米米CLUB Live@川口文化総合センター リリアメインホール 2021.10.10 感想

a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2021 ~大芸術祭~

2021年10月10日(日)@川口文化総合センター リリアメインホール

チケットを獲るも、セットに萎える

2019年に、二十数年振りに米米のライヴを観に行ったんですけど、その時には聴けなかった曲がまだまだあるなあと思ったんですね。
久し振りに「I・CAN・BE」とか、聴きたいなあと。
そしたら、今年秋にツアーをやるっていうんでチェックしてみると、10月に僕の地元・埼玉公演が行われるとの事。10月には他のライヴの予定もないし、時期的にも場所的にもいいっていうんでチケットを獲りました。

でも、よくよく調べてみると、僕が19年に観たライヴの後の、昨年の無観客ライヴのセットリストを見たら、「I・CAN・BE」を筆頭に、「抱きしめたい」とか「SO COOL」とか、聴きたいと思ってた曲がわんさか披露されてたというじゃないですか。
となったら、今度のライヴではそれらの曲はやらない確率が高いわけで、どんなセットリストになるんだろう、と。

で、9月にツアーが始まったのですが、セットリストを見て驚愕。
大好きな曲どころか、馴染みのない曲ばかりが並んでいて、聴きたいと思ってた曲がほとんどありませんでした。
かろうじて「I・CAN・BE」があったくらい。
んー、なんだこのセトリは。
期待が一気に萎んでいきました。

アクシデントもありました。
ツアーが始まったと思ったら、直後にてっぺいちゃん(カールスモーキー石井)が自宅で転倒、頭部を強打した事により安静が必要との事で、いくつかのライヴが延期になったのです。
で、僕の行く埼玉公演はギリギリ延期を免れ、復帰初日の公演とアナウンスされたのですが、状況次第では、さらなる延期の可能性もあったわけで、ハラハラさせられました。

ライヴ当日。JR火災で電車が止まる

ライヴ当日、10月10日は、さすが晴れの特異日という事で雨の心配もなく、出掛けられる事になりました。
目的地の川口へ行く道すがら、大宮と北浦和で降りて、disk unionで買い物をするのが楽しみなのです。
で、大宮で買い物をし、次は北浦和へ...と思ったら、大宮駅が何やら不穏な空気。
停電の影響で、電車が止まっているというのです。
まあ、2~30分もすれば動き出すだろうと高をくくってホームで待ってたのですが、停電の原因は火災で、復旧の目途は全くたってなく、大幅な遅れが予想されるとの事。
ああ、これは楽しみにしてた北浦和のdisk unionには行けなくなっちゃうのか?となり、そして時間が経つにつれ、ライヴ会場の川口にもたどり着けないのではないか?となり、果ては復旧できなかったら、今日中に家にも帰れなくなる可能性だってあるじゃないか、となってきました。
こうなったら、よくよく考えて行動しないと、とんでもない事になると自覚しました。
14時前から1時間半ほどホームで過ごしてたのですが、どうやら京浜東北線はまだ動きそうもないという事で、北浦和のdisk unionは諦めました。
埼京線は動き出したとの情報を得て、そちらでまずは赤羽まで行こう、と。赤羽から川口は駅で言えば1駅なので、赤羽まで行ってしまえば、あとはバスなりタクシーなりでなんとかなるんじゃないか、と。
15時30分過ぎ、埼京線に乗りました。
無事に赤羽駅に到着しましたが、そこも混乱してたので、駅員さんに川口駅までどう行けばいいかを訊いてみると、バスは出てないとの事で一気に不安に。
川口駅に行くには、赤羽駅から歩いて赤羽岩淵駅という所まで行き、埼玉高速交通で川口元郷駅まで行って、そこから歩いて15分で川口駅までたどり着けるとの事。
赤羽岩淵駅?埼玉高速交通?川口元郷駅?
初めて聞く名前が出て来て、この辺にそんなのあったの?と混乱するし、しかも歩いたりしなきゃならないしで、これは無事に川口駅まで行けるのだろうか、とんでもない事になったのでは?と思いました。
しかし、奇跡的に幸運だったのは、僕は約10日前に、ガラケーからスマホに買い換えたばかりだったという事。
今や、僕にはスマホという武器があった事です。スマホがあれば、なんとかなるんじゃないか、と心強かったです。ガラケーのままだったら、どうなっていた事か。
赤羽岩淵駅までは、駅員さんに教わった通りに歩いて行ったら標識もあって難なくたどり着けたし、埼玉高速交通ってのは、地下鉄で、埼玉スタジアム線とも言うんだねと勉強になったし、川口元郷駅から地上に出たら地図があって、川口駅までは道沿いに一直線だったので、結果的には、そんなにスマホに頼る事無く、川口駅まで行く事が出来たんですけど。
それから、川口駅に到着する寸前にバス停があって、ふと見てみると「草加駅行き」と書いてあって、草加駅からならば、東武線が使えるので、もしライヴが終わってもJRが止まったままだったとしても、そのルートを使えば自宅に帰れるな、と希望の光が見えました。

なんとか会場に到着

そういったわけで、なんだかんだあった訳ですが、会場の川口リリアメインホールには、17時20分頃到着しました。
あのタイミングで大宮駅から動いたのは大正解でした。あと30分でも動くのが遅かったら、大きな不安に包まれていた事でしょう。
川口リリアメインホールは、川口駅直結なので、ここに来るお客さんのほとんどは、京浜東北線で川口駅まで来ると思われるので、電車が止まってしまっては、たどり着けないお客さん多数で、ライヴが中止になるのでは?という思いもありました。
でも、ふたを開けてみると、意外や意外、お客さんはほとんど無事に到着できたみたいで、会場はほぼ満席でした。みんな、どうやってここまで来たんだろうと不思議です。

2ヶ月前に中島美嘉のライヴでこの会場に来た時は、1席ずつ間隔を空けての状態だったけど、今回はキャパ100%の客入れだったのでビックリ。
僕の席は1階25列43番。
今回もラッキーな事に通路側の席で、キャパ100%だから尚嬉しい。余裕をもってライヴが観れそうです。

ライヴのスタート

開演時間の18時を6分ほど過ぎ、場内暗転。

01. 君がいるだけで
02. 今夜はフル回転
03. I・CAN・BE
04. 忘れないよ
05. WE ARE MUSIC!
06. 芸術家
07. いただきました
08. 五穀豊穣 飢餓飢饉
09. 日常の私
10. 文化女子
11. 愛を米て
12. Eことあるサ
13. 俺は河原の諜報部員
14. African Fever
15. 紅い人
16. Primitive Love
17. インサートデザート
18. WHO?
19. Special Love
20. Shake Hip!
(Encore)
21. ア・ゲ・ハ

まず、シュークリームシュの2人が出て来て、中央にメトロノームをセット。
メトロノームのカチカチという音が響く中、緞帳が上がりました。
お客さんが拍手で応える!訳ですが...。
ステージでは、メンバーが演奏し、シュークリームシュが踊り、てっぺいちゃんが気持ちよさそうに歌い上げているように見えるのですが、場内にはメトロノームのカチカチという音しか聴こえてきません。
たまに、ラッパの音がプヒ!とか、ギターがギャリ!とか、ベースがボボ!とか、音漏れ的な感じで聴こえたりするのですが、演奏的には無音なのです。
演奏してる風、歌ってる風。
観客は大爆笑です。
で、後のMCで、これは「君がいるだけで」を演奏していた、と打ち明けられました。
最近の歌手は、声で歌ってる奴が多すぎる。歌は心で歌うものだろう、と。あの演奏?でそれがお客さんに伝わったんじゃないかと力説してました。
シュールなオープニングで、人を食ったような演出、これぞ米米な瞬間でした。

で、ちゃんと音を出しての本格的な1曲目は「今夜はフル回転」でした。
フル回転とは言っても、年齢的なものもあるのか、それほど前のめりにならずに、割と慎重な演奏でした。
そういえば、てっぺいちゃんは病み上がりですものね。

「I・CAN・BE」は、よりアダルトな『K2C』ヴァージョンでの演奏でした。
今回は、この曲を聴きに来たようなものですからね。
サビでお客さんが両手をゆっくり上げる振りにも参加できました。若い頃はこれが恥ずかしかったんですけどね、今は喜んで出来るようになりました。

早くもメンバー紹介。
ヨネマルサケオさんという駅員さんがメンバー紹介のアナウンスをするというていです。
今の米米は、全盛期のメンバーとほぼ同じというのが嬉しいです。
BIG HORNS BEEは、今はBIG HORNS BEE + と名乗ってるようですが、そこにどういう意味があっての事なのかはわかりません。
ただ、河合わかばサン、フッシー小林さん、織田ノボッタさんといった、僕でも憶えてるメンバーが今も存在していて嬉しかったです。

「忘れないよ」「WE ARE MUSIC!」は『komedia.jp』からの曲です。
どちらも、穏やかながらもファンクなナンバー。
グルーヴィーな音の波に身を委ねます。

MCでは、てっぺいちゃんが芸術について熱弁をふるおうとしますが、メンバーから茶々が入り、グダグダになるという流れ。

「芸術家」「いただきました」は、あまり聴いた事のない『SORRY MUSIC ENTERTAINMENT』収録曲なので、ほとんど馴染みのない曲。

シュークリームシュのコーナー。
まずは「五穀豊穣 飢餓飢饉」
シュークのソロはMINAKOさんが歌うと思い込んでたので、そのつもりでボーッと観てたんですが、実は歌ってたのはMARIさんでした。
で、次の曲がMINAKOさんの「日常の私」
そして2人で「文化女子」
シュークがたっぷり3曲も歌うとは意外でした。
こんなにシュークに時間をかけるのは初めてですかね?

今年リリースされたシングル「愛を米て」
壮大なバラードですかね。

良い意味での軽さがポジティブな感じを生んでる「Eことあるサ」

てっぺいちゃんと警官のコント。
そして「俺は河原の諜報部員」(曲名合ってる?)という流れ。
ツアー初日の松戸公演では、ここは「愛夢泥酔野郎」をやったそうで、僕はその曲が好きなので、変更になったのは残念でした。

次はBIG HORNS BEE +の「African Fever」
ホーン・セクションによるインスト曲ですが、これはゾクゾクしました。カッコ良かったです。

ようやくジェームス小野田さん登場。
ライヴ開始から1時間半経過してました。
JO降臨曲は「紅い人」でした。
降臨曲としてはやや地味目。

続いてのジェームス曲は「Primitive Love」
たしか、これは松戸公演ではやってなかったので、僕的にはサプライズ。
大好きな曲なので嬉しかったです。
ただ、Aメロあたりは若干アレンジを変えてたので、小野田さんが少し歌いにくそうだったのが印象的でした。

僕のテンションが上がったのは「インサートデザート」でした。
ゲッチョメン、ゲチョメンダーの件は熱くなりましたね。
ファンキーなホーン・セクションの煽りやギターの音色はカッコ良かったです。
僕はこの曲はそんなに好きだったのかと再認識しました。

新曲、タイトルは「WHO?」でしょうか。
サビで印象的なフレーズをリフレインしてて、その時は強烈に感じたのですが、帰宅した今はもう、なんと歌ってたのか忘れてしまいました。

「Special Love」も素晴らしかったですね。
これは大好きな曲なので、聴けて良かったです。

もうラスト。
米米のライヴではこれだけは絶対に外せない「Shake Hip!」です。
ただ、着席したままの「Shake Hip!」は初体験。普通なら会場中一体となって踊りまくるところですが、上半身の振り付けだけというのは、やはり中途半端でしたね。Shake Hipと言いながら、お尻は動かせないんですもん。
間奏のBIG HORNS BEEのフレーズ前の「イエー」のコール&レスポンスは一応ありました。てっぺいちゃんが「イエー」と言って、それに一部の観客が声を出して応えたら、シーッ!と御す。あくまで、「イエー」と応えてるフリでやらなきゃいけないのが辛い所。
エンディングは、てっぺいちゃんが「せーのと言ったら飛ぶんだよ」でお馴染みな場面ですが、今回はお客さん座ってるので飛ぶ事が出来ません。なので、てっぺいちゃんの代わりに、小野田さんが飛ぶ役を担ったのですが、小野田さん、衣装が重いためなのか、かなりショボい飛び。飛んだというより、段差から降りただけ、みたいな。なのでもう1回やる事になったのですが、今度は段差からも降りずに、その場でチョコンと跳ねただけ。なんともショボい。
それをてっぺいちゃんは「骨粗鬆症なので勘弁してやってください」と言ってましたが、なんだか小野田さんが心配になってしまいました。

アンコールは「ア・ゲ・ハ」
素朴なバラードです。
抑えた演奏に、てっぺいちゃんが丁寧に歌って応える。
終盤になってから、シュークリームシュと小野田さんが登場してきてコーラスに加わりました。

米米にしては、あっさりしたライヴ

終了は20時8分。
ちょうど2時間のライヴでした。
全盛期のボリューム満点の米米のライヴを知ってる身からすると、かなりあっさりしたライヴに感じてしまいました。

それに、話には聞いてましたが、最初から最後まで、お客さんは着席したままでの鑑賞。
僕はコロナ禍でもいくつかライヴに行ってますが、声は出さないにしても、立って体を揺らしたりするライヴは普通にありました。
なんで、今回の米米のライヴは着席したままなのでしょう。
本来、米米のライヴは、熱狂的なファン(特に女性)は、振り付けを憶えて一緒に踊りまくってるのが常だったので、尚更、着席したままの米米のライヴというのは違和感ありました。
大芸術祭という事で、おとなしく芸術鑑賞、という意味合いだったのでしょうか。
立って踊ったり、手拍子でリズムとったり、拍手をしたり、もっとライヴを体で味わいたかったと思った人は少なくないでしょう。

そしてなにより、僕にとっては、大好きな曲があまりにも少なく、正直、このセットリストが事前にわかってたら、チケット獲らなかっただろうなと思うライヴでした。
レア曲満載と言えば聞こえはいいですが、あまりにも地味すぎるセットリストでした。
ファンを裏切るのが得意な米米ではあるし、こういう側面も米米なんでしょうが、僕が聴きたい観たい米米は、こういう路線じゃないんだよなあ、というのが凝縮されてしまってました。

それに、小野田さん出番少ないなあと思いました。正味、終盤の30分くらいですもんね、出てたの。
なんか、存在感薄めだったのが気になります。

舞台セットも、全盛期のバブルの頃に比べたら、かなり簡素化しているし、それも、小ぢんまり感が強くなっちゃって、悲しいものがありました。
あの頃の米米とは違うんだな、と。
まあ、メンバーも60歳超えな訳ですから、スケールが小さくなっていくのは当たり前なのかなとは思うんですけれど。

それにしても、やはり、僕にとってはなんだか消化不良なライヴだったなあという思いが強いです。
もっとポップに弾けて、ムーディーな曲で酔わせて、ファンキーでエネルギッシュに踊らせて、シュールに爆笑させて、という米米のライヴが観たかったなあ。

まあ、色々あったので、無事にライヴを観る事が出来たのは良かったですけど。
てっぺいちゃん病み上がりでしたが、いつものパフォーマンスでホッとしましたし、メンバーの円熟の演奏は流石でした。
まったく楽しくなかったという訳じゃないです。


ライヴが終わって、川口駅に行くと、京浜東北線は運転再開したばかりとの事。
きっと、京浜東北線も宇都宮線もダイヤ乱れまくりで、どんな運行状況になってるかわからないし、混雑もしてるのかなあと思ったので、JRは回避し、先程発見したバスで草加駅まで行き、そこから東武線を使うルートで帰宅しました。
初めてのルートは新鮮でしたし、バスに乗るのも久し振りでした。
いろんな経験をした1日でした。

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