佐野元春 おすすめアルバム・ランキング

大好きなアーティストのアルバムをランク付けするシリーズ企画。
今回は、佐野元春。

好きなアーティストのアルバムをランク付けするのって、非常に難しい。楽しいけど。
その日の気分によっても違ってくると思うし、はっきり優劣があるものもあるけれど、そもそも好きなアーティストの作品なんだから、どれも好きで、順位なんて紙一重のものが多いでしょう。
それでもやっぱり、ランク付けしてみたくなります。楽しいから。

好きなアルバムの定義ってなんだろう?と思います。
大好きな曲が入ってる、全体の流れや空気感が好き、ジャケットが好き、リアルの生活における思い出とリンクしている...など、いろいろあると思うんですが、僕が重要視するのは「ワクワク度」ですね。
そのアルバムを聴いている時はもちろんなのですが、「それを聴いてない時でも、そのアルバムの事を考えると、ワクワクしてしまう」ものが自分にとって上位なんだと思うんです。
個人的に思い入れの深い順ではありますが、それこそがみなさんへのおすすめ順。
好きなものをおすすめしたいです!

コメントの次には、各アルバムの中で1番好きな曲を、No.1 Songとして表記しました。
ジャケット写真をクリックするとTOWER RECORDSへのリンクになってます。

第1位 『今、何処』

最高傑作が最新作だなんて、凄くないですか?
40年超のキャリアがあれば、低迷期もあったと思うんですけど、それを乗り越えて、あの歳でこんな傑作を作る。凄い人です、佐野元春。
たぶん、ほとんどのファンが同じように思っているんじゃないかなあ。
沸々と魂が燃えたぎる「さよならメランコリア」、キャッチーなポップ・ロックの「銀の月」「水のように」、落ち着いた味わいの「冬の雑踏」「君の宙」、クールなのに力が入るロックンロールでカッコいい「エデンの海」、ロマンティックで凛とした女性が目に浮かぶのは大人な曲の「クロエ」、シビアに染み入って深みにハマる「永遠のコメディ」
混沌とした今の時代にあまりにもマッチした歌詞がリアルなのですが、ほとんどの曲はコロナ禍前に書かれたと聞いて驚愕。その先見の明というか、予言者的に時代を読んで、普遍性を携えた曲作りができるところがとにかく凄い。
こんなコンセプト・アルバムを作れるアーティストはそういません。
リリース前、「ヤバいアルバムが出来た」と発言していて、ハードルが挙がったのですが、その期待値を楽々と超えた名盤。

No.1 Song 「永遠のコメディ」

第2位 『Sweet 16』

華々しく、とことんポップで明るい感じに満ちている所が好き。
トランス状態に陥りそうな「ミスター・アウトサイド」、攻撃的なポップ・ロック「スウィート16」、包み込むような「レインボー・イン・マイ・ソウル」、言葉の割り振りが佐野さんらしい「ポップチルドレン」、キラキラしていて胸踊る「誰かが君のドアを叩いている」、体が疼く「ボヘミアン・グレイプヤード」、幸せに包まれる安心感を与えてくれる「ハッピーエンド」「エイジアン・フラワーズ」には後ろでオノ・ヨーコみたいな声が聴こえるなあと思ったら、本当にオノ・ヨーコだったし、「また明日…」には矢野顕子が参加と、「次は何が飛び出すんだ?」と期待感を抱かせるので、聴いてて楽しい。
佐野さんの作品の中ではかなり派手なアルバムだと思いますね。
もともと大好きなアルバムでしたが、30周年記念プロジェクトのお蔭で、このアルバムの重要性も知り、ますます好きになりました。
当時、シングルの「誰かが君のドアを叩いている」をいい感じだと思っていたのに、どうしてアルバムに手を出さなかったかなあと悔やまれます。
リリース当時にこれを聴いてたら、佐野さんのファンになって、僕の音楽人生も変わっていたかもしれません。

No.1 Song 「誰かが君のドアを叩いている」

第3位 『SOMEDAY』

コレを1位にしてもいいんですけどね。まあ、それはベタかなあ、なんて思っちゃったりしての第3位。
でも、コレは初期の佐野さんの、文句なく代表作と言えます。
甘さや切なさが絶妙にブレンドされていて、「シュガータイム」「ハッピーマン」「ダウンタウンボーイ」と多幸感溢れる冒頭から、A、B両面終盤に配置されたバラード「サムデイ」「ロックンロール・ナイト」、強烈に攻めるロックンロール「ヴァニティ・ファクトリー」など、アルバムの構成にも隙がないです。
僕が佐野さんのファンになるきっかけともなったのは「シュガータイム」でしたが、とにかく、コレには好きな曲がたくさん入ってるなあという感じ。
多くの方に、若き佐野元春の名を知らしめたであろう名盤。

No.1 Song 「シュガータイム」

第4位 『ENTERTAINMENT!』

2022年の佐野元春は、アルバムを2枚発表。
まずはこのアルバムが配信でリリースされました。
それまでに配信シングルとしてなどで発表済みだった曲を前半に、そして後半は新曲で固めて。
ベスト盤にも収録されてた「エンタテイメント!」を改めてオリジナル・アルバムに収録することの意義深さ、強力なスカ・ビートで文句なしに心が弾む「愛が分母」、キレのある爽やかさが魅力の「街空ハ高ク晴レテ」「新天地」「少年は知っている」、ほのぼの系の「この道」「合言葉」
コロナ禍で溜まった鬱憤を吹き飛ばそうというエネルギーに満ちていて、明るい気分にさせてくれるのが特徴です。
収録時間も35分ほどと短い潔さがあって、軽いノリで即座に何度も繰り返して聴けてしまいます。
『今、何処』も好きですが、このアルバムも相当好き。そんなアルバムを2枚同時に作った佐野さんはとてつもないと思います。

No.1 Song 「愛が分母」

第5位 『ZOOEY』

当時、TVのCMで流れた「La Vita é Bella」を聴いた時、「あ、最近の佐野さんもいい曲作るじゃないか」と思いました。それで、アルバムを買おうかどうしようか、かなり悩んだのを憶えてます。でも結局、その時は買わなかったんですよね...。
COYOTE BANDともかなり馴染んできたこのアルバムは、とにかくポップ。
冒頭の「世界は慈悲を待っている」から「La Vita é Bella」までの3曲でそのポップさにノックアウトされます。渋くてカッコ良く、そのくせポップさを忘れていない「ポーラスタア」は馴染みやすくて耳に残る。ジャジーでクールな「君と一緒でなけりゃ」、ドキッとする歌詞も登場する大らかな「スーパー・ナチュラル・ウーマン」等、バラエティ・起伏に富みながらも、とても聴きやすいものとなっていてワクワクします。
若い頃の初期衝動ではなく、歳を重ねてからこのような傑作を作った事に驚きです。
ああ、このアルバムをあの時買っていたら。もっと早くにこれを聴いていたら、もっと早く佐野さんのファンになってたかもしれない。そう思うと少しばかり悔やまれます。
若い頃の佐野さんしか聴いた事のない人には是非聴いて欲しいアルバムです。

No.1 Song 「ポーラスタア」

第6位 『BLOOD MOON』

『ZOOEY』の続編的な感じで、前作が好きな人はきっと気に入るだろうアルバムです。
実際、前作と甲乙付け難い。出会いの点からいって前作をわずかに上位としただけです。
「境界線」「優しい闇」「新世界の夜」等のポップで優しい面は継承しつつも、緊張感がありながらノリの良いR&B「バイ・ザ・シー」、混沌とした「私の太陽」、ハードな「キャビアとキャピタリズム」等、前作より尖って攻めてる面もあって、こちらも大好きなアルバムです。
ヒプノシスだとすぐわかるジャケットも含め、カッコいい1枚です。

No.1 Song 「バイ・ザ・シー」

第7位 『Café Bohemia』

タイトル、ジャケットにとどまらず、元ネタがすぐわかる「ヤングブラッズ」「インディビジュアリスト」や、実はこれも軽快さに共通点を感じる「ワイルドハーツ -冒険者たち」「シーズン・イン・ザ・サン -夏草の誘い」に、ミック・タルボット的なオルガンが炸裂するインストの「カフェ・ボヘミアのテーマ」まで、アルバム全体を通して、スタイル・カウンシルからの影響をモロに感じさせる所が、スタカン好きの僕にとってはたまらないです。最初聴いた時は感激したなあ。こんなにパクッちゃっていいの?でも最高だぜ!的な。今でも聴いててニヤニヤしてしまいます。それに、サウンドはパクってても、メロディがしっかり佐野さんのオリジナルであるわけだから批判の余地は無し。
時代を経た今では、そういうパクリうんぬんを飛び越えて、佐野さんの個性の方が際立ってきていると思います。
それまでどちらかと言うとアメリカ寄りだった佐野さんが、一気に英国側に寄ってきたのも特徴的。

No.1 Song 「ヤングブラッズ」

第8位 『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』

初めはそれほどとは思わなかったんですけどね、でも、適度に肩の力の抜けた感じがあって、大袈裟な面と繊細な面とがあり、それまでの活動の集大成的な匂いを感じ取ってから好きになりました。
スタカンの次はコステロ・ファミリーへの接近、というのも後で知りましたが、嬉しい事でした。
佐野さんのテーマ曲と言ってもいいようなタイトル曲「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」で華々しく始まり、走り出したくなる「陽気にいこうぜ」、こちらは雨を避けるために小走りしたくなる「雨の日のバタフライ」、怪しさと激しさが行ったり来たりの「俺は最低」、軽快なカントリー・ロック「ジュジュ」、存在感抜群・王道路線の「約束の橋」、しんしんと降り続く雪がイメージできる「雪 -ああ 世界は美しい」、希望を持って走り出す「新しい航海」、佐野さん独特のスポークン・ワーズ「ふたりの理由」で幕を閉じる。
ヒットした「約束の橋」が入ってるためか、佐野さんがJ-POPにカテゴライズされた最初の作品というイメージです。

No.1 Song 「雨の日のバタフライ」

第9位 『Stones and Eggs』

突き抜けたロック感が心地良いです。
「メッセージ」「エンジェル・フライ」「シーズンズ」などの爽快なポップ・ロックあり、「GO4」など切れ味鋭いラップあり、不安な気持ちを静めるかのような「君を失いそうさ」ありと、なにか吹っ切れたようにも感じるこのアルバムは、他の作品とはどこか毛色が違う感じがします。
バンド・サウンドではなく、多くを佐野さんがプログラミングしたと言われていて、佐野さん的にも黒歴史風に思ってるようだし、ファンの間でもあまり話題になることがないアルバムなのですが、僕は結構好きなんです。

No.1 Song 「メッセージ」

第10位 『自由の岸辺』

COYOTE BANDとうまくいってるのに、あえてThe Hobo King Bandを再結集しての、セルフ・カヴァー集第2弾。
前半はゆったりとしたカントリー・ロックを感じさせるサウンドで、「メッセージ」なんか随分アメリカ的な大らかさが増して、随分印象が違います。「エンジェル・フライ」もヘビーになったかな。原曲とかなり印象が変わってカッコ良くなった筆頭が「ブルーの見解」。クールでカッコいいです。「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」「グッドタイムス&バッドタイムス」も、いい感じで生まれ変わってる。新曲なのかと疑ったほどのレア曲「自由の岸辺」がまたハード・ボイルドでカッコいいんだ。「ふたりの理由、その後」は枯れた感じで染み渡る。
前回のセルフ・カヴァー集よりもロック度が増し、貫禄十分の余裕あるサウンドが安心感を持って聴けます。

No.1 Song 「自由の岸辺」

第11位 『フルーツ』

コレ、初めは全然好みじゃないなあと思ってたんですけど、5~6回聴いてたら突然キマした。
サイケな「インターナショナル・ホーボー・キング」「メリーゴーランド」「霧の中のダライラマ」、明るく爽やかポップな「楽しい時」「僕にできることは」「ヤァ!ソウルボーイ」「水上バスに乗って」、優しい「恋人達の卑航」、寂しく切ない「すべてうまくはいかなくても」、ゴージャスなサウンドの「十代の潜水生活」など。
The Hobo King Bandの結成となる本作、なんか、どこか渋谷系の香りがあったりします。
乗り物いっぱいの遊園地、種類たくさんのフルーツといった雑多で贅沢な気分にさせてくれる所がいい。

No.1 Song 「楽しい時」

第12位 『Heart Beat』

デビュー後の勢いもあるんだけど、2作目にして風格が漂ってきている感じです。
ソングライティングも一段と洗練されてきている感があります。
初期の佐野さんのスタンスを代表するような「ガラスのジェネレーション」に始まり、若さ溢れる「ナイトライフ」「イッツ・オールライト」、拳を挙げて一緒に歌いたくなるポップ・ロック「悲しきレイディオ」、The Who的な青春ロック「君をさがしている」、絞り出すような8分近い大作バラード「ハートビート」
佐野さんのアルバムは、ジャケットがいいのが多いですが、コレも随分お洒落でカッコいいです。

No.1 Song 「悲しきレイディオ」

第13位 『VISITORS』

ジャケットにも表れてるように、近未来的なイメージ、時代を先取りしたシャープなサウンドが眩しい。
佐野さん流のラップ「コンプリケイション・シェイクダウン」「ビジターズ」「カム・シャイニング」、イントロがコミカルな印象の「トゥナイト」、明るい未来がやってきそうな「ニューエイジ」
日本初のヒップホップ・アルバムなどと評してる声も聞くのですが、これってヒップホップですか?僕がイメージするヒップホップとは違うぞ。たしかにラップと思われる曲がいくつかあるけれど、佐野さん流のラップであって、洋楽のラップとは違う気がするんだよね。ヒップホップ嫌いの僕が、コレを好きになるはずないし。
まあ、それだけ、今の音楽シーンにヒップホップが馴染んでいて、そうさせた第一人者が佐野さんとも言えるわけで、ヒップホップ嫌いの僕にもあまり不快感なく耳に入って来るのだと思います。
リリース当時の衝撃たるや。リアルタイムで体験できた人が羨ましいです。

No.1 Song 「コンプリケイション・シェイクダウン」

第14位 『BACK TO THE STREET』

個人的には、「80年代アメリカン・ロック!」という印象を受けます。発表したのは80年だから、影響を受けてるサウンドは70年代以前のものなのにね。僕には80年代を象徴してるように感じるんです。
若さ溢れる「夜のスウィンガー」「アンジェリーナ」「バック・トゥ・ザ・ストリート」は疾走感たっぷりでいいし、歌い上げるバラード「情けない週末」「バッド・ガール」、ギルバート・オサリバンの「Alone Again」へのオマージュ「グッドタイムス&バッドタイムス」「さよならベイブ」はどこか甘い感じだし、「ドゥー・ホワット・ユー・ライク (勝手にしなよ)」で渋く締め。
全体的なサウンドは、悪い意味じゃなく「軽い」んです。デビューしたての勢いが、フットワークの軽さに通じるのかな。

No.1 Song 「アンジェリーナ」

第15位 『MANIJU』

COYOTE BANDとして『ZOOEY』『BLOOD MOON』という素晴らしい作品が続いたので、さあ次もと期待は大きく膨らんだわけですが、ちょっと期待すぎちゃったかな、というのが正直なところ。ただ、悪いわけではなくて。
コーラスの合いの手がムーンライダーズを思い出してしまった「白夜飛行」「悟りの涙」「新しい雨」あたりを聴いてると、COYOTE BANDが佐野さんの単なるバック・バンドではなく、バンドとしての一体感を伴ってきたのがひしひしと伝わってきます。LOVEの連呼が印象的な「天空バイク」、素朴な味のある「蒼い鳥」、佐野さんのポップ・ロックの真骨頂「純恋(すみれ)」、冒頭の「白夜飛行」と照らし合わせると面白い「夜間飛行」
素晴らしい彩りのジャケットの様に、明るい感じはあるんだけど、華やかさよりも穏やかさの方を強く感じるアルバムです。

No.1 Song 「純恋(すみれ)」

第16位 『Time Out!』

サウンドは割とシンプル、ワイルドなノリで、まだまだ野心がある事が伝わってきます。
ただ、前作(『ナポレオン~』)のノリを引き継いだんだけど、乗り越えられなかった感があるよね(笑)。
「♪ とてもイカしてるぜ」が印象的な「ぼくは大人になった」、ストイックにビートを刻む「クエスチョンズ」、ジョン・レノンの作りかけの曲のような「君を待っている」、キャッチーな「ジャスミンガール」、ゴージャスな「サニーデイ」から秘密めいた「夏の地球」へのギャップも楽しい。バンド・サウンドが魅せる「ビッグタイム」「ガンボ」、歯切れの良いギターの心地良いカッティングから広がりを見せるアレンジが秀逸な「彼女が自由に踊るとき」、甘く優しい「恋する男」
とてもいい雰囲気の曲が並んでいるので、いいアルバムだとは思うのですが、前作を超えられてないと思う理由は、間違いなくヒットすると思えるような、核となるキラー・チューンが無いところかな。

No.1 Song 「クエスチョンズ」

第17位 『THE BARN』

コレは結構土臭い、カントリー・ロック、ブルースのようなイメージが強いです。佐野さんにしては珍しく、コミカルな印象のサウンドもあったりして新鮮。
それから、ギター・ソロとかいい感じなのが多いかも。
逃亡者の不安を表すようなインスト「逃亡アルマジロのテーマ」、実質これがオープニング・チューンのような決意表明「ヤング・フォーエバー」、うらぶれた感のある「マナサス」「ヘイ・ラ・ラ」、The Bandみたいなカントリー「風の手のひらの上」「どこにでもいる娘」「ロックンロール・ハート」、フォーク・ロックの「誰も気にしちゃいない」、広い大陸のだだっ広い道を気ままに「ドライブ」は、軽快さと共に涼しい風を感じるよう。ラスト曲のインストはコミカル。
このアルバムだけ、以前はSpotifyに存在してなくて。近所のBOOK OFFのワゴン・セール100円でコレを発見した時は、まだ佐野さんのファンじゃなかったけど、「安いから」という理由でなんとなく買ったのはファインプレーだったなと思ってます。

No.1 Song 「ヤング・フォーエバー」

第18位 『COYOTE』

現在に至るCOYOTE BANDとの出会い。でもそれはまだ助走、序章に過ぎなかったわけですが。
渋いロックンロール「星の下 路の上」で幕を開け、清々しさを感じるポップ・ロック「君が気高い孤独なら」、サイケな「Us」、馴染みやすい「夜空の果てまで」、CHANGEと訴えかける「世界は誰の為に」、ゆったりと流れる雲のような「黄金色の天使」で幕。
アルバム全体に静かな希望が垣間見えるのがいい感じです。

No.1 Song 「君が気高い孤独なら」

第19位 『THE SUN』

太陽の下で、ポカポカのんびりと温かいものから、グツグツと煮えたぎったものまで、相変わらず幅広いロックが味わえます。ただ、1曲1曲はやや小ぶりな印象。
タイトルは「月夜を往け」だけれども、太陽の温かさを感じます。イントロのサックス・ソロからグイグイと骨太のロックンロールになる所がたまらない「最後の1ピース」。穏やかで温かい「希望」「レイナ」。スリリングな「観覧車の夜」。ロカビリーな「君の魂 大事な魂」。終盤のクライマックスが「DIG」「国のための準備」
タイトルを眺めてみると、「月」「最後」「雨」「希望」「地図」「夜」「わが家」「魂」「明日」「声」「国」「太陽」と、それぞれ指針となるような言葉が並んでいて、それだけでもストーリー性を感じるし、なんとなくコンセプト・アルバムの趣があります。

No.1 Song 「最後の1ピース」

第20位 『或る秋の日』

タイトルから察するに、秋がコンセプトなのか、寂しい、枯れた味わいで統一された作品です。
サビのタイトル連呼がキャッチーな「君がいなくちゃ」。誰に宛てたのかなと考えさせられる「最後の手紙」。ちょっと強がりなのが切ない「いつもの空」「新しい君へ」は、アドバイスを送る歌だが、ちゃんとその言葉は届くのかと、なんとも寂しい気持ちにさせられます。「みんなの願いかなう日まで」は、クリスマスの曲。秋がコンセプトなのではなかったのか(笑)。
ただ、全8曲30分というのは、フル・アルバムなのかミニ・アルバムなのか、どこか中途半端な気がして、なんとも扱いにくい感じ。

No.1 Song 「新しい君へ」

第21位 『月と専制君主』

セルフ・カヴァー集第1弾。
原曲のイメージを損なわないものもあれば、結構変わったものもあります。
全体的にジャジーでアコースティック。爽やかさもあるし、渋さも感じるんだけど、トータル的なアレンジのせいで、どの曲もちょっと地味になってしまった感じはするかも。

No.1 Song 「ジュジュ」

第22位 『The Circle』

ポップな前作(『Sweet 16』)から一転、やや苦し気な印象を受けます。
ヘヴィかつ抑えた演奏に佐野さんの訴えかけるようなシャウトが光る「欲望」。唯一ポップ作と言える「レインガール」。浮遊感漂うサウンドを佐野さんが押さえ込むように歌う「彼女の隣人」。レゲエの「エンジェル」はどことなく優しい。
しかし、アルバム全体は、ジャケットの佐野さんの無表情が物語ってるように、平坦で面白味に欠けるかも。10曲で60分というのもややダレる感じで...。

No.1 Song 「欲望」

第23位 『Spoken Words』

スポークン・ワーズとか、ポエトリー・リーディングとか言われている、それはラップとも違う、クールなサウンドに乗せて語られるポエムのような楽曲の数々。それらは佐野さん独特の革新性を表しているし、そこには何とも言えない不思議な魅力があります。
ただ、メロディを重要視する僕にとってはこんな順位になるのだけれど。

No.1 Song 「リアルな現実 本気の現実」

さて、いかがでしたでしょうか。

みなさんの好きな佐野さんと僕の好きな佐野さんには、どれだけ違いがあったでしょうか。
同じアーティストを好きでも、同じアルバムが好きとは限らないのが面白い所だったりします。
「やっぱりこのアルバムは上位だよね」とか「どうしてこのアルバムがこんなに下位なのか」といった、いろんなファンの方の意見があると思います。
僕は、そういうファンの意見の違いを面白がったりしたいので、まずは自分の好みを披露してみました。
「自分の好みと違うなあ、それなら聴き直してみようかな」とか「そのアルバム聴いた事なかったけど、聴いてみようかな」とか、みなさんが佐野さんのアルバムを聴くきっかけになれるとしたら嬉しい事です。

40年を超える佐野さんのキャリアの中、僕が本格的に聴き始めてからはまだ3年ほどしか経ってません。
リアルタイムで経験してない分、知らないことも多すぎるし、佐野さんが音楽シーンに与えた影響なども、実感できない部分があります。
長い間、支え続けてきたファンの方からすれば、まだまだ初心者の僕によるランキングです。
聴きこみが足りないのは重々承知ですし、同じアルバムでも、聴くタイミングによって印象が変わったり、これから何度か聴き続けたりする事によって良さがわかっていったりする事もあるでしょう。
佐野さんを好きになった抑えきれない気持ちが走って、初心者でありながらこんなランキングを発表しましたが、これからもっと佐野さんのアルバムを聴きこんでいきたいと思いますので、またいろいろと変化してくるかもしれません。

今は、佐野さんの音楽に出会えて良かった。
佐野さんはよく「僕の音楽をどこかで発見してくれたファンに感謝」と言いますが、まさしく「発見」できて良かったと、心から思っています。
これからは、佐野さんについて行く。
佐野さんと共に時代を歩める喜びをかみしめています。
もっともっと佐野さんを好きになっていきたいです。

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