佐野元春 Live@Zepp Haneda 2024.7.12 感想

2024初夏、Zepp Tourで逢いましょう

2024年7月12日(金)@Zepp Haneda

Zeppツアー!チケット争奪戦

昨年『今、何処』ツアーを大成功させ、来年には45周年を控えた佐野さん、今年の活動はどんな感じになるのか。
そう期待していたところ、2月に、今年の夏のZeppツアーが発表されました。
Zeppかあ。今の佐野さんの力からすると、キャパ的に結構チケット獲りづらい状況になるのでは?と危惧。
一番行きたいZepp Haneda、仕事の都合もあるので、2日連続参戦は厳しい。
でも、別の場所もう1日行きたいと思っても、KT Zepp Yokohamaとは2週間しか間隔がないので短い。数ヶ月離れてたら両日申し込むのだけれど。
今回のツアーは短いなあ。
となると、やっぱり羽田1日のみということになる。
獲りやすいのは土曜公演より金曜公演でしょう。
第一希望は、7月12日金曜日だ。
この日のチケットが獲れれば、それでいい。
でも、この1公演だけの申し込みで大丈夫だろうか。
抽選に外れてしまう可能性を考えて、なるべく複数日申し込んだ方がいいのかなあ。
羽田2日とも申し込むとか、保険で横浜も申し込むとか。
悩んだんですけど、羽田1日当たればいいというのが最良なので、一択で。
FC抽選は、羽田1日目に絞っての申し込みをすることにしました。
もし外れたら...一般抽選に賭けるしかないと腹をくくって。

申しこんでから3週間くらいドキドキ。
1つに絞っちゃって大丈夫だったのか。
なんとか、当たってくれ!
3月21日、抽選結果発表。
無事、当選。
良かったあぁぁぁ。
とりあえず希望通り、ツアーに参加できることが決まってホッとしました。

しかし、今回のツアー。
FCでも、抽選に落ちまくってチケット獲れなかったという会員の声が多数。
FCでもそんな調子だから、一般の抽選なんか尚更。
チケットが全然獲れないという声がネット上に溢れかえりました。
やっぱり、Zeppクラスのハコでは、今の佐野さんを求める人たちを受けきれるものではないのです。
そんな悲痛な声を耳にするたびに、我が身だったかもと震えながらも、ああ、チケット無事に獲れて良かったなあ、ラッキーだったなあとつくづく思ったのでした。

今回のツアーの見どころ

佐野さんが、過去の曲をコヨーテ・バンドで再構築してレコーディングしている、という話はかねがね聞いていました。
今度のツアーで披露されることになるのか。
はたしてそれはどの曲なのか。
そんなことも焦点となってましたが、ツアーより一足早く、ゴールデンウィーク中に横浜赤レンガ倉庫で行われたイベントに出演した佐野さんとコヨーテ・バンドが、「ヤングブラッズ」をNewヴァージョンで披露したというニュースが伝わってきました。
おお、その曲か!
「演奏し始めても、なんの曲かわからなかった」とか「歌詞が違ってた」との声が。
いったい、どんな風に生まれ変わっているのか。
その疑問と期待に応えるように、6月に入ると、「Youngbloods (2024)」が配信開始。
大好きで思い入れが強い曲ほど、セルフ・カヴァーされると、違和感があってガッカリすることも少なくないものですが、今回の場合、オリジナルの良さを尊重しつつ、現代の価値観を加えて世界観が深まっていくという好結果をもたらしていたのです。
これは、さらにツアーへの期待が高まるというものです。

そして福岡公演を皮切りにツアーが始まって。
何曲か披露されている、コヨーテ・バンドにより再定義された元春クラシックスも大好評。
そしてコヨーテ定番曲、『今、何処』楽曲、アンコール。
セットリストに階層とストーリーがあって。
プレイリストを作成して聴いてみると、かなりいい感じ。
俄然、ライヴが楽しみになってきました。

ライヴ当日。会場へ

ライヴ当日は残念ながら雨模様。
傘とか濡れるとか、とてもめんどくさいと思ったけど、カンカン照りの猛暑よりは良かった気もします。

普段はパンフレットは買わない主義だけど、今回のパンフレット、佐野さんがコヨーテ楽曲について解説してるという。それならセルフ・ライナーノーツじゃないか。
そういう事なら、買わずにはいられません。
公式サイト見ても、グッズ販売が何時からなのかわからなかったので、とりあえず、開場時間の1時間前に行けば、売ってるんじゃね?と。
会場には17時に到着。
この時間だと、会場付近には人はほとんどいなくて。
グッズ売り場も誰も並んでない。
え?もう買ってもいいの?みたいな感じで、あっという間にパンフレット購入完了。
大きいタブロイド紙、みたいな話を聞いてたので、濡れるのが心配だったけど、ちゃんとビニールの袋に入ってた。これなら大丈夫。

開場時間まで、まだ1時間ほどあるわけで、この雨の中、どこで時間を潰そうかと、ウロウロしたら、ちょうど入口にトイレがあるビルの通路が誰もいなかったので、ここで待機することに。雨もしのげる。
そして、どこからかBGMで佐野さんの曲が流れてくるのが聴こえます。
早めに来過ぎたかと思ったけど、早かったからこそ、周りに誰もいなくて、いいスペースを確保できた。
結果オーライだね。

割とあっという間に時間が過ぎ、開場時間の18時になったので、会場へ。
オールスタンディングのライヴハウスだと、整理番号順の入場になるので、雨の中、待たされることになるけれど、今回はライヴハウスでも指定席だから、到着順に入場できます。
ほとんど待つことなく、サクサクと入場。
ドリンクを交換し、トイレを済ませ、自分の席へ。

僕の席は、1階I列1番。
半分より前の列だし、なんと言っても一番端っこ、通路側の席なのがいい。
実は今回、数日前から持病の症状が出て、体調があまり良くない。
だから、端っこの席で、周りをあまり気にすることなく、何か具合が悪くなったら、すぐ扉に向かえるという安心感は大きい。
偶然なんだけど、これはとてもラッキーなことでした。

開演前のBGMで、ザ・クラッシュの「The Magnificent Seven」やエルヴィス・コステロの「I Can’t Stand Up For Falling Down」が流れてゴキゲン。
そしたら、佐野さんの「東京に雨が降っている」が流れて。今日のこの天気に合わせて選曲したのか?と思える、粋な感じ。

そして19時1分、客電が落ちて、コヨーテ・バンドのメンバーが登場です。

ライヴのスタート

01. 君をさがしている
02. Youngbloods
03. ジュジュ
04. 誰かが君のドアを叩いている
05. 欲望
06. インディビジュアリスト
07. ポーラスタア
08. 世界は慈悲を待っている
09. 愛が分母
10. 銀の月
11. クロエ
12. 純恋(すみれ)
13. エンタテイメント!
14. La Vita è Bella
15. 東京スカイライン
16. エデンの海
17. 水のように
18. 大人のくせに
19. 明日の誓い
20. 禅ビート
(Encore)
21. ダウンタウンボーイ
22. ヴァニティ・ファクトリー
23. アンジェリーナ

グレーのシャツにジャズマスターのギターを抱えた佐野さん、サングラスをかけてます。
「君をさがしている」
ブルージーなギターのイントロ。ゆったりとオーバーなリズムでロックします。
これが2024年コヨーテ再定義のアレンジかと思った方もいらっしゃるでしょうが、コレ、35周年ライヴでコヨーテ・ヴァージョンとして演奏したのとほぼ同じアレンジです。
ライヴの予習で先日、35周年ライヴのDVDを観た時に、この曲こういうアレンジでやってたかあと確認したばかり。
今回のツアーでもこの曲を採り上げるという情報を得ていたので、さらに新しいアレンジにしてくるのか興味深かったのですが、結果的には以前と同じ感じでした。
まあ、元々の『Heart Beat』収録のモッズ的サウンドとはかけ離れた、グツグツとゆっくり煮込むようなアレンジなので、これはこれでやはり新鮮なのです。
深沼さんがドライヴするギター・ソロを弾いてる時、佐野さんと藤田さんが向かい合ってリズムを刻んでました。

そして、今回のツアーの序曲ともなった「Youngbloods」が登場です。
イントロのピアノのフレーズを聴いてると、これはホントにスタイル・カウンシルのライヴにでも来たかのような感覚。ここまで似せてくるとリスペクトしかないし、ニヤニヤがとまりません。
藤田さんのギターにはワウがかけられてて、とてもいいアクセントとグルーヴになってます。
原曲はホーン・セクションが印象的なサウンドを作り上げてましたが、ホーン担当メンバーがいないコヨーテ・バンドで、ホーンに頼らないアレンジにしてきたんだなあというのを実感します。
とてもスリリングだし、力入るし、勇気も湧いてくる。そんなサウンド。
サングラスを外した佐野さんのヴォーカルも渋い感じでシャウトを決めます。
うーん、やっぱりカッコいい。

「ジュジュ」
これは過去最高とも思えるスピードで、強烈なモータウン・ビート。
まるでクリスマスのような華やかさをまとっています。
キレがあって潔い!

MC。
「コヨーテ・バンド、パワーアップして、新しい曲も古い曲もやります」

「誰かが君のドアを叩いている」
イントロで胸が高鳴る感じはそのままに。
元々テンポのいいポップ・ロックでしたが、ついつい前のめりになるビート・ロックに。
「♪ 光のなかに 闇のなかに」と引き込まれます。
ただ、Cメロの「♪ 太陽溶けた 空に高く」のフレーズのところの演奏、コード感が合ってないような不協和音を感じました。
これはわざとでしょうか?それとも誰かのミスだったのでしょうか。
そこだけ気になりました。

「欲望」
佐野さんは座って鍵盤に向かいます。
ギターが深い海の中を泳ぐようなアレンジです。
佐野さんも力んで歌う感じじゃなく、サラッと歌います。
雄大なアレンジのバラードかなと思ってたら、途中からディスコ・ビートに!
天井の照明はミラーボールのようにグルグルと周り、一気にクラブ感満載!

「インディビジュアリスト」
この曲も今まで何度かアレンジし直されてきましたが、今回は強烈なスカの感じはなくて、藤田さんのギターがポリスの「Walking On The Moon」のような妖しいコードを鳴らして。
そしてサビでは、ビートとグルーヴが絶妙な塩梅。
「♪ 風向きを変えろ」が胸に刺さります。
ハートランドともホーボーキング・バンドとも違う、コヨーテのインディビジュアリストができましたね。

「ポーラスタア」
イントロの高桑さんのベースがいつもにも増してゴリゴリ。そしてメンバーの演奏が少しずつ加わり、ジワジワと深まっていく、期待感溢れる導入部です。
観客もわかってるもんで、
「♪ ホラ見上げてごらん」の所では天高く人差し指を突き上げ、
「♪ 二人の行方見守るように」の所では二人を表すVサイン、
「♪ 瞬きを繰り返している」の所では手のひらをパクパクさせて瞬きの形。
深沼さんのギター・ソロは丁寧にフレーズを響かせる感じ、藤田さんのギター・ソロはとにかく激しくかき鳴らして。
コヨーテ定番曲と言えるこの曲ですが、新しいヴァージョンかのようなビート感を感じましたね。

「世界は慈悲を待っている」
清々しいポップ・ビート。
佐野さんはアコギをかき鳴らしていました。
「♪ GRACE!」に力が入るし、「Come On!Come On!」と佐野さんが合図すると、ビシッと背筋が伸びます。

MC。
「Zepp Haneda、初めての場所です」
「コヨーテ・バンドは冬にツアーしてるイメージだけど、夏もいいですね」

「愛が分母」
サウンドの要となる、スカのリズムのコード・カッティングは深沼さん。
「♪ あーいが、ぶんぼっ」
「♪ Say Yeah!」と一緒に歌って踊れば、気分は楽しく最高潮。ホント、ライヴ向きの曲です。
間奏で渡辺さんのキーボード・ソロ。ちょっとほのぼのします。
エンディングは藤田さんがギター・ソロを熱くかまして。
コヨーテ・バンドのライヴでは欠かせない曲ですね。

「銀の月」
近未来、宇宙感たっぷりのポップ・ロック。
清らかなコード感に、重低音のビートが下支え。
「♪ そのシナリオは悲観的すぎるよ」
エンディングでは深沼さんが、宇宙空間に響けとばかりのギター・ソロ。
佐野さんはギターをアンプに近づけてフィード・バックさせてたようです。

「クロエ」
グッと甘く大人なムードに。
「♪ 彼女が恋をしてる瞬間...」と、佐野さんがいつもよりもさらにつぶやくように歌ってムードを高めます。
素敵な大人の女性が目に浮かぶ名曲。今の佐野さんだからこそ、醸し出せる味わいにウットリです。

MC。
「みんな、いい感じ?」
「ベース、高桑圭!」と言って、高桑さんがCurly Giraffeとして新曲を出したことを紹介。
「みんな、ダウンロードして聴いてみてください」

「よし、みんな、ロックしよう!」と言って、
「純恋(すみれ)」
いつもなら、イントロでピンクの照明を浴びながらバシッと手を広げる佐野さんですが、今回は手を広げず。控えめに、演奏を噛みしめるような佐野さんです。
「♪ 恋に落ちればもう 誰もが愚かになるよ」
「♪ 君がいなければ この心は闇に彷徨うだけ」
と、若い人へ向けた恋愛賛歌で、どうしてこの曲に「ロックしよう」と言ったのかなと疑問に思ってたのですが、たしかに今回は、この曲はただロマンチックなだけではない何かを感じました。
そこに、佐野さんの意図する「ロック」があるんだと実感しました。

MC。
「コヨーテ・バンドも来年で20年になります。アルバムも6枚出しました。これからもぶち上げていきます!」

「エンタテイメント!」
イントロのギターのかき鳴らしに、いつも胸が高まります。
「♪ イヤなこと忘れる 夢のような世界」
それこそが、佐野さんの目指すエンタテイメント。
僕の体調も良くなかったのですが、佐野さんにそう言われると、そうだな、体調悪いのなんか吹き飛べばいいな!と少し前向きになりました。
これがエンタテイメントの力?

「La Vita è Bella」
これまた美しいメロディとポップで優しいサウンド。
「♪ 朝は誰にでも訪れる」
再び、前向きな気持ちにさせてくれます。
癒されるなあ...と思って聴いてたのですが、終盤、気付くと、ベースの高桑さんもステージ前方に出てきて、深沼さん、藤田さんと三人並んでジャンプ、ジャンプ!
それに合わせてお客さんは手拍子!

「東京スカイライン」
ここで空気がガラッと一転します。
佐野さんもアコギを鳴らして、渋く、深く、落ち着いたムード。
「♪ 夏が過ぎてゆく」というフレーズが耳に飛び込んできました。
バラードとも言えるこの曲ですが、サウンドは意外と騒がしい。複雑な音が交じり合う。
終盤は、特に高桑さんのベースの音が、ズンズンと心臓に響いてきて、ものすごい迫力。どうにかなりそうで怖いくらい。焦りました。

「エデンの海」
これまたベースのイントロから。
そして「♪ White Light!」とコヨーテたちの歌声。
「♪ 私たちの幸運は きっと永遠には続かない」と歌い、
だから「♪ 今すぐ!」というメッセージ。
そうだな、今すぐ行動に移すことは大切だな。
深沼さんがギター・ソロを弾いてる時、またもや佐野さんと藤田さんが寄り添って向かい合う姿。なんだか微笑ましい。
そして終盤の佐野さんの「♪ Yeah Yeah」という高音シャウトには震えました。すごい!

「水のように」
ここまで、佐野さんのギターはジャズマスター、エピフォン、アコギと使ってきましたが、ここで黒のレスポールが登場。
「♪ いつだって誰もが誰かに」と拙い感じで歌うのがたまりません。
「♪ 眠れ!水になって」のサビのメッセージが耳にこびり付きます。
そして「♪ その日まで元気で」と客席を指差しながら歌う佐野さん。
エンディングでは、佐野さんがピート・タウンゼントばりに腕をグルグル回しながらギターを弾く仕草。痺れるゥ!

「大人のくせに」
皮肉と愛嬌たっぷりに、荒々しいサウンドでロックします。
深沼さんがギター・ソロを弾いてる時に、再び高桑さんがステージ前方に出てきて、藤田さんとジャンプ、ジャンプ!

「明日の誓い」
当初、『今、何処』を聴いた時は、実質ラスト・ナンバーのこの曲は、ちょっとパンチが弱いような気がしてました。他の曲が強力すぎるのか、最後がこの曲ってどうなのよ、印象薄くない?って。
でも、『今、何処』で広がる圧倒的で様々な世界観を、最後に柔らかく受け止め、
「♪ 少し無茶かもしれない でも決めたこと 心は変わらない」
「♪ 明日がなければ意味がない 怖がるばかりじゃきりがない」
と前向きに、よりよい明日へと導いてくれる曲。
そんな風に気付いてからは、素晴らしい曲だなと思うようになりました。
いい歌詞だなあと噛みしめているところへ「♪ ラララララ」の合唱が一層心に沁みます。
明日からもがんばるぞと、力がみなぎる曲です。
ライヴで聴けば、その感動は尚更ですね。

客席に向かって「もっと来いよ」とばかりに煽る佐野さん。
聴こえてきたサイケなギターのイントロ。
「禅ビート」です。
佐野さんのギターは黒のレスポール。
「♪ ヒトとヒトが殺し合う世界なんて」
前の曲で前向きになってたのに、いきなり現実を突きつけられた感じでした(笑)。
本編最後の曲とあってか、メンバーの演奏も熱がこもります。
特に小松さんの爆裂ドラミング。
そして藤田さんのクレイジーなギター!
演奏しながら、佐野さんがバンドのメンバーを紹介します。
最後の深沼さんのギター・ソロの時には、佐野さんが深沼さんの傍で煽って、「もっと燃えろ!」と。そして、「どうだ、うちのギタリストすごいだろ!」と客席にアピール。
ワイルドな演奏に燃え尽きた感じで本編終了です。

アンコール。
佐野さんは今日初めて、お馴染みの赤のストラト・ギターを抱えてきました。
そして「ダウンタウンボーイ」、「ダウンタウンボーイ」と2回言って。
「ダウンタウンボーイ」
イントロでは藤田さんのスライド・ギターが響き渡ります。
最近、改めてこの曲がいい曲だなあと思ってたところなので、久々にライヴで聴けて感動です。
甘酸っぱい青春の歌だ。
「♪ Boyfriend Girlfriend 大切なMy Friend あの輝きはかえらない いつまでもお前にキスしていたいのに」のフレーズは思いっきり力も入るし、胸がいっぱいになるんです。

演奏が終わると、ステージ前方、左端から右端まで歩き回って、どうだと言わんばかりに客席にアピールする佐野さん。
佐野さんが近付いてきてくれた時はドキドキしました。
そして今度は、バンド・メンバー一人ずつに、何やら耳打ちをして回る佐野さん。
この後の曲の指図か?

渡辺さんが愁いあるジャジーなピアノイントロを奏でます。
この曲は!
やったあ!
「ヴァニティ・ファクトリー」だ!
藤田さんがキレのあるギター・カッティングを響かせ、
会場中が「ヴァニティ!ヴァニティ!」と拳を上げて大合唱です。
佐野さんも、若い頃に劣らぬ熱いヴォーカルを聴かせます。
サビの「♪ Ah~、ヴァニティ・ファクトリー」の、なんともやるせないメロディ、そしてその後の気合い入りまくるリズムの嵐。
深沼さん、藤田さんと順番にギター・ソロを弾き、最後は二人見合って弾きまくり。
この会場中の一体感。
これぞロックだ。
これぞライヴだ。
こんなに、こんなに盛り上がるとは。
大好きな曲だったけど、ますます好きになりました。みんなも大好きだったんだね。
こんなに盛り上がるなら、毎回ライヴでやるべきだ、と強く思いました。

MC。
「東京、熱いよ」
「みんな大丈夫?」
「もう1曲いこう!」

「アンジェリーナ」
ライヴの最後の曲としては、僕は「約束の橋」よりも「アンジェリーナ」派なので、とにかく嬉しい。
この疾走感。デビューからまるで変わってません。
「♪ ブルル...エンジンうならせて」は、いつもよりも舌が回りまくったブルルでした。
「♪ ニューヨークから流れてきた 淋し気なエンジェル」と歌うと、サビに入る直前、会場中から大歓声が上がってヒートアップ。
そしてサビの「♪ 今夜も愛をさがして」のリフレインは、観客全員が拳を突き上げて大合唱の大盛り上がり。
2番の「くるま」の韻踏みは、いつもながら見事で気持ちいい。
3番の「♪ 車のエンジンを止めて」からの件は、ドラムの小松さんがハモり。
「♪ フッと迷ってしまいそうな時でも二人でいれば大丈夫だぜ」のところでは、二人を表すVサインを掲げて爽快感。
サビ前には佐野さんも「ゴー!ゴー!ゴー!」と煽って、益々の盛り上がり。
ラストは、佐野さん、深沼さん、藤田さん、高桑さんの4人がステージ前方で勢ぞろい。
いつもよりもあっという間に感じて終了。

最後に佐野さんからの挨拶。
「来年45周年を迎えます。今回のツアーも早くにソールドアウトして嬉しいです。来年は、コヨーテ・バンド最大規模のホール・ツアーを計画してます」
「友達を1人、2人誘って観に来てください。そうすれば、2倍、3倍のお客さんに...」
爆笑しながらも、客席のみんなは、きっと既に来年の大きな楽しみに思いを馳せていたと思います。

最後にもう一度、メンバー紹介をして、ライヴは終了。
20時53分でした。

コヨーテ・バンドは新たなるステージへ

いやあ、すごかったですねえ。
また過去最高を更新したのではないかと思える、素晴らしいライヴでした。
元春クラシックスのコヨーテ再定義曲、コヨーテ定番曲、『今、何処』楽曲、アンコールと、だいたいブロック分けされていて、この流れも良かったです。
なんだかコヨーテ・バンドの幕の内弁当みたいな?

元春クラシックスのコヨーテ再定義曲は、いったいどんなアレンジに生まれ変わってるのだろうかと、期待と不安が入り混じってましたが、結果的には、どの曲も、元々持っていた雰囲気を大きく崩すようなことはなくて。
「Youngbloods」のように、他の曲も歌詞の一部を変えてたのかどうかまではわかりませんでしたが。
どの曲も、より深みを増したヴァージョンアップでしたね。
元のアレンジも好きだし、新しいアレンジも好き。どちらがいいかなんて選べない。理想的な再定義だったと思います。

で、その序盤の元春クラシックスのコヨーテ再定義曲のアレンジに引っ張られたのか、その後の他の曲もすべて、いい意味で前のめりのビートになっていて、定番曲でも新たな息吹を感じるような新鮮さがありました。
それも含めて、コヨーテ・バンドがまた新たなステージへと昇格した印象を受けたライヴでした。

本編のセットリスト、その流れにもなんの不満もなし。
そして、アンコールは、会場によって日替わりメニューなのですが、今日のアンコール3曲は、とにかく盛り上がったロックンロール。
僕が、やってほしいなと思ってた3曲の組み合わせでした。
聴きたいと思ってた曲をやってもらえなくて、これだったら羽田2日目の方が良かったなとか、横浜公演のチケットも獲れば良かったなとか、後悔することを危惧してたのですが、この3曲なら、なんの文句もありません。
僕にとっては完璧でした。

ただ、個人的には、やはり体調が良くなかったのが、ちょっと残念でした。
ライヴ中、30分おきくらいに気分悪くなる波がやってきて、その度に少し椅子に座ったり、声出して盛り上がる曲で思いっきり声が出せなかったり。
辛いなあと思う時間帯がちょくちょくあっただけに、完全に盛り上がれたわけではなかったので、そういう意味では心残り。
ただ、少しくらい体調が悪くても、ライヴをキャンセルするという選択肢は考えてなかったし、辛い時間帯があったとしても、観に行って良かったなあと心から思えるライヴでした。

この後の佐野さんはどうなんですかねえ。
来年、45周年記念のホール・ツアーをやるとしても、その前に今年の秋、冬にライヴはやるんですかねえ。
単発のブルーノートとか?
『VISITORS』40周年の『名盤ライブ』とか?
恒例になったロッキン・クリスマスはやるでしょ?

今回のライヴを観て、コヨーテ・バンドは益々たくましくなったと思いますし、これからの展開に大きな期待が持てます。
楽しみしかありません。
そして僕も、前のめりのビートで、これから先、生きていこうと思います。

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