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『Southern All Stars』
5年振りの復活作はセルフ・タイトル。
サザン本体にも小林武史が関わっての新しいサザン・サウンド。
初の1位「さよならベイビー」、このいかがわしさはサザンしか作れない「女神達への情歌」、人気曲「YOU」など、いよいよ国民的バンドとして歩み出した。
(2024.4.10)
このアルバムが大好きとか、思い入れがあるとか、話題になってるのをあまり見たことがない。
イロモノ扱いから夏のイメージを植え付けて試行錯誤する初期8年と、90年代の『世に万葉』『Young Love』のメガヒットとに挟まれて、なんだか埋もれがち。
活動休止からの復活作だし、バンド名をタイトルにした意義深い作品なのに、なんだか忘れられたりしてないか?と不安にもなる。
90年代の幕開けとなるのに、60年代に回帰した「フリフリ’65」。
ダウンタウン、ウッチャンナンチャンらの『夢で逢えたら』の主題歌になることで、若者をリードしていくロックンロールを提示した。
実は意外と渋い曲だと思う。
ラテンの「愛は花のように」、アカペラ多重コーラスの「忘れられたBig Wave」など、直後の映画『稲村ジェーン』の気配は既にあった。
とことん突き詰めたポップ・ビート感覚はこのアルバムで1番人気だと思う「YOU」。
「OH, GIRL(悲しい胸のスクリーン)」は後悔混じりの憂いあるメロディ。
「女神達への情歌 (報道されないY型の彼方へ)」も『夢で逢えたら』主題歌だった。
淫靡な世界に憧れる若者の心境を代弁。
ジャジーでドゥーワップな感覚があるも、これをシングルにするなんて挑戦的だと思ったものだ。
「さよならベイビー」で初めてオリコン1位を獲ったというのが意外だった。
今まで1位獲ったことなかったのかよ!という驚きが大きくて。
ねっとりと情感たっぷりに歌われる大好きなバラード。
「GORILLA」はター坊によるインスト。
ジャングルを思わせる怪しい世界がクールで好きだ。
そして「逢いたくなった時に君はここにいない」に切なさを憶えない奴がいるのか?
原坊とのハモりにも胸をえぐられるような思い。
サザンのアルバムのほとんどはバラードで締めくくられるけれど、その中でもこれは屈指の名バラードだ。
復活作でもあり、充電期間を経て、新しくなったサザンはどのようになったのか注目したけど、印象としては、スマートでお洒落なアルバムだなあということ。
1曲1曲の密度は濃いけれど、それが並べられると、意外なほどにしつこくはなくて、あっさり風味だったのを憶えている。
その辺りは、小林武史によるものなのかなあと思ったりも。
新たな90年代に向けて、新生サザンを提示した充実作。
もっと語られてもいいのになあと思う。
初回盤に付いてた腕時計、今でも動くかしら?
(2024.9.16)
「逢いたくなった時に君はここにいない」。
サザンのアルバムのラスト曲は必ずバラード。
もうすぐリリースされる新作も含め、全16枚のアルバムの中で、最高のアルバム・ラスト曲はどれか、X上でアンケートを取ったら、見事1位に輝いたのがこの曲だった。
予選を勝ち抜き、決勝では「栞のテーマ」と僅か1票差での栄冠だった。
「栞のテーマ」はシングル曲だし、ライヴでも度々採り上げられる大人気曲。
知名度などを考えたら、「栞のテーマ」が勝つかなあと思ってたら、「逢いたくなった時に君はここにいない」が接戦をものにした。
これは意外だったけれど、僕にとっては嬉しい結果。
もちろん「栞のテーマ」も大好きだし、他の曲も好きだけど、1番好きなアルバム・ラスト曲を問われたら、僕は「逢いたくなった時に君はここにいない」と答えるからだ。
シングル曲ではないし、この曲を知らない人も多いだろうから、サザンには「いとしのエリー」や「栞のテーマ」に負けない、こんな素晴らしい曲がありますよと、一般の人に知らしめたい贔屓目で見てるところもあると思う。
投票してくださった方も、きっと同じような気持ちだったんじゃないかな。
せつなくて、やるせなくて、諦念がこもっていて、原坊とのハモりも含め、なんとも感動的。
これでアルバムを聴き終えたら、そこからしばらく動けない。
そんな大名曲だ。
しかし、この曲が今までライヴで披露されたのは、
最初は89年の年越しライヴ。アルバム発売前の新曲としてだった。
そして90年、アルバム発売に伴うツアーで披露。
次は91年の年越しライヴ。この時はメドレーの中で短め。
次は00年の年越しライヴ。
次は14年の年越しライヴ。
というわけで、年越しライヴ率がかなり高い。
通常のツアーではNEWアルバムお披露目の時だけだった。
今回のツアーでも、やることはないだろうから、
となると、次にやるのもまた年越しライヴの時か?
しかしそもそも、サザンの年越しライヴも10年以上やってないし、年齢を考えたら、今後年越しライヴなんてやるのだろうか?という疑問もあるけれど。
でもさ、こうやって「栞のテーマ」に比肩するほど人気の高い曲だということがわかった。
最近、ユニクロのCMで使われたりもして、この曲を推している業界人がいることもわかった。
ライヴで聴きたいと思っている人は多いはず。
僕もライヴで聴いたことはない。
だから、なんとか、ライヴでまた採り上げてくれないかなあ。
桑田さんと原坊のハモりを生で聴いたら泣いちゃうよ。
(2025.1.22)
『稲村ジェーン』
映画の内容はアレ?だったけど、エンドロールで「真夏の果実」が流れると、なんだかいい映画を観た気分に。
この曲はやっと「エリー」を超えることが出来たバラード・シングルだったのでは。
「希望の轍」と共に、ラテン的でレトロな感触のアルバムを引っ張る。
(2024.4.13)
サザンの超有名曲にして超人気曲の「真夏の果実」と「希望の轍」という2大名曲が入ってるだけでも凄い。
この両軸がしっかりしてるから、いつまでも色褪せないサントラ。
嵐の前触れのような不穏な空気が漂う「稲村ジェーン」。
綺麗なインスト「美しい砂のテーマ」はその名の通り、ヒロインを演じた清水美砂からインスパイア。
桑田さんの力の入った歌い方がお気に入りのカヴァー曲「LOVE POTION NO.9」。
レニー・クラヴィッツのような粘っこいサウンドの「東京サリーちゃん」。
「マンボ」や「マリエル」は優雅。
同年リリースされたばかりのアルバム『Southern All Stars」からの再収録となる「忘れられたBIG WAVE」と「愛は花のように」は映画の雰囲気を伝えるのに重要な役割。
最後は「愛して愛して愛しちゃったのよ」を原坊が南国ムードたっぷりのサウンドをバックに歌う。
曲間に挟まれる、寺脇康文らカップルの会話は、1度聴けば充分で、アルバムを繰り返し聴くには邪魔だなあなんて思ってたものだけど、『稲村ジェーン』という映画を、そしてその音楽を楽しむという点では、企画物のサントラとしては面白い構成だなと思えるようになった。
このアルバムを聴いただけで、映画館で映画を観たような気持ちにさせられる。
映画の内容がそうさせたのだけど、最初から最後まで、ここまで夏一色のイメージとなったのは、サザンの中でも一番のアルバムかもしれない。
(2024.10.8)
『世に万葉の花が咲くなり』
シングル「シュラバ★ラ★バンバ」「涙のキッス」のように、いかがわしく下世話でロックな曲と爽やか王道ポップ曲の二極化が進み、交互に攻めてくる。
ブルージーな感触と神聖なる味わいと。
小林武史がサザンを使って実験したJ-POPの形。
(2024.4.16)
桑田さんと小林武史、共同作業の集大成。
小林武史はポップ職人という印象だが、このアルバムにおいては、サザンを単なるポップ・バンドにはせず、実験精神を忘れず、革新的なバンドであることに重きを向いた節がある。
ポップスの王道とも言えるようなのは「涙のキッス」と「君だけに夢をもう一度」。
キラキラして胸が弾むのはこの辺り。
ほろ苦い「せつない胸に風が吹いてた」、燃えたぎる「シュラバ★ラ★バンバ」、桑田さん自身お気に入りのバラード「慕情」などと続く前半は聴きやすい。
「ニッポンのヒール」や「HAIR」あたりは変化球とも言えるが。
しかし、問題は後半。
「ブリブリボーダーライン」「亀が泳ぐ街」の2曲の流れは、
誰もが「なんじゃ、これ」と戸惑うだろう。
ふざけてる。
いや、サザンがふざけるのは今に始まったことではないけれど、この連発は。
桑田さんと小林さんのニヤついてる顔が思い浮かぶ。
そして、そのリスナーの戸惑いを吹き払うかのように、
「ホリデイ ~スリラー 魔の休日より」で安心感を与え、
「IF I EVER HEAR YOU KNOCKING ON MY DOOR」のアカペラ・コーラスで浄化させ、
「CHRISTMAS TIME FOREVER」の包容力で幕引きを図る。
コース料理というよりも、アラカルトの組み合わせの妙で、聴く者に満足感と、僅かな違和感を与えた。
個人的には、それまでのサザンとも違うし、小林武史っぽさも薄い、と感じた。
これはいったいどういうことだろう。
(2024.10.11)
『Young Love』
ロック名盤の要素を詰め込んだジャケットのように、雑多で濃い仕上がり。
新感覚の「愛の言霊」、爽やかな「あなただけを」、モータウン「太陽は罪な奴」など、色とりどりのビートで時代をリードするサウンドに挑戦して、セールス面でも結果を残したのは流石。
(2024.4.19)
90年代半ば頃は、僕がもっともサザンから心が離れていた時期。
まったく聴かなかったわけではないよ。
でも、NEWアルバムにあまり心踊らなくてね。
だけど、そんな気持ちと裏腹に、売り上げは過去最高を記録したりしていて。
コレが過去最高なの?
80年代のサザンはこんなもんじゃなかったよ。
サザンはもっともっと良かったんだよ、って。
自分の感覚と世間の評価のズレに戸惑っていた。
だけど、それから時が経って。
ようやく、フラットな気持ちで、この頃のアルバムに接することが出来るようになった。
コレはコレで悪くない。
この頃のサザンだって、じゅうぶん充実していた。
「胸いっぱいの愛と情熱をあなたへ」はゆっくりアクセル・ペダルを踏み込むロック・ナンバー。
サビのファルセットが涼し気で心地良い。
「ドラマで始まる恋なのに」はとても丁寧な歌い方が特徴的。
「愛の言霊 〜Spiritual Message〜」はサザンとしての新機軸を提案。
妖艶なリズムとサウンドで、韻踏みもハマってて見事。
「Young Love (青春の終わりに)」は初期ビートルズ・サウンドで、かなり騒がしい。
桑田さんがビートルズ好きなのは有名だけれど、ここまで寄せたサウンドは初めてじゃないか。
「Moon Light Lover」は正統派バラード。
月の光ではなくて、暖かな朝日を感じてしまうのは僕だけか。
「汚れた台所」はガツンとしたロックな演奏がスリリングで、ぶっきらぼうな歌い方はボブ・ディラン風。
「あなただけを 〜Summer Heartbreak〜」はポップで爽やかな、王道のミディアム・バラード。
時を経るごとに、こういう曲が沁みてきて。
コレがこのアルバムの中に入ってて良かったなあと思う。
「恋の歌を唄いましょう」は毒気のない原坊の歌に浄化される。
そして、
「マリワナ伯爵」
「愛無き愛児(まなご) 〜Before The Storm〜」
「恋のジャック・ナイフ」
「Soul Bomber (21世紀の精神爆破魔)」
この4曲の流れが非常に濃い。
「ジャック・ナイフ」こそ歌謡曲的要素を持っているけれど、どの曲もヘヴィで。
こういう流れを持ったアルバムが多くの人に受け入れられたってのは画期的だな。
「太陽は罪な奴」はカラッと弾けたモータウン・ビート。
こういう明るさって、今までのサザンにありそうで、なかったタイプだ。
「心を込めて花束を」は心が鎮まる神聖なるバラード。
荘厳なオーケストラに震えがくる。
やはり、80年代までのサザンとは違うなあと思う。
何が、どこが、とは言いにくいのだけれど、新しいサウンドにも挑戦し、今までにない要素を見せつつも、既成のJ-POPに迎合しない、大物感を漂わせている。
密度の濃いアルバムだというのは、いつも感じる。
(2024.10.14)
『さくら』
当時、サザンから心が離れつつあったんだけど、「YARLEN SHUFFLE」「SAUDADE」を聴いて、桑田さんならではのメロディだ!と興奮、こんなサザンが聴きたかったんだ、と。
濃密な内容だし、ヒットした「LOVE AFFAIR」も入ってるのに、売り上げは落ちたのが理解できん。
(2024.4.22)
前作『Young Love』は、サザンのオリジナル・アルバムとしては史上最大の249万枚を売り上げた。
そして1998年。
ベスト盤『海のYeah!!』は355万枚を売り上げ、サザンの絶大なる人気はとどまることを知らない、そんな印象を植え付けていた。
その勢いのままリリースされたのが、この『さくら』。
58万枚の大ヒット「LOVE AFFAIR~秘密のデート~」を筆頭に、4曲ものシングルを含んで、期待たっぷりの登場だった。
それなのに。
売り上げは前作より半分以上落ちて、ミリオンにも届かず。
これは、いったいどういうことなのだろう。
ヒット曲もあり、なんのマイナス要素も見当たらなかったのに、何故こんなにも売り上げが落ちたのか、いまだに原因がわからない。
切ない桑田メロディが炸裂した「YARLEN SHUFFLE~子羊達へのレクイエム~」や「SAUDADE~真冬の蜃気楼」には特に感動した。
桑田さんならではのエロな言葉遊びが最高潮に達した「マイ フェラ レディ」。
ブルージーなロック「NO-NO-YEAH / GO-GO-YEAH」。
攻撃的な皮肉で笑い飛ばす「爆笑アイランド」。
ポップで爽やかな「湘南SEPTEMBER」。
桑田ソロのような暗い独白スタイルの「私の世紀末カルテ」。
ラストは相変わらずスケールの大きなバラード「素敵な夢を叶えましょう」。
サザン初期の匂いも漂わせながら、20年のキャリアで唸らせるような傑作だと思った。
個人的には、前作『Young Love』や前々作『世に万葉の花が咲くなり』よりも、ずっと心が踊る快作だと思った。
これは、さらにバカ売れするぞと期待した。
なのに、こんな大幅な売り上げ減。
サザンもとうとうピークを過ぎた説まで浮上する始末。
もう、訳がわからない。
どうして『さくら』は売れなかったのか。
明解な理由を説明できる者はいるのだろうか。
僕の中ではサザン七不思議の1つである。
(2024.11.21)
『キラーストリート』
レコード大賞も獲り、国民的バンドとしての地位を盤石にしながらも、ギタリストが脱退。
そんな中でのアルバム作りは相当なプレッシャーを伴っただろうに、さらに2枚組にするなんて暴挙?
この時点のサザンでやれる事はやり尽くした感があるのは当たり前。
(2024.5.4)
『葡萄』
途中、活動休止や病気療養もあったにせよ、前作から10年振りとなるアルバムというのは待たせすぎだなあ。
お得意の男女の情愛たっぷりの曲は少なくなっていて、そういうテーマが似合いにくくなったサザンも歳を取ったんだなあと実感するも、内容的には充実の果実。
(2024.5.7)
約10年振りのアルバムとしてコレが出たのが2015年。
それからも既に10年が経とうとしているのが驚きだけど。
冒頭の「アロエ」。
「♪ だから ショッ、ショッ、ショッ、出ろ!!」
獲物を狙うかのように焦点を合わせた桑田さんの視線。
威勢よく始まるビートに、いきなり体が沸点に達した。
来た来た、来た~っ!
サザンが帰ってきたぞ~!
興奮したのを昨日の様に憶えている。
しかし、このアルバムは、それまでのサザンとは少々違った感触を受けた。
スピード勝負で燃えるようなアッパー・ソングがない。
狂おしい胸の内を吐露した情感たっぷりのバラードがない。
なんていうか、ギラギラしてないんだよね。
好きな曲も多いし、好きなアルバムなんだけど、やはり、桑田さんたちの年齢が還暦に近いということを実感する内容なのだ。
短距離走はやめて、ゆっくりジョギングに移行し、人生の深みで勝負している感じ。
恋愛の歌もあるにはあるけれど、どこか達観していて、青春の甘酸っぱさではなく、やはり渋味が勝っている。
桑田さんといえども、もう惚れた晴れたではないのかな、と思った。
完熟を通り越して、この年輪の深さだからこそ収穫できる果実の尊さ。
高齢者の奏でるロックはこういうものと、サザンによって提示されたのが本作だ。
(2024.11.30)
『HAPPY!』

89年に出た限定BOX『すいか』は宝物になったけれど、6年後に悩ましい限定BOXが出た。
『すいか』は、サザンの代表曲・レアなシングルB面曲などが時系列で並べられた4枚組で、サザンの歴史をなぞれるものだったのに対し、こちらは曲順不同の3枚組。
当然『すいか』以降の曲が多めになっているわけだけど、『すいか』と被っている曲も結構あるし、サザンの歴史という観点からするとバランスが悪い感じ。
アルバム未収録の新しいシングルも拾ってるのは嬉しいところだけど、シングルCD全部買ってきた身としては、『すいか』ほどの魅力が感じられず、購入を見送ってしまった。
洗剤みたいなパッケージに、法被がセットされてたりして、新規ファン獲得というよりも、完全なるファン・アイテムとなってる。
とにかく、なんでこんな選曲なんだろう?と謎に思う部分が多くてね。
新しい曲を入れるのはわかるけど、古い曲はどうしてコレを選んだ?何故アレが入ってない?みたいな。
でも、その選曲を桑田さん自身がやってるわけで。
桑田さんなりの推し曲を詰め込んだということだろうか。
その桑田さんの意図するものを読み取りながら聴くのがポイントなんだろう。
幸運にも手にすることの出来たみなさん、聴いてみての感想はいかがでしたか?
(2024.8.16)
『海のYeah!!』
当時、色んなアーティストのベスト盤がバカ売れしてた。
20周年を記念してサザンのベスト盤も登場。
20年分の曲を収録するには駆け足的な面は否めないけど(特にDisc 1)、サザン入門編として、やはり時代に求められてたんだなと実感。めちゃくちゃ売れた。
(2024.5.11)
ほぼリリース順に曲が並べられているこの2枚組ベスト盤。
『kamakura』の「Bye Bye My Love」「鎌倉物語」が、『人気者で行こう』の「ミス・ブランニュー・デイ」「海」よりも前に来ているのが、うん??と思う謎ポイントなんだけど、それはまだいいとして。
90年代に突入したDisc 2を気分良く聴いてるところで、突如「そんなヒロシに騙されて」が始まるのは猛烈な違和感!
なんで?なんでここにあるの?時代が違うじゃん!
どちらのDiscにも原坊の曲を入れたかったんだろうけど、それにしてもこれは。
それとも、そう感じるのは長年のサザン・ファンだけであって、このベスト盤から入った初心者の方はまったく自然に聴けるものだから問題ない、ということでしょうか。
初めから年代バラバラに曲が並んでるベスト盤ならいいのですが、ほぼリリース順に並べといてのコレは、気になって仕方ない。
「そんなヒロシ」がめちゃくちゃ浮いて聴こえる!
みなさんは気になりませんか?
(2024.8.29)
『バラッド3』
特大ヒットの「TSUNAMI」を入れたアルバムを作るのが目的。
タイミング的にも良いシリーズ第3弾。
だけどね。「希望の轍」とか「LOVE AFFAIR」とか、どう考えてもバラッドじゃない。人気曲入れて売り上げUPの魂胆が見える。
ハートの夕陽のジャケットは素晴らしい。
(2024.5.1)
『海のOh, Yeah!!』
最近の曲ばかりだなあという印象強いけど、よく考えると25年くらい前の曲もある。
それだけ、この間のサザンは寡作になってるということだね。
初期の曲ほど聴きこんでないはずの曲ばかりなのに、どの曲も一緒に口ずさめるってのすごい。
新曲2曲も良かった。
(2024.5.14)
「ネオ・ブラボー!!」
サザンのシングル史上、もっとも冷遇されている名曲がコレだ。
91年にリリースされた作品はコレだけであり、チャート1位を獲得し、サザンの歴代シングル20傑にも入る40万枚以上を売り上げたのにも関わらず、その後の冷遇っぷりったら凄い。
本来なら、95年のベストBOX『Happy!』に入れてしかるべきだった。
しかし、何故か選曲から漏れ、その後もベスト盤やコンピレーション・アルバムに収録されることもなく、いまだにアルバム未収録。
リリース当時を除き、ライヴでもほとんど採り上げられたことがない。
ハードなギター・リフから、涼し気なスライド・ギターも炸裂し、キーボードの音色がポップでノリもいい。メロディも爽やかでキャッチーな曲。
特にサビの「♪ 情熱の相対性はNEO」の件のキーボードのカウンター・メロディが心をくすぐる。
王道サウンドと言えるけれども、90年代サザンの中でも、歌詞の内容はともかく、ここまで明るく弾けたシングルは珍しい。
いい曲だし、実績も残しているのに、サザンの歴史になかったかのような扱いを受けているのは何故だ。
桑田さんが、コレをかなり嫌ってるとしか思えない。
制作過程で、何か思わしくなかったことがあったのか。納得してない何かがあるのか。何かマズい点があることに気付いたのか。
サブスクではちゃんとシングルとして聴けるので、歴史から除外されたわけではないけれど、これほど素晴らしい曲を、こんな冷遇したままではもったいない。
ファンはもっと語り継ぐべきだし、少しでも多くの人の耳に届くようにと願う。
この曲が大好きな方、そう思いませんか?
(2024.8.25)
サザンオールスターズ シングル振れ幅戦略
サザンおよび桑田佳祐ソロのシングルは、
アッパーな曲の次はバラード、
もしくは、
バラードの次はアッパーな曲、
という風に、イメージのギャップを見せる振れ幅戦略を取ることが目立っていた。
82年10月 Ya Ya (あの時代を忘れない) 33万枚
83年05月 ボディ・スペシャルII 32万枚
86年07月 スキップ・ビート 35万枚
86年07月 MERRY X’MAS IN SUMMER 31万枚
87年10月 悲しい気持ち 34万枚
88年03月 いつか何処かで 26万枚
90年07月 真夏の果実 54万枚
91年07月 ネオ・ブラボー!! 43万枚
92年07月 シュラバ★ラ★バンバ 96万枚
92年07月 涙のキッス 154万枚
93年07月 エロティカ・セブン 174万枚
93年07月 素敵なバーディー 51万枚
95年05月 マンピーのG★スポット 51万枚
95年07月 あなただけを~Summer Heartbreak~ 113万枚
97年08月 01MESSENGER~電子狂の詩~ 23万枚
97年11月 BLUE HEAVEN 21万枚
00年01月 TSUNAMI 293万枚
00年07月 HOTEL PACIFIC 82万枚
01年07月 波乗りジョニー 111万枚
01年10月 白い恋人達 123万枚
リリースの間隔が短い場合や、同日発売の場合は、この傾向は顕著で。
アッパーな曲とバラードではどちらが強いかというと、その時にもよるけれど、バラードの方がやや優勢。
売り上げ枚数という点から見ると、バラードの方が売り上げがグッと跳ねる場合が多かった。
みなさん、バラードが好きなんですね。
個人的には、アッパーな曲の方がいつも好みだったんだけどね。
21世紀以降は、シングルのリリース数も少なくなってるし、タイアップ優先だったり、その時に出来た自信のある曲をポツリポツリと出すことが多くなってきて、こういう振れ幅戦略は取らなくなっちゃったけど。
まあ、国民的バンドとして定着してからは、サザンのイメージうんぬんも重要じゃなくなったし、もうこんな戦略でいく必要もなくなったってことかな。
でも、この頃は、こういうギャップのあるシングルのリリースを楽しんでたなあ。
(2024.8.27)
サザンオールスターズ 2枚同時発売シングル
最初はKUWATA BANDだった。
86年7月。
「スキップ・ビート」
「MERRY X’MAS IN SUMMER」
2枚同時発売。
新曲が出るだけで嬉しいのに、2枚同時なんて!
どちらか1つに絞るのはもったいない、よほど自信のある2曲なんだなと期待は高まった。
そして、僕の好みはどちらかな?とか、どちらの曲がチャート上位になるかな?とか、リリース後も楽しみは続いたもんだった。
この太っ腹の戦略は、サザンでも炸裂した。
92年7月。
「シュラバ★ラ★バンバ」
「涙のキッス」
2枚同時発売となると、買い控えされるリスクもあったと思うけれど、実際は票が分散されるというようなことはなく、大抵のファンは2枚とも買っただろう。
逆に、2枚同時に出すことで大きな話題になって盛り上がった。
驚いたのは翌年。
93年7月。
「エロティカ・セブン」
「素敵なバーディー」
またもや2枚同時発売。
サザンの勢いが止まらない!と実感。
2年連続での夏のお祭りに酔いしれた。
92年の2枚はアルバム『世に万葉の花が咲くなり』に収録されたけれど、93年の2枚はタイミング的なこともあって、オリジナル・アルバム未収録となった。
最終的には4曲ともベスト盤『海のYeah!!』に収録されたので、桑田さん的にも満足のいくものだったのだろう。
系統の違う曲を同時に発表して、音楽性の幅広さをアピールすると共に、話題になることで、新たなファン層の拡大にも繋がる。
ただ単に新曲の発表というだけでなく、シングルの発売をお祭りに昇華させた戦略だった。
しかし、この後は、同じ戦略を取ることはなくなって今に至る。
配信が当たり前の時代になった今は、同時に何曲でも新曲を発表することは容易に出来る。
だけど、ドーナツ盤やCDシングルが主流だった時代に、発売日に2枚の作品が店頭に並んでいるというのは、とても胸がときめいたものだった。
あの時の、お祭り気分、もう味わえないのかなあ。
(2024.10.22)
サザンオールスターズの2000年
250万枚売り上げたアルバム『Young Love』の次作『さくら』は、一気に売り上げを落としてミリオン届かず。
翌年のシングル「イエローマン~星の王子様~」はたった10万枚しか売れず。
サザンはピークを過ぎたのか。
そんな気配と共に迎えた2000年。
1月にリリースされたのがシングル「TSUNAMI」だ。
このサザン王道のバラードは瞬く間にチャートを駆け上がり、300万枚近くを売り上げた。
サザン史上最高であるのはもちろん、日本の歴代シングル売り上げでも3位を記録した。
そして7月には、「TSUNAMI」とは対照的な、熱く燃えたぎるアッパー・ソングの「HOTEL PACIFIC」をリリース。
こちらも82万枚を記録した。
勢いは止まらず、さらに「この青い空、みどり」までリリース。
先の2曲に比べたら、インパクトに欠けるこの曲は、さすがに息切れしたか、35万枚止まり。
しかし、地味だのなんだの言われているこの曲も、その滋味深さに根強いファンも多くいる。
これらのシングルの勢いを活かせとばかりに、11月には、人気シリーズの最新アルバム『バラッド 3』をリリース。
この「TSUNAMI」を含んだ2枚組バラード・コンピレーションは280万枚以上売り上げた。
作品のリリースだけにとどまらない。
8月には初の茅ヶ崎ライブ、12月には年越しライブも開催している。
そして、年末には「TSUNAMI」が日本レコード大賞を受賞。
既に国民的バンドの地位を確立していたサザンだったが、この受賞により箔が付き、名実ともに日本を代表するロック・バンドとなった。
これが、2000年のサザンオールスターズだ。
あまりにも充実している。
ピークを過ぎたように思わせてからのこのV字回復。
この歴史的1年は、サザン46年の活動の中で、もっとも重要な年だったと言えるだろう。
この年があったからこそ、今のサザンがある。
ファンにとっても幸せな1年だった。
(2024.10.29)
『アッパー ’78~’23』
『バラッド』に対抗するアルバム、
僕が企画してリリースできるなら、こんなCD2枚組。
僕は「いとしのエリー」よりも「勝手にシンドバッド」が好きで、
基本的にバラードよりアッパーな曲が好きなんです。
だったら、アッパーな曲ばかりのコンピレーション・アルバムがあったらどうだろうか、と。
ここでのアッパーとは、ポップで明るい曲ではなくて、
いつもライヴ終盤で怒涛の展開を見せる時に演奏する、熱く盛り上がるナンバー。
ちょっと淫靡な世界で、燃える闘魂のアッパーな曲ばかりを集めてみました。
Disc 1 (59分31秒)
01. 勝手にシンドバッド
02. 気分しだいで責めないで
03. My Foreplay Music
04. 匂艶THE NIGHT CLUB
05. ボディ・スペシャルII
06. マチルダBABY
07. YELLOW NEW YORKER
08. 東京シャッフル
09. ミス・ブランニュー・デイ
10. 開きっ放しのマシュルーム
11. メリケン情緒は涙のカラー
12. 祭はラッパッパ
13. Tarako
14. 死体置場でロマンスを
15. 怪物君の空
Disc 2 (1時間7分)
01. フリフリ’65
02. シュラバ★ラ★バンバ
03. DING DONG (僕だけのアイドル)
04. エロティカ・セブン
05. マンピーのG★SPOT
06. 恋のジャック・ナイフ
07. 汚れた台所 (キッチン)
08. 01MESSENGER ~電子狂の詩~
09. イエローマン ~星の王子様~
10. HOTEL PACIFIC
11. 夢に消えたジュリア
12. BOHBO No.5
13. OH!! SUMMER QUEEN ~夏の女王様
14. アロエ
15. 盆ギリ恋歌
全30曲、2時間7分。
『バラッド』は時代ごとに分かれて2枚組が第3シリーズまで出てますけど、
これはサザンの全キャリアの中から厳選してギュッと2枚組にまとめました。
総時間も長すぎず、聴きやすいと思います。
サザンの良さはバラードだけじゃなくて、こんな熱く燃えたぎる曲も大きな魅力。
『バラッド』に対抗して、こういうサザンのアルバムがあってもいいのになあ。
Spotifyのプレイリストにしましたので、良かったら聴いてみてください。
(2024.10.6)
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