堺正章withムッシュかまやつ・井上順 Live@大宮ソニックシティ 2013.11.5 感想

2013年11月5日(火) @大宮ソニックシティ

半分スパイダース。割引ハガキが来てた

タイガースが再結成、武道館、東京ドームでコンサートという事で、タイガース・ファンはいいなあと思っていた。我らがスパイダースは無理だろうなあ、と。
そんな所へ新聞広告。
堺正章withムッシュかまやつ・井上順のスペシャル・ライヴ。
おお、スパイダースのフロント3人。半分スパイダースじゃないか!
しかも会場は大宮ソニックシティ。近い。
だけど...8000円。高い。
スパイダースの再結成なら8000円でもいいけど、3人だけだし、しかも雰囲気から察するに、あまり曲はやらないで、おしゃべりで誤魔化されそう。
やっぱ8000円は出せないな、という事で断念、この事はすっかり忘れていた。

しかし後日、何の気なしに飯食おうと思って台所に行ったら、炊飯器の横にハガキが置いてあって、そこに堺正章...の文字が。
手に取って見てみると、その大宮ソニックシティのライヴの優待割引のお知らせハガキで、チケット8000円が、3500円になるという。
おお、8000円では観る気しないけど、3500円なら観たい!
そのハガキは、以前母親が申し込んだライヴの運営会社に名前が登録されていて、そこの会社から母親の元に送られてきたものだった。母親は興味なかったらしく、そのハガキは捨てる寸前だったのだが、たまたまTVで観た料理のレシピをそのハガキにメモ書きして、それを台所に持っていってあったのを僕が偶然見つけたという次第。タイミングも良かった。
早速、母親からハガキをもらい受け、母親の名前で電話予約。
いくつかの偶然が重なり、ライヴに参戦する事となった。

このライヴはこの大宮公演しか予定になく、どうして東京でやらないで大宮なんだろうと思ってたら、どうやら春に東京、夏に大阪で既に行われてたみたい。それが好評だったので、秋に大宮でという事になったらしいけど、僕にしてみれば近場でやってくれる事になったわけで、やっぱり縁があったのかな。

ライヴ当日。会場へ

昼の部と夜の部と、1日2公演。
僕が申し込んだのは夜の部。開演は6時30分。
ソニックシティは20年振りくらいかも。開演30分前にハガキとチケットを交換。ホントにこんなに安くていいのかなと半信半疑だったけど、ホントに3500円で済んだ。
ロビーで時間を潰してたんだが、周りを見てみると、予想してた通り、年齢層が超高い。僕より若い人はほとんどいない。ほぼ全員と言っていい程60歳以上。たまに僕に近い年齢の人が見つかるも、親と一緒で、親についてきたって感じ。僕くらいの年齢でも浮いてるなあと思うと、なんだか笑えてきた。
時間が近づいてきたので、中に入ろうとしてビックリしたのは、チケットのもぎりが無かった事。チケットの確認すらしないで中へ入れてしまった。こんなの初めてだよ。つーか、なんでだろ。
僕の席は1階22列28番。
丁度会場のまん真ん中という所。観やすい。
1階席はほぼすべて埋まっていた。2階席は見えなかったけど。

ライヴのスタート

01. フリフリ
02. ノー・ノー・ボーイ
03. ヘイ・ボーイ
04. ブーン・ブーン・ブーン
05. 夕陽が泣いている
06. ツイスト・アンド・シャウト
07. 君だけに愛を
08. エレクトリックおばあちゃん
09. どうにかなるさ

10. ルート66
11. ステイ・ウィズ・ミー・トゥナイト
12. お世話になりました
13. やつらの足音のバラード
14. ゴロワーズを吸ったことがあるかい
15. さらば恋人
16. 街の灯り
17. あの時君は若かった
18. 風が泣いている
19. バン・バン・バン

幕が上がると、まずスクリーンにスパイダースの映像。
そしてそれに合わせて「フリフリ」の生演奏が始まる。スクリーンが上がると、左にマチャアキ、右に順ちゃん、中央にムッシュ。早くも左右で客席を煽る二人がカッコいいと思った。

歌い終わると、嬉しいお知らせがありますとの事。「スパイダースは...」と言ったので、まさかの再結成かと思いきや、「メンバー全員健在です!」との事。その後、メンバー一人一人の近況を詳しく説明。中でもベースの加藤充は80歳になったそうで、たしかに、よく考えてみたら、メンバー誰ひとり欠ける事なく健在なのは嬉しい知らせなのかもなあと。
でも80歳か...やっぱり再結成してライヴというのは無理かも。
そしてこのライヴは、スパイダースとして活動してた当時の設定という事でMCも進行された。
スパイダースのデビュー曲だった「フリフリ」だけど、ジャケットにはムッシュが映ってなくて、ムッシュはスパイダースをやる気がなかったとの弄り。

「ノー・ノー・ボーイ」
これ、イントロのハーモニーが酷かった(笑)。ヘロヘロだし、気持ち悪いくらいに外れてた。3人とも歌いながら顔が青ざめてったのがわかった。おいおい大丈夫かよ...しかもムッシュ、リード・ヴォーカルも声が出てない...非常に不安を抱かせる1曲だった。

「ヘイ・ボーイ」
歌いながら、マチャアキと順ちゃんがムッシュを抱え上げる。と思ったらマチャアキはどこかへ行ってしまい、そのまま順ちゃん一人でムッシュを持ち上げてキープ。よく考えたらすごい。一人で大人を持ち上げたまま歌ってるのだから。なんだか強引だったけど、何故か会場は盛り上がった感じ。
順ちゃんが和製ポール・マッカートニーと呼ばれ、ムッシュが和製ジョン・レノンと呼ばれていた事に触れ、マチャアキが「かまやつさんはVOXのギターもジョン・レノンみたいでね」と。あれ?ジョンはあんなギター持ってたっけかなと思ってたら、「これはストーンズのブライアン・ジョーンズだよ」とムッシュ。

「夕陽が泣いている」
バンドとして売れるためには何か目立つ事をやらねばならないという事で、考え出されたのが衣装。上から降りてきたのが赤のミリタリー・ジャケット。それを着ての歌唱。「かまやつさん、カツラを被って歌うのはどうですか?」と言うマチャアキに「それは新鮮味がないでしょ」というムッシュの返し。ドキドキ。

「ツイスト・アンド・シャウト」
マチャアキによるタンバリン講座。二人もそれに倣い、みんなでタンバリンを叩きながらの演奏。ムッシュのヴォーカルもやっと安定してきて一安心。

「君だけに愛を」
スパイダースは売れたけれども、すぐに人気も翳りが出てきて、他のバンドに追い越される始末。特に脅威だったのがタイガース。あいつら、もともとスパイダースのファンだったのに、と。そしてタイガースはこんな曲をやっていた、として順ちゃんがコスプレして「君だけに愛を」を熱唱。客には受けてたけど、僕としては、他のバンドの曲なんかやらないで、スパイダースの曲をやってくれよと思っちゃった。

「エレクトリックおばあちゃん」
方向性も見えなくて試行錯誤、スパイダース最後の足掻きみたいな感じのこの曲。今回取り上げるのはちょっと意外。でも能天気でいいよね。

「どうにかなるさ」
そしてスパイダースの終焉。「忘れもしません、武道館でのコンサート」とマチャアキ。「そんなのやってません」と順ちゃん。たしかに、スパイダースの解散はグダグダだった。それでも発展的解散を決断したとの事で、マチャアキと順ちゃんが「スパイダース、解散!」と宣言し、袖に引っ込む。一人残されたムッシュがソロ曲「どうにかなるさ」を。スパイダース解散はやはり辛かったのかなと。それでもどうにかなるだろうとの思いが胸に染みた。

ここで緞帳が下りてきて1部終了。
15分の休憩。
まだ1時間ちょっとしかやってないのに休憩が入るなんて、さすが高齢者向けのライヴだなあ。休憩時間はヒマで、ちょっと辛い。

2部スタート。
「ルート66」
華やかに再開。演奏しながらのメンバー紹介。ギター、ベース、ドラム、キーボード×2、トランペット、サックス、女性コーラス×2、男性コーラスの総勢10人。

「ステイ・ウイズ・ミー・トゥナイト」
ここからはソロ曲のコーナー。まずは順ちゃんから。普段一緒に活動しているという2人のバックダンサーを従えて、ダンスしながらの熱唱。いつもやってるというのはミュージカルなのかなあ。なかなかハードな動き。

「お世話になりました」
順ちゃんと言えばこの曲。決めの「♪ お世話になりました」のフレーズは会場全体でコーラス。

「やつらの足音のバラード」
次に登場はムッシュ。普段あまりやらない曲を、と言いながらギターをポロロン。あのコードはもしや、と思ったらやっぱり「やつらの足音のバラード」。僕はガッツポーズ。のほほんとしてていい曲なんだ。広い世界だよ。観客はどれだけ知ってるかな。

「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」
ムッシュのもう1曲は、当然「我が良き友よ」だと思っていた。実際、春の東京公演ではそうだったとの情報。しかし、ムッシュが「今日はあえてB面の曲をやろうと思います」と。B面?まさかあれを?と思ったら、やっぱり「ゴロワーズ」。僕は大きくガッツポーズ。ムッシュの曲の中で1番と言っていいくらい好きな「ゴロワーズ」が聴けるなんて感激。これだけでも来た甲斐がある。正直な所、大勢の観客のためには「我が良き友よ」の方が良かったと思う。ムッシュの2曲の客の反応は鈍かった。しかし僕にとっては至福の時だった。

ムッシュは2曲ともギターの弾き語りで、バンド・メンバーはお休み。ムッシュの独壇場だった。もしかしたら、この2曲は、ムッシュの気分次第で直前に決められた2曲なのかも。バンドで練習する必要ないしね。昼の部は違う曲をやってたかもしれない。爺扱いされてるムッシュだけど、やっぱり現役。渋い演奏だった。お洒落で綺麗なコード・ストロークだったよ。

「さらば恋人」
最後に登場はマチャアキ。マチャアキの曲で大好きなこの曲。僕のカラオケのレパートリーの一つでもある。この曲の披露後、マチャアキの名言「命より健康」が飛び出す事となる。意味不明なような、意味深なようなこの名言、マチャアキの今年のスローガンだそうだ。

「街の灯り」
この曲はマチャアキにとって記念すべき曲だそうで、何故かというと、この曲を最後にヒット曲が出てないからだとか。なんだか切ない(笑)。

「あの時君は若かった」
「風が泣いている」
「バン・バン・バン」
ソロ・コーナーが終わり、再び3人揃ってのステージ。最後に、またスパイダースの曲に戻ってというか、最後にとっておいたというべき代表曲を連続で。「この3曲が終わって幕が下りたら、もう姿を現しません。アンコールはやりません」とマチャアキ。「あの時君は若かった」はちょっとテンポがゆっくりだったかな。ラストの「バン・バン・バン」は3人でステップ、ダンスをしながら盛り上がって、緞帳が下りる。
これで終了、と思ったら、再び緞帳が上がって会場大爆笑。マチャアキのフリが効いていた。
そしてまた緞帳は下り、もう一回くる?と思ったけど、もう緞帳が上がる事はなかった。

歌って、笑わせて、見事なエンターテインメント・ショー

大物司会者として君臨するマチャアキのライヴだから、あまり曲をやらないで、おしゃべりで誤魔化されてしまうのではと心配してたんだけど、まあ確かにおしゃべりは多かった。1曲やっちゃあおしゃべり。曲とMCを交互にやっていて、曲を連続して演奏したのはラストの3曲のみだった。
でも、おしゃべりも多かったけど、なんだかんだで曲も19曲やったのだから、まあ普通か。
ちゃんと台本通りにやってくれとか、疲れたろうから休んでてくれとか、2部構成になってるのはムッシュの休憩のためだとか、ムッシュ爺弄りはお決まりのネタ。
それだけしゃべって、しっかり笑わせて、まあ台本通りとは言え、随所にアドリブも効いて、よくネタが尽きないなあと感心した。見事なエンターテインメント・ショーだった。
8000円はやっぱり高いと思うけど、これで3500円ならお得。楽しかった。
今度はスパイダースの再結成で、たっぷりスパイダースの曲を聴きたいと思った。
願いは叶うのだろうか。

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