佐野元春 Live@東京ガーデンシアター 2026.3.21 感想

45TH ANNIVERSARY TOUR 追加公演

2026年3月21日(土)@東京ガーデンシアター

45周年記念ツアー追加最終公演!

2025年。佐野元春 45周年を記念するツアーは、関東圏で行けそうなものはなるべく参加したいなと思って、3公演のチケットは獲ったものの、同一ツアーのライヴを何度も観るのは、飽きるかもとも思っていて。
それでも、2026年に追加公演が行われると聞けば、迷わずチケット購入です。
3月は佐野さんの誕生月でもあるし、デビュー月でもあるし。
何が起こるかわかりませんからね。

7000人ほどのキャパの会場でも、チケットはソールドアウト。
僕はファンクラブ枠でチケットを手に入れてはいましたが、このまま佐野さんの人気が上がっていき続けると、今後、チケットが獲れない状況になってしまうのではないかという不安もあります。
ファンが増えるのはいいことなんですけどね。

ツアー・ファイナルは横浜BUNTAI公演で、2025年内にツアーは終わる予定でした。
それが、佐野さんの体調の問題で、延期になった公演が2026年にズレこむという事態にもなりましたが。
とりあえず、ファイナルは昨年12月だったという提で考えると、そこから追加公演までは、少し間が空きました。
なので、もしかしたら、この追加公演は、本公演とはセットリストをガラッと変えてくるか?という思いもありましたが、先に行われた大阪公演の方で確認したら、基本的には同じ流れのようでした。
でも、追加された曲もあったりして、そこはたしかに追加公演の意味があるよな、と。
ただ、セットリストが大きく変わらないなら、それほど予習はせずとも済むなと、気持ち的には楽でした。

ライヴ当日。会場へ

あっという間にライヴ当日。
寒さもやや和らいできて、春らしい日が少しずつ増えてきました。
先月ライヴに出掛けた時よりも、1枚シャツを少なくし、ジャンバーも少し薄めのものに変えてお出かけです。

会場は有明の方なので、新宿で途中下車して、いつものようにレコード探索。
2時間ほど買い物を楽しんだ後で、再び電車に乗りました。

この会場に来るのは3回目ですかね。
慣れてきた感もありますが、この辺りはちょっと来ないうちに開発が進んで景色が変わったりすることもあるので、戸惑うことも。

国際展示場駅から歩いて10分ほどで会場に到着。
開場時間は16時ということでしたが、既に10分くらい過ぎてましたかね。
少し行列に並んだものの、サクサク進んで入場。

トイレに行ってみたら、個室がたくさんあったので安心。
男子トイレの個室がこれほど多い施設も珍しいと思うのですが、これなら、待ち時間も少ないし、ゆっくり用を足すことが出来ますね。

僕の席はA指定席 バルコニー1 Cブロック 7列14番。
バルコニー1は、アリーナ席の上、2階席という感覚でしょうか。
それで言えば、4階席まであるので、A指定席の中ではかなり良い方だと思われます。
やや左側からステージを観る感じ。
それでも「けっこう近いな」と思える距離でしたし、ステージの両脇には大きなスクリーンも設置されているので、「観る」という点では全然問題ないと思います。

座席にはリストバンドが掛けてありました。
手首にはめて、ライヴ中に光る演出を楽しむものです。
もうすっかりお馴染みのアイテムではありますが、今まで僕が経験した佐野さんのライヴでは初めてです。

ライヴのスタート

開演時間の17時を5分過ぎ、場内が暗転。
ステージ下手に置かれていたスピーチ台にスポットライトが当たります。
おや?と思ってたら。
そこに現れたのは、武田真一アナウンサー。
武田アナは佐野さんの大ファンで有名で、テレビでも何度も佐野さんと絡んでます。
そんな武田アナが、佐野さんファンを代表してとスピーチ。
佐野さんの音楽との衝撃的な出会いから、今までいかに何度も人生を支えてもらってきたかを、淡々とではありますが、思いのこもったスピーチ。
佐野さんに対して同じように思っていたファンは多くいるでしょうし、まさしく僕らの想いを代弁してくれてるようでした。

武田アナから、ライヴが幕を開ける合図があり、スクリーンには、佐野さんの45年を振り返る映像が流れ出しました。
疾走感を感じる映像と共に流れる「再び路上で」「リアルな現実 本当の現実」などのスポークン・ワーズ楽曲のビートが心地良い。

大きな拍手に迎えられ、コヨーテ・バンドのメンバーが登場。
そして、黒の革ジャン姿の佐野さんが歩いてきました。

01. 君を想えば
02. Youngbloods
03. つまらない大人にはなりたくない
04. だいじょうぶ、と彼女は言った
05. ジュジュ
06. 街の少年
07. 欲望
08. 自立主義者たち
09. 君をさがしている (朝が来るまで)
10. 誰かが君のドアを叩いている
11. 新しい航海
12. 太陽
13. レイン・ガール
14. 吠える
(Intermission)
15. さよならメランコリア
16. 銀の月
17. 斜陽
18. 境界線
19. 愛が分母
20. 純恋(すみれ)
21. La Vita è Bella
22. エンタテイメント!
23. 水のように
24. 大人のくせに
25. 新しい世界
26. スウィート16
27. サムデイ
28. 明日の誓い
29. 約束の橋
(Encore)
30. スターダスト・キッズ
31. 悲しきレイディオ
32. アンジェリーナ

「君を想えば」
この追加公演が、『HAYABUSA JET II』のリリースの後だということで、ツアー本公演と違うところです。
1曲目が変わりました。
新しい幕開け。
佐野さんはジャズマスターのギターをかき鳴らしながら、「♪ ありがとう」と歌い出します。
この45年、支えてくれたファンに対する想いのように。
手首にはめたリストバンドが、早速光り出しました。キラキラとした光が会場中を埋めます。
横浜BUNTAI公演からサポートに入った女性コーラス、佐々木久美さんとTIGERさんの2人。
特に「♪ 高く強く」のところで、女性コーラス隊のパワフルな威力を発揮してました。
サウンドのスパイスになってるのが藤田さんのスライド・ギター。
爽やかな挨拶代わりの1曲目でした。

「Youngbloods」
本公演ではこれが1曲目でした。
つまり、改めてここから45周年記念ライヴが始まったような感覚。
クールなジャズのように始まるイントロからして、何度聴いても絶品。
スクリーンには、新旧2つのMVの映像が交互に映し出されていきます。
1985年の佐野さん、2024年の佐野さん。
そして目の前に、2026年現在の佐野さん。
「♪ 鋼鉄のようなWISDOM」の辺りからスピード感がグッと増していくのがゾクゾクします。
さらに、「♪ 君と行く!」の力強さ。
素晴らしい。
この曲では、リストバンドは光らなかったですね。
曲の雰囲気に合わせて、光ったり光らなかったりする演出のようです。

「つまらない大人にはなりたくない」
イントロからして重低音。
低く唸るビート。
これはジャンプ・ナンバーだった「ガラスのジェネレーション」とはビートが違うんです。
観客のほとんどは、「♪ Hello city lights」のところで、パン・パパンと手拍子を打っていたけれど、それは以前は跳ねるようなリズムだったからこそ合ってたんであって、新しくなったビートには決定的に合わない。
階段を一気に駆け降りているのに、途中でスキップしろと言われるような感覚です。
このスピード感を削ぐ手拍子、もう要りませんよ。
ついクセで...というのはわかりますし、僕もライヴで数回体験したからこそわかったことなのですが、佐野さんが時代に合わせてビートを変えたんだったら、観客の方もノリ方をアップデートさせる必要があるんじゃないかと思います。
「♪ 答えはいつもミステリー」と歌いながら、?マークを空中に描く仕草の佐野さん。
「♪ ひとりぼっちのドアを」の後は、大声で「ノック!ノック!ノック!」と歌いながら拳を突き上げる観客。
そして佐野さんのシャウト「♪ つまらない大人にはなりたくない」に合わせて、観客も大合唱。
最後は「アギャギャギャ...」と奇声を発するかのような佐野さんに痺れますね。

MC。
「今日はアンコール公演です」
「たっぷり楽しんでってください」

「だいじょうぶ、と彼女は言った」
冒頭から、虚ろでやるせないサウンド。
佐野さんはアコギの音を静かに響かせます。
目に見えない何かが怪しく宙を舞い、圧力がかかって身動きが取れない感じ。
なんだか、ぜんぜん大丈夫じゃない(笑)。
しかし、サビではじんわりと解放されていくような力強い演奏。
呪文のような「ジバッパドゥ」が、女性コーラスによって一味違って聴こえて。
曲が終わる頃になると、微かに希望の光が見えてくるような、温かく不思議な感触に包まれるんですよね。
最後は、もう大丈夫なんだと強い気持ちになれる曲です。

「ジュジュ」
深沼さんが、アップ・ピッキングでリズムの核となるギターを弾いています。
佐野さんは赤いストラトで、2人のギタリストと共に、激しいシャッフル・ビートのコード・カッティング。
と思ったら、途中からタンバリンを叩いてリズムをリード。
スクリーンの80年代風ポップ・アートな映像も相まって、前曲から一気に華やいで、ポップでハッピーな空気。
ダウナーだった前曲との差、コヨーテ・サウンドの振れ幅の大きさを感じます。
歌詞も表示されていて、それを見てるとつい口ずさみたくなります。
「♪ ジュジュとはうまく踊れない」と歌ってるけど、この曲なら誰もが自然に踊れています。
「♪ 君がいない」と嘆く気持ちをぶつけるかのように、要所要所でタンバリンを叩く佐野さん。
「ヘイ!」と気合いの合図を入れると、客席はますますヒートアップして踊りまくる。
会場中が明るく弾けていましたね。

MC。
「今夜一緒に演奏してくれるのは、ザ・コヨーテ・バンド!」
「去年はアルバム2枚出しました。とっても好評です」
「今日は新しい曲、古い曲、たくさん演奏しますので、目いっぱい楽しんでってください」

「街の少年」
イントロの小松さんのドラムと藤田さんのスライド・ギターの音色で、一気に甘酸っぱい少年時代に心を持っていかれます。
爆裂ビートなロックンロールにすっかり興奮。
サビは無我夢中で「♪ ダウンタウンボーイ!」と拳を上げて大合唱。
この辺のスリルがたまりません。
「♪ ここにも一人、あそこにも一人」で客席をあちこち指差す佐野さん。
今回は僕の方を差してくれなかったな(笑)。
Cメロは「♪ ボーイフレンド、ガールフレンド 大切なマイフレンド」と、自然と大合唱になって、テンションがまた一段とヒートアップ。
転げまわるように叩きまくる小松さんのドラミングに心が破裂しそうで、バンドの一体感のある演奏に爽快感。
「♪ シャララララ...」と、コヨーテ・メンバーと女性コーラス隊の交互コーラスが星降るような素晴らしい感覚で、大きく手拍子をしながら幸せを噛みしめます。
最後に、「ダウンタウンボーイ!」と佐野さんが叫んだのもグッと来ました。
ダウンタウンと言っても、スクリーンの映像はマンハッタンでしたね。
佐野さんは日本の街をイメージして作ったのではなかったのか?

「欲望」
佐野さんはキーボード卓に座りました。
それを見て、観客も座ります。
落ち着いて耳を傾ける曲だからという判断なのでしょうが、でもコレ、けっこう踊れる曲なんだよね。
ホントはユラユラ踊りたいんだけどと思いつつ、仕方なく僕も座ります。
佐野さんは燃えたぎる情熱を抑え込むようにして歌います。
スクリーンにはずっと歌詞が字幕として表示されていて、曲の世界観に浸ります。
手首のリストバンドがまた光りだしました。
中盤からはミラーボールが回り出す感じで演奏もグルーヴィー。
演奏のビートも強くなり、一気にダンスフロアになったみたいです。
ほら、身体疼いたりしない?
そして刹那、渡辺さんのピアノと小松さんのハイハットだけをバックにして佐野さんが歌う場面がシンプルで素敵でした。
深沼さんは常に艶のあるギター・フレーズを弾いていて、天にも昇る思い。
そして、「♪ Rescue Me」のゴスペルみたいなコーラスは、やっぱり女性コーラス2人が歌うと威力が増しますね。

「自立主義者たち」
佐野さんは再びスタンド・マイク。
怪しげなビートにつられ、観客も再び総立ちに。
今までも「インディビジュアリスト」は、いろんなアレンジで披露されてきましたが、このコヨーテ・ヴァージョンは、ますます怪しい雰囲気を纏いました。
歌詞にもある「Cool walking」を追求したアレンジと言っていいかもしれません。
原曲の強力なスカも大好きだったけど、このヴァージョンにもすっかり慣れて、クセになってきました。
ガンガン踊るタイプではなく、グツグツと煮込んでいって、一定の温度まで上がったら、それをキレ良くまき散らす、みたいな。
深沼さんが妖艶なギター・フレーズを弾き、藤田さんがカッティング中心のギター・プレイ。
「♪ その調子だぜ」と言いながらも、決して観客の自由にはさせてくれない威圧感。
歌詞の一節「♪ 不確かなエモーション」を表現したサウンドなんですかね。
佐野さんの「♪ Big fat mama said」に応えて、「♪ シャラ・ラ・ラ・ラ!」と観客が大合唱して爽快感。
間奏の渡辺さんの短いオルガン・ソロは、不気味なのに興味津々に聴き入ってしまいます。
終盤、我慢しきれなくなったように、佐野さんはハンド・マイクに持ち替えて動き回りながら歌って熱が入ります。
「♪ 真夜中にさまようロビンフット」のところで、佐野さんが矢を放つようなポーズを取るのが恒例なのですが、見逃がしました(泣)。

「君をさがしている (朝が来るまで)」
佐野さんはジャズマスターを抱え、原曲とはすっかり様変わりし、ワイルドでブルージーなロックへと変貌したこの曲のギター・サウンドに厚みを加えます。
青臭かった青年が、すっかり円熟味を帯びた大人になったような、成長の証の曲とも言えます。
スクリーンには太陽に向かう宇宙服の男。
朝が来るまでどころか、宇宙の果てまで探しに行くということでしょうか。
見つかるまで探すのを止めない心の強さも感じるような。
瞬間的にテンションが上がる曲ではなくて、ジワジワと、グツグツと何かを煮込み続けているようなサウンド。
「♪ イエー、イエー、イエー!」と段階的に盛り上がると、観客の手拍子が大きくなったのが間奏。
深沼さんの熱いギター・ソロが胸をかきむしります。
ポップ・ロックが得意なのがコヨーテ・バンドですが、こういう骨太なところもある、って感じですかね。

MC。
「ありがとう」
「みんな、いい感じ?」
次の曲への振りか、マイクをコンコンコン!と叩く佐野さん。

「誰かが君のドアを叩いている」
同期による軽快なマンドリンの音が響いて始まる、大好きなこの曲。
「♪ 光のなかに 闇のなかに」と、力の限り大合唱で熱くなります。
スクリーンには、『BACK TO THE STREET』『THE BURN』『FRUITS』『SOMEDAY』『THE SUN』『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』『Sweet 16』『COYOTE』『BLOOD MOON』『MANIJU』『今、何処』などのジャケットのアートワークを基にした世界観をイメージした映像が次々と映し出されていきます。
『HAYABUSA JET II』収録のこの曲も、NEWヴァージョンなのですが、派手なホーンの代わりをピアノが担ってるくらいで、原曲との印象の違いはさほどありません。
ただ、どうやらこの曲、原曲よりキーを下げてるみたいなんです。
それで、過去3回このツアーでこの曲を聴いた時、Cメロの「♪ 太陽溶けた空に高く」のところで、演奏のキーと佐野さんのヴォーカルのキーが合ってないような気持ち悪さを感じていたのです。
原曲のキーと、新アレンジのキーと、そして転調と。
ライヴではまだ慣れてなくて、さすがの佐野さんもピッチを狂わせてたのかなあと。
それで今回も、少し不安に思いながら注目して聴いてみたら、今度はバッチリ聴こえました。全然気持ち悪く感じませんでした。
もしかしたら、『HAYABUSA JET II』をちゃんと聴いて、僕の方が慣れたからなのかもしれませんが。
ラスト、スクリーンに映る『今、何処』ジャケットの外国人の服装のセンスは、どう見てもアメリカのあの人を思い出す。
そんな人が最後に笑顔を見せる。
現在の世界状況を考えると、なんとも皮肉な風刺にも感じましたね。

「新しい航海」
佐野さんは黒のグレッチに持ち替えて、明るく華やかな曲。
リストバンドも光り出しました。
スクリーンには、オレンジと黒のボーダーのダウンジャケットを着た異星人が歩いてる様子が映し出されているのが印象的。
見知らぬ場所では自分は異星人なんだとでも言ってるかのような。
航海と言っても、海だけじゃなく、大地、果ては宇宙まで、それは遥かなる旅。
人生は旅だと。
どこまでも新しい場所へ歩を進めていく大切さを教えてくれてるようです。
「♪ 今までの夢はまぼろし」と言いながらも、ガレキの中に、君という希望を見つけていく。
「♪ ガレキの中に 荒地の中に」と一歩一歩、自分の足でしっかりと前へ進むんだとでも言うような、力強いリズムに勇気が湧いてくる曲です。
藤田さんのステージ前方でのギター・ソロはクレイジー。
そしてラストは佐野さんがハーモニカ・ソロを吹き鳴らしてカッコいい!

「太陽」
佐野さんはキーボード卓に座りました。
『HAYABUSA JET II』に収録されたこの曲、この追加公演で初披露です。
カーンカーンカーン、カカンカーン!というピアノのリズムがダンサブル。
渦巻くようなグルーヴのサウンド。
原曲と違ってポップになり、大好きです。
リストバンドも光って、心が解放されるようです。
スクリーンに映るのは多くのヤシの木。
そして、泣いてる太陽。
ライヴで聴くのは初めてのはずなのに、もう今まで何度も体験したことがあったかのような馴染み感があって不思議でした。
そして最後に、太陽が笑いました。

MC。
「ありがとう」
「HAYABUSA JET IIから、太陽、聴いてもらいました」
「もうすぐ春ですね」
「気持ちを新しくしている人もいると思います」
「見せかけだけのこの世の中で、あの娘だけがリアル」
「レイン・ガール」

「レイン・ガール」
佐野さんのギターはストラト。
深沼さんの弾くアルペジオが美しい、ギターを中心としたポップ・チューン。
リストバンドも光りだし、雨が降っているのに空は晴れているような爽やかさを感じます。
「♪ Do you love me?」「♪ いつか君と少しだけ話したい」と、切なる願いが歌われます。
Cメロ「♪ 楽しいときにはいつも」の佐野さんのシャウトと、その後ろの「パッパウー」というコーラスが楽しく、コヨーテ・バンドらしい。
観客の手拍子はどんどん大きなアクションになっていき。
ラストの「♪ ラララララ~ラ~ラ」と手を左右に振りながら大合唱すれば、佐野さんも「ワンモアタイム!」と煽って、さらに観客の声が大きくなって、一体感が倍増。

「吠える」
この曲も『HAYABUSA JET II』収録曲で、この追加公演が初披露。
原曲の「ハッピーマン」とは大きく様変わりしたアレンジに、ファンの間でも賛否両論。
でも僕は、これはきっとライヴ映えするぞと楽しみにしてました。
スクリーンには写真をコラージュしたポップな映像が矢継ぎ早に映し出されて。
「♪ 吠えろ吠えろ 永遠に」
「♪ 吠えろ吠えろ 世界中」
爆発的なロックンロール・ブギ。
藤田さんのギター・ソロもタガが外れているよう。
佐野さんも、コヨーテ・メンバーも、まさしくみんなハッピーマン。
何も考えず、音に合わせて踊り狂うのが正解。
予想通り盛り上がりました。
原曲の「ハッピーマン」が好きすぎると、否定したくもなる気持ちはわかるのですが、これはこれで充分アリなんですよ。

「今夜は第1部、第2部と分けて、ここでインターバルになります」
「僕らは20分後に戻ってきます」

休憩時間中、スクリーンには、『山中湖は寒かった』という、佐野さんへの一問一答形式のインタビュー映像が流れます。
相変わらず、佐野さんらしい、ウィットに富んだ受け答え。
僕は観るのも4回目なので、佐野さんが何と答えるのかわかってきていて。
「よく聴いたアルバムは?」の質問に、『Sgt. Pepper’s』『Blonde On Blonde』『Pet Sounds』を挙げていて、どれも僕も好きなものなので、好みが同じで、あらためて嬉しいなと。
HAYABUSA JETとは何かという質問に答えたり、夜中のピーナッツバターにハマってる佐野さんも相変わらず。
そして、「最も不快なものは?」の問いに対して「検閲」と答えてるところ。
まさに、ここが自由を尊重する佐野さんの本質だよなと思うんですよね。
それが軸となって、歌詞や音楽を作っているんだなというのがわかります。
しかし、ゾイ君に「おいで!」と言ったら、プイとそっぽ向かれる場面は何度観ても笑えます(笑)。
ゾイ君の名前はアルバム『ZOOEY』と同じだと思ってたら、ゾイ君のスペルはZOYなんですよね。

結局、休憩時間は25分間くらい。
場内が暗転し、スクリーンには砂漠に青空の映像。
『今、何処』の「OPENING」の音楽が流れ、不穏な空気の中、コヨーテ・メンバーが再登場。
そして、黒のスーツと黒のシャツに着がえた佐野さんが現れます。
女性コーラス隊はいませんでしたね。

「さよならメランコリア」
佐野さんはキーボード卓に座って、観客も休憩時間からの流れで座ったままの鑑賞。
深沼さんのどこまでも鳴り続けるようなノイジーなギター・フレーズが演奏の核を担い、耳にまとわりつきます。
YesかNoか。
なんとなく。
どっちでもなく。
曖昧。
それが日本人の特性みたいなところがありますが、そこに佐野さんが「ぶち上げろ魂」と喝を入れます。
いかに魂ぶち上げて生きるか。
佐野さんが我々オーディエンスに突き付けた問題提起。
シリアスに、真剣に耳を傾けなければなりません。
ただ、静かな闘志を燃やすこの曲。
曖昧なままでも魂ぶち上げていくのは、意外と簡単なことなのかも、と思えたりもします。
名盤『今、何処』の方向性を決めた名曲ですね。

「銀の月」
ピコピコとポップなビートで宇宙旅行!
佐野さんも立ち上がってエピフォン風ローズウッドのギブソンのセミアコを鳴らします。
一心不乱に突き進むビートに、観客は再び総立ち。
このグイグイと引っ張るようなグルーヴが、コヨーテ・バンドならでは。
それに合わせて飛び跳ねながらの手拍子。
決して悲観的にはなりません。
ワクワクするような未来への思いに爽快感。
終盤の小松さんのドラムの音がすごく良くて。心に何度もヒットします。
そして、そこに絡んでくる深沼さんの、突き抜けるような高音から、唸りを上げる低音まで、ドライブ感一杯のギターの音色に痺れました。
ラストはスクリーンに【jump into metaverse】の文字。

MC。
「ありがとう」
「世界の毎日の進捗状況に神経がやられそうです」
「休憩時間のインタビュー映像、観てもらえましたか?」
「ゾイ!」
「犬です」
「一緒にいると、荒れた心が和んでくるようです」
「アルバム”今、何処”から聴いてください」
「斜陽」

「斜陽」
このツアー、この『今、何処』パートでの3曲目は日替わりみたいな感じでしたが、今夜選ばれたのはこの曲。
「♪ 君の魂 決して無駄にしないでくれ」というメッセージ。
佐野さんはアコギを弾きながら、少し寂しげに歌うのですが、バンド・サウンドなのに、佐野さんのアコギの音がハッキリ聴こえてくるのでビックリしました。
こういう、深く落ち着いて聴かせる曲では、深沼さんと藤田さんの息の合ったギター・アンサンブルがひと際素晴らしい。
改めて、今この曲を歌う意味を考えてしまいました。

MC。
「45周年記念ツアー、今夜が最後です」
「その大事な夜をみなさんと過ごせて、とても嬉しいです」
「アルバム”BLOOD MOON”から」
「境界線」

「境界線」
ピアノとベースが奏でるイントロが鳴る瞬間がたまりません。
コヨーテ・バンドお得意のポップなモダン・ビート。
けれど派手にはならず、穏やかなノリ。
佐野さんはローズウッドのセミアコを抱えていますが、時折タンバリンを叩きながら、グルーヴを感じています。
サビの「♪ 感じたままのど真ん中を」で手を軽く振る佐野さんですが、それを合図とばかりに、観客がワイパーのように手を大きく左右に振ってノる光景が好きです。
佐野さんが優しく導いてくれてるのだなと。
「明日、境界線を越えていこう」
前向きな行動に繋がるメッセージです。

MC。
「ありがとう」
「みなさんを見てると、僕のファンの年齢層も広がってきたなと感じます」
「何人かキッズたちも来てる」
「これからの子供たちが、戦争に行かなくて済むように」
「そんなキッズたちに歌いたい」
「愛が分母!」

「愛が分母」
女性コーラス隊が再びここから参加です。
この強力なスカ・チューン、音源はホーンの音色が入ってて派手に盛り上がるのもいいんですが、ライヴでのホーン無しのコヨーテ・サウンドでシンプルに跳ねるアレンジもいいものです。
佐野さんはスタンド・マイクで、「♪ 踊りたい」と身体を弾ませながら軽快に歌います。
観客も「♪ あーいが、ぶんぼっ」とか「Say Yeah!」とか、楽しそうに大声で歌います。
僕が初めてこの曲を聴いたのは、コロナが直撃した2020年。
マスク着用義務、声出し禁止のライヴでした。
今は、無事に楽しく大声で歌えることに感謝です。
軸になるギター・ワークは、深沼さんがカッティング、藤田さんがフレーズを担当。
でも、深沼さんがソロを弾く時は藤田さんがカッティングにと入れ替わるんです。
それが粋でしたね。
間奏では、「シュンちゃん!」と言ってソロを促し、渡辺さんの近くに寄っていく佐野さん。
渡辺さんのオルガンの音色が心地いいです。
2度目の間奏は藤田さんもソロを弾きます。なんだかカクカクしたサウンドだった(笑)。
佐野さんはタンバリンを叩いて、終始にこやか。
そして、「カモン!」と煽れば、「♪ Say Yeah!」と観客の声が一段と大きくなっての大合唱でフィニッシュ。
これが超気持ちいい。
いつ聴いても楽しい、参加型の名曲ですね。

「純恋(すみれ)」
この曲ではもうお馴染み、イントロでピンク色の照明を浴びた佐野さんが、両手をビシッと広げるポーズ!
何度観てもホレボレします。
女性コーラス隊はまたいなくなってました。
リストバンドは佐野さんを照らす光と同じようにピンク色に光り、その後もステージ上の照明に合わせ、いろんな色を放っていました。
キッズより少し上、ヤングの世代に向けて、恋することは戸惑うけれど、その喜び、素晴らしさ、尊さを感じてほしいと歌いかける名曲。
これを聴いて、恋をしてみたいなと感じてくれる若い人が増えたら素敵なことです。
そして、遠き日に思いを馳せ、甘酸っぱくも満ち足りた思いに浸る中高年(笑)。
しかし、スタンド・マイクで歌う、いつまでも若々しく瑞々しい佐野さんを観てると、いやいや、自分だってまだまだこれからだ、と思ってもいいんじゃないでしょうか。
「♪ 誰もが愚かになるよ」のところで、頭をコンコンと叩く仕草をする佐野さんがチャーミング。
今回、僕はこの曲の時、スクリーンはあまり観てなかったのですが、スキンヘッドで裸の男の人がアングラ舞踏、その前で佐野さんも妖しくポーズを取るという、なんだか歌詞の内容とのギャップが激しい、意図不明の映像は映し出されていたのでしょうか。
間奏で、ステージの前方に出てきて手拍子をする佐野さん。
君の心は今も震えているか?と問いかけているようです。
そんな佐野さんに導かれて、観客も若返っていたと思います。
ラストは、「♪ この心は闇に彷徨うだけえええええぇぇぇぇぇ~っ」と、かなりの高音で伸ばしたヴォーカルの佐野さんに痺れました。
何度も聴いてきた曲だけど、新しい「純恋(すみれ)」を聴いた気がしました。

「La Vita è Bella」
穏やかながらも、何かが始まりそうなワクワク感に包まれるイントロ。
イントロのオルガンの音を聴きながら、小刻みな手拍子。
「♪ 君が愛しい 理由はない」
それに尽きます。
心惹かれるもの。
大好きなもの。
そこに理由なんていりません。
いつ聴いてもフレッシュなサウンドで、人生が良い方向に開けていくような希望を感じさせます。
大人に向けたラヴ・ソング、人生賛歌ですね。
僕が佐野さんに注目するきっかけの1つとなった曲ですから、思い入れがあり、幸福感で満たされます。
「この先へもっと」という言葉には、佐野さんの決意を感じます。
Cメロの「♪ 朝は誰にでも」から、佐野さんはハンド・マイクに切り替え、ステージ前方を歩きながら歌うのですが、この日は何故かこの場面、ヴォーカルがほとんど聴こえなかった。
ハンド・マイクにしたせいで不調が起きたのでしょうか?
それとも、佐野さんの声量が出てなかった?
ちょっと原因はわかりません。
でも、その後の間奏で、演奏のビートと共に観客の手拍子がひと際大きくなり、会場全体がうねっていくような感覚になるのがやっぱり好きな場面。
ラストは、佐野さんはタンバリンを叩きながら、そして深沼さんと藤田さんに加え、高桑さんまで、4人がステージ前方に並んでの演奏に興奮なのです。

MC。
「デビューして45周年、コヨーテ・バンドは20年目」
「東京のみんな!」
「もっとロックしよう!」

「エンタテイメント!」
軽快なギターと爆裂なドラムが痛快なロックンロール。
グイグイとアグレッシブに、どんどん前のめりになっていく演奏で、エンターテイメントの素晴らしさ、大切さを畳み掛けます。
みんなを楽しませようと、もう誰にも止められないコヨーテ・バンド。
ああ、楽しいなあ、幸せだなあと実感します。
よく見ると、いつのまにかコーラスの女性2人もステージに戻ってきていました。
でも、何度目かの「♪ イヤなこと忘れる」のところで、誰かがコード・ミスしたっぽい。
ちょっと気持ち悪い音に聴こえた瞬間がありました。
間奏で、深沼さん、藤田さんのギター2人が一斉に前へ飛び出してくる時の迫力といったら!
音楽の楽しさ、芸術の楽しさ。
それはどんなに苦しい時でも救ってくれる、素晴らしいものだと、爆裂ビートで一気に畳み込みます。
スクリーンには大きく【ENTERTAINMENT】という文字が、派手なネオンのように表示されて、ブロードウェイのようでした。

「水のように」
佐野さんのギターはグレッチ。
裏打ちのハイハットの音が、水飛沫が舞うような心地良さがあり、ポップで軽快なビートが清々しく爽快感のあるロックンロール。
そのイメージが増幅させるように、スクリーンには水や波の映像。
どんな苛立つことがあっても気にしない心境になれるまで、水のように、軽やかに、流れに身を任せて生きる。
そんな心の強さ、身に付けたいですね。
佐野さんのヴォーカルに呼応する、「気にしない」とか「ひるまない」とかのコヨーテ・メンバーのコーラスがもともと印象的でしたが、女性コーラス隊の声が加わると、一段と新鮮かつ説得力あるものに聴こえました。
その言葉自体、ポジティブでとても大切なような気がします。
水が流れるように、ありのままに、自然に。
常にそんな風な気持ちで日々を暮らせたら。
どんな悪意に翻弄されても、水のように形を変えて凌いでいけば、なんとか生きていける。
サビの最後の「その日まで 元気で」という佐野さんからの言葉が強く心に入ってきました。
ラストをジャジャーン!と決める演奏に、バンドの一体感をいつも感じます。

「大人のくせに」
ややブルージーでワイルド、大味な骨太のロックです。
ギターを外した佐野さんは、スタンド・マイクに向かってタンバリンを叩きながら歌います。
歌詞に合わせて「プロパガンダ!」と叫びます。
「♪ 英雄もファシストも いらない」という歌詞が、この世の中を思うと、痛烈に刺さります。
混迷を極める世の中に、皮肉や風刺をこめて吠える佐野さん。
そうだ、そんなものに踊らされちゃいけない。
こんな社会を笑い飛ばす心意気。
「ギター、深沼元昭!」と佐野さんが叫んで、深沼さんがソロを弾き倒している時に、藤田さん、高桑さんもステージ前方まで出て来て華やか。
とてもドライヴした演奏でした。

「新しい世界」
「ニューエイジ」からこのタイトルになり、『HAYABUSA JET II』に収録されました。
最初は必要最小限の音色で、どこに行くのかわからない孤独感を携え、ややバラードっぽく始まる序盤。
「♪ That’s the meaning of life」と歌ったらロックなバンド・サウンドに切り替わります。
スクリーンの映像でも感じるのですが、来たるべき近未来。
そこは寂れてる?
それともユートピア?
我々が迎える新しい世界とは。
それに合わせてリストバンドも光ります。
「♪ 星屑みたいに降って来る」のところで、何かバゴーン!という音が聴こえてた気がするのですが気のせいでしょうか?
「♪ 彼女は虚ろなマーマレイド 雨に向かって歩いてゆく」で、両手を振って歩いていく仕草をする佐野さんがたまらなく好き。
どんな道を歩いてゆくか?
この演奏を聴いてると、それは穏やかな道のような気がしました。
サビ直前は「フッ!フッ!フッ!フッ!」と大合唱して「♪ NEW AGE」に突入。
Cメロ「♪ 心のスクラッチを抱いて」からハンド・マイクに切り替えて、ステージ前方へ出てきて激しくシャウトする佐野さん。
未来に向かって、希望に向かっているけど、決して浮ついてはいないという感じの演奏でした。
自分にとってのmeaning of life、探すとしよう。

「スウィート16」
佐野さんはストラトをかき鳴らし、ドンドコドンドコと派手なジャングル・ビートのリズムを刻む小松さんのドラムで、稲妻のようなロックンロール。
あちこちで爆弾が爆発するような、16歳の溢れんばかりの衝動が表現されてます。
サビの「♪ Wow Wow 夢見てるSweet 16」からは、拳を高く何度も突き上げながら大合唱して、盛り上がります。
熱いんだけれど、水飛沫を浴びてるような爽快感。
「♪ Dance Dance 夜明けまで」...楽しいっ!
佐野さんの「♪ ウェ~~~ルッ!」のシャウトを合図に転調すると、一段階レベルが上がったような演奏になって盛り上がるのが好きです。
拳をガンガン突き上げ、一緒になって歌う観客の一体感はとても煌びやか。
夢見て、踊って、be with you。
この曲も燃えました。
演奏終了後、ポーズを決めて静止し、カッコつける佐野さんに、会場から大きな拍手。

MC。
「僕は46年前の今日、アンジェリーナでデビューしました」
「そして80年代と言えば、思い出深いのは、アルバムSOMEDAY」
「この曲を書いて、今はホントに良かったと思ってます」
「詞を知ってる人がいたら、一緒に歌ってください」

「サムデイ」
イントロの小松さんのドラムの音が、ドララバゴーンッ!!という感じで物凄いリバーブのかかった爆裂音。
それでもう、心は爆発しそう。
そして、その後の胸をキュンとさせるピアノの旋律に感極まります。
大切な45周年記念ツアー、やっぱりハイライトの1つとなるのが、この代表曲。
佐野さんにとっても、ファンにとっても大切な曲。
これまで、いくつもの曲で、スクリーンに歌詞を表示させる演出がありましたが、一緒に歌ってと言いながら、スクリーンに歌詞の表示はなし。
もう、この曲の歌詞はみんなの心の中に刻まれていて、字幕なんていらないというのがわかっているようです。
誰もが愛しい時間を想いながら、冒頭から大合唱。
でも、僕はもちろん、会場中、みなさん一緒に歌ってたようですが、不思議と僕の耳に入ってきたのはほとんど佐野さんの声だけでした。
サビ前の「♪ まごころがつかめるその時まで」の時のブイブイと鳴るベースの音に気分はさらに上昇。
「♪ SOMEDAY この胸に SOMEDAY」
もう、ずっと大合唱。
間奏では、サックス奏者がいない代わりに、佐野さんがハーモニカ・ソロを吹くのですが、これがまた郷愁を誘う音色で、さらに若い青春の日々に思いを馳せます。
最初から最後まで、ぶっ通しで佐野さんと一緒に熱唱し、胸がいっぱいになる時間はあっという間。
「信じる心 いつまでも」
佐野さんと観客の間には、たしかで揺るぎない信頼関係がありました。
佐野さんの曲なんだけれど、これはもう、みんなのうた。
そして、自分のうた。
青春の煌めき。
青春の忘れ物。
いつでも取り出せるタイムカプセル。
いつまでも朽ちることのない、エヴァーグリーンのアンセムです。

「明日の誓い」
サムデイ、サムデイと歌った後に、もう次には明日へ気持ちが向かっているという。
「いつか」の後に「明日」を歌う、この2曲の流れに、途轍もなく大きな意味を感じます。
ギターの音色がマージー・ビートというか、モッズのような、キラキラした青春サウンド。
いや、青春時代でもあるし、壮年時代でもあるんです。
先ほどの「サムデイ」で、少しばかり青春の時を振り返ったけれど、「♪ 明日がなければ意味がない」と、明確に未来を見つめている佐野さん。
大切なのは、より良い明日へ一歩踏み出すこと。
ちょっと人生に疲れ気味の中高年が、もう少し頑張ってみるかと元気や希望をもらえるような曲。
これは年を重ねた「サムデイ」と捉えていいかもしれない。
穏やかで力強いサウンドを聴いていると、新たな未来へ向けての静かな決心をしたくなります。
最後は「♪ ララララララララ」と大合唱、会場がひとつになって胸アツ。
きっと、より良い明日になることを信じて。
生きる勇気も漲り、そうだ、これからも頑張ろう。

MC。
「45年を振り返ると、いろいろありました」
「でも、全体的に楽しくやってきたと思います」
「それも、応援してくれるみなさんのお蔭です」
「そして、ハートランド、ホーボーキング・バンド、コヨーテ・バンド」
「素晴らしいミュージシャンたちに恵まれました」
「今夜はアニバーサリー・ライヴということで」
「古田たかしくん、井上富雄くん、長田進くんが来てくれてます」
佐野さんの言い方...ハートランドやホーボーキングの3人がステージに出て来て、一緒に演奏するのかと思って歓声が上がりましたが。
「どこかな?」
「こんにちは!」
どうやら、「客席で観ている」という話だったようで、肩透かし(笑)。

「約束の橋」
佐野さんのギターはジャズマスター。
深沼さんが黙々とビートを刻み、藤田さんがアルペジオ中心のギター・ワーク。
リストバンドも光りだしました。
「♪ 今までの君はまちがいじゃない」「♪ これからの君はまちがいじゃない」と全肯定されるわけですよ。
佐野さんにそう言われれば。
そして大合唱で自分も歌えば。
勇気をもらって、なんだかこれからも自信をもって生きていけそうな力が湧いてくるのです。
それにこの曲は、演奏するたびに力強さを増していっている気がします。
今までを、そしてこれからを肯定してくれる曲、この力強さが説得力のような気がします。
こうして、佐野さんが背中を押してくれるから、厳しい現実でも前を向いて歩いていけるんですよね。
決して人生を諦めない。
それが佐野さんとファンの固い約束。
間奏では原曲のようなサックス・ソロはないので、その代わりに、ピアノの優しい旋律が和ませていくコヨーテ・アレンジ。
そして、ラストは精一杯「♪ ラーラーラーララー、ラーラーラーララー」と大合唱。
そこでいつも僕は息切れしちゃうことが多いのですが、今回は大きな声で歌いきることが出来ました。
ラスト、それでもまだまだとばかりに「ヘイ!ヘイ!」と気合いの声を絞り出す観客。

「僕の素晴らしい音楽仲間を紹介します」
「ギター、深沼元昭!」
「ベース、高桑圭!」
「ドラム、小松シゲル!」
「キーボード、渡辺シュンスケ!」
「ギター、藤田顕!」
「バッキング・ヴォーカル、佐々木久美!」
「バッキング・ヴォーカル、TIGER!」
「ザ・コヨーテ・バンド!」

これにて本編終了。

この間、暗くなった場内に、観客のリストバンドの無数の光がスクリーンに映し出されていて綺麗でした。

アンコールに応えて、メンバー再登場。
佐野さんは、ジャケットを脱いで、黒シャツ姿。

「スターダスト・キッズ」
もったいぶることなく、いきなり佐野さんのハーモニカでスタート!
ストラトをかき鳴らしながら、佐野さんが「♪ この街のノイズに!」と煽れば、観客は「乾杯!」と拳を突き上げて大合唱して盛り上がります。
「♪ Let’s twist tonight」のところはフニフニと踊って楽しくなって。
サビの「♪ Ah Little darling I came for you」のヴォーカルと、連打するドラムが織りなす疾走感!
このアップダウンのスリルがたまりません。
もう、ライヴはラスト・スパートに入りました。
演奏終了後も、ガンガンに観客を煽る佐野さん。

不意に佐野さんが渡辺さんを指差すと、あの心ときめくピアノのイントロ!
「悲しきレイディオ」
ツアー本公演では、第1部のラストで歌われてた曲ですが、この追加公演ではアンコールに持ってこられました。
観客も大歓声で、すぐに「ヘイ!ヘイ!」と気合いの声。
疾走感溢れる演奏に酔いしれながらも、「♪ ムード盛り上がれば」のところでもう待てない感じの観客、「レイディオ!レイディオ!」と拳を突き上げて熱い大合唱。
ここ、1番力が入るとこです。
サビ後の早口でがなり立てるところ、「リトル・リチャード」の発音というか、活舌の良さが際立ってました(笑)。
そして「♪ 心はいつでもオーバーヒート」と歌った後、ステージ前方へ出てくる佐野さん。
3番では「この素晴らしい東京の夜!」と叫んで大歓声。
さらに、「ゴー!ゴー!ゴー!」と煽って、観客の「♪ レイディオ!レイディオ!」の大合唱の声が大きくなります。
この疾走感。
この爆発力。
燃えまくりました。
佐野さんもコヨーテ・メンバーも、そして観客も、この場にいる全員が、ビートに恋して、心がオーバーヒートして、最高の瞬間をフルスロットルで駆け抜けました。

ステージ前方を右から左へ、観客を煽りながら歩く佐野さん。
そしてバンドの方を向いて、ギターを構えます。

「アンジェリーナ」
45周年記念のライヴの最後を飾るのはデビュー曲。
これがなければ終われない。
佐野元春の魅力が詰まっていて、45年経った今でも、その輝きは変わりません。
デビューした時から現在まで、ロックンローラーとしての魂は錆び付いてないという証明のように思えます。
もうここまで来れば、最後の力を振り絞って、全力で燃え尽きよう。
リストバンドもビカビカと光っています。
「♪ Oh アンジェリーナ 君はバレリーナ」と拳を突き上げて大合唱。
さらにサビ前で、「Go!Go!Go!」と煽る佐野さん。
そうなったら、力の限り声を出し尽くすしかありません。
抑えきれない興奮と共に「♪ 今夜も愛をさがして」と、絶叫に近い大合唱のリフレイン。
興奮の坩堝です。
この瞬間。
この体験。
まさにライヴ。
2番の「♪ 今晩 誰かの車が来るまで 闇にくるまっているだけ」の、くるまのライムを強調する佐野さんを楽しんで。
3番の「♪ 車のエンジンを止めて」からの、恒例になった小松さんとのハモりは清々しく。
「♪ 二人でいれば大丈夫だぜ」のところ、佐野さんがそうするように、僕も二人を表すVサインを高く掲げたのですが、周りでやってる人はチラホラ。
誰もやってないと恥ずかしかったりするのですが、今回は大丈夫でした。
そして、何度も「♪ 今夜も愛をさがして」と歌えば、ボルテージは最高潮。
熱い。熱い。
この瞬間が永遠に続けばいいのに。
疾風怒濤の如く、最高のロックンロールは繰り広げられ、華々しいままに演奏終了したのでした。

でも。
あれ?
終わっちゃうの??
横浜BUNTAI公演では、この「アンジェリーナ」からのメドレーで、「♪ 愛する気持ちさえ分け合えれば I love you!」「♪ You love me!!」という、コール&レスポンスがあったのです。
「この日だけの特別」とは言ってたものの、数日後のロッキン・クリスマスでも同じことをやってたから、当然、この日もやってくれるものだと思ってました。
そしたら、コール&レスポンスやらずに終わっちゃった。
ええ~っ、そんなあ。
期待してただけに、これはちょっと肩透かし。
最後に来て、これは残念なことでした。

メンバー全員、ステージ前方に集合。
「東京のみなさん、素晴らしい夜を一緒に過ごしてくれてありがとう」
「最後にもう一度、メンバー紹介をします」
「ギター、深沼元昭!」
「ベース、高桑圭!」
「ドラム、小松シゲル!」
「キーボード、渡辺シュンスケ!」
「ギター、藤田顕!」
「バッキング・ヴォーカル、佐々木久美!」
「バッキング・ヴォーカル、TIGER!」
「ザ・ホーボーキ...あっ!」
うわ~っ、佐野さん、最後にやらかした!天然炸裂!!(笑)
コヨーテ・バンド20周年だと散々言っといて。
よりにもよって。
最後の最後に!
これには、コヨーテ・メンバーも観客も大爆笑。
佐野さんは「しまったなあ」という感じで悔し気な微笑みを浮かべてましたが。
そんな佐野さんが愛らしいんです。
それがわかったうえでの、会場中の大爆笑は、なかなか収まりませんでした。
気を取り直して。
「ザ・コヨーテ・バンド!」
「そして、この長いツアーを作ってくれたスタッフにも拍手」
「僕はこれまで、自由に感じ、自由に思い、自由に表現してきました」
「でもそれは、決して当たり前のことではなく、とても幸運なことだったと思います」
「今、世界中で、自由とは何か、デモクラシーとは何かが問われています」
「目の前には悲しい現実があります」
「でも、いろいろ考え過ぎて、臆病になってもいけない」
「今、こうやってファンのみなさんがここにいてくれることがとても心強いです」
「これからも、勇気を持って、今まで通り、楽しく、最前線で頑張りたいと思います」

ライヴ終了は20時10分でした。

45周年の次は?見えない未来は希望に満ちている

もう、お腹いっぱい、大満足でした。
45周年記念ツアー、4回も観たこととなりました。
この追加公演のチケットを獲った頃は、もしかしたら、最後だから特別で、また昔の仲間も加えて、グランド・ロッケストラになったりするのかな?と考えてたりしましたが、実際にライヴを迎える頃になったら忘れてました。
佐野さんだったら、20周年を迎えたコヨーテ・バンドの結束の方を大事にするだろうなというのがわかったからかもしれません。

セットリストの基本的な流れは同じなので、どうかなとは思ってましたが、この追加公演では、リリースされたばかりの『HAYABUSA JET II』からの追加曲もあって、新鮮な感じがしました。
演奏自体も、マンネリすることなんか全然なくて、あれ?今までこうだった?と思うような場面やサウンドの響きがあって、新しい曲をたくさん聴いてるような気がしました。
なので、4回目でも、飽きることなく楽しめました。

70代になった佐野さんですが、ますます絶好調。
コヨーテ・バンドの絆も深く、これからもこのまま突っ走っていくんだろうなという思いしかありません。
節目の45周年記念ツアーが終わったとなると、次はどんな展開が待っているのでしょうか。
新曲を詰め込んだアルバム...は、今年は流石にムリかな。
じゃあ、どんなことをする?
ちょっと想像がつきません。
ただ、佐野さんはファンを絶対に裏切らない人です。
期待しかありませんね。

その夜、帰宅して、ラジオの『桑田佳祐のやさしい夜遊び』を聴いたら、桑田さんも今夜の佐野さんのライヴを観に来てたんだって。
ライヴ終了直後の生放送で早速報告してました。
佐野さんのことを、日本のポール・ウェラーだ、ヴァン・モリソンだ、デヴィッド・バーンだ、コステロだと例えて、「ちょっと青臭いところがいいんだよね」と。
ファンやスタッフに信頼されてるのを感じると言ってたし、アートなロックだと絶賛してました。
桑田さんは佐野さんと同学年だから、他のアーティストに感じるのとはちょっと違う、特別な想いを持っているでしょう。
桑田さんから佐野さんの話が聞けて、嬉しかったな。

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