柴咲コウ Live@立川ステージガーデン 2023.12.23 感想

CONCERT TOUR 2023 ACTOR’S THE BEST

2023年12月23日(土)@立川ステージガーデン

女優としての歴史を音楽で辿るツアー

柴咲コウは、キツめの目が苦手で、あまり好きになれませんでした。
『ガリレオ』や『オレンジデイズ』なども観てましたが、特になんとも思わず。
ですが、『信長協奏曲』の帰蝶役を観た時に、なんて可愛らしい女性なんだ、と初めて思ったんですね。
それから惹かれるようになって。
そういえば歌も上手いんだったよなあ、と曲を聴くようになって。
CDやDVDを集めて、いつかライヴに行ってみたいと思うようになりました。

そしてようやく今年。
柴咲さんが出演してきた映画やTVドラマで使われた楽曲を集めた企画盤『ACTOR’S THE BEST』がリリースされることになりました。
自身で歌った曲はもちろん、他のアーティストの楽曲も柴咲さんが歌って収録したアルバムです。
これは面白そう。
そして、それに伴ったツアーを行うことも発表されたのです。
まだアルバムは発売前で聴けてなくても、このライヴは良さそうだぞと直感したのです。
観に行きたいな、と。

しかし、東京公演の2日間はクリスマス・シーズン。
僕にとって、ライヴの最優先は佐野元春なのですが、佐野さんは毎年クリスマス・ライヴをやることが恒例となっているので、そちらの日程が決まらないと、他の予定が立てられないのです。
なので、柴咲さんのライヴの先行抽選が始まっても、申し込むことができませんでした。

そしてようやく、佐野さんのライヴの日程が決定し、柴咲さんのライヴとは被らないことが判明。
その時すでに柴咲さんのライヴは一般発売が始まっていたのですが、運良く、まだ売れ切れになってなくて。
よっしゃあ、これで行けるぞと申し込み。
クリスマス・イヴである24日の方が特別感があるのはわかってましたが、24日は日曜日で有馬記念があるので、そちらの生中継を観たいということで、23日の公演を選択しました。

それから『ACTOR’S THE BEST』が無事リリースされ、聴いてみたら、期待してた通りの名盤。
これを中心にしたライヴは、きっと満足できるものになるだろうと期待が高まりました。

ライヴ当日。会場へ

この日は雨の心配もなく。
立川には14時半頃到着して、いつも通り、disk unionやらBOOK OFFやらのコース。
今回は、ちょっと欲しいものはありましたが、考え悩んだ末に何も買わず。

会場には17時15分頃の到着です。
開場時間は過ぎていましたが、まだまだ長蛇の列。
最近は電子チケットに慣れていましたが、今回は久々の紙チケットでした。

僕の席は3階R1列35番。
これは!
最悪の席です。
超・高所恐怖症の僕にとっては、3階の最前列だなんて悪夢です。
席が判明した瞬間、落胆しました。
耐えられるのか?と憂鬱でした。
実際、会場に着いてみて、3階最前列に行ってみると...。
一応、転落防止の柵が設置してあったので、落ちるということはまずないのですが、そういうことじゃない。
目の前に、すぐ下の景色が見えることが問題なのです。
とても立つことはできない。
椅子に深く座ってへばりついてなきゃいけない。
それも、恐怖心と共に。
こんなんで、ライヴが楽しめるのか?

すぐその場を離れました。
これは、最後列の後ろの通路の壁沿いに立って観た方がいい。
スタッフに咎められたら、高所恐怖症のことを言って、わかってもらうしかない。
トイレであれこれ考えて。
開演5分前に戻ってくると。
3階席の後方2列は、全然お客さんが入ってないのです。
あれ?
開演5分前でこの状態。
あと5分でこれからお客さんで埋まるとは考えられない。
これは、この列の席のチケットは売らなかったんだな。
しかし、おかしい。ライヴの3日前にはソールドアウトになってたのに。なんでだろ。
まあ、でも!
これだったら、この空いてる席に座ればいいんじゃん!
これはラッキー!
ステージが丁度いい角度で観えるR4列39番に着席。
周りには誰もいません。
ゆったりと観ることができそうです。
3階最前列が怖くて憂鬱問題が、こんな形で解決するとは思ってもみませんでした。

ライヴのスタート

開演直前、場内アナウンスで聴こえてきたのは柴咲さんの声。
開演を自ら知らせる演出に、期待も高まります。
そして開演時間の18時を5分過ぎ。
いよいよ始まりました!

01. KISSして
02. ANOTHER:WORLD
03. 静かな日々の階段を
04. 月のしずく
05. RIDE ON TIME
06. いくつかの空
07. Sign
08. 瞳をとじて
09. interference
10. cosmic rainbow
11. 無形スピリット
12. ヒトツボシ
13. 銀の龍の背に乗って
14. わたしが竜宮小僧だったとき
15. 最愛
16. BIRTH
17. TRUST
18. ラブサーチライト
(Encore)
19. かたちあるもの

「KISSして」
印象的な「♪ チュッチュッ、チュルルル~」のイントロに合わせて、赤いドレスに身を包んだ柴咲さん登場。
そして、飛び跳ねる柴咲さんですが、ピョンピョンという感じではなく、フワッフワッと、柔らかく天を舞うように飛んでるのです。
アッパーなスピード・チューンでいきなりの盛り上がり。
1階席のお客さんはタオルをグルグル振り回してます。いいなあ。

「ANOTHER:WORLD」
ハードでメタリックな曲で、重低音が響き、未来感があります。
サビは拳を何度も突き上げてノリたいところでしたが、3階席にはそんなお客さんは1人もおらず。
スクリーンには歌詞が映し出されていました。この後も、いくつかの曲で歌詞が映し出されているものがありましたね。

「静かな日々の階段を」
これ、静かな曲ですが、よく聴くとラップみたいですね。
ゆっくりと海の底へ沈んでいく感じです。

「月のしずく」
柴咲さんとの出会いの曲と言えばこれ。
これを生で聴けたのだから、それだけでも満足です。
落ち着いていながらも芯の強さを感じる歌声に癒されます。
さすが上手い!

「RIDE ON TIME」
山下達郎の、グルーヴィーで大好きな曲。
達郎みたいにファンキーではなく、あくまでも柔らかい歌声。
終盤の「♪ 愛よ光り出せ 目もくらむ程」の後の「♪ Haaa~」が、女神のささやきのような多幸感。

「いくつかの空」
「♪ さよならさよなら あなたに逢いたい」と切々と歌う柴咲さん。
切ない曲でも、柴咲さんが歌うと、どことなく希望が見えて温かくなります。

MCでは、『バトル・ロワイアル』の深作欣二監督のことを話してましたね。
それから女優の仕事についてとか。

「Sign」
『オレンジデイズ』は、リアルタイムではなかったですが、観ました。
ヒロインの沙絵がそうするように、手話をしながら歌う柴咲さん。
あの沙絵が歌ってる!という不思議な感動がありました。
もともと、ミスチルの曲の中でも1番と言っていいほど大好きな曲。
それを柴咲さんが、大切なものを包むかのように丁寧に歌ってくれるのですから至高。

「瞳をとじて」
平井堅の曲としてはそんなに好きではないのですが、やはりサビ前に「♪ Your Love Forever」と勢いをつけるところがいいですね。
そんなに気合いを入れ過ぎず、適度に力を抜いて歌う柴咲さんが良いです。

前半終了、柴咲さんは1度ステージ裏に引っ込みます。
スクリーンには、柴咲さんの幼少期からの写真が、アルバムをめくるように映し出されます。
そして、少しずつ成長していき、芸能界へ。
それからは柴咲さんの出演してきた映画やTVドラマが映し出されました。
柴咲さんの歴史をザッと振り返ったところで、柴咲さん再登場。
衣装チェンジして、長いピンクの手袋が目立っていました。

「interference」
グルーヴィーでファンキーなのに、透き通るような歌声の柴咲さんのギャップ。
決して熱くならないクール・ビューティー。

「cosmic rainbow」
高速道路のスピードも遅く感じるような、アップテンポのループに心も踊ってトランス状態。

「無形スピリット」
「♪ タッタース...」のイントロから大歓声。
「♪ Physical Physical」とシャウトする柴咲さん。
1階席は盛り上がってましたね。
終盤では、短めですが、ギター・ソロ、ベース・ソロ、ドラム・ソロと各楽器に見せ場がありました。

MCでは、自分が作詞してきた曲について。
そして、以前は、演じることと歌うことを分けて考えていた時もあったけれど、今はカテゴリー分けしないで捉えてるとのことでした。

「ヒトツボシ」
昨年の『ガリレオ』の映画の主題歌ですから、オリジナル曲としては、最新のものなんですかね?
それにしても、福山雅治と柴咲さんのコラボは相性良すぎますね。どれも良い曲です。
この曲は、ガリレオ関連で1番重たい曲ですが、胃もたれはしません。
なにかこう、ジャジャーンと運命的な、物語に深みを与えるものでした。
切迫感のある柴咲さんの歌です。

「銀の龍の背に乗って」
中島みゆきを聴いて良い曲だとは思ってましたが、柴咲さんが歌ってるのを聴いて、さらにこの曲の良さにハマりました。
中島みゆきの怖いくらいの迫力ではなくて、柴咲さんくらいの力強さが丁度いい感じ。
サビ前の「♪ さあ行こうぜ」に身震いします。
ハラハラと舞い落ちるようなメロディに泣けてきます。
そして、熱いギター・ソロと柴咲さんの絶唱が絡むシーンは感動的。
もともと1番期待はしてましたが、やはりこの日のベスト・アクトはこれでしょう!

「わたしが竜宮小僧だったとき」
これは、わらべうたというか、おとぎ話の歌のようで、天女のような柴咲さんのイメージ。
印象的なフルートの音が生演奏じゃないのは仕方ないけどちょっと残念。

「最愛」
リリース時、それまで歌ってきたバラードとも、『ガリレオ』の世界観とも違うものを出してきたなあという感じがした曲です。
映画の印象が強いのか、とても悲しい曲に聴こえます。
最愛の人への悲しき願い。

「BIRTH」
これは自分の誕生日を記念して作詞した曲だそうです。
過去に囚われたり、未来のことを考えすぎてネガティブになったりして、実は今をおろそかにしてやしないかと。もっと今を大切にしようというメッセージがこめられてるそうです。

「TRUST」
久し振りのツアーで、お客さんも声出しが可能になった今、「みんなの声が聴きたい」と願ったそうです。
それで、中盤のコーラスをみなさんで歌ってくださいということになったのだけれど、いかんせん代表曲と言えるほど浸透してる曲ではないし、メロディ自体フワフワしてて微妙に変わったりする難しいものだったため、お客さんも探り探りで歌ってて、大合唱というわけにはいきませんでしたね。
バシッと大合唱が決まれば、感動的なシーンになるだろうと想像はできるんですけど、まだそこまでは。

「ラブサーチライト」
本編最後はチョッパー・ベースも華やかなアッパー・チューン。
カッコいいビートで攻めて、様々な色のレーザービームが舞っているイメージです。

ここからアンコール。
メンバー紹介。
今回は、ギター、ベース、キーボード、ドラムという4人編成でした。
もちろん裏で音を足してましたが。

「かたちあるもの」
最後にまた大好きなバラードです。
柴咲さんが出演した映画版ではなく、TVドラマ版の『世界の中心で、愛をさけぶ』の主題歌なので、『ACTOR’S THE BEST』には収録されませんでしたが、自分で作詞をして歌った曲なので、思い入れもあるそうです。
ゆったりと落ち着いて、それでいて力強く、ヴォーカリストとしての力量を感じる曲です。
物語の世界観のように、「♪ もしもあなたが寂しい時に ただそばにいることさえできないけど」と悲しい歌なのですが、柴咲さんのような女性に強くこう思われたら、癒されるというか、辛いことも乗り越えて生きていけそうに感じる曲です。
とにかく、ただただウットリしました。

終了は20時10分。
約2時間のステージでした。

高速のタイムマシンに乗って夢見心地

基本的にはバラードが苦手な僕が、癒されたい時に聴いていた柴咲さんの音楽。
だから、いつか生で聴いてみたいと念願だった柴咲さんのライヴ。
ようやく叶いました。
観るならベストヒット的なセットリストのライヴがいいなと思ってましたが、女優としての柴咲さんの活動を辿る、カヴァー曲も含めてはいますが、ある意味ベストヒットなライヴでした。

25年前に戻って、そこから歌と役柄で振り返った旅はあっという間。
高速のタイムマシンに乗ったようでした。
ライヴ中、天女にも女神にも思えた柴咲さんですが、この時間間隔の喪失からすると、乙姫様だったのかもしれません。
名曲と美声に酔いしれて癒されて夢見心地。
とは言っても、正直言うと、この日は薄ら眠くて仕方なかったです。
周りに誰もいない席に座って、なんのストレスもなくリラックス出来ちゃったものだから、眠気に襲われてました。昨夜は6時間以上寝たのにな。
ウットリ聴き入っていると、心地良くなって、ホントに夢見心地で、何度か意識が飛んでしまいました。
そういう意味では、最初から最後まで、しっかりとライヴを堪能できたとは言えず、時間が経つのも早くて、見逃した、聴き逃したところも多々ある気がして、なんとも残念。

まあでも、柴咲さんにはなんの落ち度もなくて。
歌の上手さをちゃんと味わえたし、さすが女優さんの表現力に圧倒されました。
美人でチャーミングな素敵な女性のパフォーマンスを目の当たりにし、またひとついいライヴを観ることが出来たなと、秘かな自慢が増えました。

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