ムーンライダーズ Live@日本青年館ホール 2025.9.24 感想

moonriders ANIMAL INDEX and more 2025

2025年9月24日(水)@日本青年館ホール

40周年記念再現ライヴ開催!

『マニア・マニエラ』と『青空百景』の40周年記念再現ライヴをやるのは理解できたのですが、昨年、『AMATEUR ACADEMY』の再現ライヴをやったのは驚きでした。
そうなったら、次は『ANIMAL INDEX』の番ですよね、ということで期待大!

ムーンライダーズのアルバムの中で、1番好きなのが『ANIMAL INDEX』なんです。
僕がライダーズに再び興味が湧いた、ちょうど良いタイミングで40周年記念と重なり、めでたく再現ライヴの開催にぶち当たることが出来ました。
HP先行抽選にすぐさま申し込み、5月上旬には早々にチケットを手に入れてスタンバイ。

再現ライヴなので、予習は、とにかく『ANIMAL INDEX』を聴き倒すこと。
もともと大好きなアルバムですから、何度聴いても飽きません。
近年のライヴではほとんど採り上げることのなさそうな曲が多いので、いよいよ、これらの大好きな曲を生で聴くことが出来るのか、とワクワクします。

ライヴ当日。会場へ

ライヴ当日は、雨の心配はまったくなく。
曇り空で、割と涼しく、気候的にはちょうど良い感じ。

今回の会場は、初めて訪れる場所。
日本青年館というのは、昔から名前だけは知ってましたが、今まで訪れる機会がありませんでした。
なので、いったいどの辺にあるのかさえ知らなかったのですが。
調べてみたら、神宮球場の目の前ということで。
交通の便も悪くない。

新宿で買い物をしてから、渋谷経由で外苑前駅へ。
神宮球場に来たのは、大学時代以来でしょうから、35年振りくらいになります。
駅からはまっすぐ徒歩5分ということで、とてもわかりやすかったです。

今回は、グッズのTシャツを買おうと思っていたので、早く来ました。
16時からグッズ先行販売とのことでしたが、新宿での買い物が長引き、結局、到着したのは16時過ぎてました。
でも、売り切れてるってことはないだろう、と。

ちょっと並んだりしましたが、20分くらいで目当てのTシャツをGETできました。
クレジットカードは使えず、現金のみということでしたが、今どきTシャツ3500円というのは安いなあ。

それから、開場時間の18時まで、1時間半くらいあったので、なかなかヒマだったのですが、運良く会場前の歩道沿いにある椅子を確保できて、目の前の神宮球場を眺めながら、のんびりしてました。

開場から開演まで30分しかないので、ちょっと忙しいです。
入場列に並んで待たされ、ようやく入場できたと思ったら、トイレでゆっくりできる時間はありません。

今回も、僕はA席を選びました。
席はステージから遠くてもいいと思ってるので、安い席を選択です。
僕の席は、2階2H列43番。
列の真ん中の方なので、通路に出たい時に、簡単には出られない感じなので、そういう意味で僕にとっては良い席とは言えませんでした。
人に囲まれて出られないというのは緊張します。

ライヴのスタート

開演時間の18時30分を5分過ぎ、客電がゆっくり落ちました。
緞帳が上がっていき、演奏するメンバーたちが姿を現した...と思ったら。
それぞれのメンバーの前を白い紗幕が覆っていて、メンバーはシルエットしか見えません。
紗幕はスクリーンになっていて、動物や風景などの映像が映し出されていきます。

01. 悲しいしらせ
02. 犬にインタビュー
03. ウルフはウルフ
04. 羊のトライアングル
05. さなぎ
06. Acid Moonlight
07. HEAVY FLIGHT
08. 夢が見れる機械が欲しい
09. Frou Frou
10. 駅は今、朝の中
11. 僕は走って灰になる
12. 歩いて、車で、スプートニクで
13. エレファント
14. 馬の背に乗れ
15. ケンタウルスの海
16. 幸せな野獣
(Encore)
17. ヤッホーヤッホーナンマイダ
18. Who’s Gonna Die First?
19. When This Grateful War Is Ended

アコギの音から始まった「悲しいしらせ」
冒頭、慶一さんのヴォーカルが聴こえたり聴こえなかったり。
ピッチを外してるようにも聴こえて、なんか変だ。大丈夫か。
そういうトラブルもあって、全員の息がまだ合ってないような演奏に少しハラハラ。
終盤の「♪ 生きてるのか 死んでるのか」のリフレイン辺りで、ようやく調子が出て来た感じ。

1曲目が終わって、いよいよ紗幕が上がってメンバーが姿を現す!と期待したけれど、紗幕がメンバーを覆ったままライヴは続いていきます。

「犬にインタビュー」
これはイントロがかなり長かったですね(笑)。
明るい良明さんのヴォーカル。
犬の気持ちを代弁した、朗らかな曲なのですが、サビの「♪ You will seach me」のところで、ちょっとクールなサウンドになるんですよね。
ピリリと引き締まります。

「ウルフはウルフ」
このアルバム、原曲はほとんど慶一さんがリード・ヴォーカルを取ってましたが、いつの頃からか知らないけれど、ライヴでは、曲を作った人がリード・ヴォーカルを取るようになったんですよね。
なので、大好きなこの曲も、今回のライヴでは博文さんがヴォーカル。
慶一さんはちょっと色気のある狼といった感じでしたが、博文さんは、不器用ながらも一音一音丁寧に歌う、真面目な狼といった感じです。

「羊のトライアングル」
「♪ ラ、ララ、ラララ」とキャッチーなコーラスもあり、ほんわかと温かいサウンド。
岡田徹さんが作ったこの曲、慶一さんがリード・ヴォーカルだと思ってたけど、佐藤優介さんだったとの説あり。
演奏してる姿が観えないから、誰が歌ってるのかもわからないもどかしさ。

「さなぎ」
バイオリン、ギターのアルペジオ、それからマンドリン?の音色が絡まって聴こえます。
ヴォーカルは慶一さん?
でも、それにしては声が若いように思えました。
かしぶち哲郎さんが作った、じっとりと肌にまとわりつくような、スローな大人のバラード。

「Acid Moonlight」
ドラムの夏秋さんの紗幕の上の方に月が映し出されてました。
このインストは、武川さんのバイオリンの独壇場かと思いきや、意外とアコギの音も聴こえてきて。
聴きようによっては、四畳半フォークの世界にも思えなくもない。

「HEAVY FLIGHT」
寂しい世界が続きますが、良明さんがヴォーカルだと、少しホッとするような。
2番でちょっとトチってましたが(笑)。
全編に渡ってのスライド・ギター、特に終盤のプレイが印象的だったのですが、誰が弾いてたのでしょう。
良明さん?
でも、歌いながらだと難しそう。
澤部さんでしょうか。

冒頭、全員で「あ、あ、あ、あ」と連呼して。
「夢が見れる機械が欲しい」
最初は武川さんがヴォーカル。
ピッチがかなり悪かった(笑)。
でも、武川さんはワンフレーズだけで、その後のリード・ヴォーカルは誰だったんでしょう。
さらに、ファルセットで歌ってたのは誰?
もう、姿が見えないってのは、知りたいことが知れずにストレスたまります。
でも、佐藤さんのピアノのフレーズが美しかった。
それに、武川さんのトランペットも印象的。
「21世紀の事わからない」とか「夢が見れる機械が欲しい」とか歌ってますが、現在でもまったく変わらない思いですよね。

「Frou Frou」
しんみりとした世界観が続いてましたが、ようやくアップ・テンポの曲に。
ポップな感触もありつつ、どこかシニカルなビートです。
これはそのまま慶一さんのヴォーカルでしたね。
でも、2番でヴォーカル代わったように思えましたが、これも誰だったんでしょう。
前曲に引き続いての武川さんのトランペットが華やかでした。

「駅は今、朝の中」
穏やかなのか騒がしいのか、よくわからない魅力を持った曲で。
どこかでバグパイプのような音が聴こえてくるみたい。
これも博文さん自身がヴォーカルでしたね。

「僕は走って灰になる」
どこか遠いところへ連れていかれるような。
寂しさと不安でいっぱいの前半。
そして後半は、全員が豚になった気分で、全員でヴォーカルが圧巻。

「歩いて、車で、スプートニクで」
大好きな曲だけど、普通のライヴではやらないだろうなと思ってたこの曲。
こういう再現ライヴだからこそ聴けました。とても嬉しいです。
イントロのサウンドが大好きなんですが、ビーチ・ボーイズの『Smile』に影響を受けたんだなと気付きました。
冒頭の慶一さんのヴォーカルは、ラップ的と言えなくもない。
畳み掛けるサビは、クールでキュッと締まったメロディ。
原始の時代から、現代、そして近未来へと続いていく絵巻を見せられているようでした。
『ANIMAL INDEX』の世界、この曲でバシッと締めて、大団円。

そして、『ANIMAL INDEX』楽曲が終わったところで、ようやくメンバーを隠していた紗幕が上がり、バンドの姿が露になりました。
ステージ前列、左から博文さん、良明さん、武川さん、慶一さん。
ステージ後列、左から夏秋さん、澤部さん、佐藤さん。
なんとなくはわかってましたけど、こうでしたか。
昨年のように、アルバム再現終了後は、いったんステージを降りて、第2部とかアンコールの形になるのかなと思ったら、そのまま演奏が続きました。

「エレファント」
おお、今度は象ですか。
ANIMALの世界はまだ続く。
「ズズ、タタ!」と、楽しい雰囲気。
慶一さんはじめ、みなさんのヴォーカルが弾けてます。
終盤、テンポがどんどん速くなっていって、それに伴いお客さんの手拍子も大きくなっていって。

「馬の背に乗れ」
これは僕には馴染みの薄い曲でした。
後で調べたら、『MOON OVER the ROSEBUD』収録曲。
発売日に買ったものの、まだ1、2回しか聴いてなかったアルバムです。
決して、決して嫌いなアルバムではないですよ。
むしろ好印象。
でも、長らく聴く機会を失ってたのです。
この曲は、良明さんヴォーカルで、ギターのリフが先導して、ノッてけノッてけみたいな感じのサーフライダー。
いかにも良明さんの曲という感じでユニークでしたね。
良明さん、腕をグルグル回してギターを弾きます。
負けじと(?)、慶一さんがステージ前方へ出てきてギターを弾いてました。

慶一さんのMC。
「ANIMAL INDEX、楽しんでいただけたでしょうか」
「40年前はテントの中で、非常にストレスだった」
「またテントの中でやると、白井さんが気持ち悪くなっちゃうと言うので、こういう形で試してみた」
「来年は50周年!」
「ここでメンバー紹介してみましょう。知ってるとは思うが」
「バイオリン、武川雅寛」
武「ふざけたこと言うと怒られちゃうからね、言わないよ。やっと涼しくなってきましたね」
「ギター、白井良明」
良「普段やらない曲を、若い2人が選んでくれました。ヤング・ジェネレーションだね。ヤングとオールドに分かれて、V6みたいだ」
「ベース、鈴木博文」
博「ベース買ったんです」
「湾岸の二葉亭四迷」
「ドラム、夏秋文尚」
夏「銀座でくるみ割り人形とか、おもちゃのピアノで弾くライヴやります」
「ギター、澤部渡」
澤「Zeppでスカートのワンマンやります。スーツは今日のために買ってきました」
「キーボード、佐藤優介」
佐「9月28日、想像力の血、神戸でライヴやります」
「彼は音楽をやってなかったら連続殺人鬼になってただろう」
武「そして、鈴木慶一!」

「ケンタウルスの海」
これまた僕には馴染みの薄い曲。
後で調べたら、『Tokyo7』収録曲。
ここからCD買わなくなっちゃったんだよね。
なので、これが初聴きだったと思います。
武川さんがヴォーカルでした。
途中からテンポ・アップしていったのが印象に残ってます。

MC。
「次で最後の曲」
「残念に思うなら、それなりの反応を」

「幸せな野獣」
ああ、これは僕にとっては随分懐かしい気がします。
「♪ Hey! Hey! 握った...」という冒頭から力入ります。
博文さんがヴォーカルでした。
ノリがいいんだけど、どことなくシビアな感じがして、全然「幸せ感」はない(笑)。
ラスト、突然演奏が終わるのが原曲通りで鳥肌モノでした。

というわけで、動物、獣縛りの本編がここで終了。

アンコールの声に応えて、まずは良明さんが1人で登場。
テーブルの上に置いてある水を指差す良明さん。
拍手をもらいながら飲みます。
次に、ギターを指差す良明さん。
そのギターを手に取ろうとして、やめます。
違うギターを指差します。
やっぱり手に取るのをやめます。
そして、3本目のギターを手に取ります。
こんな、謎のパフォーマンス(笑)の後、ギター・インストを弾き始めます。

良明さんのソロ弾きの間に、他のメンバーが現れて「ヤッホーヤッホーナンマイダ」になだれ込みます。
実は、この曲も僕には馴染みが薄い。
後で調べたら、発売日に買ったのに、まだ聴いてなかった『P.W Babies Paperback』収録曲。
でも、ヤッホーヤッホーと歌ってたので、ああ、きっとこれは「ヤッホーヤッホーナンマイダ」という曲だなとわかりました。曲名にインパクトありますからね。
「俺たちゃ」とか「人間だ」とか聴こえてきて、基本は良明さんが歌ってたんだけど、慶一さんもヴォーカル取ってたかな。
そして、不意に入ってきた「どうして戦争消えない」のワード。
ああ、そういうことか、と。
あちこちで戦争が起きている、この不穏な世界に向けてのメッセージ・ソングか。
「♪ ナンマイダ、イチマイダ、センソーヤメロ!」
ドカーンと怒りの声が上がったところで、博文さんの横からスモークが焚かれて、ステージの左側は観えなくなっていました。

「Who’s Gonna Die First?」
これまた『最後の晩餐』から。
当時、「誰が最初に死ぬか?」というテーマは、とてもシニカルなユーモアだと思ってましたが、今ではメンバー2人が亡くなってしまい、そして今後のことを考えると、笑って聴ける感じではなくなってしまいました。
それでも、あえて今こういう曲を歌うというのがライダーズらしいなと。
とても迫力ある演奏で、混沌としつつも徐々に一塊になっていくようで盛り上がりました。
良明さんのギター・ソロが力強かった。
慶一さんもステージ前方へ出て来てギターを弾きました。

「When This Grateful War Is Ended」
これまた僕には馴染みの薄い曲でした。
後で調べたら、これも『MOON OVER the ROSEBUD』収録曲。
ドントウォーリーと歌ってるな、と思ってたら、実は「The war is」だそうで。
ステージ上は照明で真っ赤っ赤。
ラスト、轟音のように鳴り響いて、永遠に終わらないかのようでした。

ライヴ終了は20時39分。
メンバーがステージから去った後、スクリーンでは、来年の50周年記念ライヴの開催告知が映し出されました。
その後、慶一さんと良明さんの2人の、支離滅裂な漫才風掛け合いの後説が聴こえてきました。

大きな期待を肩透かしの演出。一筋縄ではいかぬバンド

予想してた通り、約2時間のライヴでしたが。
待ちに待ってた『ANIMAL INDEX』の再現は、正直言って、辛かったですね。
だって、紗幕に覆われて、メンバーの姿がずっと観えないんですもの。
大好きなアルバムで、大好きな曲ばかりですから、演奏するメンバーの姿が観たかった。
誰が歌ってるのかも確認できないのは辛すぎました。
これは、TENTレーベルからリリースされたということで、アルバム発表当時のライヴでは、各メンバーがテントの中に入って演奏したことへのオマージュとなる演出だったみたいです。
最近、Adoとか、顔出しNGのアーティストも増えてきて、きっと、そういう人たちのライヴはシルエットに加え、スクリーンに映像映して楽しませるものなのでしょう。
いわば、ライダーズもそんな流行りに乗った感もありましたが、僕は、やっぱりこういうライヴは苦手だなあ。
ドーム会場で豆粒ほどの大きさのアーティストだったとしても、生で動いてる様を観る方がいい。
とても期待が大きかっただけに、この演出にはガッカリでした。
ライダーズ、やっぱり一筋縄ではいかぬバンドだよなあと、苦笑せざるを得ませんでした。

アルバム再現が終わっての、and moreの部分は、SNSで、動物絡みの曲をやりそうだということがわかってたのですが、特に予習しなかったので。
ああ、動物絡みの曲はこれだけあったのか、と。
『ANIMAL INDEX』というコンセプトを強めるものになってましたね。

そして、アンコールは、死生観をテーマにした曲が並んで。
高齢となったメンバー、続く戦争、混沌とした社会。
それらのシビアな現実に目を向けながら、生きていかねばならないことを、オーディエンスに訴えてました。

総括すると、決して楽しかったライヴとは言えなかったのですが、なんだか妙に記憶に残るライヴではありました。

そして、ライダーズは来年、50周年。
畳み掛けるように次のライヴが発表になりました。
他のプロジェクトもいろいろ進行してそうな気がします。
来年は、ライダーズにとって、盛大なお祭りになりそうです!

コメント