ムーンライダーズ Live@EX THEATER ROPPONGI 2023.12.27 感想

80年代のムーンライダーズ Vo.1

2023年12月27日(水)@EX THEATER ROPPONGI

充実の80年代限定ライヴ!

ムーンライダーズは、大学生の頃ハマって、精神的に最も辛い時期を支えてもらった思い入れの深いバンド。
しかし、21世紀に入ってからはだんだん活動を追いきれなくなって、疎くなってしまいました。
たまにライヴ観てみたいなあと思っても、でも最近の曲知らないしと尻込みしちゃって。
なので、1996年以来、ライヴに行けてませんでした。

でも今回のライヴ。
『80年代のムーンライダーズ』と題されていて。
これなら、1番好きなアルバム『ANIMAL INDEX』の曲を何曲かやってくれる可能性高いですし、他も馴染みのある曲ばかりのライヴとなりそうだったので、行ってみたいな、と。

ただ、今年の年末はすでに2本のライヴに参加が決定していて、スケジュール的に立てこんでいるし、仕事の休みを申請するのもちょっと気が引けるなあと思って、結構悩んだんです。
でも、今年はムーンライダーズのライヴで締めたい、との思いが強く湧き上がり、申し込んでみることに。
チケット受け付けは、既に二次抽選になっていたので、当選する可能性は低いかなとは思ったんですけど。
お土産付きのS席と、安いA席とがあって、キャパ的に言ったらS席の方が当選確率は高いだろうと思ったのですが、4000円も差があるし、できれば安く済ませたい。
これは、確率低いかもしれないけど、A席狙いでいってみるかと、第一希望はA席で申し込みました。

すると、希望が通ってA席で当選!
自分で勝手に無理そうだと判断してS席にしないで良かった。
今回は吉と出ました。

それから、予習であらためて80年代のアルバムを聴き直してみると、いろいろ発見があって。
『マニア・マニエラ』と『青空百景』がこんなにも良かったとは思いませんでした。
こんなことなら、昨年の再現ライヴも行ってみたかった。
イマイチかなと思ってたアルバムの中にも、好きになれる曲がいくつか見つかって、思ってたより良いアルバムじゃないかと思えるようになったり。
範囲が決まってるので、予習も楽です。
80年代のムーンライダーズ、充実してますね。

ライヴ当日。会場へ

あっという間に年末。
ライヴ当日は天気も良く。
いつもは、道すがらのdisk unionやらBOOK OFFやらに寄り道していくところなんだけれど、今回の会場近辺にはそういうお店はないし、途中下車するところもないしで、真っすぐ会場へ。

17時30分に会場到着。
グッズの事前販売が終わったところでした。
開場時間の18時まで、少し待ちます。寒い。
そういえば、パネル展が開かれてるという情報を得てたのに、すっかり忘れて、ただボーッと待っちゃいました。
パネル展、観たかったな。

いったん待機列に並んでたのですが、どうやらそれはS席用の列だと気付き、途中で離脱。
A席用の列に並び直し。
今回、S席はお土産が付いてるので、そのために列が分かれていたようです。
横から見えたお土産は、オレンジ色のトートバッグのようでしたね。

開場時間は18時で、開演時間が18時30分なので、ちょっと忙しいです。
トイレの個室であまりゆっくりしてられませんでした。
まあでも、ちょうど良い時間に。

僕の席は、B1階7列2番。
地下に作られた会場なので、ステージがあるのがB2階。
なので、B1階は普通の会場の2階席にあたります。
そこの最後列。
左端から2番目。
A席なので、仕方ありませんが、ステージもそんなに遠くないし、なんの不満もありません。
期待に胸ふくらませ、開演を待ちます。

ライヴのスタート

開演時間の18時30分を5分過ぎ、演奏がスタート、緞帳が開きました!
バンド・メンバーは2列に分かれていて、
前列・センターがギターの良明さん、その右にベースの博文さん、さらに右にドラムの夏秋さん(ドラム・セットは横向き)。左にはキーボードの佐藤優介さん。
後列・左から慶一さん、ギターの澤部渡さん、ヴァイオリンの武川さん。
メイン・ヴォーカルの慶一さんが後ろの端っこだし、ドラムは前で横向いてるしで、なんかすごい布陣でした。

01. 悲しいしらせ
02. エレファント
03. G.o.a.P. (急いでピクニックに行こう)
04. 30 (30AGE)
05. 真夜中の玉子
06. 霧の10㎡
07. ロシアン・レゲエ
08. 渚のアンビエントミュージック
09. Y.B.J. (YOUNG BLOOD JACK)
10. 無防備都市
11. A FROZEN GIRL, A BOY IN LOVE
12. 僕はスーパーフライ
13. だるい人
14. Frou Frou
15. GYM
16. NO.OH
17. Kのトランク
18. DON’T TRUST ANYONE OVER 30
(Encore)
19. 9月の海はクラゲの海
20. くれない埠頭

「悲しいしらせ」
大好きな『ANIMAL INDEX』のオープニングを飾る、大好きなこの曲でライヴがスタートとなったので、いきなりテンションMAXです!
これが聴きたかったんだ、の思い。
今日のライヴは良くなりそうな予感がピンピン。
しかし、1番のサビ「♪ 君は天国を知らないまま」を、慶一さんが1拍早く歌い出してしまったため、歌と演奏がズレてしまうという致命的なミス。

「エレファント」
おっと、このシングルも80年代でしたか。
陽気な合唱系のライダーズ。
楽しく聴いていると、終盤はどんどんスピード・アップしていってカッコいい!

「G.o.a.P. (急いでピクニックに行こう)」
なんとも不思議な色気のある曲です。
ちょっと退廃的でいいんですよね。

ここで、ゲスト・プレイヤーが。
「サックス、矢口くん!」
現れたのは、矢口博康さん。
サザンオールスターズとも関わりがあった人ですよね。嬉しい。

「40年前の曲です」と紹介されて「30 (30AGE)」
博文さんが、30歳になる記念に作った曲ですね。つまりは博文さんももうすぐ70歳。
もちろん、歌うは博文さん。
なかなかの疾走感に、少し前かがみになって歌う博文さんです。
演奏終了後、慶一さんが「若い2人がなんでこんな曲を選んだんだろう」と言ってました。
サポート・メンバーの澤部さんと佐藤さんがセトリ入れを進言したということですかね?

「真夜中の玉子」
忙しい曲です。それがクセになる。
良明さんの声は大きいですね。
早口メロディに、高音、低音と目まぐるしく交じる、良明さんと慶一さんのヴォーカルの絡みが好きです。

「霧の10㎡」
「♪ When I wake up」のコーラスに導かれ、ゆったりしたリズムで、作者の博文さんが「♪ 冷蔵庫には」と歌います。
良明さんと澤部さんが、見合って呼吸を合わせてギターを鳴らしていたのが印象的。
サックス・ソロもありましたし、良明さんのギター・ソロも良かった。

「ロシアン・レゲエ」
うん?馴染みのない曲...と思ったのがコレ。
博文さんと良明さんとかしぶちさんによるユニット「アートポート」の曲でした。
ムーンライダーズとしてライヴ盤『THE WORST OF MOONRIDERS』にも入ってましたので、聴いたことはあったはず。
あんまりレゲエっぽくはなくて、ヴィブラートする高音のヴォーカルと艶のあるギターが印象的。
重低音がうなりを上げて迫ってきて、多重コーラスとも相まって、終盤はサウンドの波でした。

博文さんと佐藤さんがステージ中央で握手を交わし、場所を入れ替え。
博文さんがキーボードを弾きます。
「渚のアンビエントミュージック」
これ、ちゃんとした原曲を聴いたことはないと思うのでわからないのですが、博文さんのソロ関係ですかね?...インストでした。
博文さんは、ソロというよりも、コード弾きを主体にして、曲をリードしていました。
これ1曲で、ベースとキーボードは再び入れ替わり、元の位置へ。

「Y.B.J. (YOUNG BLOOD JACK)」
うおおおおお。
『アマチュア・アカデミー』の中の1番好きな曲で、やってくれないかなあと期待してた曲が出ました!
クールに引き締まった曲。カッコいい!
博文さんと慶一さんがヴォーカルを分け合ってました。
矢口さんもサックスを吹き倒し、これが終わると一旦退場。

「無防備都市」
これまたカッコいい。どんどんニューウェイヴ化していった頃のライダーズの極み。
印象的なギターのジャカジャンッ!というカッティングを澤部さんが担当していました。
「♪ 愛はsleeping time」!
原曲にはないキーボード・ソロもありましたね。
疾走感ある曲なので、1階は盛り上がってるかなあと、少し下を覗き込んでみたら、様々な色のペンライトがあちこちで光ってました。なんかアイドルのライヴみたいで、ライダーズっぽくないというか。ていうか、最近のライダーズのライヴはこういう盛り上げ方してるの?と。

慶一さんが「ここでちょっとクジラが喋ります」と言って、武川さんのMC。
そしたら、武川さんがペンライトに言及して「子供騙しだね」と(笑)。

「A FROZEN GIRL, A BOY IN LOVE」
歯切れの良いリズムの武川さんの曲で、もちろんリード・ヴォーカル。低音でつぶやくように歌う武川さんの真骨頂。
終盤の良明さんのギター・ソロに澤部さんがアコギをかき鳴らして絡んでいくところに痺れた!

「僕はスーパーフライ」
やったあ!これまた是非とも生で聴きたかった曲。
ほのぼのとしていて、ちょっと不気味で、ちょっと切ない曲。
わかりやすさを狙った『青空百景』の中でもとびきりキャッチー。一緒に歌いたくなるね。
そして、ビート感ある「♪ 君に伝えたい 僕がここにいるってことを」の件が好きすぎる!

MCでは、慶一さんがグッズ販売に言及し、「借金してでも買わなきゃいけないものがいっぱいある」、そしたら武川さんが「借金できるうちが花」と。
そして、「大掃除しなくても正月は来る」「餅には気を付けろ」と名言を残した後は、年末恒例のクラシック曲(タイトルは失念)を替え歌で合唱。

「だるい人」
音頭ですな。
博文さんはハーモニカを吹いてました。
「♪ そんな40代」とか「♪ 金が欲しい」とか切実なことを歌ってますが、ヤイヤイヤイとかラララララとか、楽しく踊れる曲です。

矢口さん再登場。

「かしぶちくんの曲をやります」と言って「Frou Frou」
これも前曲とは別の意味で踊れる曲です。天井ではミラーボールが光って回ってました。
前半はしっとりとセクシーで、後半はカラッとして爆発します。
珍しく慶一さんが長いギター・ソロ。
これも良い曲だなあ。

「B面の曲をやります」と言って「GYM」
僕は後追い世代でアルバムを追っていったファンなので、こういうシングルのB面はまったく知りませんでした。
慶一さんが言ってましたが、「シングルA面もB面もタイアップ付いたのに、ノー・ヒット」(笑)。
そこがライダーズらしいし、80年代のムーンライダーズを象徴する意味で、この曲をセトリに入れてくるとは、この曲も少し浮かばれますかね。

「良明のコーナー」と紹介されて「NO.OH」
テーレレレレッという印象的なリフ。
「♪ ガッチュ!」「♪ シンギン!」と気合の入る合いの手コーラスも耳に残る。
最後は良明さんがステージ前方にまで出てきて、歩きながらのギター・ソロ。

「Kのトランク」
無機質なサウンドは、今も時代の先を行ってる感。
サビは「一緒に!」と煽って、「♪ I can’t live without a rose」とお客さんが歌います。
当時は、聴く者を置き去りにして走っていった感のあるライダーズですが、今はこうしてファンと一緒に歌えるようになるとは。

「DON’T TRUST ANYONE OVER 30」
最近むちゃくちゃ好きになった曲です。
建物がガラガラと壊れていくようなリズムとサウンド。
サビの「♪ DON’T TRUST ANYONE OVER 30」というフレーズは、30を40、60、70と変えて歌ってました(50は無し)。
原曲では、良明さんのギター・ソロが涙が出るほどカッコ良いので期待してたのですが、何故かソロは無し(泣)。
最後は、「♪ DON’T TRUST US」と慶一さんが言ってたように聴こえました。

本編終了、20時20分。

そしてアンコール。
さっき、子供騙しだねとキツいことを言った武川さんが、そのペンライトを振りながら登場。ホントは嬉しかったんですね。

「今年は身近な人がたくさんいなくなってしまった」と言って、「岡田くんの曲で、高橋幸宏もよく歌ってくれた」と紹介しての「9月の海はクラゲの海」
グニョグニョしたサウンドがたまらなくて、聴きこむたびに好きになっていくこの曲。
なんか泣けてきたなあ。どことなく長閑なレクイエムに聴こえました。

「PANTAが、持ち歌にしたいと言って何度も歌ってくれた」と紹介しての「くれない埠頭」
会場内が赤い照明に包まれます。
寂しげに歌う鈴木兄弟。
演奏は混沌としてきて、ドラム・ソロもあり、サックス・ソロもありで、かなり長尺。
最後は、コール&レスポンス。
曲の雰囲気に合わせて、控えめな感じで歌うお客さんたちです。
寂しい曲なのに、温かな気持ちになりました。
人気曲でライヴを締めました。

最後に、メンバー紹介をしながら、1人ずつステージ前方に出てきて。
そして全員揃っての挨拶で、ライヴは終了しました。
20時49分。

80年代の攻めたサウンドを再現した充実のライヴ

うーん、良かったなあ。
大好きな曲ばっかりだった。
生で聴きたかった曲がいっぱい聴けた。
でも、考えてみると、あれやらなかったな、これもやらなかったなと、他にも聴きたかった曲がいっぱいある。
やっぱり、80年代のムーンライダーズ、充実してる。

僕自身、ライダーズのライヴを観るのは30年近く振りになるのだけれど。
前回はメンバー40代で脂が乗りきってた頃だったろうけど、今や70代。メンバー2人いなくなってしまったし、最近のライダーズのライヴはどんなんだろう、老けてしまって、力なく腑抜けたサウンドになってやしないかと不安もあったのだけれど。
ところが全然そんなことなくて、若い頃のライダーズのイメージを損なわない、迫力あるサウンドで攻めてきた。
ヴォーカルも、みんなちゃんと声出てたし。
若きサポート・メンバーの力も大きかった。
みんなカッコ良かったし、楽しかった。

今回、『80年代のムーンライダーズ Vol.1』と謳ってるということは、『Vol.2』以降もあるのでしょうか。
なんだったら、『70年代のムーンライダーズ』とかもありえるんじゃないでしょうか。
それらがどんどんシリーズ化していきそうな感じ。ていうか、やってほしい。
今回ライヴ観て、あらためてライダーズが好きになった。
まだあまり聴いてないアルバムとか、ちゃんと聴きこみたい。
これからも、メンバー全員元気にがんばってほしいです。
ライヴまた、絶対観に行きます!

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