竹内まりや Live@Kアリーナ横浜 2025.6.24 感想

souvenir 2025 mariya takeuchi live

2025年6月24日(火)@Kアリーナ横浜

全国ツアーはプラチナ・チケット

2024年。
竹内まりやが10年振りのアルバム『Precious Days』をリリースすると共に、全国ツアーを行うことが決まりました。
数年前にライヴ・ハウス・ツアーが決定した時にも応募したのですが、その時は抽選でハズレて、結局ライヴもコロナ禍でキャンセルになったりして。
でも、今回はアリーナ・ツアーなので規模が大きくなりました。
ただ、それでも、競争率高いだろうなあ、チケット当たるかなあ、と心配で。

NEWアルバムを購入したので、まずは、そこに封入されているシリアルコードを使っての応募です。
どこの公演に申し込むか。
場所的に、いちばん行きやすいのは日本武道館なのですが、なにしろ土日開催。
これはかなりの競争率になりそうなので、やめておきます。
そうすると、横浜アリーナと、Kアリーナ横浜の2ヶ所。
どちらも、僕の仕事が定休の火曜日が日程に入っているので、ますます都合がいい。
じゃあ、どちらの会場で申し込むかというところです。
正直、どちらでもいいので、迷いました。
決め手はキャパでしたね。
横浜アリーナは17000人。
Kアリーナ横浜は20000人。
もう、少しでも多くの人が当たる方へ。
少しでも競争率が低い方へ。
Kアリーナ横浜は、まだ行ったことがないので、行ってみるのもいいかもとも思っての応募でした。

そしたら、まさかまさか。
その一発で当選したのです!
この後、先行抽選や一般抽選、機材席開放抽選やキャンセル枠抽選まで、長い戦いを覚悟していたので、この早いチケット獲得には安堵の思いでした。
良かった、抽選地獄に巻き込まれずに済んだ...。

ただ、後でよく考えたら、Kアリーナ横浜って、出来た当初、ライヴが終わってからの帰り道が激混みで大問題になってた場所だったと思い出して。
ライヴが終わってから横浜駅まで1時間もかかったという噂も聞きました。
それはマズい。
横浜から埼玉まで帰る終電に間に合うだろうか。
場合によっては、ライヴが終わる前に会場を出ることも考えなければならない...。

そんな心配もあるのですが、この時、まだ11月で、ライヴまで半年以上ありましたから、まだまだ先だなあと待ち遠しかったです。
ライヴまでの間、ネットではチケットが獲れないと嘆くファンの声をたびだび耳にして、申し訳ない気持ちになりながら。

ライヴ当日、会場へ

そして、ようやくライヴ当日。
事前に入手したセットリスト情報で予習は万全。
演奏予定のすべての曲を頭に入れてあります。

天気はぐずついていて、雨が降るかもとの予想でしたが。

開場時間は17時ですが、会場には14時20分頃、到着しました。
グッズの販売が14時30分から始まるからです。
当初は、横浜駅の西口側にあるdisk unionに買い物に行ってから、東口側にある会場へ行こうかと思ったのですが、遅く行って目当てのグッズが売り切れになってしまったら最悪です。
なので、ここはやはり先に会場へ向かうべきだなと判断したのです。
初めて訪れる場所でしたし、グーグルの地図見ても、ちょっと道がよくわからなくて不安だったのですが、なんとなくこっちの方向だよなと歩いてみたら、途中途中に「Kアリーナはこちら」という看板があって、難なく到着することが出来ました。
記述通り、たしかに徒歩10分くらいでしたかね。

グッズを求める人の列は、その時点で会場をぐるっとひと回りするように伸びていて、思っていたより長いな、と。
買う順番が来るまで、いったい、どれくらい時間がかかるのか。
目当てのものはちゃんと買えるのか。
不安になりながら待っていましたが、曇り空なのは幸いでした。
もし、日差しが照っていたら、地獄の熱さだったかもしれません。
ときどき爽やかな風が吹いてきて、それほど苦ではありませんでした。
もちろん、多少のイライラはありましたけど。

僕の目当てのグッズは、Tシャツでもパンフレットでもなく、ランダム商品です。
中身がわからない、ガチャガチャみたいなものですね。
目当ては、まりやさんのキャラとアルバムが描かれた、ミニ・アクリル・スタンド。
それが欲しかったのです。
しかも、7種類のアルバムがデザインされているので、特に欲しいものとか、あんまり欲しくないものとかもあって。
1個500円ですが、2個買えば、それなりに満足するものが入ってるかなと思ってました。
でも、買う順番が近付いてきて、グッズ一覧のパネルが見えてくると、ランダム商品の中身は、ミニ・アクスタだけじゃなくて、絵馬もあるとのこと。
えっ、絵馬はいらない!アクスタが欲しいんだ!
アクスタは7種類で、絵馬は8種類。
合計15種類のランダム商品なんだそうです。

だとしたら、2個買ったら、2個とも絵馬だった、なんてことは確率的に充分あり得るわけです。
そうなったら最悪なので、仕方なく、4個買うことにしました。
それだって、全部絵馬ということもあり得るわけですが、とりあえずそこまで手を尽くしてダメなら諦めるしかない。

並び始めてから1時間20分。
ようやく僕の買う順番が回ってきて、売り切れることなく、無事にランダム商品4個が買えました。
場所を移動し、中身を確認すると。

1個目に出てきたのは、絵馬でした。
あちゃあ。
これはこれで可愛いのですが、欲しいのはアクスタなのです。

2個目。
やった!
出ました!
アルバム『Portrait』のアクスタ!
割と欲しかった方のアルバムが出て安堵。
まりやちゃんのイラストも可愛いです。
とりあえず、目当てのものがゲットできたので良かった。

3個目。
これまで、1個目、2個目と開けたので、触った感触で、開けずともどちらが入ってるのかわかります。
この感触は絵馬ですね。

そして、最後の4個目。
この感触はアクスタの方です。
やった!
と思って開けてみたら、出て来たのは『Portrait』のアクスタ。
うわっ、ダブった~!!
なによ、この確率は。
違うアルバムのアクスタだったら最高だったのに。

ちょっと残念な思いになってしまいましたが、2000円使って、とりあえず1個でも目当てのアクスタが手に入れられたのですから、それだけでも良しとしましょう。

この時、まだ4時前だったので、開場・開演時間まで、まだかなり時間があります。
どうするか。
当初の予定通り、disk unionに買い物へ行くか。
でも、また駅まで戻って、反対の西口の方へ行かなければならないんですよね。
それほど遠くはありませんが、面倒です。
それに最近は、体調に不安があるので、歩き疲れて体力を消耗し、ライヴ中に具合が悪くなるなんてことは避けたいところです。
事前にネットでdisk unionの横浜店の在庫検索をしたら、特に僕が欲しいと思ってたものもなかったので、行くのをやめました。
おとなしくしていよう。
トイレを済ませた後は、人の少ない川沿いで、エネルギーを補給し、座って音楽を聴きながら休んでいました。
ポツポツと雨を感じる瞬間もあって、移動しようかとも思いましたが、たいしたことはなくてそのまま。
風があって、割と涼しくて、心地良く過ごせました。
ちょっとうつらうつらもしたので、意外と時間が過ぎるのは早かったです。

既に開場は始まっていて、17時30分になったので、入場することにしました。
チケットの名前と、免許証の名前と、そして写真と僕の顔を見比べてのチェック。
ここまで念入りに本人確認されたのは初めてでした。

僕の席は、3LEVEL 301GATE 15列29番。
3LEVELというのは、3階席にあたるのかと思いきや、アリーナ席である1LEVELの上が3LEVELなので、スタンド1階席にあたりますね。
段差がある分、平坦なアリーナ席の後方よりずっと見やすいと思われます。
そして、何より嬉しかったのは、29番というのは、列のいちばん端っこ、通路側の席だったことです。
体調に不安がある僕にとっては、通路側の席はとにかくありがたい。
何かあったら、隣の人を気にすることなく、すぐに通路に出られるし、人に囲まれてないので、周りの人からのプレッシャーも少なく、リラックスできる席なのです。
今回も願っていた席が当たって、この幸運には本当に感謝です。

開演時間間近、トイレは大行列でしたね。
15分前に並んだのですが、ちょっと焦りました。
まあ、男性は回転が速いのでいいのですが、女性は大変だったでしょう。
開演に間に合わなかった人もいるのでは。

ライヴのスタート

開演時刻の18時30分から9分過ぎ、ようやく暗転。

01. アンフィシアターの夜
02. 家に帰ろう ~マイ・スイート・ホーム~
03. マージービートで唄わせて
04. Forever Friends
05. 歌を贈ろう
06. 五線紙
07. リンダ
08. ブルー・ホライズン
09. 象牙海岸
10. 元気を出して
11. 告白
12. 静かな伝説(レジェンド)
13. カムフラージュ
14. 幸せのものさし
15. J-Boy
16. プラスティック・ラブ
17. 人生の扉
18. 駅
(Encore)
19. All I Have To Do Is Dream
20. SEPTEMBER
21. 不思議なピーチパイ
22. いのちの歌

ステージ中央でスポットライトを浴び、青いシャツ着た達郎さんがイントロのギターを弾いて始まった「アンフィシアターの夜」
まりやさん、白と紺?のストライプのドレスで登場。
硬派でハードなロックンロール。
そんなサウンドの中、まりやさんのヴォーカルの低音が、ドスが効いてると言うんですかね、深みを持って響いてきます。

「家に帰ろう ~マイ・スイート・ホーム~」
ベージュ色のリッケンバッカーをかき鳴らす鳥山さん。
黒のミリタリー風衣装にチェンジしていたまりやさんは、ブラウニーのテレキャスターを弾きながら歌います。
ビートリーなサウンドですね。
達郎さんはアコギを爽やかにかき鳴らす。
「♪ 冷蔵庫の中に」と、まりやさん、鼻にかかって艶のある歌声が伸びやか。
そこに添えられたコーラスも心地良い。

「マージービートで唄わせて」
タイトル通り、ますますビートリーなサウンド。
スクリーンには60年代のイギリスの風景。ビートルズが走り抜けるシルエットが映し出されて粋。
まりやさんのビートルズへの思いを感じる楽曲で微笑ましい。
キーボードがいい感じのフレーズで、徐々に楽しい気分になっていきます。

MC。
「みなさん、こんばんは。11年振りのツアーです」
「心待ちにしてくださってた方も多いと思います」
「今夜は、音楽と共に懐かしい思い出に浸ってもらえたらと思います」

「Forever Friends」
まりやさん、ハンド・マイクでステージを右へ左へと移動しながら歌います。
達郎さんはキーボードを軽いタッチで演奏。
全体的に穏やかな軽さを伴った演奏でしたね。
ワクワクするのをちょっと抑えるというか、控えめな感じで。
サックスの響きも心が透くように軽快。
原曲にあったアウトロのビートルズ「With A Little Help From My Friends」のメロディは無し。

MC。
ストライプのシャツに着がえたまりやさん。
「ツアーも、いよいよセミ・ファイナルとファイナルです」
「今夜はビデオ収録が入っております」
「私、横浜とは縁がありまして」
「テレビ神奈川の『ファンキー・トマト』という番組でアシスタントをしていました」
「そして、SUGAR BABEで唯一、達郎がテレビ出演したのもテレビ神奈川なんですよ」
「今回のツアー、14公演で50万人の応募があったそうです」
「今夜ここに来れたみなさんは、日頃の行いが良かったのかな?」
「ライヴに来てくれるみなさんの年齢層を訊いたんですけど、70%が50~60代だそうです」
「10代が46人。将来有望ですね」
「そして20代は1000人。私を選ぶなんてセンスがいい」
「昨年リリースしたアルバムから、1曲歌いたいと思います」

「歌を贈ろう」
最高傑作とも言える新作の中でも、僕がいちばんと言っていいほど好きな曲。
穏やかに安心感を与える前半から、ドラマチックなメロディになるサビを持った名曲です。
まりやさんはハンド・マイクで語りかけるように歌います。
ファンのためにという意味もあるのでしょう、歌に愛が込められているのを実感します。
終盤、ラララのリフレインは感動的。

MC。
「歌を贈ろうは、生田絵梨花さん主演のドラマの主題歌で、いくちゃんはコーラスでも参加してくれましたし、MVにも出てくれました」
「それでは、ここからは昔に戻って、RCA時代の曲を歌いたいと思います」
「思い入れのある曲ばかりです」

「五線紙」
鳥山さんのギターと宮里さんのサックスを中心にということでしたが、しっかり全員でバンド演奏。
ただ、アコースティックな演奏ではありましたね。
とてもジャズっぽい感じで、スウィングしてました。
この曲の本質を見た気がします。
まりやさんは椅子に座って歌ってましたよ。
コーラス隊のハーモニーも美しかったです。

MC。
「五線紙を書いてくれたのは早稲田出身の安部恭弘くん」
「学生時代、バンドでよく一緒にやってました」
「そしたら、先輩の杉真理さんが、まりやちゃん、安部くんと結婚したらアベ・マリヤになるよ!って言ってたんですよね」
「荒波のような芸能界の中で、初めて出来た友達のアン・ルイス」
「彼女が結婚するということで、お祝いに作った曲をやろうと思います」

「リンダ」
まりやさんと3人のコーラス隊、そして達郎さんのベース・ボイス。
5人がステージ中央で寄り添ってアカペラ。
ドゥーワップ調で、とても美しいハーモニー。
ライトを浴びた5人が、光輝いていて眩しい光景でした。

「ブルー・ホライズン」
これはレアな曲ですね。
僕も最近知って好きになった曲です。
スクリーンには夜景の映像。
まりやさんはスタンド・マイクで仁王立ち。
サックス・ソロがふくよかで、ゴージャスな演奏に、思わず体が疼きます。
これもまたノリ良くスウィングしてると言うべきか。
歌い終わったまりやさんが退場するも、演奏は続きます。
ここからメドレー・ソロ。
サックス→ギター→キーボード→オルガンの順に2周して、最後に三度目のサックス・ソロ。
曲の後半から、スクリーンの映像は朝の風景に変わってました。

「象牙海岸」
再登場したまりやさん、上がシルバー、下がブラックのスパンコール・ドレスでした。
しっとりとしたムードで歌い上げるまりやさん。
爽やかな海の風が吹いているようでした。

MC。
「先日、RCA時代の5枚のアルバムとライヴ盤を合わせたアナログのレコード・セットをリリースしました」
「それらを聴いていると、いろいろ思い出すんですね」
「あの時、かなり忙しくしてて、『ザ・ベストテン』でピーチパイをムリして歌ったら、翌日声が出なくなって、ライヴをキャンセルして、入院することになってしまったりとか」
「今回、久し振りのツアーで、どんなセットリストがいいか、いろいろと考えました」
「お馴染みの曲もやりたいし、ライヴでやったことのない曲もやりたいと思ったんですけど、達郎が、それはライヴで再現するのはムリなんだよと言ったりしたので諦めたり」
「日々の生活の中で、不安に思うことはあると思います」
「若い頃の不安は、恋愛のこととかだったりしたけれど、歳を重ねると、自分のことだけでなく、もっと広い範囲での不安を抱えたりします」
「そんなみなさんに元気を出してほしいと思って、次の曲を歌いたいと思います」
「みなさん、おつかれ生です」

「元気を出して」
もっとテンション上げろと煽るのではなく、優しく傍に寄り添ってくれて、気持ちをほぐしてくれる感じなのがいいです。
キーボード・ソロにピアノが被さるところがとても良かった。
鳥山さんと達郎さん、2人のアコギの音色もいいですね。
全体的にアコースティックな演奏でした。

電話のベルの音が鳴って「告白」
まりやさんは椅子に座って歌います。
前曲と違って、やや緊張感が漂い、グッとムーディーになりました。
こういう曲では、まりやさんの憂いを帯びたヴォーカルがハマります。
戸惑いと葛藤に悶える、夜の曲ですよね。

MC。
「告白は火曜サスペンス劇場の主題歌で、マツコ・デラックスさんとご一緒した時に、アタシ、告白好きなのよねえと仰ってて」
「そういえば、告白はライヴであまりやってなかったし、やってもショート・バージョンだったなあと思って」
「なので、ライヴでフル・サイズで歌うのは初でした」
「私のライヴ観るのは初めてという人は拍手してください」
会場の半数近くから拍手が。
「うわっ、すごい、こんなになの?」
「次の曲は、ソチ・オリンピックで、浅田真央ちゃんが転倒して、メダルはかなり遠のいたというのに、次の日、トリプル・アクセルを決めて完璧な演技をしたことに本当に感動して」
「人って、そういう場面でものすごい力を発揮することが出来るんだな、素晴らしいなと」
「そこからインスパイアされて作った曲です」
「アスリートに限らず、人知れず職人さんが魂込めて仕事をなさったりしていることにも思いを込めました」

達郎さんのアコギから始まった「静かな伝説(レジェンド)」
「♪ 語ってくれ」と男口調な感じなのが、まりやさんの真剣な思いが現れているようです。
優雅なサウンドの中、間奏ではまりやさんがハーモニカを吹きます。
ララララの前に、まりやさんが「シング・トゥゲザー!」と言ったけど、観客は歌ってないようでした(笑)。
でも途中から、力強い演奏に合わせて手拍子が大きくなっていって、ノッてきたのか、お客さんも少しずつ声を出していったように聴こえました。
なので、終盤は一体感が感じられて感動的でしたよ。

ここで一旦小休止。
スクリーンにドキュメンタリー映像が映ります。
まりやさんがデビュー当時の話をしてるところです。
学生時代に声をかけられて、記念にアルバム1枚出してみたらと言われ、じゃあやってみようかとデビューすることになり、その後、ツアーにテレビに忙しくなっていったこと。
活動休止を経て、2000年に武道館でやったライヴがとても楽しかったこと。
なので、ライヴはみんなに歌を届けると言うよりも、私がみんなのことを知りたいという気持ちなんだということ。
そんな話をするまりやさんの映像でした。

「カムフラージュ」
まりやさん、真っ白のふんわりシャツにゴールドのスカートで現れました。
優しくも切ない曲。
まりやさんの真っすぐで伸びやかな歌い方は、主人公の女性の張り裂けそうな胸の内がはっきりと透けて見えるようです。
でも、演奏は意外と力強いサウンド。

MC。
「カムフラージュは、木村拓哉さんと中山美穂さんのドラマの主題歌でした」
「ドラマの打ち上げの二次会、カラオケでこの曲を全員で歌ったのを憶えています」
「ミポリンには色・ホワイトブレンドを提供したりとご縁がありましたが、残念ながら、昨年、突然亡くなってしまわれました」
「自分より年下の方が先に逝ってしまうというのは寂しいですね」

「ここでメンバー紹介をしたいと思います」
「ドラム、小笠原拓海!」
「いいドラマーがなかなか見つからず、オーディション18人目で彼に決まりました」
「ベース、伊藤広規!」
「ずっと昔から竹内まりやの曲は打ち込み以外はすべて伊藤さんのベースです」
「ギター、鳥山雄司!」
「ピアノ、難波弘之!」
「キーボード、柴田俊文!」
「サックス、宮里陽太!」
「達郎がライヴを観て、彼にやってもらいたいと5分で決めたそうです」
「コーラス、ハルナ、ENA、それから元・スターダストレビューの三谷泰弘!」
「そしてバンマス、山下達郎!」
ここで達郎さんが挨拶。
「私も22歳でデビューしまして50周年、72歳になりました」

「竹内まりやのライヴにはもれなく山下達郎が付いてくるので、とってもお得なんですよ」
「1粒で2度美味しいと言いますか」
「でも、達郎はギャラが高いんですよね」
「そこはメオト価格でなんとか」
「でも、家でのバンマスは私です」

「幸せのものさし」
まりやさん、ハンド・マイクでステージを右へ左へ移動し、笑顔を振りまきながら歌います。
天井ではミラーボールが回っていて、演奏もとても派手な雰囲気。
そんな中で、達郎さんのギターのカッティングが流石で痺れました。
サックス・ソロも伸びやかに響き渡ります。
迫力ある演奏に負けじと、まりやさんとコーラス3人のヴォーカル・ワークが圧巻でした。

「景気のいいやつ、いこう!」と言って「J-Boy」
この曲、オールド・タイプのロックンロールかと思ってたけど、意外にハード・ロックにも聴こえるイケイケな演奏でした。
基本はギター・サウンドなんですが、ピアノの高音がカンカン響いてきたのが印象的。
スクリーンが8分割されて各メンバーが映ってたのがカッコ良かったです。
まりやさんはタンバリンを叩きながらノリノリ。
ヴォーカルの抜けがとても良くて、気持ち良さそうに歌ってました。
盛り上がりに花を添えるように、金テープが発射されました。

「プラスティック・ラブ」
いちばん楽しみにしてた曲です。
この曲を初めて耳にしたのは21世紀になってからで、その時も全然印象に残らなかったのですが、シティ・ポップ・ブームの流れの中で聴き直してみたら、こんなに素晴らしい曲に何故すぐに気付かなかったんだとばかりにハマりました。
虚ろなメロディに、達郎さんの素晴らしいギターのカッティングを中心にしたダンサブルなグルーヴが妖しくて心地良い。
歌詞もほぼすべて憶えています。
まりやさんの声はビードロのようにクルクルと転がっています。
主人公の女性の生き方や心の揺れにグイグイと惹きこまれます。
間奏、原曲はギター・ソロだけど、ライヴではサックス・ソロ。
そして、2番の「♪ 私を誘う人は」からは達郎さんがリード・ヴォーカル!
これには会場内、大拍手です。
それから終盤のまりやさんの「♪ I know that’s plastic love」「♪ Another morning comes」に呼応しての、達郎さんのカウンター・メロディのヴォーカルが圧巻!
まりやさん、達郎さん、コーラス隊の声が響き渡ってきて、音の洪水のようでした。
これが生で体験できる幸せ。
ただ、2000年や2014年のライヴ映像をよく観てましたから、その時と比べたら、達郎さんの声の張りや伸び、シャウトは今ひとつにも感じました。
以前が素晴らしすぎたから、比べてしまうと当然なのですが、少しばかり衰えが来てるのかなあ?
でも、それはそれとしてもやはり、この曲は素晴らしいパフォーマンス。
間違いなくライヴのハイライトのひとつでしたね。
最後は、まりやさんが両手を頭上でクロスさせ、横に俯いてポーズをバシッと決めて締め。
僕の隣の女性が「カッコいい~」と呟いてました。
そうなんです。
最高にカッコいい曲なんです。

MC。
「3月20日に70歳になりました」
「次に歌う曲は、50代になってから書いた曲なんですが、その頃から見える景色は違っても、心の根っこは変わらないんだなと思っています」
「そして、希望は捨てないということを大切にしたいと思っています」
「前回のツアーからの11年間、いろんなことがありました。大切な人を亡くしたり、飼っていたワンちゃんもいなくなりました」
「それでも、音楽を通して、誰かの心に灯りをともせたらと願っています」

「人生の扉」
優雅で大陸的なカントリー・サウンドですが、スケールの大きさを感じます。
スクリーンには歌詞が映し出されます。
そうです。これは歌詞がとてもいいんですよね。
20代から80代まで、そして90代を迎える未来まで、それぞれの年代に素晴らしさや希望がある。
歳を重ねることの尊さ、人生の深み。
人生にはいろんな場面があり、そのどれもに意味があって愛おしい。
それならば、生きることって楽しいんだなと思わせてくれる名曲です。
ここはただただ聴き入ります。

MC。
「今日はとても気持ち良く歌えました。ありがとう」
「これからも、声の続く限り歌い続けたいと思います」

「駅」
グッと空気が重たくなって。
かつて愛した人を偶然見かけた時の、主人公の心が過去と現在を行き来して揺れていくのが手に取るようにわかり、その情景がはっきり見えてくるようで、映画を観ている感覚でした。
ドラマチックなサウンドの演奏の中でも、またもや達郎さんのギターのカッティングの歯切れがいい。これはもう至高の神業、職人芸ですね。
まりやさんはハンド・マイクですが、動き回らずに、しっかりと地に足を付けて歌い上げていました。
そして、サックス・ソロの間に退場するまりやさんは、彼への思いを振り切るように駅から離れていく女性のようでした。

そして演奏が終わって、バンド・メンバーも退場。
ここで本編終了です。

アンコールの拍手に応えて、意外に早く再登場。
大きくMのマークが描かれたグレーのトレーナーに、シルバーのスパンコール・パンツで現れたまりやさん。

「All I Have To Do Is Dream」
NEWアルバムに入ってたカヴァー曲。達郎さんとのデュエットです。
ステージ中央ではなく、アコギを弾く達郎さんの近くに行って、ハンド・マイクで歌うまりやさん。
穏やかな夫婦の関係性が見えるようなパフォーマンスでした。

「SEPTEMBER」
スクリーンにはブラウン管のテレビ、そこに若きまりやさんの姿が映し出されました。
この曲になって、観客が総立ち。
手拍子しながら、まりやさんを見守ります。
スクリーンには歌詞が映っていて、一緒に歌いましょうというメッセージ。
と言っても、僕が声を出したのは、サビの「セプテンバー!」というところくらいでしたけどね。
ハンド・マイクでステージを右へ左へ移動するまりやさん。
デビューの頃のように、あどけなさが滲み出ています。
ギター・ソロからサックス・ソロへと繋いで締め。

「不思議なピーチパイ」
「一緒にどうぞ歌ってください」と、まりやさん。
達郎さんはアコギを力強く鳴らします。
歌詞を少しトチッて、すぐさま「ごめんなさい」と謝るまりやさんが律儀。
スクリーンには、まりやさんのキャラがスーパーマリオ風になった映像が流れて楽しませてくれます。
観客も大声ではないけれど、一緒に歌って、懐かしき日々に思いを馳せているのがわかります。
アウトロはサックス・ソロ。
この初期の代表曲2曲の流れは、ほっこりしましたね。

演奏を終えたバンド・メンバー一同、ステージ前方で整列。
手を繋いでお辞儀して挨拶、拍手に応えました。
そして、バンド・メンバーは退場。

MC。
メンバーが退場している間に、青のドレス・ワンピ姿になってたまりやさん。
「前回のツアーから時が経って、またライヴがやれたらいいな、でもまさかやらないだろうなとか思ってたけど、ツアー決心して良かったです」

「いのちの歌」
この曲は以前のライヴで、まりやさんがピアノの弾き語りをしていた映像を観ていたので期待してたのですが、今回はカラオケで。
静かなピアノとオーケストラの音に合わせて、まりやさんがスタンド・マイクで身振り手振りを交えてじっくりと歌うバラード。
ステージの上方に細長いスクリーンが実はあって、そこに歌詞が表示されていました。
落ち着いたトーンのまりやさんの歌声が沁みます。
どことなく寂しいような、それでいて温かくなるような。
スクリーンには、まりやさんが家族と映ってる昔の写真が映し出されていました。

「みなさん、ありがとうございました。おやすみなさい」

ライヴ終了は21時14分でした。
僕は、帰りの混雑が心配なので、素早く席から離れ、会場を後にしました。

この素晴らしいライヴを観れた幸運に感謝

素晴らしかった。
とても素晴らしかったです。
熟練の腕利きメンバーの達郎バンドによる確かな演奏。
滅多にライヴやらないのに、どこで鍛えているのか、まったく衰えてない、伸びやかで憂いのあるまりやさんのヴォーカルにうっとり。
まりやさんの歴史を辿るような豪華なセットリストと、丁寧なお喋りで、夢のような2時間半でした。

実は、せっかくNEWアルバムを出したんだから、そこからたくさんやってくれればいいのにと思ってましたが、たまにしかやらないライヴだからこそ、新曲にこだわらず、みんなが聴きたい代表曲を散りばめるセットリストになったのは、やはり正解でしたね。
達郎さんのライヴもそんな感じですし。

MCで、まりやさんも言ってましたが、まりやさんのライヴでは山下達郎も観れるというのが美味しいポイント。
念願だった、まりやさんと達郎さんが並んでのパフォーマンスが観れて、とても興奮しました。
ものすごく充実したライヴで大満足。
僕は最近、体調に不安があって、今回もライヴ中に気分が悪くならないか心配だったのですが、途中からどんどん惹きこまれていって、ライヴに集中できて、体調のことは忘れてたくらいでした。
素晴らしい音楽で、とても満腹になりました。

期待はしてましたけど、想像の遥か上を行きました。
こんな素晴らしいライヴが観れるなんて。
チケットが当たって、本当に良かった。
この奇跡的な幸運には感謝の気持ちでいっぱいです。

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