ポール・マッカートニー おすすめアルバム・ランキング

大好きなアーティストのアルバムをランク付けするシリーズ企画。
今回は、ポール・マッカートニー。

好きなアーティストのアルバムをランク付けするのって、非常に難しい。楽しいけど。
その日の気分によっても違ってくると思うし、はっきり優劣があるものもあるけれど、そもそも好きなアーティストの作品なんだから、どれも好きで、順位なんて紙一重のものが多いでしょう。
それでもやっぱり、ランク付けしてみたくなります。楽しいから。

好きなアルバムの定義ってなんだろう?と思います。
大好きな曲が入ってる、全体の流れや空気感が好き、ジャケットが好き、リアルの生活における思い出とリンクしている...など、いろいろあると思うんですが、僕が重要視するのは「ワクワク度」ですね。
そのアルバムを聴いている時はもちろんなのですが、「それを聴いてない時でも、そのアルバムの事を考えると、ワクワクしてしまう」ものが自分にとって上位なんだと思うんです。
個人的に思い入れの深い順ではありますが、それこそがみなさんへのおすすめ順。
好きなものをおすすめしたいです!

コメントの次には、各アルバムの中で1番好きな曲を、No.1 Songとして表記しました。
ジャケット写真をクリックするとTOWER RECORDSへのリンクになってます。

第1位 『Ram』

初めて聴いた時から今に至るまで、変わらぬ感動を味わえる、非の打ちどころのない、完璧な名盤。
素朴な感じもありつつ、時には派手に、ロックしバラードし、ポップな名曲をズラッと並べた作品です。これぞポール・マッカートニーの神髄。

バラードからロックへとお得意なポップ・メドレー「Uncle Albert / Admiral Halsey」、寂しげな小品「Ram On」、ドラマチックな「Dear Boy」「Long Haired Lady」、ハイテンションで狂気さえ感じる「Smile Away」「Monkberry Moon Delight」、牧歌的な「Heart Of The Country」、強烈なブギ「Eat At Home」、切なくもロマンティックで感動的な大団円バラード「The Back Seat Of My Car」

どれもが美メロの宝庫で、採り上げてたらキリがない。
ポールの曲に、リンダの声が良いスパイスを与えてるなと感じるのも大きな特徴です。
ポールとリンダの純粋無垢な精神が詰まっていると感じる。
リリース当時、このアルバムを酷評した評論家がいっぱいいたとの事だけど、どこをどう聴けば酷評するに至るのかまったく理解できません。その人たちは、今でもこのアルバムを評価してないのだろうか。評論家のくせに、なんて低レベルな耳を持っているのだ、懺悔しなさい、切腹ものだ、と言ってやりたいくらいです。
非の打ちどころのないと言ったけれども、もし1曲目にシングルだった「Another Day」を置いてたらどうだったろうか。評論家の意見も違ってたかもしれない、もっと完璧なアルバムになってたかもと、最近思ったりもします。

No.1 Song 「The Back Seat Of My Car」

第2位 『Band On The Run』

前2作で著しく下がってた名曲製造率が、ここでググッと急上昇。ウイングスの危機を脱するどころか、世紀の名盤を作り上げる事に成功したポールの底力に改めて脱帽。

ドラマチックな構成やメドレー曲が得意なポールの到達点「Band On The Run」、正統派ロックンロール・ポップ「Jet」、胸が締め付けられるようなメロディに間奏の不協和音が面白い「Bluebird」、現在のライヴでも外せないほどポールお気に入りの「Let Me Roll It」

先に買った『Wings Over America』に、コレの収録曲が多く入ってたので、実はこのアルバムを買うのは長い間躊躇してたんだよね。全9曲と少なめだし。
だから、ポールのアルバムの中でも、買ったのは後の方。でもいざ買ってみたら、コサック的でノリのいい「Mrs Vanderbilt」、怒涛のクライマックス「Nineteen Hundred And Eighty Five」など、知らなかった曲が名曲すぎて、大満足した。もっと早く買えば良かった。
でも、あえて難を言えば、B面前半がのんびりムードが漂いすぎてて、やや弱いかな。

No.1 Song 「Nineteen Hundred And Eighty Five」

第3位 『Wings At The Speed Of Sound』

ポールのヴォーカル曲が少ない、って事で、ポール一神教のファンからは評価の低いアルバムだけど、僕は、ここにあるポール以外のメンバーの曲も大好きなのです。ポールの曲は言わずもがな。
なので、僕は『Venus And Mars』よりも、こちらの方に肩入れしたくなるのです。
ポールのワンマン・バンドにならぬよう、バンドとしてのアルバム作りにこだわったポールの心意気も買いたい。

とことんポップでハッピーに開き直った「Silly Love Songs」、ドラマチックな展開でハードなロックンロール「Beware My Love」、素朴で穏やかな名品「San Ferry Anne」、朗々と歌い上げる温かなバラード「Warm And Beautiful」など、相変わらずポールは冴えてる。
ポール以外で特に好きなのが「Wino Junko」。初めて聴いた時は衝撃的でした。このメロディとノリ、ポール楽曲に引けを取らないじゃん、と。
それから土臭い「Time To Hide」も相当好き。デニーののっぺりしたヴォーカルの途中で、ポールとリンダのコーラスが入るところが素敵。

収録曲の日本語タイトルからも察すると、このアルバムのテーマは「幸福感」のような気がします。
それは、バンドにとっての幸せの時だったのでしょうね。ファミリー的なバンドの一体感が感じられて大好きなんです。

No.1 Song 「Beware My Love」

第4位 『Venus And Mars』

前作『Band On The Run』で息を吹き返したポールが、ようやく固まってきたバンド・メンバーと共に絶頂期へと向かう作品。
曲はよりポップに、より多彩になって、聴きやすいものになっています。肩ひじ張らず、ノリにもノっていて、ウイングス初心者には初めにコレをおススメしたい感じもあります。

とにかく冒頭、ロマンティックなバラードから強烈なロックンロール・ショーの幕開けを宣言する「Venus And Mars」「Rock Show」に心を持っていかれます。
それから、あまりにもポップすぎて楽しすぎる「Listen To What The Man Said」と、とろけ具合がたまらなすぎる「Letting Go」がポールの魅力全開。
他には、クール・ダウンの「Love In Song」、ほんわかムードの「You Gave Me The Answer」、コミカルに心が疼く「Magneto And Titanium Man」、ラストに向かうバラード・メドレー「Treat Her Gentry~Lonely Old People」など、聴きどころ充分。
ポール以外の曲では「Medicine Jar」が一番好き。

ポールが、良いバンド・メンバーを得て、良いライヴを行いたい一心で作り上げたアルバム。
金星と火星に見立てたピンボールのジャケットも素晴らしいアイデアで好き。さすがヒプノシス。

No.1 Song 「Letting Go」

第5位 『Back To The Egg』

初めは全然いいと思えなかったんだけど、最近になってグングン好きになった作品。
パンクやニューウェイヴを意識しているようにも思える、ロック色の強い作品で、とにかく攻めの姿勢が見えます。

ポールのベースが奏でるビートが心地良いポップロックの「Getting Closer」、スピード感がたまらない「Spin It On」、狂気をはらんでシャウトする「Old Siam, Sir」、穏やかな中にも高揚感がある「Arrow Through Me」、わかりやすいサビのリフレイン「To You」、お得意のバラード・メドレー「After The Ball/Million Miles」「Winter Rose/Love Awake」、ジャジーなオールディーズ風「Baby’s Request」
それから、このアルバムの目玉となっているのが、ザ・フーやピンク・フロイド、レッド・ツェッペリンのメンバーなど20人以上でセッションした「Rockestra Theme」「So Glad To See You Here」の2曲。大所帯だけあって、大層なサウンドになっているけど、僕が好きなのは後者かな。

アルバム全体的に、ポールがしゃがれた感じの声で歌ってる曲が多い気がします。
やや背伸びして、無理矢理作った感もあるのもなんだか愛おしくて。
ウイングスは決して迷走して終わったのではない。このアルバムはもっと評価されてもいいと思います。

No.1 Song 「Getting Closer」

第6位 『Wings Over America』

ポールにとって初のライヴ盤は、レコードにして3枚組の超大作。
まさしくここがウイングスの頂点で、よくぞその瞬間をパッケージしてくれたと、ありがたく思います。
ウイングスでの代表曲はもちろん、解禁されたビートルズ・ナンバーを含むセットリストは最強で、ロック・コンサートのお手本のようだ。
さらに、ラストにレコード化してなかった「Soily」を持ってくるのも粋。こんな名曲もまだあるんだぜというポールの自信の表れでライヴは幕を閉じます。
ウイングスならまずコレ聴いとけ的なベスト盤感覚のあるライヴ盤。

No.1 Song 「Soily」

第7位 『Pipes Of Peace』

なにかと前作『Tug Of War』と比べられて、こっちはイマイチみたいな評価をされてるけれど、楽曲的にもこちらも負けてないと思う。
たしかに、もう少し練り上げればもっと凄いものになってたような気もするけれど、それらも含めて僕の思い入れは前作より上。

ノリが良く大ヒットした「Say Say Say」はもちろん、熱く魂がこもって感動的な「The Man」でのマイケル・ジャクソンとのコラボも素晴らしかった。
穏やかな中にメッセージがこめられた「Pipes Of Peace」、ポールが珍しく全編ファルセットで歌う「So Bad」、希望に満ちた「Through Our Love」などのバラードは心に残ります。
スリルがあって憂いもある「Keep Under Cover」、ピリリと切ない「Sweetest Little Show」、楽しい「Average Person」といったところも外せない。

とにかく、聴いてて優しい気分になるアルバムなんだ。
悪い人なんて、どこにもいないだろ?と思えてくる。
欠点と言えばジャケットくらいかな。

No.1 Song 「The Man」

第8位 『Tug Of War』

ウイングス解散後、どうなってしまうのか、ポールのモチベーションは下がってたと推測されるけど、ジョンの死を受けて、やる気を出した。そしてジョージ・マーティンと組めば、これくらいのものは作れるんだぞという、ポールの底力を見た。

大ヒットした、スティーヴィー・ワンダーとの「Ebony And Ivory」は、黒人と白人をピアノの鍵盤に見立てたテーマがお見事なデュエット。
スティーヴィーとはもう1曲、かなりスティーヴィー寄りの「What’s That You’re Doing」がノリのいいR&Bで最高にファンキー。
ノリがいいといえば、グルーヴィーな「Take It Away」、ピアノとホーンが印象的な「Ballroom Dancing」もかなり踊れます。
「Somebody Who Cares」「The Pound Is Sinking」はどこか寂しさを持ちながらもドラマティックに展開する佳曲。
ジョンを想って書いた「Here Today」、明るく歌い上げる「Wanderlust」は、どちらもバラードながら対照的な肌触り。
スパニッシュでスリルがあり、ファルセットで迫る「Dress Me Up As A Robber」はポールの新境地。

「Tug Of War」に始まり「Ebony And Ivory」で終わるのは、平和への願いが込められているコンセプト・アルバムの香りもします。
隙がなく、捨て曲なしで、豪華なイメージもある。どこへ出しても恥ずかしくない名盤です。

No.1 Song 「The Pound Is Sinking」

第9位 『Back In The U.S.』

数あるポールのソロ・ライヴ盤(ウイングスは除く)の中ではコレが1番好き。セットリストもすごく好み。柔らかい印象の曲が多いんだ。
リンダを失った後、新しい伴侶を得たことで、やる気がみなぎってたんだろうね。ライヴがんばって、いいところ見せなきゃ、みたいな。
それから、現在まで続いているバンドのメンバーを得たのもこの時。ポールが信頼できて、気の合う仲間たちに巡り会えた。それも重要なことでした。
このツアーの成功があったからこそ、ポールは現在までライヴを続けられてるんでしょう。
だけどこのツアーでの来日公演、初めは行く気がなかったんだよね。でも評判聞いて、運良く格安チケット獲れて、観る事が出来た。
そして来日公演と同時くらいでこのアルバムがリリースされて、相乗効果。
結果、1番思い出に残ってるライヴになりました。あのままもし行ってなかったらと思うと恐ろしい。
とにかく良い思い出が蘇り、幸せな気持ちになれるライヴ盤。

No.1 Song 「Hello, Goodbye」

第10位 『McCartney』

ビートルズの夢の続きを求めて聴くと、やっぱり肩透かし、という事になるんだろうね。
完璧な音作りを目指していたビートルズと打って変わって、デモ音源とも受け取れるホームメイドな仕上がり。
インストが多い、というのも、やっぱり僕にとっても初めはマイナス・ポイントでした。

でも、歌モノは素晴らしいものがあって、可愛らしい「The Lovely Linda」、サビの高揚感がたまらない「Every Night」、寂しさの極致「Junk」、派手さと切なさを併せ持つ「Man We Was Lonely」
そしてなんといっても「Maybe I’m Amazed」。熱き思いがほとばしるこのバラードがあるとないとでは大違い。

それらの歌モノを目当てに聴き返しているうちに、インストのやつも悪くないな、という気になってきます。どことなく怪しい感じに引き込まれていったりして。
なんだかんだで、決して悪くないアルバムなんです。
ビートルズと違って、わざと作り込まずに試運転に徹したポール。
素朴な素材を味わって。
こんなもんでどう?と。

No.1 Song 「Man We Was Lonely」

第11位 『Driving Rain』

このアルバム、評判悪いよね。特に、『Flaming Pie』を絶賛してるファンからは酷評されてる感じ。今となっては悪妻で有名な元嫁のイメージもあるから尚更。
このアルバムが好きと言ってる人、見たことない。ポールの中でも黒歴史となってるかも。
でも僕は大好きなんだ。

だって、すごくロック色が強くて、メロディもキャッチーでとてもいい曲が多いと思うんです。
不可思議なベース・ラインから始まって、シャウトするハモりに興奮する「Lonely Road」、1・2・3・4・5!と調子のいい「Driving Rain」、往年の名曲にも引けを取らないバラード「Your Loving Flame」、切迫感のある大作「Rinse The Raindrops」
9.11を機に作られた「Freedom」は憶えやすくシンガロングできて大好きだけど、平和が大好きな日本人にはウケが悪かった。これもこのアルバムの評判が悪い要因かと。

そんなわけで、このアルバムじたい無かったことにしたい人が多いので、僕は逆に擁護したくなります。
やる気になったポールの前のめりの姿勢が愛おしい。
若いバンド・メンバーを従えて、短期間で作られたようだけど、その時のメンバーが今でもずっとポールのライヴを支えてるのだから意義深い。

No.1 Song 「Lonely Road」

第12位 『Flowers In The Dirt』

ポールを好きになって、初めてリアルタイムで聴いたのはこのアルバムから。当時はエルヴィス・コステロなんてまったく知りませんでした。
物怖じせずにはっきり物申すコステロにジョンの姿を重ねて、ポールは奮起し、低迷期を乗り越えたのです。

ビートリーな「My Brave Face」や、力強さもある「Figure Of Eight」のなんと華々しいこと。
小粒ながら憂いな表情を見せる「Distractions」「We Got Married」
素朴で穏やかな「Put It There」
優しい「This One」や、バラードの「Motor Of Love」

元ビートルズであることをようやく前向きに捉えることができて、サウンド面でもそれを活かした、ポップなアルバムを作ることに成功しました。
それまで過去のアルバムだけを聴いてきた僕は、初めて聴く最新のポールの音楽に少々面食らったのも正直なところではありましたが、そこにコステロの影響があったのかなと今は思います。
ともかくこれでポールは息を吹き返し、ツアーにも乗り出して、初のソロ来日公演へと繋がっていくのだから、重要性は高い作品。
泥の中の花。苦しかった時期に、ポールに希望の光が見えたのです。

No.1 Song 「Figure Of Eight」

第13位 『Press To Play』

売り上げがガタ落ちした、ポールにとって1番どん底の低迷期を象徴するアルバムがコレだ。
ジョン&ヨーコを真似たようなジャケットも、ポールらしいアイデアで可愛いけど、苦笑いせざるを得ない結果に。
でも僕は、そういう状況も知ったうえで後追いで聴いたから、ちょっと同情の念を持って贔屓目で見てしまうのかもしれないけど、意外と悪くないアルバムだと思ってます。
捨て曲なしとまでは言えないけれど、いい曲もたくさんあるし。

ポップで浮かれた気分になる「Press」、ブルージーなメロディにサックスも映える「Stranglehold」、不安な気分にさらされる「Pretty Little Head」、感動的なバラード「Only Love Remains」

あまり話題にならないからこそ推したくなる、隠れた名曲が光る。決して忘れちゃいけない何かがある。
だからコレを失敗作だとは決めつけたくないな。迷走してるのはわかるけどさ。

No.1 Song 「Press」

第14位 『NEW』

これぞポール、ポップなポールが帰ってきた!と、そのあまりにビートリーなサウンドに、一聴して心惹かれたよね。
そして直後にそれをひっさげての来日公演というドンピシャのタイミングに、テンションは高まる一方だった。素晴らしき思い出が蘇るという意味でも、当然思い入れは強くなっています。

もろにビートルズな「New」「Queenie Eye」、疾走感がスリル満点の「Save Us」、ウイングス全盛期を思い出す「Everybody Out There」、リフレインのノリが心地良い「I Can Bet」

NEWと言いつつも、ポールの得意なパターンを活かした曲が多いのが逆説的で面白い。
ただ、得意のバラードが1曲もなかったのが意外で、ちょっと残念。ラストに感動的なバラードが配置されていたならば、もっと傑作に思えたかも。

No.1 Song 「Everybody Out There」

第15位 『Memory Almost Full』

スターバックスのレーベルに移籍、という話を聞いて、何?インディーズみたいなものなの?と感じて、リリース当時スルーしてしまったアルバム。
しかし、『NEW』を聴いた後でポール熱が高まり、やはりコレも聴いておかないとな、と慌てて購入。
そしたら、とんでもなくロックでポップなアルバムなのでビックリしてしまった。
アコースティックな感じの前作が好みじゃなかったから、余計に、この路線になってくれた事に安堵したのでした。

一般的には、マンドリンの音色が印象的な「Dance Tonight」が代表曲だろうけど、僕的にはとにかくパワフルなロックで押し切る「Only Mama Knows」が秀逸。
ノリのいいシンセ・ポップな「Ever Present Past」、サイケにも通じる「Gratitude」、サラリと歌うバラード「The End Of The End」など。

後半のメドレー形式の曲たちも含め、全体的に荒々しさを感じるロックな味わいが気に入っているアルバムです。

No.1 Song 「Only Mama Knows」

第16位 『Tripping The Live Fantastic』

これはなんと言っても、初のソロ来日公演の思い出が蘇る、というだけでも愛おしくなります。
自分はビートルズだったんだと、吹っ切れたようにビートルズ・ナンバーを大量解禁して、そこに新作からの曲も多く織り交ぜる構成。
ラストのアビイ・ロード・メドレーなんて、これをライヴで聴ける日が来るとは!と感動モノだったよね。
ポールのライヴはこういう感じだ、というのが手に取るようにわかるライヴ盤。
ただ、途中でサウンド・チェックだかリハーサルだか、変なインストとかが紛れ込んできて、ライヴの流れを中断するのはいただけない。

No.1 Song 「Golden Slumbers / Carry That Weight / The End」

第17位 『Good Evening New York City』

実はコレ、リリースされた事ずっと知らなかった。何年もたってから、レンタル店で見つけて「こんなの出てたの?」とビックリしたのを憶えてます。
ちゃんと買ったのは、2017年のポールのライヴを観た後。熱が冷めなくて、ライヴ映像が観たくなっちゃってね。DVD付きってのがポイント高いです。
概ね定番のセットリストだけど、大好きな「Only Mama Knows」「Mrs. Vanderbilt」辺りが入ってるのがレアですね。
これからもっと観て聴いて、どんどん好きになっていきそうな気がする作品です。

No.1 Song 「Mrs. Vanderbilt」

第18位 『Give My Regards To Broad Street』

80年代のポール低迷期のきっかけとなったのは、なんと言っても映画が大コケした事。これに尽きる。
ストーリーはあれだし、まさかのオチだし、たしかに、「Eleanor’s Dream」あたりは眠くなった。だけど、演奏シーンはどれも良かったし、そこだけを切り取れば、素晴らしいPV集だったように思う。
なので、サウンドトラックのコレも悪くないんだ。

なんといっても、デヴィッド・ギルモアのギターが熱いバラードの「No More Lonely Nights」は素晴らしい。
微妙にアレンジが違う「Wanderlust」「Ballroom Dancing」「Silly Love Songs」「So Bad」の再演はライヴ感があって良い。
ビートルズ・ナンバーも嬉しいけれど、新曲の「Not Such A Bad Boy」「No Values」が、どちらもワイルドなロックンロールで大好き。忘れられちゃ困る、隠れた名曲。

おお、なんかこうして収録曲を見ると、とても素晴らしいアルバムなんじゃないかと思えてきた。
でも、素直に上位に推せないのはなんでだろう(笑)。

No.1 Song 「No More Lonely Nights」

第19位 『Off The Ground』

なんか、コレって、『Flowers』から間髪入れずにリリースされたようなイメージがあるんだけど、実際は4年近くたってたってのが意外。間に来日公演などもあったから、満たされてたのかな。
まあとにかく、『Flowers』の勢いのまま余力で作られたって気がするアルバム。方向性としては当然悪くない。

リズムを重視した「Off The Ground」、軽いアコギでノリのいい「Hope Of Deliverance」、『Tug Of War』の頃の作風を思い出すシビアな「Biker Like An Icon」、重厚感があって感動的なバラード「C’mon People」

再び安定期に入ったポール、さすがにこれくらいはサッと作れてしまう。
で、さらにこの直後にも来日公演がありました。
こうやって、これからは新しいアルバムが出来るたびに来日公演してくれるんだろうな、と夢が広がっていきました。

No.1 Song 「C’mon People」

第20位 『Red Rose Speedway』

とにかく「My Love」がズバ抜けている。で、他の曲が見劣りしてしまうのが特徴。
ウイングスとしての活動もエンジンがかかってきて、前作よりはポップになった気はするし、ポール復活の兆しが表れています。

稀代の名バラード「My Love」。間奏のギター・ソロが熱いこれが収録されているだけで、聴くに値します。
ラフな演奏が生々しい「Big Barn Bed」、ピアノ弾き語りのような小品「Single Pigeon」、気だるいコーラスが切ない「When The Night」

B面終盤にお得意のメドレーを持ってくるなど、やる気にはなっているのだけれど、どこかまだ中途半端で空回りしている感。完全復活とまでは言えません。
でも、そんなところを愛しく思えたら、もっとこのアルバムが好きになれると思うのだけれど。

No.1 Song 「My Love」

第21位 『Wild Life』

このタイトルが表している通り、ワイルドでラフな世界。
作り込まずに、出来たものをサッと出したような。
実際、レコーディングは3日間とも言われ、それはそれで味になっているけれど、コレ!という核になる曲がないからね。ヒット曲が1曲でも入ってたら全然印象が違ってたかも。

激しい「Mumbo」、遊び心満載「Bip Bop」、レゲエに発展しそうな「Love Is Strange」、リンダの声がいい味出してる「I Am Your Singer」「Tomorrow」、重厚感のある「Dear Friend」

それぞれの曲に美メロの断片はあれども、まだまだこれからという感じ。
未熟でもいいから、とにかくスタートさせることが肝心だったのが、この時のウイングスです。

No.1 Song 「Tomorrow」

第22位 『Egypt Station』

前作『NEW』が好意的に受け止められ、ツアーも好評、気分良く取りかかることが出来たであろうアルバム。
どの曲もリズムが強調されていて、まだまだ若い者には負けんぞという気概、野心にあふれています。

前作の流れを汲むポップな「Come On To Me」「Fuh You」
「I Don’t Know」「Hand In Hand」などの物悲しいバラードは、切ないというより枯れて聴こえます。ここにポールの老いを感じる。
機関車が走っていくようなビートの「Who Cares」、怪しい空気を気合いで打破する「Back In Brazil」
終盤には、お得意のメドレー展開もあります。

どこがエジプト的なのかわかりませんし、ブラジルも出てきたりして、とりあえず旅気分なんだと思います。
ツアーで世界中を旅したポールですが、計画なくフラッと気ままに旅する憧れがあるのかもしれませんね。
何をするにも元気がイチバン!

No.1 Song 「Despite Repeated Warnings」

第23位 『Paul Is Live』

93年の来日公演とほぼ同時に出たので、ライヴから帰って来てすぐに聴いたような記憶があります。
ポールのライヴ盤にしては珍しく1枚モノ。
『Abbey Road』のパロディ・ジャケットは楽しいし、収録曲を眺めてみると、結構好きな曲もあっていい感じに思えるんだけど、いざ聴いてみると、そこまでハマれなかった感じ。
終盤のサウンドチェックの嵐が印象を悪くしてる感じがする。なんか尻すぼみで。

No.1 Song 「Drive My Car」

第24位 『Amoeba Gig』

ポールのライヴにしては、かなり小さな会場(レコード店との話)というのがミソ。
アコースティックな曲ではアコギの音が粒立って聴こえるし、エレキ・ロックな曲でも、距離が近いなあというのがはっきりわかるサウンドになっています。
セットリスト的には、リリースしたばかりの『Memory Almost Full』からの曲が多く採り上げられ、プロモーションの目的があったとわかるもの。
いつものライヴをコンパクトにまとめ、生々しい音で聴かせるこのアルバムは、通常のライヴ盤とちょっと違った雰囲気を持っています。

No.1 Song 「I’ve Got A Feeling」

第25位 『London Town』

アメリカを制覇して絶頂を迎えた後、ポールが選んだのは英国回帰。
ジャケットからイメージされるように、暗くて、寒そうで、雨が降ってそうなロンドン。それがなんとなく地味な印象を植え付けているようです。

アルバムを代表する「With A Little Luck」「London Town」は穏やかで優しい肌触り。
この感触は他の曲にも表れていて、悪い言い方をすると、地味すぎてあまり印象的な曲がない。
唯一、スリリングなロックの「Cafe On The Left Bank」が胸をときめかせてくれるのが救い。

大成功を収めたというのに相次ぐメンバーの脱退。バンドのピークを過ぎて、ポールもやっぱり疲れていたのではなかろうか。

No.1 Song 「Cafe On The Left Bank」

第26位 『McCartney II』

ウイングスの縛りから離れ、久し振りに1人になって好きな事をやった。
冒険というか実験というか。ふざけてるようにも感じるアルバム。
インストもあるし、やはり1stを思わせる所もあります。

新しいサウンドを取り入れて、上手くポップに料理できたのが「Coming Up」
電子音炸裂、ポールもテンション上げてる「Temporary Secretary」、寂しく歌うバラード「Waterfalls」

その他、当時流行のテクノを取り入れて、いい雰囲気のものもあって、その野心は買います。
だけど、聴きすすめるうちにだんだん飽きてきて、正直ついていけません(笑)。
そこまでやらなくていいよ、いつものポールがいいなあと思っちゃうのです。

No.1 Song 「Coming Up」

第27位 『Flaming Pie』

ジェフ・リンがプロデュースに関わってると聞いて、ものすごく期待したんだけれど、ジェフらしさをまったく感じなくって...ジョージと一緒の時はあんなにいい仕事をしたのに、ポールに対しては言いたい事言えなかったのかなあ、なんて思ってしまった。
ポールに「ジョージと同じサウンドにするなよ」と釘を刺された、とか?
でも、ファンの間では評価が高いアルバム。

爽やかで草原の香りがする「Young Boy」、シンプルなアコースティック曲「Calico Skies」あたりが代表曲。
だけど僕としては、どこがジェフ・リンなの?という感じで、期待を大きく裏切られたという思いが強いんだ。
これはポールのアルバムであって、そこにジェフ・リンを期待する方が間違ってるだろと言われれば、そうなんだけど。
でも、そういう期待外れの印象を持っちゃったからね。ファンの間で人気があっても、僕の評価は低い。

ただ、唯一、「Beautiful Night」だけは素晴らしい。メロディ、アレンジ共に最高な、ポールらしさにあふれた名バラード。
この曲があるからこそ、「また聴いてもいいかな」と思えるし、いつの日か、いいアルバムだなと思える日が来るんじゃないかと期待をかけてます。

No.1 Song 「Beautiful Night」

第28位 『Unplugged』

肩の力を抜いてリラックス。温かい雰囲気で楽しそうなのが、アンプラグド・シリーズの特徴。
エレキでガツンといってた「She’s A Woman」でさえ、こういうアコースティックなアレンジになります。
ビートルズ・ナンバーとカヴァー曲中心。
ポールのソロ曲は少なく、しかも何故か1stの曲ばっかり。
通常のライヴとはまるで違う雰囲気とセットリストは異彩を放ってます。
こういうのどかな曲もポールの魅力かもしれないけど、それ一辺倒ではね。ロック・バンド形式のライヴが好きな僕としては、ちょっと物足りないんだよなあ。

No.1 Song 「Junk」

第29位 『Chaos And Creation In The Backyard』

このアルバムは忌まわしきCCCDでのリリースという事になって、購入するのをやめてしまった。
つまり、ここからリアルタイムのポールから離れる事になってしまったという意味でも罪深いアルバム。
でも、ファンの間では評価が高かったから、ずっと気になってて、割と最近になって通常CDでリリースされたものを聴いたんだけど、あまりいいとは思えなかった。
全体的にアコースティック。素朴さがいいのかもしれないけど、デモみたいに聴こえちゃって。そういう音が好きな人にはたまらないんだろうけど。

ピアノが盛り立てる「Fine Line」や、アコギが大活躍「Jenny Wren」など、楽器の良さを引き出すような、シンプルなサウンドが軸。
バンド・サウンドが好きな僕にとっては、そういうところが物足りないのかも。

No.1 Song 「Fine Line」

第30位 『McCartney III』

マッカートニー・シリーズ第3弾。
このシリーズは、メロディよりもサウンドに重きを置いて、遊んだり実験したりという色が濃い。
で、このアルバムを覆っているのは不穏な空気。
「Long Tailed Winter Bird」「Deep Deep Feeling」...ポールの暗黒面を見ているようです。
聴いてると、気分は重く、暗くなります。いつになっても心は晴れず、こんなポールは初めて。
親しみやすいのがポールだと思ってたけど、どうやらそうではないらしい。

No.1 Song 「Women And Wives」

第31位 『CHOBA B CCCP』

ソ連でリリースするために作られたアルバム。
文化的に閉じられていたソ連の人々に、ロックンロールを教えるため、50年代の曲をカヴァーして収録。
でも、ロックの良さを教えるんだったら、そんな他人の古い曲じゃなくて、ポール自身のオリジナル曲を教えればいいのに、と不思議に思ったものです。
まあ、自分の好きなものをおススメしたい気持ちもわかるけどね。
この作品を、ロックの教科書にしてほしいという願いが込められているんでしょう。

No.1 Song 「Bring It On Home To Me」

第32位 『Kisses On The Bottom』

ジャズ・スタンダードのカヴァー集。
カヴァーにあまり興味がない僕は、まったく買う気がせず。運良く図書館で借りて聴きました。
でもね、なんだかやっぱり興味が持てない。
スタンダードなんだから、名曲なんだろうけど、僕の好みからは外れてて、聴いてても飽きがきちゃう。

ただし、ポール作の「My Valentine」だけは大好きで、やっぱりカヴァーよりオリジナルの方がずっといいじゃん、との思いが強くなるだけでした。

No.1 Song 「My Valentine」

第33位 『Run Devil Run』

オールド・ロックンロールのカヴァー集。
カヴァーにあまり興味がない僕は、まったく買う気がせず、スルーしてたのだけど、リリースから数年後、近所のCDショップの閉店半額セールで売ってたのでとりあえず買いました。
でも2回くらいしか聴いてないや。

No.1 Song 「What It Is」

さて。
これだけたくさんのアルバムがあると、好きなアルバム、嫌いなアルバムとあるのが普通ですよね?
それともみなさんは、好きなアーティストのアルバムなら全部好きですか?
僕は、全部好き、とまでは言えません。
好きなアーティストだからこそ、文句を言いたくなる場合もあります。
思い入れの違いを鮮明にするために、下位のアルバムは否定的なコメントになってしまいましたが、そこは大好きなポール。そこいらのアーティストよりもずっといいと思えるアルバムだったりもしますのでご安心を。

みなさんの好きなポールと僕の好きなポールには、どれだけ違いがあったでしょうか。
同じアーティストを好きでも、同じアルバムが好きとは限らないのが面白いところだったりします。
いろんなファンの方の意見があると思います。
僕は、そういうファンの意見の違いを面白がったりしたいので、まずは自分の好みを披露してみました。

ただ、これも今の時点での事です。
同じアルバムでも、聴くタイミングによって印象が変わったり、何度か聴き続けたりする事によって良さがわかっていったりするものもあります。
これからもポールのアルバムは聴き続けていくと思いますので、またいろいろと変化してくるかもしれません。
それが、いい変化であれば、言う事はないですね。
もっともっとポールを好きになっていきたいです。

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