LIVE EPIC 25 @国立代々木競技場第一体育館 2003.2.23 感想

LIVE EPIC 25 ~EPIC RECORDS JAPAN 25th ANNIVERSARY

2003年2月23日@国立代々木競技場第一体育館

バービーボーイズ復活!

あるんじゃないかなあ、と思っていたら、やっぱり『LIVE EPIC 25 ~EPIC RECORDS JAPAN 25th ANNIVERSARY』にて、バービーボーイズ復活決定。<ライヴ前々日発表

実現するのなら行ってもいいかも...なんて思ってたら、本当にそうなってしまった。
岡村靖幸が出演中止となっては、この爆弾を持ってくるしかなかった?...いや、最初から決まってた?連動企画としてリリースされているベスト盤『The LEGEND』シリーズも、ちゃんとバービーのやつ出てたしね。復活ありうるなあと、半分以上の人が感じてたんじゃないかな。

他にも、大江千里/大沢誉志幸/小比類巻かほる/鈴木聖美/鈴木雅之/佐野元春/TM NETWORK/THE MODS/渡辺美里、というメンツで、僕が音楽にのめり込み始めた80年代に、トップ・アーティストとして君臨してた人たちばかり。
僕が思いっきりハマッたのはバービーくらいだけれど、他のアーティストもそれなりに聴いたし、「観て絶対に損はしないだろう」のメンツ。
すぐさま東京のチケットの方は...?と調べてみると、まだ間に合うみたいだ。おお、どうしよう。
「バービー観ておきたかった」というのが僕の10代における後悔のひとつなんだよね。そう考えると「行くしかないでしょう」って事になるんだけど、このライヴの模様は後でTV(CS?)で放送されるような気もするし、ここで盛り上がったバービーが単独ライヴをやるような可能性もなきにしもあらず(だったらそっちの方がいい!)...。
しかし、交通費なども含めると、1万円以上。痛、痛っ!あまり悩んでるヒマはないのだが...。おー、相変わらずライヴで迷う僕。

うーーん、行こう!!僕にしてはかなり早い決断。
やっぱり【ここで行かねば一生バービーを観れないだろう】ってのが大きい。
これは10代の後悔どころか、一生の後悔になるだろうと思ったら、行くしかないでしょ。

イマサのサイトでは今回のバービー復活についての微妙なコメントが発表されている。当時の解散の理由について触れられたりもしてて、興味深い内容。相変わらず毒出しまくりだけど。
今回の復活は、やはりかなり前からほぼ決定という事で動いていたっぽいけど、イマサのコメントを読むと、今回、ギリギリまでOK出さなかったのはKONTAっぽいなあ。やっぱ、このライヴ後バービーが本格的に再始動するって事は考えにくい。
やっぱり復活には否定的だった(?)イマサやKONTAの事を考えると、ちょっと複雑な感じにもなっちゃうのだけれど、エンリケのコメントを読むと、なんだかホッとする。復活をファンだけでなく、ちゃんと楽しんでくれてるメンバーもいるんだなと。
でも、BOØWYとは違って、バービーの復活には大賛成の僕だったからね。
とにかく良かった良かった。

ライヴ当日。会場へ

という事で、国立代々木競技場第一体育館。
長時間イベントのため、4時開演。
こんな早い時間に開演となるライヴは初めての僕。まあ、帰りの電車の心配しなくてすむのがいいね。
大阪と前日の代々木は5時開演だったから、それより1時間早い。という事は...時間に余裕が生まれるし、しかも最終日。「追加項目」をついつい期待してしまう...。

まずはイープラス当日券引き換え所へ。
隣りのキョードー東京の電話予約ブースでは列ができてたけれど、イープラスブースはガラガラ、だーれもいない。
まあ、引き換えは2時からやってたんだから、3時に行けばこうなるのは予想はついてたけど。
桑田さんのライヴの引き換え時に、「予約した券は、当日先着順にいい席が配られる訳ではなく、すでに割り当てが決まってる?」という事を感じたので、今回もそうかも...と思い、慌てずこの時間に行った、という訳。
でも、今回は先着順だったらしい。名前と引き換え番号を告げると、把になった券の一番上のものを手渡された。
うーん、やっぱいい席は早い者順か...?

開演15分前で入場。
まずはトイレに...と思ったら、なんと男子トイレの方が長蛇の列。開演間近だったので少し焦る。10分近く並んだかな。ここはトイレの数が少ないみたい。北と南に一ヶ所ずつしかない?アリーナ、1階席、2階席...どの客もみんなここですませなければならないようだ。
いつもこういう時は、女子トイレは並んでて大変だなあ、と思ってたけれど、男でもこんなにトイレで並ばなきゃならないとは思わなかったなあ。

僕の席は2階北H17列8番。
2階の最後方、しかもステージの真横。...悪席だ。
緞帳などに隠れて、ドラムセットは見えない。前に位置するヴォーカリストは見えるにしても、バンドの連中は、ステージ左側の数人しか見えないのだ。これはキツイなあ。
まあ、でも、僕の好きな(後ろの人を気にしなくてすむ)最後方の席なので、良しとするか。
それに、ここんところドームでのライヴが続いてたので、この会場は狭く思える。こんな位置でもステージが近く感じるね。

ライヴのスタート


4時開演との事だったが、20分遅れてのスタート。
まずはバック・バンドのメンバーの登場。
Drums … 江口信夫
Bass … 萩原メッケン基文
Guitar … 佐橋佳幸(山弦)
Guitar … 葛城哲哉
Keyboards … KYON(BO GUMBOS)
Keyboards … 西本明(ハートランド)
Saxophone … 山本拓夫
Chorus … 濱田美和子
Chorus … 大滝裕子(AMAZONS)
これまた豪華なメンバーじゃないかっ。
当然のごとく、各人、盛大な拍手をもって迎えられる。



鈴木雅之

「ランナウェイ」
「め組のひと」
「TAXI(with 鈴木聖美)」
「ロンリーチャップリン(with 鈴木聖美)」
「ガラス越しに消えた夏(with 大沢誉志幸)」

レゲエ風にアレンジされた「ランナウェイ」でスタート。
マーチン、さすがの歌唱力。そして間奏、ライトに照らされたのは桑マン!ちゃんとラッパを吹きに来てくれたのだ(大阪公演には欠席、営業を優先したとの本人談)。

MCでは、「今日はあえて、【ラッツ&スターです】と言わせてもらいます」との嬉しい言葉に続いて「め組のひと」
ラッツで一番好きな曲だ。
ソロでの出演のため、ソロ名義での曲しかやらないのかなと思っていたけれど、ラッツで大ヒットしたこれらの曲をちゃんとやってくれるなんて、さすがこのイベントの主旨をよく理解していらっしゃる。

ここまでくると、マーシー・ファンの僕は「ここにマーシーがいれば...」と思ってしまったのだけれど、やはりそれは今はまだムリな話。
ブーイングがおこってイベントをぶち壊すような事があってはいけないとの事だろう。
でも、MCの中で2人が、「こういうお祭りにはアイツが似合うよな。アイツもきっと...」と、名前こそ言わなかったものの、話題に出してくれたのは嬉しかったな。

そして、「TAXI」を歌っている途中、「My Soul Sister!」の紹介で姉ちゃん登場。
これまた凄い迫力、観客は思わず拍手。やっぱこの姉弟はすごい。
「この2人が揃ったら、歌わない訳にはいかないでしょう?」と、「ロンリー・チャップリン」を。
みんなが求めているものにしっかり応えてくれた。
この、ラッツ~姉弟の流れを観れただけでもかなり満足の僕。ここまでで7800円でも許せちゃうかも、と。

そして、「この曲があったからこそ、ソロ・ヴォーカリストとしてやっていける事になった」と「ガラス越しに消えた夏」を。
2番からは作者の大沢誉志幸が登場し、一緒に歌う。

鈴木雅之がオープニングアクトを務める、というのは正解だったね。
みんなが知っている曲をやって会場を盛り上げる事ができ、なおかつ重みもある。それにエピックが出来てまだ間もない頃にデビューした人という事でも、意味があるし。

大沢誉志幸

「CONFUSION」
「宵闇にまかせて」
「そして僕は途方にくれる」


大沢誉志幸のソロ曲としては、「そして僕は途方にくれる」くらいしか知らないし、歌唱力の問題についての情報を耳にしてたから心配してたんだけれど、そんなにヒドくはないじゃん。
たしかに高音はかすれてしまってわかんなくなるんだけど、それなりに聴けたのでひと安心。



小比類巻かほる

「Hold On Me」
「TOGETHER」
「I’m Here」


この人、昔はどっちかというとボーイッシュなイメージがあったんだけれど、今は全然。すごく綺麗になってて。歳を重ねたからこそ出てきた新たな魅力。
かなり久々のステージとの事だったけれど、高音もしっかり伸びていてなかなかのもの。ただ、逆に低音が微妙に不安定だったかも?

「Hold On Me」はよく知っていたけれど、「TOGETHER」の方も聴いた事あった。
一番好きなのは「Never Say GOOD-BYE」なんだけど...。
意外にKohhyの事を知ってた自分にビックリ。

他のアーティストが3曲ずつなのに対し、Kohhyは基本的には2曲だったのだけれど、最後にアドリブ的にアカペラで「I’m Here」を熱唱。
そして何よりこの人自身がこのイベントを楽しんでいる・感動しているというのがすごく伝わってきて好感が持てた。



松岡英明

「以心伝心」


事前に名前が明かされてないサプライズ・ゲストという形での登場。
まあ、僕はネットで情報仕入れてたから、サプライズでもなんでもなかったけれど、僕の周りの人は結構知らなかった人も多かったみたい。「誰?誰?...ああっ、松ボーだあ!!」みたいに、ホントに驚いてた。

僕は当時は...この人キライだったなあ。いつもヘラヘラしてて、どうも好きになれなかった。
でも、今でも変わらないその姿。それは演じてるのか天然なのかわからないけれど、今なら充分アリだな、あのキャラ。っていうか、今は似たようなキャラ、ゴロゴロしてるくらいかも。ちょっと世に出るのが早すぎたのかもね。

最近は全然見かけなかった彼だから、こんな大観衆の前に出るのは久しぶりだったろうに、自分の事をアピールせずに、【大親友】の話ばかり。デビューの頃から「お前は純粋なままでいろ」と兄貴のように接してくれた、と。
誤解を受けやすいタイプだけど決してそんなんじゃない、と、必死でその親友の事をフォロー。
やはり名前こそ言わなかったけれど、その親友が誰だかは、観客のほとんどがわかっていたはず。

そして「以心伝心」を歌う。
僕は初めて聴いた曲だったけど、結構好きだよ、こういう曲。毛嫌いするんじゃなかったかな。
曲の最後の方では、親友の「だいすき」のフレーズを織り交ぜる。こういう姿勢も含めて、僕にとっては印象に残った一人だったかな。


大江千里

「YOU」
「REAL」
「十人十色」


なんだかんだで、女子にかなり人気あるんだよなあ、この人。登場した瞬間、会場の空気が色めき立ったのがわかったもの。
まあ、僕もキライじゃなくて、好感持ってる方だったけれど、アルバム買う程ではなくて。何度かレンタルしそうになった事はあるけど。

やっぱりあの独特の歌唱法かなあ。声質というか。好き嫌いあるだろうねえ。しかも、決して上手くないしね...っていうか、ヘタって事で有名なのか?
でもまあ、それも味とみて好きになってしまうのがファンなんだろうね。その気持ちは充分わかる。

「♪  君をだきしめていたいー」というフレーズ、知ってるぞ、おお、この曲が「YOU」というのか。

「十人十色」は知ってた。
この曲もいいね。なかなかキャッチーなサビを作るんだよな、この人は...と、改めて感じる。
しかも動き回ってすごく元気。
「十人十色」のキャンペーンの時のエピソード等を話し、「(こんな大きなイベントの)このステージに上がっているという事を、あの頃の自分に伝えたい」と言った所では、本人も感極まっていた様子。こちらもちょっと感動。


THE MODS

「激しい雨が」
「NAPALM ROCK」
「バラッドをお前に」
「アイ・フォート・ザ・ロウ」


この人たちがこのイベントに現れる、ってのは意外な気がしたんだけど。
僕は怖そうなルックスの人たちは敬遠しちゃう性質なので、存在は知っててもマトモに聴こうとしなかった。
でも、先日『MUSICA』のクラッシュ特集の時のゲストで出てきた森山さんを観たんだけど、全然怖くなんかなく、想像してたよりずっといい人で、印象が変わった所だった。だから密かに楽しみにしてたんだよね。

まず、音圧がすごかった。
さっきまでのいわゆる寄せ集め【バックバンド】の演奏とは違う、さすが練られた【バンド】の迫力。圧倒されたし、カッコ良かった。

どの曲も初めて聴いたけど、「激しい雨が」は良かったね。
モッズちゃんと聴かなきゃ...って気になった。『MUSICA』の時の印象があったからか?クラッシュの姿と重なって見えた。

そして3曲歌い終わり、これで出番は終わり...と思ったらなんと、「洋楽のエピックにも敬意を表して...」と、なんとそのクラッシュの「アイ・フォート・ザ・ロウ」をやりだした!
これにはもう興奮したね。割と冷めた感じのままライヴを観る事の多い僕だけど、ここまでキたのは久々。やられたよ。

事前情報として、「モッズの時にトイレに行く人が多かった」なんて話を聞いてたけど、そうでもなかったよ。
想像以上にみんな真剣に聴いてたし、ちゃんとノッてた。いい客だ。


ここでひとつ希望の光が。
モッズが大阪・前日代々木と違い、1曲多く演った、という事だ。「追加項目」があったのだ。
これはこの後のアーティストも...バービーも...。
最後なんだ、なんとかならないか!?期待は高まる。


ハリー

「風が強い日」


この人もサプライズ・ゲスト。ストリート・スライダーズも苦手なクチだったので、まったく期待してなかったんだけれど、ギター一本持ってフラ~ッと現れた姿がなんか印象的だったなあ。
MCもなく「風が強い日」を弾き語りして、すぐさま去っていった、その異色さが...うん、やっぱ妙に心に残ったなあ。



さて、次はバービーの出番だ。いよいよ来るぞ、その時が。
そうそう、ここまで、当然のごとく休憩時間はナシ。アーティスト交代がものすごくスムーズで、1分とたたないうちにすぐ次の人が出てくる。バンド交代となるモッズの前にセットチェンジがあったけれど、それも5分とたたずで。
で、バービー登場の前にもセットチェンジがあったんだけれど、この時はスクリーンでエピックのヒストリービデオが放映されて、まったく飽きさせずショウは続く。
こういうイベントの場合、普通はどうなんだろう?経験した事ないからわからないけど、待ち時間長くてイライラする場合も多いんじゃないんだろうか。その点、今回のこのスムーズさは素晴らしい。
しかし、休みがないって事はトイレに行くヒマもない、って事で、こんな寒い日に長時間イベントとなると、トイレにも行きたくなるというもの。結構行きたくなってきた。
バービーが出てきてから、さらに行きたくなってしまってバービーに集中できなくなってしまうのはヤだなと思い、このビデオをやっているうちに行っちゃえ!と決断、トイレに向かって走り始めた!
...直後、なんとビデオが終わってしまい、バービー登場。即行ユーターン、席に戻る。


BARBEE BOYS

「チャンス到来」
「泣いたままでlisten to me」
「負けるもんか」
「女ぎつねon the Run」


ステージに現れたバービーに、走りながらの拍手、ちょっとドタバタしてしまったが、ついにこの瞬間がやってきたのだ!
観客もものすごい歓声。この時点で、それまでずっと座っていた2階席の客も全員総立ち。みんながこの瞬間を待っていたんだなあ...。

大阪 「泣いたままでlisten to me」「負けるもんか」「女ぎつねon the Run」

前日 「Blue Blue Rose」「負けるもんか」「女ぎつねon the Run」

この情報から察すると、「負ける~」「女ぎつね~」の2曲がお決まりで、初めの1曲が日替わりメニューのようだ。今日はいったい何を演ってくれるんだろう。
噂では、「5~6曲の候補の中から、その日コインで決める」と杏子が発言したとかというような話(ありえる...)も出てて、どうなる事やら、と期待と不安で一杯。...いや、不安になる事はないと思うんだけどさ。

可能性高いのは「なんだったんだ?7DAYS」「チャンス到来」「目を閉じておいでよ」あたりかな...それにしても「Blue Blue Rose」ってのはシブイなあ、意外だったよ。あ~あ、「泣いたままで~」聴きたかったなあ...等と考えていると。

観客の大声援が鳴り止まぬ中始まったのは「チャンス到来」
おお、やっぱこの曲か。
大歓声に応えて、さらに盛り上がる曲をやるのもいいんだけれど、あえてしっとり系のこの曲からスタート、というのもかなりいい感じだった。
目の前に5人揃って演奏してる、終わったはずのバービーがそこにいる、とっくの昔に諦めたはずの事が現実となって今ここにある。
その瞬間が到来したというのに、なんだかまだ信じられない夢の中の出来事のよう。
みんなそうだったんじゃないかなあ。この曲のムードが、そんな夢の気分を作り上げてて...実はあんまり記憶がないんだよ、この曲の間の事。
ホント、ボワ~ッとしてたんだろうね。

それが夢ではなく、はっきり現実と実感できたのは、杏子のMC。「こんばんは。バービーボーイズです。」の一言。
そうか、今もバービーボーイズなんだ、と思ったね。「元」じゃなくて、ホントに、今ここにあるバービーボーイズ。僕の中で過去形だったものが、現在進行形に変わった瞬間。
再集結に至る動機や過程の説明もなく、自然に出た杏子の「バービーボーイズです」の言葉が、すごく心に響いた。
そして、「この5人でまた音を出せるのって...快感...。」のコメントに、さらに客のボルテージは上がる。

次は「泣いたままでlisten to me」
おおっ、この曲を演るの!?予想外の出来事にビックリ。でも聴きたい曲だったから嬉しい!!
この曲のポイントは「♪ どのみち終わりになんだぜ~」と「♪ 今日で最後~」の所。今日はさらに感慨深く聴こえる。やっぱカッコいい...。
KONTAがサックスを吹いている、杏子が舞っている、イマサがギターをかき鳴らしている、エンリケがうねっている、コイソが叩いている...やっとはっきり5人を現実と認識できてきた僕。
前の曲を引きずってか、この曲の冒頭でも若干しっとり気味に歌ってるように思えた杏子のヴォーカルだったけど、途中からはこの曲本来のノリに。あの頃と変わらぬシャウト。福耳とかで耳にする機会もあったけれど、こういうシャウトはしばらく聴いてなかったので、なんだかものすごく嬉しい。
...いや、あの頃と変わらぬと言ったけれど、違う。あの頃は若さ故の「勢い」は武器ではあったけれど、今の杏子、あの頃にはなかった魅力が出ている。ただ勢いにまかせてシャウトするだけではない、いろんなものを経験してきたオトナのオンナの深みが、艶が。
さっきのKohhyもすごいオトナのいいオンナだったけれど、杏子ってば、さらに上。あの頃からいいオンナだったけど、今は「ものすごい」よ。...あ、僕がオトナになったから、その良さがわかるようになった、って事かもしんないけど。
でも、あの頃よりもずっと綺麗。やっぱ【バービー】って事がさらに力を与えてるのかもしれないね。

次のMCはKONTAの番。
このKONTA、外見もヴォーカルもサックスも、全然変わってなかったけど、いかにもKONTAだったのはやっぱMC。
「お前ら、ウジャウジャウジャウジャいったいどっからこんな集まってきたんだあ!?この推定平均年齢35歳!!」
「今日は最後だから何言ってもいいんだあっ!!」
「ワタシタチ、明日から普通の中年に戻りまーす!」
この威圧的な態度、人をバカにしたようなセリフ。相変わらずのKONTA節。

次は「負けるもんか」
このKONTAと杏子のせめぎ合いがバービーの真骨頂。
初めて聴くライヴ用の3番(よく聴き取れなかったけど)も当然あったし、何もいう事ナシ!!他の客の事など忘れてバービーに没頭。きっとみんなそうだったろう。奇跡的に共有する事のできたバービーとの時間。みんなにとって大切な瞬間になったんじゃないかなあ。

もしかしてもう一曲!?...という期待をあっという間に裏切って、イマサがギターのストラップを外す。メンバー全員、そそくさと袖にひっこむ。やけにあっさりと。もうこれで終わりだというのに。
でも、このあっさりさもバービーならではなんだよなあ...。

ものすごくあっという間の出来事だった。
近くの人が「なんかすごい早かったね...」とつぶやいてた。きっとみんなそう感じただろう。
他のアーティストと同じ3曲、MCだって一応あったし、極めて時間短かったって事はないはず。ものすごく集中していた時間と言うのは早く感じる、という事だ。
客が少しずつ座り始める中、ボーッとしながらさっきまでの出来事を振り返る僕。すごかったなあ...終わっちゃったなあ...。結局「女ぎつね」がカットか...これも聴きたかったんだよなあ...ダメだったか...。

と、完全に諦めたところ、歓声が上がる。早くも次のアーティストが...と思ったら、ライトに照らされているのは...杏子!?コイソ!?...うっそ、バービーが戻ってきた!!??
震えた。また奇跡が起きた気分。一度引っ込んでしまったらダメだと思ってたから。よくぞ...の思いで必至に手を叩く。
「もうちょっとやりたくなっちゃったんで...いいかな?」と杏子。
「文句あるかぁぁぁぁ!!!」連発のKONTA。
それに応えて「うぉぉぉぉぉぉ!!!」連発の客。
そこへ「キミタチ、文句あるか?って言われて、おう、って返事してるんだから、ちゃんと文句言わなきゃダメだよ...」とイマサのツッコミ。イマサ...。
とにかく、戻ってきた。もう一度【復活】したのだ。まだこの悦楽の時間は残っていたのだ!

そしてもちろん「女ぎつねon the Run」!!
サビの「♪ Oh、オウオ~オ!」では観客みな、手でキツネのマーク。みんなよく知っている。
そしてクルクル回る杏子!!他の曲でも数回回ってるのは確認したけれど、やっぱこの曲での回り方は尋常じゃない!イントロ、間奏、KONTAソロの間、クルクルクルクル回りっぱなし。一度につき8~10回、合計30~40回転。あれでよく直後に歌えるよなあ...。
もーなんとも言えません。これで思い残す事はありません。いや...厳密に言うとまだまだ願望はあるけれど、これ以上を望んだらいけません。
そして今度こそ、KONTAの「あばよーっ!!」の声で終了。すごかった...。

冷静になって考えてみると、難点はあったんだけどね。とにかくこんな席だったから、イマサとコイソが見えなかった(涙)。コイソなんてまったく見えなかったし、イマサは動いて前に出てきてくれなくちゃ見えないんだもの。やっぱこの席ひどいよぅ。ただ、思ったよりイマサ動いてくれたから良かったけど。
それから、正直に思った事を書くと、イマサのギターが若干聴きにくい所があった、って事。それが肝心なフレーズの時もあったりして。それはPAの問題なのかイマサのミスなのかはわからない。ただ、全体的に、あの頃は【やかましい】くらいの印象だったイマサのギターが、そう感じなかったという事。むしろ控え目に映るくらい。理由はわからない。
...あ、そうは言っても、ダメだったとかいうんじゃなくて。ちゃんとバービーとしてのギターは成立してたんだけど、あの頃の印象に比べると、微妙に控え目な感じに聴こえた、と...。

でもとにかく良かった!!期待以上。
解散して10年以上たってるとは思えなかった。不本意ながらの出演なのでは...と危惧する所もあったのだけれど、メンバー全員この復活を楽しんでいる風だった。それがすごく嬉しかった。この瞬間に立ち会えて、ホント良かった。




TM NETWORK

「Be Together」
「Get Wild」
「SELF CONTROL」


TMは、最近ちょこちょこ集まって演ってるみたいだけど、なんだか訳のわかんない感じの曲ではなくて、「Be Together」「Get Wild」「SELF CONTROL」という、絶頂時の3曲。
僕が「TMといえば?」と訊かれたら答えるのがまさしくこの3曲。いいじゃんいいじゃん。

ウツが太っただとか、声が高くなってるとか、事前にウワサが飛んでたけど...ま、大方その通りだったけど、許容範囲。
「Be Together」の最後にはドカン!と爆発演出があって、会場中ビックリ。

そして、木根さんが「戦争をしようとしている世界の指導者達に一言こう言いたい」と言って「SELF CONTROL」を。
どの曲もだいたい当時の雰囲気に沿ったアレンジなので安心してノれた。

だけど、小室さん、ひとっこともしゃべらないんだよね。
なんで?遠くから観てる人にとっちゃ「あれホントに小室か?」みたいな。
なにか理由でもあるのかね。


渡辺美里

「きみに会えて(with 小室哲哉)」
「My Revolution(with 小室哲哉)」
「恋したっていいじゃない」
「10years」


一度引っ込んだはずの小室さん、すぐに再登場してピアノを弾き始める。そこへ美里登場、「きみに会えて」を歌い始める...という演出。
初めて聴いたバラードだったけど、歌詞も含めてなかなかの佳曲。

そして誰もが知ってる「My Revolution」
美里と言えばやっぱこの曲。小室さんもいる事だし、このライヴだったらこれをやんなきゃ客の気がすまないだろう。
「てっちゃん、ありがとう」の美里の言葉と共に、小室さんはここで引っ込む。やっぱりしゃべらず。

それから「恋したっていいじゃない」
これは僕にとっても印象深い曲で、高校生だった当時、この曲にものすごい美里の勢いを感じたものだった。
MCでの客に語りかける様はさすが美里、慣れてるといった感じ。スタンドに、アリーナに、呼びかける。観客も、このライヴに来て良かったなと、改めて感じさせられたのではないだろうか。

僕は「♪ あれから10年も~」のフレーズくらいしか知らなかった「10years」だけど、ラストの「♪ ラララ~」も印象的で、満たされた気分で終わる。

ヴォーカルにもなんの文句もないくらい完璧だったけど、美里の印象を一言で言うならば、とにかく「可愛い人なんだなあ」かな。



佐野元春

「約束の橋」
「SO YOUNG」
「アンジェリーナ」
「SOMEDAY(with ALL)」


トリは佐野さん。さて、懸念だったヴォーカルは...?
「歌はまだか?」と客をじらし加減に、長いイントロでギターを刻む佐野さん。そうしながら段々とバンドの演奏がノッてくるのがわかる。そしてやっと「約束の橋」を歌いだす佐野さん。
お、ヴォーカルもまあまあじゃん...と思ったら、サビでガックリ。オリジナルでは、サビのシャウトがカッコいいのに、全然シャウトしない。いや、できない、のか。メロディもないに近いくらい変化しちゃってて、ちょっと悲しかった。
うーーん。以前からTVなんかで観てて、薄々は感じてたんだけど、ホント声出なくなっちゃったみたいだ。いつからなんだろう。

ラストの「SOMEDAY」も、キー下げちゃってるし、やっぱりシャウトしてくれないし、いまいち「ああ、SOMEDAYだ!!」みたいな感動も薄く。
大好きな曲なんだけど、なんかちょっと違う...って気持ちの方が大きくなっちゃって。

だからかな、ネット上では「佐野さんは終わった」なんて意見も出てたのも頷けてしまう。
ただ、僕としては、たしかに悲しいけれど、「昔の曲が歌えなくなった」=「終わった」ではないと思う。今歌える歌を作って、それでみんなを感動させる事ができれば立派なアーティストだと思うし。
ただ、こういうイベントの性格上、昔の歌を歌わなきゃいけない、って所に辛さがある訳で。佐野さん自身もそれはわかってるだろう。でも、それでもあえてこのイベントの主旨に賛同し、参加してくれた事に敬意を表したいな。

おっと、でも佐野さん、まったくダメだった訳じゃないよ。
「アンジェリーナ」は良かったな。グツグツと心が煮立ってくるような感じがした。

最後は、再び全てのアーティストがステージに戻ってきて、「SOMEDAY」を。この曲を全員で歌って幕、というのは誰もが(?)予想した通り。
80年代エピックの素晴らしいアーティストと曲を、そして今日のこの素晴らしいライヴをしみじみと振り返るラストだった。
...で、気になったのはイマサ。ちゃんと出てくるのか?と。他のバービーの連中はすぐに確認できたけど、イマサの姿が見当らない。今日こそはマジで帰ってしまったのか??と心配したら、最後の方でやっとこチラッと姿を表したのを確認できた。やれやれ。
佐野さん以外のヴォーカルはほとんど聴こえなかったけど、とりあえずみんな歌ってる様子。一生懸命一緒に歌って盛り上げる人、そうでもない人、だいたいイメージ通り。
小室さんはギターを抱えて登場、みんなにちょっかいを出されてた。それなりに楽しそうに見える。やる気あったんだかなかったんだか、最後まで謎。

圧倒的4時間。どのアーティストも心に残る

という事で、終了してのは8時20分、ちょうど4時間。ライヴ苦手の僕でも、さすがにこれは充分満足のいくものだった。
7800円?安かったよ。たとえ僅かの時間でも、行くかどうしようか何故悩んだんだ?と思えるほどに。決断してホント良かったなあ、と。

バービーの復活を目撃できただけでもかなりのものだったのに、その他のアーティストもあれだけのものを見せてくれるとは。
今までこういうイベントって、目当てのアーティストの出番少なかったりして欲求不満になるんじゃないかと思ってたけど、どうしてどうして。たくさんのアーティストが観られるって、こんな楽しい事だったんだね。

アーティストたちも観客も、「年齢層が高い」という事を意識してたけど、僕からしてみればそんな事なかったな。
だって、僕が好んで足を運ぶライヴは50代もザラにいるって感じだからね。
さすがに今回50代はほとんど見かけなかったもん。みんな若いよ、まだまだ。

そんでもって、みんな、どのアーティストが出てきても大きな拍手とノリだし、それぞれの曲にあわせた振り付け・掛け声・ノリ方を知っててさあ、「みんないったいホントは誰のファンなんだよ」ってツッこみたくなるくらい。
まあ、僕もそうだけど、【どのアーティストも好き】って人が多かったんだろうな。いいオーディエンスだったと思うよ。
至る所で関西弁とかも聞こえてきたし、全国から観に来てるんだなあ、と。
とにかく、いい気分でライヴを楽しめた。

バービー、モッズが1曲ずつ増えて、結果的に3日間の中でこの日が一番お得だったね。やっぱ最終日ならでは。
この日は追加公演だったし、滑り込みでチケットを獲った身としては、申し訳ないくらいで。
ほんの10日前までは考えられなかった、思ってもみなかった奇跡に立ち会えて、久々にここまで満たされた気分での帰路だった。

このライヴ映像がBlu-rayになります

『LIVE EPIC 25 (20th Anniversary Edition)』 Amazonで見る

20年前、僕が大興奮したこのライヴの映像が、ついにBlu-rayになってリリースされます!
いや、当時もDVDとしてリリースされたのですが、僕の一番の感動ポイントのバービーボーイズの映像が全カットされて未収録だったので、僕は購入を見送ったのでした。
そしてそのうち、DVDは廃盤、入手困難に...。

それが、20年の時を経て、今度はバービーボーイズの映像も収録された、ほぼ完全版でのリリース!
こうなったら、僕も買わない手はありません。
約4時間の大ボリュームのライヴ映像作品です。

実際に観てみると、さすがに20年前のことなので、すっかり忘れていた部分もあって逆に新鮮でしたし、いろいろと、僕の中の記憶とは違うところもあって面白く、そんなところも含めて、改めて、大感動したライヴ映像でした。
4時間近くありましたが、あっという間に一気見しちゃいました。

このライヴを観に行った方はもちろん、EPICソニーの黄金期のアーティストを好んで聴いた経験のある方は、是非ともBlu-rayをご覧になってみてください。
素晴らしいライヴ・イベントでしたよ!

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