
サザンオールスターズのライヴDVD (Blu-ray)の見どころを紹介。
新旧織り交ぜたセットリストで、いつもお祭り騒ぎ。
ファンなら必見のライヴ映像ばかりです。
『HOTARU CALIFORNIA』

ちょうど30年前のライヴだ。
8万人の観客って...いちばん後ろの人にはどれだけステージが観えたのだろう。
西城秀樹のオープニング・アクトに盛り上がった後、1曲目の「いなせなロコモーション」、桑田さんの声がヘロヘロ(笑)。真面目に歌ってないんだもん。
最初からこれで大丈夫なのか?調子悪いのか?と心配させるも、徐々に通常運転。
「みんなのうた」は、野外ライヴでも、この頃はまだ放水ショーはなかったのね。
センター・ステージにてアコースティック・セットで聴かせる「ニッポンのヒール」が良かった。
疾走感溢れるビートで、次の「チャコの海岸物語」と共に、サザンのメンバー6人だけでの演奏にグッと来る。
仲が良いというか、絆のようなものを感じる演奏。
「ミス・ブランニュー・デイ」などで、アントニオ猪木のポーズをとって煽る桑田さんがカッコいい。
「フリフリ ’65」ではベルトを緩め、半ケツを出す桑田さん。
当時、リリースされたばかりだった「マンピーのG★SPOT」が、早くもライヴを盛り上げる定番曲になる確信を持てたのではないか。
シングル曲中心に構成されたセットリストは充足感でいっぱい。
サザンによる夏のお祭りは既に完成されていた。
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『1998 スーパーライブ in 渚園』

20周年記念ライヴ、静岡の浜名湖にて行われたお祭り。
「太陽は罪な奴」「みんなのうた」など冒頭から盛り上がっていく中、僕の大好きな「赤い炎の女」が始まった時、意外にも大歓声が上がって嬉しかった。この曲人気あったの?と。
「C調言葉に御用心」「思い過ごしも恋のうち」という爽やかな初期曲の並びも良かったし、「CRY 哀 CRY」「Computer Children」「01 MESSENGER ~電子狂の詩~」という並びも濃密。
6人のサザンのメンバーだけで演奏するセンター・ステージでのアコースティック・セットもやっぱり良くて、特にカズー吹きまくる「いなせなロコモーション」が楽しい。
ブレイクして間もない爆笑問題がVTRで出演するなど、楽しさに拍車をかけている。
終盤の怒涛の追い込みは「マチルダBABY」「ミス・ブランニュー・デイ」「匂艶THE NIGHT CLUB」「ボディ・スペシャルII」「マンピーのG★SPOT」「勝手にシンドバッド」とノンストップの30分。
花道にたくさん置かれた紙コップの水をひとつひとつ掴んでお客さんにかけていく桑田さん、結構大変そう。
この頃の水かけはこんな感じだったけど、これはこれで盛り上がる。
アンコールではフォルクローレ調の「Bye Bye My Love」に、派手なサウンドの「夕方HOLD ON ME」に惚れ直し。
「旅姿六人衆」で、これで最後とばかりにギア上げた桑田さんの歌の上手さに痺れた。
ライヴの合間に桑田さんのインタビューが挿入されるのは、ちょっと流れを分断する面があるんだけど、このライヴの意義を話していくのは興味深い。
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『SUMMER LIVE 2003』

25周年記念ライヴなんだけど、ター坊が脱退した後の初の本格的なツアーだったというのがポイントかな。
ギターは小倉博和さんで、さらに毛ガニさんまでいなくて、パーカッションは三沢またろうさんが務めている。
沖縄の会場はサザンにしては小規模で、イメージとしては日比谷野音みたいな感じ。
「胸いっぱいの愛と情熱とあなたへ」「D.J.コービーの伝説」「ふたりだけのパーティ」という、アルバムでオープニングを飾ってた3曲が連続で現れるライヴ冒頭に胸アツ。
「当って砕けろ」から「わすれじのレイド・バック」までは全17曲45分間のメドレー。
メドレーと言っても、ワンフレーズだけですぐに次の曲へ変わるという性急なものではなく、各曲イントロ~1番~間奏~サビといった、TVサイズくらいの長さでやってくれるので、ちゃんと満足感がある。
「夜風のオン・ザ・ビーチ」では桑田さんがエリック・クラプトン風のギター・ソロ。
「女流詩人の哀歌」は期待以上に盛り上がるアレンジ。
「吉田拓郎の唄」は、かなり歌詞を変えてたみたい。
「アミダばばあの唄」は、明石家さんまがVTR歌唱。さらに村上ショージがドゥーン!
「愛の言霊」と「真夏の果実」がライヴ中盤の核になってドンと鎮座。
この時点での新曲「涙の海で抱かれたい」は既にファンに浸透していて、新鮮な盛り上がり。
「みんなのうた」でのホースを使った放水ショー、この頃から恒例になったのだろうか。
「ボディ・スペシャルII」は間奏のギター・ソロがめちゃくちゃカッコ良く、バンドの演奏もひときわ盛り上がるアレンジ。
この曲に限ったことではなく、小倉博和さんのギターはいいなあ、と。
「HOTEL PACIFIC」では、最後にモーレツ・ガールたちが穿いてたパンツを脱いで、客席に放り投げるという羨ましい演出。
「いなせなロコモーション」の明るく弾けた盛り上がりが清々しく、こんなアンコールもいいなと。
充実したライヴは、あっという間に感じたけど、いつのまにかこんなに時間経ってたの?と思う場合が多い。
でも、このライヴは、たっぷり楽しんだと思ったのに、2時間20分しか経ってなかったの?と、その濃密具合に驚くパターン。
Disc 3・4は、Zeppというライヴハウス規模の会場から、野外の大会場まで、各地のツアー映像を収録。
これまたところどころ、リハの映像が挟み込まれる。
「ふたりだけのパーティ」では、桑田さんがスライド・ギター弾きまくるのに萌える。
MCで、桑田さんが「MVでは仕事にかこつけて、好きな人と会える、新曲のMVでは小池栄子に出てもらった」と言ったら、VIP席で手を振る小池栄子の姿が映って大盛り上がりの会場。
近くに石原伸晃の姿もあった。
それで、ライヴのクライマックスでは、「小池栄子、出てこい!」とか「小池栄子、やらせろ!」とか叫んでるのが桑田さんらしい。
「涙の海で抱かれたい」では、桑田さんのお面を被ったギタリストが登場してる。誰だったんだろう。
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『FILM KILLER STREET & LIVE at TOKYO DOME』
アルバム『キラーストリート』のお披露目ツアー。
しかし、ここにも毛ガニさんの姿はなく、前ツアーに引き続きパーカッションは三沢またろうさん。
ギターにはここから斎藤誠さんが入りました。
冒頭のMCで「歌を歌ってなけりゃ変質者です!」と叫ぶ桑田さんに笑う。
前半から『キラーストリート』収録曲の連発。
「セイシェル ~海の聖者~」が渋く落ち着いてて好き。
この頃のシングルでは「愛と欲望の日々」の和風ディスコに惹かれる。
「ごめんよ僕が馬鹿だった」では桑田さん、ムクちゃん、斉藤さん、コーラスの平松さんと、全員ステージ前方で並んでリフを弾く。スピード感に満ちていてゾクゾクする演奏。
「リボンの騎士」は静かなるエロス。この頃の原坊、史上最高に綺麗かも。
バラード風に始まるアレンジが珍しい「YOU」。
「Bye Bye My Love」の間奏、「ヘイ!ヘイ!」と拳を上げるの、僕もいつかやりたい。
再び『キラーストリート』収録曲になって「からっぽのブルース」「恋するレスポール」「夢と魔法の国」の流れは、非常に濃密なヘヴィ・ロック。
「夢と魔法の国」では桑田さんがギター・ソロを聴かせる。
ライヴでは珍しいインスト「キラーストリート」の後は、バラードの「限りなき永遠の愛」なんだけど、これもどこか重たい空気が漂っていて。
アルバム『キラーストリート』は30曲もある大作だったけれど、こうしてライヴで採り上げられた曲は、みんなハードなロック曲という印象で、あのアルバムはかなりヘヴィな作品だったんだなと気付く。
「ロックンロール・スーパーマン」で、やっと明るい曲調になって心も晴れやか。
「ミス・ブランニュー・デイ」「マチルダBABY」という定番の流れで、「イエローマン ~星の王子様~」では黄色の帽子とランドセルといういでたちの桑田さん。
ライヴ終盤の怒涛の追い込みを締めるのは「マンピー」ではなくて、「BOHBO No.5」。マンピーに負けないほどの盛り上がりを見せた。
アンコールは「水道橋ブルース」を歌い始めたと思ったら、実はコント。
「勝手にシンドバッド」は、コール&レスポンスも無いし、ダンサーさんたちも登場しないしで、盛り上がらないわけじゃないけど、この曲にしてはいささか地味な感じ。
そして、満を持して「TSUNAMI」歌唱。
「LOVE AFFAIR ~秘密のデート~」は桑田さんが歌いながらそれぞれメンバーの所へ行って、肩を組んだり話しかけたりと、なんだか和む場面。
ラストの「心を込めて花束を」はとても感動的なんだけど、『キラーストリート』収録曲で締めるんじゃないのか、と。
久々のアルバムお披露目ツアーは、とてもロックな印象を受けるライヴでした。
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『真夏の大感謝祭LIVE』

30周年記念ライヴ。加えて無期限活動休止を発表したので、ファンの複雑な空気に包まれている。
野外スタジアムだというのに、生憎の雨。
キング・カズの開会宣言でキックオフ。
まだ毛ガニさんの復帰ならず、パーカッションは三沢またろうさん。
いつもなら終盤の盛り上げに欠かせない「ミス・ブランニュー・デイ」が序盤で登場。
桑田さんが観客に向かって「なんの涙だい?」と問いかける。
序盤のハイライトは「青山通りから鎌倉まで」と題した、サザン初期21曲、50分間のメドレー。
デビューから8年間、毎年アルバムをリリースしてた頃のサザンの楽曲が年代順に登場し、古くからのファンはひとつひとつのアルバムに思いを馳せる。
ヒロシさんが歌う「松田の子守唄」の大歓声に、この曲の人気の高さを知る。
「顔」は原曲とは違うリズムの取り方をした歌い方に、難易度の高さを感じる。
フルコーラスではないものの、それぞれ美味しいところをたっぷり披露、満足のメドレー。
続いては「鎌倉由比ヶ浜からキラーストリート」と題して繋げてみたとのMCで、またメドレーかと思いきや、ここからは普通にフルコーラス。
「シュラバ★ラ★バンバ」のフィニッシュ、原坊がイメージと違うやさぐれ感満載のグリッサンドを見せていて、原坊の違う顔を見た思い。
「爆笑アイランド」は、いきなり違う世界へ連れていかれた気分でクール。
「ごめんよ僕が馬鹿だった」の疾走感と「ロックンロール・スーパーマン」の安心感の対比が、サザン・ポップの奥深さを物語る。
サブ・ステージに移動して、元々サザンの編成人数である6人での演奏。
アンプラグドではないけれど、アコースティック編成。
「チャコの海岸物語」がアコースティックな方がスリリングなグルーヴになってるのは何故?
「夕陽に別れを告げて」の桑田さんのハーモニカが胸に沁み入る。
メイン・ステージに戻って、ファンからのリクエストの結果を踏まえた上で、「いとしのエリー」「真夏の果実」「TSUNAMI」という、サザン三大バラードを投下。
「いとしのエリー」でスクリーンに4分割で映ったメンバーの姿に胸がいっぱいになる。
「真夏の果実」では、客席にミスチルの桜井さんに似た人が映る。一瞬、本人か?と思うも、本人だったら権利の関係でDVDには映らないだろう。
「TSUNAMI」をライヴで歌ったのは、今のところこれが最後になっているんだなと気付く。
この時の新曲「I AM YOUR SINGER」はカラオケで、毛ガニさんも加わったメンバー全員がステージ上で踊るパフォーマンス。EXILEからエド・はるみまで、楽しい振り付けがサザンらしい。
「エロティカ・セブン」では、永井豪のけっこう仮面のような女性2人が、桑田さんにあんなことやこんなことまでしてた。サザンのライヴではエロい演出は付き物だったけど、これは史上最高にエロいパフォーマンスだった。
「ボディ・スペシャルII」では、「Crossroads」「Highway Star」「Suffraget City」といったロック名曲のフレーズを織り交ぜながら、桑田さんがステージの左端から右端まで走りまわる。
「マンピーのG★SPOT」でのダンサーさんたちは競泳水着着用で、シンクロするパフォーマンスがこれまたエロい。
アンコールの「勝手にシンドバッド」では、再び毛ガニさんが現れて、ホイッスルからのパーカッション参加。
ラストの「Ya Ya (あの時代を忘れない)」でスクリーンに映る姿も含めて、やはり最後は5人揃ってのサザンはいいもんだなあと。
30周年をお祝いするお祭り気分と、しばしのお別れの惜別の感と。
サザン史上最長、3時間30分超えの特大ボリュームのライヴになったのだった。
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『SUPER SUMMER LIVE 2013 灼熱のマンピー!!G★SPOT解禁!! 胸熱完全版』
35周年記念ということで、活動休止からの復活ライヴ。
毛ガニさんも10年以上振りにツアー復帰で、久し振りにちゃんとサザンの5人のメンバーが揃った形となった。
休止前に行われたライヴのラスト曲「Ya Ya (あの時代を忘れない)」を冒頭に持ってくることで、再び時計の針が動き出したことを表した演出。
なんと「勝手にシンドバッド」が3曲目に登場。
序盤から盛り上げていく形をとったが、コール&レスポンスがないのは、やはりどこか物足りない。
「愛する女性とのすれ違い」が、原曲よりもずっとテンポが速くて、ちょっとハラハラ。
ピアノ・ブギからの「タバコ・ロードにセクシーばあちゃん」のグルーヴがハンパなくカッコいい。
「愛の言霊」では、桑田さんがギター・ソロを弾き倒す。
活動休止前にファンに預けたとされるサザンの屋号返還の儀。
といっても実態は茶番劇。
原坊の「人生の散歩道」では、当時の流行りだった朝ドラ『あまちゃん』を絡めている。
「ラチエン通りのシスター」からアコースティック編成。
活動休止前のライヴでは、サブ・ステージで行われたコーナーだけど、移動する時間がムダだと気付いたとのことで、そのままメイン・ステージで演奏。
ステージの前方にメンバーがギュッと集まる形で。
白眉は「NEVER FALL IN LOVE AGAIN」。
桑田さんが「秋らしい曲を」と言っていて、この曲が入っているアルバム『綺麗』が秋のイメージがあると思っていたのはやはり間違いではなかった。アコースティックなサウンドが余計に沁みたバラード。
ポップに弾けた演奏の「太陽は罪な奴」で客席が映り、リズムに合わせてポーズを変えながら変顔をする小っちゃな女の子がめちゃくちゃ可愛い。
「涙の海で抱かれたい」では、浜辺のヴィーナスのようなダンサーさんたちが優雅に舞う。
「蛍」で観客の付けたリストバンドが一斉に光り、たくさんの蛍のような美しい光景に感嘆の声が漏れる。
最新シングル「ピースとハイライト」も披露され、ポップなサウンドの中に問題提議も含ませた。
ギター・ソロから始まる「ミス・ブランニュー・デイ」が珍しい。
お決まりの放水ショー「みんなのうた」の後は、R18指定の時間ということで「マンピーのG★SPOT」。
マツタケとアワビをご神体にした神輿がステージ上で合体。
桑田さんは明らかにマン●ーのGスポットと歌っていて、客席の女性も「今、マン●ーって歌ったよね??」と隣の友人と話してるのが確認できる。
アンコール、歌い出したブルースは「♪ I want you I need you I love you」と歌っていて、よく聴くとAKB48の「ヘビーローテーション」。
それで始まった「HOTEL PACIFIC」に出てきたダンサーさんたちは皆AKBのような制服を着ていた。
当時、AKBが絶頂に向かっていたことを思い出させる。
しかし、AKBよりずっとエロで、終盤、ボタンを引きちぎって胸元をはだけさせる演出。
「いとしのエリー」では、ラストの「♪ えぇぇぇりぃぃぃぃ」の絶唱を溜めに溜めて、茶目っ気たっぷりの表情を見せる桑田さん。
「希望の轍」では、オーケストラのメンバーにちょっかいを出して、くすぐって笑わせようとする桑田さん。
またもや3時間超えとなったライヴ。
でも、活動再開とか35周年とかという特別感を必要以上に感じさせることはなく、いつものサザンという気がする。
まあ、それだけ、普段からサザンのライヴはお祭りで特別感があるものだから、ということも実感した。
Disc 3・4は、13年振りとなった茅ヶ崎ライヴ。
ツアーの一環なので、内容は同じ。
茅ヶ崎ということで、圧倒的なホーム感が漂ってるのが特徴。
茅ヶ崎でご当地ソングを歌うことの説得力とか特別感とか。
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『おいしい葡萄の旅ライブ』
僕はファン歴30年にして、初めてサザンを生で観たのがこのツアーなので、思い入れがあるライヴ。
福岡と東京のドーム公演の映像が中心になっていて、1曲の中でも桑田さんの服が赤になったり紫になったり、コロコロ変わるのが気になる。むしろコレ、編集大変だったろ、と。
全編英語詞に挑戦したシングルだけど、売れなかったから、桑田さん的に黒歴史になってるかと思ってた「Tarako」。
こうしてライヴで採り上げてくれたのは嬉しい。
その「Tarako」と同じ84年リリースの「ミス・ブランニュー・デイ」を早くも投下した序盤戦。
「ロックンロール・スーパーマン」では、間奏で桑田さんと斉藤さんが見合ってスライド・ギターを弾くのがこの曲の見せ場のひとつ。
MCでは、「還暦近いから、(シンドバッドで)ラララ~と歌うとピュッと出ちゃう時がある」と言ってて笑える。
この後は、NEWアルバム『葡萄』からの曲をたっぷりと。
いちばん好きなのは「イヤな事だらけの世の中で」。
「バラ色の人生」は、軽いポップ感覚の心地良さに改めて気付く。
「彼氏になりたくて」「はっぴいえんど」は穏やかで優しい雰囲気が漂う。
特に「はっぴいえんど」は、旅の羅針盤と歌ってるので、実はこのツアーのテーマ曲になっているのでは?と。
「ワイングラスに消えた恋」では、”マダムゆうこりん”原坊がキーボードから離れて、ハンド・マイクで踊りながら歌うのが珍しい。
ベースのイントロで始まる「よどみ萎え、枯れて舞え」と、ギター・カッティングのイントロで始まる「顔」は、リズムにクセのある2曲。どちらも大好きな曲だ。
その「顔」から「Happy Birthday」「死体置場でロマンスを」「Computer Children」と、アルバム『kamakura』収録曲が4曲も続くので、『kamakura』好きにはたまらない。
サザンの三大バラードと言えば、「いとしのエリー」「真夏の果実」「TSUNAMI」だろうけど。
このライヴの中盤での核になってるのが「栞のテーマ」「あなただけを ~Summer Heartbreak~」「真夏の果実」で、この3曲のバラードの組み合わせの方が僕は好き。
「おいしいね ~傑作物語」は、原曲よりややテンポ速いか。レアな佳曲を採り上げてくれた。
「01MESSENGER」後のTIGERさんのスキャットに痺れる。
「ブリブリボーダーライン」はふざけた変な曲だと思ってたけど、意外や意外、ライヴでは楽しく盛り上がる曲だと気付いた。
桑田さんとムクちゃんがベンチに座って歌い出す「道」から、「栄光の男」「東京VICTORY」と再び『葡萄』の曲が続く。
そして、ライヴ終盤怒涛の追い込みは「アロエ」から。
「マチルダBABY」では火柱が上がる。
「エロティカ・セブン」では、直立不動、前川清の物まねで歌う桑田さん。
「ボディ・スペシャルII」は、斎藤さんのギターのイントロがちょっと長すぎて、怒涛の流れの興奮が冷めてしまう面もあったけれど、間奏で帽子を放り投げてスキンヘッドを露わにして、気合いの入ったギター・ソロを見せているので許そう(笑)。
「マンピーのG★SPOT」では、ビキニの紐がほどけて、胸をおさえながら踊る女性たちが艶めかしい。
ラストでヒロシさんがドラム・ソロを見せるのが珍しい。
アンコール、さりげなく「匂艶THE NIGHT CLUB」が始まる瞬間がカッコいい。
野外ライヴではないので、放水ショーのない「みんなのうた」は、逆に歌に集中できていいかも。
「蛍」の最後にはスクリーンに『葡萄』のジャケットが映し出されて、やはり美しいな、と。
最後の最後、「おおブレネリ」の替え歌で締めくくるところも含めて、全体的に、ミュージカルや演劇的な要素が光る演出だった。
それに、新曲が多いからフレッシュというか、若々しさを感じて、サザンの現役感が印象に残るライヴだった。
Disc 2は日本武道館公演の映像。
実はサザンはあまり武道館でライヴをやってないので、貴重な映像か。
「天井桟敷の怪人」の前に歌われる「黄昏のビギン」がとても良い感じ。
MCでは、武道館に対する思いも。
やはりビートルズがライヴをやった場所ということで、桑田さんにも思い入れが。
ポール・マッカートニーが歌ってる最中にマイクが動いてしまった話や、前座だったドリフターズのいかりや長介さんが、ビートルズとすれ違いざまにポールのベースとぶつかったとされる伝説まで。
その後のメンバー紹介も、それぞれビートルズに絡めたものになっている。
その流れで特別に、ビートルズの「Help!」を演奏。
ビートルズは武道館で「Help!」やってないけどね。
スタッフから「ネットではこんな意見が出てます」と教えられて、「あのコーナーはいらないと思う」との声が多かった15分間をやりますと「おいしいね ~傑作物語」から「ブリブリボーダーライン」までの濃縮コーナーを。
ダンサーの女性といえば、近年、サザンのライヴで起用されてるのはEBATOダンシング・チームの方々なんだけど、その中でも佐藤郁実さんに目が行ってしまう。
桑田さんによくちょっかいを出されていて、「その手をどけてよ」的な態度であしらう姿が印象的。
桑田さんと郁実さんのやりとりがいつも楽しみだ。
この映像は、特に郁実さんの活躍が顕著だ。
いくつかの会場の映像をツギハギするのではなく、武道館公演に絞った映像は、ライヴを1本通して観た満足感を得られるので、とても良い。
でも、思えば、「勝手にシンドバッド」と「希望の轍」が無いというのは珍しいセットリストのツアーだった。
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『LIVE TOUR 2019 キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!だと!?ふざけるな!!』
40周年を記念してベスト盤『海のOh, Yeah!!』をリリースし、その次の年に行われたツアー。
拳を高く上げたメンバーのシルエットがスクリーンに映し出されて始まる「東京VICTORY」に期待が高まる。
ベスト盤に新曲として入ってた「壮年JUMP」、ポップに明るくシュワシュワというコーラス、客席がよく映るのだけれど、みんな観客が楽しそう。
人気曲「希望の轍」が早くも登場した後に、またしても新曲「闘う戦士たちへ愛を込めて」でシリアスに。
春に行われたツアーだけど、大好きな「SAUDADE ~真冬の蜃気楼~」を採り上げてくれたのは良かった。
曲の合間にドキュメント映像として、リハの様子が挟み込まれる。
どんなライヴにしようかディスカッションしている様子が興味深い。
大好きな「欲しくて欲しくてたまらない」は、ムクちゃんのベース・プレイに痺れる。片山さんのピアノ・ソロもいいね。意外と踊れる曲なんだというのがわかった。
「赤い炎の女」はフラメンコ調。炎が上がり、赤い照明で統一され、会場が真っ赤に。
ここまでじっくりメンバー紹介が収録されたDVDは初めてだろう。
ラップや俳句、モノマネまであって、バラエティ豊かな時間だ。
毛ガニさんがスルーされるのが後の伏線に。
「古戦場で濡れん坊は昭和のHero」は、不思議なサウンドだと思ってたけど、このライヴではクールなAORに。
「JAPANEGGAE」は、原曲よりさらに日本的なサウンドを強調。
「女神達への情歌」は前半の目玉と言っていて、コーラス・ワークに長けたサザン・チームの実力が垣間見れる。
「愛はスローにちょっとずつ」は、この時はまだリリースされてない、まさしく新曲。
もう愛なんていらない、君だけが夢に訪れると歌う桑田さんに、中高年の哀愁が漂い、僕の胸にも沁みる。
「ゆけ!!力道山」「CRY 哀 CRY」「HAIR」は、おそらく桑田さんこだわりの濃い楽曲コーナー。
ウ~、ウォンテッド!が楽しい「当って砕けろ」の後の「東京シャッフル」が何故かショート・ヴァージョンなのが残念。
小林克也さんがVTRで登場して曲紹介する「DJ・コービーの伝説」のロックンロールっぷりが熱い。
「わすれじのレイド・バック」は、ラストのラララのシンガロングに涙する。
爽やかで切ないのにノリがいい「思い過ごしも恋のうち」。
僕的には、このブロックがいちばん胸アツだったなあ。
「シュラバ★ラ★バンバ」では、扇を振りながら踊るディスコ調。90年代初頭、こういう時代だったか。
「マチルダBABY」では、桑田さんがグラサンをかけて歌い、火の玉と爆音で盛り上がる。
そこからの「ミス・ブランニュー・デイ」はお馴染みの流れ。
ライヴ中、時折ステージに現れて笑い声を出していた謎の仮面男の正体が「イエローマン」だったことに気付く。
「マンピーのG★SPOT」では、ランジェリー姿の女性たちはステージ後方にいて、桑田さんの周りを囲んでいるのは、頭にブリーフを被った変態仮面の集団。
いつもと違って桑田さんのノリが縮小気味?
アンコールは「I AM YOUR SINGER」。
活動休止前のライヴではカラオケだったので、こうして生演奏するのは初か。
「俺だってサザンが大好きなんだぁ!」という毛ガニさんの叫びで始まる「勝手にシンドバッド」。
いろんなキャラクターが登場して、ステージ上はカオス。
このツアーが始まった当初は、シンドバッドはセトリに入ってなかったのだけど、やはりこれは入れて正解。つーか、入れなきゃダメでしょ。
メンバーが脱退したこともあって、「旅姿六人衆」はそぐわなくなったので、タイトルと歌詞を変えて「旅姿四十周年」。
サザンからのツアーへの感謝の思いが込められていて、ラララの大合唱に胸がいっぱいになる。
40周年記念ライヴは、サザンの長い歴史のあちこちが垣間見れて、寄りとりどりのセトリ。
それでいて、懐かしさだけじゃなく、どこかピリッとしているし、スマートな印象も受けた。
ただのお祭り騒ぎではなく、ここまで来れば様式美だ。
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『茅ヶ崎ライブ 2023』

45周年記念は、ツアーではなく、茅ヶ崎ライブ4DAYSを開催。
需要を考えたら、この会場は小規模と言える。
限られた人しか生で観られない、プラチナ・チケット。
桑田さんを先頭に、メンバーが肩に手を置いて繋がり、汽車ポッポのように仲良く登場。
「C調言葉に御用心」は、ライヴが始まった観客の気持ちを鎮めるようなまろやかなサウンド。
「女呼んでブギ」では、桑田さん、ムクちゃん、斎藤さんの3人が並んで、観客に向かって恒例の尻振り。
「My Foreplay Music」で、桑田さんと斎藤さんが目で合図をしながらギターを弾きあうのが、なんだかとても良い。
9月の茅ヶ崎の海で歌われるのがピッタリな「夏をあきらめて」は、ラストはムクちゃんの合図で締め。
「Moon Light Lover」では、空にホントに丸い月が浮かんでいるのが映る。
ギラギラした「OH!! SUMMER QUEEN ~夏の女王様~」では、ラストに桑田さんのスライド・ギター・ソロが響く。
「そんなヒロシに騙されて」では、桑田さんが弾くギターのカッティングやフレーズがよく聴こえる!そして途中から原坊はキーボードを離れてステージ中央へ出て行って、ハンド・マイクで踊りながら歌う。
メンバー紹介のコーナーでは、桑田さんの仕切りに業を煮やしたムクちゃんが反旗を翻しMCの座を奪取。
サザンのメンバーそれぞれが、俺がリーダーだ、代表だ、バンド・マスターだ、と言い張る展開に。
新曲「歌えニッポンの空」では、サビを締める「ありがっと!!」を会場中大合唱。ファンももうわかってる。
「東京VICTORY」は、ラストのヘイ!ヘイ!の気合いの雄叫びに盛り上がる。
「栞のテーマ」で、原坊が三連を刻む尊さよ。
さらに「太陽は罪な奴」、「真夏の果実」、「LOVE AFFAIR ~秘密のデート~」と、アップ・テンポとバラードを交互に投下する展開。
「ミス・ブランニュー・デイ」と「マチルダBABY」は、近年のサザンのライヴではセットになってるのが恒例だったけれど、今回は「マチルダ」の代わりに新曲「盆ギリ恋歌」を。新鮮な盛り上がりだ。
野外ライヴではお約束の「みんなのうた」での放水ショー。
イントロだけでは何をやるのかわからなかった「マンピーのG★SPOT」。今回の桑田さんのヅラは、とりわけジジイ感が出てた。
アンコールは、煌びやかながらも安心感のある「ロックンロール・スーパーマン」。
「Ya Ya (あの時代を忘れない)」で楽しかったライヴの終わりを感じさせた後は、「希望の轍」で清々しくリフレッシュ。
そして、「勝手にシンドバッド」。すごいライヴだったねというのはこういうことだと実感する。
45周年記念のライヴだったけれど、サザンにしてはお祭り感控えめ。
どこか淡々としてる印象を受けた。
セットリストはヒット曲、代表曲ばかりという印象で、どうしてこの曲採り上げるの?という、桑田さんのエゴが見えるこだわりのレア曲がほとんど無かったから、いつもより薄味に感じたのかもしれない。
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『Live at ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA』
アルバム『THANK YOU SO MUCH』初回限定盤に付属のライヴDVD。
このライヴ映像が素晴らしすぎる。
最後の夏フェス出演ということで話題に。
当日、僕はライヴ・ビューイングで観たけれど、今回Blu-rayで観直してみて、こんなに素晴らしいライヴだったのかと驚いた。
冒頭「女呼んでブギ」で、ライヴの期待値を苦笑いに変えるセンス。
「ジャンヌ・ダルクによろしく」「My Foreplay Music」と、新旧のイケイケ・ロック・ナンバーで煽る序盤。
「海」でしっとり聴かせる様は、やはりシングル候補になった名曲だなと痛感させられる。
「愛の言霊」は、入念なリハーサルを繰り返し、実はこのライヴで重要な勝負曲であったことが明かされた後に聴くと、その意味の重たさを実感。
「いとしのエリー」や「真夏の果実」といったサザンの代表的バラードが配置されて、フェスに来たファン以外への観客への配慮を感じる。
衝動と切なさをポップに料理した「思い過ごしも恋のうち」を採り上げてくれたことには感謝する。
「東京VICTORY」での、観客とのコール&レスポンスで一体感。
「恋のブギウギナイト」は、ノリの良いディスコ・ソングなのはわかっていたけれど、ライヴで生演奏すると、こんなグルーヴになるのか、想像以上に盛り上がるんだなあと興奮した。
不倫に手厳しい世の中になった昨今、爽やかな「LOVE AFFAIR~秘密のデート」を聴いて、何事にももう少し寛容の心を持った方が、もっと生きやすい世の中になるのではと思いを馳せる。
ライヴ終盤の「マチルダBABY」「ミス・ブランニュー・デイ」「みんなのうた」「マンピーのG★SPOT」の怒涛の畳み掛けはやはり圧巻。
その場にいられなかった悔しさも増す。
アンコールの「希望の轍」「勝手にシンドバッド」の流れは、あの平成最後の紅白の大成功で、これぞサザン!と定番化した流れでもある。
最後には、このフェスに出演したアーティストたちがステージに集結するので、権利の関係で商品化は難しいかもと思ってた。
しかし、それを難なくクリア、完全な形でディスクに落としこんでくれたのは感謝しかない。
あの日のライヴは、こんなに素晴らしいものだったのか。
ライヴ前後のドキュメンタリー部分も含めての2時間5分というのも、集中して観るのにはちょうどいいボリュームだ。
これを自宅で何度も味わえるのだから、本当にありがたい。
ファンなら是非観てほしいし、ファンでなくとも絶対に観て損はない映像だ。
老若男女、コア・ファンから初心者まで、すべての人の心を打つこと必至だ。
サザンのライヴの素晴らしさを、一人でも多くの人に知ってもらいたい。
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