佐野元春 X民が選んだ好きなアルバム・ランキング

Xにて、「佐野元春 好きなアルバム アンケート」を行いました。
好きな佐野元春のアルバムを3枚。
1位~3位まで順位を付けての回答をお願いしました。

1位は5点、2位は3点、3位は1点として集計し、得点に応じて総合順位を決定しました。
回答者が好きな順位を決められない場合は、アルバム名だけ3枚挙げていただくのでも可としました。
ただ、その場合の得点はすべて1点ということにしました。

投票期間は2026年4月13日~19日の約1週間。
回答者数が50人以上に達しなかったら、企画はボツとする予定でしたが、幸いにも184名の方が参加して下さり、無事に成立いたしました。
お陰様で、予想以上の盛り上がりとなったこと、本当に嬉しく思います。
参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました。

それでは、結果発表です。

84年発表。
ベスト盤『No Damage』大ヒットの報も聞かないままに、1年間の渡米。
ヒップポップが流行り始めたN.Y.の最先端の音楽を日本語ロックに落としこんだ『VISITORS』の衝撃。
近未来的なイメージ、時代を先取りしたシャープなサウンド。
「コンプリケイション・シェイクダウン」「ビジターズ」「カム・シャイニング」での佐野さんの歌い方はかつてないものを聴いたと腰を抜かした人多数。
「トゥナイト」「ビジターズ」はそれまでのファンにもわかりやすい橋渡し的な聴き心地。
「ニューエイジ」にて未来を見据えたところには途轍もない器の大きさを感じます。
ラップやヒップホップが、今では当たり前のように日本の音楽に溶け込んでいますが、先鞭をつけたのは間違いなく佐野さんでした。

82年発表。
初期の佐野元春、文句なしの代表作。
大瀧詠一の手法を学び、初のセルフ・プロデュースとなりました。
永遠不朽の青春アンセム「サムデイ」が入っているのが目玉ではありますが、それ1曲に頼ることなく佳曲揃いなのが凄い。
甘さや切なさが絶妙にブレンドされ、「シュガータイム」「ハッピーマン」「ダウンタウンボーイ」と、多幸感溢れる冒頭にはたまらずノックアウト。
A、B両面終盤に配置されたバラード「サムデイ」「ロックンロール・ナイト」の重厚な存在感、強烈に攻めるロックンロール「ヴァニティ・ファクトリー」、素朴な添え物の「サンチャイルドは僕の友達」など、構成に隙がないです。
若者の心を打ち抜く破壊力を持っているアルバムで、淡い思い出と共にいつまでも心に残り続ける宝物。

22年発表。
「ヤバいアルバムが出来た」と発言し、ファンのハードルが挙がりましたが、その期待値を楽々と超えた名盤。
希望と絶望、ポップとシニカルが交差し、混沌とした現実から別次元を提示するサウンドに圧倒されます。
沸々と魂が燃えたぎる「さよならメランコリア」、キャッチーなポップ・ロック「銀の月」「水のように」、落ち着いた味わい「冬の雑踏」「君の宙」、クールでシビアなロックンロール「エデンの海」、ロマンティックで凛とした大人曲「クロエ」、皮肉な現実が深みにハマる「永遠のコメディ」。今日から明日への意味を問う「明日の誓い」
今の時代にマッチした歌詞がリアルですが、ほとんどの曲はコロナ禍前に書かれていて驚愕。予言者的に時代を読み、普遍性を携えた曲作りが出来るのが凄い。
これを聴かなければ佐野元春は語れないほどの最重要作となりました。

89年発表。
ロンドンに渡ってのレコーディングだからこそ、逆に日本的なものに意識が向いたのか、今までにも増して、いかに日本語を刺激的に響かせるかに重きを置いているアルバム。
そんな流れでJ-POPを代表する名曲「約束の橋」が生まれている点も面白い。
華々しくゴージャスな「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」「新しい航海」、控えめな「雨の日のバタフライ」、風変わりな「俺は最低」、クールな新機軸の「ブルーの見解」、ポップな「ジュジュ」、俳句的な美しさの「雪 -あぁ世界は美しい」
現実を受け入れつつも、自分を肯定し、未来への希望を見い出すのが佐野さんの真骨頂。
洋楽的な要素を持ちながらも、いかにして日本語ロックに落とし込むかが佐野さんの大きなテーマで、シティ・ポップからJ-POPへと、着実に日本の音楽シーンが移行していきました。

86年発表。
『VISITORS』の衝撃から、好奇心旺盛な佐野さんはさらに別の世界へ。
アメリカの次はヨーロッパ。とりわけイギリスの音楽シーンに目が行きました。
アルバムのタイトル、ジャケットにとどまらず、「ヤングブラッズ」「インディビジュアリスト」「カフェ・ボヘミアのテーマ」など、特にスタイル・カウンシルからヒントを得て名曲を生み出しました。
「ワイルドハーツ -冒険者たち」「シーズン・イン・ザ・サン -夏草の誘い」などのご機嫌さ、「99ブルース」のクレイジーなロックンロール、「クリスマス・タイム・イン・ブルー -聖なる夜に口笛吹いて」の感動的なレゲエ・アンセム。
雑多なジャンルの曲たちがお洒落なカフェで流れ、ひとつのアルバムに収まると統一感を持って聴こえるというマジック。

81年発表。
デビュー直後の勢いはそのままも、既に風格が漂ってきています。
若者の気持ちを代弁した「ガラスのジェネレーション」がその筆頭。
それから今でもライヴで盛り上がる「悲しきレイディオ」の瑞々しさと爆発力。
日々の生活を生き抜くシーンを切り取ったソングライティングは一段と洗練され、「ナイトライフ」「イッツ・オールライト」などのポップ・ソングと、「バルセロナの夜」「彼女」などのシンプルなものから真夜中に心情を絞り出すような大作「ハートビート」などのバラードがバランスよく同居。
しかし、未来を担う若者たちを先導する力を持ったこれほどの充実作でも、まだまだ世間は佐野さんの革新性に気付いていませんでした。
このアルバムを思春期に聴けた方はつくづく幸せです。

92年発表。
90年代の佐野元春の最重要作と言えばコレかもしれません。
ポップでカラフルなロックンロールの楽しさを伝えるアルバムで、レコード会社も、もう一度社運をかけて佐野元春を売り出そうと力を入れたことも窺えます。
ポップな疾走感がたまらない「誰かが君のドアを叩いている」、ジャングル・ビートの強烈なロックンロール「スウィート16」、どんな時でも希望が持てる「レインボー・イン・マイ・ソウル」の3曲が中軸。
トランス状態に陥る「ミスター・アウトサイド」、言葉の割り振りが魅力「ポップチルドレン」、跳ねるリズムに体が疼く「ボヘミアン・グレイプヤード」、幸せに包まれる「ハッピーエンド」、オノ・ヨーコとの「エイジアン・フラワーズ」、矢野顕子との「また明日…」
明るい希望に満ちたロックンロールは賞賛を持って迎えられ、チャートでも2位を記録。

96年発表。
ザ・ホーボーキング・バンド結成の起点となるアルバム。
新しい仲間たちに囲まれた新鮮な気持ちで、色彩豊かなサウンドになりました。
ポップかつ明快に明るく愉快な未来へと導いていく「楽しい時」「十代の潜水生活」「ヤァ!ソウルボーイ」「水上バスに乗って」、サイケな「インターナショナル・ホーボー・キング」「メリーゴーランド」「霧の中のダライラマ」、希望を忘れない強い想い「すべてはうまくいかなくても」「経験の唄」、久々にクールなラップを披露「太陽だけが見えている」
色とりどりの曲を聴き通して、耳に残るのは明るいギター・サウンド。
乗り物いっぱいの遊園地、種類たくさんのフルーツといった雑多で贅沢な気分にさせてくれるアルバム。

15年発表。
佐野さんも発言しているように、コヨーテ・バンドの方向性、サウンドの軸が固まったと言える自信作。
ヒプノシスの世界観だとすぐわかるジャケットで、コンセプトがあるようなアートな佇まいも本作に深みを与えています。
柔らかな世界が広がっていく「境界線」、重厚でぶれないビート「紅い月」、クールなのに熱いグルーヴ「バイ・ザ・シー」、走り出したくなるポップ・ビート「優しい闇」、混沌とした中に渋さが光る「私の太陽」、力強い意志が宿る「いつかの君」、ハードに攻めるロックンロール三連発「誰かの神」「キャビアとキャピタリズム」「空港待合室」
前作より尖って攻めてる面が増えたように、バンドが得意分野を自覚し、刻まれるビートが「これぞコヨーテ・バンドのサウンドだ」と訴えかけてきます。
佐野元春とコヨーテ・バンドが本当に1つになったことを実感できるカッコいいアルバム。

93年発表。
前作『Sweet 16』の姉妹版と言われてますが、華やかだった前作から一転、内省的になりました。
悲しいことがあって、自分を奮い立たせたのが前作なら、今作は悲しみに寄り添い向き合っています。
キラキラと輝く「レイン・ガール」、寄り添ってくれる「彼女の隣人」、フワフワと優しい「エンジェル」のような清涼剤もありますが。
ヘヴィかつ抑えた演奏に訴えかけるようなシャウトが光る「欲望」、横暴にまみれた世の中を憂う「ウイークリー・ニュース」、変わらぬ想いを歌う「トゥモロウ」、新しいやり方を模索しようと訴える「君を連れてゆく」「ザ・サークル」
聴きこむほど、複雑で深い魅力にも気付きますが、全体的にやや重たい感じで、軽い気持ちでは聴けない佐野元春随一の深刻なアルバムは、ハートランドとの決別へと繋がりました。

04年発表。
前作から5年振り、新生・ホーボーキング・バンド待望のアルバム。
しかしそれは、佐野さんの喉の不調、CCCD問題によるEPICソニーからの離脱など、様々な困難を経て生まれたものでした。
ロマンチックな「月夜を行け」、グルーヴィーな「最後の1ピース」、マンドリンが印象的な「希望」、ラテン・ジャズ「観覧車の夜」、ロッカ・バラード「君の魂 大事な魂」、絞り出すような声の「レイナ」、グッと熱いロックンロール・ショー「DIG」「国のための準備」、神の存在を見る「太陽」
アーシーではあるけれど、スタイリッシュ。長編小説ではなく短編集。
ファンに対してだけでなく、佐野さん自身の羅針盤にもなってるような曲が並んでいます。

80年発表。
今でも光り輝く「アンジェリーナ」で華々しくデビュー。
この横浜の地は聖地ともなりました。
佐野さんのビートに対する言葉の当てはめ方は画期的なもので、「アンジェリーナ」はもちろん、「夜のスウィンガー」「バック・トゥ・ザ・ストリート」なども疾走感たっぷり。
「プリーズ・ドント・テル・ミー・ア・ライ」「グッドタイムス&バッドタイムス」「ドゥー・ホワット・ユー・ライク -勝手にしなよ」で渋いところを見せたり、歌い上げるバラード「情けない週末」「バッド・ガール」など、甘いメロディとのバランスも良しですが、やはり走り出さずにはいられない、眩しいほどの若さに溢れているのが印象的な1stアルバム。
「シティじゃないんだ、ストリートなんだ」という佐野さんの言葉が腑に落ちました。

13年発表。
コヨーテ・バンドが本格的始動。信頼できる仲間を得た佐野さんが何度目かの充実期に向かっていくことを実感させたアルバム。
鮮やかなポップ・ビート「世界は慈悲を待っている」、アコギの耳触りが良い「虹をつかむ人」、その煌びやかな優しさに人生の素晴らしさを見る「La Vita é Bella」、渋くてクールなカッコ良さの指針「ポーラスタア」、ジャジーなビートでスウィングする「君と一緒でなけりゃ」、透き通るような儚さ「詩人の恋」、大らかでドキッとする「スーパー・ナチュラル・ウーマン」、スカのリズムへの展開が楽しい「食事とベッド」
バラエティで起伏に富みながらも、ポップで馴染みの良いメロディの曲たちはとても聴きやすくワクワクします。
80年代の佐野元春しか聴いた事のない人には是非聴いてもらって、コヨーテ・バンドの力を得た佐野さんの素晴らしさを実感してほしいアルバム。

97年発表。
正式にホーボーキング・バンドを結成、ウッドストックへと飛び、カラフルだった前作から一転してカントリー・ロックやブルースの土臭いサウンド志向となりました。
逃亡者の不安を表すインスト「逃亡アルマジロのテーマ」、円熟期を迎えたからこそ若さについて歌った「ヤング・フォーエバー」、柔らかくもうらぶれた感のある「マナサス」「ヘイ・ラ・ラ」、ザ・バンド風カントリー「風の手のひらの上」「どこにでもいる娘」「ロックンロール・ハート」、広い大陸を気ままに「ドライブ」
佐野さんの強みは、その地の空気感に溶け込んだ音楽を作れること。
アメリカン・ロックを再現するアイデアは、高い演奏力を持ったホーボーキング・バンドを得たからこそ実現のチャンスだと思ったのでしょう。

22年発表。
2022年の佐野元春、まずはこのアルバムを配信リリース。
既発曲を前半に、後半は新曲で固めて。
表現者としての姿勢を表した「エンタテイメント!」、強力なスカ・ビートで文句なしに心が弾む「愛が分母」、キレのある爽やかさが魅力「街空ハ高ク晴レテ」「新天地」「少年は知っている」、コロナ禍という特異な時代性の記録「この道」「合言葉」、穏やかに平和を願う「いばらの道」
コロナ禍で溜まった鬱憤を吹き飛ばそうというエネルギーに満ちていて、明るい気分にさせてくれるのが特徴です。
収録時間30分強の潔さ・聴きやすさといい、鮮やかすぎます。
『今、何処』という必殺技を出す前に繰り出されたジャブと言うには強力すぎたアルバム。

07年発表。
現在の佐野元春を支えるコヨーテ・バンドとの出会い。
でもそれはまだ助走、序章に過ぎなかったわけですが、いま思えば記念碑のようなアルバム。
荒ぶるビートが始まりの合図「星の下 路の上」、ワイルドな歌声が心に忍び込む「荒地の何処かで」、清々しいポップ・ロック「君が気高い孤独なら」、サイケなUKギター・ロック「Us」、馴染みやすい「夜空の果てまで」、CHANGEと訴えかける「世界は誰の為に」、現実を直視することこそが勝利ある「コヨーテ、海へ」、ゆったりと流れる雲のような「黄金色の天使」
このアルバムが教えてくれるのは、暗闇の中から見える光。
決して良くない状況にあっても、希望はある。
コヨーテ・バンドを手にした佐野さんは、ここから復活の道を遂げていきます。

25年発表。
元春クラシックスのコヨーテ再定義第2弾。
「調子に乗って作ってしまいました」の言葉通り、デビュー45周年&コヨーテ・バンド20周年を迎えた佐野さんの勢いはとどまることを知りません。
ロカビリー・ブギに変貌を遂げた「吠える」、フワフワとしたダンサブル・サウンド「太陽」などが原曲から大きく変わってますが、ありがとうの想いを込めた「君を想えば」、前に進む勇気「新しい航海」、カラフルに鮮やかさが増した「レイン・ガール」「誰かが君のドアを叩いている」、キレのあるサウンドで未来にタイムスリップ「訪問者たち」「新しい世界」など、前作に比べたら、全体的には大きく生まれ変わったと驚く場面は少ないかも。
しかし、コヨーテ・バンドという強力な武器を自慢したい佐野さんの微笑みが目に浮かびます。

90年発表。
緻密なアルバム作りはあえて避け、ハートランドと共にスピード感、ラフなライヴ感を重視。
ロックンロールの原点はこんな感じだろ?というワイルドなノリには、まだまだ野心がある事が伝わってきます。
ガラスの世代の成長録「ぼくは大人になった」、キラキラして力強い「ジャスミンガール」が白眉。
ストイックにビートを刻む「クエスチョンズ」、陽気なバンド・サウンドが魅せる「ビッグタイム」「ガンボ」、曲展開のアレンジが秀逸な「彼女が自由に踊るとき」、深刻さが混じる「空よりも高く」
無駄なものは削ぎ落して、残ったものの尊さを提示しました。
曲が出来た。素早くアレンジして明日のライヴで演奏しよう!という思いが滲み出ています。

99年発表。
ホーボーキング・バンドの力を借りつつも、アーシーなルーツ・ロックの音楽性を持つバンドとは違う方向性のアルバムを作りたかったのでしょう、佐野さん自身の演奏とプログラミングが軸になっているアルバム。
涼しげでノリの良い「メッセージ」「エンジェル・フライ」「シーズンズ」、切れ味鋭いヒップホップ・サウンド「GO4」「驚くに値しない」、不安な気持ちを静める「君を失いそうさ」、傷付いてもブランニューディが待っている「だいじょうぶ、と彼女は言った」、高音でしっとり歌い上げる意味深な「石と卵」
喉の不調もあり、内に抱えた迷いを吹っ切るかのようなロック感が強いこのアルバムは、他の作品とはどこか毛色が違う感じがします。

19年発表。
コヨーテ・バンドの名を外し、落ち葉に埋もれた枯れた道をひとり散歩する様なコンパクトなアルバム。
全8曲30分というのは、フル・アルバムなのかミニ・アルバムなのか曖昧ながらも、秋がコンセプトで、寂しく枯れた味わいで統一されています。
サビのタイトル連呼がキャッチーな「君がいなくちゃ」、誰に宛てたのかなと考えさせられる「最後の手紙」、ちょっと強がりなのが切ない「いつもの空」、アドバイスの言葉は届くのか不安になる「新しい君へ」、秋から冬へ向かう寂しさからクリスマスの喧騒を迎える高揚を実感「みんなの願いかなう日まで」
人生って実は孤独だし、それでも生きていかなくちゃいけない。
覚悟を決めて歩みを進めていくその中に、仄かな希望を見い出せる、そんなアルバム。

25年発表。
元春クラシックスをコヨーテ・バンドで再アレンジ。
セルフ・カヴァーではなく再定義だとして、曲名や歌詞も一部変更、現代に響かせる佐野元春の音を提示しました。
ジャジーでシリアスでクールな「Youngbloods」、唸るビートとスペイシーなサウンド「つまらない大人にはなりたくない」、柔らかくも虚ろな切なさ「だいじょうぶ、と彼女は言った」、エレクトロなダンス・ホールで舞う「欲望」、怪しいジャングル・ビート「自立主義者たち」、ブルージーでワイルドな「君をさがしている(朝が来るまで)」など、大きく生まれ変わったものもあれば、「ジュジュ」「約束の橋」など、原曲から大きな変化が見られないものもあります。
ベスト盤を聴いてるような、新曲ばかりのアルバムを聴いてるような、新感覚が味わえます。
最新形のロックを鳴らす、佐野元春の新たな教科書と言っていいアルバム。

17年発表。
まず目を引くのが鮮やかでカラフルな花のジャケット。
しかし、鳴らされる音楽はそのイメージとは違って、愚直にビートを鳴らそうとしてる感すらあります。
コーラスがバンドの一体感を感じさせる「白夜飛行」「悟りの涙」「新しい雨」、ビートルズのサイケ期のような「現実は見た目とは違う」、LOVEの連呼が印象的な「天空バイク」、メランコリックな「朽ちたスズラン」、素朴な味のある「蒼い鳥」、強力なギター・ロック「禅ビート」
そんな中でも、恋することの喜びを若者に訴える「純恋(すみれ)」が白眉で、青春を通りすぎた大人たちも目頭を熱くするでしょう。
華やかさ・穏やかさ・力強さを同居させてはいるものの、あまり派手になりすぎず、あくまでもマイルドなサウンドに仕立てた感があります。
バンドとしての余裕が、肩肘張らないものとして表現されたアルバム。

11年発表。
コヨーテ・バンドを得ながらも、再び旧知のホーボーキング・バンドと共に制作したセルフ・カヴァー集第1弾。
全体的にジャジーでアコースティック。爽やかさと渋さが同居、派手さはなくとも、生の楽器の響きを活かした演奏で、過去の曲を蘇らせました。
変わらずキラキラと輝く「ジュジュ」、オーガニックな肌触りになった「夏草の誘い」、妖しくジャジーなラテン系「ヤングブラッズ」、ルーズな感触「クエスチョンズ」、よりシンプルにゆったり感が増した「彼女が自由に踊るとき」、ワルツから拍子を変えた不思議なノリ「レイン・ガール」
望む音の方向性によってバンドを使い分ける術を憶えた佐野さん。
ホーボーキング・バンドによって、肩の力を抜いて、曲の本質の深みを味わいながら、優雅なひと時を過ごせるアルバムとなりました。

18年発表。
コヨーテ・バンドが順調な中、あえてホーボーキング・バンドを再結集してのセルフ・カヴァー集第2弾。
大人でダイナミックなサウンドで蘇った名曲群は鮮やかなセピア色。
テンポを落としてR&Bのノリにした「メッセージ」、グルーヴィーな演奏がクール「ブルーの見解」、ゴージャスな雰囲気を排して各楽器の音が生々しく響く「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」、ハード・ボイルドな隠れた名曲「自由の岸辺」、地を這うモコモコ・サウンド「ハッピーエンド」、泥臭いアメリカン・ロックになった「夜に揺れて」、表情がくるくる変わる「最新マシンを手にした子供達」、枯れた感じの新たな世界「ふたりの理由・その後」
前回のセルフ・カヴァー集よりもロック度が増し、貫禄十分の余裕あるサウンドが安心感を持って聴けます。
珠玉の名曲たちに新たな息吹を与えていることに成功しています。

さて。いかがでしたでしょうか。
エントリーされた24枚。
好きなアルバムを選ぶのは難しかったでしょうが、みなさん、大いに悩んでの回答、ありがとうございました。
1人1票ではなく、選ぶのは3枚。
しかも、順位を付けての投票というのがミソ。
思い入れの深さが反映するランキングになるので、多くの方が興味を持って回答なさってくださったことと思います。

ランキングの結果をご覧になって、どう感じたでしょうか。
集計作業をしていて感じたのは、本当に、みなさん1人1人の好みはそれぞれだなということ。
順位付けが被った人なんていなかったんじゃないか?というくらい、組み合わせがバラバラの順位付けばかりでした。

堂々の第1位は『VISITORS』。
リリース時のあまりの衝撃に、拒否反応を示したファンも多かったと聞き及んでいましたが、40年の時を経て、佐野さんが当時挑戦したことは間違ってなかったと、確固たる評価が下されたとも言えます。
あの時、佐野さんに魅入られたファンは、それからずっと応援し続けているんだろうなということが想像出来ますし、日本の音楽シーンを揺るがしたアルバムは、その後も新たなファンを獲得し続けてきたのだろうということも。
この結果は、とても佐野元春らしいなと感じました。

それから、最初のヒット作『SOMEDAY』が続くのは当然のようにも思えますし、第3位には、最近の作品『今、何処』が食い込んでいるのを見て、佐野元春というソングライターの才能は枯れることを知らないんだなということを実感します。

上位7枚が100ptを超えていて、その下は少し差がある感じでした。
この上位7枚は、「佐野元春の神7」と思ってください(笑)。
そして、1票も入らなかったアルバムはなかったのはひと安心でした。
結果を見ての第一印象では、意外な順位かもと思ったアルバムもありましたが、冷静によく見てみると、これはかなり民意を反映しているランキングかもと、納得出来る気持ちが大きくなりました。
素晴らしいランキングになったと思います。

もっとも、みなさん3枚選ぶのは難しかったと思いますので、下位のアルバムであっても「好きなのに!」と思われる方は多いと思います。
「佐野さんのアルバムはどれも良い」
結局、これが真理ですね。

また、各アルバム解説は、集計を出す前に書いたものなので、結果を反映した内容にはなってません。
結果を受けた上で読むと、疑問に思う描写もあるかと思います。
執筆した日が違うため、アルバムによって、詳細なものと淡白なものと、解説にバラつきがあるのも認めます。
採り上げてる楽曲も、たまたまだと思ってください。
ただ順位を発表するだけでは味気ないと思い、解説文を載せましたが、かなり僕独自の視点が入ってる解説になってるので、あまり深くは受け止めないで読み流してもらえたら、と思います。

それから。
今回の投票中、ベスト盤『No Damage』をエントリーしてほしかったという意見を多数いただきました。
「このアルバムで佐野元春を知ったという思い入れを持つ多くのファンがいるだろうから」と。
しかし、そこにこそ、このアルバムをエントリーしなかった理由があります。
多くのファンが思い入れを持っているからこそ、このアルバムを選択肢に入れてしまうと、1位になってしまう可能性が高いというのが予想出来てしまうからです。
結果が見えてしまう面白みの半減を防ぐ意味と、こういう人気投票においては、やはりベスト盤というのはアドバンテージが大きすぎる、という意味で、エントリーからは外させていただきました。
大好きなアルバムに投票したいというお気持ちは重々承知だったのですが、この意図をどうかご理解ください。

投票してくださった方(敬称略・順不同)

なかゆき、Cat Sounds、あず、ゆーさん◢U2、はるこて、fruit chocolat、Citron、kan kan、はる、ぱと、まりこ、眞真(まさ)、ジャスティン平和堂、1969_rock_rock、sunny girl、Wind-Ahead、you-zy、ジョーイ(Joey)、Shinkic、呉エイジ、のらはな、くどしん、add_some_music、ルイアーム、TAKE-CHAN、やなさん、ぢーこ、いとぞう、spin7000cc、まさひろ/ラジオ好き、洋、yoma、かずや/しろねこ整体院、naru_まいにちを唄う人、aw11-mr2sc、ローウェルチキン、ツリー、this、榎本勇作(Yucca)、りうじ、ヌー@Little Black、もなか2nd、madclown@弾き語りロッカー♪、ふろっぐ、Kiyo Knox、hinagiku、SSつばめヤロー、mimi.c、Emil1016、beat no shijin、柳瀬秀昭、大林憲弘、Atsu、ゾロ、katsu-k67、まんちゃん、ライ麦小次郎、Silverboy、mana29、まゆみ、はたらくくるま、空と旅人、虎・自転車に乗る、やっぱりモッコス、ミヤギタカオ、てここ、ワ・ダタカ・トモ、kazu11、ei16、2xYARI、いなしゅう、けんい、miso、ヒロ_K@川西、tiger1378、西田辺2163、午後野紅茶@甘露寺推し/サブ垢、ジョージ組@1型、Ponyboy@ポニー(半休養中)、ひろ、mican、motomomo、青い空とガブリエルと、tonbori堂@Web-tonbori堂主人、negogiro、けん、鈴木慎一、yotta@ア、かげろう(Ah! Kagerou)、masahiro5135、marumi、阿部謙一、kei-barber、Showzy正直しょーじ、KOJI、すぱーくりんぐまん、kosama、サロンドコアラ2、HC、タカ、kerlmccartney、のんのんの@小学43年生、スカ柳Or Lo(オア・ロー)、黒坂行衝@SUBMARINE GALLERY、Coda、Tetsu o、あさのほしみ、みつひろ、ZF OHORJ、armada、COYOTE Blue、パンテ・ラ・コーシ・ヴェイ、FujiNobu、hayapan、くろちゃん、永野信哉、コスタス・コンスタンティニディス、うに、ゆき、sakenokirimi、鋤焼食べ之助、仲田成利、かつ、トモヤト、akio.、がみさん、Tsuyoshi Yumoto、一前世、kpmom、MasaMack、人生ふわふわ、kouzi0616、ひろりんりん、スカテン、S2a.k.a.ゆに、tsuyo65、ゆっこ、Tetuy、ちゃねこ、ケイオウ ミステリー好き、NARU、car-progressive、office boy、ハバにゃん【ほんもの】、MKTemmaたかところ大阪支部、小坂浩之、angus、FusaMu、ねむるねこ、LadderFrame@SCR、わか、PWSCJAM、nelori、SEKI TOMOMITSU、yamaguchi&fukuoka、zirconia/ジルコニア、せいめい、長尾武春、If You’re Here、ちょり、(有)大鈴、PET SOUNDS、マーチン尾崎、ときおS660とプラドとバイク乗りスーパーカブ、4A-G、ポリ、Alpine、やす、SHIN-SAEKO、Satoshi Ishii、純恋(すみれ)、うめ吉、take、ゴールデンチャイルド、木村久美子、シン・うさぎ、yasa_solidblue、hiroshi、sawako、kekemaro、BAKAQ、-100度の太陽、木村和孝rhythmagic、hardworkernacky、alessandro_S_T_H_N

この企画が盛り上がったのはみなさんのおかげです。
本当にありがとうございました。

なお、Xの仕様なのか不具合なのか、せっかく回答いただいたポストが集計時にコメント欄に表示されなかった方がいらっしゃるかもしれません。
そして、意図的な不正はしておりませんが、アナログな手法の集計作業でしたので、人為的ミスがあった可能性も否定できません。
その際はどうかご容赦ください。

第1位『VISITORS』237pt
第2位『SOMEDAY』196pt
第3位『今、何処』163pt
第4位『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』149pt
第5位『Café Bohemia』141pt
第6位『Heart Beat』126pt
第7位『Sweet 16』101pt
第8位『FRUITS』58pt
第9位『BLOOD MOON』53pt
第10位『The Circle』47pt
第11位『THE SUN』45pt
第12位『BACK TO THE STREET』32pt
第13位『ZOOEY』31pt
第14位『THE BARN』22pt
第15位『ENTERTAINMENT!』19pt
第16位 (同点)『COYOTE』16pt
第16位 (同点)『HAYABUSA JET II』16pt
第18位『Time Out!』11pt
第19位『Stones and Eggs』10pt
第20位 (同点)『或る秋の日』9pt
第20位 (同点)『HAYABUSA JET I』9pt
第22位『MANIJU』7pt
第23位『月と専制君主』4pt
第24位『自由の岸辺』2pt

コメント