森高千里 Live@昭和女子大学人見記念講堂 2018.5.28 感想

30周年ファイナル企画「ザ・シングルス」 Day2

2018年5月28日(月)@昭和女子大学人見記念講堂

『ザ・シングルス』再現ライヴ

昨年、念願だったライヴに行く事ができた森高千里でしたが、今度は、アルバム『ザ・シングルス』公演を2日間に渡って行うというのです。
3枚組にまとめられた森高千里のシングルは、ヒット曲という意味では前半の方が豪華ですが、僕がライヴで聴きたいと思うのは圧倒的に後半の方なのです。
なので、両日は行けない僕は、2日目に的を絞りました。
1日目は日曜日公演なので、早目に売り切れるでしょうが、2日目ならば大丈夫だと思い、一般発売で獲る事にしました。
さすがに1階席とはなりませんでしたが、何度もチャレンジしてそこそこ良い席が出てきたのでGETしました。

どんな曲が出るかわからないライヴだったら、予習も大変ですが、今回は、『ザ・シングルス』の曲をやるとわかっているので、慌てる必要はありませんでした。
...が。
よくよく考えてみると、『ザ・シングルス』の曲を2日間でやるとは言ってますが、アルバムの曲順通りにやるとは誰も言ってません。
もしかしたら、アルバムの曲順は無視して、シャッフルしたセットリストになる可能性だってある、という事に気付きました。
となると、アルバム後半の曲が聴きたいから2日目を選んだ意味がなくなります。
ああ、どうなるんだろう。
もちろん、アルバム前半の曲も好きではあるのですが、ライヴで是非聴きたいと思っていたアルバム後半のあの曲やこの曲は1日目にやってしまって、僕が行く日には聴けないとなったら...。
途端に不安になりました。

僕の行くライヴ前日、つまり1日目の公演が行われた直後、セットリスト公開サイトをチェックする時はドキドキでしたね。
はたしてどうなってるのか。
1日目のセットリストが、アルバム前半の曲で埋め尽くされているのを見た時は、思わずガッツ・ポーズがでました。
やった!
僕が最初に思った通り、アルバムを曲順通りに再現するライヴだったのでした。
これで、僕が生で聴けるのは、アルバム後半の曲という事が確定しました。
ひと安心です。

ライヴ当日。会場へ

ライヴ当日。
当初は雨予報が出てましたが、前日になって変わり、なんとか曇り空のまま、雨は降らないお天気となりました。
いつもの様に、あれこれと買い物をしてから、会場に到着したのは、ちょうど開場時間の18時15分頃でした。

僕の席は2階G列10番。
前が通路となる席を獲ったのですが、期待に反して、前には仕切りがあったので、ちょっと窮屈でしたね。

セットの背景には、スクリーンを囲むように、全シングルのジャケット写真が並べられていて圧巻。
いかにも、森高の歴史をシングルで振り返る、記念のライヴだと実感させられました。

ライヴのスタート

19時の開演時間を3分ほど過ぎて、ライヴは始まりました。

01. ロックン・オムレツ
02. 気分爽快
03. 夏の日
04. 素敵な誕生日
05. 私の大事な人
06. 二人は恋人
07. 休みの午後
08. ジンジンジングルベル
09. SO BLUE
10. ララ サンシャイン
11. 銀色の夢
12. Let’s Go!
13. SWEET CANDY
14. ミラクルライト
15. SNOW AGAIN
16. 電話
17. 海まで5分
18. 冷たい月
19. 私のように
20. まひるの星
21. 一度遊びに来てよ‘99
(Encore)
22. テリヤキ・バーガー

アルバム『ザ・シングルス』は、3枚組で45曲。
それを2日に分けるのですから、23曲と22曲に分けるのかと思ってましたが、実際は、24曲と21曲に分かれる事になりました。
これはちょっとボリューム的に不公平だと思ったのですが、どうしてこうなったのかと言うと、森高の出したシングルはちょうど40枚。なので、20枚ずつに分けたのです。
で、両A面になっているものが前半に多かったため、こういう差が生まれたというわけです。
それならば仕方ない。筋は通ってますから、文句は言えません。

曲が始まる前には、スクリーンに曲名が出て、歌ってる間中、そのジャケットが映し出されています。曲によっては、当時のPVの映像が流れているという、親切な映像演出でした。

というわけで、シングルス後半「ロックン・オムレツ」からスタート。
『ポンキッキーズ』のために作られたというこの曲、森高のモンキー・ダンスが強烈なブギ・ナンバー。
偶然この曲がライヴのオープニング曲となったのですが、華々しく盛り上がる曲としては良かったと思います。

ビートリーな印象的な「気分爽快」
と思ったら、MCにて、これはL⇔Rの故・黒沢健一さんが作ったものだとMCで知らされました。そうだったか、だからビートリーだったわけか。
サビの「♪ 飲もう飲もうよ」の所は、お客さんも手を左右に振ってました。手にビール・ジョッキが見えるようです。でも、何故か森高と左右に向ける方向が逆だったのです。普通、演者と同じ方向に手を向けるのでは?と不思議に思ってたのですが、これは当時からの慣習なのでしょうか。

「夏の日」は、遠い記憶の中にある夏の日を思わせるような、しんみりとする曲で好きです。
たしかこの曲の事だったと思うのですが、アビイ・ロード・スタジオで録音したそうで。なるほど、だからドラムのオカズがリンゴ・スターっぽいのか。

爽やかで、カントリーな「素敵な誕生日」
可愛らしい歌詞が素敵です。

お次は、カッコいいピアノに導かれてサンバな雰囲気で踊り出したくなる「私の大事な人」
会場中が一気に熱くヒート・アップした感じでした。

「二人は恋人」は、当時TVドラマで使われたそうなのですが、僕はそれを見ていなかったため、この曲を知ったのは結構後。
こんなにいい曲があったのか、と驚いたのを憶えています。
切ない様なほのぼのとしてる様な、絶妙なメロディです。
それに、詞も好きですね。

王道バラードの「休みの午後」

「ジンジンジングルベル」の時は、いつのまにかバンド・メンバーがサンタの帽子を被っていました。

そしてお待ちかね、森高のシングルの中で1番好きかもしれない「SO BLUE」
ギターのリフがビートルズの「Hey Bulldog」のオマージュで痺れます。
切なくもカッコいいロック・ナンバーです。

「ララ サンシャイン」は、当時、毎朝『めざましTV』を見ていた事を思い出しました。
元気が出るというか、ちょっとコレ、慌ただしい朝なんですよね(笑)。

これまた大好きな「銀色の夢」
深々と降る雪が見えるような、強烈な冬を思わせる、それまでになかったようなバラードで、森高の新しい一面を見た気がしたのを憶えています。
チョコレート『Melty Kiss』のCMで使われていて、MCで「今はガッキーがCMやってるよね。でも、私が最初だったんですよ」と自慢してました(笑)。

「Let’s Go!」は、「♪ 行かなくちゃ」という詞が印象的ですが、ローソンのCMで使われた曲で、まさしく「ローソンに行かなくちゃ」という意味だったそうです。
でも、行かなくちゃと言ってる割には、あまり慌ててる様子はなく、散歩の途中あちこち寄り道している雰囲気です。

うだるような夏の終わりを告げる「SWEET CANDY」
「♪ 今年の夏もああ 何もしなかったわ」という歌詞が大好きだったのですが、近田春夫さんも、まさしくその一節を絶賛していたというエピソードをMCで話してくれて、我が意を得たりという気分でした。

ローソンのCMで細野晴臣さんと共演した事がきっかけで、一緒に曲も作りましょうという流れになって出来た「ミラクルライト」
コミカル・タッチの曲で、ほのぼのとします。

「SNOW AGAIN」は、『Melty Kiss』のCM第2弾という事で、コンセプト的にも「銀色の夢」の二番煎じとも言えるのですが、これまた素晴らしい曲なんです。
儚い美しさが垣間見えます。

「電話」も好きです。
電話を待ち続けている焦りが伝わってきますね。

爽やかな潮風が吹いてきそうな「海まで5分」

「冷たい月」も、「銀色の夢」や「SNOW AGAIN」路線のバラード。嫌いなはずはありません。

「私のように」は、サビの「♪ ナチュラル」が印象的。
演奏もナチュラルに、肩の力を抜いて、というところでしょうか。

「まひるの星」は、印象が薄いかなあ。
この頃になると、さすがにネタ切れして煮詰まってきてたのかなあという感が拭えないんですよね。

5年くらい前のアルバムに入ってた曲をリメイクしたシングルとなった「一度遊びに来てよ’99」
遊びに来てよと言ってるのですが、もう2度と会えないとわかってるかのような切なさを感じる大好きな曲です。
ただ、これが森高のラスト・シングル。リメイク曲で最後になったというのは、ついにネタが尽きた感があって、ちょっと別の意味で切ないです。
ただ、まあ、ライヴでは逆に、「これが最後かあ」と名残惜しい感じが出てて良かったです。
これにて全シングルの披露が終わって、本編終了です。

アンコールでは、『ザ・シングルス』収録曲ではないものを1曲だけやるという事はわかっていました。
前日は「見て」だったそうです。
はたして今日は何か。
「昨日とは違う曲をやります!」と宣言したので、なにかレアな曲でもやるのかなと期待したのですが、「テリヤキ・バーガー」でした。
嫌いな曲ではないですが、これは昨年のライヴで既に聴いたので、「なんだ、これか」とガックリしてしまいました。どうせなら初めて聴く曲が良かったものですから。
でも、サビの「♪ 関係ないわよ」の大合唱は、自然と盛り上がるなあと、再確認しました。
シングルではないけれど、森高の中では代表曲と考えているのかもしれません。ライヴで歌うのが気持ちいい曲なんでしょうね。

時間たっぷり、森高の歴史を振り返る、普通のライヴとは違う余韻を残したライヴ

終了したのは21時45分。
3曲くらい歌ったら、それぞれの曲が出来たいきさつやタイアップ先、思い出などのエピソードを語るという、全曲解説のMCです。
その解説がある分、長時間のライヴとなりました。
通常のライヴと違って、そういう解説を交えながら、シングルを通して丁寧に森高の歴史を振り返るものでしたから、単なるライヴではない、なんだか、不思議な感覚がありました。
3曲歌ってはおしゃべり、となるので、次から次へと曲が繰り出される「流れ」を無視して、盛り上がってきたライヴの気分をぶった切るのです。
これは、TVの番組かなんかで企画されたものを観覧に行ったような、スペシャルな感じがしました。
でも、それはそれで決して悪いものではありません。
『ザ・シングルス』の曲順通りだし、『ザ・シングルス』の世界をどっぷり堪能できるものでした。

森高のヴォーカルは、昨年のライヴの時より安定していたように思います。艶やかで伸びがあった。若い頃のライヴは生で観た事ありませんから比較はできないですが、声は衰えてないと思います。
MCのしゃべり声も、昨年のようなガラガラ声じゃなくて、いつもの森高の声で安心しましたし。

バンド・メンバーは、昨年のライヴの時と同じなのでしょうか?
はっきり同じとわかったのはギタリスト2人。
リード・ギターが鈴木マリアさんという若い女の子。昨年は、ライヴ終盤まで女の子だという事に気付かなかくて、あまり注目できなかったので、今回はよく目を凝らして見てました。ほとんどの曲の間奏のギター・ソロを彼女が弾いてました。結構速弾きのフレーズでも、あまり手が動いてるように見えなくて、なんだかすごいなと思いました。艶やかなギター・プレイを堪能しましたよ。ギター弾かない時は、タンバリン叩いてたりもしてましたね。
サイド・ギターは、高橋諭一さん。森高からハロプロに連なる、アップ・フロントを支えた人です。バンド・メンバーを眺めた時に、どっしりとした佇まいというかオーラがあって、一目で「この人がバンマスだな」とわかるんです。でも、演奏は控えめで、あくまでバックに徹する職人肌。ほとんどがサイドのリズム・ギターだったのですが、終盤、たしか「私のように」の時だったかな、1曲だけ間奏のギター・ソロを弾きましたね。
他は、ドラム、ベース、キーボードという構成でしたが、昨年と同じ人だったかどうかはわかりません。

MCの全曲解説を聞いていると、ほとんどのシングルにタイアップが付いていた事がわかります。
これって大変ですよね。
だって、タイアップ先から、「こういうテーマで作ってください」という要望があるわけですからね。
自分の好きなように、詞を書くわけにはいかない。
そして、出来たと思っても、クライアントからダメ出しを食らう事もあるわけで。
ほとんどすべてのシングルを、そんな作り方をしてたわけだから、かなりの苦労があったはずです。
結婚後は新曲を作ってない森高。
まさか、詞を書くのが嫌になったというわけではないのでしょうが。

それから、MCの時に、森高のTシャツを着ていた小さな女の子をステージに上げたのですが、その子に「森高千里お姉ちゃんの事知ってる?」と訊いてました。
森高、自分の事を「お姉ちゃん」と言いましたよ。「おばちゃん」じゃないんですよ。
「私がオバさんになっても」を歌ってた森高ですが、まだ自分はオバさんではないと思ってるようです!(笑)

そうそう、今度森高のライヴに行った時には...と期待してた、森高の楽器演奏ですが、今回も見られず。
ギターでもドラムでも、演奏してる姿が見たかったのですが、今回はライヴの性質上、そういう演出は作れなかったようです。
それが残念で、心残りです。

1階席は、バラード以外は総立ちぽかったですが、2階席はほとんどの人がずっと座ったままでした。
僕の隣のおじさんなんて、手拍子もしなければ拍手もしない。ホントにライヴを楽しんでるのか?森高のファンなのか?と疑問に思ってしまいました。
1階と2階のこの空気の違いはなんとかならないものかと思いました。
僕も仕方なく座ったままでしたが、無事に眠くなる事なく済んだのは何よりでした。
2階席からでも、ギリギリ森高の表情はわかりましたが、そういう空気感の違いは大きく、やっぱり1階席の方が良かったなあ。
ま、でも最後の最後、アンコールの1曲だけ、2階席も立ち上がりましたけど。

というわけで、ちょっと普通のライヴとは違う余韻を残したライヴとなりましたが、時間もたっぷり、森高の歴史を振り返れて、大好きな曲も生で聴けてと、おおむね満足できたものとなりました。
30周年を過ぎ、これからもライヴはやり続けると宣言してくれましたが、次はどんなライヴになるのか想像がつきません。
そして、望むのは、やっぱり新作ですよね。

このライヴの映像がDVDになりました

森高千里 『ザ・シングルス Day1・Day2 LIVE 2018 完全版』 Amazonで見る

僕が観に行った日のライヴがBlu-ray&DVDになりました。
前日のDay 1の映像も併せて収録した2枚組です。
『ザ・シングルス』再現ライヴの全貌が観れます。

実際に観に行ったライヴがDVDになるのは嬉しいことですが、観に行けなかった前日のライヴまで観ることが出来て、至れり尽くせりです。

シングルスということで、森高の代表曲はほぼ網羅されていますし、全盛期とまるで変わらない現在の姿が観られるという意味でも、森高初心者にもおすすめしたいDVDですね。

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