佐野元春 Live@恵比寿ザ・ガーデンホール 2024.12.24 感想

Rockin’ Christmas 2024

2024年12月24日(火)@恵比寿ザ・ガーデンホール

今年も開催!ロッキン・クリスマス

毎年、秋が深まってくる頃、気になってきます。
今年も、ロッキン・クリスマス、開催してくれるんでしょうね、と。
そのために、12月下旬のスケジュールは空けておきます。

10月下旬、ロッキン・クリスマスの開催決定の知らせが届きました。
今年の東京公演はなんと、12月24日・25日の、まさしくクリスマスの夜の開催。
運良く、僕の仕事が休み確定している火曜日が含まれるので、第一希望は火曜日でした。
でも、キャパの少ない会場ですから、どちらの日であっても、なんとか当選だけはするように、2日間とも申し込み。
すると、希望通り、火曜日公演だけが当選となったのです。
これで、わざわざ水曜日の休みを申請する必要がなくなったし、その分、他の日を休みに出来るから、他のライヴの予定も入れられるという、願ったりの展開になりました。

11月、12月は他にも行くライヴもあって、なかなかに忙しく。
佐野さんのライヴの予習はあまり出来なかったのですが。
でも、幸運なことに、大阪で始まったロッキン・クリスマスのセットリストがわかったので、それを基に気持ちを作ることが出来ました。
ライヴの雰囲気はある程度、予想が付きます。

ライヴ当日。会場へ

最近の心配事は、僕の体調。
万全という日はなかなかなくて、ライヴに行くのも心配です。
途中の電車の中や、ライヴ中に、気分が悪くなったりしないかと不安なのです。

実は、この2日前に、別のライヴに行っていて、その時は、まったく体調が悪くなることなく、楽しめました。
この調子ならば!と思っていたのですが、ライヴ当日の朝、起きてみると、なんだか寒気が。体もダルくて痛い。
これはマズいなあ、風邪引いたかなあと思ったのですが、熱っぽくはなくて、咳や鼻水もないし、全然寝込むほどではなかったので、これは行かないという選択肢はありません。
少々の体調不安は今までも乗り越えてきました。
楽しみにしていた今日のライヴ、もちろん行きます。

しかし、なんといっても季節は冬。
ただでさえ寒気がするというのに、風は冷たく、どこへ行っても寒い。
電車の中、買い物中、どこもぬくぬく暖かい場所なんてありませんでした。
これは大丈夫かなあ。
なんとか持ちこたえてくれよ、と思いながら会場へ向かいました。

ロッキン・クリスマスも僕は3回目。
慣れ親しんだ、お馴染みの会場です。
開場時間18時を5分ほど過ぎてましたが、そこから並んで会場内へ入るまで、寒かったですね。

ようやく入場し、ドリンクを交換し、トイレを済ませ。
なんとか体力温存です。
気分が悪くならないように薬も飲みました。

僕の席はW列29番。
後ろから2番目の列ですが、体調不安がある今では、後ろの席の方が気楽です。
通路側からは3番目ということで、気持ち的にはギリかな。
ただ、前の席との間がゆったりとスペース取ってあるので、窮屈ではなさそうなのが良いです。

ライヴのスタート

開演時間の19時ちょうどに客電が落ちました。
メンバーが次々に登場。
佐野さんも含め、皆バーテンダーのようなお揃いの衣装。
バックにはPeace On Earthの文字。

01. Youngbloods
02. つまらない大人にはなりたくない
03. ジュジュ
04. バイ・ザ・シー
05. 世界は慈悲を待っている
06. 欲望
07. インディビジュアリスト
08. みんなの願いかなう日まで
(Intermission)
09. 雪 -あぁ世界は美しい
10. 君が気高い孤独なら
11. 冬の雑踏
12. 愛が分母
13. クリスマス・タイム・イン・ブルー ~聖なる夜に口笛吹いて
14. 水のように
15. 大人のくせに
16. La Vita è Bella
(Encore)
17. エンタテイメント!
18. 純恋(すみれ)
19. ダウンタウンボーイ
20. アンジェリーナ

「Youngbloods」
佐野さんの「ハロー、エヴリワン、ヤングブラッズ2024、メリークリスマス!」のセリフと共に幕開け。
年末年始ソングだった「ヤングブラッズ」から、新年が信念となり、季節感は薄れたこのヴァージョンですが、やはりイメージ的にはこの時期に聴きたい。
冒頭から手拍子をしていた観客ですが、間奏ではひと際手拍子に力が入って盛り上がります。
とても引き締まった演奏が、クールな中に情熱を秘めていて、カッコいいのです。

おっ、なんだ、このイントロは。
佐野さんが歌い始めて大歓声。
「ガラスのジェネレーション」だ!
しばらくライヴでは採り上げられてませんでしたが、コヨーテ・バンドによる元春クラシックスの再定義曲として選ばれたようです。
タイトルも変わって「つまらない大人にはなりたくない」
サウンドとしては、「銀の月」のようなポップ・ロック。
テンポも速まって、コヨーテ・バンドならではのビートを刻む曲になりました。
このアレンジもとても良い!
アルバムが楽しみです。
間奏では深沼さんがギター・ソロ。
転調したところからは畳み掛けるようにヒートアップ!
タイトルの「つまらない大人にはなりたくない」を連呼する佐野さん。
68歳の佐野さんにそう言われると、背筋が伸びます。
その歳になっても、佐野さんはまだ理想の大人像を追いかけている。
佐野さんは全然つまらない大人なんかじゃない。
自分はどうだ?

「ジュジュ」
ポップなモータウン・ビートで気分が高揚します。
このNewヴァージョンでは、途中で「ヘイ!」と掛け声が入るアクセントが付けられました。
この曲、クリスマスっぽいなあ。

MC。
「ロッキン・クリスマス、もう何年もやっていますけど、12月24日当日にやるのは初めてです!素敵な夜にしましょう」

「バイ・ザ・シー」
それまでとムードが一変しました。
ラテン・ジャズのようなリズムに合わせ、佐野さんはカウベルを叩きます。
どこか怪しさも交えつつの、甘くもあり辛くもある大人な世界。
間奏のソロは藤田さんが弾きましたが、聴きどころは終盤のメドレー・ソロ。
深沼さんのギター、そして渡辺さんのキーボード。
いつもならここで終わるところでしたが、今回はそのあと再び藤田さんのギター、そしてなんと佐野さんのギター・ソロまで!
佐野さんがここまでガッツリとギター・ソロを弾くのは珍しいんじゃないかと思います。

「世界は慈悲を待っている」
涼し気なポップ・ビート。
佐野さんはタンバリンを叩いてビートにうねりを加えます。
コヨーテ・バンドお得意のポップ・ロックのアレンジ、心が清らかになってくる気がするんですよね。

「欲望」
再定義のNewヴァージョンです。
佐野さんはキーボードを弾きながら歌います。
ゆったりと流れるようなサウンドから、「♪ 君が欲しい」を合図に、ビートが強調されてダンス・トラックに。
そこからは、めくるめくトランス・ワールド。
ドリーミーなアレンジも付け加えて。
原曲はやや単調なイメージがありましたが、このNewヴァージョンは展開が移り変わり、聴き飽きることなく、あっという間に時が過ぎます。

「インディビジュアリスト」
原曲は、強力なスカのリズムが大好きでしたが、この再定義ヴァージョンは、妖しげでムーディー。
控えめなヴォーカル。
ノリがまったく変わっていて、クールというかダークというか。
こんな世界観もコヨーテ・バンドは描けるんだなと感心します。

MC。
「このクリスマスという大事な夜、みんなといれて嬉しいです」
「このロッキン・クリスマスは、今年で11回目だそうです。客席に何人かサンタもいますね」

「みんなの願いかなう日まで」
佐野さんがクリスマスを想い、作ったという曲。
佐野さんはアコギを鳴らし、藤田さんはこの曲に欠かせないウクレレを弾きます。
穏やかながらも、着実に前に進むようなリズムが心地良い。
今年もいろんなことがあったなあと思いを馳せます。
佐野さんが「♪ みんなここにいるよ」と歌うと大歓声。
「♪ メリーメリー」のラインでは、観客が手を大きく左右に振って。
クリスマス、年末、平和を実感させます。

ここで第1部終了。
19時42分。
20分間の休憩です。
これも、ドリンク&フードが充実しているこの会場、ロッキン・クリスマスならでは。
ちょっと一息入れます。

「雪 -あぁ世界は美しい」
佐野さんはキーボード前に座って。
しんしんと雪が降ってきているようなサウンド。
佐野さんのヴォーカルは、歳を重ねて、枯れた味わいがあって、この曲によりフィットしているように思えます。
枯れた良さはあるのだけれど、雪のイメージなので、あくまでウエットなんですよね。

「君が気高い孤独なら」
「♪ もしも君が...」から始まり、演奏が優しい立ち上がりでした。
どんどん性急なポップ・ビートになっていって、「♪ Sweet Soul, Blue Beat」のコーラスには力が入るのですが、あくまで神聖な空気をまとっているように感じます。
それもクリスマス・マジックですかね。

「冬の雑踏」
冒頭の佐野さんのハーモニカが切なく、郷愁を誘います。
忙しない雑踏の中にあの人を探している。
誰かを強く想うこと。想われること。
気付かないけれど、実はそんな場面は多いんじゃないかな。
クリスマスならば尚更。
人生において大切な人を想いながら聴きたい曲ですね。

MC。
「今年もクリスマス・ライヴで、もう終わりです」
「今年はZeppツアー、いいライヴでした」
「世界では心が痛くなるようなことが続いています」
「そんな世の中に、この曲を贈りたい」

「愛が分母」
強力なスカのリズムに乗せて、佐野さんからの愛のメッセージです。
嫌なことは忘れて、生きていると素晴らしいことがあるよ、世の中は愛に満ち溢れているよ、と。
「♪ あーいが、ぶんぼっ」と大合唱すれば、自然と心が軽くなります。
「♪ Say Yeah!」でフィニッシュすれば爽快感。
間奏は藤田さんのトリッキーなギター・ソロ。

MC。
「僕にとってのクリスマス・プレゼントは、こうして皆さんが集まってきてくれたことです」
「世界のどこかでは傷付いた子供たちがたくさんいます。そんな子供たちにもクリスマスの夜を」

「クリスマス・タイム・イン・ブルー ~聖なる夜に口笛吹いて」
ピースフルなレゲエのリズムで、佐野さんが優しく歌います。
どんな環境に置かれた人にも、クリスマスはやってくる。
クリスマスくらいは世の中の人すべてが、穏やかに、心をひとつに。
「♪ シャララララ」から大合唱です。
それから間奏では高桑さんのベース・ソロ、渡辺さんのピアノ・ソロ&キーボード・ソロ。
そして深沼さんと藤田さんのツイン・ギター。
「♪ トゥナイツゴナビーオーライッ」とコール&レスポンスで会場が一体となって熱くなります。
エンディングは「♪ サンタクロースイズカミーントゥー、ディスターウン!」と締め。

「水のように」
水飛沫が舞うように、キレのある演奏。
爽やかなポップ・ロックでありつつも、メンバーの合いの手コーラスが象徴的で、サビはぐいぐいと来るグルーヴ。
ピョンピョンと飛び跳ねてリズムに身を任せたい。
縦横無尽な小松さんのドラミングが気分を盛り上げる、素晴らしい演奏です。

「大人のくせに」
ワイルドさとコミカルさが同居したロック曲。
佐野さんはタンバリンを叩きながら、ややぶっきらぼうに歌います。
間奏では深沼さんがブルージーなギター・ソロ。
良い意味で繊細さはなく、大味なサウンドなのがいいですね。
バンドのパワーを感じます。

「La Vita è Bella」
割と控えめなサウンドの冒頭なのに、観客は喜びを隠しきれない感じで手拍子をして盛り上がります。
愛しいと思う気持ちに理由などない。
そんな普遍的な思いは、その未来には、希望しかない。
そんなポジティブな思いに包まれます。
爆発寸前をキープしたままの演奏が絶妙。
ラストでは、ベースの高桑さんもステージ前方に出てきて、4人で客席に圧をかけます(笑)。

これで本編終了。

アンコール。
深沼さん、高桑さん、小松さんは、赤を基調とした派手目のセーター。
藤田さん、渡辺さんは緑のトレーナーとベスト。
そして佐野さんは赤のシャツと、クリスマス・カラーの衣装。

「エンタテイメント!」
もはや佐野さんのライヴにこの曲は欠かせないですね。
爆裂するロックンロールです。
勢いが付くし、特にバンドが一体となれる曲だと思います。

「純恋(すみれ)」
イントロ、ピンクのライトに照らされて、バシッと両手を広げてポーズを取る佐野さんがカッコいいです。
若さとは、青春とは、ロマンチックなロックンロール。
何歳になっても青春していたい。ロックンロールしていたい。

「エンタテイメント!」と「純恋(すみれ)」はライヴ定番曲ですが、こうしてアンコールに組み込まれるのは珍しかったんではないでしょうか。

「ダウンタウンボーイ」
イントロの藤田さんのスライド・ギターが映えます。
サビの「♪ ダウンタウンボーイ」は大合唱。
ライヴハウスのように小さな会場で、バンドと観客が中心に向かって思いが集まっていくような感覚を得ました。
実は、この曲も再定義Newヴァージョンなんだそうです。
それほど大きく変わったような印象は受けませんでした。
「シャラララララ」というメロディが追加されてたのはわかったけれど。

「イヴの夜を皆さんと一緒に過ごせて光栄です」
そして、ステージ前方で整列し、バンド・メンバーを紹介して。
これでライヴが終わるかと思いきや。
客席からの「もっとちょーだい」という圧を感じたのか、佐野さんはメンバーを集めて円陣を組み、なにやら打ち合わせ。
佐野さんがギターを持った!

佐野さんが赤のストラトを鳴り響かせれば、もちろんこの曲。
「アンジェリーナ」
極上のビートに流暢な言葉を乗せ、聴く者の心を一瞬にして虜にする。
「♪ オー、アンジェリーナ!」と拳を上げながら大合唱。
そしてさらに、佐野さんの「Go Go Go!」の煽りに誘導されて、
「♪ 今夜も愛を探して」と力の限り大合唱です。
2番での佐野さんと小松さんのハモりも名場面のひとつになりましたね。
我を忘れて盛り上がれば、時が経つのはあっという間。
ベースの高桑さんがステージ前方に出てきていて、もう終わりか、と。
今夜も、コヨーテ・バンドの演奏は最高でした。

さらにもう1曲やるのか??
スタッフがギターを差し出したりしてる中、佐野さんが呆れたように制して、今宵はこれでライヴ終了。
「来年また会いましょう」
21時13分でした。

平和を願い、来年への希望に満ちた聖夜

通常のライヴと違って、ロッキン・クリスマスの特徴は、もちろん、クリスマス・ソング、冬をテーマにした曲をやってくれることです。
それから、平和を願うムードが漂うことですかね。

そしてそんなロッキン・クリスマスでも、今年、今までとちょっと違ったのは、元春クラシックスのコヨーテ・バンド再定義の曲が多く披露されたということですね。
ここに、少しばかり聴く方も、悪い意味ではなく緊張感があって、お手並み拝見的なところがありました。
もちろん、その期待に充分に応えてくれたコヨーテ・バンド。
佐野さんも元気いっぱいで、相変わらずクールで、お茶目で、カッコ良く、変わらない様を見せてくれました。

ただ騒ぐだけのクリスマス・パーティーではなくて、そこには大人の装いが。
バンドの演奏は、ポップで妖しげでドリーミーでドライブして。
コヨーテ・バンドがモダン・ロックと言われる所以を実感したところです。

佐野さんにとって初の12月24日公演だったというのもとても良くて、クリスマスには大して良い思い出がない僕でも、今年は素敵すぎるプレゼントをもらった気になったのでした。

僕の体調は、とりあえず持ちました。
会場内がうすら寒いのが難点でしたけど。
最初の3曲は立ち上がって観ましたが、このままだと体力が持たないと判断、以降は座って観てました。
座ってでも、前の人と人の隙間から、ちゃんと佐野さんの姿が観えたので良かったです。
そして、最後だけはと思い、「ダウンタウンボーイ」からちゃんと立ち上がって、力を振り絞ってノりました。

アンコールも、終了と思わせてからの1曲余計にやってくれたのは盛り上がりましたね。
このクリスマスの今を目一杯楽しみながらも、来年の佐野さんの45周年への道筋がしっかりと見えて、期待が膨らむスペシャルな夜でした。

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