
COLTRANE 100 with 森山威男カルテット
2026年07月28日(火)@Blue Note TOKYO
ジョン・コルトレーン生誕100年!
7月10日の読売新聞に、今年はマイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーンの生誕100年であるという特集記事が載ってました。
2人の功績、違い、おススメのアルバムなどなど。
とても興味深く読んでいたら、最後に、コルトレーンを偲ぶライヴが開催される予定と書いてあるじゃないですか。
ブルーノート東京で7月28日。
うおっ、僕が仕事の休みの日だ!
すぐさまブルーノートの公式サイトをチェック。
チケット、まだ売ってるみたい。
同じように、この新聞記事を読んだ人たちが申し込む前に、チケット獲らないと!
即行でアカウントを作って、チケットを購入、座席を確保しました。
ジャズが好きになって1年足らず。
マイルスもコルトレーンもこの世にいないので、実際の演奏を聴くことは叶いません。
なので、こういうトリビュート・ライヴを開催してくれないかなあと願ってたのです。
リーダーは、ドラマーの森山威男さん。
正直言って、まったく存じ上げませんでした。
でも、僕にとっては、演奏者は問題ではなくて、とにかくコルトレーンの楽曲の生演奏を聴いてみたかったのです。
ブルーノート東京には憧れはありましたが、ちょっと敷居が高くて、今まで行く気にはなりませんでした。
でも、今回の様な企画ライヴとなれば、行ってみる絶好の機会。
ついに、本格的なジャズ・クラブに足を踏み入れることになります。
ライヴまで2週間ほどしかなかったので、慌てて予習。
持っているコルトレーンのレコードを毎日聴きました。
もちろん、全アルバムを持ってるわけではないし、曲を知ってても曲名までは憶えてないものが多くて、ホントに、コルトレーン初心者なわけですが。
なんとか、ライヴを楽しめるといいなあ。
ライヴ当日。会場へ
ライヴ当日は曇り。
雨の予報が出てたのですが、新宿で途中下車した際にパラパラと降ってただけで、それ以外はほとんど降られずに済みました。
表参道駅から徒歩8分とのことで。
地下鉄の出口を出た時に、方向がまったくわからなくて焦ったのですが、目の前に地図が掲示されてたので助かりました。
あとは、真っ直ぐ歩いて、1回右折して真っ直ぐ歩いたら到着という、わかりやすい経路でした。
開場時間は17時ということで、それを少し過ぎていました。
思ってたよりも小さな外観です。
うっかりすると見逃がしてしまいそうな。
ドアを開けて、地下へと進んでいきます。
すると、まるで、ホテルのロビーのようなフロア。
想像はしてましたが、さすがに格式の高さを肌で感じます。
ソファが空いていたので、そこに座って、しばらく時間を潰しました。
開演20分前になったので、トイレを済ませて、入場することに。
ブルーノートのライヴは、チケットは発行されてなくて、受付でメールを見せれば入場できるとのこと。
さらに階段を降りていきます。
そこに見えた景色は、いつもライヴを観ているホールやライヴハウスとは全く違って。
むしろ、レストランの雰囲気でしたね。
夜の盛り場という印象。
普段、僕がまったく足を運ばないような場所です。
順番待ちをしていると、やがて、ウェイターさん(?)がやって来たので、メールの座席番号を見せると、座席まで案内してくれました。
たくさんのお客さんたちが既に料理を楽しんでいて、混み合う座席の合間を縫うように、たくさんのウェイターさんたちが料理を運んだりと、キビキビ動いていて。
僕は外食が出来ないので、こういうレストランは苦手で、勝手もわからないのですが、なんとか馴染めるようにと、神経を集中させました。
僕の席は、サイドエリアR 54-4。
6人が座れるテーブル席。
僕は3人掛けの真ん中の席で、ステージを観るには体をひねって横向きにならなければならないという、ちょっと不遇の席でした。
リラックスして楽しめるだろうか。
アップル・ソーダを注文して、開演を待ちます。
ライヴのスタート
開演時間の18時。
客席の合間を縫って、メンバーが入場してきました。
01. Crescent
02. Giant Steps
03. Naima
04. My Favorite Things
05. Impressions
06. グッドバイ
「Crescent」。
まず、サックスがバラード風のふくよかな響きを聴かせます。
うわっ、いきなり知らない曲だ。
でも、好きなタイプの曲だ。
やがて、テンポが速くなっていき、バンドの躍動感を感じます。
歩くようなピアノに対して暴れるドラムという対比が面白い。
泣きメロからの吠えるサックスも、聴きどころ満載。
サックス・ソロが終わると、ステージ中央から奥へ引っ込んで休むプレイヤー。
その後、ピアノ・ソロ、ベース・ソロと続いて、各プレイヤーにスポットが当たります。
こういう構成が、いかにもジャズのライヴならでは。
この曲が「Crescent」という曲であることが、この後のMCで明かされるのですが、実はこの日、新宿で途中下車して買ったレコードの1つが、気になっていた『Crescent』というアルバム。
なんともタイミングが良い。
帰ってから、レコードを聴くのがますます楽しみになりました。
MC。
「コルトレーンさん、生きていれば100歳ですか」
「お会いしたことないので、なんとも言えないのですが」
「同じレコードばかり聴いていたので、レパートリーはあまりないんです」
「私は、子供の頃、三度笠に憧れましてね」
「お爺ちゃんにドラムのスティックを作ってもらいまして」
「叩きまくってたものです」
「Giant Steps」。
今度は、激しいドラムから始まりました。
この曲は知っています。
聴き慣れたテーマが心地良く、身を委ねます。
ふと気付くと、サックスとドラムだけの時間がありました。
これはタイマン勝負ですよね。
サックスは、まさに、コルトレーンのシーツ・オブ・サウンドを体現する咆哮の時。
その後の、ドラム・ソロも強烈でした。
MC。
「コルトレーンさんはコルネットから始めたそうです」
「やがて、アルト・サックスを吹くようになるのですが、キャノンボール・アダレイを観て、アルトもやめることになったそうです」
「コルトレーンさんとは会ったことないのですが、エルヴィン(ジョーンズ)とは親しくなりましてね」
「酔っぱらうと、お前ん家行こう!と言うんですよ」
「次の曲は、ナイーマですか」
「元の奥さんの名前だそうです」
「私の奥さんはユキコ」
「Naima」。
この曲も知ってます。
コルトレーンのバラードの中でも、特に大好きな曲が聴けて嬉しい。
表面は穏やかなんだけれど、実は内面が激しいことが伝わってくる演奏。
コルトレーンの奥さん、こういうイメージの方だったんでしょうか?
MC。
「次の曲は、マイ・フェイヴァリット・シングス」
「今日は、ソプラノ(サックス)は無いんだよね?」
「私は、安いスティックで叩いてます」
「だから、あげましょうか?」
前列のお客さんにスティックをプレゼント。
「コルトレーンさんがその曲をやってる頃、私はスネア・ドラムにありついた訳です」
「独学でロールが出来るようになりましてね」
「藝大に行くことになる訳です」
「でも、演歌とかしか知らないもんですから」
「日本フィルハーモニーからお誘いを受けましてね」
「じゃあ、N響に行けるのか?って言ったら」
「それはムリだと」
「そういうことになってるんだ、と」
「それで、3年で退学しましてね」
「そこで、山下洋輔に出会う訳です」
「そこからは、デタラメ・ドラマーになりました」
「My Favorite Things」。
これまた有名なコルトレーンの曲。
三拍子のワルツで、優雅にサックスの音色が響きます。
と思っていると、やがて激しく、混沌の世界になっていきます。
止まない雨がいつまでも続いているような。
プレイヤーは、各自バラバラ、自由に演奏しているように見えても、音はひとつの塊になっているという感じで、圧倒されました。
MC。
「音楽は自由でいいんだと学びましてね」
「山下洋輔に会ったのが運のツキ」
「次は、インプレッションズ」
「え?スロウな曲やるの?」
「ここまで来たら、インプレッションズやります」
「Impressions」。
これがまた、ワクワクする疾走感!
夜のハイウェイに乗っているような感じですかね。
僕がレコードで聴いてた「Impressions」と、印象が違ったのですが、これはこれでとても良い。
サックスが時々、低音が「ボンッ!」と鳴るんです。
それがとても生々しくて迫力あって。
かと思えば、今度は高音が呻き声を上げて、動物たちが興奮して訳の分からぬ鳴き声を上げているかのような。
そういう、サックスの高低差、表現の幅の大きさの魅力を感じました。
MC。
「メンバー紹介忘れてました」
「テナー・サックス、川嶋哲郎」
「ベース、須川崇志」
「ピアノ、高橋...」
「うん?...ユーセイ?」
「高橋佑成」
「君とやるのは初めてか」
「うん?」
「2回目!」
「その頃、コルトレーンさんは...」
「彼とは同じ時代にカスって生きてたんですよね」
「私、有名な人の生演奏をあまり聴いてこなかったもんですから」
「島倉千代子しか聴いてない」
「いつか、演歌特集をブルーノートでやらせてもらいたいです」
「そんなわけで、コルトレーンさんのこともあまり知らないもんで、レパートリーがないんです」
「なので、最後は、バンドのクロージング・ナンバーです」
「グッドバイ」
「グッドバイ」。
絶望的なピアノのフレーズから始まりました。
僕が知ってる限りでは、コルトレーンの曲の中に「Good-Bye」というのはありません。
クリス・コナーや阿川泰子が歌ってた、スタンダードの「Good-Bye」とも違うようです。
そうなると、これは、森山さんのオリジナル曲なのか??
帰宅してから調べたら、森山さんの『スマイル』というレコードに、この曲名を見つけました。
オリジナルかどうかはともかく、森山さんの長年のレパートリーのようです。
でも、それまで演奏してきたコルトレーンの音楽の雰囲気とマッチしていて、なんの違和感もありませんでした。
森山さんは時々、弾丸のようなドラムを叩くし。
艶のあるサックスの音色は、いつまでも聴いていたいと思うものでした。
とても良い曲でした。
ライヴ終了は19時7分。
本格的なジャズ・バンドの生演奏の迫力に圧倒
あっと言う間に終わってしまった感じですね。
ロックに比べたら、ジャズは1曲が長いので、退屈に感じる時間もあるかと思ってましたが、全然そんなことはありませんでした。
もう、ずっと演奏に惹きこまれてしまって。
6曲しかやってないのに、1時間も経っていたのに驚いたくらいです。
それだけ、集中して観てしまってました。
今回のライヴが開催されるにあたって、森山さんがコルトレーンの大ファンなので、こういう企画が立ったのかと思ってました。
でも、MCを聴いてみると、森山さん、全然コルトレーンに思い入れが無いっぽいじゃないですか(笑)。
MCも、基本的に、自分の人生を振り返る内容が主で、時々、思い出したようにコルトレーンの名前を出すくらいで。
なのに、どうして、そんな森山さんが、こういうコルトレーンのトリビュート・ライヴをやることになったのか、謎で。
コルトレーンを偲ぶライヴをやるのだったら、もっと、コルトレーンが大好き!というプレイヤーにやってもらう方が良かったのではないか?という思いもチラつきましたけど。
でも、森山さんのカルテットの演奏には、なんの文句もありません。
森山さんがコルトレーンをあまり知らなくても、これだけの演奏が出来る。
さすが、プロです。
これが、アコースティック・ジャズのライヴかと、何度も唸らされました。
すぐそこで演奏している楽器の生音を、ビンビンに体で感じました。
それに、知ってる曲が多くて良かった。
コルトレーンの大ファンのプレイヤーが演奏するとなると、コアな曲を選びそうだけど、コルトレーンをあまり知らない森山さんだったからこそ、有名曲ばかりのセットリストになったのが、僕には幸いしました。
最初から最後まで、たっぷり楽しめました。
森山さんは、喋ると流石に80過ぎのお爺ちゃんなんだけど、叩くドラムはとてもパワフルで、年齢をまったく感じさせません。
そこにギャップ萌えしました。
とにかく、初めてのブルーノート。
本格的なジャズ・バンドの生演奏の迫力。
素晴らしかった!
その一言に尽きます。
あの時、新聞を読んで良かった。
ライヴが偶然この日で良かった。
このライヴに来るのは運命だった、と。
良い経験が出来ました。
※ MCの内容は、ライヴ中にメモしたことと記憶を基に、このような主旨のことを言っていたなという感じで構成したものなので、語尾はもちろん表現の仕方など、必ずしも発言した通りのものではないということをご了承ください。

コメント