サザンオールスターズ おすすめアルバム・ランキング

大好きなアーティストのアルバムをランク付けするシリーズ企画。
今回は、サザンオールスターズ。

好きなアーティストのアルバムをランク付けするのって、非常に難しい。楽しいけど。
その日の気分によっても違ってくると思うし、はっきり優劣があるものもあるけれど、そもそも好きなアーティストの作品なんだから、どれも好きで、順位なんて紙一重のものが多いでしょう。
それでもやっぱり、ランク付けしてみたくなります。楽しいから。

好きなアルバムの定義ってなんだろう?と思います。
大好きな曲が入ってる、全体の流れや空気感が好き、ジャケットが好き、リアルの生活における思い出とリンクしている...など、いろいろあると思うんですが、僕が重要視するのは「ワクワク度」ですね。
そのアルバムを聴いている時はもちろんなのですが、「それを聴いてない時でも、そのアルバムの事を考えると、ワクワクしてしまう」ものが自分にとって上位なんだと思うんです。
個人的に思い入れの深い順ではありますが、それこそがみなさんへのおすすめ順。
好きなものをおすすめしたいです!

コメントの次には、各アルバムの中で1番好きな曲を、No.1 Songとして表記しました。
ジャケット写真をクリックするとTOWER RECORDSへのリンクになってます。

第1位 『kamakura』

このアルバムを聴いて、オリジナル・アルバムとはどういうものかを知りました。
このアルバムを聴いた事によって、僕の趣味が「音楽鑑賞」になりました。
音楽とは素晴らしい、という事を強烈に教えてくれました。
生まれたての雛が初めて目にした親みたいなもんです。
このアルバムがなかったら、今の僕はありません。
4作続けて7月にアルバムをリリースしていたサザンでしたが、2枚組、原坊の妊娠という事で7月には間に合わず、9月発売になりました。それでも、それだけの延長期間だけで完成させたのだから凄い事です。
発売日に貸しレコード屋へ行ったら、すべて貸出し中で、店主が「すげーな、サザン」と言っていたのが忘れられません。
この2枚組は、当時「モンスター・アルバム」と呼ばれてました。僕も、今でもそう思います。
A面からD面まで、好きな曲だらけです。
とても引き締まったアルバムです。そこがビートルズの『ホワイト・アルバム』との違いです。
これがサザンとの、音楽との出会いでした。
僕にとって、思い入れが強すぎる作品です。

No.1 Song 「Long-haired Lady」

第2位 『ステレオ太陽族』

『kamakura』は2枚組なので聴くのが大変、という意味では、素直に1枚もののアルバムとして考えると、これが1番、最高傑作と思うところもあります。それだけ、『kamakura』と甲乙付け難いです。
優しく始まって、ハラハラさせたりドキドキさせたり、ノリが良かったり切なくなったり。いろんなタイプの曲が詰まっていて、捨て曲なし、申し分ないです。
1番自由な感じも受けるアルバムで、手を変え品を変え、聴く者を楽しませようという気概が伝わってきます。
意味不明のジャケット、修学旅行なメンバー写真もウケます。
このセンス、世界観こそサザン、な気がして大好きなんです。

No.1 Song 「朝方ムーンライト」

第3位 『Nude Man』

僕はリアルタイムで聴いたわけではないので、リリース当時の空気とかわからないのですが、「サザンと言えば夏、海」といったイメージになっていったのは、このアルバムの存在が大きいのではないでしょうか。
サウンドは前作よりも迫力が増し、汗の飛沫が飛び散ってくるようなイメージです。
僕は冬の生まれなので、冬の方が好きなのですが、このアルバムを聴いてると、夏も悪くないなあ、と思えてくるのです。
僕は音楽好きなので、好きな作品は四六時中、一年中、季節を問わず聴きたいのが当然と思ってるのですが、このアルバムだけはやはり、夏に聴くのが合ってるなあ、と心から思います。

No.1 Song 「DJ・コービーの伝説」

第4位 『人気者で行こう』

前作で大人に成長したサザンが、さらに野心を持って追求したアルバム。
大ヒット「ミス・ブランニュー・デイ」も入ってて掴みはOK、メリハリもあり、ある意味ピークと言ってもいいもので、これを最高傑作と捉えてる人が多いのも納得です。
大暴れしているサザン、といった感覚です。
【人気者で行こう】というのは、サザンのデビュー当初からの思惑だったはずですが、このタイミングでそれを高らかに宣言しています。「ミス・ブランニュー・デイ」のヒットがあったので、ちゃんと人気者でいられて良かったね、と思います(笑)。
これまた意味不明なジャケットもインパクト大で、赤と黒の情熱です。

No.1 Song 「よどみ萎え、枯れて舞え」

第5位 『綺麗』

他の人がどう思ってるかはわかりませんが、僕にとっては、このアルバムは秋のイメージなんです。夏が終わり、冷たい風を感じて、心がふっと寂しくなる、そんなイメージ。
エネルギッシュな夏を表現した前作に比べたら、グッと控えめになって、ある意味地味な作品です。
大ヒットしたシングルが含まれてないのも、地味な印象を抱く要因かもしれません。
だけど、何かが僕を惹きつけるんです。好きなんです。
勢いで突っ走ってきた時期が終わり、大人なサウンドへ変化し始めたアルバムでもあります。

No.1 Song 「NEVER FALL IN LOVE AGAIN」

第6位 『タイニイ・バブルス』

この頃になると、プロ意識も高まり、肩の力を抜いて、ヒットするしないに囚われず、いいものを作る事だけを念頭に置いているような気がします。
シングルだけでなく、アルバムも水準の高いものを作ろうとしている意識を感じます。
程良く力が抜けてる分、過度な派手さはなく、あくまでマイルド。
聴く方もじっくりと腰を据えて、向き合いたいアルバムです。
アベレージ・ヒッターをズラッと並べた強みがあるように思います。
このアルバムが1番好き!という人は少なそうですが、嫌いという人もほとんどいなそうで、親しみやすい感じだと思います。

No.1 Song 「タバコ・ロードにセクシーばあちゃん」

第7位 『10ナンバーズ・からっと』

コレ、昔は好きじゃなかったですね。初期8枚の中では、圧倒的に聴く回数が少なかったはずです。
理由は...僕「いとしのエリー」が好きじゃないからですかね(笑)。だから、世間のエリー高評価に反発するような感じで。
「アブダ・カ・ダブラ」を2で割って、A面B面に分けたのも、CDとなった今では辛い。また同じ曲かよ!ってね。これは桑田さんが曲作れなくて、数を揃えるための苦肉の策だったようにも思えます。
桑田さんもこのアルバムを駄作と言っていて、僕も「そうそう、同感!」みたいな感じに思ってました。
でも、最近は結構好きになってきてるんですよ。割といい曲入ってるじゃん、って。毛嫌いするのはもったいないとわかりました。

No.1 Song 「思い過ごしも恋のうち」

第8位 『葡萄』

初期の8年間は、毎年アルバムを出してたのに、だんだん作る間隔が長くなっていって、とうとうコレは前作から10年振りとなってしまいました。
まあ、ベテランだし、活動休止もあったし、桑田さんの病気もあったし、それはもう仕方ない事で、サザンとしてアルバムを出してくれた事は奇跡のような事だと思った方がいいのかもしれませんが。
とにかく待望のNEWアルバム。
前作には超ガッカリさせられたので、過度な期待は禁物で聴いたのも良かったのかもしれませんが、結果的に、満足のいく、素晴らしい作品となっていて安堵と共に感動もしました。
よくぞ復活してくれたな、と。
決して派手さはないけれど、タイトル、ジャケット共に芸術作品です。

No.1 Song 「イヤな事だらけの世の中で」

第9位 『Southern All Stars』

サザンとしては初めての長期活動休止後の復活の1枚。
僕自身、コレを聴いて、なんかサザン生まれ変わったな、という気がしたものです。
初期の8枚とは、聴いた感触がまったく違ったのを憶えてます。
下世話路線がサザンの持ち味だったのが、この辺りから、ポップでお洒落な印象が強くなっていくのは小林武史の影響でしょう。
個人的にも、世間的にも、このアルバムの前と後では明らかに違うサザンです。

No.1 Song 「逢いたくなった時に君はここにいない」

第10位 『さくら』

前作でサザン史上最高の売り上げを記録したのに、コレは一気に売り上げを落としてミリオン割れ。ジャケット、サウンド共に暗く重たい印象も悪く、世間的には失敗作と言われています。
でも、僕の評価はまったく違います。
『kamakura』以降、生まれ変わった90年代のサザンのアルバムは、僕の好みからどんどんズレていっていくようでした。
売り上げは右肩上がりだったかもしれないけれど、それは90年代の音楽シーン全体に言える事であって、CDバブルの時代でした。売れてるからって、いいアルバムとは限らない。僕はそうずっと思っていて、思い入れの強いサザンだから、ファンをやめはしないけど、関心は薄れていってたのは事実でした。
そんな中、リリースされたコレは、僕の求めていたサザンが久々に戻ってきてくれたようで、とても嬉しかったのです。
多彩で実験的だし、濃い1枚です。

No.1 Song 「SAUDADE ~真冬の蜃気楼~」

第11位 『Young Love』

サザン史上最も売れたアルバムで、これをもって誰もが国民的バンドと認める事となりました。
だけど、そんな大ヒットと裏腹に、僕のサザン熱は冷めていくばかりでした。
なんか違うんだよなあ、好きになれる曲がないんだよなあ、って。
初期のアルバムなんか、捨て曲なしとばかりに、大好きな曲がぎっしり詰まってたものでしたが、この頃は、一発で心奪われるような、神曲が皆無。
僕の好きだったサザンはどこへ...といった気分だったのでした。
しかし、それから時がたち、最近このアルバムを聴き返すうちに、それなりに好きになってきました。
大好きな曲はないけれど、不思議と統一感のある、そこそこいい雰囲気が漂っているアルバムなのではないか?と思い直すようになりました。
新品未開封と思われるレコードを500円という破格の値段でGETできたのも、印象を良くする結果となりました。
ロック名盤のパロディ満載のジャケットは、レコードで所有してると満足感があります。

No.1 Song 「あなただけを ~Summer Heartbreak~」

第12位 『稲村ジェーン』

桑田さんとしては、この映画は黒歴史なんだろうなあ...ちょっと切ないです。
だけど映画は、このサントラという副産物を生んで、かろうじて歴史に名を残しました。
なんと言っても「真夏の果実」「希望の轍」という2大名曲が含まれているだけで価値があります。
たしかに、映画はつまらなかったけど、エンドロールで映画のハイライト・シーンと共に「真夏の果実」を聴くと、とてもいい映画だったような錯覚を起こしたのです(笑)。
そんな映画に使われた曲を中心に構成されたこのアルバムはなかなかです。既発曲やカヴァー曲も含んでいるマイナス・ポイントはありますが、なんとか音楽で映画を盛り上げようという気概が伝わってくるのです。
寺脇康文らのコメディ・ドラマを毎回聴かされるのは辛い所もありますが、それも含めて映画の甘酸っぱい思い出となってます。

No.1 Song 「真夏の果実」

第13位 『熱い胸さわぎ』

あまりサザンを好きではない評論家ほど、このアルバムを推す、みたいなイメージがありますね。
たしかに、「勝手にシンドバッド」は強烈なインパクトだったのでしょう。僕も、サザンを好きになる前から、この曲の事はなんとなく知ってましたからね。
それをアルバムのド頭に持ってくる。その後は勢いで走る。そんな感じ。
大好きな曲はいくつかありますが、初期サザン8枚の中では、個人的にはちょっと異質な感じを受けました。
「女呼んでブギ」が入ってるので、中学生だった僕が家族と一緒に聴くのは躊躇われた、というマイナス・ポイントもあります(決して嫌いな曲ではないのだけど)。
それから、サザンのルーツ・ミュージックである、【サザン・ロック】というジャンルが、僕はあまり好みではないから、それが色濃く反映されてるこのアルバムには、思い入れを抱きにくいのかもしれません。

No.1 Song 「今宵あなたに」

第14位 『世に万葉の花が咲くなり』

小林武史との出会いは、桑田さんにとって、とても大きかった事でしょう。
僕も、素晴らしいコラボだったと思います。
でも、その共同作業も数年がたち、この頃になると、うーん、あれ?となってくるのです。サザンを聴いてて、あまりワクワクしてこなくなってしまったのです。
ちょっと過剰でしつこいような感じが鼻について。
いま思えば、もはや、このアルバム制作時は倦怠期だったのでは?と感じてしまいます。
収録時間が長い割には、シングル曲以外はあまりいい曲がなくてガッカリ、という印象が強かったです。
いま聴き返してみても、聴いててちょっと退屈というか、特に後半は辛くて、聴き通すのが大変というイメージに変わりがなく、あまり聴く気がおきないアルバムですね。

No.1 Song 「せつない胸に風が吹いてた」

第15位 『KILLER STREET』

2枚組という事でものすごく期待してたのに、これを聴いた時のガッカリ感と言ったらハンパなかったです。
同じ2枚組でも『kamakura』とは雲泥の差。
シングル曲は好きな曲あったんですけど、アルバム曲で大好きになれる曲がほとんどなくて。30曲もあるのに、いい曲ないのかよ!って気になってしまうのです。全部聴き通すのも大変で、特にDisc 2の終盤は辛くて辛くて。
もちろん、このアルバムから入ってサザン・ファンになった若い人もいるでしょうから、そんな人には酷な言い方になってしまうのですが、僕にしてみたら、これは凡作なんです。
サザンって、こんな程度じゃないはずなんです。

No.1 Song 「愛と欲望の日々」

みなさんの好きなサザンと僕の好きなサザンには、どれだけ違いがあったでしょうか。
同じアーティストを好きでも、同じアルバムが好きとは限らないのが面白い所だったりします。
いろんなファンの方の意見があると思います。
僕は、そういうファンの意見の違いを面白がったりしたいので、まずは自分の好みを披露してみました。

以前にも記事にしたように、1978年のデビューから、毎年アルバムを発表し続けて、活動停止に至った1985年までの8年間というのが、僕にとっては、それこそがサザンのすべてであったりします。
僕がサザンに出会ったのが85年で、そこから一気に過去の作品を遡って聴き漁ったから、その8年間の作品がひとつの完成形としてパッケージになっているのです。
その後、活動を再開して、リアルタイムで追っかけてはきたけれど、僕にとってのサザンはやっぱり最初の8年間がほぼすべてで、あとはおまけみたいなもの、という気持ちがあって、それほど、その8年間は中身が濃いし、思い入れがあるのです。
だから、それが強く反映されたランキングになりました。
「TSUNAMI」あたりから入って来た若いファンの方からすれば、「おっさん、なに言ってんの?」的な感じで、ある意味、不愉快なランキングかもしれません。
『KILLER STREET』は超名盤、大好きと思っている方も大勢いらっしゃるでしょうしね。
でもまあ、そこが、初期に思い入れが強すぎる、いちファンの、僕らしいランキングという事で許してもらえたら、と思います。

同じアルバムでも、聴くタイミングによって印象が変わったり、何度か聴き続けたりする事によって良さがわかっていったりするものもあります。
サザンの場合も、ベスト3とワースト3はこれで変わらないような気がしますが、中盤のランキングは、好きなものもイマイチなものも、微妙に入れ替わる可能性がありますね。
結構難しかったです。
でも、基本、大好きなサザンですから、これからあまり好きではなかったアルバムを聴き返す事によって、少しでも好きになってきた、というような変化が出てきたら嬉しい事なんですけどね。

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