BOØWY おすすめアルバム・レビュー集 Vol.1

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僕がBOØWYにハマるまで

初めは大嫌いな存在だったBOØWY。
中3の時、『ザ・ベストテン』で急上昇って感じで「B・BLUE」が圏内に上がって来た時に初めてBOØWYというものを意識したんだけど、その時はBOØWYは、不良系の人が聴くもので、ルックスと勢いで注目されてるだけ、音楽的には大した事ないもんだと思ってた。
ちゃんと聴いてもないのにすごい偏見。
で、「B・BLUE」なんて早く圏外へ落ちろ、と願ってた(笑)。

そして高校に入ると、音楽の話というと周りからはBOØWYの事ばっかり聞こえてくる。
友達との話でもそうだし、通学電車の中でもよく「BOØWY」って言葉が聞こえてきた。
その頃ビートルズを聴きまくってた僕としては、もういい加減にしてくれ~っ!て感じで、ますます聴かず嫌いになってく。

バンド活動に興味があったので、学校の軽音楽サークルを見学に行く。
そこでもBOØWYのコピーバンドばっかりで。
その時に、ある先輩が弾いてたのが「Dreamin’」のイントロだったんだけど、何度も何度もイントロの「♪ てーれれてーれれ」っていうフレーズばっか聴かされて。ちっともいい曲に思えなかった。
やっぱBOØWYなんていい曲じゃないじゃん、て。
それはその時の先輩の腕のせいなのか...そのせいか、今でも「Dreamin’」はイマイチ好きになれない。

そんなこんなで、BOØWYなんて絶対聴くもんか、って意地にもなってたんだけど、それってむちゃくちゃ意識してる事でもあるよね。
学園祭で先輩達のライヴ観た時に、初めて「IMAGE DOWN」てのはいい曲だな、と思えた。
好印象なリズムとメロディだった。
そしてもう1曲、なかなかいい感じかな、って思ったのがあったけれど、曲名はわからずじまい。
ただ、もしかしたらBOØWYもバカにしたもんではないかも、と思った瞬間だった。

だからと言ってすぐにBOØWYのレコードを買ってみるのは悔しいので、それからは先輩たちのライヴの時にはもっといい曲があるかを確認しに行くのが密かな楽しみとなった。
校内のライヴに何回か足を運ぶうちに、以前にもいい感じと思った曲に再会する。
しかし今度は、いい感じ程度ではなく、ガツーン!!と胸に突き刺さってしまった。
それが「CLOUDY HEART」だとわかるまでには時間はかからなかった。

「BOØWYって最高じゃん...」
それまで意地になってた反動もあって、一度弾けたら気持ちは大きく傾いた。
それからは一気に音源や映像をあさり始める。
だけど、今思い出してみると、いまいち記憶のはっきりしてない部分が。
たしか初めてCDラジカセを買って、その時に聴くソフトとして、BOØWYのアルバム全部と氷室の1stを買ったと思ったんだけど...となるとそれはいつ頃の事だったか。

いろいろ思い出してみると高2(1988年)の秋くらいだったと思うのだけれど、なんとなくおかしな点もあるんだよね。
高1の終わりくらいからBOØWYの事をよく知ってたような気もする。
解散宣言が87年のクリスマスで、翌88年春の東京ドームライヴの事とかも憶えてるもん。
友達が休み時間にチケット取りに電話しに行ってた事とか。
で、ライヴ1ヵ月後に『LAST GIGS』のCDが出た事とか。そのCDは発売日に買ったような記憶があるんだけど...CDラジカセを買った時期を考えるとそんなはずはない。
BOØWYの曲はすべて聴き倒してしばらくしてから『SINGLES』が出て、そこで「CLOUDY HEART」「BAD FEELING」「NO. NEW YORK」などの僕が持ってないヴァージョンが手に入った事に感動したのを憶えてるんだけど、『SINGLES』の発売って1988年のクリスマスだし。
という事は、CDラジカセとBOØWYのCD買ってそんなに日が経ってない事になる。
すると、それまでにいつBOØWYの曲聴き倒したんだ??って事になる。
でも、BOØWYのアルバムをレコードやテープで聴いた憶えはないし...。
なんか謎なんだよなぁ。

ただ、高2の時に一気にBOØWYに傾倒したのは間違いない。
BOØWYとの出会いは、その後の僕にとってかなり大きい。
聴かず嫌いを打ち破る事ができ、またひとつ好きな音楽の幅が広がったから。
それまで聴いてたサザンやビートルズ等の王道ロックや、いわゆる歌謡曲 ものが好きだった僕にとっては、BOØWYのリズムは全く違うものだった。それまでに味わった事なかったビート感だった。

なにより、ホントにカッコ良かった。
氷室のマイクの持ち方。
小指だけマイク下に持っていってピンと伸ばし、マイクが地面と並行になるようにして歌う(時にはマイクの丸い部分が下になるくらいに)。
GLAYのTERUをはじめ、その後氷室スタイルを踏襲するヴォーカリストは多数。
「♪ 俺が守ってやるぜ」なんていう歌詞も氷室だからこそ似合う。
布袋のギターにはしびれたし、布袋モデルのギターにも憧れた。
松井さんは動かないし(笑)、とにかくかっこよく近寄りがたいくらいイメージのBOØWY中に、明るいオジサン的なキャラの高橋さんがいるのにはホッとした。

学校の近くにあった喫茶店にものすごい大きな『BEAT EMOTION』のポスターがあったけど、あれはめちゃくちゃカッコ良かった。欲しかったなぁ。
バンド名の表記にしてもそう。
あの真ん中の記号(Ø)があるからこそ、カッコよさを際立たせると思ってた。
【暴威】から変更する時に、単純な【BOY】でもなく、デビッド・ボウイから採って【BOWIE】とするのでもなく、あの表記。
デザイン的にも、なんてすげーもん考えついたんだろう、って。
あの文字を見るだけで、今でも心が躍る。

「売れたら解散する」という美学を本当にやってのけた彼ら。
フツーじゃないよね。
さぁこれからどんどん売れるぞ、っていうタイミングで解散した。
そこがなんといってもBOØWYのすごいとこだった。

解散から十数年経っても、氷室と布袋のニアミスさえありゃしなかった。
ソロとしてもあれだけ売れた彼らがまた復活、なんていう姿はすんごい見てみたかったけど、でもそれは明らかにあの頃のBOØWYとは違う訳だからね。
「観てみたい」気持ち以上に「観たくない」気持ちの方が強かった。

昔の雑誌の記事に、氷室のこんな発言(1986年)が載っていた。
【昔に比べれば、守るモノが増えてきちゃったじゃない?でも、それを守るために、変わっちゃまずいね、ってなったら、全員、解散したい、って言うと思うよ。】
そして、その通り、バンドが大きくなって、まだまだもっと大きくなるという時に解散をした。
カッコよすぎると思った。
それが「BOØWY」なんだ、と。
そういう発言をした氷室。
メンバー全員もその考えで、そのポリシーを貫いての解散なんだと思う。
氷室と布袋の不仲説なんてナンセンス。

そんな彼らが再結成する事に、どういう意味があるのだろうか?
再結成なんて、それこそ「BOØWY」が大きく変わってしまう事。
一番BOØWYらしくない事。
そんな事したら、ある意味BOØWYを否定する事にも繋がっていくようにも思った。
いつまでも再結成なんて事を望んでたら、氷室は「まだお前らそんな事言ってんのかよ。何もわかっちゃいねえな」なんて言いそうだったし。
だから僕はそんな事はしてほしくないとも思っていたし、まぁ絶対しないだろう、という確信があった。

氷室が事実上引退した今となっては、解散話はほぼ無くなった。
個人的にはホッとしている。
あの当時の輝きが永遠なのだ。

『MORAL+3』

デビュー作は1982年発表の『MORAL』なんだけど、僕が買ったのは未発表の3曲を加えてのCD発売となったこの『MARAL+3』。
普通のCDであれば、こういうボーナストラックは、オリジナル収録曲の後に収められるものだけれど、この時はレコードでの発売もあったためだろう、A面の最後に 「OUT!!」「LET’S THINK」、B面の最後に「DAKARA」が収められた。
CDもそれに準拠。

でも何故この3曲が未発表だったのだろう。
特に「LET’S THINK」「DAKARA」は後期の作品にも通じるような哀愁帯びたポップ作で、僕はかなり好きなんだけど。
というか、そういう面が1stの収録曲とは世界が異なるという事ではずされたのかもしれない。

というのも、この頃の作品は社会に対するメッセージ色の強い歌詞が多く、後期の作品からBOØWYを聴きはじめた人は驚いてしまう。
まぁ、簡単に言ってしまえば、僕が嫌っていた【不良の歌】ってとこ(笑)。
この頃は「氷室狂介」だし。
愛だ恋だじゃないもんね。
まぁ、今ならそんな歌詞の意味の深さもわかるんだけど。

サウンド的にもパンク・ニューウェーヴの影響下にあって、やはり後期のものとは一線を画す。
そういう訳でファンの間でも好き嫌い分かれるかな。

ほとんどが嫌な人間・社会を皮肉った歌なんだけれど、珍しく女性の事を歌ってるものでも「IMAGE DOWN」「GIVE IT TO ME」「NO.N.Y.」など、【いい女だけど男をたぶらかしてる尻軽女】がテーマになってて、まともな(?)恋愛の歌はない。

ただ、意外とクールな曲ってのも少ない。結構おちゃらけてるしね。
「ON MY BEAT」には、我を忘れてはしゃぎたい。

『INSTANT LOVE』

存在感的には一番地味なアルバムかな。レコード会社も地味だし。
特に有名な曲も入ってなかったしね。
BOØWYのCDをすべて買い込んだ時には...このアルバムはCD化されてなかったのかなぁ?
友達にテープにダビングしてもらっただけで、このCDは買わず、ほとんど無視してたアルバムだったんだよね。
「FUNNY-BOY」くらいしかいい曲ないかなぁ、なんて。

でも、かなり後になってテープ聴き返してみたら結構良いじゃん、て思えてCDで買い直して。
今はかなり気に入ってるアルバムなんだよね。
1stのパンク・ニューウェーヴから3rd以降のポップ路線サウンドへの変換期として、いい感じなんじゃないかなぁと。
アレンジとか、サウンド的に今の僕の好みに合ってた。
ま、僕がやっと追いついた、って事なんだけど(笑)。

数こそ少ないものの、氷室はいつもアルバムで何曲か作曲してるんだけれど、今作でもなかなかいい曲を出している。
ベスト・トラック「FUNNY-BOY」の他にも、「SYMPHONIC」とかを出してるんだけど、氷室の曲となると、布袋のギターが一層冴えてるような気がするのは気のせいか。
特に「SYMPHONIC」のイントロなんて最高。シビレる。

他にも楽しい「OH! MY JULLY Part1」とか、「TEENAGE EMOTION」「LONDON GAME」や、タイトル曲「INSTANT LOVE」など、意外と聴きどころ多くて。
今一度みんなに聴き直してもらいたいアルバムかな。

『BOØWY』

EMIへの移籍、佐久間正英プロデュースでポップ路線に変更。
ついにブレイクへのお膳立てが揃ったという3作目。
歌詞も恋愛系が多くなり、華々しさという点で、先の2枚とは確実に一線を画す。
一番好きなアルバム、と言ったらコレになるね。
他のアルバムも好きだけど、収録曲への思い入れの強さが断然違う。

なんと言っても、僕がついにBOØWYを認める事となった「CLOUDY HEART」が入ってるしね。
サビのコード進行、メロディ、ギターのカッティング、いつ聴いてもいい。
最高の失恋ソングだね。

他にもブギ調の「黒のラプソディー」、真夏の刹那に胸を焦がされる思いの「唇にジェラシー」など、全10曲中5曲が氷室作曲。
全アルバム中、一番氷室色が強い作品と言えるかもしれない。

もちろん布袋だって負けてはいない。
「BAD FEELING」のイントロは鳥肌が立つほどカッコいい。
サビの「♪ OH BABY イマジネーション通りに...」のメロディにはとろけた。

コミカルながらも清々しい気持ち良さの「Baby Action」なども最高。

前述の通り、出会い方が悪かった「Dreamin’」だけは、やはりいまいち好きにはなれないのだけど。
あ、でも、海賊盤で聴いた渋公ライヴ、解散を宣言した直後のこの曲には感動した。
割といい曲なんじゃん、って(笑)。

他にも、BOØWY作詞作曲となる「ホンキー・トンキー・クレイジー」の突き抜けたポップ感も捨てられないし。

『BOØWY』という、バンド名をタイトルにした所にも現れているように、BOØWYの持つ様々な魅力がすべて詰め込まれているような気がする。

『JUST A HERO』

2番目に好きなアルバム。
曲は粒揃い。このアルバムをBOØWYの最高傑作に挙げる人も少なくない。
このアルバムを引っ提げてのツアー、そのツアーのライヴ・アルバム『GIGS』、そして次なる『BEAT EMOTION』への流れ。
BOØWYが最も勢いを表したのが1986年だった。

冷静に聴いてみると、全体的にダークであるとも思えるんだけどね。
いつもの様にクールではあるんだけど、ダークなクールさ。
コミカルな面がほとんど見られないし、シングル曲「わがままジュリエット」も、憂いを持ったバラード。
他にもGrayやらBlueやら、そんな言葉が曲タイトルに使われているからか、全体的にそんな印象を持つ。
ま、だからこそ魅力を感じるんだけど。

そんなダークなショーの幕開けを告げるのは「Dancing In The Pleasure Land」
ドラムの響きが心地良い。

「Rougue Of Gray」の詞の世界観には、当時田舎の高校生だった僕には憧れとなる大人の世界だった。

イントロがカッコいい「Justy」は、その後「♪ Justy~」と叫ぶAメロで明るくなり、サビではまたマイナーに。
展開の妙も含めてしびれる。

それから、サビの「♪ ちょっと涙の..」に入る瞬間や、「♪ LAST TONIGHT~」での昂揚感がたまらない「Blue Vacation」
「♪ 乾いてるのに入れないで」なんてドキドキしながら聴いてた(笑)。

その他、何度も何度も繰り返し聴いた曲多数。

それから、謎だったのが「1994 -Label Of Complex-」
サビが気持ちいいこの曲、ヴォーカルはどうも吉川晃司に聴こえる部分もあって、「もしや氷室・吉川のデュエット!?」と。
そういえばそんな話も聞いた事あるような気もするのだが、どこにも吉川のクレジットはなく。
長年の疑問が解決したのはインターネットが普及してからだった。

他にも、Aメロが非常に氷室ならではの「ミス・ミステリー・レディ」など、
ゾクゾクする程のビートに極上のメロディが乗っている...そんなアルバムだ。

『BEAT EMOTION』

グングンと勢いに乗ってきたBOØWYが、ついにこのアルバムで大ブレイクをおこした、という感じかな。
シングル「B・BLUE」のヒットもあって、BOØWYと言えばこのアルバムを思い浮かべる人は多いだろう。

「ONLY YOU」「BEAT SWEET」「WORKING MAN」等、よくステージでも取り上げられ人気も高かった曲がたくさん収録されていて、現在まで至るBOØWYの人気と評価を決定付けた、偉大なアルバムだ。

が、しかし。
うーん。
僕にとっては一番思い入れのないアルバムなのだ。
何故なんでしょう...。
全体的にスマートすぎるというか...聴きやすいのが人気でもあるのだろうけれど、僕にとっては心をぐいぐい揺さぶられる曲がなかった。

ある程度手放しで気持ちよくなれるのは氷室の「SENSITIVE LOVE」くらいかな。
爽やかなんだけれど泣けちゃうような。
イントロはピンクレディーの「渚のシンドバッド」みたいなんだけどね(笑)。

しかし、やっぱ僕は氷室の曲に特に惹かれるのかな?
「NOISE LIMITTER」「DON’T ASK ME」なんかも割と好き。

それから、南国・レゲエといった雰囲気から一気にBOØWYビートに変わる「SUPER-CARIFRAGILISTIC-EXPIARI-DOCIOUS」が面白いかな。

まぁ、改めて聴いてみれば、そんな悪い曲ばかりではないのはわかるんだけどね。
ただ、ハマれなかった、って感じで。
あ!
でも、このジャケットは断トツでカッコいいかな、やっぱり。

『PSYCHOPATH』

前作での落胆(?)から一転、このアルバムではまた1曲目「LIAR GIRL」のイントロからハートをワシ掴みにされた。
もうこの一瞬だけで大満足できたのだった。
1曲目がいいと、アルバム全体がいいのではないかと思えるから、やっぱ大切なんだね、1曲目。
とにかく酔わされる曲だ...。

オリジナルとしてはラストとなるアルバム。
もう制作段階で解散は決まっていたんじゃないかな。【仕事】として作られている気がしないでもない。
ただ、それは、仕事だからしょーがねえや、ってな感じで作っているというのではなく、最後なんだからビシッと決めていいもの作ろうぜ、という決意が伝わってくるような。

華々しく突き抜けた前作から、また元の場所に戻っていくまとまりのパワーを感じる。
しかし元の場所へと言っても、それぞれかなり成長してるわけだから、自然と完成度が高くなっていく...そういう意味でも大好きなアルバム。

スピード感溢れ、氷室と”Sister”布袋のかけあいが楽しい「PLASTIC BOMB」には踊らずにはいられない。

僕の中では似たようなイメージで、いまだにどちらがどっちだっけ??と困惑する「LONGER THAN FOREVER」「MEMORY」
とてもいい曲なんだけれど、尖ったロックンロールではない、こういう感じの曲を堂々とやってしまうようになったBOØWYに、ある意味【終わり】を感じたものだった。

このアルバムでも氷室はタイトル曲「PSYCHOPATH」「FANTASTIC STORY」など、氷室らしい渋い曲を提供している。

そしてシングル「MARIONETTE」「季節が君だけを変える」もある。

本人たちには解散に対する哀愁などを表したつもりはこれっぽっちもないだろうが、聴く側としては、どうしてもそういう事を連想してしまう。
そういう意味では切なさを感じさせるアルバムではある。

『GIGS JUST A HERO TOUR 1986』

その名の通り、1986年 JUST A HERO TOURのライヴ盤。
しかしこれは、当時レコードでの限定生産盤だったので、僕が好きになった時(88年頃)はすでに入手不可能状態。
仕方なく、友人にダビングしてもらって。
でも、そのテープも数回ダビングを繰り返されて回ってきたものらしく、音が悪かった(笑)。

とはいえ、絶頂時の彼らのライヴの空気を感じ取れる好盤に興奮しまくった。

代表曲の並ぶ後半よりも、「BAD FEELING」「ROUGE OF GRAY」「BLUE VACATION」「JUSTY」と、たたみかけるように僕の好きな曲が並ぶ前半の流れがとても好きだった。

その後の「Baby Action」「ホンキー・トンキー・クレイジー」まで続くA面はホント、全部いい。最高の勢い。

特にオープニングの「BAD FEELING」
イントロのギターソロの後、バンドの演奏が始まる瞬間には圧倒される。
今でも鳥肌が立つ。

「ライヴハウス武道館へようこそ」という氷室のセリフが有名な「IMAGE DOWN」等、ライヴならではの緊張感と息吹きが感じられる。

やがてCDで再発されて購入、ヘビーローテーション。
やっぱりBOØWYはライヴがいいよな。

『LAST GIGS』

ラストステージとなった東京ドームでのライヴの模様を収めたアルバム。
チケット予約の電話回線がパンクするなどの伝説を作った衝撃のライヴが行われてから約1ヶ月後という驚異的な速さでのリリースには、惜しくもライヴに行けなかったファンも当然のように飛びつき、【BOØWY解散】という歴史的事件を見事に演出するように売れまくった。

シンプルなデザインのジャケットなのに、こんなにカッコいいのは何故なんだろう。
ブックレットを開いて、内ジャケット中央に刻印された”THANKS”の文字を見つけた時は感動に震えたものだった。

1曲目からサビを観客に歌わせるなど、早くも氷室の声が出てないようにも聴こえるのがなんだけど(笑)。
ライヴでは「わがままジュリエット」の一部を変えて歌っていたというのがここでも確認できるし(「何一つ残ってないけど」→「なんにもこの手に残ってないけど」)。

なにより、ここでの「CLOUDY HEART」のアレンジがたまらなく好きだった。
特に、サビの「♪ 傷つけてばかりだったけど」の後のギターの”チャッチャッ”っていうフレーズに酔ってた。

BOØWYの代表曲12曲が収録されているんだけれど、ライヴでは二十数曲を演奏。
実はここに収録されなかった曲の方が僕には思い入れのある曲が多いのだけれど...と、収録曲は僕的にはちょい不満。
しかし、最後のBOØWYの輝きという事で。

『SINGLES』

解散して約1年後にリリースされたベスト盤。
と言ってもシングルを集めたものなので、選曲的には特に面白味はない。
「”16”」以外は知ってる曲だったので、買うのも迷ったくらいだったのだけれど。

でも、いざ購入して聴いてみれば「BAD FEELING」「NO.NEW YORK」「季節が君だけを変える」「CLOUDY HEART」は、僕が持っていたアルバムとは別の【シングル・ヴァージョン】で。
しかも、ミックス違いだけにとどまらず、初期の名曲「NO.NEW YORK」と「CLOUDY HEART」は、後期に演奏し直したものだったので、アレンジもかなり違うヴァージョン。
僕は全くの未聴だったので、結果、買って良かったなあと満足だったアルバム。

『GIGS JUST A HERO TOUR 1986 NAKED』

BOØWYの名ライヴ盤『GIGS JUST A HERO TOUR 1986』に7曲を追加しての新装発売と聞いて、最初は迷った。
7曲しか増えてないのかあ、スルーしようかなあと。
だけど、その7曲の中に、BOØWYの楽曲で1番好きと言ってもいいくらいの「GIVE IT TO ME」が入ってたので、購入に踏み切った。

さほど期待してなかったんだけれど、聴いてみてビックリ。
結論から言うと。
これは、旧作とは全くの別モノである!

「IMAGE DOWN」で、氷室が「ライヴハウス武道館へようこそ!」と叫ぶ有名なセリフのお蔭で、旧作の収録曲はすべて武道館公演のものだと勘違いさせられていたのだけれど、実は、このツアーの各地の公演の音源をツギハギしたもので、さらにあとからシンセの音などを被せた編集版だったというのだ。

それに対し、この『NAKED』は、86年7月2日の武道館公演の4人の演奏のみを使用しているのだ。
という事は、旧作とはかなり違う事になるのではないか。
同じ収録曲でも、違いがあるかもしれない。
つまり、聴きどころは追加された7曲だけではなく、19曲すべてなのではないかと。

しかも、Blu-spec CDとなって、音も良くなったというし、いったいどれくらい旧作と違うのだろうかと。
僕のショボい耳でもわかるのかと。
初めの何曲かは、ハイハットの音がクリアかなあくらいにしか思わなかったのだが、旧作との違いがハッキリと誰にでもわかるのは、「BLUE VACATION」
氷室が歌詞に詰まり、さらに間違って歌うのだ(「カサノバ気取り」を連発するのが笑える)。
これで、ああ、別モノなんだなという事がわかって感動する。
一気にテンションが上がった。

「JUSTY」「BABY ACTION」も、サビを客に歌わせてて、旧作との違いにハッとさせられる。

大好きな「GIVE IT TO ME」は、ライヴ・ヴァージョンはスタジオ・テイクとはアレンジが大きく異なり、しかも、ライヴごとにもアレンジがかなり違う曲なので、ここではどんな感じなのか楽しみだった。
すると、大きく違うのは、Bメロの歌詞。氷室お得意のデタラメ英語が聴ける。
布袋のソリッドなギターも相変わらずカッコいい。
やっぱりこの曲は最高だ!

「LIKE A CHILD」は、今までに聴いてきたどのヴァージョンよりもビートが速くてスリリング。

「わがままジュリエット」も相変わらず名曲。
後半、サビを歌う氷室のヴォーカルに、布袋のギター・ソロがインサートされる瞬間はいつもゾクゾクする。
しかも、この曲のギター・ソロはライヴごとに違うから、聴いてて飽きない。

その他、「1994 -LABEL OF COMPLEX-」「INSTANT LOVE」「TEENAGE EMOTION」「DANCING IN THE PLESURE LAND」などの追加曲組が良かった。

本作を買ってしまったら、旧作はいらなくなるのかなと思ってたけれど、とんでもない。
もっと違いを見つけたくなって、旧作も聴きたくなった。
早速、聴き直してみると、いろんな曲でシンセやブラスの音が鳴ってる。
今まで意識して聴いてなかったから、全然気づかなかったよ。
全然違うじゃないか!

全19曲をCD収録時間ギリギリに詰め込んで79分57秒。
そのせいでMCがカットされているのは一部で不評だけど、中途半端に2枚組にして値段も高くなるくらいだったら、僕はこちらの方がいいと思った。
BOØWYのライヴも聴き飽きたかなと思ってたけれど、本作はまったく新しい息吹を感じられて、新鮮だ。
買って良かった。

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