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KUWATA BAND『NIPPON NO ROCK BAND』

素晴らしいシングルを連発した後、リリースされたアルバムは全曲英語詞!意表を突かれた。
たしかに、これはサザンでは出来ないよなあ。
英語詞でやったことで、失敗作と捉えられてる面もありますが、メロディは桑田節、カッコいい曲も多く、僕は満足したのです。
(2024.5.20)
『Keisuke Kuwata』

KUWATA BANDでロックを追求した後は、とことんポップスにこだわった。
「今でも君を愛してる」「いつか何処かで」「遠い街角」「誰かの風の跡」など、ソフトな感触で遠き日に想いを馳せる名曲の数々。
心をくすぐる音を作らせたら随一、小林武史の才能も開花した名盤だ。
(2024.5.23)
『孤独の太陽』

シングル「月」はもちろん、「漫画ドリーム」「僕のお父さん」など、アコギ中心にバンカラで暗めの曲が多く、前作のポップさはどこへやら。
桑田さん変わっちゃったと拒絶反応。
でも「鏡」「JOURNEY」など段々好きになれる曲が増えていって、今では名盤だと思うようになった。
(2024.5.29)
『ROCK AND ROLL HERO』

やっぱり僕にとって桑田佳祐ってのは特別な存在な訳で。
久々のソロ・アルバムという事で、ちょっと襟を正して聴いてみようかなと、歌詞カードを目の前に広げながら、どっぷりと漬かってみた。
でも、今回こうして聴いてみようと思ったのは、タイトル曲「ROCK AND ROLL HERO」の存在が大きい。
CMでサラッと耳にした限りでは、あまり僕好みの曲ではないなあ、なんて思ってたのだが、TVの歌番組出演時にこの曲の歌詞がテロップで出てたのを見て、興味を持ったからだ。アメリカとの関係なんかを含めた、ニッポンを皮肉った内容のものだったからだ。
仮歌ではおそらく「hold me tight」であったであろう部分を「アホみたい」としている所も桑田節健在、といった感じで。
中間には、フーの「無法の世界」みたいなアレンジも飛び出してて面白いしね。
「HOLD ON」は、じわじわとノレる曲だ。泉谷しげるっぽいけど(笑)。
思いっきりはしゃげる訳ではない、徐々に体が熱くなるような、そんな曲でアルバムはスタートする。いいぞ、これは。
「影法師」は、レニー・クラヴィッツだね。
ジョン・レノンと言うよりレニクラ。
サザンでも演ってたけどね。こういうのは。
「BLUE MONDAY」は、ショッキング・ブルーの「ヴィーナス」(笑)。
オルガンなんかはドアーズみたいだね。
ラブ・サイケデリコがゲスト参加してて、コーラスでバッチリKUMIの声が。
そういう事もあって、60年代サウンドか。この曲も好き。
それで、シングル「東京」。
これがシングルと聞いた時は、「そう来るかあ~?」とビックリしたものだった。で、まさかあそこまでヒットするとも思えなかったから尚ビックリ。
マーチのリズムにヘヴィなサウンド。歌も「お経か詩吟みたいだ」と本人言ってたし(笑)。
すごい曲だよね。ブレイクする部分はカッコいいし。
個人的には、演歌だなあ、って思ったね(笑)。
「JAIL ~奇妙な果実~」は、お得意のエロ歌詞(笑)。
エロ歌詞はエロ歌詞でも、また随分とストレートで。
曲自体は、リフ先行で作ったなあ、ってのがわかるロック・ナンバー。
ベースとギターのおどろおどろしいユニゾンが印象的な「東京ジプシー・ローズ」も大好き。
「♪ 自由~」の部分は面白いけど、苦労して作ったんじゃないかな~と思ってたら、サビの「♪ sha la la la~」が突然たたみかける、のりやすいメロディになってたから大拍手。
これは一緒に歌わずにはいられない。
で、「東京ジプシー・ローズ」に負けず劣らず大好きなのが、「どん底のブルース」。
もう、タイトルからして暗いんだけど(笑)。
で、予想した通り、『孤独の太陽』時のくらーいやつね。
サザンでも「私の世紀末カルテ」ってのがあったけど、あの路線ね。
最近、こういう路線好きなんだよね。
マンドリンやハーモニカの音色が侘しくてさ。
自虐的な歌詞(途中、またアメリカ批判も飛び出すが)もいいしね。
思わず泣けてしまったさ。
CMでも流れてた「夏の日の少年」、サウンド的にはやっぱりビートルズってとこなんだろうけど、Aメロはスタカンの「カム・トゥ・ミルトン・キーンズ」みたいなだよね。
異色なのが「質量とエネルギーの等価性」。
これはハード・ロックだね。僕からしてみればヘヴィ・メタにも近いよ(笑)。
珍しくラップも飛び出すし。歌詞はわかりません(笑)。
で、最後の「ありがとう」はやっとこ落ち着ける(?)バラードなんだけど...バラードいうか、ピアノをバックに懐かしの日本の唄を歌ってみました、という感じ。
綺麗なメロディではあるんだけど、なんとなく違和感あったかなあ。桑田さんには合ってないんじゃないかと。
もうちょっとアレンジを変えて、原坊が歌った方がもっといい曲になったような気がする。...と最後は注文付けて。
で、全体を聴いてみて。ポップではなかったよ、やっぱり(笑)。
サザンと違って、もっとこう内面に食い込んでいくというのが桑田ソロの特徴で。恋愛ものの曲はほとんどないし。
で、サウンド的には前作『孤独の太陽』はフォークだったけれども、今回はもっとロックにやってみた、って感じ。
だから派手ではあるね、割かし。ポップではないけれど、派手。
こういうアルバムって、ちょっと前までの僕だったら、ピンと来なかっただろうなあ。ふ~んって言って、1~2回聴いて終わりだったかも。
でも、今の僕には結構きたなあ。
普段は歌詞を聴かない僕が、歌詞も含めてじっくり聴いてしまったもの。
どの曲が突出して...って訳ではないんだけれど、アルバム全体でドッシリとやられた、って感じ。
不本意ながら(?)聴きこんでしまいそうだ。
(2003.)
1stはポップ、2ndはフォークと来て、この3rdは骨太のロック。
ソロとはいえ、バンドを組んでライヴを意識したサウンドで統一。
「東京」「HOLD ON」もハードなアレンジが光るものの、逆に、フォークな「どん底のブルース」、モッズな「夏の日の少年」が印象に残る。
(2024.6.1)
『桑田さんのお仕事 07/08 魅惑のAVマリアージュ』
DVD同梱の特殊形態でリリースされたからカウントされてないけど、立派なオリジナル・アルバムだと思ってる。
クラプトン風「NUMBER WONDA GIRL」、不可思議な「現代東京奇譚」、温かな「明日晴れるかな」。
忘れられるのは惜しすぎる名盤。
(2024.6.7)
『MUSIC MAN』
大衆歌謡に近い感じの楽曲群。
だけど、制作途中で病気が発覚、療養を経て完成したという経緯もあって、どうもネガティブな空気が漂っている。
「銀河の星屑」を筆頭に、死の淵で追われているみたいで、冷静に聴けない。
ギラギラしたサウンドも無理に虚勢張ってるみたいで…。
(2024.6.10)
『がらくた』
2015年のサザンの活動がひと段落した後、すぐさまソロ活動を始めた桑田さん。
正直、少し休んでからだと思っていたので、この旺盛なやる気と行動力にはビックリしました。
「ヨシ子さん」「君への手紙」といったシングルが発表され、カップリング曲にも次々とタイアップが付き、テレビから桑田さんの曲がたくさん流れてきて、この調子なら、アルバムもすぐに出来るんじゃないか?と期待を抱かせたものでした。
僕はシングルは買わない主義なので、とにかくアルバム待ちですからね。
テレビで流れる新曲をチラチラと聴きながら、なかなかいいんじゃないか?早くアルバムを!と。
で、アルバムが出来るとなったら、1番心配してたのは、「百万本の赤い薔薇」が収録されるかどうかという事でした。
これは最近の桑田さんの曲の中で1番好きな曲だったのですが、シングル「ヨシ子さん」のカップリング曲としてリリースされたものだったからです。
カップリング曲だと、アルバムに収録される確率がかなり低くなってしまうじゃないか、と非常に不安だったのです。
それが、今回アルバム収録曲が発表になったら、この曲が無事にアルバムに収録される事となっていて、非常に安堵し、これなら、アルバムにかなり期待してもいいのではないか?と思ったのです。
収録曲を見て、期待値はさらに跳ね上がり、サザンも含め、こんなに桑田さんの作るアルバムを心待ちにしたのは久し振りでした。
「過ぎ去りし日々(ゴーイング・ダウン)」。
ラフで荒っぽいロックンロール・ナンバーでスタート。
高音のコーラスとかサビのファルセットとか、ビートルズっぽい所もあり。
サビの最後の「♪ Pop Pop Pop Pop」が気分がいい。
終始ノリの良さが伝わってくるので、気分はウキウキ。冒頭からこのアルバムに対する期待感がグッと高まるのです。
「♪ 無理したってしょうがないじゃない」は心に刻みたいと思います(笑)。
「若い広場」。
NHKの朝ドラ『ひよっこ』の主題歌としてお馴染み。
シングルとしてリリースされず、このアルバムにてやっとCD化。
朝ドラの舞台が1960年代という事で、その頃に流行っていたとしてもおかしくない曲調の昭和歌謡を目指したものと思われます。
イントロの「♪ Pon pon pon」というコーラスがなんともドリーミー。
みんなで合唱して盛り上がりそうなサビが1回しかないのもミソですね。
ちゃんと聴いてみてまず驚いたのは、朝ドラで使われている部分はほとんどが2番の歌詞だったという事。すっかり1番だと思ってたからね。だから最初は違和感があったし、慣れた今でも、やっぱり愛着があって、心に残るのは2番の歌詞の方だという事。
初め聴いた時は「愛の言葉降りる」で、天から降りてくる、っていうような感じだと思ってたら、「♪ 愛の言葉をリル」だって。リルってなんだ?人の名前か?可愛い響きだけど。
「♪ あれが青春だったかな」が胸に来る。
桑田さんほどではないけれど、僕の年齢はすでにおっさんで、こういう歌詞を聴かされると、ああそうだなあ、あの頃が青春だったんだなあ、と思わずにはいられません。
もう青春時代は来ないのだとも。
そして「♪ あの娘今頃どうしてる?」というのはダメ押しで、僕の青春時代を彩った女の子たちが、いま誰かと共に幸せになっている事を願わずにはいられません。
「大河の一滴」。
渋谷の情景で始まったものが何故、大河になるのかは謎なんだけど。
大河とは言ってるけれど、僕には「狭い」歌のように感じるなあ。悪い意味ではなくてね。
とても心が縮こまってしまうような切迫感があります。
ボブ・ディランを「神」と呼んで、「時代は変わり」「答えは風に吹かれている」と、心「ブルーにこんがらがって」「転がる石」は「女の如く」と、ディランにまつわるワードを連発していきます。
ラケルって言葉がやけに印象的です。でも、ラケルってなんだ?(笑)
「簪 / かんざし」。
しっとりと艶やかに濡れている曲です。
ただ切ないだけでなくて、ものすごい深みも感じるメロディを携えた、大人の曲。
ジャジーでもあり、歌謡曲的でもあり、さすが桑田さんと思わせる大名曲。
ピアノを基調としたシンプルなサウンドかと思いきや、微かにストリングスっぽい装飾もあるし、ウッド・ベースやホルンの響きが効果的に耳に残ります。
あるフォロワーさんが「現代東京奇譚」に似ていると指摘していて、なるほどと思ったのですが、リズムこそ違えど、サザンの「SAUDADE ~真冬の蜃気楼~」にも似ていると僕は思っていて、どちらも僕の大好きな曲。
というわけで、それらに通じるものがあるこの曲も文句なく僕の好みドンピシャなのです。
「愛のプレリュード」。
ベルとかトライアングルの音がポップな感じを出しています。
肩の力を抜いて、リラックスした雰囲気の南国ソング。
ツンデレの歌詞がいいですね。
それほど好みのタイプの曲じゃないのですが、ふと気付くと口ずさんでる時があって自分でもビックリです。
「愛のささくれ ~Nobody loves me」。
これも「若い広場」と同じで、おっさんになってしまった事を痛感する曲です。
女の子が大好きなのに、「♪ モテないんだもの」と、もうがんばって女の子を口説いてもどうにもならず、心がささくれだっていく様に共感し、愕然とします(笑)。
サビの荒くれた様に力の入るヴォーカルが心に来ます。
俺はエロいんだ、やりてえんだ、なのによぉ...という、ただのエロ歌ではない、哀愁を感じさせる曲です。
「♪ 張り裂けそうな前のボタン」の所の歌い方が好きなのですが、このボタンは自分の股間なのか、女性の胸元なのか、どちらにもとれる所がいいですね。
「君への手紙」。
ウッチャンナンチャンの内村光良に依頼されて、即座にこの名曲を作り上げたというのだから、その瞬発力の鋭さが鈍ってない桑田さんに驚きです。
「ヨシ子さん」の次のシングルにちゃんとこれを持ってきて修正した所が流石ですね。やっぱりシングルはこういう王道ソングがふさわしい。
ただ、シングルにしては、サウンドは意外とシンプルで、派手ではないですね。前半はアコギの弾き語り風だし。サビではちょっと厚みは出ますけど、それでもさりげないです。
でも、派手でもなく、さりげないのだけれど、不思議と、すべてのものを包み込むような、とても大きな世界観を持っている曲です。
サビのメロディが、ワム!の「Last Christmas」と同じだと言われてましたね。たしかに(笑)。
だけど僕は「Last Christmas」はあまり好きじゃないんですけど、この曲は好き。
最終的に感動できるメロディになってます。だから、この曲の方がはるかに上!
とにかく、この曲の感想を一言で表すなら、「心に沁みる」です。
「サイテーのワル」。
昨今の日本の有名人事情、不倫でもすれば大炎上して世間から批判の目を浴び、個人情報ダダ漏れ、ある事ない事書きたてられる...といった問題をテーマにした曲ですね。
そんな風潮に対する怒りと不安が見え隠れしてます。
ハードなギターのリフもあり、このアルバム中、一番ヘヴィなサウンドの曲。
終盤の展開もちょっと凝っていてカッコいいです。
「百万本の赤い薔薇」。
フジテレビのニュース番組『ユアタイム』のテーマソングで、キャスターを務める市川紗椰に捧げられた曲。
特定の女性に向けた曲ではありますが、誰が聴いても幸せな気持ちになれるような、晴れやかで爽やかな曲です。
シングル「ヨシ子さん」のカップリング曲としてリリースされ、どうしてこれが素直にタイトル曲じゃないんだと、疑問に思ったものです。
カップリング曲になってしまうと、アルバムに収録される確率がかなり低くなってしまうじゃないか、と非常に不安だったのですが、今回めでたくというか、こうして無事にアルバムに収録される事となりました。
もうそれだけで、このアルバムの成功は確実だと確信したものです。
それだけ僕が気に入っていた曲で、このアルバム中でもトップ・クラスのポップさを誇るナンバー。明るくノリが良く憶えやすいメロディ。非の打ちどころがありません。
歌詞に「紗椰」と入れたのも、潔い感じがします。
桑田さんは、今までも「エリー」とか「チャコ」とか「MARIKO」とか、曲中に女性の名前を入れた事は多くありましたが、ここまで特定の人物の名前をストレートに入れたのは逆に珍しいかも。
「恋するマンスリー・デイ」の「ユーコさん」以来かも(笑)。
で、CD付属のブックレットの曲解説では、この曲における原坊の重要性、才能を賛美した文章を書いているのですが、市川紗椰という、他の女性に捧げた曲についてそんな事を書いていると、なんだか、浮気したのがバレて、「母ちゃんごめんよ、お前が1番だよ」と謝っている亭主のようで面白いのでした。
「ほととぎす [杜鵑草]」。
前作の「月光の聖者達」を思わせるようなバラード。でもいい意味で、ちょっと軽い。
通常であれば、この曲を目玉と考えて、これでアルバムを締めくくってもいいものと思われますが、今の桑田さんは才能が全開で、この曲を上回る曲が量産できていて、あえてこれを目玉にせずに、アルバムのこんな位置にさらっと配置するという所にも凄さを実感します。
「オアシスと果樹園」。
JTBのCMで使われたってのもありますけど、このアルバムのプロモーション活動でこれを頻繁に披露してたところをみると、アルバムのリード曲と捉えていいのでしょうし、1番の自信作なんだろうね。
大好きな曲だけど、特にAメロが好き。
流れる様な畳み掛ける様な。桑田さんにしては珍しく、このAメロは詞先で作られたそうで、まさに降りてきたメロディ。
そうしてAメロが出来たら、あとは一気にノリのいいサビまで出来ちゃったんだろうなあ、と想像できます。
「ヨシ子さん」。
これの大問題は、シングルにしちゃった事だな。
桑田さんファンのほとんどが苦笑いするしかなかった曲。
これはね、シングルB面(カップリング)とか、アルバムの中とかで、ちょっとふざけてみましたよ、って感じで発表するなら、なんの問題もなく、みんな面白がれたと思うのよ。
だけど、これをシングルのA面(タイトル曲)にしちゃった、ってのがね。
それを、桑田さん、その歳で攻めますねえ、とプラスに受け取る向きもあるかもしれないけど、でもやっぱり、シングルは「売れる曲」で勝負すべきだと思うんだよね。
遊びで何回か聴くのならいいんだけど、「これがシングルです!」と、自信たっぷりに何度もテレビで歌われちゃうと、ちょっと桑田さん違いますよ、みんな引いてますよ、わかってますか?と。
これをテレビで聴いて、「いい曲だ、CD買おう!」と思う人がどれだけいるか。コアなファンしかいないでしょ。とても一般層には届かないよ。
決して嫌いな曲ではないのだけれど、そういう立ち位置が残念に思えます。
ただ、歌詞は桑田さんらしさ全開で、「♪ スゲェ High」とかね、「スキップ・ビート」を思い出したし。
「♪ ディランが歌ってた」って、またディランが出てくるし(笑)、この年の訃報を受けて「♪ ボウイさんが別れを告げた」とかね、この辺りの件は好き。
「Yin Yang」。
これは2013年リリースの曲だから、絶対今回のアルバムには入らないだろうと思ってた。
ってその後にサザンの活動があったんだよ?
つまりは活動の断絶があるわけで、今回のアルバムに入れるのは、2015年のサザンの活動後のソロの曲ばかりだと思うじゃん?
それなのに、ちょっと古い(?)この曲をひっぱり出してきたわけだからね、これは予想外。
曲自体はドラマ『最高の離婚』で何度も聴いていて、割と好きだったから、予想外とはいえ、アルバム収録は素直に喜びましたけどね。
ゴージャスな昭和歌謡サウンドをバックに、桑田さん、力強く、気持ち良さそうに歌ってます。
「Yin Yang」というのが、「いやん」という女性の言葉だというのはすぐわかってましたが、「いやん、おっぱい、いやん、触っちゃいやん」とまで歌ってたとは思わず、笑いました。
こんな所もさすが桑田さんですね。
「あなたの夢を見ています」。
これ、タイトルだけ見たら、絶対バラードだ、と思ってた。
でも、蓋を開けてみたら、アップ・テンポでポップな曲だったのが予想外。
「♪ ライラライラ」がシンプルで耳に残り、爽やかに盛り上げています。
「春まだ遠く」。
桑田さんの作るアルバムのラストを飾るのは絶対にバラード。今回も御多分に漏れず。
オーケストラの音も入っているけれど、印象としてはとてもシンプルな音作りで、ハープの音色が美しい。
桑田さんがとても穏やかに優しく、ひとつひとつの言葉を大切に歌っているのがよく伝わってくるし、印象としては、どこか明るい希望を感じさせる雰囲気のメロディ&サウンドなのですが、歌詞をじっくりと追うと、大切な人を大切に出来ず、失ってしまうという悲しい内容なのがとんでもないギャップ。
まさしく春まだ遠く、で、その悲しみを達観してるような桑田さんの、とても寂しいけれど、温かみのある、今までになかったようなバラードで、アルバムは幕となるのでした。
僕はサザンの『葡萄』にも非常に満足して、桑田さん、この歳になっても良いものが作れるな、と思ってたのですが、今回のアルバムは、それを軽く、遥かに凌いできました。
バラエティに富みながらも、不思議と統一感があり、桑田節全開でもありながら、今までにはなかった新しい面も見せています。
あえてコンセプトを挙げるとすれば、「昭和歌謡」という事でしょうか?
モロにそういったものもあるし、一見そうとは思えないロック・ナンバーなども、どこか昭和歌謡に通じてるような気がしてきます。
かなり期待はしてましたが、ここまで素晴らしいものになってるとは思いませんでした。イマイチだなあ、という曲がまったくなく、次から次へと名曲連発、すべてが聴きどころ。
これは間違いなく傑作です。
『がらくた』とは、ポール・マッカートニーの名曲「Junk」からインスパイアされたとの事ですけど、それが収録されてるポールの1stソロと、このアルバムとの共通点はあまりないような気がします。
ポールのそれは、初のソロをおっかなびっくり実験的に作った感じですけど、桑田さんのこれは、今までの粋を集めて放たれた集大成的な感じですし。
似てはいないですよね。
僕も桑田さんほどの年齢ではないけれど、確実に中年になっているわけで、そういった「老いる哀しさ」みたいなものがガツンガツンと胸に来る歌詞に共感するようになりました。
そういった意味で、桑田さんに対する親近感も増し、「おお、仲間!」みたいな。
そういう所で共感する様になってしまったかあ、と、自分の年齢を強く感じざるを得ないものとなりました。音楽を聴いていて、こういう感覚になったのは初めてです。
ただ、オリコンの売り上げを見て、ちょっとビックリ。
1位になるのは当然だとしても、30万枚以上は超えるだろうと予想してたのに、初週売り上げは17万枚弱。
これはビックリしました。
思ってたよりかなり低い枚数でした。こんなもんなの?って。
やっぱりライト・リスナーには「ヨシ子さん」の存在が逆効果になってるのかもしれないなあ。こういう変な曲しか入ってないのか、とか思われてるかも。
とにかく、桑田さんのキャリアの中でもトップ・クラスに入る大傑作ですから、もっともっとたくさんの人に聴いてほしいです。
『がらくた』は宝物です。
(2017.9.14)
ロックンロールも切ない曲もふざけた曲も穏やかなバラードも、とにかくポップで華やか!
ホントは宝物のような楽曲ばかりなのに『がらくた』と名付けられると、いっそう愛おしさが増す。
21世紀になってからの、サザンも含めて桑田さんの最高のアルバムだと思ってる。
(2024.6.16)
『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat.梅干し』
桑田さん初のEP。ミニ・アルバムですね。
こういう形で作品をリリースするとは思ってもみませんでした。
「Soulコブラツイスト ~魂の悶絶」。
とにかくゴージャス・サウンド!
一見意味不明なタイトルとは裏腹に、キラキラした黄金の昭和歌謡の世界。
特に「また逢う日まで」を彷彿させるので、筒美京平への哀悼の意を込めた曲なのかも。
「フラれた」とか「イケナイ人に恋しちゃうんだろう」とか言いつつも「キツく抱いてと言ったね」とも言ってたりして、上手くいってるのかいってないのかよくわからん。
そういう気持ちのこんがらがった感じがコブラツイストなのか。
アルバムの掴みとしては充分に派手な曲で、ワクワクさせられます。
「さすらいのRIDER」。
これもお馴染みとなった、ブルース調の無頼派ソング。うらぶれた、男臭い曲。
ねちっこく、ファルセットも交えながらシャウトします。
「ガンボ」が耳に残ります。
「SMILE ~晴れ渡る空のように~」。
オリンピックの民放放送共同テーマ・ソングとして、かなり長い間あちこちで使われました。
オリンピック延期の影響もあって、グダグダになってしまった面もありましたが、結果的にはたくさんの人の耳に届いたと言えるのではないでしょうか。
大きなテーマで、誰が聴いても好感を抱くような、普遍性を持った曲で、丁寧に歌ってる感があります。
「金目鯛の煮つけ」。
TVのCMソングとして聴いてた限りでは、侘しい寂しいフォーク・ソングっぽいなと思ってましたが、今回全体を通して聴いてみると、かなり印象が違いました。
曲の前半は、思ってたよりもポップで軽やかな感じもありました。その流れで聴くと、暗いと思ってたサビもノリが良く聴こえたので不思議。
「炎の聖歌隊 [Choir]」。
これは「波乗りジョニー」とか、サザンで言えば「DIRTY OLD MAN」みたいな、夏がお似合いの爽やかポップ路線。
とてつもなくキャッチーで桑田さんの真骨頂。僕もこのアルバムの中で1番好きな曲です。
「♪ 開演お待ちどうさん」「♪ 楽しいショーが始まるよ」と、ライヴを意識した歌詞なので、これからソロ・ライヴにおける定番曲になりそうな気がします。
「鬼灯」。
アルバム最後の曲はバラードで締め括る、というのはサザンでもソロでも絶対法則にしていた桑田さんですが、今回、それが破られたのでビックリ。
これはバラードじゃないよね。
ミニ・アルバムだから、その法則を破ってみてもいいんじゃないかと思ったのかしら。
結果的に、バラードが無い作品集となりました。
「君は征くのか」とか「内地の桜」とか「若者たちは翼広げて」とか、戦争を想起させます。
といっても、暗くなく感傷的でもなく、どことなくさりげなく、サラッと歌われています。
アルバムのラストとしては相応しくないと言ったら言い過ぎでしょうが、あれあれという間に終わる、桑田さんとしては異色のラスト曲。
とても良いアルバムでした。
どの曲も粒立っていて印象に残るものばかり。
30分かからずに終了するので、気軽に何度もリピートしてしまう。
あっという間に沁み込みました。
素晴らしいものを聴いたなあという、一応の満足感はあります。
一応というのは、やはり僕はフル・アルバムが好きなので、この感じであと数曲頑張って作ってフル・アルバムにしてほしかったなあと思っちゃう。きっと大傑作になってただろうと思えるから。
だけど、桑田さんが言ってたように、フル・アルバムにしようと思ったら、またかなり時間がかかってしまうし、とにかく早くリリースしたかったという気持ちもわかりますし、ミニ・アルバムだからこその凝縮感と充実度で、これはこれでやはり「正解」なのであり、今までになかったこういう形なのもアリなのかなあと、前向きに捉えたいと思います。
(2021.9.22)
「Soulコブラツイスト〜魂の悶絶」を筆頭に、これは華やかなりしポップ歌謡曲史が凝縮されたミニ・アルバムだ。
ブルージーな曲やじんわり幸せを感じる曲もあったり。
「炎の聖歌隊 [Choir]」は「波乗りジョニー」に匹敵するワクワク感だよ。
(2024.6.19)
職場で上司が、「鬼灯」って読める?と訊いてきたので、
あやふやながらも「ほおずき?」と答えたら、
「なんで読めるの~?」と。
上司は読めなかったらしく、僕はなんで知ってたんかなと思い巡らせてみたら、桑田さんの曲にあったじゃないですか。
しかも、訊いてきた上司、ファンクラブに入ってるほどのサザン・ファンですよ。
逆に、なんで読めなかったんだ(笑)。
というわけで、「鬼灯」ってどんな曲だったっけ、と聴き直してみる。
桑田さん初のEPと宣伝されたミニ・アルバム。
「Soulコブラツイスト~魂の悶絶」は、尾崎紀世彦「また逢う日まで」を彷彿とさせる、派手な昭和歌謡の趣き。
でも、決して古臭い感じは無くて、キラキラとポップで華やか、ゴージャスなサウンドに包まれます。
「さすらいのRIDER」はブルース・テイストで怪しく、男の世界。
「SMILE~晴れ渡る空のように」は東京オリンピック関連でよく耳にしましたね。
穏やかながらも壮大な世界が広がっていく感じ。
「金目鯛の煮つけ」は侘しいメロディながらも、ジメジメせず、あくまでポップに仕上がってます。
しかし、なんと言ってもポップなのが「炎の聖歌隊 [Choir(クワイア)]」。
「波乗りジョニー」を思い出すような、明るくノリ良いビートにキャッチーなメロディ。
これぞ桑田さんの王道ポップスだよなと。
桑田さんのアルバムのラストはバラードなのが定石だけど、この「鬼灯」は、バラードは言えないかな。
素朴な感じの小品を最後にそっと出して余韻を持たせる、というところ。
このミニ・アルバムはとてもよく出来ていて、全体的にポップなサウンドでまとめられているので、聴いてて気分が良い。
この路線でフル・アルバムを作ってたら、相当の傑作が出来たんじゃないかと惜しい気がするのだけど、ミニ・アルバムということで、桑田さんも必要以上に力入れすぎなかったから、程好い感触の作品に仕上がったのかも、という気もする。
(2025.1.29)
『フロム イエスタデイ』

『TOP OF THE POPS』

大ヒットした「波乗りジョニー」「白い恋人達」を収めるべく編まれたベスト盤。
KUWATA BAND の曲や、ミスチルや奥田民生とのコラボ曲も入ってるし、今まで4種リリースされたベスト盤の中で1番好き。
タイトルに偽りナシで、桑田さんのポップスが王道で貫かれている。
(2024.6.4)
『I LOVE YOU』
発売決定のアナウンスがあった時は、「またベストかよ...」と思った。スルーしようとも思ったんだけど、我がハンドルネームと同名の「CAFÉ BLEU」が収録されると聞いて、即購入を決断した。
この曲は、コーヒー飲料のCMソングとして流れてて、そのボサノバ調の切なさに一瞬で好きになって、CD化を待ってた曲なのだ。
この曲が入るとなれば、買わずにはいられない...と、この1曲目当てに今回のベストを買ったわけだ。
自分のハンドルネームにはもちろん愛着があるので、その名前と同じ曲が、こんな素敵な曲に仕上がって、非常に気分がいい。
TVの歌番組ではもちろん、ライヴでもあまり歌われないであろう地味な曲だから、どれほどの人に支持されるかわからないけれど、自分が好きなんだからいいのだ。
それにしても桑田さん、どうしてこの曲にこのタイトルを付けたのかな。やっぱりスタカン好きなのかな。
そういえばスタカンもボサノバはお手の物だったもんね。
さて、アルバムの事だけど。
ソロ活動の集大成という事で、20年前の『フロム・イエスタデイ』、10年前の『TOP OF THE POPS』と被ってる曲もいっぱいあるんだけど、とにかく豪華。
特にDisc 1は、すごい顔ぶれ。桑田さんの代表曲がすべてほぼ年代順に収められてる。
意外に思ったのは「今でも君を愛してる」が入ってる事。
シングルでもないし、前記2枚のベストにも入ってなかったので、どうして今回ピックアップされたのか謎。
いや、好きな曲ではあるんだけどね。
ビックリしたと言えば、「Kissin’ Christmas」。
86年と87年にオンエアされた『MERRY XMAS SHOW』のために作られた曲で、作詞は松任谷由実。
当時、レコードでもリリースされなかった幻の楽曲。今回の音源の中では1番古いものになる。
桑田さんが作ったクリスマス・ソングの中で1番好きな曲で、毎年クリスマスが近づくと、有線放送なんかではかかったりしてはいたんだけど、それにしてもどうして今になってCD化したんだろうか。これも謎。
あの頃、素直にリリースしておけば大ヒットしただろうになあ。
Disc 1が、86年から07年までの約20年分の楽曲だったのに対して、Disc 2は、07年から新曲までという、ごく最近の楽曲群。
「現代東京奇譚」は、DVDと同梱のCD『魅惑のAVマリアージュ』に収録されてたもので、そのCD自体、正式なアルバムとカウントされてないから、そこにひっそりと入ってたこの曲が陽の目を見るのは嬉しい思い。
TVの『音楽寅さん』のDVDにも収録されてた「声に出して歌いたい日本文学」も、今回初CD化。
TVの企画ものをわざわざCDにするんだから、桑田さんがかなり気に入ってるんだろうね。
だけど、僕としては、このメドレー曲はたいした事ないなあと思ってる。
日本文学の名作に曲を付ける、というのは面白いとは思うんだけど、肝心のメロディに冴えがないんだよなあ。
無理やりメロディを付けてるからどこか窮屈そうだし...さくらももこの詞に曲を付けた「100万年の幸せ!!」もそうなんだけど、桑田さんの場合、詞が先だとイマイチみたい。
メロディが先にできて、そこに英語にも聴こえるような日本語を当てはめていく、というのが桑田さんの真骨頂だと思うんだよね。
初回限定盤のボーナスDiscも、それほどたいした事はないなあ。
小林克也との「六本木のベンちゃん」も、すでにCD持ってるし、いとうせいこう&Real Fishとのラップ「ジャンクビート東京」に至っては、僕はレコードで持ってた。
桑田さん関連のアイテムではちょっとレアものかなあ、と思ってたのに、今回こうしてCD化されてしまっては、その価値はなくなっちゃったね。
ローウェル・ジョージのカヴァー「LONG DISTANCE LOVE」はなかなか興味深かったけど、『音楽寅さん』からの「突然の吐き気」は、歌ってるのはユースケ・サンタマリアだし...って事で、このボーナスDiscは余程の桑田さんファンでなければいらないだろう。
振り返ってみると、文句だらけのような気もするけど、買って良かったとは思うよ。
まあ、極端に言ってしまえば、「CAFÉ BLEU」が聴ければそれでいい、っていうのが理由ではあったんだけど、久々に桑田さんのソロを続けざまに聴いてみて、改めてすごいなと思ったし、さらに好きになったりした曲もあったりして、満足感はある。
入門編として、若い人に聴いてほしいなと思う。
(2019.3.15)
正直、え、またソロのベスト盤出すの?って感じだったけど。
でも目玉は1986年にKUWATA BANDで、ユーミンとコラボした名曲「Kissin’ Christmas」がようやくCD化されたこと。あまりにも遅すぎたけど、名曲は歴史に残しておくべき。
名曲と言えば「CAFE BLEU」収録も嬉しい。
(2024.6.13)
『いつも何処かで』
またソロのベスト盤!いくらなんでも出しすぎ...。
でも話題は「時代遅れのRock’n’Roll Band」だよね。こういうのに佐野元春が参加したってのは驚きだった。
今まであまり交わってなかった5人なのに同窓会のノリが出てるのが面白いよね。
嬉しい共演だったなあ。
(2024.6.22)
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