パール兄弟 Live@渋谷CLUB QUATTRO 2019.5.16 感想

君と河をのぼろう パール兄弟 2019

2019年5月16日(木)@渋谷CLUB QUATTRO

恒例の年1ライヴ。ゲストはムーンライダーズから!

パール兄弟は、近年はほぼ年1でライヴをやっていて、昨年は近田春夫さん等を招いて、ほぼビブラトーンズを復活させたりしたのも良き思い出。
とても楽しかったライヴだったので、また機会があったら行ってみたいなと思ってたら、今年のライヴはゲストにムーンライダーズの岡田徹さんを招くという。岡田さんはパール兄弟の1st&2ndアルバムのプロデューサー。という事は、今回のライヴはその2作からの曲が中心になるのでは?と予想がつきました。特に1stアルバムが大好きな僕としては、とてもそそられるライヴになりそうだと思ってたら、追加で、同じくムーンライダーズの鈴木慶一さんまでゲストでいらっしゃるとのアナウンスが。
これは、より一層観てみたいなあとなったのですが、5月はライヴが立て込んでいて、既に2本のライヴに行く事がほぼ決まりで、さすがにさらにあともう1日、仕事の休みの申請をするのは気が引けて、パール兄弟は諦めかなあ、と思ってました。

しかし、いざ5月の勤務表が出来上がってみると、なんと、そのパール兄弟のライヴの日は、僕はオフになっていたのです!
自分から休みを申請するのは気が引けたけど、向こうから休みをくれたのなら、なんの問題もありません。ていうか、なんという偶然、幸運。
こうなったらもう、これはライヴに行けという事なんだなと思い、チケットを獲る事にしました。

実際にチケットを買ったのは、ライヴの約1週間前だったんですけど、余裕で買えました。
ていうか、整理番号A233番。
渋谷CLUB QUATTROのキャパは800人と聞いてるけれど、ライヴ1週間前に買ったチケットで233番目に入場できちゃうんですか?相当売れてないって事???
心配になって、以前QUATTROで観たサニーデイ・サービスのチケットを確認してみたら、整理番号は同じくらいの番号でした。あの時は、その番号で入場した時には既にかなりフロアは埋まっていて、結果的にかなり混雑した中でライヴを観る事になったので、整理番号であれこれ考えるのはあまり意味がなさそうだし、そもそもキャパ800人というのもホントかなあ、という気がしてきました。

ライヴ当日。会場で場所取り

以前は、QUATTROの階下はBOOK OFFだったのですが、昨年撤退してしまって、どうなってるのだろうと思ってたら、GUが出来てました。空き店舗状態ではかなり寂しいので、これは良かったなと思いました。
開場は18時で、僕が到着したのは18時10分頃でした。
この日もあちこちで買い物してから行ったので、両手にレコードやCDの入った袋を抱えてた僕。この日はレコードが重たすぎたので、さすがにロッカーを利用しようかなあと、ロッカーをチェックしたのですが、予想してたよりも空きロッカーが多くて良かったと思ったのも束の間、レコードは入らない大きさでした。
ダメだこりゃ、と諦めつつ、順番待ちをしていたら、向かいに大きなロッカーがあるのを発見。でも、値段が通常ロッカーの倍の600円だったので冷めました。これは高すぎます。いつもの様に、荷物を持ったまま会場入りする事を決意。

意外と早く僕の順番が呼ばれたので、サッサと入って、トイレを済ませてからフロアへ。
たくさんの荷物を足元に置いても大丈夫なように、1番後ろの壁際を確保。これでなんとかひと安心です。
でも、僕が場所を取ってから5分後くらいにはかなり人が増えてきていて、もう少し入るのが遅かったら、ポジション取り損なう所だったなと冷や汗ものでした。
お客さんは、満員ではないけれど、8割方埋まってたように思います。でも、後方の僕の周りはだいぶ余裕があったかな。チケットがソールド・アウトにならなかった事は悲しい事ではあるけれど、観る僕にとっては良い面がありました。

ライヴのスタート

開演時間の19時を過ぎ、会場が暗くなって、いよいよライヴの始まり!
でも、昨年のライヴと同じように、まずスクリーンに映像が。
6月にミニ・アルバム『歩きラブ』をリリースするとの事で、人がてくてくと歩くアニメーションの映像。
この映像を、登場してきたパール兄弟のメンバーたちと一緒にしばらく眺めるという、謎の時間。そしてこれが結構長い...。

01. 歩きラブ
02. TRON岬
03. 世界はゴー・ネクスト
04. 馬のように
05. TAMASAKA
06. ライ・ライ・ライ
07. 100度目のBye Bye
08. 火の玉ボール
09. LIFE=事務
10. ニットキャップマン
11. さよならは夜明けの夢に
12. いとこ同士
13. 羊のトライアングル
14. 9月の海はクラゲの海
15. 記憶のドアー
16. 青いキングダム
17. ZAPハート
18. プルプル通り
19. メカニックにいちゃん
20. 江戸時代の恋人達
21. ケンタッキーの白い女
22. 快楽の季節
(Encore)
23. The Night They Drove Old Dixie Down
24. バカヤロウは愛の言葉

1曲目は、その新作からタイトル曲「歩きラブ」
もちろん初めて聴く曲なので、お客さんも手探り状態。どうやってノッたらいいのか。聴き入ったらいいのか。
どんな感じの曲だったかは、これを書いている今となってはまったく思い出せません...。

次は2ndアルバムから「TRON岬」
ニューウェーヴ感もある、クールな曲です。
サビの「♪ CHIBA CITY 眠れない」が耳に残ります。
演奏もカッコいい。

次も2ndから「世界はゴー・ネクスト」
一気に派手でポップなサウンド。80年代を感じさせます。
頭ガンガンに振って、拳を挙げて、飛び跳ねてもよさそうな曲調ですが、お客さんのほとんどは高齢なので、そんな事は出来ず(笑)、わりかしおとなしく聴いてました。
パール兄弟の演奏は若いのですが、お客さんがついて行けない典型(笑)。

次は、昨年大きなインパクトを残した「馬のように」
今回も、「ヒヒーン、ブルルルル」という馬の鳴き真似をするよう促すサエキさん。僕は昨年もライヴで観たのでわかってたので、笑いながらやりましたが、僕の周りのお客さんたちはノリが悪かったです。

新作から「TAMASAKA」

「ライ・ライ・ライ」
これもクール系の曲。
サエキさんの粘っこいヴォーカルは今でも色気を感じさせます。
でも、また2ndからの曲だったので、なかなか1stの曲やらないなあ、と不安に。

ファンタジー系?な「100度目のBye Bye」で、爽やかで温かい気持ちに。

今回のゲスト、ムーンライダーズに「火の玉ボーイ」というのがありましたが、パール兄弟は「火の玉ボール」という曲を繰り出してきました!

直前にSpotifyで予習しておいて良かったと思ったのが「LIFE=事務」
かろうじて1回聴いた事ありました。
ファンキーな曲で、事務とはジムの事なのかどうかわかりませんが、一緒に筋トレでもするかのような振り付けでした。

ここで、ゲストの岡田徹さん登場です。

あー、これなんの曲だっけーと思いながら聴いてたら、「♪ フジオさん」のフレーズが聴こえてきて、そうか、「ニットキャップマン」か、と。
ほんわかとしたマーチです。

ムーンライダーズ初期のバラード「さよならは夜明けの夢に」
岡田さん、声が渋いです。

そして鈴木慶一さん登場

まずはムーンライダーズの代表曲の1つ「いとこ同士」
でも、原曲のようなテクノ・サウンドではなくて、バンド・アレンジのハードな演奏で、印象はかなり違いました。
この辺りのアレンジのいきさつもMCでたっぷり説明してくれました。

『ANIMAL INDEX』リリース直後のライヴ以来歌ってないという「羊のトライアングル」
はて、どんな曲だったっけ、と思ったのですが、リフが印象的ですぐに思い出しました。
「♪ ラ、ララーラーララー」と一緒に歌うのが楽しかったです。
こういうレアな曲を慶一さんたちにやらせたパール兄弟Good Jobです。

そして、ムーンライダーズとパール兄弟と言えば、サエキさん作詞の「9月の海はクラゲの海」でしょう!
初めはそれほど良いとは思えなかったのですが、聴く度にどんどん好きになっていった曲です。
ぐにょぐにょサウンドに、サビの「♪ Everything is nothing」の畳み掛ける件が心地良いのです。
生で聴いて、さらに好きになりました。

これにてムーンライダーズのコーナーは終了。
慶一さんと岡田さんはいったん退場です。

通常のパール兄弟に戻り、ようやく1stからの曲「記憶のドアー」です。
でも、これは意外な選曲だったかな。あまり盛り上がる曲だとは思ってなかったから。

青春的な、モッズ的な感じもして大好きな「青いキングダム」
サビで勇ましい感じになるのも良いのです。

新作からの「ZAPハート」
これはとても良い曲!ちょっと憂いな曲調で、憶えやすいし、一発で気に入りました。
サビの振り付けも、サエキさんを真似て、一緒に手を動かして楽しかったです。
この素晴らしい曲が入ってるなら、これ目当てで新作を買ってみてもいいと思えるところでしたが、やはり、Spotifyに入らないかなあ、と考えてしまうのでした。

スピーディーでカッコ良く、演奏力の高さを感じさせたのが「プルプル通り」

そして、素晴らしいアレンジのアイデアを出してくれたという岡田さんを再び迎えての、どうしても生で聴きたかった「メカニックにいちゃん」
これ、正式名称は違うらしいんですよね。メカニックの後は、ここには書きたくない言葉が入るようです。
でも、そんな事よりも!
サビ直前の「♪ メーカニック」から「♪ よみがえれお兄さん よみがえれアリと砂利」の後の「♪ ヨロレイホロレイホ~」のコーラスまで一緒に歌いましたし、フィニッシュの「♪ よみがえれ路地の裏」の 解放感、そしてエンディングの「♪ ヘイ!」。
ものすごく楽しくて気持ち良くて、テンションがピークでした。

そしてなだれ込むように「江戸時代の恋人達」
この近未来の盆踊りも大好きです。
「♪ エレキでもどうだい」に、「♪ エレキでもどうだい!」と歌い返すのがなんとも気持ちいい。

2ndから「ケンタッキーの白い女」をやってくれたのは嬉しかった!
2ndの中ではこの曲を1番楽しみにしてたからね。コミカルなカントリー・ソング。
「♪ She’s The 20 Century She’s The 20 Century」のコーラスを一緒に歌えて楽しかったです。
でもこのタイトルって、「しろいひと」って読むんだね。後追いで薄いファンの僕はずっと「しろいおんな」だと思ってました。

「Seasons of Sex」と紹介しての「快楽の季節」
演奏もノリにノリまくってグルーヴィー。
「♪ 気持ちいいね、俺たち」と、気持ちいいのはSexもLiveも同じ様なもんだという事なんでしょう。
終盤は「♪ ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!」と拳を挙げて、燃え尽きます。
この曲は、CDで聴くよりもずっとライヴ向きの曲なんだと実感して、本編は終了。

アンコールでは、あの曲をやってくれるものだと期待して待ってたら、メンバーと共に、岡田さんや慶一さんも再登場。
このオールスター・メンバーであの曲は「らしくない」ので不安に思ってたら、ザ・バンドの「The Night They Drove Old Dixie Down」を、サエキさんの日本語訳詞でカヴァー。
ザ・バンドは、ムーンライダーズの前身のはちみつぱいへの影響が大きいから、納得の選曲でした。
MCでは、この曲の成り立ちとか、思い出とかを話してくれて、なかなか勉強になりました。
ザ・バンドは1stしか聴いた事ないので、2nd収録のこの曲は初聴きだったけれど、結構良い曲だと思いました。今度Spotifyで聴いてみようかと。

岡田さんや慶一さんは退場して、まだあの曲をやってない、まさかやらないで終わるなんて事はないよなと、ハラハラしましたが、最後の最後でやっぱりやってくれました。
ていうか、これがないと終われない「バカヤロウは愛の言葉」
イントロからして胸がキュンとなります。イントロだけで興奮しました。
「♪ バカ野郎といってくれよ」に対して「♪ バーカヤローってー」て歌い返したり、サビの「♪ LOVE LOVE」のピースフルなリフレイン。
この曲も、ライヴに参加してこそ味わえる感動がありました。

結局、ライヴが終了したのは22時10分でした。
この後、先行発売になるNEWミニ・アルバムを買えば、メンバーと握手ができる会に参加できるのですが、帰りの電車の時間が迫っている僕には厳しい。
今回も諦めて、急いで帰路に着きました。

ムーンライダーズの2人も観れたし、何よりもパール兄弟の演奏が上手くてカッコ良かった

サエキさんは、ムーンライダーズのお2人をリスペクトしまくったMCで、その真面目さがぐいぐい伝わってきました。
サエキさんを知った当初は変な人なのかと思ってましたけど、知れば知るほど真面目な人なんだなあ、と。
ヴォーカルの方も、変にテンション上げ過ぎず、丁寧に歌っている印象で、そこにも真面目さを感じます。

昨年のライヴでは、譜面台に隠れてしまって、ギターを弾く晴男さんの手元がまったく観えなくて不満だったのですが、今回は譜面台は置いてあったものの、それが邪魔になるような事はなく、鋭いカッティング、艶のあるギター・ソロを弾いてる時の手元がバッチリ観えたので満足でした。

演奏の面で1番耳を奪われたのは、ベースのバカボンさんです。
会場の音響もとても良くて、バカボンさんのベースの音がかなりブイブイ響いて聴こえて気持ち良かったです。
中盤ではウッド・ベースを弾いていて、後半になったらそれを弓を使って弾いてたのでビックリ。じゃああれはコントラバスなの?と思って、後で調べてみたら、ウッド・ベースとコントラバスは同じものなんだってね。楽器に疎い僕は初めて知ったよ。

松永俊弥さんのドラムも、すごいキレがあって爽快でした。

キーボードの矢代恒彦さんは、昨年と同じく、僕の位置からだとまったく演奏してる姿が見えませんでした...。

セットリスト的には、もっともっと1st・2ndからの曲が多いかと思ってたんだけど、そうでもなかった感じ。「しがらみクラブ」「ハレ・はれ」「風にさようなら」辺りを生で聴けるんじゃないかと期待して行ったので、それらが聴けなかった事はガッカリでした。

でも、久し振りにムーンライダーズの2人を観れて曲も聴けたし、満足だし、何よりもやっぱりパール兄弟の演奏がカッコ良かった。いい音出してた。
パール兄弟って、そのユニークなバンド名や歌詞から、80年代のサブカル...下手したらコミック・バンド的なイメージを持たれてしまうんだけれども、とにかく演奏が上手いバンドだし、素直に良い楽曲が多い。
今からでも遅くないから、少しでもパール兄弟の魅力がわかる人が増えるといいなあ。Spotifyでも聴けますよ。

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