耳に残りますね。
全員でリズムを合わせて決めのフレーズを演奏するのがカッコいいです。
これもソロの順番は前曲と同じ。
ですが、やっぱり全体を通して印象的だったのはクリスのピアノですかね。
ラフな感じでクラプトンがギターを鳴らして始まった「I Shot The Sheriff」。
これまたカッコいいです。
サビのリフレインは女性コーラス2人が大活躍です。
クラプトンはサビのリフレインは歌わないのかなと思いきや、2番以降、少しずつ口ずさんでいくのがさりげなくてニクイです。
終盤のクラプトンの長いギター・ソロが、とてもとても良かった!
目まぐるしく展開し、いろんな感情が沸いてきました。
この曲はもちろん好きでしたし、過去2回のライヴでも聴きましたが、こんな風に心が震えたことはなかった。
こんなにも感動するとは思ってませんでした。
前半のハイライトに相応しい演奏でした。
ここから、クラプトンは椅子に座って、マーティンのアコギを抱えての、アコースティック・コーナーです。
「Kindhearted Woman Blues」。
他のメンバーも楽器を構えてはいましたが、クラプトン一人の弾き語りでしたね。
アコギをつま弾きながら歌うスタイルは、本家ロバート・ジョンソンそのものなのかもしれません。
「Nobody Knows You When You’re Down And Out」。
これもドミノス時代のアレンジが大好きなので、比べちゃうとアレですが、これまたちょっと脱力系というか、アーシーな感じで、程好くリラックスさせてくれます。
アコースティックながらもバンド演奏となると、意外と迫力もあり、アコースティックの良さが出たアレンジでしたね。
「Call Me The Breeze」。
演奏が終わった後、「J.J.ケイル!」とクラプトンが叫んでた通り、J.J.ケイルのトリビュート・アルバムに入ってた曲でした。
J.J.ケイルとはそんなに相性良くないと思ってた僕でしたが、最近だんだんいいかもと思える瞬間が増えてきました。
この曲もそんな曲。
もう少し聴き込んでみなくちゃなと思いました。
「Sam Hall」。
これは、歌う前に、お気に入りのトラディショナル・ソングだ、みたいなことを言ってました。
これもクラプトンとしては未発表の曲だと思います。
どことなく牧歌的でした。
最後に、My Friend Jeff なんたらみたいなことを言ったのが聞こえました。
誰かに捧げた曲なのかな、と思ったら、どうやらジェフ・ベックみたいです。
「Tears In Heaven」。
クラプトンのアコースティックの代表曲といえばコレですよね。
今回もちょっぴりレゲエ風のアレンジです。
早くに亡くした息子・コナーくんへ捧げた曲ですが、決して悲しく寂しくならずに、なんだか心が温かくなるような、そんなアレンジなんだと思います。
コナーくんが天国で楽しそうに飛び跳ねている様子がイメージできるのです。
間奏では、クリスがプロコル・ハルムの「青い影」のフレーズを弾いてましたね。
ここまで、初日のセットリストとまったく同じです。
次に、アコースティック・レイラが来なければ、大きな関門突破です。
そして飛び出したのは。
「Kerry」。
クラプトンとしては、最新アルバムになるのかな。
コロナによるロックダウンの影響で、ライヴが中止になり、スタジオ・ライヴに形を変えての演奏をまとめたアルバム『The Lady In The Balcony』。
個人的には、『Unplugged』の続編みたいなアルバムと感じています。
その中から、インストのこの曲。
アルバムで聴いた時は、とりたてて印象無く流して聴いちゃいましたけど、こうして採り上げられてじっくり聴くと、けっこうスリリングで、割と好みのタイプと気付きました。
クラプトンがずっと弾きまくりで、すごい良かったです。
これで、無事アコースティック・コーナー終了です!
大きな関門を突破しました。
アコースティック・レイラをやらなかったということは、つまり、エレクトリック・レイラが来る可能性が大いに高まりました。
期待が膨らんで、後半です!
「Badge」。
クリームで1番好きな曲。
この曲をやってくれると、クラプトンは今でもジョージのことを忘れちゃいないんだなと嬉しくなります。
ネイザン・イーストのベース・ラインがそそります。
もちろん、クラプトンのソロも良かった。チョーキングしまくりで、泣きのメロディを弾いてくれます。
演奏がブレイクした後、クラプトンがわざとノイズを響かせて、その響きが鳴り止むのを待って、焦らしてからのアルペジオ。
カッコいいというか、ニクイというか。
「Wonderful Tonight」。
イントロが長くなっているのはお馴染みだと思うのですが、ちゃんと原曲のイントロのフレーズが出て来てから大歓声を上げるお客さんは、わかっているというべきか。
クラプトンいちロマンチックな曲です。
客席では多くの人がスマホのライトを点けて、揺らしていて、ムード作りに一役買っていました。
歌詞も簡単な英語なので、クラプトンとパティの様子が目に見えるようでした。
ロマンチックかつ微笑ましい曲。
この曲をカップルで聴いてうっとりできる人たちが羨ましいですね。
「Crossroads」。
スピード感に溢れるクリーム時代のものとは違うアレンジで、すっかりスロウ・ブルースになりましたけど。
それでも、女性コーラスとの掛け合いを聴いてるとスリリングではあります。
クラプトンのソロも、クリーム時代の稲妻のようなものではありませんでしたが、これはこれで、年輪を重ねたなあという貫禄のソロ。
「Little Queen Of Spades」。
昔の僕なら、こういう長尺のブルースは苦手で仕方なかったところですが、今は大好きになりました。
今回のセットリストに入っていて、とても楽しみにしていた曲。
クリスの転がるような音色のピアノ・ソロ。
ポールの響き渡るオルガン・ソロ。
ドイルの時折引っ搔くようなギター・ソロ。
そして、待ってましたとばかりのクラプトンの大迫力のソロ。
クラプトンがソロをとっている時は、完全に会場の空気を支配していました。
これでもか、これがクラプトンのソロだぞといわんばかり。
観客全員が、他の事は考えられないくらい、魅了されたと思います。
この曲、長い時は15分以上演奏する曲ですが、今回そんなに長くやってたかなあ。
もっと短く感じました。
10分はやってたとは思うんですが。
でも、もっともっと、ずっと聴いていたい!と思いました。
さて、いよいよだ!
いよいよ次だ。
来るか?
と、思う間もなく、
デロリロリロリーンというギターのイントロが鳴り響いた。
来たあぁぁぁ!
エレクトリック「Layla」だぁぁぁ!
よし!よし!よし!
これを待ってたんだ!!
僕が「Layla」を初めて聴いて好きになったのは高校生の頃だったろうから、かれこれ35年くらい前になります。
その時から、いつか生で聴いてみたいなあと思い始めて、
とは言っても、クラプトンのライヴに行き始めたのは最近なんだけど、それでも!
長年あこがれ続けてきた大好きな曲が、ようやく!ようやく生で聴けた!
情熱的なイントロのギターに胸がいっぱい。
そして、狂おしいほどのクラプトンの歌い出しに狂喜乱舞。
サビの「♪ レーイラァ」は一緒に歌っちゃったよね。
2番では、ドイルのスライドのフレーズが効いていて痺れました。
クラプトンのヴォーカルもよく吠えている。若い頃の情熱を失くしちゃいない歌声。
「♪ レーイラァ」と何度も連呼していると涙出そうになったよ。
そして、クラプトンのギター・ソロ。
なんだかね、興奮して、夢のようで、あんまり憶えちゃいない。
テンポ・ダウンしていって、一瞬の静寂。
クリスのピアノのフレーズを合図に、インスト部に突入。
前半の情熱的な想いが、浄化されていくような感じのインスト部も、エレクトリック・レイラの魅力なんだよね。
美しいピアノの旋律にうっとり。
そこにドイルのスライド・ギターが重なっていって、天にも昇るような気持ちにさせます。
ここではクラプトンはバッキングに専念するのかと思ったら、ラスト近くでソロを弾き始めて、ドイルとクラプトンのツイン・ギターの絡みが素晴らしかった!
すごい、すごかったです。
夢のような時間はあっという間でした。
テンポは、オリジナルよりはやや遅く、もったり感があったのは否めないし、全盛期のものに比べたら、レベルは落ちているのかもしれないけど、それでも、レイラはレイラ、生レイラ。
アコースティック・レイラとは全然違う!
これを、これを求めていたんだ。
それが、ついに現実のものとなりました。
エレクトリック・レイラ、ようやく生で聴けて、これでクラプトンのライヴに思い残すことはないです。
もし今回が最後の来日公演となったとしても、悔いはないと言えます。
そして、これにて本編終了。
いったんメンバーは袖に引っ込みます。
アンコールは、10年前からこの曲で固定です。
ポール・キャラックがリード・ヴォーカルをとる「High Time We Went」です。
ライヴの締めを、他のメンバーに歌わせるクラプトンはどうなのかと思いますが、最近はずっとこれですから仕方ない。
クラプトンは、途中ソロをとる場面もありまして、弦が切れちゃうんじゃないかってくらい高音のチョーキングをかましていてハラハラしました。
一方、ドイルのギターは、なんだかゴムみたいな弾力性のある音を出していて、クラプトンとは違うタイプのギタリストだなあと改めて思いました。
曲調的には単純なので、サビのリフレインをみんなで歌って、それなりに盛り上がって幕。
完璧です。感動です。最高のライヴでした
ライヴ終了は20時45分。
とにかく、エレクトリック・レイラが生で聴けた。
長年の願いが叶ったということを考えると、感激で涙が滲みます。
もう、それに尽きます。
最高の結果でした。
もう1日観に行かなくて済みました。
いや、そりゃもちろん、何度も観たい素晴らしいライヴではあるのですが、仕事休んだりなんだり考えなくて済むことになりました。
思いは果たせました。
これで充分満足です。
最初は行こうかどうしようか迷ってたのがバカみたいに、来てみて良かったと、心から思えるライヴでした。
クラプトン、78歳とは思えないほど、声はよく出ていました。
顔だけ見てると、さすがにお爺ちゃんで笑っちゃうんだけど、ギターとヴォーカルは衰え知らず。
いや、正確に言えば、さすがに衰えてるというか、若い頃の鋭さみたいなものは無くなっちゃってるけれど、魅力そのものは失ってなくて、ギターの神様が、ホントに神様らしくなったというか。
ソロを弾いてる時、ほとんど目をつぶって恍惚の表情をしていたクラプトン。
その姿がまさにクラプトンなんだよなあと感じる瞬間で、なんともいえずカッコいいのでした。
終わってみれば、前回公演と11曲も同じでした。
前半、アコースティック、後半、アンコールと、ほとんどが同じ構成。
それでも、印象度が全然違いました。
エレクトリック・レイラという核があったため、他の曲まで違った輝きを感じました。
ドラマチックな、素晴らしいセットリストだと思えました。
間違いなく、今までで1番のライヴでした。
もしかしたらこれが最後の来日公演になるかもしれませんが、数年後、80歳を過ぎたクラプトンが、ちゃっかり来日することも充分考えられます。
その時も、もちろん観に行きたいですね。
クラプトンのライヴが良い思い出として上書きされました。
しばらくは、この幸せな余韻に浸れそうです。
来日公演全日程終了。あまりにも運が良かった
クラプトンの2023年来日公演6日間の全日程が終了しました。
「Layla」は前半3日間のみ。
後半3日間は「Cocaine」に差し替わりました。
僕が観に行った時に、ライヴで定番の「Cocaine」をやらないのはどうしてなんだろう、とは思ってましたが、今回は6日間すべて同じセットリストでいくものだろうと思ってたので、この差し替えには驚きました。
僕は、基本的には最終日を観るのが好きなので、普通だったら最終日のチケットを獲ってるところ。
でも、今回は、仕事が定休日の火曜日が日程に入ってたため、そちらを選んだことが、結果的に功を奏しました。
いつも通り、最終日のチケットを獲ってたら、また「Layla」を聴けない羽目になっていたところでした。
前回公演と同じく、悔しい思いをするところでした。
その可能性は充分にあったわけで、そうなってたことを想像したら、恐ろしくて震えます。
今回は、つくづく、つくづく運が良かったんだなあと実感しているところです。
誰に対してなのかはわからないけれど、とにかく、今回の幸運に感謝します。
クラプトン・ロスに陥ったら、こちらで
しばらくクラプトンの熱は冷めそうにありません。
ライヴを観に行った方はもちろんそうでしょう。
クラプトン・ロスに陥るでしょう。
そんな時はDVDを観て、思いを馳せます。
クラプトンのDVDって、いま新品で手に入るのって意外と少ないんですよね。
その中でも、僕が大好きな3作品です。
デレク・アンド・ザ・ドミノスを再現したかのようなライヴ映像作品
『Live In San Diego』 Amazonで見る
スティーヴ・ウィンウッドとガッツリ絡んだライヴ映像作品
『Live From Madison Square Garden』 Amazonで見る
2014年の日本公演を中心に、ドキュメンタリー部も充実した作品
『Planes, Trains And Eric』 Amazonで見る
どれも素晴らしいセットリストと演奏です。
21世紀に入ってからのライヴなので、最近のクラプトンのイメージで観れますので、今回の来日公演に感動なさった方にはピッタリです。
もちろん、今回の来日公演とは違った魅力にも触れることも出来ます。
未見の方は、是非とも観てみてください。
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