エリック・クラプトン 新装版『24 Nights (24ナイツ)』は、あえてバラで買うのがおすすめ!

クラプトンが90年、91年にロイヤル・アルバート・ホールで行ったライヴは、4ピース・バンド、ブルース・バンド、9ピース・バンド、オーケストラという4形態の編成スタイルで、合計24日間行われました。

で、それぞれのスタイルでの演奏を抜粋してリリースされたのが『24 Nights』というCDとビデオ(DVD)でした。

リリース当時に入手した僕は、まあまあの作品かな、なんて思ってましたが、近年、聴き返したり観返したりするうちに、これはなかなか良い作品じゃないかと思うようになりました。

そして、4種類もある編成のライヴ、きっとどれもフルで映像や録音が残されてるんだろうから、完全版で観たいよなあ、と思うようになってました。

新装版リリース決定。何故かバラ売りの方がお得!

そしたら、クラプトン来日公演で沸き立つ最中、僕の願いが届いたかのように、この『24 Nights』の拡張新装版がリリースされることが決定したのです。

4ピース・バンドと9ピース・バンドをまとめて『Rock』、
ブルース・バンドは『Blues』、
オーケストラは『Orchestra』と、
完全版ではないのですが、それぞれの形態での1日のライヴがフルセットに近い形で、6CD+3Blu-rayをパッケージした『The Definitive 24 Nights』というBOXが出ることになったのです。

これは!と喜ぶものの、これだけ豪華なセットになると、気になるのはお値段で、さのごとく、輸入盤で4万円近いものとなりました。
これだと、手を出すのはさすがにキツイ、と思ったのですが、BOXだけではなく、この3形態を2CD+DVDの単体でバラ売りされることも発表になりました。

でも、普通だったら、バラで買うよりもセットがお得、になるはずですよね。
買うなら、すべて揃えたい僕は、初めはバラ売りには惹かれなかったのですが、値段を知って驚きました。
この時点では、Amazonでは、既に注文殺到で予約を停止しており、仕方ないのでHMVを見てみたのですが、バラだと、輸入盤で7000円台だというではありませんか!
しかも、このとき丁度、まとめ買いセールをやっていて、3枚買うと1枚あたり6000円台になるという。
となると、3枚買っても2万円くらいなわけです。
BOXの半分くらいの値段で買えちゃうのです。

2万円だったら出せる!
と喜んだのですが、問題はもうひとつあって。
輸入盤だと、Blu-rayやDVDが日本のプレイヤーで観れるのかどうか、です。

輸入盤の大きな問題点

BOXに付属のBlu-rayだと、アメリカ盤なら日本とリージョンコードは同じなので、問題無し。
だけど、ヨーロッパ盤だと、リージョンコードが日本と異なるため、リージョンフリー仕様でないとダメということになります。

バラ売りに付属のDVDだと、アメリカ盤と日本ではリージョンコードが違います。でも最近はリージョンフリーのものが主流になってきています。
ところが、ヨーロッパ盤だと、リージョンコードは同じですが、TV映像方式が日本はNTSCなのに対し、ヨーロッパはPAL方式なので、ダメなのです。
ただ、この映像方式の違いは、アナログ放送時代のものなので、デジタル放送になった今はあまり関係がなくなったという話もあります。

そして問題なのは、いまHMVで予約を受け付けているのはヨーロッパ盤だということなんですよね。
そうなると、バラ売り狙いの僕は、DVDを気にしなくちゃいけないわけで、となると、DVDがPAL方式で、日本のプレイヤーでは観れない、という可能性が出てくるのです。
このリスクをどう捉えるか。
公式サイトでは、Blu-rayやDVDの方式については記載がなく、今の時点ではどういう仕様になるのかわかりません。
僕の場合、最悪PAL方式で、日本のプレイヤーで観れなかったとしても、パソコンならば方式の違いは関係ないので、とりあえずはパソコンで観ることはできます。
でも、僕はTVの画面でDVDは観たいんですよね。
だから、どうするか。

HMVのまとめ買いセールには期限があって、しかもその時、同時にポイント還元セールもやっていて、お得に手に入れるなら、2日くらいの間に決断しなくちゃならなかったんですよね。
さて、どうしよう。

以上はすべて輸入盤の話なのですが、今後、日本盤がリリースされるということになれば、DVDが観れるかどうかは心配しなくて済むのだけど、問題は値段。
日本盤なんて、輸入盤より確実に高額になる。
バラ売りにしたって、2CD+DVDということになると、1万円を超す可能性だってある。
だからやっぱり、今のうちに、安く買える輸入盤を予約しといた方がいいのではないか。
DVDは、最悪でもパソコンで観れるわけだから、決して無駄になるわけではないし、と。

それで、モヤモヤはありながらも、とりあえず、HMVで輸入盤を予約したわけです。

日本盤のリリース決定。まさかの価格設定

ところが。
その数日後、日本盤でのリリース決定のニュースが入ってきて驚きました。

BOXセットが35200円。
バラ売りだと各6380円。

まさかまさかの、輸入盤よりもかなり安い価格設定となったのです!

今まで悩んだのはなんだったんだ、という話で、これなら国内盤にしない手はありません。
しかも、Amazonだと、DVD付き商品はほとんどの場合で値引きされるので、20%くらい安くなることがあります。
今の時点でも、20%まではいきませんが、値引きされて5000円台になってきたりしてます。
Amazonの値段は、日によって上下することが普通ですが、一度予約すれば、発売日までの最安値が適用されるので、安心して予約することができます。

バラ売りをおすすめする理由

で、BOXかバラ売りか。
やはりここは、僕はあえてバラ売りをおすすめしますね。
だって、BOXにした場合の大きな魅力が感じられないんですもの。

そもそも、収録曲に違いはありません。
BOXだからって、ボーナス・ディスクやボーナス・トラックがあるというわけではありません。

違うのは、Blu-rayかDVDの違いか。
より綺麗な映像だからと、Blu-rayにこだわる人には何も申しませんが、僕の場合、Blu-rayとDVDの画質の違いって、ほとんど感じないんですよ。
大画面のTVとかだと違いがわかるのかなあ。
でも、うちのTVのサイズではわかりません。
なので、Blu-rayでもDVDでもどっちでもよくて、いつも安い方を選んでます。

それから、BOXは装丁も豪華なんだろうし、ブックレットなども付いていて華やかなんでしょう。
豪華なパッケージを手に入れたい方には何も申しません。気持ちはわかります。
でも、僕の場合は、ブックレットはどうせ1度読めばそれきりだったりするし、豪華で大きなBOXセットは、置き場に困ったりするんですよね。

そんなBOXが、たとえ20%OFFになったとしても、バラ売りならそれよりも1万円くらい安い値段で買えちゃうんです。
だったら、バラ売りの方がお得だし、充分じゃん!

そんなわけで、僕はHMVでの予約をキャンセルして、Amazonで国内盤を予約しました。
あとは、それぞれがどれだけ値引きされるかが楽しみです。
20%くらい値引きされれば、3つ買っても15000円くらいで済むことになります。
これは、想定より大幅に安上がりです。

以上、いろいろ振り回されましたが、
この、意外な国内盤価格は嬉しい誤算でした。
よって、みなさんにも、国内盤のバラ売り購入をおすすめいたします。

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旧版DVD『24 Nights』を観直してみた

まず、24 Nightsっていうから、1ヶ月くらいの間に24公演やったようなイメージがあったのだけど、実際は、1990年と1991年に行われたライヴだから、1年ほどの間隔があったりするんだよね。
だから、映像をよく観ると、クラプトンの髪型や風貌も違いが結構あります。

この当時のクラプトンは、長髪にヒゲ。
高級ブランドスーツを身にまとい、クラプトン史上、もっともお洒落でクールな印象を持たせた時代。
そういうイメージ戦略でもあったのか、ステージ上でもほとんど笑わないし、ちょっと近寄りがたい雰囲気を漂わせています。

で、このライヴ映像は、全体を通して、照明がかなり明るく照らしていて、画面が眩しいほどに白光りしているのが特徴的です。

まずは4ピース・バンド。

「Running On Faith」
艶のあるクラプトンのギター・ソロが早速じんわり来ます。

「White Room」「Sunshine Of Your Love」というクリームの2曲。
とても力強く、クリームとはまた違った迫力があります。
ドラムセットの後ろで、フィル・コリンズがタンバリンを叩いているのが見えて、4ピース・バンドと言っておきながら、5人いるじゃんと思ったのですが。
この、ほんのちょっとだけ映ってたフィルは、実際どのような立場だったのかと謎もあったのですが、今度の新装版では、フィルがドラムを叩いている曲も収録されるようですね。
24公演のうちの何日かは、フィルがガッツリ演奏に参加した日があったということなんでしょう。

ブルース・バンド。
バディ・ガイとロバート・クレイがギターで参加しています。

「Watch Yourself」は小気味よいリズムが心地良い。
ロバート、バディの順にギター・ソロを弾きます。
カーッ、渋いなあ。

「Have You Ever Loved A Woman」
ギター・ソロはクラプトンの独壇場でした。

「Worried Life Blues」
これはピアノ・ソロに心奪われます。

せっかくバディ・ガイとロバート・クレイがいるのに、思ったほど存在感が感じられませんでした。
今度の拡張版で、フルセットのライヴでは彼らがどれだけ活躍していたのか確認するのが楽しみです。

9ピース・バンド。
先日の来日公演でもベースを弾いてたネイザン・イーストはもちろん、コーラスのケイティ・キッスーンの姿もあって、この頃からクラプトンを支えてたのかと驚きます。
30年も前からだもんね。

「Pretending」
先日の来日公演でも披露されてたので、感慨深くなります。
この頃から重要なレパートリーだったんですね。

「Bad Love」
この曲が始まる時にパッと画面にクラプトンが映るんですが、ギターのヘッドにタバコを差してイントロを決める姿がめちゃカッコいい!
80年代の「Layla」といった感じで大好きな曲です。

「Old Love」
深みのある、重厚感のあるバラードです。
クラプトンのギターも泣いていて、静寂の中のキーボード・ソロ、ベース・ソロが段々盛り上がっていって、クラプトンがガツーンとギターで入って来る瞬間は鳥肌が立ちます。

「Wonderful Tonight」
オリジナルより、ややスローか。じっくりと聴かせます。
終盤のケイティのスキャットが圧巻の聴きどころですね。

9ピース・バンドにオーケストラが加わっての大所帯。

「Hard Times」
原曲についてはよく知りませんが、ジャズのスタンダード・ナンバーのような趣。
ムーディーでありながらも、そんなにしつこくありません。

「Edge Of Darkness」
オーケストラでの演奏が一番効いてますね。
分厚いオーケストラ・サウンドに、負けないクラプトンのソロ。
この緊迫感のあるインストは、胸に迫るものがあって大好きです。

と、この旧版『24 Nights』のDVDは、4ピース3曲、ブルース3曲、9ピース4曲、オーケストラ3曲という、全13曲の映像でした。

まとめ。楽しみで仕方ない新装版

それが、今度の新装版では、ロック18曲、ブルース14曲、オーケストラ15曲と大幅に増えるのだから、それだけでもワクワクします。
なぜ今までこれを出し惜しみしてたんだ、と。
どの形態の映像も楽しみで仕方ありません。

早速、公式から、オーケストラの「Layla」の映像が公開になりましたね。

期待に違わぬものです。
当時のTV画面は4:3のサイズなので、今回の映像も基本はそうなのですが、2画面や3画面を並べて映して、今の16:9のサイズに対応させた映像演出があるところがカッコいいなと思いました。
他の演奏も早く観たくてたまりません。

ただ、難点というか疑問点がひとつ。
旧版『24 Nights』のCDには、1曲目に4ピース・バンドの「Badge」が入ってたのに、映像版には収録されてなくて、残念に思ってました。
当時は、まだDVDじゃなくて、ビデオテープの時代だったから、収録時間の関係かなんかでカットされたのかなあなんて思ってました。
それが、ようやく今回、新装版が出るということになって、映像が観られる!と思ってたら、なんと新装版の収録曲リストに「Badge」が無いじゃないですか。
これはどうしてなんでしょう。
「Badge」の映像には致命的な何かかあるのでしょうか?
画竜点睛を欠くとまでは言いませんが、どうして収録されないのか疑問だし、残念のひとことに尽きます。
逆に言うと、旧版のCDは、「Badge」が収録されているという点で、価値が下がらないかもしれません。
持ってらっしゃる方は、新装版に買い換えるからといって、手放さないように。

4ピース・バンドと9ピース・バンドをまとめて「ロック」としないで、その気になれば、それぞれを分けて商品化することも出来たはずです。
その方が、『24 Nights』のコンセプトに沿った、本来の姿に近いものになったのではないかと思います。
そうしてほしかったなという気もありますが、でも、そうするとBOXでもバラ売りでも、形態が多くなって、もっと価格が高くなってたことは必至。
お金のことを考えると、まあ、それはそれで良かったのかもなあとも思ってます。

まあ、なんにしても、『24 Nights』の完全版が観たいと思ってた僕としては、待望の新装版。
このライヴの後に、クラプトンは『Unplugged』で次なる大ブレイクを果たすわけですが、その直前の野心的なライヴの様子がたっぷり観れるわけですから、発売が楽しみでなりません。

お洒落かつ攻めまくったクラプトンのライヴが観たい方、是非ともコレを。
安く済ませたい方には、バラ売りがおすすめです。
バラ売りなので、3形態すべて揃えなくてもいいんだし、興味あるものから手を伸ばせばいいとは思います。

代表曲をおさえた基本的なクラプトンのライヴを観たければ『ロック』を。
クラプトンの趣味嗜好が伝わる、渋いのが観たければ『ブルース』を。
実験的でもあり、ゴージャスなサウンドに浸りたいなら『オーケストラ』を。

でも、やっぱり3形態どれも観たいですよね。

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