マンドゥ・ディアオ Live@渋谷CLUB QUATTRO 2018.1.9 感想

MANDO DIAO JAPAN TOUR 2018

2018年1月9日(火)@渋谷CLUB QUATTRO

新生マンドゥがやって来る

日本のレコード会社との契約が切れ、活動のニュースもなかなか入らなくなってきて、さらにはいつのまにかフロントマンの1人グスタフが脱退していて、「ああ、もう終わったな」と思っていたマンドゥ・ディアオ。
それが、もう1人のフロントマン、ビヨルンを中心にした新生マンドゥのNEWアルバムが想像以上に傑作で、惚れ直しました。
そんな新生マンドゥが日本にやって来る。
公演日も、僕が仕事休みの日に重なり、なんの障害もありません。
デビュー直後の彼らを目撃した僕としては、新しく生まれ変わって再デビューな感じの彼らを観に行かないでどうする、という思いでした。

ライヴ当日。会場へ。

ただ、15年近く前の来日時の会場はZepp Tokyo。
今回はCLUB QUATTRO。
規模は随分小さくなりました。
それでも、チケットはソールド・アウトにならないまま、ライヴ当日を迎えました。
これが今のマンドゥの現実かと、悲しい思いはするも、ハコが小さい分、間近で彼らを観る事が出来ると前向きにとらえ、そして、そんな彼らを応援しているんだと、少々誇らしい気持ちになりながら、会場に向かいました。

CLUB QUATTROでライヴを観るのは2回目ですが、ここ2~3年の間に渋谷に来る機会はとても多く、その際にはQUATTROの階下にあるBOOK OFFは必ず訪れているので、もう庭みたいな親近感を憶えています。

開場時間の18時30分を10分ほど過ぎに会場入り。
並ぶ事もなく、すんなり入れます。
まだこの時点では、客の入りは2割ほどでした。
開演時間の19時30分までは、まだかなり時間があるのですが、ライヴハウスなので、自分にとって良い場所を確保する必要があります。
すぐにトイレを済ませ、ドリンクを引き換えて、ポイントを探します。
ま、僕が好きなポイントは、いつも通り最後方なんですけどね。ステージが真正面に見える位置、最後方の壁際を確保する事が出来ました。
しかし、そこから30分以上じっと待つのはちょっと辛いかなと思ったのですが、意外とそうでもなかったですね。

前座が長い...なかなか始まらないマンドゥ

チケット発売時にはアナウンスはなかったのですが、いつのまにかオープニング・アクトが決まっていました。
Newspeakというバンドです。
以前マンドゥを観た時にも前座はいて、外国から一緒にやって来たバンドだったので、今回も抱き合わせ商法的な感じで来るのかと思い、ちょちょっと調べてみたら、帰国子女的な事を謳ってましたが、日本のバンドでした。
そもそも19時30分という、遅めの開演時間なのに、さらに前座があるなんて、マンドゥが出てくるのは何時になるんだよ、という不満もあったのですが。
自分の座席がある会場だったら、前座なんて観なくてもいいや、と思うのですが、ライヴハウスでは鑑賞ポイントを確保しておく必要があるため、場所を離れるわけにいきません。
じっと我慢です。
Newspeakの肝心の曲ですが、それなりにいい感じに聴こえたのが2曲ほどありましたが、なにせ、歌詞が英語でね。
英語で歌って大成功した日本のバンドって、ほとんどいません。
なので、彼らが大成功する可能性はやはり低いと言わざるを得ません。
自分の世界に入り込んで歌ってると言えば聞こえはいいですが、ちょっと自分に酔ってる感じを受けてしまいました。
決して、悪い音楽ではなかったですし、多少好感の持てる音楽でしたが、やはり、早くメイン・ディッシュを出してくれ、という思いでいっぱいでしたね。

ようやくライヴのスタート

Newspeakの演奏が終了したのが20時頃。
それからまたステージの準備やらなんやらの休憩タイムになってしまい、なかなか始まりません。
ようやくマンドゥが登場したのは、20時20分頃でした。
こんな遅い時間に始まるライヴを観るのは初めてかもしれません。早い開演時間のライヴだったら、ヘタしたら終わってるくらいの時間ですよね。
開場が渋谷だったので、帰りの電車の時間は余裕があったので良かったですが、別の場所だったら、終了時間が心配でハラハラするところでしたよ。
ともかく、ようやくマンドゥのライヴが始まりました。

01. San Francisco Bay
02. All The Things
03. Sweet Ride
04. Good Times
05. All My Senses
06. Dancing All The Way To Hell
07. One Two Three
08. Mr. Moon
09. Break Us
10. Voices On The Radio
11. Watch Me Now
12. Down In The Past
13. You Got Nothing On Me
14. Gloria
15. Ochrasy
(Encore)
16. The Band
17. Shake
18. Dance With Somebody

メンバーがドラムの前に集まって、輪を組むような感じで顔を見合わせながら演奏を始めたのが印象的でしたね。メンバーの結束力を感じました。
そうして始まったのが「San Francisco Bay」
どうしてこんな地味な曲が1曲目なのか、とても意外です。だってコレ、オリジナル・アルバム未収録の、シングルのカップリングであろう曲だからです。
まあ、シングルのカップリングをまとめたアルバムには収録されてるので、一応アルバム曲と言えなくもないのですが...僕も、今回のライヴに備えて、ツアーのセットリストを調べるまで、この曲の存在なんて記憶にありませんでしたよ。
ただ、存在は地味ですが、曲調は結構ヘヴィで、ジワジワと攻め立てる曲です。

こうして始まったライヴでしたが、ビヨルンの声に違和感。
CDで聴く声となんだか違うのです。野太い感じで、荒れている。連日のライヴでノドがつぶれ気味なのでしょうか?声が出てないわけではなく、しっかり出てるんだけれど、なんだか違う。目の前で姿を観てなければ、別人が歌ってると思っちゃうレベルでした。
これはどうした事でしょう。

「♪ Hey!」の掛け声に思わず熱くなる「All The Things」
途中から入ってくるベースの音が腹に響いて気持ちいい!
このビート、スピード感。ライヴを盛り上げるにはうってつけの曲です。

初期の代表曲「Sweet Ride」
これまたスピード・ナンバーですが、ポップな味付けです。

エレクトロのような音に合わせて、ビヨルンが絞るように歌い始める「Good Times」
サビは力が入ります。Cメロでメロウな雰囲気に変わるのも良い。

「All My Senses」は、孤独な男の哀愁を歌うビヨルンが大好きな曲でしたが、CDと違ってややラフな演奏で、バンドのメンバーの存在感を感じ、「孤独」な印象はなかったですね。

「Dancing All The Way To Hell」は、やや抑え気味の演奏から、一気にサビで「♪ Yourself! Yourself! Yourself!」と爆発する様に連呼する所に興奮しました。キレがあって素晴らしい。

「One Two Three」は、歌メロ自体は大した事のない曲と思ってたのですが、ライヴだとまた一味違いますね。それなりに盛り上がります。間奏の雰囲気が割と好きなんです。

『Bring ‘em In』からの曲と言って始まったのが「Mr. Moon」
当時から、ビヨルンの代名詞と言っていい曲でした。これをやってくれないとね。
サビの切ないメロディとシャウトがたまりません。

事前に調べたヨーロッパ・ツアーでのセットリストでは、ここで「The Band」が披露されてたはずでしたが、違いました。
ああ、「The Band」やらないのか、とガックリきました。

一部のメンバーが退場し、ビヨルンとキーボードのダニエルだけとなって、「Break Us」
ビヨルンが朗々と歌い上げるバラードです。

またバンド演奏となって、大好きな「Voices On The Radio」
虚ろで切ないメロディに胸が苦しくなります。

ライヴで聴くのを楽しみにしてた「Watch Me Now」
ビヨルンお得意の、哀愁を漂わせたキャッチーなメロディにも胸アツですが、ギターの音色も聴き所です。特に間奏のギター・ソロは、イェンスからビヨルンの順番でソロを奏でる、たまらない瞬間でした。

そして間髪入れずに「Down In The Past」
これがCDよりも数段テンポ・アップしてて、ものすごいスピード感。このスピードで演奏するには、メンバーもものすごい集中力が必要なのでしょう、それ故にとても熱い演奏となってました。
「すごい!」思わず唸りました。
メンバー全員一心不乱に演奏する様がカッコいい。
僕も1番興奮したのはこの曲でしたね。
この11曲目から12曲目の流れは最高でした。

前の曲で精魂使い尽くしたか、次の「You Got Nothing On Me」は、結構乱れた演奏でしたね(笑)。
まあ、ガレージ・バンドですから、そんな所も魅力です。

前曲と同じく、後期の『Give Me Fire』からの代表曲「Gloria」
ライヴで聴くのは初めてのはずなのに、もうデビュー当時からある曲のような馴染みを感じます。
観客全員で「♪ Gloria!」とコールして、会場が一体になりました。

本編ラストは、おとなしい「Ochrasy」
今までの熱さはなんだったんだ?と思わせるような、クール・ダウンな曲です。
歌いながら、観客にニヤリとした笑いを向けるビヨルンが印象的でした。

事前に調べたヨーロッパ・ツアーでのセットリストでは、アンコール1曲目は、日本盤CDも出てなくて、僕も持ってないアルバム『Aelita』から、「Child」という曲で、はたしてどんな曲だろうと思っていたのですが、アンコールで再登場した彼らが奏でたのは「The Band」でした。
おお、そうか、そう来ましたか。
アンコールでやるために、これは中盤でやらなかったのね。
日本人には馴染みのない「Child」をやるよりも、ずっと良い判断だったと思います。
明るくポップで、とても気持ちのいい曲で、テンションが上がります。
初期のビヨルンの、と言うよりマンドゥの代表曲です。やっぱりやってくれないと困ります。

シリアスなムードになって「Shake」
「♪ I need somebody」の後の切り裂くようなギターに痺れます。このギターのキレと響きを生で体感したかったんです。
中盤でメロウになる展開も素晴らしく、1曲の間でいろんな顔を見せます。

「Dance With Somebody」は、その名の通り、思わず体が疼きます。
そしてサビでは、本当に自然に、ジャンプしながら一緒になって歌ってしまいました。それは他の観客も同じで、一斉にジャンプする光景も圧巻だし、あちこちで歌声が聴こえます。
ビヨルンもそれは承知の上で、客を煽って歌わせます。そして、客に歌わせたままで終了。まさかビヨルンの声ではなく、客の歌でライヴが終了するとは思いませんでした(笑)。

満足なセットリスト。ビヨルン中心の熱いライヴ

終了したのは、ほぼ22時。

NEWアルバムの曲を中心に、過去の代表曲も織り交ぜたセットリストは、大満足でした。
来日公演が決まった時、Twitter上でもファンの間で「グスタフの曲はどうするのか?」との意見がたくさん出てましたが、やるわけありません(笑)。
でも、グスタフはいなくとも、ビヨルンが作った曲だけで、こんなに素晴らしいライヴをする事ができるマンドゥに、胸が熱くなりました。
以前は、グスタフとビヨルンという2人のフロントマンがいて、その2人が張り合うように交互にヴォーカルを取る所がマンドゥの魅力で、そこがビートルズを思わせるような所もあり、好きでした。
もちろん、今でもここにグスタフがいたら...と想像してしまう所はあります。
でも、グスタフがいなくなった事で、開き直ってビヨルンを中心にするという、また新たな魅力が生まれたのも確かです。

僕が以前観た時と、どれだけメンバーが同じなのかは不明瞭なのですが、演奏の途中でメンバー紹介がありました。たしか、「Gloria」か「Shake」かのどちらかの演奏中だったと思います。
ビヨルン。
CJ(ベース)。
ダニエル(キーボード)。
パトリック(ドラム)。
イェンス(ギター)。
以前もいたと確信できるのはベースのCJです。今回も、赤いリッケンバッカーのベースを抱えていて、この楽器のチョイスも嬉しい所です。何度も、腹に響き渡るベース・ラインを弾いてくれて、マンドゥのビートを作り上げていました。
それから、ウィキペディアなどではまだ記載がなく、最近正式メンバーになったらしいのが、ギターのイェンス。イェンスは、キレのあるギターを聴かせてくれた事はもちろん、ビヨルンに代わりMCなどでも活躍していて、すっかりバンドに馴染んでいました。
寡黙ながらも激しいドラムのパトリックや、穏やかなダニエルなども印象的でした。
そしてビヨルンは、ギターを弾きながら歌ったり、ハンド・マイクに持ち替えたり、パフォーマーとしても以前よりレベル・アップした感じです。終盤は裸になるのは相変わらずでした(笑)。

今回のCLUB QUATTRO、客の入りは8割くらいだったでしょうか。平日の2日間公演という事で、こんな小さなハコでもソールド・アウトにならなかったのは少々寂しい気持ちはありますが、観る分には、余裕を持って観れたのですからOKです。
以前マンドゥを観たのは、Zepp Tokyoの2階席だったので、今回、それとは雲泥の差の近い距離で観れたのも良かったです。メンバー全員の表情がはっきりと観てとれました。
ただ、僕は前座が始まるよりもずっと前から場所を獲っていたのに、マンドゥが始まる直前にやって来た人たちが、僕の目の前に陣取り、何度も僕の視界を遮ってたのは少々腹が立ちました。
まあ、自分の座席のないライヴハウスでは仕方ない事なのですが。
それに、ダメだと言われているのに、あちこちでスマホで映像を録っている人がいたのにも腹立ちましたね。

次の日もQUATTROで東京2日目の公演が行われたのですが、セットリストを確認してみると、「All My Senses」と「Watch Me Now」が差し替えになってました。
どちらも大好きな曲だったから、怖い差し替えです。
偶然だったとは言え、初日の方を観に行って良かったなあ、と思いました。

ともかく、新生マンドゥ・ディアオ、熱いライヴに興奮しました。
新年早々、いいものを見せてもらいました。
これからも、マンドゥに注目し続け、応援したいと思います!

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