
Rockin’ Christmas 2025
2025年12月23日(火)@恵比寿ザ・ガーデンホール
今年も開催!恒例のロッキン・クリスマス
佐野元春 45周年イヤー。
12月7日まで全国ツアーで、来年には振替公演と追加公演も控えている。
ツアー・ファイナルの横浜公演からの間隔も短いので、リハーサルの時間もそれほど取れないだろうから、今年はロッキン・クリスマスの開催はないのだろうなと思いこんでいました。
そしたら、11月になってから、今年も開催するとの発表があってビックリ。
今年は東京2DAYSのみの開催。
しかも、ファンクラブ枠では、どちらかの日にしか当選しないという抽選で。
月曜と火曜では、どちらの日の方が競争率低いだろうか。
少し悩んだのですが、ここは素直に、僕の仕事が定休の火曜日をやはり第一希望として申し込むことにしました。
キャパは700人ほどと聞いているので、ツアー・ファイナル横浜BUNTAIでの5000人ソールドアウトのことを考えたら、無事にチケットが獲れるのだろうかと心配になったのですが、なんとか希望が通って当選!
横浜BUNTAIから僅か2週間後にまた佐野さんのライヴを観られるというのは、嬉しい悲鳴というかなんというか。
ともかく、今年も恒例のロッキン・クリスマスに参加できる幸運に感謝です。
ライヴ当日。会場へ
横浜BUNTAIでのツアー・ファイナルから間隔が短かったこともあって、あっという間にライヴ当日。
今回は、ライヴの予習もほとんどすることなくて。
まあ、気持ち的には佐野さんのモードを保ったままだったので、予習も必要ないかなと。
この日は天気も良くて、雨の心配がないのは何より。
午前中に自宅を出発して、いつものように、新宿と渋谷を周ってお買い物。
大好きなレコードを買いまくりました。
想定外のトラブルがあって、時間の余裕がなくなり焦ったのですが、重い荷物を抱えて、なんとか会場には18時30分に到着。
この場所に来るのも4回目なので、慣れたものでした。
少し列に並んでからの入場。
今年は、記念チケットではなく、ポストカードが配られて。
その裏のQRコードを読み取れば、その日のセットリストが表示されるというシステムです。
こういうのは45周年記念ツアーから同じですが、これからのライヴでも継続してほしいですね。
ドリンク代が700円というのは、随分高くなったものだよなあと思いつつ、ドリンク交換を済ませ、トイレへ。
そして、トイレから出て来たところで。
「こんばんは、カフェブリュさん」と声をかけられました。
へ!?
こんなところで声かけられるなんて、誰?と思ったら。
XのフォロワーさんのKさんでした。
Kさんは、佐野さんのツアーに合わせて全国を周ってらっしゃる猛者、筋金入りのファンの方です。
以前、チケットが獲れなかった僕に声をかけてくれて、チケットを融通して下さり、会場でお会いしたことがあったのです。
そのとき、2年半前に1度会っただけだったというのに、僕の顔をちゃんと憶えていてくれて、人ごみの中で見つけた僕に声をかけてくださるなんて凄いなあと思いました。
開演時間が近付いていましたが、10分ほどお話をさせていただき、今回も貴重なお話を伺ったり、楽しい時間を過ごさせていただきました。
いつもお世話になっているKさん、この場をお借りして感謝申し上げます。
そしてフロアに入ります。
僕の席は、R列24番。
後方ではありますが、傾斜が付いているエリアの席なので、フラットな前方の席よりも観やすくていいなあと思いました。
立ち上がらなくても、ちゃんとステージが観えるかも?
ライヴのスタート
19時1分。
場内が暗転すると、ドラム・マーチのような音楽が流れ、やがてシンフォニーのようなものに。
後で知ったところによると、これは佐野さんが編曲・演奏した「Little Drummer Boy」という曲とのことです。
コヨーテ・メンバーが次々に登場。
それから佐野さんも。
白いワイシャツにベストで、みなバーテンダーのような恰好をしています。
深沼さんと渡辺さんはジャケットも羽織ってましたが。
スクリーンには、「peace on earth」の文字。
01. 君が気高い孤独なら
02. 世界は慈悲を待っている
03. バイ・ザ・シー
04. 冬の雑踏
05. 夜空の果てまで
06. Us
07. レイン・ガール
08. 君を想えば
(Intermission)
09. ジュジュ
10. 街の少年
11. みんなの願いかなう日まで
12. 愛が分母
13. 境界線
14. いばらの道
15. La Vita è Bella
16. クリスマス・タイム・イン・ブルー – 聖なる夜に口笛吹いて
(Encore)
17. 禅ビート
18. 空港待合室
19. アンジェリーナ〜メドレー
20. スターダスト・キッズ
「君が気高い孤独なら」。
優しく穏やかな、そして清らかなイントロ。
佐野さんはスタンド・マイクで「♪ もしも君が...」と歌い出します。
ポップで軽快なシャッフル・ビートに乗り、タンバリンを叩く佐野さん。
「♪ スウィーソー!ブルービー!」
佐野さんが人差し指をチッチッと揺らす仕草。
藤田さんのギター・ソロに、バンドの演奏も観客の熱もヒートアップ。
叩きつけるようなリズムを繰り返した演奏の終わり方が素敵な快感でした。
「世界は慈悲を待っている」。
ポップ・ビート曲の二連発。
身体が軽くなり、羽根が生えて飛んでいくような心地良さ。
「GRACE!」
歌われるのは心の開放。
カモン!と佐野さんが気合いを入れます。
ライヴ序盤だというのに、深沼さんと藤田さんのギター2人が早くもステージ前方に出て来て、カッティングの協奏するのに圧倒されました。
MC。
「今夜のクリスマス・ライヴ。今年もここで演奏出来ること、嬉しく思います」
「みなさん、たくさん集まってきてくれてどうもありがとう」
「今夜は楽しくいこう!」
「バイ・ザ・シー」。
虚ろで怪しげなイントロで始まると、佐野さんは右手のスティック1本でパーカッションを叩きながら、リズムを強調します。
港町のクラブでファンキー・ジャズを聴いてるような、クールなサウンドなのに熱い感覚。
「♪ 世の中は不公平だ!」
そんな嘆きから始まります。
厳しい毎日に途方に暮れてる男の歌かと思いきや。
サビの「♪ 週末は君と街を離れて...」の流れるようなメロディで、一気にロマンチックな大人の恋愛関係に変わるところも好き。
藤田さんのワウの効いたギター・ソロが耳に共鳴します。
そして、この曲のハイライト、ソロ・メドレー。
深沼さんのギター・ソロ、渡辺さんのキーボード・ソロ、藤田さんのサイケなギター・ソロ、そして再び渡辺さんのキーボード・ソロと繋がっていくのが聴き応え充分。
それにしても、この曲、なんだか妙に懐かしかったです。
でも調べてみたら、昨年のロッキン・クリスマスでも演奏してるのね。
けれど、随分久し振りに聴いたような感覚がありました。
「冬の雑踏」。
佐野さんの切ないハーモニカで始まります。
「♪ あの人は今 どこにいるんだろう」と、雑踏の中に面影を探している歌なのですが。
この歌詞に登場する「あの人」と「君」が同一人物なのか、いつも謎だなと思います。
そこの読み取り次第で、歌詞の意味も変わってきそうな。
それからこの曲は、コヨーテのメンバーの「♪ 誰もが今」などという合いの手コーラスが印象的。
そして、そこだけじゃなく、メンバーのコーラス・ワークが凝っている曲だなと感じました。
MC。
「今年デビュー45周年、コヨーテ・バンドは20周年」
「今年のツアー、全国いろんな街でライヴをしてきました」
「今夜のクリスマス、大事な夜をみなさんと過ごせること嬉しく思います」
「今夜も素敵な夜にしよう!」
「夜空の果てまで」。
佐野さんはアコギをストローク。
「♪ 気まぐれな愛の記しを見つけに行こうぜ」っていうのがいいじゃないですか。
やるせなさも感じる生活だけれど、それでも肩の力を抜いて、静かに前を向く感じ。
ゆったりとしたグルーヴに体を揺らします。
Cメロの「♪ 君と往く喜びと」から「♪ 回れメリーゴーランド」のパートは、なんだかあったかい気持ちになるんですよね。
クルクルと気分も人生も上向きになっていくような。
「Us」。
この曲も佐野さんのアコギから始まるのですが、すぐにサイケなサウンドに彩られます。
「明日また笑顔がいいな」とか、「友達になれたらいいな」とか、ほのぼのとしてて童謡みたいだなと思ったりしてると。
「♪ 君がここで倒れるわけにはいかない」と、なんだか強く励まされた感じがしました。
そうか、頑張らなきゃいけないんだな、踏ん張りどころなんだな、と。
さらには、「♪ どうして僕らは憎しみあわなきゃいけない?」と、世界の紛争・平和を考えさせられるような歌詞が飛び出し、スケールが一気に広がって。
なんだか、『アンパンマン』のやなせたかしさんが書く世界観に通じるものがあるなあと。
今までとりたてて好きではない曲だったけど、今回はとても心に良く刺さり、印象に残った曲でした。
MC。
「デビュー45周年、全国いろんな街で演奏してきましたが、今年最後のライヴになります」
「ツアーで全国を周って、プロモーターが美味しいものをたくさん食べさせてくれました」
「そこで、この今年のツアーで、印象に残った食べ物をコヨーテのメンバーに訊いてみたいと思います」
小松シゲル
「出雲のカニですかね」
「そしてその店のご主人が、震えながら、中学生の時に買ったという『Café Bohemia』のCDを持って来て、佐野さんサインしてください、と」
「そこは有名なお店で、有名人もたくさん訪れてると思うんですが、今日が1番緊張してますって言ってて、佐野さんスゲエ!って」
深沼元昭
「いやあ、実は僕も出雲のカニなんです。まさかこんな早く答えが被るとは...」
「そこ、実はラーメン屋さんなんですよね。”きんぐ”って名前で100年くらい前からやってるそうで...100年前でその名前ってすごい」
「それで、打ち上げの時はいつも、お酒も飲むんですけど、僕は白ごはんを必ず頼んでて、佐野さんにも頼まないの?って促されるくらいだったんですけど」
「でも、今年のツアーは、白ごはん頼まなかったんです!」
「それで、僕も大人になったなあと思いました」
藤田顕
「僕は手短に」
「スープカレーです!」
「それでは次は、僕らが気に入ってる曲」
「HAYABUSA JET IIにも入ってます」
「詞を知ってる人がいたら一緒に歌ってください」
「僕のレイン・ガール」
「レイン・ガール」。
スクリーンの映像は45周年記念ツアーで流れてたものと同じかな。
佐野さんのギターは赤のストラト。
新しいアレンジになって、唸るようなビートが強調されて安定感を増し、でも重た過ぎずに適度なスピード感で走ります。
「♪ 真冬のRain Girl」という歌詞があって、これも冬の曲だったのか!という発見。
雨のイメージに引っ張られて、冬の認識がありませんでした。
冬には雨は希少。
レイン・ガールというのは、そんな珍しく貴重な女の子なのかもしれません。
「♪ いつか君と少しだけ話したい」というささやかな願い。
「♪ 楽しいときにはいつも」の後の、コヨーテ・メンバーの「♪ パッパウー」というコーラスが大好きです。
演奏が佳境に入ると、観客は頭上で大きな手拍子。
そして、「♪ ラララララ~ラ~ラ~」の大合唱。
「One More!」と佐野さんが煽れば、観客の歌声も大きくなりました。
MC。
「今年は新しいアルバムを2枚出しました。HAYABUSA JET IとII」
「ここまでやってこれたのはファンのみなさんのお蔭だと思っています」
「その感謝の気持ちを込めて、次の曲を歌いたいと思います」
「君を想えば」。
「イノセント」から改題し、『HAYABUSA JET II』の冒頭を飾る曲。
いきなり「ありがとう」で始まります。
大切な人への感謝の気持ちを歌っていて、恋愛の歌とも取れますが、アルバムでもライヴでも、佐野さんからファンへの言葉だと解釈すれば、嬉しくなります。
歯切れの良いギター・サウンド。
唸る重低音。
これぞコヨーテ・バンドのサウンドだと言わんばかりの得意な世界へ一気に持っていきます。
原曲よりもインパクトが増し、強力に生まれ変わりました。
Cメロの「♪ 山よりも高く強く」のところでは、ドラムがドンドコと威勢のいいリズムを叩き、まさに気分も高く、上へ上へと登っていく感じが爽快でした。
ラストもガンガンとラウドに盛り上げていく演奏に興奮。
「それではまた20分後に戻ってきます」
「簡単な食事も用意してありますので楽しんできてください」
というわけで、ここでインターミッション。
20分間の休憩。
45周年記念ツアーの休憩時間とは意味合いが少し異なり、このロッキン・クリスマスでは、この会場に相応しく、食事や飲み物を楽しんでもらいたいとの主旨の休憩です。
ただ僕は、席を離れるつもりはなかったので、そのまま演奏再開を待ちます。
そして20分後。
再びステージに現れたコヨーテのメンバー。
佐野さんは黒のジャケットを羽織ってきました。
「ジュジュ」。
明るいシャッフル・ビートのこの曲。
佐野さんのギターはストラト。
そして時折タンバリンを叩きながら、軽快に歌います。
スクリーンにはポップな映像。
ジュジュって、どんな女の子なんだろうとよく想像します。
最近は「レイン・ガール」を推してきている佐野さんだから、ジュジュとの差別化、そして違いを考えるのも楽しい。
どちらが魅力的かな。
悲観的になる必要はないよな?と問いただしながら。
「ヘイ!」と気合いの言葉が入り、キュッと身が引き締まる思い。
MC。
「休憩中は何か食べましたか?」
「ルルティモのタパス。年々美味しくなってると感じています」
「僕もこの後いただきたいと思います」
「次は、スリ傷だらけの都会っ子たちの歌」
「街の少年」。
スクリーンにはマンハッタンの映像。
そして、若き佐野さんの姿が映る。
そう、佐野さんもそんな街の少年だった。
サビでは「♪ ダウンタウンボーイ!」と、拳を突き上げ、腹から声を出しての大合唱。
「♪ ここにも一人、あそこにも一人」と指を差しながら歌う佐野さんですが、いやいや佐野さん、ここにいる全員がそうですよ、と(笑)。
「♪ ボーイフレンド ガールフレンド 大切なマイフレンド」で始まるCメロは、涙と勇気が同時に溢れてくるようで、いつも胸がいっぱいになります。
何度も「♪ ダウンタウンボーイ!」と盛り上がった後の「♪ シャラララララ」というキラキラしたメロディと手拍子に爽快感。
MC。
「クリスマス・ライヴ、ここルルティモでは10回目になります」
「次の曲は、ここだけで歌ってきた曲です」
「みんなの願いかなう日まで」。
イントロが鳴り始めた瞬間から、穏やかで優しい空気に包まれました。
佐野さんはスタンド・マイクにタンバリン。
舞台袖ではスタッフたちが鈴を鳴らしているのが見えました。
前半、藤田さんはギターを弾かずに手拍子をしてるので、あれ?珍しいなと思ってたら、藤田さんが担当していたのはギターではなくウクレレでした。
「クリスマス!」力強い声。
いろんなことがあって、ここにいる。今がある。
そう実感しながらクリスマスを過ごせていることに感謝。
佐野さんが「ヘイ!ここにいるよ!」と叫ぶ。
佐野さんが歌ってる裏で、コヨーテ・メンバーの「♪ メーリメリ、メーリクリスマス!」というコーラスの掛け合いが素晴らしい。
ラストは会場中で「♪ メーリメリ、メーリクリスマス!」の大合唱。
天井ではミラーボールが回転し、ドリーミーな空間。
ほんわかと温かい気持ちになりました。
MC。
「それでは、先ほどの美味しかったものの続き」
高桑圭
「僕は、菓子パンを食べるのが楽しみなんです。そのご当地の」
「それで、関西にあるサンミーってパン」
「大好きなんですけど、今年関西は何回か行ったのに、1回しか食べられなかったんですよ」
「だから悔しい!」
「誰か送ってください」
渡辺シュンスケ
「僕は金沢にある小料理屋さんで、もうアンコールしてるところなんですけど」
「いつも打ち上げではコヨーテのメンバーがうるさくしていて、それを佐野さんがニコニコしながら見ているってのが普通なんですけど」
「その時は美味しすぎて、みんなシーンとしてました」
「ご主人に、いつもこうなんですか?と言われて」
「愛が分母」。
コヨーテのメンバーの美味しいものの話を聞いて和んだ後だけに、さらに気分が高揚して楽しくなるスカ・チューン!
踊りたい!
フニフニと体を動かしながら、沸き立つ興奮を味わいます。
「♪ あーいが、ぶんぼっ!」と大声で歌い、「♪ セイ、イエー!」でフィニッシュすると気分がスッキリ。
日頃のストレス解消にうってつけ。
佐野さんが「シュンちゃん!」と合図して、渡辺さんのキーボード・ソロ。
それから藤田さんのギター・ソロ。
佐野さんは2本のマラカスを振ってリズムを取っていました。
何度聴いても楽しい曲だなあ。
「境界線」。
ベース・ラインから始まるこの曲。
一気にポップ・ビートに変わり、視界が開けていくような感覚が好きです。
「♪ 明日 境界線を越えていこう」
そう、ただ待ってたってダメだ。
自分が選択した道に自信をもって、一歩踏み出していくことが肝心だ。
また佐野さんに教えられました。
「♪ 感じたままのど真ん中を」と、サビで観客全員が挙げた手を大きく左右にフリフリするのが壮観で気持ちいいのです。
間奏では佐野さんがまたスティックでパーカッションを力強く叩いていました。
「いばらの道」。
これはレアですね。
配信シングルは別として、『ENTERTAINMENT!』収録曲がライヴで披露されるのは珍しいことだと思います。
この滋味あふれる、スローで渋い曲。
佐野さんはアコギを鳴らしながら、「♪ ここはいつか来た道」と、絞り出すようなヴォーカルを聴かせます。
よく見ると、深沼さんもアコギ。
アコギ2本は意外と珍しい編成かも。
夕暮れ時を思わせるライティング。
枯れた味わいだなあ。
「♪ 明日になれば 明日になれば」
どんなにいばらの道だって、佐野さんは常に先を見ています。
そこには希望があると信じているのでしょうね。
「La Vita è Bella」。
佐野さんはスタンド・マイク。
イントロで、いつも佐野さんは小さく手拍子をするんだけど、今回は鈴を鳴らしていて、それだけでもとても新鮮なサウンドに感じました。
「♪ 朝は誰にでも訪れる」
この辺りの高桑さんと小松さんのリズム隊が作り出すビートが良かった!
それから「♪ きっともっと信じてもいいんだろう」の深沼さんの全力のハモりが素晴らしい。
終盤は深沼さん、藤田さん、高桑さんがステージ前方に出て来て、横にステップを踏みながらの演奏。
それを佐野さんは一歩引いたところで、頼もしそうに見ています。
演奏終了後、大歓声に応えるように高桑さんがサムズ・アップ。
MC。
「どうもありがとう」
「みんな、いい感じ?」
「みなさんがいい感じだと、僕もいい感じです」
「次の曲は、僕がニューヨークにいた頃、クリスマスに書きました」
「小さなアパートメント。そこに小さなピアノがあって、足でリズムを取りながら曲を書いてた」
「そしたら、下の住人がやって来て」
「何?って言ったら、うるせえんだよ、って」
「そんな風に、他人に迷惑をかけながら書いた曲です」
「戦争で傷付いた人たちがいますが、それはみんな同じ空の下」
「クリスマス・タイム・イン・ブルー – 聖なる夜に口笛吹いて」。
ゆったりと紡ぎ出されるレゲエのリズム。
柔らかな雪がふんわりと降りそそいでくるような、聖なる夜のムード。
舞台袖では、またスタッフたちが鈴を鳴らして、その雰囲気作りに一役買っていました。
この時期にピッタリな、というか、この時期だからこそ味わえるこの曲。
「♪ Christmas Time In Blue」と、思わず口ずさんでしまいます。
「シャララララ」のコール&レスポンスもお約束。
「♪ 愛している人も 愛されている人も」と、次々といろんな人が現れる歌詞のパートから、佐野さんはハンド・マイクに切り替えて、ヴォーカルに熱がこもっていきます。
間奏では、高桑さんのベース・ソロから、小松さんのドラム・ソロ、渡辺さんのキーボード・ソロは途中からスペイシーな音色に変わる2段階演奏、そして深沼さんのギター・ソロ、その後は藤田さんが加わってのユニゾンと、メドレーで繋いだメンバー全員の演奏が呼び水となって。
「♪ メリー・メリー・クリスマス Tonight’s gonna be alright」のコール&レスポンスに。
佐野さんは最前列のお客さん1人にマイクを向けて歌わせていました。これは珍しい光景かも?
会場全体、みんなで歌っていると、和やかで平和なムードになっていきます。
「More & More & More!」と佐野さんが煽って、観客の歌声も大きくなり。
最後は、「♪ サンタクロースイズカミン...トゥ・ディス・タウン」と締め。
「ギター、深沼元昭」
「ベース、高桑圭」
「ドラム、小松シゲル」
「キーボード、渡辺シュンスケ」
「ギター、藤田顕」
「ザ・コヨーテ・バンド!」
「今日はみなさんに、僕からも拍手を贈ります」
ステージからの去り際、深沼さんがマイクに向かって、
「メリークリスマス!」
ここで本編終了。
観客はもちろん、これで終わりとは思ってません。
再び佐野さんたちが戻ってくるのを待ちます。
そして、アンコール。
再登場したコヨーテのメンバーと佐野さん。
みんな、赤や緑を基調とした模様が描かれたセーターやカーディガンを着たクリスマス・コーデ。
小松さんに至っては、サンタさんの赤い帽子まで被っていました。
和やかな印象の衣装で現れたので、そんなイメージの曲をやるのかなと思ったら。
「禅ビート」。
サイケでゴリゴリのロック・ナンバーでした。
佐野さんは黒のグレッチをかき鳴らしています。
「♪ ヒトとヒトが殺し合う世界なんて」と、先ほどの平和なクリスマス・ムードから一転、リアルな現実に引き戻されます。
耳をつんざく深沼さんのギター・ソロ。
いったいあの人は、そして自分は何者なんだろうと、この混迷を極める世の中で、その存在意義を考えさせられます。
「空港待合室」。
「♪ 炎の人に逢った...」と告白するような佐野さんのヴォーカルで始まります。
そしてすぐに、ロックンロール・ブギに切り替わります。
佐野さんはスタンド・マイクにタンバリン。
バンドのノリで勝負!
空港で様々な人を目にする中で、まだ知らないことが多すぎる、人生は旅の途中なんだと気付かされます。
間奏では、藤田さんのワウの効いたギター・ソロが心をえぐり。
ラストは深沼さんのクレイジー・ギター・ソロでフィニッシュ。
MC。
「みんな、いい感じ?」
「今日は平日なのに!」
「年末なのに!」
「クソ忙しい時に集まって来てくれてどうもありがとう」
「それじゃあ、もっと景気良くいこう!」
佐野さんがストラトで弾き始めたのが「アンジェリーナ」。
やっぱりライヴの締めくくりにはこのロックンロールが相応しい。
観客のボルテージも最高潮。
「♪ Oh アンジェリーナ!君はバレリーナ!」と、拳を突き上げながら大合唱。
サビ前には佐野さんが「Go!Go!Go!」と煽って。
「♪ 今夜も愛をさがして」と、拳を上げ、飛び跳ね、張り裂けんばかりの声を張り上げて。
これで最後と力の限りを尽くします。
今回は、3番の「♪ 二人でいれば大丈夫だぜ」のところで、二人を表す指を高く掲げている人が、僕の周りにも何人かいたので嬉しかったな。
さんざん盛り上がって、そろそろ終わるかなと思ったところで、控えめな演奏になり、手拍子タイム。
あっ、この流れは...。
「昨日、今日と集まってきてくれた人なら、僕がこれから何をしようとしているかはわかると思う」
「でも、今日が初めての人もいる」
「その人たちのために説明をします」
「僕が、愛する気持ちさえ分け合えれば I love youって言ったら、You love meって返してほしい」
おおおっ、今夜もあのコール&レスポンスをやるんだ!
先日の横浜BUNTAIでのツアー・ファイナルで復活したコール&レスポンス、あの時が特別だったんだと思ってたら、まさか、このロッキン・クリスマスでもやることになるとは!
「♪ 愛する気持ちさえ分け合えれば I love you!」
「♪ You love me!」
「♪ 愛する気持ちさえ分け合えれば I love you!」
「♪ You love me!」
このコール&レスポンス、やっぱり一体感を感じるなあ。
毎回やってほしいなあ。
「この、先が見えない世の中」
「陰鬱な気持ちを吹き飛ばすためには、みんなの力がないとやってられない」
「年末、来年、もっと景気良くいこう!」
演奏のテンポが速くなって、佐野さんが「♪ I love you I love you...」とシャウト。
「ストップ!」
一瞬のブレイクの後、再び「アンジェリーナ」の演奏に戻ります。
最後は、深沼さん、藤田さん、高桑さんがステージ前方に出て来て華々しく盛り上げ、佐野さんがビシッとフィニッシュを決めて。
メンバー全員、ステージ前方で並びます。
佐野さんの挨拶。
「セーター!セーター!セーター!」
「実を言うと、昨日は僕だけ白いシャツでした」
「なんか...仲間はずれ?」
「それで今日は、スタッフが調達してきてくれました」
「ギター、深沼元昭」
「ベース、高桑圭」
「ドラム、小松シゲル」
「キーボード、渡辺シュンスケ」
「ギター、藤田顕」
「ザ・コヨーテ・バンド!」
「今年は長いツアー、どこも盛況でした」
「1年間、応援どうもありがとう」
ここで、観客の声援がいちだんと大きくなりました。
拍手と手拍子。
「今日はありがとう」ではなく、「まだまだもう一丁」を期待するうねりが沸き起こりました。
すると、少し困ったような顔を見せてから、舞台袖のスタッフに向かって、時間の確認をする佐野さん。
コヨーテのメンバーが輪になって打ち合わせ。
「負けた!(笑)」
「もう1曲やろう」
所定の位置に付くコヨーテのメンバー。
「...まだ準備が整ってません」
佐野さんの痛快なハーモニカが鳴り響いて始まったのが「スターダスト・キッズ」。
冒頭から、観客全員が飛び跳ね、興奮の坩堝。
「♪ この街のノイズに」と佐野さんが煽れば、
「乾杯!」と大合唱。
佐野さんの「♪ Ah Little darling」のヴォーカルとスピード感あふれる演奏がたまらない。
佐野さんの「ブルルルルル...」が微笑ましくも力強く響いて。
「♪ 泣いてるのは誰」の問いかけに、「♪ Let’s twist tonight」と大合唱。
フニフニ踊ってる人、ゴーゴー・ダンス踊ってる人、モンキー・ダンス踊ってる人、ツイスト踊ってる人。
観客みんな、それぞれの踊り方で楽しんでいました。
ラストは、佐野さんが煽りに煽って、観客も全力でそれに応えて大団円。
「みんな、すごいね」
「来年もみなさんに、ライヴで、レコードで、楽しんでもらいたいと思っています」
渡辺さん、藤田さん、小松さん、高桑さん、深沼さん、佐野さんの順に、マイクに向かって「メリークリスマス」と言ってから退場。
ライヴ終了は21時22分でした。
これぞコヨーテ・バンドと共に過ごすクリスマス
この日は、45周年記念ツアーとはセットリストもガラリと変わり、ほとんどコヨーテ楽曲、そして冬&クリスマス楽曲で攻めたロッキン!
横浜BUNTAIでのツアー・ファイナルから間隔が短く、リハーサルの時間もさほど取れないだろうから、ツアーのセトリに少しクリスマス仕様の曲を加えた程度で来ると思ってました。
なので、『HAYABUSA JET II』から初披露の曲をどれだけやるかな、くらいの期待しか持ってませんでした。
そしたら、蓋を開けてみたら、想像とはまったく違った内容。
ツアー終わってからの日にちが少なくとも、今までやり慣れたコヨーテ楽曲だったら、いつでもフル・パワーで行けるぜというのを再認識させられました。
ツアーよりもむしろ、これがコヨーテ・バンドだと強く感じさせるもので。
僕の受けた感触としては、僕が佐野さんのライヴを観始めた頃...2020~2021年辺りの、『今、何処』がリリースされる前のライヴの感覚を思い出しましたね。
だから、なんだか懐かしさもありました。
「サムデイ」も「約束の橋」もなくても盛り上がれるのもロッキン・クリスマスの良さでありますね。
ただ、「Youngbloods」が無くても驚かなかったけど、「エンタテイメント!」や「純恋(すみれ)」や「銀の月」が無かったのはビックリでしたね。
近年のライヴでは必ずやってた曲だからね。
珍しく、今回は無かったなあと。
とにかく、今年のロッキン、そう来たか!と、完全に裏をかかれた感じでした。
MCでコヨーテ・メンバーがフィーチャーされるのもロッキンならではのアットホームなところだったのも思い出して、心温まりました。
Rock & Peace。
これがクリスマス・ライヴですね。
そんな、予想外のセットリストに加え、アンコールでは「コール&レスポンス」と「泣きのもう1曲」という2つのサプライズがあったし、最後まで大盛り上がり!
今年も良い年だったなあと実感出来たライヴで、佐野さんには心から感謝したいと思いました。
また来年も良い年になりますように。
きっと、佐野元春&ザ・コヨーテ・バンドは応えてくれるはずです。

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