デヴィッド・ボウイ Live@日本武道館 2004.3.9 感想

2004年3月9日 @日本武道館

ライヴ当日。会場へ

6時50分、会場到着。
前座があるという事もあってか、開演時間直前だというのに、会場前でのんびりしている人たち多数。
入り口には、予定表が貼ってあり、7時から第一部(前座)、7時20分からセット・チェンジ、第二部は7時40分から、との事。
そうか、ボウイ登場まで、まだあと40分以上もあるのか。みんなのんびりしてるわけだ...。

いくらボウイとはいえ、本人もう60近くなってるわけだから、客層は40~50代の人が多いかと思いきや、若い人がかなり多く、そして想像以上に20代女性が多かった。
このあたり、さすがボウイ、だ。
僕の席は、2階西スタンドS列43番。
しかし、僕の好きな席ではないので、立ち見席へ直行。
窮屈な席はイヤなのだ。最後方で観にくいが、リラックスして楽しめる場所を選ぶ。

前座はGROOVE SYNDICATE。
元BOØWY・松井常松のソロ・プロジェクト・ユニット。
プロデューサー兼ギタリストの布袋寅泰が出演しないのは残念だが(会場には来てたとの事。なんで出ないんじゃ。ギャラの関係か?)、BOØWY好きの僕にとっては、嬉しい前座。しっかり観ておかないと。
7時ジャスト、場内暗転、GROOVE SYNDICATE登場。
しかし、ホント観にくい。僕の視力では、顔は判別できない。
あれは...ホントに常松なのか?
BOØWY時代と違って、結構動くし。印象違うぞ。スモークもバンバン焚いてるし。余計にわからん。
GROOVE SYNDICATEが常松のプロジェクトだという事を、事前にネットで知らされていなければ、まったく気付かなかっただろうな。「誰?この人たち」で終わってたかも。
サウンドは、布袋が、初期ギタリズムでやってたような、デジロック・インストと言うべきか...僕は、インスト系は苦手だし、正直、「なんのこっちゃ」という感じだったけど。
演奏時間はピッタリ20分。MCも何もなく、淡々とメドレー形式での演奏を終えて、無言で去っていく姿がカッコ良かった。
しかし、「場を温める」とか「自分たちのPR」という観点からすれば、あれはどうなんだろ。
何かしらしゃべった方が...ねえ。
まあ、それも常松らしいと言えばそうなんだけど。

ライヴのスタート

そして、休憩(セット・チェンジ)を挟み、7時50分、いよいよボウイ登場!

01. Rebel Rebel
02. Hang On To Yourself
03. New Killer Star
04. Fashion
05. Cactus
06. All The Young Dudes
07. China Girl
08. Reality
09. 5:15 The Angels Have Gone
10. The Man Who Sold The World
11. Hallo Spaceboy
12. Sunday
13. Heathen (The Rays)
14. Under Pressure
15. Slip Away
16. Looking For Water
17. Quicksand
18. The Loneliest Guy
19. Afraid
20. Be My Wife
21. A New Career In A New Town
22. Ashes To Ashes
23. I’m Afraid of Americans
24. “Heroes”
(Encore)
25. Bring Me The Disco King
26. Five Years
27. Fall Dog Bombs The Moon
28. Suffragette City
29. Ziggy Stardust

まずは「Rebel Rebel」
正直、僕はそれほど好きな曲ではなかったんだけれど、あのイントロと大歓声を聞いたら、震えが来た。ボウイの圧倒的なヴォーカルが始まれば、自然とノッてしまった。僕がいきなりここまでノるのは珍しい。
「コンバンワ、タダイマ、ハッハッハ~!」とボウイ。

そして、♪ ジャッジャ!というギターのイントロと共に始まった「Hang On To Yourself」。これには驚いた。
今回のツアー、各地でのセットリストを観ると、こんな位置にこの曲が来てたことはなかったはず(たぶん)だし、だいたい、聴けるとも思ってなかったから、「おお~っ!!」と、興奮状態。思わず踊りだす僕(立見席で、周りに人がいなかったからこそできるのだ)。
「♪ カモン!カモン!」

次は「New Killer Star」
新作『リアリティ』のリード・シングルだ。ギターを手にし、ここで一旦、興奮を抑える感じに歌うボウイ。
CDでは不思議な感覚を持つ曲だが、ここでは若干落ち着いた仕上がり。曲自体の持つ良さを再確認。
「ドウモアリガト。ゲンキデスカ?...ゲンキデス」とボウイ。

「Fashion」
これは共に「♪ Beep-Beep!」ができる快感。

「Cactus」では、上着を脱いで、振り回すボウイ。かなりノッてきてるようだ。
「チョットマッテ。ヒヒ。」
ヒヒ、て...お茶目なボウイ。

そしてまた古い時代に戻って「All The Young Dudes」
ステージ前方で座りながら歌うボウイがカッコいい。途中で立ち上がると、今度はキック連発。やっぱカッコいい。

さらに場内がヒート・アップしたのは、「China Girl」が登場したから。
バンドの演奏も特に良かった。
DVD『シリアス・ムーンライト』のステージでもやっていたように、後ろを向いて、抱き合うしぐさを見せる、ボウイのパフォーマンス。

『リアリティ』から、勢いのあるタイトル曲「Reality」

また雰囲気は一転して、『ヒーザン』から「5:15 The Angels Have Gone」

「The Man Who Sold The World」
かなり古い曲だけど、僕は最近買ったベスト盤で初めて聴いて、好きになったばかり。その曲を早速、こうして生で聴けるのはなんとも幸せ。

「Hallo Spaceboy」は、僕は知らない曲だったんだけれど、なかなかカッコ良かった。
ボウイの「♪ Hallo」のシャウトがカッコ良く、ピアノの連弾など、ビート感たっぷり。

そしてまた『ヒーザン』から立て続けに「Sunday」「Heathen (The Rays)」
『A REALITY TOUR』と銘打っていても、その最新作『リアリティ』からは6曲。そして、その前の作品『ヒーザン』からも6曲。このバランスを考えると、やはり僕が感じてた通り、この2枚の作品は2つで1つ、みたいな所があるのかも。

そしてここでメンバー紹介。
先日観た『リアリティ』のライヴDVDと同じメンバーだ。
しかし、ベースのスキンヘッドのお姉ちゃんを紹介せずに、次の曲紹介へと進むボウイ。
あれれ?と思っていると、次は、そのベースのお姉ちゃん・ゲイル・アン・ドーシーが歌うんだと紹介して「Under Pressure」
フレディ・マーキュリーのパートを彼女が歌ったわけだが、これがまたビックリするほど上手くて。非常にソウルフルで、フレディの声にも似てる。ボウイとの息もピッタリ。
クイーンがいまひとつ好きではない僕は、この曲もいまひとつという印象だったんだが、今回の彼女とのデュエット・ヴァージョン、すごく良かった。中盤のハイライト。
このあと、マイクコードのトラブルがあったのか、それとも単なるボウイのいたずらなのか、ローディとの笑えるやりとりあり。

次はスロウな「Slip Away」
『ヒーザン』からの曲で、僕的にはあまり印象にない曲だったのだけれど、「♪ Twinkle twinkle Uncle Floyd」と歌われているのをこうして聴くと、この曲って、初期のロマンチック路線に通じるものがあるなあ...と、気付かされたり。

すると、ボウイが、どこかで安く買ってきたというおもちゃみたいな鍵盤楽器(?よく見えなかったのでわからんけど)を持ち出してきて、ワンフレーズ、「♪ Ground Control Major Tom...」と、「Space Oddity」を歌いだして大歓声。ちょっとしたハプニングというか、小さな嬉しいサービスというか。

再びギターを手にしての「Looking For Water」
『リアリティ』から、ロック色の強い、力強い曲だ。

次に歌われたのは「Quicksand」
このツアーでは頻繁に歌われているのは知ってたけれど、僕は初めて聴く曲。なかなかロマンチックな曲だ。
この曲が収録された『ハンキー・ドリー』は、Amazonに注文済みなので、届くのが楽しみ。

『リアリティ』から、重たく響く「The Loneliest Guy」
どよ~んとした空気が漂う(決して居心地は悪くない)。
気付いたら、演奏してるのはギターとピアノだけだった。

馴染みのあるギターのイントロで始まったのは...おおっ!「Afraid」だ。
ビート感に溢れ、『ヒーザン』の中で、一番好きな曲。この曲をやってくれるとは。ほとんど期待してなかっただけに、すごい嬉しい!

「Be My Wife」「A New Career In A New Town」と、『ロウ』からの選曲。どちらも初聴きだったけど、特に、ボウイがハープを奏でるインストの「A New Career In A New Town」は、なんだか面白い曲だった。なんとも言えないポップさがツボ。
以前から気にはなっていたんだけれど、これは早々に『ロウ』を買わなきゃ、だな。

そして、ここで出ました待ってました、の「Ashes To Ashes」
ボウイの中で一番好きと言っても過言ではないこの曲を、ちゃんと生で聴く事ができるなんて。
以前観たDVDと同じく、不思議さよりも、いい意味でロック感を強調していて。ラストでの、ピアノ・ソロもカッコ良かった。

最高にヘヴィだったのが、「I’m Afraid of Americans」
時節柄、色々と歌詞を考えさせられちゃったね。ボウイのメッセージがここにある気がした。
演奏もすごく迫力あって、印象に残る曲だった。

本編ラストとなったのが「”Heroes”」
前半、かなりくだけてボソボソと歌っているので、ちょっと萎えかけたのだが、徐々に徐々に、ヴォーカルが熱くなっていって、最後はすごいシャウト。
この歌い方は演出だったのね。これはかなり良かった。こうされる事によって、かえって盛り上がれた感じ。

メンバー全員が引っ込むと、当然のごとくアンコール要請の拍手。
間もなく、ピアノのマイク・ガースン一人が登場。「あれれ?他のメンバーがなかなかやってこないな...」と思ってたら、そのまま一人でピアノを弾き出すマイク。
このジャジーな曲は...「Bring Me The Disco King」だ!
ステージ奥に現れ、そのまま階段に座り込んで歌うボウイ。
妖艶で、独特な雰囲気を持つこの曲、「どこがDisco Kingなんだ!」という感じなんだけど、大好き。
ステージ上は、妖しいムードを醸し出していた。

メンバー全員が再登場、ボウイも中央でアコースティック・ギターを抱えると、「Five Years」
『ジギー・スターダスト』の冒頭を飾る曲、ゆったりとした流れに身を任せていると、なんとも言えない幸福感が。

最新作から「Fall Dog Bombs The Moon」
東京最後の夜という事もあってか、まだまだ終わりそうにない。過剰なまでのサービスだ。

そして、待ってました、大盛り上がりの「Suffragette City」
「♪ Hey Man!」と、僕も一緒に叫んで踊る。
激しく唸るビート、ブレイクの「♪ Wham Bam Thank You Ma’am!」も、とびきりカッコ良かった。痺れた。
この日は、どの曲も素晴らしい演奏で、どれがベストとは決めにくいんだけど...僕のテンションを鑑みると、この曲がベスト・パフォーマンス、かな。

最後に「Ziggy Stardust」が始まると、ひときわ大歓声。やっぱり人気あるなあ。
最後の最後、スクリーンに【BOWIE】の文字が映し出された中での「♪ Ziggy Played Guitar~~!!」のシャウトはカッコ良かったな。ホント、大団円。

しなやかで、動きにはキレがあって。すげーよ、ボウイ。

終了したのは10時15分。
「皇居の御堀が10時に閉まるから、武道館のライヴは9時半頃には終わらせなければならない」とかいう話が、通説のような感じになっていたので、前座があって開始時間が遅かった今回、ボウイの演奏時間がかなり短くなるんじゃないかと心配してたんだけど、全然そんな事なかった。むしろ、前日の公演よりも長い時間やってたと思う。
誰だよ、10時前終了説を流してたのは。

とにかく、ヴォーカルが凄かった。全然タレる事なく、ほぼ完璧。圧倒的な迫力で聴かせてくれる。どこをとってもボウイ。
最近の映像を観て、「枯れた魅力もなかなか」とか「老けはしたけど渋い」とか言ってた自分が恥かしい、というか。
こうして生で観てみると、枯れたどころかバリバリ現役。
しなやかで、動きにはキレがあって。すげー若い。
もう、大満足。

唯一、残念だったのは、毎回セットリストの違う今回のツアーでも、かなりの確率で演奏され、前日の武道館でも演った「Life On Mars?」をやらなかった事。
この曲を一番楽しみにしていた、と言ってもいいくらいなのに...。
ま、でも予想外に「Hang On To Yourself」や「Afraid」が聴けたから良しとするか。

大抵のライヴは冷静に観る僕が、ここまでノッたり踊ったり一緒に歌ったりしたんだから、それだけで、このライヴがいかに素晴らしいものだったかがわかる。
もう言う事はないっしょ。観に行って良かった。
すげーよ、ボウイ。

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