ビートルズ・トリビュート『Abbey Road』 Live@東京厚生年金会館 2001.11.10 感想

2001年11月10日

実はかなり豪華なバンド

久しぶりにライヴに行ってきた。
確認してみたら約6年振りらしいのだけれど。仕事がずっと夜だったというのと、ライヴでは、僕はみんなと一体となってノレない体質だという事に気付いて(笑)、ライヴはもういいや、って思ってたのだけれど、今回久々に観たいと思えるアーティストの来日で。

いつものようにニュースサイトを見てたら、芸能欄に
「ビートルズのトリビュート・バンドが来日」
と書いてあった。まあ、こんなのはよくある話で、おそらく若手か二流のバンドを集めたイベントかなんかだろうと思った。
しかしなんとなく詳細をクリックしてみたら、そこには「トッド・ラングレン」の文字が。
トッドは、まさしく今一番気に入っていて、CDを聴く頻度が最も多いアーティスト。
そのトッドが、アラン・パーソンズ、ジョン・エントウイッスル(ザ・フーのべーシスト)、アン・ウィルソン(ハートのヴォーカリスト)とバンドを組んで、ビートルズのカヴァー・ライヴをやる企画との事。オールドロック・ファンなら思わず唸るメンバーなのだ。
ビートルズの曲。しかもこのメンツ。なんにせよ、トッドが生で観られるならば、の思いで、即行ローソン・チケットに走っていった、という訳だ。

それでいよいよ10日(土)、厚生年金会館にてライヴ。

ライヴのスタート

Magical Mystery Tour
sirius/Eye in The Sky
Baracuda 
Hello It’s Me
Part of Me
Real Me
Back In The USSR
Lady Madonna
I’m Down
Fool On the Hill
While My Guitar Gently Weeps
Here Comes The Sun
Lucy in the sky with Diamonds
You’ve Gotta Hide Your Love Away
Maybe I’m Amazed
Rain
Blackbird
Me & Monkey
Revolution
Day Tripper
Ticket To Ride
I Wanna Hold Your Hand
Hey Jude

Birthday
Golden Slumber/Carry That Weight/The End

結論から言うと...まあまあだったかな(笑)。
体内興奮度のレベルは6~7前後。8には届かず、我を忘れる程興奮...とはいかなかった。
期待しすぎてた、というのもあるだろう。
米ツアーでのセット・リストを見てたから、それと比べて曲数が少なかった事がまず不満。
トッドがこの曲を歌うなら!と思って飛びついた要因にもなった「ヘイ・ブルドッグ」がカットだったのは痛かった。
その他「ユー・キャント・ドゥ・ザット」「ベイビー・ユー・アー・リッチ・マン」「マネー」など、通好みの選曲でいいなあと思ってたものが軒並みカット。ガッカリだ。
他には「ゲット・バック」「レット・イット・ビー」もやらなかった。
その代わりに「デイ・トリッパー」「涙の乗車券」「抱きしめたい」をやったのだけれど、追加されたのはいわゆる有名どこで。

それから、冒頭のソロ・コーナーはなんと1/3にカット。
トッドの曲も「オープン・マイ・アイズ」「バング・ザ・ドラム」など、
フーの曲も「マイ・ジェネレーション」「ボリス・ザ・スパイダー」など、
ソロは3曲ずつのはずが、それぞれ1曲だけなんだもの。
もともと、このツアーは2部構成で、前半は各自メンバーのソロ曲、後半にビートルズのカヴァー、という事だったのだけれど、日本公演では、そうやってソロをカットする事によって1部構成に。
時間も1時間50分程度と、短いものだった。

それに、アラン・パーソンズ。
そんなんでいいの??って感じの「ブラックバード」弾き語り。まるで素人、って感じで、こっちがハラハラ。

「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンド」でリードを取ったデビッド・パックはサビで高音出てないし。

アンはすっかりおばさんだし(これはしょうがないか 笑)。

そんなこんなで、期待はずれな部分もあった、というのが正直なところ。高いチケット代を思うとね。

お客さんも微妙(笑)。
僕くらいの年齢の人もいたけれど、やはり中高年層が多かったかな。
たいていは「ビートルズの」ファンという事なのかもしれない。
その次にトッド・ファン。
そしてフーやハート、アランは同じくらいか。
ビートルズの曲をやるみたいだから来た、って感じで、各メンバーの事はまるっきり知らないという人も多そうだったな。
僕の隣りのおっさん、冒頭のソロコーナーではきょとんとしてたもん。すでに飽きてた(笑)。ビールが売切れだったとか文句を言いながらワインを飲んでいて、ビートルズの曲が始まったら、何曲か「おおっ!」とか言いながら口ずさんでいたけれど、中盤になったらどこかに消えていった(笑)。お陰で隣りの席が空いたからゆったりできたけどね。

しかし、まあ文句ばっかりではなく、良かった部分もちゃんとある訳で。
まずはトッド。
もちろん生で観るのは初めてだったけれど、イメージ通りの人だった。カラフルな衣装に身を包んでの奇行パフォーマンスは、「ホントにこういう人なんだあ」と妙に感心(笑)。
ヴォーカルも、さすがトッドで、一番安心して聴けた。
「ハロー・イッツ・ミー」も生で聴けたしね。
ビートルズの曲で、他メンバーがリードを取っている時でもコーラス・ワークでしっかりサポート。「フール・オン・ザ・ヒル」では、フールを演じてステージ上を右に左に舞い踊っているのには笑えたし。
「悲しみはぶっとばせ」での【HEY】看板や、「NO.9」ネタには笑えたし(笑)、MCやパフォーマンスを見るにつけ、やっぱりトッドがいるからこそ、このライヴもこれだけ盛り上がるんだな、と。

それから、一番カッコ良かったのはジョン・エントウィッスルかな。
控え目でさあ。影に徹するのよ。ライトの当たらない方へ当たらない方へと動く(笑)。
唯一、一人でライトを浴びるはずの曲「リアル・ミー」でもそんな感じなんだもん。絶対に前に出ようとしない。
でも、そういうところがカッコ良かったんだけどね。
ライヴ中、一番興奮した場面が「ジ・エンド」でのジョンのベース・プレイ。思わず震えた。

会場はほぼ満員、中盤以降は総立ち状態で、全体的には盛り上がったライヴだったろう。
ビートルズの曲で特に良かったのは「レディ・マドンナ」「ミー・アンド・マイ・モンキー」「デイ・トリッパー」、アンコールの「バースデイ」とアビイ・ロード・メドレーかな。
ちょっとジョンの曲が少ないかなとも思ったけれど、基本的には満足した人が多かったのではないかな。やっぱり僕が欲張りすぎだったのだろう、と(笑)。

でもね、こうして観ると、やっぱりトッドのソロ・ライヴが観たいなあと思っちゃう訳よ。
「ハロー・イッツ・ミー」だけじゃなく、「アイ・ソウ・ザ・ライト」も「ラヴ・オブ・ザ・コモン・マン」も聴きたい。
他にも聴きたい曲は山ほどあるのだ、トッドには。
そういう意味で、逆にフラストレーション溜まってしまったライヴだったかな(笑)。

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