THE GOOD-BYE おすすめアルバム・ランキング


大好きなアーティストのアルバムをランク付けするシリーズ企画。
今回は、THE GOOD-BYE。

好きなアーティストのアルバムをランク付けするのって、非常に難しい。楽しいけど。
その日の気分によっても違ってくると思うし、はっきり優劣があるものもあるけれど、そもそも好きなアーティストの作品なんだから、どれも好きで、順位なんて紙一重のものが多いでしょう。
それでもやっぱり、ランク付けしてみたくなります。楽しいから。

好きなアルバムの定義ってなんだろう?と思います。
大好きな曲が入ってる、全体の流れや空気感が好き、ジャケットが好き、リアルの生活における思い出とリンクしている...など、いろいろあると思うんですが、僕が重要視するのは「ワクワク度」ですね。
そのアルバムを聴いている時はもちろんなのですが、「それを聴いてない時でも、そのアルバムの事を考えると、ワクワクしてしまう」ものが自分にとって上位なんだと思うんです。
個人的に思い入れの深い順ではありますが、それこそがみなさんへのおすすめ順。
好きなものをおすすめしたいです!

コメントの次には、各アルバムの中で1番好きな曲を、No.1 Songとして表記しました。
ジャケット写真をクリックするとTOWER RECORDSへのリンクになってます。

第1位 『#6 DREAM』

87年発表の6作目。
これはなんといっても、僕がグッバイに注目するきっかけとなった「浪漫幻夢 (Romantic Game)」。E.L.O.の「Twilight」へのオマージュたっぷりに、スペイシーなサウンドに、甘いメロディの心踊る名曲。
この曲で始まるというだけで、ワクワクが止まらないアルバムです。

このアルバムはもちろんそれだけではなくて、ヨッちゃんの大人のラヴ・ソング「Lonely Night」、それに対抗するはヤッチンの優しい世界「のぞいてFeel Me, Touch Me」。この二人のラヴ・ソングの対比がいいですね。
「Dear Winston」は、ジョン・レノンのミドル・ネームで、ポールがジョンに向けて作ったかのような楽曲。
ぱっつぁんがニューウェーヴに傾倒してポリス風の「Mass-Communication」もクールでいい。
「#6 Dream」は、ジョン・レノンに「夢の夢」という曲があるけれど、それに倣って、ドリーミーかつトロピカルで穏やかな楽曲で、その名の通り、浅い夢の中にいるよう。

もうこの頃になると、若さゆえの青さは無くなっていて、大人の安定感があります。
全体的に優しさに包まれていて、聴いてて幸福な気持ちになってくるのが1番好きな理由でもあります。

No.1 Song 「浪漫幻夢 (Romantic Game)」

第2位 『HELLO! THE GOOD-BYE』

84年発表のデビュー作。
これはなんといっても若さ!勢いがあります。
若すぎてガキっぽさも感じるのですが、やってる音楽は完成度が高く完全プロ志向。そのギャップも魅力のひとつなんです。

「涙のティーンエイジ・ブルース」「めちゃめちゃロックンロール」等は、そんな青さを武器にして好き放題やってます。
ギター、コーラス、ストリングスで煽るE.L.O.風味の「TAKE OFF」は素晴らしいオープニング・ナンバーだし、ヤッチンの「グローイング・アップ・デイズ」は見事な三連バラード、「昨日まではFunny Boy」はモータウン・ビートと、楽しい気分なA面です。
B面になると、ちょっとマイナーというか、うらぶれた雰囲気も漂う「イマジネーション・ブルー」「Shock Me!」などが出てきます。
デビュー曲の「気まぐれOne Way Boy」は、青春の刹那、切なさを体現したジャニーズ歌謡の王道だし、大滝詠一のオマージュ「想い出のLONG VACATION」も素晴らしい。

勢いに乗ったアルバムの流れは素晴らしく、デビュー作にしてグッバイの目指してる音楽がはっきりとわかる、愛おしい作品です。

No.1 Song 「想い出のLONG VACATION」

第3位 『ALL YOU NEED IS...グッバイに夢中!』

85年発表の3作目。
飛躍の3作目とはよく言うけれど、まさしくそれ。

今までの延長線上、若さが売りの楽しいロック「にくめないのがニクイのサ」もあるけれど、1曲目の「摩訶 WHO SEE 議」は、実験的というか、ただのアイドル・バンドじゃない遊び心に溢れた曲。
今まで、男っぽい曲とか硬派なロック曲が多かったヨッちゃんが「せんちめんたるDrea夢」では切なく儚い熱いバラードで新境地。
その「せんちめんたるDrea夢」と対をなすとも言えるのがヤッチンの「CRY」。この2曲は、ビートルズにおける「If I Fell」と「And I Love Her」、「Michelle」と「Girl」の関係性に似ていると思います。
前曲を引き継ぐ形のインスト「ISOLATION」もいい雰囲気。
『レコスケくん』にて、ラトルズの「Doubleback Alley」と言われた「素顔のままで」のほのぼのとした空気はたまらない。
そしてラスト、サンバかカリプソかのリズムで「♪ ライライラ」とキャッチーなリフレインが印象的な「Go to the ぱらだいす」は、お祭り騒ぎの中にほろ苦さもあって大団円。

今までやってきたことが、よりスマートな形となって聴きやすく、グッバイが大きく成長したことが窺えるアルバム。
なんか中途半端な構図のジャケット写真はどうもイマイチだけど。

No.1 Song 「せんちめんたるDrea夢」

第4位 『Special Thanx』

2019年発表の10作目。
活動休止から再始動を経て、さらに長い月日がたち、前作からは約30年振りとなったアルバム。
実は、僕が初めて聴いたグッバイのオリジナル・アルバムがコレ。昔のアルバムは当時CD入手困難だったけど、このアルバムはサブスクで聴けたので。
蓋を開けてみたグッバイ・ワールドは、それはそれは夢のような優しい世界で、僕が偏見で抱いていたイメージを良い意味で裏切ってくれたアルバムでした。

オープニングの「Never Ending Story」は、久し振りとばかりにヤッチンが優しく穏やかに歌いかける曲で、ファンなら絶対涙モノでしょう。
「今を生きよう」は、ヤッチンお得意のポール・マッカートニーのボードヴィル調のポップな世界。こういう曲があるのがグッバイらしい。
「LOVE」もまた、夢に溢れた名曲で、ファンに捧げたものでしょう。
「アカンBe Love」「ちょっと待って」は、中高年になってもやんちゃな遊び心を忘れない。
「Precious Moment」「BLUE」「あの日のまま」は、歌謡ロックだったり、スライド・ギターが印象的だったり、ヨッちゃんが活躍してます。
こーちゃんの人柄で出来たのが「笑顔がICHIBAN」
そして最後に「タイムカプセル」は壮大なメドレーで、グッバイの長い歴史を観ているかのようです。

長い間待たせたなとばかりに、そしてその時を埋めるように、良い曲が並んでいて、改めて、グッバイの曲はいいなと思わせます。
80年代とは変わっているんだけど、変わってもいなくて、たしかに言えることは、メンバーが皆いい感じで歳を重ねて、いいバンドでいられてる、ということですね。

No.1 Song 「LOVE」

第5位 『4 SALE』

85年発表の4作目。
4作目でこのタイトルとジャケット写真。もちろんビートルズのそれを意識してのものですが、ビートルズみたいに疲れた表情はしてませんね。

「とLOVEるジェネレーション」は、バッドフィンガーのようなパワー・ポップ・サウンド。それでいて、なんだか阿久悠&筒美京平の作る世界なような気がするのは僕だけでしょうか。間奏でビートルズの「Any Time At All」みたいになるのも面白いです。
ヨッちゃんの「It’s…」はクールなニューウェイヴ。
「ホーボー・ブルース(HOBO’S BLUES)」は、ブルースというよりオールド・ロックンロールな感じで、「Dizzy Miss Lizzy」みたいなフレーズが散りばめられてるのが面白い。
コーラスも爽やかなロックンロール「気分モヤモヤ サラサラ チクチク」、ロカビリーな「死ぬまでRock’n’Roll(Rock’n’Roll Till I Die)」など、ロックンロールに原点回帰したような印象のアルバムです。
そんな中にあって、際立って光るのが「Summer 1963」。ヤッチンの甘く切ない渾身のバラード。この曲があるのとないのとでは大違いな存在感を放っています。

No.1 Song 「Summer 1963」

第6位 『Good Vibrations』

84年発表の2作目。
デビューからビートルズ愛を隠さなかったグッバイでしたが、タイトルからわかる通り、今度はビーチ・ボーイズへの愛を表明。タイトル曲のカヴァーも入ってます。

「YOU惑-MAY惑」は、元気で若いロックという1stサウンドを継承しながらも、そのコーラス・ワークはビーチ・ボーイズを感じさせるものです。
「Midnight Train」「DOLL」も、勢いとコーラスが心地良い。
「モダンボーイ狂想曲」はビッグ・バンド風のゴージャス・アレンジ。
「I Don’t Know」はギターがカッコいいヨッちゃんのモダン・ロック。
「Going Home」は、トロピカル・ムードの中、ぱっつぁんが初リード・ヴォーカルを爽やかに決めてます。
「Dear Friend」は、このアルバムの中では唯一のバラードで締め。

ビーチ・ボーイズからの影響うんぬん言いましたが、アルバム全体を通して聴いてみれば、クールなロック色が強めで、矢継ぎ早に曲が繰り出されるスピード感もあって、キュッと引き締まった内容です。

No.1 Song 「I Don’t Know」

第7位 『ALBUM』

88年発表の8作目。
バンドが成熟するに至って、2枚組のアルバムを出そうというのは、やはりビートルズからの影響大。

「TAKE MY HEART」は80年代ジャパニーズ・パワー・ポップの先駆けとして誇れる曲。
「Good Lovin’」は、クセになるリズムで踊る曲。
「FLUFFY DAYS」は、お得意のポール・マッカートニー・サウンド。
「Don’t Stop Kiss」は、キョンキョンに提供した「キスを止めないで」のセルフ・カヴァーで、キョンキョンのものよりかなりハード・ロックになっています。
「Somewhere in Time」は、打ち込み主体なのか、ルンバのような夢見るムード。
「VOICE」はビートルズの「Till There Was You」ですね。
「弥生又造探偵物語」は、セリフ主体でイロモノかと思いきや、メロディ部はとても良いです。
「LADY」は、とても艶があり、何とも言えない気だるさです。
「祭り気分でTAKE A CHANCE」は、ヴァン・ヘイレンの「Jump」を思わせる80年代のポップなハード・ロック路線。
「花のお江戸は華盛り」は、「よいしょっと!」という掛け声も見事な、こーちゃんのお祭りソング。
「KANJIで書けない」は、素朴でややコミカルなフォーク・ソング。
「Blood of Memory」は、アコギ主導の虚ろなインスト。こういう曲も出来るところがグッバイの音楽性の高さを物語ります。

さすがに2枚組で、数で圧倒してきますので聴き応えも充分。
ただ、ビートルズのホワイト・アルバムほど雑多な印象は受けませんね。それなりに統一感がある感じなのは不思議なところ。
傾向としては、アメリカンなヨッちゃんに、ブリティッシュなヤッチンという方向性がはっきり表れてますね。

No.1 Song 「FLUFFY DAYS」

第8位 『FIFTH DIMENSION』

86年発表の5作目。
モノクロのジャケットと、サイケで実験的なサウンドから、グッバイ版『Revolver』と言われてます。

ポリスっぽいキレの「OUT OF THE TIME」
「THE VOID」は、ビートルズの「Rain」みたいにグニョグニョしたサウンドでサイケ感が群を抜いてます。
「僕色に染めて」はコサックぽかったり中近東を思わせたり。でもサビのわかりやすさは歌謡曲と言ってもいいですね。
一番なんじゃこりゃと思うのが「Presentにはハムスター」ですね。ヴォーカルも処理されていて、誰の曲だよと。完全に遊んでます。
「オアシス パラダイス」は、ビートルズの「Honey Pie」みたいなボードヴィル調。こーちゃんの曲ながら、一番安心して聴ける感じ。

とにかく実験。自分たちの思うがままに、内省的な世界へ向かいました。
ダークで、呪術的で、それでいてゴージャスな面もある。
この独特な世界観にハマって、グッバイの中で1番好きなアルバムに挙げる人もいるでしょう。
コンセプチュアルな内容を考えると、『Revolver』というよりも『Sgt. Peppers』だと捉えてもおかしくないと思います。

No.1 Song 「OUT OF THE TIME」

第9位 『Revolution No.9』

89年発表の9作目。
大ブレイクすることなくここまで来ると、だんだんと混沌としてきます。
迷走とまでは言わないけれど、どこへ向かえばいいのか迷いも感じられます。
でも、変わらぬグッバイであり続けようと努力しているのもわかります。

「Sunrise〜XYZ」は、雨降るバラードから一転、ポップ・ロックに。
「WILD LIFE」は、硬派でエネルギッシュな男を感じさせる曲です。
「Stay Tune」は短く、お遊び曲でありながら、いつまでも耳に残ります。
「光の国」は、お得意のサイケなサウンド。
派手なモータウン・ビートの「Forever Friends」は、なんかのTV番組で使われてなかった?聴いたことあったよ。

このアルバムを出した数ヶ月後、活動休止に。
良い曲いっぱいあったのに、いまひとつブレイクしなかったグッバイ。
革命をおこそうとするも失敗、ここらが潮時かなと思ったのも致し方ないところだったのかも。

No.1 Song 「Sunrise〜XYZ」

第10位 『SHOUT!!』

87年発表の7作目。
サウンドトラックとしても捉えられていて、洋楽カヴァー曲中心の構成。
選曲はグッバイが好きそうな60年代のものが並んでいます。
でも、オリジナル曲がいくつかあって。

「マージービートで抱きしめたい」は、このアルバムの意義を象徴するかのように核になっている曲です。その名の通り、甘いマージービート・サウンド。
「GROWING UP DAYS ’87」は過去曲のセルフ・カヴァー。ドゥーワップ調になってます。

原曲に忠実で、グッバイらしさを感じる選曲も、楽しいっちゃ楽しいのですが、基本的にカヴァーものには惹かれない僕なので、どうしても思い入れとしては低くなってしまうアルバムです。

No.1 Song 「マージービートで抱きしめたい」

さて、いかがでしたでしょうか。
みなさんの好きなグッバイと僕の好きなグッバイには、どれだけ違いがあったでしょうか。
同じアーティストを好きでも、同じアルバムが好きとは限らないのが面白いところだったりします。
いろんなファンの方の意見があると思います。
僕は、そういうファンの意見の違いを面白がったりしたいので、まずは自分の好みを披露してみました。

僕はまだグッバイを聴き始めたばかりなので、80年代当時の彼らの動きを知りません。
アイドル的な扱いを受けていた彼らが、実力派のロック・バンドを目指して奮闘していた当時の姿を知っているファンが羨ましい部分もあります。
ただ、グッバイは解散せず、今でも単発的に活動中。
成熟した大人になった今のグッバイと、若さで突っ走った昔のグッバイとを聴き比べながら、これからも追い続けたいと思います。

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