2017年10月6日(金)@昭和女子大学人見記念講堂
昔は諦めてたライヴ
森高千里は、リアルタイム世代でドンピシャで大好きだった。
だけど、当時ライヴに行く事は諦めててね。
だって、今のようにチケットがネットで買える時代ではなかった。
チケットを買うなら、ぴあに電話するか、店頭に行くしかなかった。
人気アーティストのライヴの場合、発売開始時刻に電話したって繋がりゃしない。呼び出し音さえ鳴らずに、即座に「ただいま大変混み合っておりますので後でおかけ直し下さい」のアナウンスが流れるだけ。やっと繋がる頃にはもう売り切れた後。電話で買える人は都内の人だけだったんじゃなかろうか。
かといって、直接店頭に行くというのも、僕の家の近くにぴあなんてないから、わざわざ電車で出かけねばならず、人気のチケットなら徹夜組がいるのは当たり前だし、それでも売り切れで買えない場合もある。
そこまでしても手に入らない時のダメージを考えたら、非常にリスクが高い。
というわけで、人気アーティストのライヴのチケットを獲るというのは至難の業で、ほとんどのものを諦めていたんだよね。
森高もしかり、だった。
再現ライヴ3DAYS
最近は、音楽番組のMCで観る程度だった森高がライヴを演るという情報を得た。
しかも今回は、人気絶頂期の、1991年『ザ・森高』ツアー、1992年『ROCK ALIVE』ツアー、1993年『LUCKY SEVEN』ツアーのセットリストを再現する3DAYSになるという。
これは観たい!
特に、僕が1番森高が好きだった頃の『ザ・森高』ツアーのセットリストが素晴らしく、どうしても観たい、と。
会場も馴染みのある昭和女子大学人見記念講堂だし、仕事の休みが取りやすい金曜日だし。
なんとしてもチケット獲りたいな、と、ぴあの当選確率UP券を使って抽選に申し込んだら、見事に当選!
しかし、後で調べてみたら、Zepp DiverCity TOKYOで行われる2DAYSはチケット余ってたので、もしかしたら、人見記念講堂のチケットも、一般発売で余裕で買えたのかもしれない(僕が気付いた時には売り切れてたけど)。
今の森高は、そこまで人気というわけではなさそうで。
でもまあ、とにかく、当時観たくても観れなかった森高のライヴが観れる事になって、あの頃の思いを取り戻せるような、嬉しい気分になったのだった。
そしてツアー決定のニュースの後には、当時の『ザ・森高』ツアーを収録したDVD&CDのリリースも決定して、僕にとってはドンピシャ、もちろん購入。
実際に観たり聴いたりしてみると、予想以上に素晴らしいセットリストと内容で、これが実際に観れるのかと思うと、森高への気持ちはどんどん盛り上がっていったのだった。
ライヴ当日。会場へ
当日は、生憎の雨。
僅かに濡れながら会場に着いたのは18時30分頃。
人見記念講堂はこの1年で3度目なので、慣れたもの。
グッズ売り場は長蛇の列で、階段の2階より上まで列は伸びていた。僕は今回買いたいグッズがなかったから安心したけど。
僕の席は2階F列28番。
先行抽選で買ったのに、2階席だなんて、やっぱり納得いかないよなあ。早く購入した人には良い席をあてがってもらいたいものだけど、なんとかならないのか。
ただまあ、ほぼ中央の席だったので、見やすかったし、それほど悪い席ではなかったかもしれない、と思い込む事にした。
ライヴのスタート
開演時間の19時を8分ほど過ぎ、場内が暗転。
バンド・メンバーが登場。
01. 彼女
02. 短い夏
03. ザ・勉強の歌
04. 青春
05. あるOLの青春 ~A子の場合~
06. ミーハー
07. 雨
08. ザ・のぞかないで
09. ザ・ストレス
10. NEW SEASON
11. 臭いものにはフタをしろ!!
12. その後の私
13. 夜の煙突
14. GET SMILE
(Encore 1)
15. 八月の恋
16. ファンキー・モンキー・ベイビー
17. テリヤキ・バーガー
(Encore 2)
18. この街
1曲目「彼女」のヘヴィなサウンドに導かれ、ステージ中央奥から森高が姿を現した。
当時のバブリーな雰囲気を思い出させるスパンコールの衣装で、当然のようにミニ・スカートの森高。
始まったら、1階席は早くも総立ち。
2階席では、立つ人はチラホラだったのだが、僕の目の前の人がその「チラ」で、立ってしまったので、僕が座ったままではステージが全然観えない!
2階席なら座ったまま観るんだろうなと思ってたけど、早くも予定変更で、僕も立つしかなかった。
でも、2階席は立ってる人はほとんどいないので、僕の隣の人とかは当然座ったままだし、そんな中で立って観るというのは、なんとも落ち着かなかったな。
「短い夏」も、筒美京平大先生が作った、好きな歌。
「♪ みーじかーい、なつだよーん」「♪ 夏はやっぱり海ね」と歌われる、切なくも熱いメロディ。
「ザ・勉強の歌」「青春」と、爽やかでポップな曲が続き、楽しい気分に。
イントロから心奪われるのが「あるOLの青春 ~A子の場合~」。
当時森高が得意としたユーロ・ビートのナンバー。
「♪ ひとりぼっちの夏休みは部屋でファミコンして」と歌われる。
森高は明らかにリア充だけど、こういうオタク系の女の子の歌を歌える所にも魅力があった。
森高が初めて作詞した「ミーハー」。
「♪ お嬢様じゃないの 私ただのミーハー」という所が等身大で、素直に好感が持てた。
昔はそれほど好きな曲ではなかったけれど、ライヴだと、ムズムズと盛り上がってくる佳曲で好きになった。
次は当時、傑作と言われて、森高の代表曲になるだろうと評判だったバラードの「雨」。
この日はバラードはこの曲だけだったので、しっとりじっくり聴ける貴重な時間だった。
『ザ・森高ツアー』のライヴ盤を聴いていて、すごく好きになったのが「ザ・のぞかないで」で、すごく楽しみにしていた。
今で言えばセクハラ野郎に対してというか、変態、痴漢、ドスケベというワードも出てきて、怒りをぶちまけるカッコいい曲。
だけど、終盤の「ビシベシビシベシバーン!」とかいうセリフが痺れるほどカッコいい所なのに、今回は言わなかったので、すごく残念だった。
ここで、スクリーンに当時の寸劇が映し出される。
これはDVDと同じ映像で、今観ると、いささか寒い寸劇だけれど。
そして、この寸劇に導かれて始まるのが「ザ・ストレス」。
ここで再登場した森高が黒いマントを脱ぎ捨てると、当時話題になったウェイトレスの衣装!これを観た観客がドッと沸く。がんばるなあ、森高、と。
スクリーンには当時の森高の映像が映し出されているのだが、2階席からだと肉眼では生の森高の表情をとらえる事はできないので、スクリーンの映像が、今の森高の映像のようにも思えて不思議な感覚だった。
デビュー曲「NEW SEASON」は、失恋の曲なんだけど、爽やかな歌。
この曲から森高は始まったわけだけれども、ブレイク後も、そして今も色褪せる事がない、いい曲なんだな、と。
オールド・ロックンロールのリズムに合わせて、これもある意味怒りをこめたメッセージ・ソングの「臭いものにはフタをしろ!!」。
モンキー・ダンスの森高。
この曲に限らず、バブル時代を象徴するような衣装とダンスで、まるでお立ち台に上がったディスコ・クイーンのような雰囲気を醸し出している、今日の森高だった。
本編終盤のこの3曲が僕にとっては1番の目当て。
まずはユーロ・ビートの森高コネクション・シリーズ「その後の私」。
当時のライヴでは歌詞を忘れてまったく歌えなかった、サビの「♪ 初めてのデートの帰りにキスをされてしまった」がちゃんと聴けて満足。ここがたまらないんだよね。
まさに胸キュン・ソング。
そして次も大好きで、この日一番盛り上がったと思えるのが「夜の煙突」。
とても可愛らしい歌詞に、フォーク・ロックのような爽やかさと、パンク・ロックのような潔さが入り交じって、ガツンガツンと盛り上がれる曲。
Aメロがコミカルで、サビ前の演奏でグーンと気分が上昇、そしてサビの「♪ ハシゴを昇る途中で振り返ると僕の家の灯りが見える」の、森高と観客の交互のリフレイン。
そして最後は狂ったようになって。
いやあ、アガッたなあ。
さらに大好きな「GET SMILE」が本編最後。
クールでカッコいいオンナ、森高の真骨頂。
サビの「♪ 行くぞっ!」が、なんともシビれる。
思い入れありまくりの曲なので、これが生で聴けるなんて最高だった。
僕にしてみたら、大好きな曲は皆この本編に集中しているので、ライヴCDを何度も聴いたのはここまでだったし、これで目的は果たせた、という感じ。
あとはおまけ。
アンコール1曲目は、筒美京平大先生が作った「八月の恋」。
切なくも、どこか爽やかな風が吹いて来るかのようなムード。
でも、筒美先生にしては、サラリとしてる感じかな。
次は「ファンキー・モンキー・ベイビー」。
もちろん、キャロルのカヴァー。
うーん、これは元々好きではない曲なのでね。
でも、生で聴くと、そんなにイヤではなかった。
そしてメンバー紹介。
「ギター、たかはしゆいち!」
たかはしゆいち?
高橋諭一!?
高橋諭一といったら、たくさん森高の曲を作ったはもちろん、のちにモーニング娘。などのハロプロ作品ではたくさんの編曲を手掛けてて、お気に入りの人だった。
てっきり、曲作りの裏方しかやらない人だと思ってたら、ライヴで演奏もする人だったとは。
なんか、レジェンドを拝めた、という感じ。
そしてさらに、
「ギター、すずきまりあ!」
まりあ?
ええ?女の子!?
それまで、すっかりロン毛のおっさんだと思ってたからビックリ(2階席からだったから仕方ないのよ)。
よく見たら、たしかにスカート穿いていて、女の子。
この日ギタリストは2人だったけど、リード・ギターと言える演奏をしてたのはこちらの方で、それまでも鋭いギター・ソロを弾くなあ、と思ってたんだけど、まさか女の子とは。
もう、すっかり観る目が変わっちゃって、それからは森高を差し置いて彼女に釘付け。気になっちゃって気になっちゃって。
リード・ギターなんだけど、ガンガン前に出て主張するタイプではなく、控えめで。
だけどしっかりとした音は出していて。
お辞儀なんかもとてもしおらしく、好感が持てて、もっと早く女の子だと気付きたかった、と。
「テリヤキ・バーガー」は、非常にアメリカンな、壮大な曲。
森高の「♪ ロックもヘチマも」の後に「関係ないわよー!」と合唱できる幸せ。
ダブル・アンコールは、「この街」。
『ザ・森高』に収録された、しっとりとしたバラード・ヴァージョンから始まって、途中からポップなアップ・テンポに。
終盤では、森高の生熊本弁が聞けたし(ちょっと何言ってるかわからない所もあったけど)。
全18曲というのは割と少なめだし、ライヴDVD&CDでは1時間40分くらいで終了してたので、その時間だと少ないから、さらにアンコールとして、サプライズで数曲やってくれないかなあ、と期待してたんだけど、残念ながらここで終了。
本当に、当時のセットリストを再現するという事にこだわっていた。
終了時間は21時5分頃。ちょうど2時間のステージだった。
素晴らしいセットリスト。まるで絶頂期のライヴを観てるよう
『ザ・森高』収録曲を中心に、『非実力派宣言』『古今東西』からの曲も織り交ぜたセットリストはやっぱり素晴らしく、僕が聴きたかった、観たかった内容。
衣装も、すべて当時の森高を思わせるもので(とは言っても、大きな肩パットとか、あまりにもバブルなものは今風にアレンジされていた)、スパンコールとか、ウェイトレスとか、『ザ・森高』のジャケットのものとか感動的だし、当然どれもミニ・スカートで美脚は健在!で。
「私がオバさんになっても」で、「♪ ミニ・スカートはとてもムリよ 若い子には負けるわ」なんて歌ってたのに、全然その気なし!(笑)
さらに次の週には、ライヴハウスで2DAYSが控えていて、MCでは、そっちではドラムやったりギターやったりするとか言ってて、たしかに、楽器を演奏する森高が観たかった!と思ったのだけど、今さらそれは無理な話で(チケットはまだ売ってるらしいんだけど)、まあ、それは贅沢な話だな、と自分を納得させる事にしたのだった。
今日のライヴはあらかじめセットリストがわかっていたから安心だったし、実際とても満足したし、次にまた森高がライヴをやると言ったら是非また来よう、と思った。
楽器を演奏する姿を観るのは、その時までのお楽しみだな。
ただ、ちょっと違和感があったのは、森高の声。
歌声は、伸びやかで、ちゃんと声出てるなと思ったのだけど、微妙に甲高いというか、ヴォーカルにエフェクトかけてるんじゃないの?と感じるような、機械的な気がした。
その反面、MCでのしゃべり声は、あれ?こんな声だったっけ?と思ってしまうような、ガラガラ声。歌の練習しすぎ?って感じで荒れていて。
最近テレビのMCでしゃべってるのを聴く限りでは、昔と印象変わらなかったのに、今回生で聴くしゃべり声は、衰えてるというか荒れてるというか。
さすがに、おばさんの声になっていってるのかなあ、と思ってしまった。
そんな感じで、歌声もしゃべり声も、微妙な違和感を感じたのだった。
まあ、そんなこんなを含めても、大満足の一日。
ホント、若い頃の夢を取り戻せた感じで、夢のようなライヴだった。
今後はまた久し振りに新曲作って、アルバム作って、という姿を観たい。
そして、それをひっさげての精力的な活動。
テレビにライヴに大活躍、そんな森高が観たい、と思った。
絶頂期のライヴの映像がDVDになりました
森高千里 『「ザ・森高」ツアー1991.8.22 at 渋谷公会堂』 Amazonで見る
僕が観たライヴのオリジナル、絶頂期のライヴ映像がBlu-ray&DVDになりました。
CD2枚も付いています。
今の森高と当時の森高、ライヴでは見分けがつきません。
この映像が今の映像でもあるかのような錯覚も受けます。
当時のライヴも観てみたかったなあという思いもありますが、映像観てるだけで、結構満足しちゃいます。
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