佐野元春 おすすめアルバム・レビュー集 (COYOTE BAND) Vol.1

『COYOTE』

佐野さんは新しい力、COYOTE BANDを手に入れた。
そして静かに佇みながら、僕らの気高い孤独を尊重しつつ、「自分のこと責めないで」「僕は君の力だって憶えていてくれ」と見守っていてくれる。
佐野さんにそう言われたら、なんだか力が沸いて、今日もがんばっていけそうだ。

(2024.5.13)

『ZOOEY』

佐野元春はベスト盤くらいしか聴いたことなくて、過去のアーティストだと思ってたら、不意にTVのCMで流れた「La Vita é Bella」
「♪ 君が愛しい 理由はない」
あ、最近の佐野さんもいい曲作るじゃないかと感動しました。
そこですぐこのアルバム買ってれば人生少し変わってたかも。

(2024.5.25)

『BLOOD MOON』

ヒプノシスの世界観だとすぐわかるジャケットで、コンセプトがあるようなアートな佇まい。
ポップ・ビートの「境界線」「優しい闇」などの得意分野を活かしながらも、前作よりもロック路線。
「バイ・ザ・シー」のクールなメロディと歌詞に熱い演奏もコヨーテならではの魅力。

(2024.5.28)

『MANIJU』

ジャケットのカラフルな花のイメージとは違って、サウンド的には全体的を通して控えめ。
地味に愚直にビートを鳴らそうとしてる感すらある。
そんな中でも、唯一パッと華やかなのが「純恋(すみれ)」だ。
この曲だけ景色が変わる。若き恋人たちへ。青春を通りすぎた大人たちへ。

(2024.5.31)

『ENTERTAINMENT!』

ライヴでのぶち上がりナンバー「エンタテインメント!」「愛が分母」を収録するアルバムが出来上がって良かった。
この2曲に引っ張られるように、爽やかで潔いポップ・ロックが並んでる。
総時間も30分ちょいで、フレッシュな気分になれるアルバムなんだよな。

(2024.6.18)

『今、何処』

リリース直前、佐野さんは「ヤバいアルバム」と表現した。
またまた大袈裟な...と思いつつ聴いてみると、希望と絶望、ポップとシニカルが交差し、混沌とした現実から別次元を提示するサウンドに圧倒された。
これを聴かなければ佐野元春は語れないほどの最重要作となった。

(2024.6.21)

『2022 LIVE AT SENDAI, FUKUOKA, OSAKA』

2022年のWHERE ARE YOU NOW TOURから、厳選された8曲。
配信のみのライヴ盤だけれど、これがまた濃密。

ライヴでは珍しい「マンハッタンブリッヂにたたずんで」からスタート。
甘いメロディが優しく光るこの曲、歓声が大きかったのを憶えてる。
この年が、『NIAGARA TRIANGLE VOL.2』と『SOMEDAY』のリリース40周年だったことによる選曲だった。

「ヴァニティ・ファクトリー」は『SOMEDAY』を代表しての選曲。
『SOMEDAY』には他にシングルなどの代表曲が多いのに、この曲を採り上げたことの意味。
まさかコヨーテ・バンドでこの曲をやってくれるとは思わなかったし、「♪ ヴァニティ!ヴァニティ!」と熱く盛り上がった。
ここまでライヴ映えする曲だとは。
会場の興奮も伝わる演奏。

「ラ・ヴィータ・エ・ベラ」「エンタテイメント!」「銀の月」「純恋(すみれ)」は既にコヨーテ・バンドのライヴ定番曲。
これらが配置されることで、ライヴに安定感が生まれる。

地の底から唸りをあげる「ヤング・フォーエバー」を経て、強烈なスカ・ナンバー「インディヴィジュアリスト」で観客をビートの渦に巻き込む。

全8曲38分。
作品としてはやや中途半端で物足りない面はある。
どうせならフル・ライヴの音源を聴きたかった、と。
しかし、このライヴのエッセンスを抽出した、ハイライト盤と割り切れば、充分楽しめる。
この短さもまた良し。

(2024.8.26)

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