エルヴィス・コステロ Live@東京国際フォーラム 2002.7.5 感想

2002年7月5日@東京国際フォーラム

ライヴ当日。会場へ

風邪もなんとかおさまり、無事出動できた。
ファン・サイトにて、各会場でのセット・リストをチェックしておいたのだが、新譜とベスト中心の内容。
バンド・サウンド全開ということで、最近のしっとり楽曲(『ペインテッド・フロム・メモリー』「She」)はほとんどないらしい。
まあ、しっとりコステロもすごく好きなのだが、初コステロを拝むにあたっては、やはり怒れるコステロが観たいかな、との僕の思惑には合致。
ただ、セット・リストを見ると、微妙に選曲が違って。毎日やる曲もあれば、はずされる曲もある。演奏順も違う。
「同じ内容にはしない」姿勢がよくわかる。よくわかる...が、ファンにとっては複雑な所で、自分が行く日に限って、自分の大好きな曲がはずされていたというのではかなり凹んでしまう。
どうか、あの曲をちゃんとやってくれますように...。

フォーラムも二度目ながら、またもや5時半に着いてしまい、多少ヒマ(笑)。
期間限定営業のnakata.net.caféの前の広場のイスに腰掛け、腹ごしらえ。
おにぎりを食べていると、小すずめが寄ってきたのでご飯粒を差し出す。逃げ出しはしないものの、警戒していて食いつきはしない。仕方なく、すずめの前にひょいと投げると、待ってましたと、もの凄い速さで食いついた。もう一粒投げると、それにも食いつく。食いつきはしたが、食べないまま。「ん?誰かに持っていってあげるつもりか?」と思っていると、ペコリと頭を下げ(たように見えた)、飛び立っていった。

その後、本屋で時間を潰し、6時半になる頃会場入り。会場内は老若男女のほぼ満員。若干若い人が目立ったかな。

今回僕は2階席。それでもS席なわけだから、A席ってのはどのあたりで、どれくらいの数があるんだろう。
2階席17列51番は、2階席のちょうど真ん真ん中といったところか。真正面にコステロが見える位置。
15分ほどトイレの個室で過ごし(2階席のトイレは空いてるぞ~、貸切だった!)、10分遅れくらいでライヴがスタート。

ライヴのスタート

01. 45
02. Daddy Can I Turn This?
03. Less Than Zero
04. Spooky Girlfriend
05. (I Don’t Want To Go To) Chelsea
06. Honey, Are You Straight Or Are You Blind?
07. When I Was Cruel No. 2
08. I Hope You’re Happy Now
09. Tear Off Your Own Head (It’s A Doll Revolution)
10. All This Useless Beauty
11. Tart
12. All The Rage
13. Beyond Belief
14. Watching The Detectives / My Funny Valentine
15. Dust..
(Encore 1)
16. My Mood Swings
17. (What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love And Understanding?
18. Alison
19. Radio,Radio
20. Oliver’s Army
(Encore 2)
21. Smile
22. 15 Petals
23. Lipstick Vogue
24. Alibi
25. You Belong To Me
26. Pump It Up
27. I Want You

新譜のオープニングも飾る「45」で始まるのはこのツアーのお決まりのパターン。
静かな弾き語りから力強いタイトなリズムに変わる、コステロ一押し(?)のナンバー。
CDでは「ふ~ん」という感じで、特に気に入ってる曲でもなかったが、CDより格段にカッコ良く聴こえて、ああ、この曲はライヴならではなんだな、と。

スティーヴ・ナイーヴ(key)、ピート・トーマス(ds)といったアトラクションズの二人に、新しいベーシストを加えた4人編成のバンド。
ソロ・アーティストのステージの場合、自分でもギターを弾くけれども、別にちゃんとリード・ギタリストを用意して、自分はヴォーカルに力を入れる、といったケースが多いが、ここではコステロがギターも担当。
素晴らしいヴォーカル(ほんと、レコードと変わらない歌声。むしろそれ以上)に加え、素晴らしいリード・ギター、リズム・ギターもしっかりこなしている姿に感動。

「チェルシー」なども飛び出したが、前半は新譜からの曲が並ぶ。
「ダディ・キャン~」「スプーキー・ガールフレンド」「ホエン・アイ・ワズ~」「タート」など、割とお気に入りの曲が続く。
しかし、病み上がりと若干の寝不足がたたってか、9曲目あたりから睡魔が(笑)。
一応、あ、他の会場ではやってない「オール・ディス・ユースレス・ビューティ」だ...などと、意識しながら聴いてたものの、多少うつらうつら...。
しかし、1stの名曲「ウォッチング・ザ・ディテクティヴス」が始まって復活。この曲の後半では「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」が飛び出すなど、ファンには嬉しい仕掛け。目もパッチリ覚めた。

目の悪い僕にはこの2階席からではコステロの顔は見えない。まあ、ドーム等に比べたら随分マシだけれども、大型モニター等もないため、表情がわからないのが残念。
短髪で少しハゲ気味のおじさんがどうやらメガネをかけてるようだ...くらいしかわからない。短髪でハゲ気味、と思ったら、何故かジャン・レノの顔を思いだしてしまって、ずっと頭から離れず、コステロよりもジャン・レノがそこで歌っているようなイメージを持ってしまった...。

2階席のいいところと言ったら、そうだな、照明の演出が楽しめる所かな。
床に映し出されるさまざまな模様、色柄が綺麗。このあたりは1階席からではあまり確認できない。よって、今回のライヴを思い出そうとすると、コステロよりも、照明の模様が即座に蘇えるものとなった。

場所によっては3回あったというアンコール、今回は2回(曲数自体はほぼ一緒)。
アンコールと言っても、曲数が本編と同じくらい多いため、あまりアンコールという感じではない。ちょっと一休みで裏に引っ込んだ、といったところ。
なので、アンコールに入ってからが圧巻。
ニューヨークでサラッと作ったとか言ってた新曲らしきものを演った後の「ピース、ラヴ~」からポップで人気の高いナンバーが続いた。
「ピース、ラヴ~」のラストの所で、コステロがこっちに来いよとお客さんを煽ると、前の方の席の人たち(約70人といったところ?)があっという間にステージ前のスペースに集まっていった。何故か係員も制止したりせず、前の方だけがライヴハウス状態。
僕のいる2階席はみな座っておとなしく観ていたから、ちょっとあれは羨ましかった。いや、おとなしく観る方が好きな僕にとっては、中途半端に立たれるよりはマシなんだけれど、やっぱりあの前の方の人たちはいいなあ、と。
きっとコステロもそういう状態の方が良かったんだろうね。それまでもギターソロの時などは動き回ったり、前の方に来たりしてたのだが、どうしてもステージとお客さんの間に距離があったため、なんとなく寒い空気が漂ってて(笑)可哀相だったもの。

「ピース、ラヴ~」のあとは「レディオ・レディオ」
これで俄然盛り上がるライヴハウス組。
この「レディオ~」がまたやたらと速い。ビートがズレるんじゃないかと思うくらいの速さにドキドキ(たぶんちょっとズレた)しながらも、やっぱ「レディオ~」はいいわ。この曲を初めて聴いた時に、あまりピンとこなかった僕が今ではまったく信じられない。
そして、いったん抑えるかのように、バラードの「アリスン」(心の盛り上がりは治まらないけど)。
そしてまた「オリヴァーズ・アーミー」で大盛り上がり。
ここの流れは間違いなくハイライトのひとつだっただろう。

そして2度目のアンコールで「スマイル」。一部のお客さんにとっては、ようやくといったところだろう。
このロックな雰囲気のライヴ、もし日本じゃなかったら「スマイル」はやらなかったんじゃないかなあ?でも、これ目当てに来てた人もいただろうから、はずす訳にはいかないもんねえ。
基本的にロックはあまり聴かないが、映画やテレビで「She」「スマイル」を聴いて、そういう世界を求めて来てしまった女性とか、たぶん、あまりにかけ離れていたので面食らった人、結構いたのではないか?
でも、こういうしっとりなコステロもやっぱり聴きたい。しっとり曲中心だったらしい、前のツアーとかも観たかったなあ...。

新譜からの曲をひとつ挟み、始まったのが、激しいドラムのリズム。お、これは!!
ここで飛び出したのが、僕がやってもらえるかどうか期待と不安で一杯だった「リップスティック・ヴォーグ」だ。
大好きな2ndアルバムの中でもとびきり好きな曲。良かった、やってくれた!!
ラストの「ヘイ!」は思わず一緒に(小声で、だけど)叫んでた。

そして、新譜でもポイントのひとつとなっている「アリバイ」を怪しく演った後、「ユー・ビロング・トゥ・ミー」「パンプ・イット・アップ」で盛り上がる。
僕の、リズムを取る脚にも一層力は入ったし、左隣りのおじさんも、興奮してドラムのリズムを奏でていた(ドラマーなのか?)。右隣りの女性2人組はじっとおとなしく観てたけど...。

そして、ラストの「アイ・ウォント・ユー」。これは特に素晴らしかった。
突き放すように始まったかと思えば、段々と激しく、怪しく、ねちっこく、狂ったようになっていく。後半のささやくような歌声にも怖いものを感じる。そして、絶叫、ギターの爆音は鳥肌もの。
いやあ、感動だね。この「アイ・ウォント・ユー」だけでも7000円以上の価値はある。

初の生コステロは中身が濃くて満足

そんな訳で27曲もの曲が終了。2時間半~3時間を予想、終電ギリギリを覚悟していたのだが、 意外にも時間はそれほどたっていなくて、9時15分。2時間ちょいだった。
実際、僕の感覚では10時10分前くらいかと思っていたのだが...。とにかく、それだけ中身の濃いものだったという事か。
帰りもゆっくりと帰る事ができ、僕の初コステロはほぼ満足といった所で終わったのだった。

そういえば、他では演ったのに、「ソー・ライク・キャンディ」や「エピソード・オブ・ブロンド」(新譜の中では一番楽しみだった)を演らなかったな...とは思ったけれど、ま、いっか。それは贅沢というものだ(笑)。

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