藤子・F・不二雄のSF短編ファン必携!『SFマガジン 2023年6月号』の全作品解説がすごい!

藤子・F・不二雄先生のマンガには、子供の頃『ドラえもん』などから入ったとしても、いずれSF短編にたどり着き、すごい!と唸らされて、深みのあるF先生の大ファンになった方は大勢いらっしゃいますよね。

そのF先生の短編が、ただいまNHKでドラマ放送されたりしていて、注目されています。
とてもとても観たいのですが、我が家はBS放送が観れなくて悔しい思いをしていたところ、こんな雑誌が出ていたのを知りました。

『SFマガジン 2023年6月号』 Amazonで見る

SFマガジンは、昭和35年創刊の老舗雑誌で、F先生自身も愛読していたと聞きます。
そんなSFマガジンの最新号が、F先生のSF短編を特集しています。

ただの特集ではなく、全作品解説というのが気に入って、これは資料的価値もありそうだなと判断した僕は、早速ポチりました。

特集といっても、どの程度なの?と思われる方に、内容を紹介します。

SF短編「ヒョンヒョロ」再録

F先生の数ある短編の中から、1971年のSFマガジンに掲載された「ヒョンヒョロ」を再録。

幼いマーちゃんのもとに、うさぎのお化けのような宇宙人がやってきて、ヒョンヒョロを返してくれないと誘拐すると告げる。
でも、マーちゃんには誘拐だのなんだのはわからないので、親や警察と交渉しようとするのですが、最初は宇宙人を幻覚だと思い込もうとしたり、前代未聞の誘拐予告に右往左往したり。

この短編は、何度も読んだわけではありませんでしたが、ストーリーやオチまで結構憶えていた、印象深い作品でした。
笑いもたっぷり含まれながら、実は恐ろしい異文化交流の、F先生の得意なパターンの作品です。

SF短編作品総解説

そして、これがすごい。

F先生のSF短編、110作品総解説。

発表順に並んでいて、発表年はもちろん、掲載雑誌名、ページ数まで記されています。

そして、ネタバレも含みつつの作品解説。
26名の執筆陣による解説を読めば、ああ、そうそう、そうだった、それがいいんだよねと思ったり、どんな作品だったっけと思いを巡らせるものもあったりで、もう一度マンガを読んでみたくなること必至です。

なにより、各作品の扉絵が載っているのがいいです。
これは、音楽好きの僕からすれば、ジャケット写真を載せたアルバムのディスコグラフィーみたいなもので、まるで、『レコード・コレクターズ』の全アルバム解説や、全曲解説を読んでいるような感覚なのが嬉しいです。

この全作品解説は、F先生のSF短編にはどんなものがあったのかが、簡単にわかるようになっていて、資料的価値もあるガイドになっています。

読み応えがあるのはもちろん、参考資料としても素晴らしいものです。

特別対談・佐藤大×辻村深月

本屋大賞も獲った作家・辻村深月さんと、脚本家の佐藤大さんによる特別対談。

お二人とも、映画『ドラえもん』の脚本も手掛けていて、生粋のF先生ファン。

SF短編との出会いから、どうしてF先生のSF短編には魅力があるのか、など。
クリエイターならではの視点はもちろん、F先生の人柄までも深く分析している、面白い対談です。

ちなみに、辻村先生の『凍りのくじら』という小説は、章タイトルがすべてドラえもんのひみつ道具名になっていて、主人公がF先生を尊敬している設定の作品と知って、読んでみたくなりました。

SF短編全作品リスト

これは、全作品リストと称して、各作品を発表した年表です。

『ドラえもん』や『パーマン』など、F先生の主要マンガの連載開始や終了時期も併せて記されていて、各連載マンガの合間に、どんなSF短編が描かれていたのかがわかる年表になっています。

SF短編ドラマ プロデューサー川崎直子インタビュー

最後は、現在放送されているNHKのSF短編ドラマのプロデューサー・川崎直子さんへのインタビュー。

番組が企画された経緯から、マンガとドラマの相違点など。

これを読んでると、ますますドラマが観たくなりますよね。
ドラマ化された作品も名作ばかりだし、俳優陣も魅力的だし。
いずれ、地上波で放送してくれないかなあ。

NHKドラマ、地上波放送決定

と思ってたら、予想よりも早く、地上波での放送が決定しました!
5月29日より、月曜~木曜 夜10時45分。
2週にわたって放送。
金曜夜には4話一挙再放送もするそうです。

素晴らしいF先生のSF短編特集、「買い」です

雑誌総ページ数が379ページなのに対して、今回のF先生SF短編特集が約90ページなのが、多いとみるか、少ないとみるかは判断が分かれるところですが。

でも、今回の特集には確実に価値があります。
F先生SF短編ファンの方には是非とも購入して、ずっと手元に置いてもらって、ガイドブックにしてほしい雑誌です。

地上波でのドラマ放送も決まったことですし、当該作品をこの本でチェックして、F先生のSF(すこし・ふしぎな)世界に浸ろうと思います。

『SFマガジン 2023年6月号』 Amazonで見る

最後に、僕とF先生のSF短編

僕は、F先生のマンガには、小学生の頃に『ドラえもん』から入ったクチですが、その後、いろんな作品に手を伸ばして、小学校高学年くらいの時に、SF短編に出会いました。
たしか、ラーメン屋さんに置いてあったのを読んだのが最初です。
どの作品を読んだのかは覚えていないのですが、藤子不二雄には、こういうマンガもあるのか。大人向けだなあ、と思いました。
大人向けだとは思いつつも、子供の自分が読んでも面白くて、なにか不思議な魅力があるのはわかりました。

それから、大学生くらいになって、SF短編の単行本を買い集めはじめて。ていうか、SF短編の単行本を集めるのは結構難しかったんですけどね。
いろいろ単行本が出ているので、どの作品がどの単行本に入ってるのか。
同じ作品が載っている本を買うのは嫌だなとか思ったりして。

F先生のSF短編は、ドラえもんなどと同じように、「こんなことがあったらいいな」と無邪気に思える設定のものから、自分がそれまで持っていた価値観や世界観をひっくり返されて、今まで当たり前だと思ってたものが、そうじゃないかもと考えさせられるきっかけになったり、それまで潜在的にうっすら感じていた不安や危機感を浮き彫りにされたりと、ワクワクしたりゾッとしたりが繰り返される面白さにハマりました。

結局、今では、単行本は9冊手元にあります。
これで、大体の作品を読んだんじゃないか?と思ってたのですが、
作品数を数えてみたら、9冊に掲載されていたのは102作品でした。
F先生のSF短編は全部で110作品と今回知ったので、まあ、たしかに、大体は読んだことになりますね。

F先生のSF短編は、今、SF短編コンプリート・ワークスと称して、単行本と豪華愛蔵版が刊行中とのことで、お金があれば、それらも揃えたい気持ちに駆られますが、とても手が回りません。
でも、そうやって、F先生のSF短編が盛り上がっていくのはいいことですね。

そして僕も、またじっくりF先生のSF短編を読み返したくなりました。

好きな音楽のことについて語るこのブログですが、今回は音楽とは関係ない記事でしたね。
でも、誰でも入り込めて普遍性があり、心躍るF先生のマンガはポップ・ミュージックに通じるものがあると思ってます。
と、無理矢理繋げたところもありますが、大好きなF先生の魅力が、より多くの人に届くことを願って。
たまにはこういう記事もいいですよね。

コメント