moonriders AMATEUR ACADEMY and more 2024
2024年11月1日(金)@東京国際フォーラム
再現ライヴ!and more!
昨年末、久々にムーンライダーズのライヴを観に行って、感動しました。
また次にライヴやるなら行きたいな。
素直にそう思えました。
それから半年ほど経った今年6月。
今度は『AMATEUR ACADEMY』の発売40周年を記念した再現ライヴ『AMATEUR ACADEMY and more 2024』の開催が決定!
2年前に『マニア・マニエラ』と「青空百景」の再現ライヴをやったことは知ってましたが、『AMATEUR ACADEMY』までやるとは思ってもみませんでした。
このアルバムは、以前は全然ピンと来なくて...。
大好きな『青空百景』と『ANIMAL INDEX』に挟まれて、なんで突然こんなアルバムが出来上がったんだろうと、僕にとってはエア・ポケットのような存在でした。
その後、何年もかかって馴染んできてからは、なんとなく悪くないかも、みたいに思えてきました。
そんなところに再現ライヴの知らせですからね。
どうしようか。
ちょっと迷いましたが。
決定打は【ライブは2部構成。第2部ではムーンライダーズのオールタイムから選曲したライブになる予定です】との文言でした。
それなら、第2部で、もっと色々な曲が聴けそうだし、お得なライヴになりそうだな、と。
チケットはHP先行抽選で。
狙いはA席です。
僕は、基本的に前の方の席には縁がない方だし、観られれば席はどこでもいいと思ってるので、それならば安い席の方がいい。
今回はS席とは4000円の差があるので尚更。
第一希望をA席として申しこんだら無事、当選!
ここまで思い通りに事が運びました。
ライヴ当日。会場へ
チケットを確保してから約4ヶ月。
予習したお蔭で、『AMATEUR ACADEMY』が大好きになりました。
何故、以前はこのアルバムの凄さがわからなかったんだろうと不思議なくらいです。
ハロウィン台風だのなんだので、ちょっと心配もしましたが。
ライヴ当日は曇り空。
開場は18時とのことでしたが、グッズを見てみたいと思ったので、先行販売をしている時間帯に。
17時10分頃、到着しました。
東京国際フォーラムは何度も来てますが、ホールCは初めてです。
小さな会場というイメージがありましたが、キャパは1500人なんですね。普通に大きいホールです。
ホールAが大きすぎるから、そういうイメージだったんですね。
雰囲気も、ホールAとそっくりで。
全然違和感のようなものはありませんでした。
さて、グッズですが。
いいTシャツがあったら買おうかなと思ってたのですが、新作のTシャツは白しかなくて。
僕はなるべく白Tは買わないようにしてるんです。
で、旧作の黒のTシャツがあったんですが、僕が見つけた時は、あと2枚ですと言ってて。
デザイン的には、どうしても欲しい!という感じではなかったのですが、
3000円という値段は、昨今のTシャツの相場から考えたら、かなり安い方だし、クラッと来ました。
とりあえず、並んでみようと思って、それから待機列に並びました。
間もなく順番が来て、売り場の中まで進んでいったら、その黒Tシャツの最後の1枚が買われたところでした。
悩んでないで、すぐに列に並んでれば良かった...。
もはや時遅しですが、まあ、どうしても欲しいというわけではなかったので、縁がなかったものだと諦めましょう。
結局、グッズは何も買わず。
それから、開場時間まで待機です。
今回は、開場時間から開演時間までが30分しかないので、トイレに入る時間を考えたら、早く入場する必要がありました。
2階のトイレは個室が1つしかなかったのですが、程なく空いて、用を足すことが出来ました。
それから、3階へ。
僕の席は3階8列34番。
嬉しい嬉しい通路側の席です。
隣の人に気を遣わず、サッと出入りが出来るので、通路側の席が大好きなんです。
今回もこの幸運に感謝です。
しかも、位置的にはほぼ中央で。
ステージ全体がとても観やすく、良い席です。
これでA席だなんて、ラッキーにも程がある。
そして、あっという間に開演の時間です。
ライヴのスタート
開演時間の18時30分を12分過ぎ、ようやく照明がゆっくりと暗くなっていきました。
01. 塀の上で
02. Y.B.J. (YOUNG BLOOD JACK)
03. 30 (30 AGE)
04. G.o.a.P. (急いでピクニックへ行こう)
05. B TO F (森へ帰ろう〜絶頂のコツ)
06. S・E・X (個人調査)
07. M.I.J.
08. NO.OH
09. D/P (ダム/パール)
10. BLDG (ジャックはビルを見つめて)
11. B.B.L.B. (ベイビー・ボーイ、レディ・ボーイ)
(Encore)
12. タブラ・ラサ
13. ばらと廃物
14. 俺はそんなに馬鹿じゃない
15. Masque-Rider
16. 工場と微笑
(Encore 2)
17. GYM
18. DON’T TRUST ANYONE OVER 30
「塀の上で」。
いきなり始まったと思ったら、ステージ後方の高いところで、鈴木慶一さんがギターの弾き語りをしています。
よく見たら、その舞台は石塀になっていました。
まさしく、塀の上!
しかも、はちみつぱいの名曲を、ライダーズのライヴで聴けるとは!
初っ端から沁みます。
そして、メンバーが続々登場してきて、途中からバンド演奏!
ステージ前方、左からキーボードの佐藤優介さん、ベースの鈴木博文さん、中央に位置するのがバイオリンの武川雅寛さん。
武川さんの右側には、柱やドラム缶が転がっているのが見えます。後ろの石塀と合わせて世界観を作るセット。
ステージ後方には、左からドラムの夏秋文尚さん、ギターの白井良明さん、ギターの澤部渡さん。
メンバー全員の「♪ へーいのーうえーでー」の合唱が響き渡ります。
これ、みなさん涙が出るところですよね。
「Y.B.J.」。
慶一さんが塀の上から降りてきて、ステージ後列のいちばん右に位置します。
「♪ YOUNG! BLOOD! JACK!」
この直線的なビート。
イマイチのアルバムだなと思ってた昔から、この曲だけは大好きでした。
ライヴで聴くのは初めてではありませんが、やはり、大好きな曲は何度聴いてもいいものです。
サビは博文さんが歌いました。
フワフワとしたファルセットが心地いいですね。
良明さんのギター・ソロが恐ろしく唸る。
おやっ?と思ったのが、夏秋さんが叩いてるのは、電子ドラムの音がしてる。シモンズってやつですかね?
「30」。
ちょっととぼけた感じもありつつも、切実さも窺える曲で、緊張感もあります。
武川さんはトランペット。
澤部さんと慶一さんはアコギをかき鳴らしてます。
狼の遠吠えのようなコーラスが耳に残ります。
MC。
「ムーンライダーズ。あと2年で50周年です」
「G.o.a.P.」。
良明さんのギターの単音リフから始まり、それが曲をリードしていきます。
佐藤さんのキーボード・ソロ、良明さんのギター・ソロへと繋がり。
ピクニック。ワイン。19歳。堕落。
官能的な歌詞でありながらも、お洒落なサウンドなのがたまりません。
この曲が好きになってから、一気にこのアルバムに愛着が湧いていったところがあります。
「B TO F」。
ファンタジーな世界に連れていかれます。
穏やかなトランペットの響き。
ゆらゆらとしてて、なんだか気持ち良くて、眠くなってきました。
「S・E・X」。
これまた妖艶な歌詞に合わせるかのように、照明がピンク色です。
慶一さんのアコギの音が目立ってました。
MC。
「かしぶちくんが、曲名に照れて、個人調査という副題を付けました」
「リハでは、普通にSEXと呼んでいて、さっきのSEX、もう少し柔らかく、とか(笑)」
「発売後、ライヴで初めて歌ったかもしれない」
「タイトルが墓穴を掘ったな」
「この後は白井くんが...」
「なに?悪口?」
「悪口ではないよ」
「仕事中なんで!」
「私も仕事中だよ」
「このアルバムは、初めて外部にプロデューサーを頼んで」
「でも、1対6になるから、プロデューサーの分が悪いわけだ」
「後で宮田くんを慰めてたよね。君なら出来る!って」
「次はシングルになった曲。タイアップも付いたけど、B面も含めてパッとしなかった」
「メイド・イン・ジャパン!」
「M.I.J.」。
この曲がメイド・イン・ジャパンの略だったことを初めて知ったよ。
「♪ ティー!ヴィー!」という掛け声がとにかく印象的。
そして、鳴らされるサウンドがファンク。
こういう解釈だったか。
武川さんのトランペットも目立っていて、そういえばこの曲に限らず、ここまで、バイオリンよりもトランペット吹いてる方が多いような。
「NO.OH」
グッモーニンからのガッチュ!ガッチュ!
サビで一気にスピードが上がるのが燃える、大好きな曲。
曲紹介の時もブラス・アレンジがカッコいいと言ってたけど、たしかにそう。武川さんのトランペットのフレーズで締めるのがテンション上がります。
良明さんの曲は元気が出るのが多いな。
「D/P」。
一瞬、え?誰が歌ってる??と見失います。
マイクに口を近づけているのは、武川さん、慶一さん...でも、歌が聴こえてるのにマイクから離れたりもしてる。うんん?
歌ってるのは澤部さんだ!
あの大きな体にはそぐわないような、繊細で涼し気なヴォーカルです。
サビは慶一さんが歌ってたかな。
爽やかな風を感じる曲です。
「BLDG」。
またまた現れたジャック。いったい何者?
寂しげなメロディから、段々と荘厳なサウンドになっていきます。
「B.B.L.B.」。
慶一さんの力の入ったヴォーカルに始まり、武川さんの低音ボイスが響く。
ハピネス!
辞書にも載ってる通り!
幸せなんて人それぞれだと。
ライダーズのメンバーも70歳を超え、そして僕らリスナーも歳を重ねたうえで、そう歌われると、ますます沁みてきます。
プログレみたいな展開の曲だと思います。
これにて『AMATEUR ACADEMY』再現終了。
いったんメンバーはステージを去ります。
19時46分。
アンコールに応えて、再びメンバーが現れるのですが、みんな一斉にやって来ないで、バラバラ(笑)。
なかなか演奏始めないなあと思ったら、まだ武川さんが来てない!
そこで良明さんが、お客さんに拍手を要請。
良明さんの合図で、大きく拍手をしたり、止めたりの繰り返しで。
盛り上がってる風になった中で、ようやく武川さんが登場。
そしたら武川さん、杖ついてなくて、普通にスタスタ歩いてきた!
「タブラ・ラサ」。
コレ、僕は知らない曲でした。
慶一さんが、聴こえない世界を飲みこむとかなんとか歌ってました。
バイオリン・ソロとギター・ソロが光ります。
後で調べてみたら、『Tokyo7』収録曲。
僕、このアルバムからCD買わなくなっちゃったんだよなあ。
サブスクで聴けるの知ってたけど、まだ聴いてなかった。
やっぱり後でちゃんと聴いてみよう。
「ばらと廃物」。
ジャンク・モビル!
混沌としたサウンドがたまりません。
ステージ上で廃物らしきドラム缶がピカピカ光ってました。
終盤、良明さんがスティックでギターを弾いてるのがわかって、おお~、カッコいい!
MC。
「次は武川さんが歌います」
「さっきは出てくるの遅れちゃって。衣装着替えるのが大変なんだよ」
「この曲は、ボケッと海に浮かんで流れているようなイメージで」
「俺はそんなに馬鹿じゃない」。
この曲も僕は馴染みのないものでした。
後で調べてみたら、『Dire Morons TRIBUNE』収録曲。
当時CD買って、1、2回聴いただけ。
2000年を過ぎたこの辺りから、少しずつライダーズに冷めていってしまったんですよね。
「Masque-Rider」。
夏秋さんが、やたら長い筒状の楽器を吹いてます。
ブォォォォ~と、妙な低音が響いてきます。
後で調べてみたら、どうやらディジュリドゥとかいう楽器らしい。
そこに佐藤さんの美しいピアノのイントロで雰囲気が変わって。
虚ろなメロディを歌うのは良明さん。
いつも元気な良明さんにしては、こういうバラードは珍しいと思いました。
実は、この曲も僕は知らなくて。
これまた聴いたことない『Ciao!』収録曲でした。
最後に良明さんが「マスクライダー!」と叫んだのでわかりました。
「工場と微笑」。
ここまで慶一さん、武川さん、良明さんとリード・ヴォーカルを取ってきたので。
となると次は!と思ってたら。
博文さんがステージ前方に出てきてベースを弾きます。
演奏と共に、やがて「♪ オー、イエー、オー、イエー」のコーラスが聴こえてきて。
あの曲だな、とわかるのですが、博文さん、なかなか歌い始めません。
イントロが長い!(笑)
それにしても、やはりこのステージ・セットの世界観に合ってるのか、『マニア・マニエラ』感も強かったですね。
工場からのサイレン!
パンを齧りながら!
ややぎこちなくも博文さんが気合い入れての熱唱です。
そして、またメンバーはステージから去っていきます。
あれあれ、AMATEUR ACADEMY and moreのmoreって、これだけ??
【第2部ではムーンライダーズのオールタイムから選曲したライブになる予定です】というアナウンスだったので、第1部と同じくらいのボリュームで代表曲をワンサカやってくれるもんだと思ってたよ。
これはちょっと肩透かし...。
アンコールに応えて、今度はすぐにメンバー全員再登場。
慶一さんはタンクトップ!
若い!がんばるなあ!と思ってたら、そうか、それも『AMATEUR ACADEMY』の再現なのか、と。
やんちゃなお爺ちゃん感が漂う(笑)。
「じゃあ、さっき言ったシングルのB面曲をやろう」
「GYM」。
この曲、僕、大好きです。
サビなんかキャッチーだし、ピアノとトランペットが絡んで、すごいポップな感じで。
爽やかだしお洒落だしって思うんだけど。
「M.I.J.」じゃなくて、こっちをA面にすれば良かったのにと思ってる。
でも、こちらにもタイアップ付いたのに売れなかったんだから、どっちもどっちなのか。
最後はララララとコーラスが入って華々しく。
ここでメンバー紹介。
慶一さんが、ひとりひとり丁寧に紹介します。
最後に武川さんが慶一さんを紹介して。
「DON’T TRUST ANYONE OVER 30」。
「♪ フッ!フッ!フッ!フッ!」のコーラスと共に、かなりファンクなアレンジです。
テンポもやや遅くてヘヴィ。
慶一さんのヴォーカルがねちっこい。
サビでは「Over 30」「Over 50」「Over 40」「Over 70」の順になってたかな。
(と思ってたら、40ではなく古希と言ってたそうです)
特に武川さんが気合い入ってました。
このサビが延々と続いていく感じで、グルーヴしていきます。
そして最後に慶一さんは Don’t trust us! と叫びました。
これにてライヴは終了。
20時42分でした。
40年の時を経ても朽ちない
高い石塀、転がる柱、ドラム缶。
インダストリアルな空間で鳴らされる音と歌声。
ムーンライダーズが80年代に作り上げた、唯一無二のサウンド。
こうしてひと通り再現されると、やっぱりこのアルバムも名作だったんだ、と気付かされます。
売れるとか売れないとかは、関係ないんだよなあ。
ヒットはしなくても、人の心にしっかりと残る音楽ってのはある。
そして、そういう音楽だからこそ、40年の時を経ても朽ちない。
そう実感させられました。
30代の時に作った先鋭的な音楽を、50年近くのキャリアの深みを加えて進化させた、ライダーズの特別な夜でした。
2年後の50周年記念が楽しみだけど、ここ数年の流れからいったら、来年は『ANIMAL INDEX』再現ライヴ、やってくれますよね?
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