山下達郎 Live@LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂) 2019.11.12 感想

PERFORMANCE 2019

2019年11月12日(火)@LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)

敷居の高い山下達郎。チケット当たっちゃった

山下達郎は、興味はあれどもベスト盤どまりで、深く手を出していなかったアーティスト。
ライヴにも興味はあったけれど、まだまだ知らない曲が多い僕には敷居が高いなあと思ってましたが、ブログ仲間のryoさんによると、ライヴは定番曲ばかりなので、初心者でも大丈夫との話を聞きました。
そんな達郎の追加公演が行われるとの情報が入ってきました。
達郎は、ドームやアリーナ公演には興味がなく、自分のパフォーマンスをお客さんの隅々まで届けるにはホール公演までしか行うつもりはないし、ライヴはアーティストの声を聴く場であるので、お客さんが一緒になって歌うのは迷惑だ的な事を言ってたりもしてて、ライヴにはかなりのこだわりがある感じだし、チケットの一般発売も抽選だったり、入場時の本人確認も厳しかったりと、なんだか一見さんお断りみたいな敷居の高さがあって、そこに逆に興味が沸いたりして。
追加公演と言っても、7月に体調不良のため中止になったライヴの振り替え公演の意味合いが強く、中止になった公演のチケットを持ってた人を優先的に受け付けるものであったため、ただでさえチケットが獲りにくい達郎ライヴなのに、これでは当たらないでしょ、と。
でも、仕事を休んでまでどうしても行きたいとは思わなかったけれど、ライヴの日がたまたま仕事が休みの日にあたっていたため、とりあえず申し込んでみるだけしてみようかと。
一般発売の抽選申し込み受付期間は3日間くらいしかなかったのですが、運良くその期間間際に情報を得る事が出来たので、ホントに軽い気持ちで申し込んでみたんですよ。
そしたら、当たっちゃったんです。ビックリしました。獲れるとは思ってなかった。
どうしてもライヴに行きたいファンはたくさんいるだろうに、こんな達郎初心者の僕なんかがチケット当てちゃって申し訳ない気持ちでした。

慌てて勉強

それから慌てて達郎の勉強です。
CDは数枚しか持ってないので、TSUTAYAで借りられるアルバムをレンタルしてきて、でもチケット獲れてからライヴの日まで1ヶ月くらいしかなかったので、結局アルバムはそれぞれ1回くらいしか聴く事は出来ず、なので、今回のライヴのセットリストに沿ったプレイリストを作って、それを繰り返し聴いてましたね。
あとは、ライヴ盤『JOY』が、今回のライヴのセットリストと結構被っていたので、それはかなり重宝しました。
達郎は、ツアーはセットリストをほとんど変えない人らしく、事前にセットリストがわかるというのは助かりました。とりあえず試験範囲を勉強しとけばなんとかなりますからね。
ただ、「LOVELAND, ISLAND」「悲しみのJODY」「高気圧ガール」「風の回廊」「エンドレス・ゲーム」「ヘロン」など、僕が特に大好きな曲はやらないので、大きな楽しみがないセットリストなのは微妙なところでしたが。

そんな感じで、達郎初心者の僕ですが、急場しのぎの勉強で、ライヴに参戦する事となりました。

ライヴ当日。新装なった渋公

会場となるLINE CUBE SHIBUYAは、新装なった渋谷公会堂で、もちろん初めて行く会場。
元の渋公には、どうやら20年以上前に1度だけ行った事があるらしいのですが、まったく憶えておりません。
とにかく、新しく綺麗なホールなのは間違いないところで。
ロビーがあるのが1階なのかと思ったら、階段を1つ上がった所が1階席で、また1つ上がった所はトイレで、さらに1つ上がったら2階席といった感じで、自分は今何階にいるのか分かりづらいのが難点だなあと思いました。

僕の席は2階6列1番。
2階なのは仕方ないとしても、1番という、端の通路側の席というのは嬉しいポイントでした。

ライヴのスタート

開演時間の18時ジャストに、ライヴは始まりました。

01. SPARKLE
02. あまく危険な香り
03. DONUT SONG
04. 土曜日の恋人
05. PAPER DOLL
06. FUTARI
07. SOUTHBOUND #9
08. 君は天然色
09. REBORN
10. セールスマンズ・ロンリネス
11. バラ色の人生 ~ラヴィアンローズ
12. Bella Notte
13. Smoke Get In Your Eyes
14. クリスマス・イブ
15. 蒼氓
16. ゲット・バック・イン・ラブ
17. BOMBER
18. LET’S DANCE BABY
19. ハイティーン・ブギ
20. アトムの子
(Encore)
21. プラスティック・ラヴ
22. 硝子の少年
23. RIDE ON TIME
24. DOWN TOWN
25. LAST STEP
26. YOUR EYES

バンド・メンバーに続き、ジーンズに緑のシャツを着た達郎が登場。

オープニングは、達郎がイントロのギターをかき鳴らして始まった「SPARKLE」
水の飛沫が飛んできそうな、夏の涼しげな一瞬を感じさせる曲。

メロウで大人な「あまく危険な香り」で会場をまったりさせます。

「DONUT SONG」はコミカルで、ドンドコドンドコとアフリカン・ビートな感じで、終盤にはみんなで手拍子をして楽しい。

「土曜日の恋人」は爽快感があって好きな曲。

「PAPER DOLL」
モテない男の、女性に対する恨みつらみを込めた曲とか言ってました。
ささやかなファンクで渋いです。

「FUTARI」は、うっとりするようなバラード。
ふたりの世界ですが、決して小さくはなく、サビは壮大な感じがして好きです。圧巻。

「SOUTHBOUND #9」は南国ムード漂うトロピカル・サウンド。

大滝詠一さんの「君は天然色」
大滝さんとは関係性が強すぎて、今まで気軽に触れる事ができなかったけれど、七回忌という事で、ようやく冷静になれたとの事。
大滝さんの歌を歌い継げるのは私しかいない、という言葉が心強かったです。
もちろん大好きな曲で、大滝さんを聴いてるかのように違和感なし。楽しい気分にさせてくれる曲でした。

「REBORN」は重たい曲です。
重たいと思ったら、やはり「死生観」がテーマになっている曲だそうで。
でも、この曲は達郎にとっても重要で、思い入れのある、山下達郎を代表する曲になるであろうと言ってました。

「セールスマンズ・ロンリネス」
サラリーマンの経験はないけれど、街で見かけた営業マンの姿を見て書いた曲だという通り、サラリーマンの悲哀が感じられる、雑踏の中にある「静けさ」を表した曲です。
聴いてると、なんだか寂しくなってきます。

「バラ色の人生 ~ラヴィアンローズ」「Bella Notte」「Smoke Get In Your Eyes」のカヴァー群。
オールディーズ・フリークの達郎は、ライヴではいつもカヴァー曲をいくつか披露するのが恒例となってるのでしょうか。
これらの曲は、なんか、聴いててクリスマスを感じました。

と思ったら、ホントにクリスマスになったの「クリスマス・イブ」
これはもう、有名すぎて何も言う事がありません。

「蒼氓」も割とヘヴィな曲ですね。
黙って聴き入るしかない感じです。
中盤で「People Get Ready」「Blowin’ In The Wind」、そして「希望という名の光」のフレーズが挟み込まれました。
終盤の「♪ ラララララ」は、お客さん大合唱になるのかなと思ってましたが、みんな黙って聴いてましたね。

「ゲット・バック・イン・ラブ」
良い意味で脱力感がありながら、力強い宣言にすり替わる曲です。

外国人が『GO AHEAD』を持ってサインを求めてきて、「いつかあなたのライヴに行きます」と言っていたので、彼は今回のツアーをどこかで見てくれたのかなという話をして、始まったのが、僕も今回1番楽しみにしていた「BOMBER」
すごくファンキーで、思わず体が疼く、カッコいい曲。
曲をリードするベース・ライン、そして艶っぽいギター・ソロがたまりません。

「LET’S DANCE BABY」
今まで座っていたお客さんたちが総立ちになりました。
前半のトロピカルな感じから、雰囲気が一転してのサビ「♪ 飛んでCosmos」が好きです。
2番の「♪ 心臓に指鉄砲」の所で、お客さんが一斉にクラッカーのようなものを鳴らしたのでビックリしました。僕はまったく知らなかったのですが、この曲では恒例になってるのですね。これで、ライヴ盤『JOY』の変な破裂音の理由が理解できました。そして、とても火薬臭かったです。
中盤では、まりやさんの「不思議なピーチ・パイ」「もう一度」「けんかをやめて」「リンダ」「純愛ラプソディ」「毎日がスペシャル」「すてきなホリデイ」「元気を出して」、そして達郎の新曲「RECIPE (レシピ)」をワンフレーズずつ挟み込むという構成。ホントにワンフレーズずつでしたけどね。ツアーの大半では、まりやさんの曲だけだったのでしょうが、新曲のリリースを目前に控えて、たぶん今回初めて「RECIPE (レシピ)」のフレーズも追加したのではないでしょうか。でも、こんな形で「RECIPE (レシピ)」が披露されたため、ああ、これでフルサイズでの演奏はないんだな、と少しガッカリ。

ジャニー喜多川さんR.I.Pと言って、近藤真彦「ハイティーン・ブギ」のセルフ・カヴァー。
もしかしたら、僕がリアルタイムで山下達郎の作品に初めて触れたのはこの曲かもしれません。
もちろん当時から大好きな曲だったので、作った本人による演奏が聴けたのは嬉しい。カッコ良かったですね。
でも、1番だけのショート・ヴァージョンでした。

「アトムの子」は、初めに聴いた時は小品だと思ってましたが、ライヴだとジャングル・ビートが強調されて、混沌さに拍車をかけて、お祭り騒ぎ的な雰囲気も。
中盤、何故か「アンパンマンのマーチ (ドリーミング)」を挟み込むという。笑う場面か?
演奏が佳境に入る中で、メンバー紹介をしたのですが、「ギター、サハシヨシユキ!」と言ったのでビックリ。佐橋佳幸さん?と思って、ギターを弾いてるその姿をよく見ると、ホントだ、佐橋さんだと気付きました。達郎のバンドにいたとは知りませんでした。
これにて本編終了。

アンコールは、赤いシャツに着替えて登場の達郎。

まずは、まりやさんの「プラスティック・ラヴ」
最近、シティ・ポップ・ブームという事で海外でも人気が出て、この曲の再生回数もとんでもない事になっているが、私は昔から歌っていました、と曲紹介。
たしかに、ライヴ盤『JOY』にも入ってましたしね。
もちろん、僕も大好きな曲です。
これもファンキーというかグルーヴィーというか、なんとも言えないカッコいいリズムに体が疼きます。
切ないメロディも極上で、盛り上がりました。

再びジャニー喜多川さんR.I.Pと言って、KinKi Kidsの「硝子の少年」のセルフ・カヴァー。
お客さんが沸いた気がしました。
でも、この曲も1番だけのショート・ヴァージョンでした。

「RIDE ON TIME」
この曲は、達郎の曲で僕が最初に好きになった曲。それを生で聴けたのですから感慨深い。
これもカッコ良かったですね。
最後は、達郎渾身のヴォーカル・パフォーマンス。舞台後方のお立ち台?に上って、オフ・マイクでの歌唱。まるでマイクを通しているかのように、2階後方席の僕の所にも、はっきりと大きくその声は聴こえてきて圧倒されました。
これが山下達郎のヴォーカルか、と。

「DOWN TOWN」
これは、SUGAR BABEのものとも、ライヴ盤のものともちょっと違っていて、どことなくウキウキ感が足りない気がしました。若さと勢いは抑えた感じというか...それがちょっと物足りなかったりもしましたが、間奏での「Remember SUGAR BABE?」のセリフはやはり胸が熱くなりましたね。

ここでバンド・メンバーは退場。
達郎が一人でギターをつま弾きながら披露したのが「LAST STEP」
この曲は、どうやら会場によって、やったりやらなかったりしてたので、僕はやらないものと思って予習しなかったんです。どうせあまり知らない曲だからと思って。
でも、そしたら、とても聴き馴染みのある曲で、ライヴ盤『JOY』の1曲目に入ってた曲でした。曲名までは憶えてなかったのですが、『JOY』は聴きこんでいって、好きな曲だったので、思わぬ所でこの曲が聴けて、嬉しい気持ちになりました。僕にとってはサプライズでしたね。

「YOUR EYES」
アカペラでものすごく早口でこの曲を歌い出した時は、こんなに早口なのは最後のおまけみたいなものだからなのかな?と思いましたが、ワンフレーズ歌った後に、コーラス・テープが流れ出して、通常の曲のスピードになり、一人多重コーラスみたいな感じでフル・サイズ歌い切りました。

3時間超のボリューム満点のライヴ。達郎の自信

終了は21時15分。
達郎がライヴの冒頭から、何度も言及してたのですが、この会場は昔から終演時間に厳しく、21時までに終わらせろという事になっているみたいです。
なので、平日にもかかわらず、18時開演という早いスタートにせざるをえなかったとの事。
それでも、いつも長い時間になる達郎のライヴはそれで収まり切れず、今後「出禁」になってもいい覚悟でやる、と宣言してました。
今の時代の渋谷で、21時終了だなんて、誰が決めたのか顔が見えない、そんな官僚のやる事に従うつもりはない、反抗こそがロックだと、ライヴ中に何度も不満をぶちまけ、本当に終演時間を破ってまで、いつもの自分のライヴに徹しました。

3時間超のボリューム満点のライヴ。
僕がこのライヴで感じたのは、達郎のライヴ・アーティストとしての「自信」ですね。
自分のパフォーマンスには相当の自信がある、お客さんを必ず満足させるといった姿勢がヒシヒシと感じられましたね。
10年以上不動のバンド・メンバーとの安定した演奏に、達郎の衰え知らずのヴォーカルにはただただ圧倒されました。

それから、達郎の事はほとんど知らない僕は、達郎って気難しい人なのかなと思ってましたが、MCだったり、曲中にユーモアを挟んだりする所とか、結構お茶目な面があったりして意外でした。
こういうトークも人気だから、ラジオ番組が長く続いてるんだろうなとも思い知りました。

達郎はテレビにも出ないし、ライヴDVDなども出さないので、演奏してる姿を見るには、ライヴ会場に足を運ばないとならないアーティスト。
それが今回生でその姿を拝む事が出来て、その存在をしかと確認できましたし、ミュージシャンとは、アーティストとは何ぞやとを、深く考えさせられる事となったライヴでした。

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