エルヴィス・コステロ Live@昭和女子大学人見記念講堂 2016.9.6 感想

2016年9月6日(火)@昭和女子大学人見記念講堂

チケットを買う決め手

今回の来日が決まったのは、たしか今年の春だったと思うのだが。
その時は、ずいぶん先の事のように思えたし、なにしろ9月ってのは台風の季節だから、それが心配で。せっかくチケットを買っても、台風が来やしないかと不安になりながら待つのは嫌だったので、すぐにはチケット獲らなかった。
火曜日ならば、仕事が休みな事は決定しているので、もう少し様子を見ながらでもいいかな、と。
ギリギリまで待って、台風が来なそうだとわかってからチケットを獲ってもいいかな、って感じで。

でも、公演日が近づくにつれて、チケットも売れていき、だんだんと残りは少なくなっていく。
一番安いA席でもいいやと思っていたのだけれど、8月半ばになると、僕の狙いの9月6日(火)分のA席は売り切れてしまった。
ここで、尻に火が付いた。
う、これ以上ズルズルと待っていたら、S席まですべて売れてしまうのでは?と。
どうしよう、行くべきか、行かざるべきか。
なにか、決め手が欲しい...。

ブログ仲間のmangohboyさんが、大のコステロ・ファンだという事を聞いていたので、さりげなく訊いてみた。
「mangohboyさんはコステロのライヴに行く予定ですか?」と。
すると、そのつもりだとの返事。
さらに、同じくブログ仲間のryoさんも、Twitterでのつぶやきから察するに、行くつもりらしい。
ならば、開演前に3人でお会いする事はできないだろうか。
そんな考えが閃いた。
僕がコステロのライヴに「行こう」と思える決め手が出来た。

そうなると、早速ぴあでチケット確保へ。
できるだけ、できるだけ僕にとっての良い席の確保を。
何度か試すと、「これなら」と思える席が当たったので、えいやっと購入。
こうして、行く事が決まった。

それからmangohboyさんとryoさんに連絡を取り、当日会って頂ける事を快諾してもらった。

あとは、心配だったのは台風。
案の定、それから台風は何個も日本へ接近、ギリギリまでやきもきさせられたが、なんとか当日は大丈夫という事になって、やれやれだ。

ライヴ当日。会場へ。ブログ仲間と

会場の昭和女子大学人見記念講堂というのも、行った事がなく、行くのを躊躇させる原因でもあった。
場所は三軒茶屋。
行ってみれば、渋谷から5分で、意外とアクセスが良かった。
三軒茶屋の駅から会場までも、徒歩で10分かからずで、これなら帰りの電車の時間もそれほど心配しなくて良さそうだ。
三軒茶屋の駅では、萩原健太さんを発見。健太さんがコステロについて書いた文章って、読んだ記憶がなかったのだけれど、そうか、来てもおかしくないよな。予想してたら、サインもらうための本を用意してきたのに。

ryoさんとは既に何度も会った事があるので、すぐに会う事ができたけれど、mangohboyさんとは初対面。無事に待ち合わせの時間に会えるのか、若干の不安もあった。
しかし、待ち合わせ時間ほぼピッタリに、事前に聞いていた通りのスタイルの人を発見できたので、すぐにわかった。
無事に3人揃い、すぐに会場へ向かって歩く。
mangohboyさんも、ブログでのイメージ通りで、ものすごく物腰の柔らかい、とても話しやすい方だった。こんな先輩や上司が、身近に欲しかったなあと思わせる。
3人で話していれば、開演までの待ち時間なんてあっという間。
もっともっと色々と話していたいと思った。

あ、そう言えば、会場で、サンボマスターの山口さんを発見。
ryoさんの勢いに乗じて、僕も握手させてもらった。一人じゃ勇気出なかっただろうから、ryoさんに感謝。ryoさんはシャツにサインまで書いてもらってたよ。

今回のライヴはどんな感じなの?

ところで、今回のライヴ、直前まで行くかどうか迷ってたので、あまり情報を得てなかった。
「Detour」と題して、原点に還った内容のライヴになるという事で、初めは、ベストヒット的なセットリストになるのかな?と思ったのだけれど、よく考えてみると、原点に還る事と、ベストヒットな内容になる事は、全然イコールじゃないよな、と気が付いた。
で、それから調べてみると、このタイトルのツアーは、もう去年(?)くらいからやっていて、DVDも出てるそうだ。そこで、そのDVDの内容をチェックしてみると、やっぱりベストヒットじゃない。タイトル見ただけではわからない曲が半分以上ある。て言うか、知ってるはずの曲でも、僕が曲名憶えてないだけかもしれないけど。

さらに、今回のバンド・メンバーはどんな感じなんだろう、インポスターズとは違うのかな?なんて検索してみたのだが、全然バンド・メンバーの情報がヒットしない。
どうしてどうして?と思いながら調べを進めてみると、今回は、バンドなし、コステロ1人の弾き語りライヴなんだという事がわかった。
あちゃー、弾き語りかよ。
僕はどうも、シンプルな弾き語りは苦手で。
普通のライヴの中に、一部、弾き語りのコーナーがあるくらいならいいんだけど、全編通して弾き語りとなると...。
おまけに、最近、座ったままだと、ライヴ中に眠くなるという大失態を何度も犯しているので、派手なバンド演奏ではない、一人での弾き語りをずっと、しっとりやられたら、こりゃあ眠くなってしまうんじゃないかと不安で。
弾き語りライヴという事を知ってたら、チケット獲らなかっただろうなあ。
でも、過去3回コステロを観てるけど、裏切られた事がなかった。
今回も、コステロの底力に賭けるしかない。
弾き語りでも飽きさせない、いいものを見せてくれよ、と。

さらに今回は、前座がある。
Larkin Poe。
これまたまったく知らず、数日前まで、若手のバンドかと思ってた。
そしたら、女性2人組と聞いてビックリ。
サウンドは、女性2人とは思えない、ブルージーでハードな肌触り。コステロの音楽性との共通点は...どうなんだろ。
2人ともギターで、1人は、足でドラム音も鳴らしてたっぽい。もう1人はスティール・ギターをやったり。
女性2人のギター・デュオと書くと、ハーモニーを重視した、爽やか系と思いがちだが、全然そんな事なかった。あんまりヴォーカルのハーモニーは感じなかったし、サウンド的には、ある意味コステロよりハードかも。
姉妹という情報もあり、ルックスも、なかなかの美形と聞いた。
が、肉眼ではよくわからない。
これなら、ちょっと前の方で観たかったかなあ。

というのも、今回の僕の席は、
1階メ列47番。
最後方列。
S席とは言え、買うのが遅かったから、前の方ではないのは承知の上、でも、何と言っても、通路側の席だったからね。
最後方でも、僕にとっては良席だ。

ライヴのスタート

1. Hurry Down Doomsday (The Bugs Are Taking Over)
2. (Unknown)
3. Accidents Will Happen (Elvis Costello & The Attractions song)
4. Ascension Day (Elvis Costello & Allen Toussaint cover)
5. Church Underground
6. Stella Hurt (Elvis Costello & The Imposters song)
7. Everyday I Write the Book (Elvis Costello & The Attractions song)
8. Shipbuilding (Elvis Costello & The Attractions song) (on piano)
9. Deep Dark Truthful Mirror (on piano)
10. Face in the Crowd (on piano)
11. Unidentified (on piano)
12. Walkin’ My Baby Back Home (Broadway Syncopators cover)
13. Ghost Train
14. She (Charles Aznavour cover)
15. Watching the Detectives (Elvis Costello & The Attractions song)
16. I Want You (Elvis Costello & The Attractions song)
17. Blame It on Cain (with Larkin Poe)
18. Nothing Clings Like Ivy (Elvis Costello & The Imposters song) (with Larkin Poe)
19. Clown Strike (with Larkin Poe)
20. Burn the Paper Down to Ash (with Larkin Poe, sung by Rebecca Lovell)
21. Vitajex (with Larkin Poe)
22. That’s Not the Part of Him You’re Leaving (with Larkin Poe)
23. American Mirror (with Larkin Poe)
24. Alison (inside TV)
25. Pump It Up (inside TV)
26. Side By Side (Cliff Edwards cover) (on piano)
27. Almost Blue (Elvis Costello & The Attractions song) (on piano)
28. My Funny Valentine (Rodgers & Hart cover) (on piano)
29. (What’s So Funny ‘bout) Peace, Love and Understanding (Brinsley Schwarz cover) (with Larkin Poe)

1曲目「Hurry Down Doomsday」は、コステロがアコギをジャカジャカ鳴らして、なんだかよく知らないけど、いい感じの曲だなあと思って、あとで調べてみたら、『Mighty Like A Rose』収録曲だって。なんだ、CD持ってたよ、聴き直さなきゃ!

初来日の街中での演奏の思い出を語ってからの「Accidents Will Happen」が粋な始まり。カッコ良かった。

最初の方で、「Red Shoes」をやるとの情報。
最近好きになった曲なので、期待してたのだが、現れず。どうやら日替わりメニューでカットされたらしく、残念!

大好きな「Everyday I Write the Book」は、かなりメロデイを崩しての演奏。
今まで聴いた事のない感じのアレンジで、注意して聴かないと、すぐにはこの曲だとわからないレベル。

ギターから、ピアノに切り替えての「Shipbuilding」
これまた大好きな曲で、楽しみにしてた。
原曲では、アタックの強いピアノで、絶望的な雰囲気を出していたけど、コステロの弾くピアノは控えめ。
そういえば、過去に観たコステロのライヴでは、いつもピアノやキーボードはスティーヴ・ナイーヴが弾いてた印象だったので、コステロ自身がピアノを弾くという姿は記憶にない。そういう意味でも新鮮だった。

続く「Deep Dark Truthful Mirror」も、コステロの曲の中では印象の強い曲なので、生で聴けて良かったかな。

「Bland New Song」と言って新曲をやったけど、なかなかいい感じだった。こんな路線なら、次のアルバムこそは買わなきゃなあ。

「She」は、映画で使われて日本でもヒット、お洒落なコステロさんの名を高めた曲なのだが、実はライヴで聴くのは初めてかも。
ようやく生で聴く事ができたか、という感じ。こういう曲は、弾き語りに合う。

「Watching the Detectives」は、バンドでの、ラフでワイルドな演奏が魅力の曲だけど、今回弾き語りとなっても違和感なく、迫力あって聴こえた。

「I Want You」は、最後の方かなと思ってたら、もう登場したのでビックリした。
噂で、オフ・マイクで演ると聞いてたのだけど、実際、途中でギターのシールドをバシッと引っこ抜いて、オフ・マイクに。
と思ったら、客席の方に降りて行って、そのまま流しの様に弾き語りながら、会場内を練り歩いたのはもっとビックリした。
かなり後方にも来てくれて、最後方列だった僕からも、5mくらいの距離にまで来てくれて。

そして、この曲で本編終了だった。

次のコーナーは、前座を務めたLarkin Poeを従えて、3人での演奏。
1人での弾き語りだったのが、3人になっただけで、(ドラムやベースはいないにもかかわらず)かなり迫力が増してシビレた。
こうなると、やっぱり、弾き語りじゃなくて、複数での演奏、バンド演奏の方が好きなんだな、僕は。次は是非バンドで観たいよな、と思った。
このコーナーは、ほとんどの曲が知らない曲で、Larkin Poeの女性がリード・ヴォーカルをとる曲もあったりして。
でも、最後の「American Mirror」という曲は、「♪ Mirror、Mirror」ってしつこいくらいで(笑)、すごく印象に残ったな。

で、ここからがアンコールという事になるのかな?
セットの、大きなテレビ画面の枠の中に入って演奏するという演出の「Alison」「Pump It Up 」
やっぱり有名な曲は盛り上がるなあ。

再びのアンコールで、またもやピアノ弾き語りの「Almost Blue」
これも大好きな曲だから、しっとりと世界観に浸っていたら、そのままメドレー形式で「My Funny Valentine」に。
この流れは良かったなあ。

そして、最後は Larkin Poe を従えての「(What’s So Funny ‘bout) Peace, Love and Understanding」
これがラストという事で、コステロも力の限り、ギターをジャカジャカ弾いて熱っぽく、それでここに来てようやく観客も総立ちに。
バンドを従えない弾き語りライヴとは思えない程の盛り上がりに、コステロの底力を思い知らされた。

弾き語りだし、知らない曲も多かったけれど

しかし、うーん、危惧してた通り、半分以上が知らない曲だった。
いや、知ってるはずの曲もあったのかもしれないけど、CDの聴きこみが足りず、頭にインプットされてなかっただけかもしれない。
ずっと座っての鑑賞で、知らない曲が多いと、やはり辛いもので、心配してた通り、途中、若干眠気が襲ってきたけれども、クラプトンの時のように、半分以上夢の中というひどい状態ではなく、なんとか踏みとどまる事はできたので良かった。

しかし、何といっても、コステロは、やっぱり声がいい。
どんな曲を歌うかはさておき、この声の伸び具合、ビブラートを聴くためだけに行ったようなもんだ。
それを堪能できただけでも充分だ。

たしかに、知らない曲が多く、苦手な弾き語りだったから、「最高のライヴだ!」とは当然思わなかったけれど、でも、だからと言って、「来なけりゃよかった」とは全然思わなかったな。
これは不思議な感想だ。
印象に残った場面がいくつもあるし。

1曲1曲、終わるたびに拍手喝采の大歓声で。
曲が終わってシーンとしてた場面なんてなかった。いちいちお客さんは大盛り上がり、そしてそれにいちいち応えるコステロ。
これも、なんか珍しい感じがした。

コステロのライヴは、毎日セットリストがかなり違うのは知ってたから、公演日は全部行くのが正解なのはわかってる。
だけど、いろんな理由で、行ける日は1日だけでね。
その日が、どんなセットリストになるのかは、それはもう運で。
後で調べてみたら、翌日7日のライヴでは、「Veronica」「So Like Candy」「Shot With His Own Gun」「Red Shoes」等を演ったとの事だから、羨ましい限りだけど、僕が行った日にしか聴けない曲もあったから、これはどっちが良かったとは言えないか。

前座が始まったのが18時30分で、終了したのが21時40分。
たっぷり3時間だけど、そんなに時間がたった様には思えなかったな。
この時間に終われば、帰りの電車も余裕持って帰れるかな、と思いきや、駅までの帰り道が途中で工事やったりしてて混雑して、なかなか進まなかったのがちょっと焦ったけど。
そんな雑踏の中でも、三軒茶屋の駅に着いたら、またもや偶然mangohboyさんと遭遇。
途中まで話しながら帰る事ができた。そして、また何かのライヴで再会できる事を約束して別れた。

それにしても僕、やっぱりコステロの聴きこみが足りなすぎる。
CD持ってても、記憶に残るほど聴いてなかったりする。好きな曲でも曲名憶えてなかったりもするし。
とりあえず帰宅後、mangohboyさんイチオシの『Imperial Bedroom』と、ryoさんイチオシの『Trust』を立て続けに聴いた。

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