ダリル・ホール with トッド・ラングレン Live@東京ガーデンシアター 2023.11.23 感想

DARYL HALL and the Daryl’s House Band with Special Guest TODD RUNDGREN and COUNELIUS

2023年11月23日(木)@東京ガーデンシアター

トッドがゲスト?

トッド・ラングレンが来日するというニュースが飛び込んできました。
でも、ダリル・ホールのライヴのスペシャル・ゲストという形で、ということなので落胆。
ゲストってことは、どうせアンコールに出て来て何曲か一緒に歌って終わり、でしょ?
ホール&オーツのベスト盤くらいは持ってるけど、ダリルのソロはまったく知らないし、出番の少ないトッドのために観に行くってのはナシだな。
というわけで、スルーすることにしました。

しかし、それから何週間かたったら、SNSで、「アメリカ・ツアーでは、ダリルのライヴの前に、トッドが1時間ほど自分の曲をやっている」という情報を耳にしました。
それって、ゲストというか、前座みたいな形。
で、前座と言っても、メインのダリルとほぼ同じくらいの持ち時間。
そういうのも前座って言うの?ゲストって言うの?
さらに調べてみると、そのトッドのセットリストはとても豪華なもの。
2019年の日本公演は、第1部がベストヒット的、第2部がトッドお気に入り的な曲のセットリストだったのですが、今回のライヴも、その時のベストヒット的なセットリストに近いものがあります。
それだったら観たい!

初めは、ゲストが1時間もやるなんて信じられない、ガセネタかもしれないと思いました。
だって、それだったら、ゲスト扱いにしないで、堂々とダリル・ホール&トッド・ラングレン公演と謳うべきなんじゃないかと思ったから。
でも、あくまでトッドはおまけですよ的な名義なので、そういうライヴ構成になるのは信じられなかったんですよね。
でも、今年行われているダリルのツアーの情報を色々と調べてみると、まさしくそうなっているのです。
もちろん、アメリカ・ツアーそのまんまを日本でもやるという保証はありませんでしたが、可能性としてはかなり高い、という判断になりました。

それから慌ててチケット情報を確認してみると、ちょうど先行抽選受け付け中でした。
良かった、間に合った。
東京公演は、11月19日のすみだ公演もありましたが、そちらは日曜日ですし、キャパ的にも、ガーデンシアター公演の方がチケット獲りやすそうだし、都合もいいなと思いました。
安いA席もありましたが、S席と2000円しか違わないのだったら、S席を選びます。
チケット代2万円弱というのは高いですけど、最近の外国人アーティストはみんなこんなもんですし、今回はダリルとトッドの2人分ですから、まあ、妥当なところではありますね。

7000人ほどのキャパの会場なので、たぶん大丈夫だとは思ってましたが、無事、一発で当選しました。
これで、あとは、アメリカ・ツアーのような形でのライヴになることを祈るのみです。
ダリルの予習も欠かせません。
今回のツアーのセットリストを参考にしたプレイリストで、演奏されそうな曲を聴いてみると、元々好きなホール&オーツの曲はもちろんですが、ダリルのソロ曲でも、1発で好きになった曲もあったし、どんどんダリルのライヴも楽しみになってきました。

いろいろと明らかに

初めは16時開演とアナウンスされていたものが、17時開演に変更になったのは驚きませんでしたが、ライヴの2週間くらい前に、新たなゲストとしてコーネリアスが参加するというニュースが入ってきたのはビックリしました。
コーネリアス?なんで?なに繋がり??
前座なの?それとも一緒に演奏するの??
音楽的にもどうなんだろう。自宅でシコシコと実験的な楽曲を制作しているイメージはトッドに近いものがあるといえばありますが、ダリルとの関連性は薄いように思われます。
ダリルとトッドの客層を考えると、あんまり歓迎はされないような。とりあえずアウェー感。
僕的には、フリッパーズ・ギターは好きでしたし、解散後、コーネリアスとして初めて出したアルバムにはかなりハマりました。あの時は、小沢健二よりも小山田圭吾だなと思いましたし、コーネリアスの時代が来る!とまで思ってました。
でも、僕がハマれたのはその1枚だけで、次のアルバムからは、僕の好みの音楽からどんどん逸れていってしまって、全然ついていけなくなりました。
そんなコーネリアスと30年振りの邂逅。
たぶん、今のコーネリアスは僕の好みではないと思うけど、全然知らないアーティストではないので、なんとなく楽しみではありました。

ライヴの10日ほど前には、タイムテーブルも発表になりました。
17:00 コーネリアス
18:15 トッド・ラングレン
19:35 ダリル・ホール
休憩も入るでしょうが、それぞれ持ち時間が1時間はありそうです。
これで、アメリカ・ツアーとほぼ同じ形でのライヴになりそうだなと確信が持てました。
3組のアーティストが出てくるとなると、ちょっとしたフェスみたいになりそうで、期待は高まりましたね。

無事に日本公演が始まって、すみだ公演のセットリストを確認して、ひと安心。
期待してた通りだったし、ちょっとしたサプライズもあって、胸が高まりました。

ライヴ当日。会場へ

そうこうするうちにライヴ当日。
天気も良く、気分良く会場へ向かいます。
東京ガーデンシアターは、1度来たことがありましたが、駅から会場へ向かう道の狭さに、改めて驚きました。
信号もなかなか青にならないし、すぐ渋滞します。
ここで、ふと不安になりました。
会場に向かう時でこれだけ渋滞するってことは、ライヴが終わってお客さんが一斉に駅へ向かうとなると、その渋滞っぷりはこんなもんじゃ済まされないな。全然動けないんじゃないか?
帰りの電車に早く乗るためには、ライヴ終了してすぐに会場を出る必要がありそうだなと警戒感を強めました。

会場には16時20分頃到着。
すでに開場時間は過ぎています。
まあでも、慌てることなく会場入り。

僕の席は、2階アリーナDブロック1列4番。
5階席くらいまである会場なので、高いところじゃなければいいなと思ってましたが、アリーナが当たりました。
しかも、ブロックの1列目。
で、事前に座席情報で確認して、僕の左側には2席あるはずと思ってたのに、着いてみると、僕の左側には席は無し。
つまり、前も通路、左も通路という端の席で、僕的には大当たりです。
周りに気兼ねなくライヴが観れるし、ライヴ終了後は、サッと退場することも出来そうです。
ものすごくラッキー。あの時ケチらずS席選んで良かった。

そして、開演時間の17時が近づきました。

コーネリアスのライヴ、スタート

16時58分に客電が落ち、コーネリアスのライヴが始まりました。

01. 火花
02. Audio Architecture
03. Another View Point
04. Count Five or Six
05. いつか / どこか
06. CUE
07. 環境と心理
08. あなたがいるなら

終了は18時43分。
MCいっさい無し。
最後に「ありがとうございました」とだけ言って、アウェーのステージから去っていきました。
1時間やるかなと思ってたら、意外と早く終わりました。

コーネリアスの音楽は、ジャンル的にはどう表現したらいいんでしょう。
エレクトロニカ?
ハードコア?
メロコア?
インダストリアル?
うーん、よくわかりません。
機械的で、時にノイズのようにも思える、実験的な音楽。
YMOの曲かな?というのもありましたが、かなりハードにアレンジされていて、攻めています。
どの曲も感情がこもってなくて、クールな世界観なのはわかりました。
僕が大好きだった小山田圭吾の3分間ポップスの姿はありませんでした。
やはり、僕はなかなかこれにはついて行けませんね。

この後、約30分も休憩となりました。
タイムテーブルを知らなかった人は、なかなか次が始まらないのでイライラしたのではないでしょうか。
僕は、トイレの個室でゆっくり用を足しました。

トッドのライヴ、スタート

18時15分。定刻通り。
ダリルのバンドをバックに従えて、トッドの登場です。

01. Real Man
02. Love Of The Common Man
03. It Wouldn’t Have Made Any Difference
04. We Gotta Get You A Woman
05. Buffalo Grass
06. I Saw The Light
07. Black Maria
08. Unloved Children
09. Hello It’s Me
10. Sometimes I Don’t Know What To Feel
11. I’m So Proud
12. Ooo Baby Baby
13. I Want You
14. The Want Of A Nail

「Real Man」
浮き立つようなイントロ。
そしてトッド、最初の「♪ Woo~」から声が超出てる!調子の良さを感じさせます。
途中からハンド・マイクにして、ステージを歩き始めようとしたところで早速よろけるトッド。
今までも、トッドがよろけたという報告をネットのあちこちで聞いていたので、このよろけはわざと、つまりトッドのギャグなのかもしれません。
それにしても、「♪ Real Man」のコーラス、ファルセットにキラキラとした音像がたまりません。

前曲から繋がる感じでサックスのイントロが入り、気合いを入れて「Love Of The Common Man」
トッドの中でもトップ3に入る大好きな曲。
温かながらも、力強いグルーヴの演奏。伸びやかなヴォーカルとギターのフレーズの絡みがいいんですよね。
大好きな曲はあっという間に終わる...。

「It Wouldn’t Have Made Any Difference」
2019年のベストヒットライヴの時、アメリカ・ツアーでは演奏されていたのに、日本公演ではこの曲はカットされてしまって泣きました。
今回、念願叶って初聴きです。
メロウもメロウ。うっとりとろけるバラードです。
バンド・メンバーの「♪ Woo」というコーラスも超強力。

「We Gotta Get You A Woman」
サビ前にサックスのチャールズの合図で、合いの手の「パンパン!」という手拍子。
そしてサビの見事なノリの良さに体を揺らします。テンション上がった!
終わり方も素敵。

「Buffalo Grass」
ここからトッドは2019年のライヴでも使用していた緑色のギターを抱えて歌います。
おどろおどろしく、ヘヴィなロックンロール。
終盤はトッドがギター・ソロを弾きました。

「I Saw The Light」
僕のトッドとの出会いの曲。
このキャッチーなメロディが何度聴いてもたまりませんが、今回は演奏もかなりダイナミックに感じました。
スライド・ギターの響きがなんとも魅力的で心地いいんです。
間奏明けのトッド、いつも「ハッハッハ」と笑い声を入れて歌うところ、今回は「ウホッウホッ」と動物的な声を出していました。

「Black Maria」
ハード・ロックです。
ギター・プレイやコーラス・ワークも堪能しました。

「Unloved Children」
トッドも低音で歌い、どこかいかがわしさがあります。
静かにうねる、このリズムもクセになりますね。
サックス・ソロが映えました。

「Hello It’s Me」
これまた初期の名バラードです。トッドの名刺代わりの必殺曲。
トッドはギターを置いて、歌に専念。
ステージを所狭しと練り歩き、歌詞に合わせて「♪ See You!See You!」と客席を何度も指差していました。
どこか切なくも、満たされた気分になります。

「Sometimes I Don’t Know What To Feel」
高音とファルセットを駆使して歌うトッドに、バンド・メンバーのコーラスが分厚い壁のよう。
キーボードが導くリズムも力強い。
やるせない感じになってきます。

「I’m So Proud」
「Ooo Baby Baby」
アルバムでもメドレー形式だった、ソウル・カヴァー。
バンド・メンバーのコーラスとも息ピッタリで、うっとりと夢のような時間が流れます。
でも、どうせだったらアルバム通り、次の「La La Means I Love You」までやってほしかったな。

「I Want You」
ボサノバ・タッチのマーヴィン・ゲイのカヴァー。
これもなかなかにいい感じで、夜の妖しいムードに包まれました。
トッドの新たな1面を見た気がします。

「The Want Of A Nail」
2019年の日本公演でもラストを飾ったこの曲で今日も締め。
動き回って、飛び跳ねて、シャウトするトッドでした。

19時19分終了。

トッドが1時間ライヴをやるなら、セットリストに入れてほしいと思ってた曲はほぼやってくれました。
あと「A Dreams Goes On Forever」があれば完璧だったけど。
それでも、このセトリには満足です。

2019年にトッドを観た時、声が野太くなったなと思ったものでしたが、あれから4年経ってても、声の伸びは相変わらずで、しっかりとした声量でした。
ハンド・マイクの時は、ステージを右に左にと練り歩き、身振り手振りで表現し、サービス精神全開。
時に真面目に、時にお茶目に、そしてシャウトしたりフェイク入れたり、変幻自在のヴォーカルで楽しませてくれました。

ダリル目当てで来て、初めてトッドを聴く人にも、トッドの音楽の魅力を伝えるには充分なものでした。
どうだ、これがトッドだぞ、と。
前座とは思えない満腹感です。

僕のお目当てトッドは終わりましたが、楽しみはまだまだ続きます。
15分の休憩。
さっきトイレに行ったばかりだし、3時間くらいのライヴならトイレ行かずとも平気なんだけど、無駄に休憩時間があると、「この間にトイレ行っとけ」と言われているようで、そうするとなんだかもよおしてきて。
この後ダリルと、アンコールまである時間を考えて、とりあえずトイレに行くことにしました。
そしたら案の定、長蛇の列。
用を足し終える頃には、ダリル開演の時間ギリギリになってました。

ダリルのライヴ、スタート

19時37分。ダリル登場。

01. Dreamtime
02. Foolish Pride
03. Out Of Touch
04. Say It Isn’t So
05. I’m In A Philly Mood
06. Everytime You Go Away
07. Babs And Babs
08. Here Comes The Rain Again
09. Sara Smile
10. I Can’t Go For That (No Can Do)
(Encore)
11. Wait For Me
12. Can We Still Be Friends
13. Didn’t I (Blow Your Mind This Time)
14. Private Eyes

「Dreamtime」
予習でダリルのソロを聴いて、1発で好きになったのがこの曲です。
こんな素敵な曲があるなら、生で観てみたいなと思わせてくれたものです。
この1曲目から、アリーナは総立ちに。
さっきのトッドまで、みんなおとなしく座って観てたのに、この差は何?
つまりは、やはり今回のライヴの主役はダリルで、みんなダリルを待ってたということなんでしょう。
トッドが目当てだった人はかなりの少数派だったのかな。少々複雑。
でも僕だって、今ではダリルに興味を持ってる。
爽やかでノリノリのこの曲を一緒に口ずさみながら踊ります。
華やかな幕開けだなあ。

コンピレーションアルバム『Before After』を出したよ、その中からという紹介で「Foolish Pride」
この曲もいい曲なんだけど、あまりテンポを速めると、さっきの「Dreamtime」と同じようなノリになってしまうので、バンドの表現力が問われます。
ややスローに刻むように演奏して、ダリルも神経をとがらせて歌います。

「Out Of Touch」
やや長いイントロでしたが、キーボードのフレーズが飛び出すと、この曲だとわかります。
パーカッションのポーターの合図で、観客は両手を左右にフリフリさせました。
締まった演奏がクールです。

「Say It Isn’t So」
ダリルも気持ち良さそうに歌います。
間奏では、サックスのチャールズがステージ前方まで出て来てソロを吹きました。
終盤になると、シェインのギター・ソロとダリルのリズム・ギターの絡みに興奮します。

ここまで、1曲ごとにギターを持ち替えて歌っていたダリルでしたが、ここでフリー・ハンド。
「I’m In A Philly Mood」
フィラデルフィア・ソウルを、身振り手振りを交えて、ムードたっぷりに歌うダリル。
バンド・メンバーのコーラスも華があります。

ここで、ダリルはステージ右のピアノの前へ。
今まで観たホール&オーツの映像では、ジョン・オーツはギターを持ってるけど、ダリルは楽器を持たずに歌ってるだけというイメージが強かったものですから、今回ギターを持って歌うダリルの姿が新鮮だったのですが、ピアノも弾けるとはまったく知らず、驚きでした。

「Everytime You Go Away」
曲紹介で、ポール・ヤングの名前が出ました。後で知ったのですが、ポールがカヴァーして大ヒットさせてたんですね。ダリルも鼻高々でしょう。
スロー・バラードをピアノを弾きながら感情こめて歌うダリル。
そして、ここでもサックスのチャールズが前方に出て来てソロ、そして今度はかなりのロング・トーンを吹いて身震い。かなり感動させてくれました。

今度は、ロバート・フリップの名前が出てきました。
ロバートがプロデュース、そしてダリルの番組でも関わった「Babs And Babs」
この曲も僕は一目惚れで、楽しみにしてました。
ダリルのピアノもそうですが、バンド全体で、力強いリズムのうねりを作るのです。
一歩一歩前に進んでいく、勇ましいリズムとシニカルなメロディがたまりません。
間奏のギター・ソロがものすごく好きなのですが、ライヴということで、原曲よりも長く熱いソロ、そしてその後、原曲にはなかったサックス・ソロまでありました。
これは良い演奏でしたよ。

「Here Comes The Rain Again」
ピアノのダリルと、アコギのシェイン。2人だけでの演奏でした。
シンプルで、生々しい響きです。
再びの雨に憂鬱になる感情を、ダリルが声を振り絞って歌いました。
アコギというか、エレアコでのソロも、やりきれない思いの強さが伝わってきました。

「Sara Smile」
ピアノのイントロから、ギターの泣きのフレーズでこの曲だとわかると、会場から大きな拍手が。
力強いかと思ったら、消え入りそうにもなるダリルのヴォーカルの表現力。
サビのコーラスも美しく、じっと聴き入るしかありません。
終盤は虚ろなギター・ソロに熱くなりました。

リズムボックスに先導されて「I Can’t Go For That (No Can Do)」
ソウルフルでありながらも、メロウにも切り替わるメロディ。
ダリルとパーカッションのポーターとの掛け合いヴォーカルに、思わずこちらも力が入ります。
終盤は、前方に出て来たチャールズとシェインが並んで、サックスとギターの応酬。吹きまくり弾きまくり。これが圧巻でした。

これにて本編終了。

そしてすぐさま再登場してアンコール。
ダリルはステージ中央のキーボード前。
そこへ、トッドを呼び寄せて隣に座らせます。
日本のお客さんはすごい、素晴らしいツアーだ、みたいなことを喋ってました。

「Wait For Me」
ダリルのキーボード伴奏で、トッドが1番を歌い上げます。パワフルで伸びのある声。
そして2番がダリルの歌。こうして聴くと、やはり2人の声質は似てますね。
徐々に掛け合いの様に交互に歌ったのですが、目を瞑って聴くと、どちらの声だか区別がつきません。
そして、終盤はバンド演奏が加わり、グッと盛り上がります。
大好きなギターのフレーズも聴けて、興奮しました。
歌い終わると、トッドが拳を差しだして、ダリルとグータッチ。

ここで、ギターのシェインが、日本語で「ミナサン、タノシイデスカ!」と挨拶。

「Can We Still Be Friends」
ダリルが好きな曲だと言って、過去にも共演したことのあるこの曲。
歌詞の内容も、2人でのライヴにピッタリですね。
ダリルはギターを弾きながら1番を歌います。
もちろんトッドは2番。
スキャット部分で2人が声を交じり合わせた後は「♪ ララララ」の大合唱。
アーティスト同士の絆、そしてファンとの絆を感じさせました。

フィラデルフィア出身という話をして、デルフォニックスのカヴァー「Didn’t I (Blow Your Mind This Time)」
ドリーミーなサウンドに、ソウルフルなメロディ。
ゆったりとした流れに身を任せて、静かに盛り上がります。

そしてトッドは退場。
その後、ダリルがバンド・メンバーを紹介します。
シェイン・テリオット(ギター)、グレッグ・メイヨ(キーボード)、クライド・ジョーンズ(ベース)、ブライアン・ダン(ドラム)、ポーター・キャロル・ジュニア(パーカッション)、チャールズ・デシャント(サックス)。

「Private Eyes」
最後の最後。大好きなホール&オーツの曲です。
アメリカ・ツアーでは、ライヴの締めくくりは「You Make My Dreams」で、その曲も最近好きになって楽しみにしてたのですが、「Private Eyes」にはかないません。
誰か日本の関係者が、ダリルに「日本ではPrivate Eyesが大人気ですよ!」とでも進言したのでしょうか。
この日本公演でのラスト曲変更は嬉しいサプライズでしたね。
サビは「♪ Private Eyes」「パン!」「♪ Watching You」「パンパン!」と合いの手の手拍子をして大盛り上がり。
実はダリルはサビをそんなに歌ってなくて、少し不満もあったのですが、演奏してくれただけで嬉しいので、どうでもいいです。
最後に大好きな曲が聴けて、ダリルのライヴを観た!という実感が強く湧きました。
素晴らしい締めでした。

お互いへのリスペクト、この2人の組み合わせはとても良かった

ライヴ終了は21時8分。

ダリルは、声は出てたけど、若い頃に比べたら、やはりお爺ちゃん声にはなってる。
しわがれてて、高音になるとかすれてしまうところもあったのは仕方ないですかね。
それに、ダリルは、ホール&オーツの頃のハンサムな姿が強い印象にあるので、それと比べると、やはり見た目も歳を取ってる感が。
まあ、それでも、その年齢を考えたら、かなりのイケオジ様ではありますけど。
ただ、やっぱり、全盛期の姿、ヴォーカルも聴いてみたかったなと思いました。

今回のライヴに備えて、YouTubeで、ファンが録ったライヴ映像を観たのですが、音が良くなくて、演奏に艶がないというか、どの曲も似たようなニュアンスに聴こえる。
バンドの表現力が乏しいのかなあと心配に思ってたのですが、実際にライヴを体験してみると、YouTubeで観た演奏とはまるで違った迫力と表現力で圧倒されました。
素晴らしい演奏でした。

ダリル77歳。トッド75歳。
ダリルの全盛期は80年代、トッドの全盛期は70年代という印象でしたから、今回2人の年齢を知ってビックリしました。
トッドの方が年下だったなんて。
でも、ステージを観てると、どちらかが兄貴分とかではなくて、対等な関係でいるのが伝わってきました。
2人ともとにかく元気で、熱いパフォーマンスでした。

お互いへのリスペクトと共に、この2人の組み合わせはとても良かったですね。
声質が似ているのもあるし、出身や、ブルー・アイド・ソウルな音楽的地盤も繋がっていて。
僕はトッドが目当てでしたが、これを機にダリルのことが気になりだしましたし、逆に、ダリルが目当てだった多くの人に、トッドの良さが伝わってたらいいなと思いました。
両方のファンだった人が満足したのはもちろん、どちらかしか知らなかったファンも、今回ライヴで聴くことによって好感を持った人は多かったことでしょう。
ファンの開拓にもなった共演だったと思います。

ライヴが終了し、帰りの電車の時間が気になる僕は、すぐさま会場を飛び出しました。
すると、なんと来た時の道が封鎖されているではありませんか!
駅へ行く方はこちらへ、と案内が出ていて、仕方なくそちらへ。
すると、ところどころに「駅はこちらへ」の看板を持ったスタッフが立っていて、その通りに何度も何度も角を曲がっていくと、駅はどの方向で、自分がどの辺にいるのか、まったくわからなくなりました。
かなり遠回りをさせられたと思います。
案内を頼りに進んでいきましたが、途中から係員もいなくなって、「ホントにこの道を進めば駅へ到着するのだろうか」と不安になりました。
電車の時間が迫っていたので心配でしたが、なんとか駅に到着。
公式サイトでは、駅から会場まで徒歩7分とありましたが、帰り道はかなり遠回りさせられて、半分くらいは走ったのに、10分以上かかりました。
これは、以前来た時とは違いましたね。
まあ、考えてみれば、来る時に不安に思った通り、あの道を一斉にお客さんが帰れば大渋滞になるのは避けられないので、その対応策として、遠回りの道を行かせて人を流すという、会場側の考えなんでしょう。
でも、初めてのことだったので戸惑いました。
これは今後も要注意だし、なるべくだったら来たくない会場だなあとは思いました。

ま、それにしても、素晴らしいライヴを観た後は、それは些末なこと。
満足感でいっぱいで帰路に着きました。
この満たされた気持ちはしばらく続いて、今後何日間かは幸せな日々を過ごせることでしょう。

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