キリンジ Live@日本武道館 2003.11.16 感想

2003年11月16日@日本武道館

ライヴ当日。会場へ

この日のチケットを獲ったのは7月。随分と前だよなあ。
チケット獲る時が「一番行きたい時」。だから、あまり間隔が開いてしまうと、半分どーでもよくなってしまう危険が。特に、9月~10月頭まで体調ひどかったものだから、「チケット獲ったの失敗したかなあ」なんて思ったりした事も。
でも、ニューアルバムが良かったし、なんとか体調も戻ったから、とりあえず「楽しみに」出かける事ができたわけで。

武道館に着いたのは開演10分前。
予想してた通り、20代の女の子(グループ)が多い。しかし、思ったよりもカップルは少なかったし、一人で来てる男子もいてひと安心。30代の僕が紛れ込んでいても、決して浮いていなかった...はず。

僕の席は西スタンド1階J列24番。
北側にステージが組んであるので、ほぼ真横からの席。武道館の1階とは、普通のホールで言うところの2階にあたる。しかもJ列は一番後ろ。普通に考えたらあまりいい席ではないのだろうけど、真横が通路(つまり、列のハジッコ)だったし、僕にとってはこのうえなく良席。プレオーダーで獲った席なので、自分で席を選べたわけじゃないので、これはラッキー、の一言に尽きる。これなら安心してライヴが楽しめそうだ、と。
ただ、始まってみると、ステージの前のクレーンカメラが、ライヴ中動き回ってたから邪魔だったけどね。ちょうど僕と堀込兄弟の直線上でよく止まるので観にくかった。しかし、このくらいは我慢どころか。

ビックリしたのはセット。先日の仙台公演の模様をviewsicで観た時は、簡素なものだったのに、今日は堀込兄弟の大きな銀色の像がそびえ立っている。左にヤスユキ、右タカキ。兄曰く、キャプテンE.O.。おまけに、守り神(?)のタツノオトシゴ像まで。
バックは西洋遺跡風の大きな柱に赤紫のロングカーテン。どうしたんだこれは。キリンジらしくないぞ。なんだか米米を思い出しちゃったな。
とにかく、武道館っつー事で、セットもやる気まんまんなんだな。

ライヴのスタート

5分遅れで客電が落ち、メンバーが登場。
ヤスは真っ赤なシャツ。バックのカーテンとマッチしていてよく映える。他の場所ではエンジや水色だったらしいが、今日は武道館に敬意を表して真っ赤、との事。それを聞いた兄が「日の丸の赤か?」と言ってたけど、やはり武道館は無意識のうちにもそういうイメージをさせるんだね。
一方の兄は、いつもの様に(?)黒づくめ。二人とも似合ってましたぜ。

01. 風を撃て
02. グッデイ・グッバイ
03. カメレオンガール
04. 雨を見くびるな
05. 愛のCoda
06. 繁華街
07. 嫉妬
08. 地を這うものに翼はいらぬ
09. ハピネス
10. エイリアンズ
11. まぶしがりや
12. 来たるべき旅立ちを前に
13. ニュータウン
14. 僕の心のありったけ
15. スウィートソウル
16. アルカディア
17. ブルーゾンビ
18. 奴のシャツ
19. ムラサキ☆サンセット
20. the echo
(アンコール)
21. 銀砂子のピンボール
22. あの世で罰を受けるほど
23. 耳をうずめて
24. カウガール

「風を撃て」で爽やかにスタート。「♪ パラッパ...」が印象的でノリのいいナンバーだ。
ヤスは、CDで聴く分には甘い声というイメージがあるけれど、ただ甘いだけではなくて。力強いとまでは言わないけれど、そこはかとない芯があるというか...。ライヴ続きで僅かに荒れ気味になったのがいい具合だったのかも?
ラストの方の、兄のリズム・ギターが特にカッコ良かった。一曲目から魅せるなあ。

続くは「グッデイ・グッバイ」
アルバム『3』の冒頭を飾る大好きな曲なんだけど、やっぱこの曲は盛り上がるなあ。もうここまでで、キリンジのライヴに来て良かったなあ、と実感した人は多かったはず。

ここでひとこと挨拶が入る。そして「(武道館は)でかいなあ」と。

新作の先行シングル「カメレオンガール」
CDでは80年代っぽさが「売り」になっているけど、ライヴではそう感じさせない。力強いリズムを刻んでいて、ビックリするほどライヴ映えしてた。コーラスの真城めぐみ嬢のコーラスも良かった。

初期の人気曲「雨を見くびるな」のイントロが流れると、ため息混じりの歓声が。爽やかで心地良い空間が続く。

「愛のCoda」のイントロが流れると、大きな歓声が。新作の中でも人気の高い曲なんだなあ、やっぱり。
ステージ上のミラーボールが回り出して、さらに大きな歓声が。それを見た堀込兄弟も顔を見合わせて笑いあう。会場中にいい空気が流れた瞬間。
これにより、ヤスも気分が乗ってきたのか、ヴォーカルに磨きがかかった。
曲調としては、前の曲までとは一転してセクシーな雰囲気に、皆うっとりし始める。前半のハイライト。

同じく新作から「繁華街」
つーか、この日は新作から全曲やったんだけどね。その新作の中でも僕が一番好きな曲。
赤いライトに照らされて、歌い上げるヤス。でも、CDほど裏ぶれて妖しい雰囲気は感じず。ライヴならではの力強さがあったからか、男臭かったね、いい意味で。

ここでメンバー紹介。
堀込兄弟の他に、ベース、ドラム、パーカッション、ピアノ、キーボード、スティール、コーラスという、総勢9名。多いなあ。やっぱ米..(略)。

ファンキーな「嫉妬」では、ベース、ドラム、パーカッションのリズム隊がフィーチャーされる場面があって痺れた。

「地を這うものに翼はいらぬ」もカッコ良かったね。
いい意味での「ねっとり感」が心地良く。バンドの一体感もより一層感じられた演奏。

次は兄の歌う「ハピネス」
兄のヴォーカルは不安定と評判なのだが、思ったよりも悪くないじゃん。まあ、ヤスに比べたら声量がないから、ボソボソッと聴こえちゃう部分もあって、そう言われちゃうのかもね。でも、この歌には兄のヴォーカルが合う。「♪ 笑わせるなっつうの!」ってさ。
で、この曲での見所は、実はヤスだったね。目立ちすぎないようにサラッと、でも確実にコーラスを決めてた。なんだか、兄をしっかりサポートしてる感じがしてすごく良かった。いい弟だな、って。とってもいい兄弟のハーモニーだったな。

そして、ここで飛び出したのが「エイリアンズ」
この曲のイントロを弾き始めた途端、大歓声があがるかと思ってたんだけど、まったくナシだったのでビックリ。これってきっと、この名曲を「じっくり聴き入ろう」という表れだったんだろうね。みんなロマンチックな「エイリアンズ」の世界に浸ってた様子。
ただ、ちょっと難を言うと、この曲には9人編成のバンドは問題あったかな。ちょっと音が厚すぎた感じ。武道館の音響の問題なのかもしれないけど。コーラスも、もっと低音のパートも効かせてほしかったかなあ。
でも、ヤスとめぐみ嬢の「♪ わかるかい」のハーモニーは素晴らしかった。

ここで再びMC。「いやあ、歌いましたねえ」とヤス。
他の会場では、がんばって長いMCをしたつもりが「MC短いんですね」と言われてガックリきたとか。「中身がないからか?」との反省をするも、「でも、そのうち【トーク&ライヴ】になったり、バーベーキューをやるようになってもねえ」と兄と共に話しながら会場の笑いを誘う。
他は、ツアーグッズの話。お薦めグッズはトランプ。ツアーメンバー全員の顔がプリントされてるトランプだとか。「正月に親戚の子供に配ったりして」「俺、このメガネいらね(と言われるんだろうな)」等と言って場内爆笑。
キリンジのMCはダラダラグズグズなのが定番かと思ったけど、なかなかどうして。
でも、ヤスは、言葉に困ると、すぐ兄に「どうですか?」と振るのがウケた。突然「どうですか?」と振ってもねえ。

そして、ヤスが「それではまた堀込さんお願いします」と振って、兄ヴォーカルの「まぶしがりや」
大野雄二(ルパン)が作りそうなジャズボッサといった趣きの曲。

引き続き『OMNIBUS』から「来たるべき旅立ちを前に」
『OMNIBUS』って、あまりハマれなかったんだけど、最近聴き直して、この曲はかなり気に入ってきている。
イントロ~Aメロの流れが好きだし、サビの「♪ ハローハロー」もほんわかしてていい。
間奏のピアノソロも聴き所。

初期の曲に戻って「ニュータウン」
このあたりはまた爽やか路線。サビ前に兄のリードヴォーカルが入って、サビで盛り上がるのが心地良い。

「僕の心のありったけ」
これはとにかくヤス自身が、心から歌っていて気持ち良さそうだった。まさしくありったけを出している感じで、観ているこちらも幸せな気分になるのは必然。

そして「スウィートソウル」
まったりしちゃったね、ホント。というか、実はライヴ前に飲んだ常備薬が効いてきた感じで、この辺りで(副作用の)眠気が襲ってきて困った。ちゃんと音は聴こえてるし、体を揺らして手拍子もしてるんだけど、目が開かない、という。そんな時にこういう曲調の曲が続くのは困ったよ。

「しっとりした雰囲気の曲が続いたので、ここからはもっと熱い感じでいきましょう!」とヤスの言葉で「アルカディア」
大好きな曲だ。重たく響く名曲だ。ギターソロもカッコいい。終わった瞬間は当然のように大拍手。

CDよりもワイルドになってた「ブルー・ゾンビ」
これもライヴ映えするね。渋く決まってた。

ガーンと始まる感じのイントロがカッコ良かった「奴のシャツ」
これもCDで聴くと、割と無機質というか、サラッとお洒落に流すくらいの佇まいだったけど、ライヴでは、よりロック色が鮮明で良かった。
この曲だったか...その前の「ブルー・ゾンビ」か「アルカディア」だったか忘れちゃったんだけど、曲のラストで3人が順番にギターソロをやったのがカッコ良かったね。

そして「ムラサキ☆サンセット」ではみんな楽しく騒ごう、という感じ。

本編ラストは「the echo」
変拍子のこの曲は、バンドの力量の見せ所。ライヴではノリ辛い曲かな?と思ったけど、自然と体が動いてノレた。
ラストの決めのフレーズは文句なくカッコ良くて。特にドラムとパーカッションの決まり具合にはゾクゾク。
昔、同じく武道館で観たイエス(ビル・ブラッフォード、アラン・ホワイト)を思い出してしまったなあ。もちろん大拍手。

アンコールでは、Tシャツ姿で登場の堀込兄弟。
ひと仕事終え(?)、あとはラフな感じで楽しみましょう、とリラックスした雰囲気で「銀砂子のピンボール」
ここでは客電が点き会場全体が明るく見渡せた。「ムラサキ~」の時もそうだったけど、明るくなった分、観客全員がすごく楽しそうに手拍子をしている姿が一目瞭然で、まさしく会場全体が一つになってる感じがヒシヒシと。すごく盛り上がってたね。

次は「あの世で罰を受けるほど」
ポップでノリのいい曲が続く。実は、他の会場では「銀砂子~」と「あの世~」は、どちらかの日替わりメニューになってたのだけれど、今日はツアー最終日、しかも武道館とあって、両方ともやってくれた。

ここで再びしっとり路線に戻り「耳をうずめて」
「♪ 僕は音楽に愛されて...」というフレーズが心に響いたなあ。
曲のラストで、演奏しながら再びメンバー紹介。そして曲の終わりと共にバンド・メンバーは退場。

ステージ上には堀込兄弟の二人のみ。ラストはアコギ2本での弾き語り「カウガール」
最後を兄弟だけで締めた、というのはなかなか憎い演出だったな。
ただ、この曲、難しい曲で、キーもヤスにしては低めだから、ちょっと歌いにくそうだったかな。

ライヴならではの荒々しさも充実した2時間半

そんな訳で終了したキリンジの武道館公演。約2時間半。
初の武道館、という事で、もっと集大成的なライヴになるのかなとも思ったけど、普通にニュー・アルバムのツアーだったね。故に、他にやってほしかった代表曲もたくさんあったのだけれど、まあ、それはそれとして。

CDでのキリンジは良くも悪くもカチッとした音で、都会のお洒落な音楽、というイメージが強いんだけれど、ライヴでは意外と荒々しくて、逆に好感が持てたな。

ただ、武道館て、もっといい音だったような印象があったんだけど、そうでもなかった。場所にもよるのかなあ。全体的にくぐもった感じだったし、ヴォーカルももうちょっとハッキリ聴かせてほしかった。
他の会場では、空席が目立ったという情報が入っていたので心配したのだけど、結果的にはほぼ満員。アリーナは総立ちで、スタンドは座ったままの観賞。まったり観るのが好きな僕にとっては絶好のポジションでもあったし、僕に限らず、みな満足そうな顔で会場を後にしていたのが印象的だった。

このライヴはDVDで出るという噂もあるし、どこかの局でオンエアされる可能性も大。それも楽しみだね。

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