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僕がビートルズにハマるまで
サザンオールスターズによって、音楽への興味が開けてはいたものの、中3秋の時点ではまだまだ範囲は狭く、邦楽...というか、テレビ・ラジオでよく流れる歌謡曲的なもののみ。
洋楽なんてわかりません、どこがいいの?って感じだった。
ビートルズという名前は知ってはいたものの、古くさーい、っていうイメージで。
たしかにいい面はあるのかもしれないけれど、今時ビートルズなんて昔の音楽、わざわざ聴くのは、時代遅れの人なんでしょ?って。
今風に言えば「いけてない人」がビートルズを聴くもんだと思ってた。
たいして聴いてもいないのに、もう思いっきり偏見だよね(笑)。
「イエスタデイ」と「レット・イット・ビー」くらいは知ってたけど、周りが絶賛するほどいいとは思えなかったから、友人との会話でたまにビートルズが出てくると、どこがいいんだ、って悪態ついてた(笑)。
で、その年の暮れに桑田佳祐主催のTV番組『メリークリスマスショー』を観て。
その番組は、日本のアーティストたち(ユーミンやBOØWY、清志郎、泉谷さんなどが出てた)が洋楽や邦楽の名曲をカヴァーする、って企画だったんだけど、そんな中で、洋楽でも「いいな」って思える曲がいくつかあったんだよね。
そして後日、友人のUGくんと音楽の話をしてた時に、また洋楽の事になって。
「ビートルズなんて聴く気はしないよ~」
「じゃあ洋楽は聴く気ないの?」
「そうだな、こないだテレビで桑田さんたちがやった曲、洋楽みたいだったけど、すごいカッコ良かった。ああいう曲だったら聴きたいな。」
「どんな曲?」
「あのね...」(ここで歌う)
「それ...ビートルズの曲だよ...。」
驚愕の事実だった(笑)。
まさかその曲がビートルズだとは思いもよらなかった。僕が持っていたビートルズのイメージではなかったからね。
それは後期の名曲「カム・トゥゲザー」だったんだけれど、その事実を知った事により、それまで勝手に抱いていたビートルズの悪いイメージを取り払い、聴かず嫌いはいけない、ビートルズを聴いてみよう、と思った。
それで、クラス1のビートルズ通(というか、他に聴いてる人はいなそうだった・笑)と思われたSくんに、ビートルズの曲を録音してもらう事に。
「カム・トゥゲザー」は絶対入れて、他はわかんないからどんな曲でもいいよ、とSくんに任せてあった46分テープが、数日後戻ってきて、早速聴いてみる。
恐らく、「カム・トゥゲザー」をリクエストしたから、後期の『青盤』から選曲してくれたのかな。
そこには、やはり、僕の中にあった悪いイメージのビートルズはなかった。
ますますビートルズに興味を持ち始め...丁度その頃高校受験も終わったんだったかな?...次はビデオを借りてみる事に。映像も観てみたい、と。
そこで借りてきたのが、ビートルズのヒストリービデオ『コンプリート・ザ・ビートルズ』だった。
このビデオは入門編としては最適で、映像はもちろん、一部ずつではあったけれど、様々な曲も聴く事ができた。
そこで発見したのは、「あれ!?これってビートルズだったの??」っていう曲の多さだった。
しかも、ちっちゃい頃大好きだったテレビ『ひらけ!ポンキッキ』のBGMで流れてた曲(「プリーズ・プリーズ・ミー」「ベイビー・イッツ・ユー」「ホエン・アイム・シックスティー・フォー」など)が、全部ビートルズだったなんて!と、非常に感動。
そのビデオの音声をテープに録音、何度も聴いたっけ。高校合格後の説明会の日、車での行き帰りにこのテープを聴いた事、一生忘れないだろうな...。
そんな訳で、桑田さんのお陰と、UGくん、Sくんの協力により、ビートルズへの世界にハマッていく事となる。
『ビートルズ大事典』という本を買い(ちょっと高かったけれど、ビートルズの事が良くわかって、これまた入門編としては最適、何度も何度も読んだ)、ますますビートルズへの興味を深めた僕が次に取るべき行動は、「ビートルズのレコードを買うこと」だった。
時間があればレコード屋に通って、ビートルズコーナーを見る。
おお、これが『アビイ・ロード』か、『サージェント・ペパーズ』か、と...大きなジャケットを一枚一枚探って眺めるだけで楽しかった。
イギリス・オリジナル盤、アメリカ編集盤、日本編集盤...オビにデザインされた国旗の違いでそれがわかるのも楽しかった(とは言え、僕が興味を持った頃には日本編集盤はほとんどお目にかかれなくなってた)。
このアルバムにはどんな曲が入ってるんだろ、どのアルバムから買おうかな...夢は膨らむ。
そして、昭和62年4月初旬、高校入学直前。
合格祝いにもらったお金と、友人の紹介で春休みに2週間だけやったバイトの報酬で、念願の『第一回ビートルズレコード買い込み』を敢行。
たしか、この時買ったのは『ビートルズ・フォー・セール』『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』『アビイ・ロード』『ラヴ・ソングス』と...『青盤』だったかな?『ロックン・ロール・ミュージックVol.2』だったかな?
5種類だった、ってのは憶えてる。
まぁ、その後もちょくちょく買い込み、半年もたたないうちにビートルズのレコード(LP)はほぼ揃えてしまうんだけどね(笑)。
とにかく、高校時代はビートルズと共に明けたと言っていいかな。
そして、ビートルズを聴いた事により、洋楽への興味も広がっていくのだった。
『Please Please Me』
記念すべきファーストアルバム。
オープニングは「♪ ワン、トゥー、スリー、フォー!」というカウントで始まる「I Saw Her Standing There」。
華々しいビートルズ・ストーリーの始まりだとか、思わず体が反応してしまう、等の意見が多いようですが。
でも僕にとっては、そこまですごい思い入れはないかなぁ。
それはアルバム全体的にもね。
CDも、唯一このアルバムだけ買いそびれたまま今に至るくらいで(ビートルズCDの初回盤は赤オビだったのだが、その後黒オビになってしまい、それまで買ってなかった赤オビ・アルバムを慌てて買い始めたのだが、このアルバムだけとうとう手に入らなかった)。
僕の中では印象の薄いアルバム、なのかな?
とは言え、好きな曲もある訳で。
「Misery」「Ask Me Why」「There’s A Place」はどうしてもはずせない、僕にとってのベストトラック3曲。
どれもちょっと地味目で、クローズ・アップされる事が少ない曲たちなんだけどね。最近はそうでもないかな?
特に「Ask Me Why」とか、初期のジョンの声って切ないのよ。曲調は明るめなのにね。
他には「Please Please Me」のハーモニカの響き具合には感動すら覚えるし、
同じくポンキッキな「Baby It’s You」、
やるせない「A Taste Of Honey」、
とにかくシャウト!!な「Twist And Shout」とか好きだよね。
(2024.8.3)
持て余す若さと勢いが爆発してる。
一番好きなのは「There’s A Place」。どこか切なくも甘酸っぱいメロディ、なによりこの瑞々しさがたまらない。
(2024.3.5)
『With The Beatles』
白黒の渋いジャケットは有名。
ジョンの顔がデカイ(笑)。が、レコードではすっかりオビに隠れて見えないという(笑)。
昔は、ハマれる曲があまりなくて、一番どうでもいいアルバムだったんだけれど。
でも今は違うんだなぁ。好きな曲がバンバン増えてきて、ビートルズの中でもかなり好きなアルバムとなった。
とにかく速い「It Won’t Be Long」。
CDに聴き慣れてから、改めてレコードを聴いてみるとさらに速い気がする。あまりの速さにどうにかなりそうでハラハラする(笑)。
昔はなんとも思わなかったのが、今ではアルバム中1・2位を争うほど好きな曲になってしまった「All I’ve Got To Do」は、なんと言ってもジョンのヴォーカルが最高。
「All My Loving」は、三連譜を刻むジョンのリズム・ギターが心地良い。
ジョージの処女作「Don’t Bother Me」は、評価は低いようだけど、僕は初めから好きだった。
「Little Child」「Please Mister Postman」「Hold Me Tight」はガンガン攻めてきて、迫力があってよろしい。
「You Really Got A Hold On Me」のジョンとジョージのだらけたヴォーカルの魅力。
「Not a Second Time」の甘酸っぱさもたまらなく好き。
ラストの「Money」は、レコードとCDではかなり違って聴こえたけど、イントロのカッコ良さはレコード(ステレオ)の方が上かな。
とまぁこんな感じで、若さ、勢いに溢れた初期ビートルズの中でも、結構良く聴くアルバム。
シングルとアルバムをきっちり分けてたので、代表曲と言えるものはあまりないため、存在感は薄目かもしれないけど。
でも、それはビートルズの全歴史を見たから言えることであって。
当時は、ジャケットも含め、大きな存在感を放ってたんだろうね。
(2024.8.4)
ビートルズにしては地味目な存在感のアルバムかもだけど。
冒頭の「It Won’t Be Long」は、シングルの「She Loves You」「I Want To Hold Your Hand」に匹敵する曲だと思ってる。
性急な「♪ Yeah Yeah」の応酬がとてつもなくパンチがある。
ノックアウト必至の名曲。
(2024.3.8)
『A Hard Day’s Night』
僕は言いたい。ヤア!ヤア!ヤア!
イエー!じゃない。
ヤア!ヤア!ヤア!なんだ。
初の主演映画のサウンドトラックでもあり、初期の傑作。
全曲がオリジナルで、特にジョンの才能が全開(全13曲中10曲がジョン作)。
若さとパワーをヒシヒシと感じる、非常に内容の濃い作品。
原題は『ハード・デイズ・ナイト』。
『ビートルズがやって来る ヤア!ヤア!ヤア!』という邦題を嫌うファンはとても多いのだが、僕はどちらかというとこの邦題に好意的だった。
ビートルズを好きになる前から「ヤア!ヤア!ヤア!」という言葉がビートルズを表すものだという事を知ってたし、その言葉自体が、当時の熱狂振り・そして時代性を感じさせると思うからだ。
でも今は『ハード・デイズ・ナイト』で統一されちゃったね。
ヤア!ヤア!ヤア!が消えゆくのは寂しい。
そんな名曲揃いのこのアルバムの中でも、初めて聴いた時から、そして今も一番好きなのが「I’ll Be Back」。
このせつなさは一体なんなのだろう。
このアルバムがこの曲で終わっていく時、たまらない気持ちになる。
明るい中にも甘酸っぱさが広がっていくのが魅力な「You Can’t Do That」。
「I Should Have Known Better」も負けず劣らずか。
イントロのワン・コードが鳴っただけでガツーンときた「I’m Happy Just To Dance With You」は、その後のコード進行、リズムギターのカッティングとも最高。
とにかくパンチが効いててカッコいい「Any Time At All」や「When I Get Home」、
後半のファルセットが気持ちいい「Tell Me Why」、
そして主題歌の「A Hard Day’s Night」と、すべてジョンの曲なのである。
これらの曲での張りのあるジョンのヴォーカルは、ほんとたまらない。
名バラードも2曲。
ジョンの「If I Fell」にポールの「And I Love Her」。
同じバラードながら、アプローチの仕方が異なり、それぞれの個性が浮き彫りになっている。
もちろんどちらの曲も好きだが、強いて言えば、素晴らしいハモりの「If I Fell」の方に軍配をあげたい。
ポールの「Things We Said Today」ももちろん大好き...と、ほぼすべての曲がいいのである。
あ、でも個人的には大人気シングル「Can’t Buy Me Love」だけが何故かツボにこないのよ...。
(2024.8.5)
前2作のラスト曲が激しいロックンロールのカヴァー曲だったのに対し、今作ラスト曲「I’ll Be Back」の切なさよ!
サビの「♪ Ah~」のロングトーンを聴いて、ジョンの声って、なんて切ないんだと実感。
いまだに感動する。
(2024.3.11)
『Beatles For Sale』
前作で傑作を作ってしまった事による反動なのか、ハード・スケジュールによるものなのか、ジャケットの表情にも表れているように、疲れの見えるアルバム。
いい曲もあるし、思い切りシャウトしているロックンロールもあるのだが、どことなく地味で、落ち着いちゃった感じがする。前作のあの弾け具合はどこ行っちゃったの??と。
ただ、それはそれでキライじゃないんだけどね。こういう感じも。
そんな雰囲気を象徴するかのような「No Reply」でスタート。カッコいいんだけれど、どこか元気がない(とは言え、アルバム中一番好きなのはこの曲かも)。
元気がないと思ったら、次に出てくるのは「I’m A Loser」ときたもんだ(笑)。
ハモりという観点から聴いていったらどんどん好きになった「Eight Days a Week」と「Baby’s In Black」。
ひなたぼっこのような穏やかさが漂う「I’ll Follow The Sun」「Words of Love」「I Don’t Want To Spoil the Party」。
ビートルズにはあまりにも偉大な曲が多すぎるために、埋もれてしまってあまり話題に上る事もないが、「Every Little Thing」や「What You’re Doing」も隠れた名曲。
地味だのなんだの言ってても、僕が初めて聴いたビートルズのオリジナルアルバムが、実はこの作品。
そんな理由もあって、なんとなーく思い入れもある一枚。
(2024.8.6)
初めて買ったビートルズのレコードの1つ。
疲れたビートルズの表情そのままに、始まるのは「No Reply」。
シャウトもしてるんだけど、どこか無理してる感じがするのは先入観?
アルバム通して、穏やかというか、あまり力入れ過ぎないようにしてる感じ。
(2024.3.14)
『Help!』
今は『4人はアイドル』って言わないですね。
そうか、ビートルズってアイドルだったのかと衝撃を受けたものです。
ジョンの「Help!」、ポールの「Yesterday」と全くテイストの違う2つの代表曲がありますが、ジョージも2曲採用されて、才能が開花しつつあるのを憶えておきたい。
(2024.3.17)
『Rubber Soul』
このあたりからサウンド作りに対する積極性・こだわりが大きく飛躍し、ロックが初めて芸術の域にまで達したと言われるアルバム。
そういった意味でも、トータルアルバムと呼んでも差し支えなく、この作品をベストとするファンも多いよね。
ジャケットからしてひとつの世界観を作り出している。
表情は『For Sale』の時と同じく疲れたものになっているが、前回は「本当に疲れていた」のに対し、今回は「わざと」そんな表情をしてるのではないかと思わせる。つまりはそれもひとつの演出、芸術。
左上のロゴも含めて、それがこの『Rubber Soul』の醸し出す空気。
あえて表現するならば「ビヨーーン」。
ジャケットを眺めていると、僕には「ビヨーーン」という音が聴こえてくるような気がするのである(笑)。
クールなイントロから、その名の通りの「ドライヴ感」がカッコいい「Drive My Car」。
シタールの音が印象的な「Norwegian Wood」や、
重厚なギターの音が耳に残る「You Won’t See Me」「Think For Yourself」など、
やはり「音」の鳴り方、存在感、印象度が今までのアルバムと違う。
バラードは3曲。
しっとり美しい「In My Life」。
いかにもポールらしいのが「Michelle」。
吸い込む音には背筋がゾクゾクとする「Girl」。
歌詞を読めばせつなくなってくる「Nowhere Man」や、
隠れた人気曲の「I’m Looking Through You」。
うーん、どの曲もはずせない。
そして、僕的なハイライトは前半が「The Word」。
このハーモニー。ちょっとやそっとじゃできないぞ。ジョンの「♪ in the beginning...」のくだりがカッコいい。
そして後半のハイライトが「Wait」。
もう言葉にならないくらいシビれまくり。歌い出しのジョンも、サビのポールも最高にクール。
ジョージの「If I Needed Someone」や、
あっさり軽く歌い流す「Run For Your Life」だって忘れちゃならない。
最初から最後まで貫かれる『Rubber Soul』な空気を体感せよ。
いくら好き嫌いはあるとは言っても、このアルバムがキライ、って言うビートルズ・ファンはおそらくいないだろうな、ってなすごい作品。
限りなく5ツ星に近い4ツ星。
(2024.8.7)
それまでロックは若者のものだったのが、大人でも楽しめる芸術と捉えられるようになったのはこのアルバムからだと思います。
それは「Nowhere Man」「Michelle」「Girl」「In My Life」のような美しい旋律、コーラスのバラードが大きな要因だと思うのですがどうでしょう。
(2024.3.20)
『Revolver』
『Rubber Soul』で高まったレベルを、さらに発展させてとんでもない所にまで持っていった作品。
『Rubber Soul』に【芸術】という言葉があてはまるなら、『Revolver』には【実験】という言葉がよく似合う。そしてこのあたりからビートルズの「音」が俄然面白くなる。
僕がこのアルバムを聴いたのは割と遅かったな。オリジナル・アルバムの中では一番最後だったかもしれない。
ビートルズを好きになってからは、毎月アルバムを買い集めてはいたんだけど、このアルバムはなんとなく後回しになってたんだよね。
そうしたら、たしかアルバムのCD化を記念してかなんかで、深夜、ラジオでアルバムまるまる流すとかっていう番組をやったんだよね。
だから、ちょうどいいや、『Revolver』はどんな感じなのか聴いてみよう、って。
眠い目をこすりながら、「Taxman」「Eleanor Rigby」は知ってたから、ふんふん、という感じで聴いてたら、「I’m Only Sleeping」がかかって、「なんだ、これは!?」と。
今まで感じた事のないけだるさ。すごいもんに出会った、という感じで、眠気も吹っ飛んだというか...半分眠い中で聴いたからこそ一層インパクトがあった、というか(笑)。
ギターの音もジョンの声もなんか変だし。でも、そこがいいの。
以来、このアルバムの中ではこれが一番好きだし、もちろん今でも、そしてこれからも決して飽きる事はないであろうと確信できる曲。
冒頭のカウントからしてカッコいい「Taxman」。
この印象的なベースのフレーズは、この後よく真似された。
ジョージの曲がアルバムのトップを飾るのはもちろん初めてで、このアルバムには他にも「Love You To」「I Want to Tell You」と、いかにも「らしい」ジョージの曲が計3曲も収録されていて、ビートルズ内におけるジョージの成長・躍進がはっきりとわかる。
この「Taxman」を聴いた時、誰もが「カッコいい!やるじゃん、ジョージ!」と思った事だろう。
次に目立つのはポール。お得意のバラードにも磨きがかかり、
哀しい「Eleanor Rigby」、
甘く美しい「Here, There and Everywhere」、
どことなくカラッとしている「For No One」を提供。
他にも、グルーヴ感を前面に押し出した「Good Day Sunshine」「Got to Get You Into My Life」など、この後の『Sgt.Pepper』に向けてポールの勢いが加速してきた事がわかる。
そしてジョンも、「I’m Only Sleeping」の他にも、リフが鮮烈な「And Your Bird Can Sing」、
そして、このアルバムが【実験的】と評される大きな理由である楽曲「She Said She Said」「Tomorrow Never Knows」など、印象的な曲を残している。
特に後者の2曲の【ぐにょぐにょ感】は中期~後期のビートルズ・サウンドを象徴していて、これらの曲を「訳わかんないんだけど、なんかいい」と思えれば、立派なビートルズ・ファンである。
そしてリンゴ。
一般人に「知っているビートルズの曲は?」と訊いたら割と票を集めるであろう、日本では有名な「Yellow Submarine」。
このアルバムの中では...うーーん、やっぱり浮いてる(笑)。
このアルバムを「一番好き」という人は、「通」なイメージがあったんだよね。もちろん僕も好きではあるけれど、「これが一番?お主、なかなか...」ってな具合で、マニアなイメージだった。
でも、昔とはその評価も変わり、今ではビートルズの最高傑作といえばコレ、みたいな扱いを受けることが多くなってきた。
あちこちに影響を与え、時代と共に成長し続けるアルバムかもしれない。
(2024.8.8)
今や人気も評価もNo.1アルバムになりましたね。
ジャケットからしてグニョグニョで、その通りのサイケな音なのだから。
サイケは実験の歴史でもあるんだろうけど、サイケだけでなく王道ロックや美しいバラード、ほのぼの系もあるんだから魅力的。
(2024.3.24)
『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』
ロックの金字塔だとか最高傑作だとか、それはもう至る所に書いてあったので、ものすごい期待を持って緊張して聴いたのを憶えてる。襟を正して正座して聴く、みたいな。
あのカラフルで派手なジャケットを見るだけでワクワクさせられたしね。これにどんな傑作が詰まってるんだろう、って。
長いタイトルも憶えただけでなんだかウキウキ。ゴロがいいじゃん?サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド、って。なんかの呪文のように、何度も口にしたくなるような。
いろんな意味で、ビートルズの完成品だと思う。今まで培ってきた技術の集大成というか。これ以降はバラバラになっていく訳だしね。
ただ、飛び抜けていい曲ばかりが揃ってる、という訳でもないんだけどね。
とにかくすごい曲と言ったら「A Day In The Life」くらいで。
たしかにこの曲はすごい。あのオーケストラの昂揚は、初めて聴いた時は怖かったなあ。音がズンズン体の中に迫ってくる感じで。
このアルバムの魔力は、途中で切り上げる事のできない、聴き始めたら最後まで聴き通さないと気分が悪い、そんな所にあるんじゃないかな。
随所に散りばめられたSEも効果的で、アルバム全体を通して1曲、みたいな。
それがトータルアルバムと感じる所以でもあるだろうし。
オープニングのざわめきを聴き始めたら最後までノンストップ。
ヘヴィなロック「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」の次には、ほのぼのリンゴの「With A Little Help From My Friends」が聴きたくなるし、
その次はどこか寂しげなジョンの声で幻想的な「Lucy In The Sky With Diamonds」が流れなきゃダメだし、
その次は「Getting Better」のギターの跳ねたカッティングが聴こえてこなきゃ気がすまないし...と、最後まで針をあげる(CDを止める)タイミングがつかめないんだよね。長年聴いてても。
それってやっぱすごいと思う。理由はわからないけれど、やはり何かが存在してるんだと思う。
このアルバム唯一のバラード、家出少女の綺麗な曲「She’s Leaving Home」の次には、
テーマ・パークのごときこのアルバムを象徴しているとも言える「Being For The Benefit Of Mr. Kite!」。
テーマ・パークというか、サーカスの曲と言った方がわかりやすいか。
A面がこの曲で終わるんだけど、楽しいというよりも妖しさいっぱい不思議さいっぱいといった感じで、思わず「すげー」と唸らされた。「A Day In The Life」と並んで大好きな曲。
で、レコードをひっくり返すと、今度はジョージの怪しい世界「Within You Without You」が始まる、という。
思わず「ポンキッキだ!」と叫んでしまった「When I’m Sixty-Four」でほのぼのした後は、
メドレーのごとく一気にラストまで突っ走る。
「Good Morning Good Morning」から「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)」の流れも最高。
なんなんでしょう、これは。とにかく、つまみ聴きを許さない程の傑作、という事なんですな。きっと。
そして、長年の疑問。このジャケットって描いた絵みたいに粗く見えるんだけど、写真なんだよね?
(2024.8.9)
僕に「アルバムを聴くこと」の重要性を教えてくれた作品。
流れが大切で1曲も聴き漏れできない。
それが画期的な事だったはずも、サブスクなどで1曲単位で聴く人が多い現在、この作品の評価が下がってきているのは仕方ないのかもしれません。
(2024.3.27)
『Magical Mystery Tour』

ビートルズの意思のもとにまとめられたものではないアメリカ編集盤だが、もはやオリジナル・アルバムとも言っていい程の地位を獲得している作品。
テレビ・フィルム『Magical Mystery Tour』のサウンド・トラックとして変則EP盤として出されたA面(こちらはビートルズの意思)に、シングル曲をB面に詰めて出来あがったもの。
これが名曲揃いで、しかもうまい具合にハマッてしまったので、これだけ人気と地位を得る事が出来た訳だね。
つまり、B面のシングル曲の存在が大きいと言える訳だが、しかし、僕はあえてA面の良さを強調したい。
とにかく僕が一番好きなのが「Your Mother Should Know」。
なんでこんなにせつなくなるの?なんでこんなに悲しくさせるの?と、感動しながらポールを責めたね(笑)。
フィルム『Magical Mystery Tour』ではエンディングで効果的に使われていて、この曲にあわせて階段を降りるシーンは大好き。
もちろんその他も名曲揃いなので順を追ってくと。
華やかな幕開けの「Magical Mystery Tour」。
もう、ポップポップ。だけど、最後にマジカルで怪しげなピアノ・ソロに切り替わるのがまた魅力的。
次の「The Fool On The Hill」は、とにかく寂しい。孤独を感じる曲。
でも、悲しくなる孤独じゃなくて、見守ってあげたくなるような孤独かな。
「Flying」。
これぞ怪しげな『Magical Mystery Tour』の世界が全開。
続くジョージの「Blue Jay Way」もかなり怪しい。
霧か煙の中に包まれていってしまう感じ。
A面ラストの「I Am The Walrus」。
初めはそんなに好きじゃなかったんだけれど、徐々にこの曲のサウンド...雰囲気というか存在感みたいなものに惹かれてきたね。
てな訳で、A面だけでも立派に成立するとは思うんだけど、キャッチーなシングルが続くB面が加わって、強力な一枚になっちゃった訳だからね。ちゃんと触れておこう。
イントロを聴いただけで、この曲を好きにならずにいられない、ってのが「Strawberry Fields Forever」でしょう。
僕は、ビートルズに興味を示した人には、まずこの曲を薦めることにしてます。
それから、ポールらしくポップにまとまっている「Hello, Goodbye」「Penny Lane」。
前者はポールの来日公演で聴いて、ますます好きなったし、
後者は、ホルンの響きが心地良い。
ファルセットで歌われる緩やかな雰囲気から、力強いサビに変わる「Baby You’re A Rich Man」も聴き逃せないと思う。
そして「All You Need Is Love」での大団円。
まるでベスト盤の趣き。
このLPの制作はビートルズの意思ではなかったにしても、ホントうまくまとまっちゃってるよなあ。
(2024.8.10)
TV番組の企画とはいえ、これも前作に引き続きコンセプトありで、そこにシングル曲を集めてアルバムにしたのはアメリカのファインプレー。
ビートルズの中でもとびきり華やかで、ちょっと不思議なアルバムに。
ビートルズ初心者に薦めるならこれを挙げたいです。
(2024.3.30)
『The Beatles』
『Sgt.Pepper』とは違って、ここではとにかく、どんな曲があるのかなあ?と1曲1曲を楽しむのが一番。
真っ白なジャケットそのままに、あまり深い事考えず、といったところか。
2枚組で全30曲というのもボリュームがあって、ワクワクさせられた。実際に、様々なタイプの曲が収められ、ビートルズの魅力を多角的に捉える事ができる。
レコードにはおまけポスターが付いてた。デカいコラージュ・ポスターに、メンバー一人一人のポートレイト・ポスター。
ジャケットには限定番号付き(僕のはA423279)。
もちろん名曲多数。大好きな一枚。
ビーチ・ボーイズのパロディ「Back In The U.S.S.R.」は、初めはどのあたりがパロディなのか、わからなかったけれど(笑)、そんな事を抜きにしても充分楽しめるし、カッコいい楽曲。
「Glass Onion」はイントロのドラムの♪ ダン!ダン!からしてカッコいいんだけど、どことなく怖い(特にエンディング)。
しかし、その次の「Ob-La-Di, Ob-La-Da」の陽気さにホッとさせられたり。
「Wild Honey Pie」はとにかく奇妙。
ジョンの「The Continuing Story Of Bungalow Bill」。
こういうストーリーものというか、童謡的なものはポールの方が得意としてたのだが...。突然現れたヨーコの歌声にはドキッとさせられたものだ。
そしてジョージの「While My Guitar Gently Weeps」。
もうタイトルからして名曲よ。ビートルズ時代のジョージの最高傑作はとにかくコレ。
なんかね、すごくジョージを表してる曲だと思うんだよね。
イントロのピアノ、絡みつくように入ってくるリード・ギター、哀愁漂うジョージのヴォーカル。
初めて聴いた時、「もうジョージ、やってくれるじゃん!!」と涙が出たものだった。クラプトンのギターもとにかくカッコいいし。
そしてその後の「Happiness Is A Warm Gun」。
たくさんの収録曲があるこのアルバムの中で、一番好きなものを問われたらコレをあげるね。うん、「迷わず」コレと言うな。
展開もめまぐるしく変わるし、そしてどのパートもカッコいい。
後にジョンは撃たれて死んでしまうんだよなあ、と考えると非常に複雑な気にもなるんだけど...そんな複雑な気持ちで聴くのがまた良かったりもして(不謹慎?)。
B面に入ると、優しく軽快な「Martha My Dear」、
穏やかな弾き語りの「Blackbird」、
ヴォーカル・ベースが印象的な「I Will」と、
得意のバラードで存在感を示すポール。
そしてそれだけではない。Aメロの歌いっぷりがカッコいい「Rocky Raccoon」。
後半の展開がいかにもポール。
ジョンほどドロッとはしてないものの、タイトでヘヴィな「Why Don’t We Do It In The Road?」と、ポールの活躍が目立つ。
『Revolver』の時は眠かったジョンが、今度は疲れはじめた「I’m So Tired」。
今度はけだるいだけではなくて、何故か力強い。よほどキレかかってたのだろう(笑)。
それから、オーシャン・チャイルド(洋子)へ歌った「Julia」。
なんか、モヤ~ッとした良さがある(笑)。
C面はハードな曲の連続。
とにかくリフが命の「Birthday」。
しかし、一番の聴き所は、ジョンのソロパート。「♪ Yes,We’re~」の部分は何度聴いてもゾクゾク。
「Everybody’s Got Something To Hide Except Me And My Monkey」。
長いタイトルを憶えるのは気持ちいい(笑)。狂ったように騒ぐのがマル。
その他にも「Yer Blues」「Helter Skelter」と、ガンガンに攻めてくる。
それ以外では、ジョンのメロディと展開が魅力の「Sexy Sadie」、
春のうららにうたた寝しながら聴いてたらものすごい気持ち良かった、ジョージの「Long, Long, Long」がお気に入り。
D面ではなんと言っても「Revolution 9」でしょう。
「アヴァンギャルド」という言葉は、この曲(の存在)で憶えた。
曲と呼べるかどうかも疑わしいこの作品をどう評価するかは、ファンによっても様々。ちなみに僕は、「割と好き」なのである(笑)。
訳わからない展開、フレーズ、セリフ。はっきり言って怖かったりもするんだけれど、その得体のしれなさに、なにかしら魅力を感じるんだよね。
長いし、さすがに繰り返し何度も聴こうとまでは思わないけれど...たまに、ちゃんと通して聴くといいんですよ。なかなか。
で、緊張して聴いてようやく終わったと思ったら流れてくる「Good Night」にすごくホッとさせられるのだ。
この落差がいい。「レボ9」と「グッナイ」はセットで聴くべし。
「Honey Pie」の懐かしげなメロディ、ポールならでは。
エレクトリック・ピアノとホーンの響きが印象的な「Savoy Truffle」、
ジョンの曲なんだけど、エンディングにポールがさりげなく付けたメロディがまた良かったりもする「Cry Baby Cry」...。
とにかくいろんなものが詰まっているホワイト・アルバム。
「永遠の」2枚組。
(2024.8.11)
コンセプトとか新しいサウンドとか一切考えず、作った曲を片っ端から入れてみた。
無心になってのWhite Album 2枚組。
ポップ、フォーク、ロック、アヴァンギャルドな4面。
散漫だとか言うけれど、良い曲がいっぱい入ってるだけで尊いのです。
(2024.4.2)
『Yellow Submarine』
アニメ『イエロー・サブマリン』のサウンド・トラック。
半分(B面)がジョージ・マーティン・オーケストラによる演奏なので、純粋なビートルズのアルバムとは言えないとする人も多数。でも僕は割と好きだったんだよね。このアルバムも。
ジョージ・マーティン・オーケストラの曲も、そりゃあビートルズの曲に比べたら、何度も何度も聴こうとは思わないけれど、綺麗なメロディの曲が多かったし。そんなに捨てたもんじゃないぞ、と思ってる。
アニメ自体もすごく好きだったから、あの世界を思い出せるしね。
それに、なんと言っても「Hey Bulldog」が入ってるからね。
ビートルズの中で好きな曲ベスト3の中に入るくらい好きなのだ。これは。
ジョン得意のクールなロックン・ロール。オルガンの音が印象的。間奏のリード・ギターもものすごくドライヴしてて、何度聴いてもシビれる事のできる曲。
それから「All Together Now」。
ポールお得意の、楽しいお子様ソング、って感じなんだけど、♪ボンボンボン...の後に入るジョンのフレーズがカッコ良くて。
ベスト盤はもちろん、たくさんあった編集盤レコードなんかにも入ったことはなかったと思うので、まさしく隠れた名曲だと思ってる。
そしてこのアルバム、ジョージ度が高いんだよね。
「Yellow Submarine」と「All You Need Is Love」は、既発表のものだったため、【このアルバムならでは】という意味の曲は4曲しかない。そのうち2曲が上記のもので、残り2つがジョージの曲。レノン/マッカートニーと五分じゃないか(笑)。他のアルバムに比べたら、断然ジョージ度高いよね。
で、そのジョージの2曲「Only A Northern Song」「It’s All Too Much」が素晴らしいと思うんだよね、僕は。
サウンド的にも派手で、サイケな雰囲気も醸し出してるし。演奏も素晴らしいと思うよ。
「It’s All Too Much」の冒頭のジョンの叫び(?)もカッコいいし。
そんな訳で、軽視されがちなこのアルバムの存在をプッシュしてきた僕だったけれど、その後『Yellow Submarine Songtrack』が出ちゃったからなあ。このアルバムの存在価値がまた薄れてしまったのは否めない。
(2024.8.12)
ビートルズ1番の不人気作だろうけど、超カッコいいジョンの「Hey Bulldog」が入ってるし、ジョージはサイケにぶっ飛んだのが2曲も入ってるし、B面のマーティンのオーケストラも不思議な世界観だし、聴きどころ多い。
なので、絶対甘く見ちゃいけないと思うのです。
(2024.4.5)
『Abbey Road』
事実上のラスト・アルバム。
ビートルズは既にバラバラ、ほとんど解散状態だったのにもかかわらず、ムリヤリ集まって作り上げてしまった作品。最後の力を振り絞ったという感じ。
それにしては出来過ぎだよ...というか、ほとんど奇跡。いや、それもビートルズならばこそ成せる業だったのか。とにかく凄いものを作ってしまった。
初期の魅力とはまったく別の魅力が詰まっている。
ビートルズに興味がなかった時の僕でさえ、このアルバム・タイトルとジャケットは知っていたのだから、一般人への(その存在の)浸透度も高いと思える。
僕がビートルズを意識するきっかけともなった「Come Together」。
とにかく、重たいベースのフレーズとドラムが強烈な印象。後期のジョンの特徴でもあるクール&ヘヴィが全開。
で、さらにヘヴィを追求したのが「I Want You」。
これまた重たい。ベースが気持ちいい。ラストはいつ終わる?いつ終わる?...とハラハラしながら聴くのがよろしい。
A面はこの曲で終わるので、その後の「Here Comes The Sun」を聴くと、とにかくホッとする。
ジョージの曲としてはもう一曲、「Something」も入っていて。
このジョージの曲のクオリティの高さも、このアルバムがビートルズの最高傑作と呼ばれる理由のひとつとなっているのだろう。
ポールはお得意ボードヴィル調の「Maxwell’s Silver Hammer」、
わざわざ声をつぶしてのシャウト「Oh! Darling」など。
リンゴも自作曲「Octopus’s Garden」を披露するなど、A面...いや、B面頭の「Here Comes The Sun」までが、メンバー各自の曲を【いつも通りに】聴かせる、という感じで、僕の中ではひとまとまりなのね。
で、次の1曲が、僕が一番【解散】を意識させられる曲なの。「Because」。
ジョン、ポール、ジョージ3人のハーモニーは素晴らしく、どうしてこの曲に【解散】を意識させられるのかはわからないけど。せつないと言うよりやるせない。でも美しい。その雰囲気から、崩壊の美学みたいなものが感じられる気がするんだよね。
で、「Because」での解散宣言を受けて、ここから奇跡のメドレーが始まる。
「You Never Give Me Your Money」。
ピアノのイントロからAメロ、初めて聴いた時は涙が出るくらいせつなくなった。胸が締め付けられる思いがした。なんでこんなメロディが考えられるんだろう、と。これもまたポールの真骨頂。
「Sun King」ではいったんゆったりと落ち着かせ、
「Mean Mr. Mustard」では、ひきずるような、だらけるような雰囲気に。
そして眩しいくらいのギターの音と共に始まる「Polythene Pam」から徐々に盛り上がっていき、
「She Came In Through The Bathroom Window」ではお祭り気分。
冷静に考えてみると、「Sun King」~「She Came」の4曲は、それぞれを独立した形で完成させてたら、たいした事のない曲になってた可能性もある。でもそれらを、(実は1曲としては成り立たないからこその苦し紛れだったかもしれないが)メドレーとした事で、各曲が映え、ものすごく輝きだしたと思う。
そして「Golden Slumbers」~「Carry That Weight」。
ポールならではの壮大なバラード。途中に「You Never」のフレーズが出てくるアイデアもマル。
もうこの辺りの流れは何度聴いても涙ものなんではないだろうか?ビートルズが終わっちまうよ...って。
「The End」になると、もう吹っ切れちゃってるからね。突き抜けてる。解散を楽しんじゃえ、ってさ。
リンゴのドラム・ソロもいいし、順番に弾きまくるギター・ソロも、どれもものすごくカッコいい。最後にこんな事やるなんてね。やっぱカッコいいよ、ビートルズは...。
最後の最後の「Her Majesty」は、ホントにささやかなおまけ、って感じで。
まあ、とにかくすごいさ、これは。解散うんぬんを考えなくても名盤。考えるともっと名盤。
ただ、この素晴らしいアルバムにいちゃもんを付けるとするならば。
よく考えてみると、アルバムとして全体を見てみると、作りは中途半端なんだよね。
後半のメドレーにしたって、B面の頭からじゃないんだもの。思いっきり中途半端じゃない?
『Sgt』制作時のビートルズだったら、A面頭からのメドレーを考えたっておかしくなかったと思う(アナログはA・B面があるので、完璧なメドレーはムリだけど、理念としては考えられたはず)。
そのメドレーの中途半端さに、やはりビートルズは解散ギリギリのところでやってたんだな、全曲メドレーを作り上げるまでの力はなかったのだな、という気がするんだよね。
(2024.8.13)
ロックの持つ激しさと美しさがこれほど見事なまでに調和している作品ってなかなかないですよね。
『Sgt.』と同じく流れが重要で、ビートルズの創作活動の最後を飾ると思うと感動も増大。
よくぞ作ってくれたと。
コレがあるからこそビートルズは完璧な歴史になった。
(2024.4.8)
『Let It Be』
メンバーの気持ちが一番バラバラだった時に作っただけに、非常にラフな作品群。
それを、プロデューサーのフィル・スペクターががんばって(ムリヤリ?)仕上げたから、それなりにまとまって聴こえるのかもしれない。
おそらく、これを聴くビートルズ・ファンは全員、複雑な気持ちなんだろうな。
有名すぎる曲はあまり好きではない僕だけど、「The Long and Winding Road」は好き。
ポール自身は好きではないといってたスペクターのアレンジも、僕は割と好き。あれだけ派手にしたのはひとつの正解だったと思う。もともとのシンプルなアレンジ(映画の中でのポールの弾き語り)も好きなんだけどさ。
それにしても、全体的にだらけた感じだよね。さっきは「ラフ」って、良い言い方したけどさ、やっぱりどこかやる気がないのは隠せないな。
そんな中でも、「Two of Us」は、ポールとジョンが仲良さそうにハモッてるのが、たとえウソでも(?)嬉しくなる。
また、そのだらけ感がいい味になってるのはジョージの「I Me Mine」だと思う。
弱々しい前半から、途中で力強い曲調に変わるのもいいアイデア。
実は、ジョージの曲としては「Something」「Here Comes The Sun」よりも好きだったりする。
「Dig It」「Maggie Mae」は面白い。
「I’ve Got a Feeling」は、ポールのシャウト系なんだけど、ちょっとかったるい気もして。でも、後半、ジョンが絡んでくるところからグッとカッコよくなるのだな。
「One After 909」は、これまた「ポンキッキだ!」という事で感動した曲。
「Get Back」は、サビでのジョンのギター・フレーズが好き。
「Let It Be」は...有名すぎるからあえてノー・コメントで(笑)。
散漫で、ビートルズの終焉を感じさせる、悲しいイメージを持ったアルバムだったけど、近年は評価が変わってきてる気がする。
ドキュメンタリー『Get Back』で明らかになったように、ビートルズは決して喧嘩しながらイヤイヤ音楽をやってたというばかりでもなく、楽しんでセッションしていた時間も多くて。
本番のルーフトップでは緊張感に溢れた演奏になるし。
どういうアルバムにするかの試行錯誤も含めて、人間味あふれる作品に思える。
ビートルズ最初で最後のプロセス・エコノミーなプロジェクトと捉えることも可能かな。
(2024.8.14)
先に出た『Abbey Road』のサウンドと比べると落差激しくて、ちょっと物足りない面も。
まあ、ライヴ感というか、シンプルな楽器でバンドを始めた頃を思い出すための装置だった。
それがフィル・スペクターに装飾されたわけで、その目指したところのズレが泣ける。
(2024.4.11)
『Past Masters』
ビートルズのオリジナル・アルバムのCD化が終了し、「でも、アルバムに入ってない曲はどうなるのさ?」の声に応え、アルバム未収録の曲を2枚のアルバムにまとめたのが『Past Masters』シリーズ。
一応アナログでも発売され、当時CDデッキをまだ持ってなかった僕は、アナログ盤を購入したのだった。CDでは2枚バラで売っていたのに、アナログは1&2をセットにした2枚組での発売。
1枚目。
「I Want To Hold Your Hand」「She Loves You」など、全体的に、初期のビートルズの象徴であるストレートなロックンロール揃い。
「I Feel Fine」も入ってるんだっけ。
カヴァーものでは、ジョンがスリリングかつパワフルに歌う「Slow Down」「Bad Boy」が特に好きだったな。
それから、当時入手困難だった「I’ll Get You」と、「抱きしめたい」「シーラヴズ・ユー」のドイツ語版が僕にとっての目当てだった。
「I’ll Get You」は、オーイエー、手拍子、ハーモニカと、初期の【武器】をふんだんに使った曲。
こんなロックンロールな一枚の中で、僕がとびきり好きなのはバラードの「Yes It Is」。
ジョンがせつなく歌っている。歌詞もいい。
それと似た曲調の「This Boy」も、もちろん好き。
うん、この2曲のバラードはホント好きでねえ。このアルバムの他の16曲全部の好き度を足しても、この2曲の好き度には敵わないんだよね。
2枚目の方は中期~後期のシングルがズラッと並ぶ。
有名曲ばっかりなんで、コメントは控えようか(笑)。
まあ、特に好きな曲をあげるとするならば。
「We Can Work It Out」は、ジョンのパート(ポールとのハモリ)が好き。「♪ Life is~」って所ね。
ポールの曲の中で出てくるジョンって、すごい好きなんだよね。ものすごくスパイシーなんだわ(笑)。
それから「Rain」。
このあたりから、サウンドが面白くなってくる。リンゴのドラムの音なんかも、魅力的なものになっていくんだよね。
とにかくイントロがカッコいいのが「Revolution」。
ホワイト・アルバム収録のものとは桁違いのカッコ良さ。歪んだギターをフィーチャーして、ハードかつポップな仕上がりになっている。MVも、ものすごくカッコ良かったな。
「Across the Universe」は、『Let It Be』ヴァージョンよりこちらの方が好きかな。
テンポ速いからダレないし。新鮮に聴こえる。
「You Know My Name (Look Up the Number)」も当時は入手困難だった。
ポールもジョンも変な声で歌っている、変な曲なんだけれど、僕は割と好き。
その他、あえてとりあげなかったけれど、ビートルズの代表曲がズラッと並んだ好盤。
やや変則的ではあるけれど、ベスト盤的な感覚を持って聴ける要素もある。
ただ曲を並べただけで、なんの面白味もないと、一部では批判的な声もあったけれど、
僕にしてみれば、このアルバムを買って、ようやくビートルズの曲が全部集まった...という安心感と達成感をもらえたアルバム。
(2024.8.15)
アルバム未収録のシングルをまとめてCD化。
当時は2枚バラ売りだった。『Vol.1』は黒盤と呼んでいいのか?
「She Loves You」「抱きしめたい」とか大ヒット曲は当然だけど、「This Boy」「Yes It Is」などのB面曲が嬉しかった。
前期のストレートなロックンロールが眩しい。
(2024.4.14)
アルバムに入ってないシングル曲を集めてCD化。
寄せ集めと言ったらそれまでだけど、便利だし、嬉しかったなあ。
僕は性急に変化していく後期の『Vol.2』が好き。
「Hey Jude」「Revolution」辺りは最強すぎる。
オリジナル・アルバムとはまた違う感動が押し寄せます。
(2024.4.17)
『Yellow Submarine Songtrack』
『Yellow Submarine Songtrack』が出た時はとにかくビックリした。
リマスターだけでなく、リミックスで登場したこのアルバム、音が良くなったのはもちろん、今まで聴こえなかった音が聴こえたりもしてとにかく新鮮、しかもイメージを損なう事無く処理されていた事に好感を持ったオールド・ファンも多かったのではないだろうか。
半分がインストだった、従来の『Yellow Submarine』サントラに比べ、『Yellow Submarine Songtrack』は映画で使われたビートルズの曲を全曲収録している事で、サウンドトラックとしての価値も上がっている。
オールド・ファンから入門者まで、期待以上に満足できる作品に仕上がっていた。
ただ、あくまでオリジナルがあってこそのリミックス。やはりオリジナルを聴き込んだ人にこそ聴いて欲しいアルバムだとは思う。
(2024.8.12)
ビートルズの音源を初めてリミックスしたのがこのアルバムじゃなかったっけか。
ジョージ・マーティンのオーケストラは除外して、映画で使われた曲を網羅。
最初からこうしてれば良かったのにね。
曲の並び見るとこの映画、かなりサイケだったなと気付く。
(2024.4.20)
『Let It Be…Naked』
フィル・スペクター盤も好きだけど、文字通り、こちらの生々しいサウンドも好き。
余計な装飾をせず、あの時ビートルズが目指した、せーの!で演奏しているようなライヴ感。
まさにデビューの頃にGet Backしたかのようでシンプル。
CCCDがイヤで輸入盤を買ったっけ。
(2024.4.23)
『1』
ビートルズのベスト盤を出すのは難しい。どの曲を選ぶかと。
そこで、1位になった曲を集めるというコンセプトは画期的だった。
想定以上のバカ売れ。
僕は「Please Please Me」と「Strawberry Fields」が入ってないのが不満で見送ったけど、近年MV集DVDが付いて再発された時は抗えず買ったよ。
(2024.4.26)
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