2019年にトッド・ラングレンが行ったライヴの模様が、CD2枚+DVDというセットになってリリースされています。
が、このことは意外とトッド・ファンの間でも知られてなかったりします。
日本では、ニュースになってなかったですね。
僕もまったく知らなかったのですが、偶然、トッド・ファンの方のブログ記事で知ることが出来ました。
ラッキーでした。
現在、輸入盤として入手することができます。
日本盤は出るでしょうか?
おそらく期待は薄いですね。
もし、出るとしても、CD2枚+DVDだと、結構高い値段になりそうです。
なので、いまのうちに、こちらの輸入盤を入手されることをおすすめします。
輸入盤なので、僕も心配したのですが、DVDは日本製プレイヤーで問題なく再生できました。
このライヴは?日本公演もありました
トッド・ラングレン 『The Individualist A True Star Live』 Amazonで見る
このライヴは、2019年にトッドがTHE INDIVIDUALIST TOURとして行ったものです。
トッドには『The Individualist』というアルバムがあって、その再現ライヴか?と思う方もいらっしゃるかと思いますが(僕もそうでした)、基本的にはあまり関係ありません。
第1部と第2部の構成になっていて、第1部は、トッドの黄金期と呼べるベアズヴィル時代の代表曲をこれでもかとばかりに、年代順に披露したものです。
こういう風に、トッドが自分の歴史を振り返るようなライヴは珍しいんじゃないかと思います。
第1部がベストヒット的な感じなのに対して、第2部は、かなり地味というか。
どういう基準かはわかりませんが、ツアー中、トッドのやりたい十数曲の候補の中から、日替わりで6~9曲くらいを選んで披露してました。
こういう、ベストヒット的なライヴを望んでいたので、2019年5月に来日公演があった時、僕も足を運びました。
このライヴを観るに至っては、いろいろとあったので、思い出深いものです。
その時の感想については、こちらの記事をお読みください。
その思い出深い来日公演の約1ヶ月後に行われたライヴの模様が収められたのが、このCD2枚+DVDです。
第1部は日本公演ではカットされてしまった曲もありましたが、こちらにはフルセットが収録されています。
第2部は、日本公演とは結構違うセットリストですね。
でも、あの日本公演を観た方なら、きっとあの時の素晴らしい思い出を追体験できるでしょう。
日本公演を観に行かれなかった方でも、この代表曲満載のセットリストなら、きっと満足なさるはず。
トッドの音楽が少しでも好きなら、観ておいて、聴いておいて損はない作品です。
セットリスト。見どころ、聴きどころ
01. I Think You Know
02. Open My Eyes
03. Hello It’s Me
04. We Gotta Get You A Woman
05. I Saw The Light
06. It Wouldn’t Have Any Difference
07. Black Maria
08. An Elpee’s Worth Of Toons
09. Sometimes I Don’t Know What To Feel
10. Too Far Gone
11. A Dream Goes On Forever
12. The Death Of Rock And Roll
13. Can We Still Be Friends
14. Real Man
15. Love Of The Common Man
16. Compassion
17. Couldn’t I Just Tell You
18. Fair Warning
19. The Individualist
20. Black And White
21. Honest Work
22. Lost Horizon
23. Bag Lady
24. Buffalo Grass
25. Tiny Demons
26. The Want Of A Nail
27. Fade Away
会場は、あまり日本にはない造りのホールに思えます。
ずいぶん細長い長方形で、木造に見えます。
「I Think You Know」。
トッドが、まるでスタンダード・ナンバーを歌う大御所でもあるかのような歌いっぷりのバラードで幕開けです。
早速トッドのギター・ソロも入ります。
うっとり聴き入ってしまうでしょう。
このライヴ。
トッドは、緑色のギターとペイント・ギターを使用しています。
ベースは、ユートピアの盟友・カシム。
ギターは、頭脳警察のPANTAに似ているジェシ。
キーボードは、イエスのスティーヴ・ハウに似ているグレッグ。
ドラムは、漢字の書かれたTシャツを着ているプレイリー。
それから、サックスなど管楽器担当のボビー。
以上がバンド・メンバーです。
前曲から間髪入れず、ナッズの「Open My Eyes」になだれ込みます。
ノレる楽曲で、バンドの一体感を感じとれて興奮します。
トッドも吠えます。
「Hello It’s Me」。
ハンド・マイクで左右に歩きながら歌い上げるトッド。
「やあ、僕だよ」と観客に歌いかける挨拶のような曲です。
サックスの音色がとても効果的です。
曲が終わると、観客が早くもスタンディングオベーションするのが観れます。
ここでMC。
MCはここだけではないですが、輸入盤で字幕がないのは、こういう時ちょっと疎外感です。
何を話しているのかわかれば、もっと良かったのになとは思います。
ただ、MCでの話はそれほど多くはないので、曲が聴ければいいという方には全然問題無しですね。
「We Gotta Get You A Woman」。
やや遅れて歌い出すトッド。わざとか?ミスか?
歌詞に合ったラストの振り付けがカッコ良くて、ちょっと感動しました。
「I Saw The Light」。
トッドはギターを抱えて歌います。
間奏のギター・ソロはジェシがスライドを弾くのですが、終盤、トッドも入ってきてツイン・ギターになるのが痺れます!
トッドの「ハッハッハ!」というお馴染みの笑いも聴けますし、コーラス・ワークが美しくてテンションが上がります。
「It Wouldn’t Have Any Difference」。
この曲は日本公演ではカットされてしまってたので、こうして映像を観ることが出来て、いくらか溜飲が下がります。
メロウな曲で、ここでもメンバーの美しいコーラスに、負けじとヴォーカルを張るトッドです。
「Black Maria」。
ヘヴィーな曲で、トッドがたくさんギターを弾いてくれます。
歌いながら、美味しいフレーズを弾くのを楽しめます。
「An Elpee’s Worth Of Toons」。
バックのスクリーンには、今までトッドが出してきたアルバム(LP)が次々と映し出されていて、それを観るだけでも楽しいと思うのですが、あまり長い間は映らず、もっと観ていたいと思ってしまいます。
コミカルな曲調とヴォーカルで、ミュージカル風です。
エンディングが好きなんですよねえ。
「Sometimes I Don’t Know What To Feel」。
カシムとの掛け合いヴォーカルが素晴らしいです。
ピアノとサックスが印象的で、コーラスも入って意外と分厚いサウンドになってます。
メロウな曲ですが、全然弱々しくはないですね。
「Too Far Gone」。
お洒落なムードです。
「A Dream Goes On Forever」。
独特な音色のキーボードに、良いスパイスのフルートの音色。
そこに、意外とドコドコしているドラムの音。
リードするギターも含め、絶妙なバランスの演奏です。
とにかく美メロで、切ないトッドのヴォーカル。
終盤の盛り上がりを受けると、永遠に聴いていたいと思える楽曲です。
「The Death Of Rock And Roll」。
派手なロックンロールです。
スリリングなコーラスの掛け合い、トッドがギター・ソロを弾きまくるところが見どころ。
今まで、とりたてて思うところのなかった曲でしたが、今回DVDを観てみて、とても良いじゃないかと、この曲の魅力に気付いた次第です。
「Can We Still Be Friends」。
間奏で、スクリーンにトッドの「友達」と呼べるアーティストの写真が写るんですよね。
リンゴ・スター、フレディ・マーキュリー、デヴィッド・ボウイなとなど。
でも、この映像ではリンゴくらいしかはっきり映っておらず、残念。
これまた美メロで、コーラス・ワークがさらに拍車をかけています。
終盤、スキャット風のトッドのヴォーカル・ワークが聴きどころです。
「Real Man」。
スペイシーなサウンドで、妙に耳に残るメロディと展開。
心地いいリフレインです。
「Love Of The Common Man」。
前曲からの流れで、いったん消え入りそうになってからのオープニングが粋です。
優しさに溢れたサウンド&メロディながら、どこか切なくほんのり苦く。
サビのコーラスは気持ちいいし、ジェシのギター・ソロがここ一番に熱いです。
「Compassion」。
まったりとした感じです。
まったりとしながらも、トッドのヴォーカルは力を緩めません。
「Couldn’t I Just Tell You」。
激しい曲です。
飛び跳ねてリズムをとるトッドは、ギター・ソロにも力が入ります。
終盤、メンバーたちが手拍子を促して、会場が熱くなっていく様子が伝わってきます。
「Fair Warning」。
ギターのアルペジオにトッドの語り、そしてコーラスから曲が始まります。
その後、目まぐるしく展開するバラードの大作で、サックスの響きが感動を煽ります。
そしてラスト間近、突然「Real Man」のフレーズが出て来て幕です。
ここまでが第1部です。
トッドの黄金期を追体験したようで、ここまでで充分満足感が得られます。
ベストヒット的な第1部に比べたら、第2部は地味です。
が、その中でもトッドらしさ、光るものを感じ取ることが出来ます。
「The Individualist」。
序盤のスポークン・ワーズから、歌メロに入るところがカッコいいです。
気分良く散歩でもしてるようなほのぼの感の中にも、若干怪しさが感じ取れる不思議な曲です。
「Black And White」。
重厚ですね。
こういう曲では、トッドのギター・ソロが効きます。
「Honest Work」。
トッドのアカペラで始まったと思ったら、途中からカシムがハモりだして、美しい!と。
と思ったら、ジェシまで歌い出しての三声コーラス。
このバンドのヴォーカル力の高さを感じ取れる曲です。
「Lost Horizon」。
怪しいムード漂う曲です。
「Bag Lady」。
トッドの消え入りそうなファルセットや、間奏のサックスが良い味出してます。
「Buffalo Grass」。
この曲、なんだか「Black And White」に似てますね。何度も歌い出しそうになりました。
終盤、フラフラと歩きながら激情のギター・ソロを弾くトッドに心奪われます。
「Tiny Demons」。
この曲、日本公演でやってくれることを期待してたのに聴けなかったんですよね。
なので、いささかリベンジ鑑賞。
気持ちを抑えたトッドのヴォーカルに、ギターのアルペジオと暴れまわるサックスが絡んできて最高です。
「The Want Of A Nail」。
僕が観に行った日本公演では最後の曲がコレでした。
日本公演でもそうだったし、この映像でもそうなんだけど、観客は総立ち。
でも、冷静に考えると、それほど盛り上がる曲かなあ?とは思います。
それでも、早口になったりシャウトしたりと、トッドとしては力の入る曲のようです。
最後にメンバー紹介をした後、アンコールとして「Fade Away」。
客席から花束を受け取ったりするトッドの姿。
美しいサビのリフレインを聴いていると、ライヴが終わってほしくない気持ちにさせられます。
代表曲満載、素晴らしいライヴに幸せな満足感
とても満足感で一杯のDVDです。
ライヴで聴きたいなと思っていた大好きな曲ばかり。
素晴らしい思い出だった来日公演を思い出して、そうだよなあ、いいライヴだったよなあと再び幸せな気持ちにさせられました。
で、あの時はただただ感激で観ていたけれど、落ち着いて映像を観ると、この曲はこんな風に表現していたんだとか、実はこうだったのか、とか、細かいところに気付いたりして、実は見逃しや聴き逃しがたくさんあったんだとわかります。
あらためて、それぞれの曲の持つ魅力に気付いたところも多々ありました。
じっくり映像を観てみると、歳を重ねたトッドの顔の年輪に感じ入るものがあります。
このような、トッドの歴史を振り返るライヴにも、とても意味があったように思います。
トッドの黄金期のライヴ映像って、ほとんど観たことがないので、比較することはできないのですが、今の姿で黄金期の素晴らしい楽曲の数々を観ていると、トッド、今でも現役バリバリ!と感じます。
しかも、代表曲を年代順に披露するなんて、集大成的なライヴ。
これを観ずしてトッド・ファンとは言ってられない!と言った感じです。
上記したように、コレの日本盤が出るかどうかは極めて期待薄なので、是非とも、この輸入盤を入手して、トッドのライヴを堪能してください。
DVDは日本製プレイヤーで問題なく再生できます。
2CD+DVDでこの値段なら、とてもお買い得だと思いますよ。
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