井上陽水 Live@大宮ソニックシティ 2017.10.3 感想

2017年10月3日(火)@大宮ソニックシティ

近場で、仕事が休みの日。行くしかないでしょ

陽水が秋からツアーを再開するとのニュース。
僕は5月に東京公演を観たばかりだったのだけど、スケジュールを見て手が止まった。
初日が、僕の家から近くて、帰りの電車の時間を心配する必要がない大宮ソニックシティ。
好きなアーティストがライヴをやるとなったら、なるべく観に行こうと思っていた会場だ(でも、何故かあまり機会がない)。
そして、その日は僕が仕事の休みが確定している日。
同じツアーなので、セットリスト的には大幅な変更はないだろうから、普通ならもう観に行かないところだったけれど、大宮ソニックシティで、仕事が休みの日にやってくれるとなったら、これはもう、行け、って事なんじゃないかと思って。
ちょっと迷ったんだけど、抽選に申し込んでしまった。
そしたら、すんなりと当たって。
蓋を開けてみたら、一般発売でも初日に完売しなかったので、慌てて先行で獲る必要はなかったなあと思ったのだけれど。

春のツアー終了後から3ヶ月くらい空いてたので、セットリスト変えてくれるかなと、淡い期待もしてたんだよね。
前ツアーの『United Cover 2 Tour』では、ツアー前半と後半でセットリスト大きく変わった、という事があったからね。
まあ、大幅には変えなくても、陽水のライヴは各日微妙に変わるセットリストだから、今まで聴けなかった曲が少しは聴けるかな、と。

ライヴ当日。会場へ

大宮には15時くらいに着いてしまって、BOOK OFFで買い物しようと思ってたんだけど、さすがに3時間も時間を潰すのは大変かなと思って、BOOK OFFの次はどこへ行こう、ルミネの本屋さんか、アルシェのHMVか、なんて事を考えていたんだけど、BOOK OFFであれこれ時間かけて見回ってたら、あっという間に18時過ぎちゃって。
開演18時30分だから、ちょっと焦った。のんびりしすぎた。
慌てて店を出て、駅も東口から西口へ移動、ソニックシティへ小走りで急ぐ。
会場に着いたのは18時20分だった。
トイレを済ませて、着席したのは、開演数分前だった。あぶないところだった。

僕の席は2階7列36番。
先行で買うんだから、前の方の席当たってくれよ、の願いも届かず、発券したチケットに「2階席」の文字を見た時は、やっぱり先行って、悪い席ばっかり当たるよなあ、と腹が立った。
でも、調べてみると、7列というのは2階席の最前列で、36番というのはほぼ中央で、しかも通路側の席。
これは僕にしてみたらラッキーで、思ってたよりも良い席だったので安心できた。
ただ、2階の最前列っていうのは、高所恐怖症の僕にとっては、ちょっと怖いんだよなあ。

ライヴのスタート

開演時間を7分ほど過ぎ、場内が暗転。
バンド・メンバーは、ギター2人、ベース、ドラム、キーボード、女性コーラス2人の固定メンバー。
演奏が始まって、女性コーラス隊のスキャットの中、陽水が登場。

01. この頃、妙だ
02. Pi Po Pa
03. フィクション
04. 青空、ひとりきり
05. Make-up Shadow
06. 移動電話
07. カナリア
08. 限りない欲望
09. ワインレッドの心
10. 女神
11. 瞬き
12. 帰れない二人
13. 神無月にかこまれて
14. Just Fit
15. リバーサイド ホテル
16. 夜のバス
17. めぐり逢い
18. 最後のニュース
19. 氷の世界
20. 結詞
(Encore)
21. アジアの純真
22. 夢の中へ
23. 夏の終りのハーモニー

1曲目の「この頃、妙だ」から「青空、ひとりきり」までの4曲はメドレー。
やっぱり、春のツアーと同じ構成だった。
これで、大幅にセットリストを変えてくれるかもという淡い期待は砕けた。

「この頃、妙だ」は、春のライヴを観た時は、これが入っている『バレリーナ』は聴いた事ないアルバムだったので、そこで初聴きだったのだけど、あれから『バレリーナ』のレコードを買ったので、この曲も数回聴いた。
だけど、アレンジがオリジナルと全然違うので、なんだかまだ全然馴染みのない曲に聴こえた。
陽水が1曲目に持ってくるくらいだから、お気に入りの曲なんだろう。もっと聴きこまないとな。
妖艶な雰囲気で、たしかにどこか妙な曲。陽水も妙なステップでリズムを取りながら歌う。

その妖艶な雰囲気のままメドレー形式で「Pi Po Pa」に繋がっていく。
この繋がりは絶妙で、「Pi Po Pa」に変わった瞬間はシビれた。

陽水がアコギを手にして、演奏は途切れないまま「フィクション」になだれ込む。
より怪しい感じが出て、いい感じ。

そして、メドレーではあるけれど、ここまでの妖艶さがスパッと一瞬で変わって、ファンキーな「青空、ひとりきり」に。
空気が変わった。
今までどちらかというとボソボソと歌っていた陽水が、ここでかなりのシャウトを魅せる。

この、冒頭にメドレー4曲を持ってくるというのは意表を突く構成だと思うんだけど、僕は既に体験済みだったからねえ。
初聴きのお客さんは、一気に心を掴まれたろうけど、僕は...うーん。

「Make-up Shadow」は、イントロがなんかおかしかったな。ベースの音がキー合ってないかのような印象を受けた。
陽水も不安だったのか、冒頭のスキャットも途中で止めちゃったし、メンバー全員おっかなびっくり演奏してるように感じた。
歌が始まったら、ちゃんと正しく聴こえてホッとたけど、やっぱり、イントロはミスってたんじゃないだろうか?

「移動電話」
これは、ロッカ・バラードのリズムがいい意味で単調で心地良く、好きな曲なので、何度聴いてもウットリする。

「カナリア」も、ある意味ロッカ・バラードか?さっきと全然雰囲気違って暗いけど(笑)。

「限りない欲望」は、前回観た時は、終盤に披露された曲だったので、こんなに早い登場にはビックリ。
しかも、前回のライヴで1番感動したのがこの曲だったんだけど、2度目となると、やはり新鮮味やサプライズ感はなくなるので、それほど感動には至らず。大好きな曲なんだけどね。

「ワインレッドの心」もそうだったんだけど、今ツアーでは、曲のいくつかを、オリジナルとは歌い方を少し変えててね。
メロウな歌い方をしないで、言葉ひとつひとつを区切ったりして、置きに行ってる感じなので、ちょっと違和感があった。

「女神」「瞬き」は、『ブラタモリ』コーナー。
僕はこの1年で3度目になるので、正直、もういいよ、って感じなんだけど、お客さんの拍手が大きかった。みんな好きなのかな、ブラタモリ。

ここで、高齢者ライヴにとっては欠かせないものとなってきた、15分の休憩。
僕なんかはまだ、休憩なんていらないと思っちゃうのだけど、演る側にも、観る側にも休憩は必要みたいだ。

休憩が終わって出て来たのは、陽水と、2人のギタリストで、3人のアコギ演奏によるアコースティック・コーナー。
これも最近のライヴではすっかりお馴染みとなった構成だね。

まずは「帰れない二人」
これはライヴで聴くのは初めてのはずだけど、もう何度も聴いた事があるかのような安定感があった。
切なくも力強いヴォーカルで、アコースティック・コーナーに合ってる曲だったね。

次は、今の季節に合った歌を歌おうじゃないか、という事で「神無月にかこまれて」

ただ、この辺りから、恐れていた事が。
とうとう眠くなってきてしまって。
前日はたっぷり寝たというのに、睡眠時間は関係ないのか。

そして、アコースティック・コーナーで定番となった「Just Fit」
僕が持ってるCDのアレンジだと、なかなか派手なロックでシャウトするカッコ良い曲なので、それをアコースティックでやるとなると、合うのかどうかとても不安になったのだけれど、これが意外にいいんだよね。アコギならではの、静かな激しさがあって、とても迫力があってスリルに満ちた演奏で、バンド・サウンドに負けず劣らずなんだ。
それで陽水もこのサウンドに手応えを感じているらしく、定番となってるんだろうね。

アコースティック・コーナーが終了、他のバンド・メンバーが再登場して「リバーサイド ホテル」
もう、陽水にしか作り出せない世界。

「夜のバス」も初期の曲。
だけど、この曲あたりが1番眠かったんだなあ、ほとんど記憶にない。

「1番新しい曲です」と言って始まった「めぐり逢い」
ちょっとファンタジーで優雅な曲。
たしかに、聴いた事ない曲だ。好きな雰囲気。
新曲だなんて、もしかして久し振りにアルバム作る気になったのか?と思いきや、あとで調べてみたら、薬師丸ひろ子に提供した曲だって。
なんだ、自分用の曲じゃないのか。
そういや先日、そんな話がニュースになってたっけ。
カヴァー・アルバムじゃない、純粋なオリジナル・アルバム作ってくれないかなあ。もう長い事作ってないよ。

パフォーマンス的に圧巻だったと思われるのが「最後のニュース」
あの独特の陽水ラップから、ひきつけてひきつけての「♪ 今あなたに Good Night」。
ただ、残念なのは、この時も眠気と格闘してた事。気付いたら、あ!「最後のニュース」やってる!と、ハッとしたんだけど、もう終わりの方だった。
「♪ ~さったのぅ」「♪ ~だったのぅ」、ちゃんと聴きたかった。

「氷の世界」になると、1階席は総立ちで。
羨ましいなあ、1階席。
オリジナル音源のような狂気さはないけれど、程良いグルーヴで盛り上げる。

日替わりセットリストで、1番聴きたいなと思っていた「結詞」を最後にやってくれた。
でも、最初のAメロを女性コーラス隊が歌うので、「ええ~?」と思っちゃった。
陽水が歌い始めたのは1番のサビから。まあ、その後はずっと陽水が歌ってくれたけれども、最初にズッコケちゃったから、感動いまいち、みたいな。
消え入りそうな、あの世界に浸っていたかったんだけれど、あっという間に終わってしまった感じ。

アンコールも定番の3曲。
まずは「アジアの純真」
Puffyに比べたらポップさはなく、どことなくブルースっぽくて。

「夢の中へ」が始まった時の歓声が、やっぱりひと際大きかったように思う。みんな好きなんだね。僕はそうでもないんだけどさあ(笑)。

ラストは、安全地帯とのコラボ曲「夏の終りのハーモニー」
これもそれほど好きという曲でもないし、前にも聴いたから新鮮味もないし、という事だったんだけれど、聴いてると、何故か、玉置浩二の声が聴こえてきてる気がするから不思議で。
陽水が一人で切々と歌ってるようにも見えるし、女性コーラス隊がハーモニーを付けてるようにも見えたのだけれど、耳に届いてくるのは玉置浩二とのハーモニーというマジック。
脳内変換か。
まさしく、夏ももう終わりだなあ。秋なんだなあ、と。

新鮮味という意味ではいまいちノリきれず

今回、まず感じたのは、MCが少なかったという事。
過去2回東京で観た時は、MCもたっぷり時間を取って、最近起こった出来事などを面白おかしくしゃべっていて楽しかった、という印象だったのだけれど、今回はこれといったエピソードが出て来なかった。
「久し振りのツアー再開という事で、しゃべる事があったはずなんですけれど、忘れてしまいました」とかなんとか言って。
まあ、「こんばんは」と、ひとこと言うだけで、ドカンドカンウケる陽水だから、今日も笑いはあったのだけれど、過去2回観た時に比べたら、圧倒的にMCは乏しかったなあ。
東京じゃないから気合が入らないのだろうか?と勘繰っちゃう。
でも、MCの時間が少ない分、曲数がいつもより多かった感じだ。
それで終わったのが予定通りの21時ほぼジャストだからね。

それから思ったのは、ロック調の曲は、どことなくサンバっぽい感じのアレンジで、素直にカッコいいと思えるビートではなかったという事。
ノレないわけではないけれど、あまり鋭さはなくて、どことなく明るいムードになってた気がする。
いい様に言えば、円熟味を増したアレンジ、という事なんだろうけど。

でもね、やっぱり今回は失敗したかなあ。
同じツアーを2度観る、というのはね。
この1年で陽水のライヴ3回観た事になるから、新鮮味は全然なかったし。
初めて聴けた曲はあって...特に、念願の「結詞」が聴けたのは良かったんだけどさ、良かったと思えるのはそれくらいかな。
眠くなってしまったというのもあるし、高いチケット代の事を考えると、やっぱりちょっと後悔というか、残念。
新しいツアーになってから観るべきだったな、と。
ほとんど同じものを観るというのは、よほど気に入ったセットリストでないとキツイかもね。

また何年後かに、新しいツアーになったら必ず行くとして、今回の残念な思い出を帳消しにするといたしましょう。

コメント